JP4772563B2 - 異物の沈積度合を測定する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パルプ及び紙の製造工程各所で発生する異物の沈積度合を測定する方法に関する。更に詳しくは、パルプ及び紙の製造工程各所に水晶振動子を有した微量天秤を設置し、該装置より得られる情報より、異物の沈積度合を測定することにより、早期に対処することが可能となる方法に関する。
パルプ及び紙の製造工程では、しばしば、異物の沈積、特にスケール、ピッチの沈積が発生し、マシン操業性、製品品質に大きな影響を及ぼす。
[スケール]
例えば、クラフトパルプ化工程においては、蒸解中に木材チップからシュウ酸イオンやカルシウムイオンが溶出する。また、蒸解液中には炭酸イオンが存在する。これらのイオンが蒸解中に反応して、シュウ酸カルシウムや炭酸カルシウムが生成し、後工程にて析出することにより、蒸解釜・配管・ストレーナ部等に付着してスケールとなる場合がある。ストレーナ部にスケールが付着すると、熱効率の低下や、パルプ品質の不均一等の問題が発生する。
また、再生パルプ製造工程においても、古紙中に含まれる炭酸カルシウム由来のカルシウムイオンが、硫酸バンド由来の硫酸イオンや天然物由来のシュウ酸イオンと結合することにより硫酸スケール、シュウ酸スケールとなる。また、古紙に含まれる硫酸バンド由来のアルミナが、アルカリ処理によってアルミン酸塩となり溶出し、その後のpHの低下により水酸化アルミニウムとなって析出し、脱墨薬品として使用される珪酸ソーダ由来の珪酸イオンを取り込んで、珪酸アルミニウムスケールとなる場合もある。これらのスケールが、装置等に付着すると、操業性やパルプ品質の不均一等の問題が発生する。
紙の製造工程においても同様で、サイズ剤、染料をはじめとする各種薬品の繊維への定着、あるいは歩留まり、濾水性向上等を目的に用いられている硫酸バンドが、珪酸イオンを取り込んで珪酸アルミニウムスケールを生成する。あるいは、炭酸カルシウム由来のカルシウムイオンが上記同様に硫酸イオンやシュウ酸イオンと結合し、硫酸スケール、シュウ酸スケールとなる。このスケールが例えばフェルト等に付着すると、フェルト部位において搾水性のむらが生じ、地合い不良や紙切れを起こしたりし、トラブルを引き起こす。
これらスケールに関しては、一定の期間をもって酸、あるいはアルカリによって洗浄を行うことで、トラブルを回避している。あるいは、事前に、工程内にポリリン酸塩、アクリル酸系重合体、各種ホスホン酸等のスケール防止剤が添加される。
スケール防止剤の種類や添加量は、随時水質分析や、バイパスラインよりサンプリングを行い、スケール付着状態を調べた後に、その結果に応じて添加されている。
スケール付着状態を調べる方法の一例としては、金属を素材とする線材に付着したスケールの重量を測定する方法が特開平7−159305号公報(特許文献1)に開示されているが、該方法では40万分の一から80万分の一程度の精度が求められるため、非常に精密な作業が必要とされる。更に、工程内は変動し易いため、測定した結果が必ずしも現状を反映しているとは言えなく、対応としては後手を踏むこととなる。
[ピッチ・粘着異物]
ピッチや粘着異物に関しても、上記スケールと同様にパルプ及び紙の製造工程において、大きなトラブルを引き起こす。
例えば、機械的処理によって製造されるメカニカルパルプには、トリグリセライド、アビエチン酸などの抽出成分、古紙パルプには、原料となる古紙由来の粘着剤、粘着テープ、雑誌の背糊、ビニールテープ等のアクリル系、酢酸ビニル系、ホットメルト等の物質(本明細書では粘着異物とする)、また、パルプ及び紙製造工程で使用される添加薬品等に由来する有機物主体とした非水溶性の粘着性を示す物質等多種多様の物質が、ピッチの原因となる。
これらのピッチ成分は、製紙工程のスラリー中では通常コロイド状となって分散しているが、大きなせん断力、急激なpH変化、硫酸バンドの添加等によりそのコロイド状態が破壊されて、不安定化し、夾雑するイオンや無機物、有機物を巻き込んで沈積したり、凝集・粗粒化する。粗粒化したピッチは、配管、ワイヤー等に付着したり、パルプや紙に再付着することで、紙の欠点による品質の低下、断紙の原因となり、生産性の低下等を引き起こす。
また、近年では環境に対する配慮の面から工程のクローズド化が進んでいるため、ピッチの問題は多くなると共に複雑化してきている。更に、環境配慮、コスト削減の面から再生パルプの使用が増加していることから、パルプ及び紙の製造工程中に混入しているピッチの量は、再生パルプ中に混入している粘着異物の量に大きく依存しているとも言える。
上記のピッチトラブルに対策を講じる上では、パルプ及び紙の製造工程中に混入している粘着異物の数量や性状を把握することは大変重要である。
ところで、粘着異物はそのサイズから、スリット幅100μmのスクリーンを通過しない粗大粘着異物と、同スクリーンを通過する微細粘着異物に分類される。粗大粘着異物の評価方法に関しては、現在ある程度確立されており、信頼のあるデータが得られることが知られている(非特許文献1)。
一方、微細粘着異物の評価方法に関しては、その性質上困難を極めており、数多くの報告はあるものの、未だ確立されていない。例えば、微細粘着異物の評価方法として有機溶剤を用いた抽出方法がある。しかし、この方法では粘着異物だけではなく、インキのビヒクル由来の油分や界面活性剤由来の粘着性を持たない他の溶剤抽出物の量までも測定する。HAK LAE LEE等は、モデル実験ではなく実機製造工程のデポジットを調査し、溶剤抽出物に占める粘着剤由来の成分は5%弱程度であると報告しており、一般的にもそのように考えられている(非特許文献2)。そのため、このような抽出方法では、正確に粘着異物の量を測定しているとは言い難い。更に、抽出時間を含めて測定に非常に時間がかかる。
また、その他にも、疎水性フィルムや金属ワイヤーへの付着量を測定する方法、CODやTOCを測定し求める方法等が提唱されてはいるが、付着量を測定する場合は、きわめて微量で繊維等他の物質による誤差が大きいこと、CODやTOCによる方法では、付着性を評価できないことなどから、微細粘着異物の測定方法は、世界的レベルで見ても未だ確立されていないのが現状である(非特許文献3、4)。
特開平7−159305号公報 Mahendra R.Doshi et.al,Comparison of Macrostickies Measurement Methods,Progress in Paper Recycling Vol.12,No.3,May 2003,34-4 Hak Lae Lee, Jong Min Kim,Quantification of Macro and Micro Stickies and Their Control by Flotation in OCC Recycling Process, Appita Journal Vol.59,No.1,31-36,2006 Mahendra R.Doshi et.al,Comparison of Microstickies Measurement Methods PartI,Progress in Paper Recycling Vol.12,No.4,35-42,2003 Mahendra R.Doshi et.al,Comparison of Microstickies Measurement Methods PartII,Progress in Paper Recycling Vol.13,No.1,44-53,2003
そこで、本発明は、パルプ及び紙の製造工程で発生する異物の沈積度合を、水晶振動子を有する微量天秤を使用することで測定する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、水晶振動子を有する微量天秤が、分子レベルでの重量を測定可能であること、リアルタイムで測定できることからオンラインで使用することが可能であること、更には、エネルギー消散を測定できる装置を用いることで、物質の粘弾性や膜厚を測定することが可能であること等に着目し、鋭意研究を重ねた結果、該装置を使用することにより、パルプ及び紙の製造工程内の異物の沈積度合を予測することが可能であることを見出した。
本発明によれば、パルプ及び紙の製造工程で発生する、粘着異物、ピッチ、スケールといった異物の沈積度合を正確に測定することが可能である。さらに異物の粘弾性を測定することで、沈積した異物が固い物質か、柔らかい物質かを判断することも可能である。
本発明におけるパルプの製造工程とは、チップ、丸太、古紙、ドライシートからパルプ(繊維素)を取り出す工程のことを指す。
本発明における、紙の製造工程とは、パルプをシート化する工程を指し、ウェットエンド工程、プレス工程、ドライヤー工程、カレンダー工程、排水処理工程及びこれらの用水を処理する工程等を含む全ての工程を指す。本発明におけるウェットエンド工程とは、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円筒抄紙機等公知の抄紙機を用いて紙を製造する工程であればよく、それらに限定するものではない。また、1層の紙でも、2層以上の多層紙であってもよい。また、抄かれる紙は填料を含有していてもよく、填料としては、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。更に、必要に応じて、硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、着色剤、染料、消泡剤等を含有していても良い。
本発明における紙の製造工程で製造される紙の種類は、印刷用紙、新聞用紙の他、情報記録用紙、加工用紙、衛生用紙等が挙げられるが、これらに限るものではない。情報用紙として更に詳しくは、電子写真用転写紙、インクジェット記録用紙、フォーム用紙、感熱記録紙、感圧記録紙等が挙げられる。加工用紙として更に詳しくは、剥離紙用原紙、積層板用原紙、成型用原紙等が挙げられる。衛生用紙として更に詳しくは、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル等である。また、ライナー、ダンボール原紙等の板紙も含まれる。
本発明における水晶振動子を有する微量天秤とは、水晶振動子の圧電効果を利用して、振動子表面で起こる微小な重量変化を測定できる装置であれば如何なる物でも良い。エネルギー消散を測定できる水晶振動子を有する微量天秤としては、例えば、Q−sence社の分子間相互作用定量測定装置(型式名:QCM−D300)等がある。該装置の測定原理としては、以下の通りである。
水晶振動子に交流の電場をかけると、水晶の結晶が歪む。このとき、水晶は非常に規則正しく振動発振をする。水晶振動子表面上に、試料が付着すると振動数が変化する。振動数の変化量は付着している膜の質量に比例するため、水晶振動子表面に付着したものの質量を測定することが可能である。また、粘性の高い試料が付着した場合は、粘性の低い物質が付着した場合よりも振動子の減衰が速くなることより、水晶振動子表面に付着した物質の粘弾性(固さ)を測定できる。このように、該装置を使用すれば、付着した物質の重量変化のみならず、付着した物質の粘弾性を同時に測定することが可能となる。
具体的に述べると、前記装置により、振動数変化(Δf)及び消散値(ΔD)を測定する。振動数変化Δfとウェットな状態での重量変化Δmの間には、以下の式1の関係が成立するので、Δfは水晶振動子表面に付着した異物のウェットな状態での重量を示しているといえる。
Δf=定数×Δm (式1)
更に、Δfは以下に示すSauerbreyの式(下記式2)を用いることで、水晶振動子表面に付着した異物のウェットな状態での重量変化(Δm)に換算することができる。尚、上記装置では5、15、25、35MHzの4段階の周波数が自動的に切り替わり、それぞれのΔfが測定されるが、式2のΔfは前記4段階の周波数で測定したΔfをそれぞれ1、3、5、7で割った後の値(5MHzにおける値に換算)を使用する。
Δm=−17.7(ng・cm-2・Hz-1)・Δf(Hz) (式2)
また、消散値ΔDは、一回の振幅でのエネルギー散逸を示す(Edissipated)と振幅システム中の貯蔵エネルギーを示す(Estored)から以下の式(下記式3)を用いて求められる。
ΔD=Edissipated/2πEstored (式3)
ΔDは粘弾性の高い物質が水晶振動子表面に付着した場合、粘弾性の低い物質が付着した場合と比較して、水晶振動子の振動が速やかに減衰することから求められる値である。即ち、Δfが同じ値で、ΔDの値が高ければ、膜厚が大きく粘性の高い物質が付着していると考えられる。
試料に長繊維分や大きな粒径の異物が含まれている場合は、試料を前処理した後に測定することが好ましい。前処理の方法は、一般的な篩に供する、ろ過を行う等の方法が考えられるが、固形分が5重量%以下であって、パルプの長繊維分の含有率が全固形分に対して50重量%以下である濾液を採取できる方法であれば、いかなる方法を用いても良い。ここで、パルプの長繊維分とは、150メッシュの篩にて分離した場合、篩上に残るパルプ繊維を指す。
本発明における、異物とはパルプ及び紙の製造工程で発生し、製品品質及び操業性に悪影響を及ぼす物質全般を指す。例えば、シュウ酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウム等の金属塩スケール、機械パルプ由来のトリグリセライド、アビエチン酸などの樹脂分由来のナチュラルピッチ、パルプ及び紙の製造工程で使用される添加薬品や古紙由来のラテックス等の有機物を主体とした疎水性物質等からなるホワイトピッチ、古紙由来の粘着剤、粘着テープ、雑誌の背糊、ビニールテープ等のアクリル系、酢酸ビニル系、ホットメルト等の粘着異物を指す。
本発明における異物の沈積とは、パルプ及び紙の製造工程内の配管、網、装置等のあらゆる物質に対して、異物が付着し堆積することを指す。付着に関しては、例えば、粘着性を示す物質がそのまま付着することのほかに、水に懸濁していた物質が沈殿を生じることや、分散していた物質がpHショックや温度変化により不安定化し、デポジットを形成することを含む。また、沈積とは一定時間当たりにセンサーに付着する物質の量を示す。
本発明における、工程用水とは、パルプ及び紙の製造工程で使用または発生する用水を意味し、通常固形分が5重量%以下であって、パルプの長繊維分の含有率が全固形分に対して50重量%以下である。ここで、パルプの長繊維分とは、150メッシュの篩にて分離した場合、篩上に残るパルプ繊維を指す。工程用水としては、具体的には、パルプ及び/または紙の製造工程にて発生または利用される白水、用水、工水、再用水、工業用水、洗浄機の洗浄後の水、搾水機(例えば、DNTウォッシャー、エキストラクター、スクリュープレスなど)の搾水、フローテーターのフロスまたはリジェクト、加圧浮上装置のスカム及びアクセプト、シャワー水、フェルトなどの洗浄水、原料の希釈水、また、これらの水を浮上分離、泡沫分離、沈降分離、膜分離、遠心分離、凝集分離など分離処理した後の水、などである。
本発明において、測定の対象がピッチ成分、粘着異物である場合、水晶振動子が疎水性物質で被覆されていることが好ましい。これは、工程内のピッチ成分のような疎水性物質を水晶振動子表面に付着させ易くするため、水晶振動子表面をコーティングすることを指す。コーティングする疎水性物質としては、ピッチ成分と良い付着性を示す固体の表面自由エネルギーが20〜50mJ/m、好ましくは30〜40mJ/mの範囲である有機物、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられるが、疎水性を示す物質であれば特に限定されない。
本発明におけるオンライン搾水装置とは、例えば、コーエイ工業(株)製ろ液採取装置(商品名:REX−100S−ST)を用いることができるが、搾水の固形分が5重量%以下、好ましくは1重量%以下であって、濾液中に含まれるパルプの長繊維分の含有率を全固形分に対して50重量%以下に調整できる物であれば特に限定されない。
本発明は、前記オンライン搾水装置を組み込んだ図1に示すようなフローによりオンラインによる測定も可能である。また、水晶振動子部分が多数の水晶振動子部分から成り、多数の試料を同時に測定可能な、例えば、Q-sence社の4チャンネル分子間相互作用解析装置(型式Q-SENSE E4)を使用し、図2に示すようなフローを組むことで、実機工程での薬品処理効果(A−B間比較)及び分離装置での分離効果(B−C間比較)を同時に測定することも可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜4]
測定試料として、上質系古紙を使用している工場Aの粗選工程(工程I)白水及び精選工程(工程II)白水及び新聞系古紙を使用している工場Bの粗選工程(工程III)白水及び精選工程(工程IV)白水を500メッシュ篩にてろ過した濾液を使用した。水晶振動子を有する微量天秤による異物の沈積度合の測定には、Q−sence社の分子間相互作用定量測定装置(型式QCM−D300)を使用し、測定センサーとしては、水晶振動子の表面をステンレスでコーティングしたものを使用した。測定は、25±0.5℃で行い、0.5mlの試料を反応セルに流した後、15分間静置し、水晶振動子表面に付着する異物の量をモニターした。15分の経過後、蒸留水を反応セルに流し3分間洗浄する作業を2回繰り返し、2回洗浄後の付着量を測定値とした。図3に測定の一例を示す。尚、振動数変化(Δf)、及び消散値(ΔD)は周波数25MHzの測定値を用いた。結果を表1に示す。
Figure 0004772563
実施例1〜4のなかでも、実施例2に示した工程については特に、デポジットによる器具汚れ等が問題となっていることが知られていた。Δfは、先に述べた通り、異物の沈積度合(付着量)を示すが、実施例2におけるΔfは、実施例1、3、4より明らかに大きいことがわかる。このことより、該装置を使用することにより、実工程のピッチによるトラブルを予測することが可能と考えられる。また、付着物の粘弾性を示すD/fを計算すると、実施例2で一番大きいことからも柔らかい物質の存在比が高い、即ち粘着異物やピッチ成分が多いと推測される。
[実施例5〜6]
測定試料は、古紙再生工程の浮選分離装置(F/T)前後の原料を500メッシュ篩にてろ過した濾液を使用した。測定方法は、水晶振動子の表面をポリスチレンでコーティングした水晶振動子を使用した以外は実施例1と同様の条件で実施した。
[実施例7〜8]
測定試料にピッチコントロール剤を加えた以外は実施例5と同様に行った。
[比較例1〜2]
測定試料は、実施例5と同様のものを使用した。ただし、本比較例においては、500メッシュの篩にてろ過した濾液を使用したわけではなく、所謂ホールパルプを使用した。測定方法は、試料をpH2に調整した後、トルエンを加え5分間浸透抽出し、抽出後トルエン層を蒸発乾固しその後絶乾重量を測定した。その後、以下の式より抽出物量を算出した。
抽出量(%)=トルエン抽出重量/固形分重量
[比較例3〜4]
測定試料にピッチコントロール剤を加えた以外は比較例1と同様に行った。
実施例5〜8、比較例1〜4の結果を結果を表2に示す。尚、表中カット率(%)については、実施例5〜8についてはΔfから前記Sauerbreyの式を用いて算出した、ウェットマス重量の増減より求め、比較例1〜4では抽出物量の増減より算出した。
Figure 0004772563
表2に示されるように、実施例5と6、及び実施例7と8のΔfを比較すると、F/T前後で減少していた。これは、F/Tにより、いわゆる粘着異物が除去されていることを、確実に測定できていることを示している。一方、比較例1と2、及び比較例3と4の抽出物量を比較すると、F/T後で抽出物量が減少してはいるが、その差は小さい。これは、比較例の方法では粘着異物以外のトルエン抽出量も測定範囲となるため、粘着異物減少量がその他の抽出物量に影響されているためと考えられる。そのため、薬品効果を確認した、実施例5と6、及び実施例7と8でのカット率の差は20%程度あるのに対して、比較例1と2、及び比較例3と4の差は6%程度しかない。また、付着物の粘弾性を示すD/Fを計算すると、実施例5と6ではほとんど差がないのに対して、実施例8は実施例7に比べて大きく減少している。これは、薬品を添加したことで、微細粘着異物が効率的に除去されたことを示していると考えられる。
[実施例9]
測定試料として、実機再生パルプ完成原料を使用した以外は、実施例5と同様に実施した。
[実施例10]
測定試料として、実機再生パルプ完成原料を特願2005−101845号公報に示されているキャビテーション噴流装置により処理した試料を使用した以外は、実施例5と同様に実施した。
[比較例5]
表面をステンレスでコーティングした水晶振動子を使用した以外は、実施例9と同様に実施した。
[比較例6]
表面をステンレスでコーティングした水晶振動子を使用した以外は、実施例10と同様に実施した。
実施例9〜10、比較例5〜6の結果を表3に示す。
Figure 0004772563
キャビテーション噴流処理を行った実施例10は、処理を行っていない実施例9と比較して、大幅にΔfが減少した。すなわち、キャビテーションにより発生したヒドロキシラジカルにより、ピッチ表面が親水化されたことにより、水晶振動子への沈積度合が減少したと考えられた。一方、比較例5、6ではその差が明確に現れなかった。このように、水晶振動子表面を適切な物質により、コーティングすることで、測定の信頼性が向上することを確認した。
[実施例11]
図2に示すオンライン装置にて10時間強の測定行ったこと、原料としてコーエイ工業(株)製ろ液採取装置(商品名:REX−100S−ST)を用いて連続的にろ過したろ液を使用したこと以外は、実施例1と同様に実施した。結果を図4に示した。時間の経過と共にΔfは減少傾向をとり、水晶振動子表面に異物が沈積していく様子が伺えた。沈積速度は、測定初期に高く、その後緩やかになった。また、測定開始から8時間を越えたところでΔfに変動が見られるが、これは、水による洗浄及び再測定という操作を挟んだことによる。このように、オンライン測定が可能であると共に沈積度合を確かめることが可能であることを確認した。
オンライン搾水装置を組み込んだ本発明のオンライン測定フローである。 オンライン搾水装置を組み込み、4チャンネル分子間相互作用解析装置による本発明のオンライン測定フローである。 本発明によるΔfとΔDの測定値を示すグラフである。 本発明により、連続8時間測定を行ったΔfとΔDの測定値を示すグラフである。

Claims (5)

  1. パルプ及び紙の製造工程において、固体の表面自由エネルギーが30〜40mJ/mであるポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂で表面をコーティングした水晶振動子を有する微量天秤を用いて、疎水性有機物である粘着異物またはピッチの沈積度合を測定する方法。
  2. パルプ及び紙の製造工程が、パルプの長繊維分の含有率が全固形分に対して50重量%以下である工程用水を処理する工程である、請求項1に記載の測定方法。
  3. 水晶振動子を有する微量天秤が、異物が水晶振動子表面に付着することによる振動数変化(Δf)及び消散値(ΔD)を測定できる、請求項1または2に記載の測定方法。
  4. オンラインにて測定する、請求項1〜のいずれかに記載の測定方法。
  5. オンライン搾水装置を用いて濾液を採取し、その濾液を用いてオンラインにて測定する、請求項1〜のいずれかに記載の測定方法。
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