JP4772515B2 - 光学補償用塗工膜及び光学素子 - Google Patents

光学補償用塗工膜及び光学素子 Download PDF

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Description

本発明は、液晶セル等による位相差の光学補償を行うための光学補償用塗工膜、該塗工膜形成に好適な光学補償用塗工膜形成用塗工液、該光学補償用塗工膜の形成方法に関するものである。さらにはそれらを用いて製造した光学素子並びに光学素子の製造方法に関するものである。さらには光学補償フィルム(位相差フィルム)、並びに光学補償フィルムを備えた偏光板及び液晶表示装置に関するものである。
液晶表示装置には液晶セル、偏光板、その他液晶表示装置構成フィルム等の複屈折による位相差を補償して視野角の拡大を図るため、光学補償用の位相差フィルムが使用されている。このような位相差フィルムとして、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン等のポリマーを溶液流延法、溶液流延後乾燥品の一軸延伸法、溶液流延後乾燥品の二軸延伸法、押出法、押出品の一軸延伸法、押出品の二軸延伸法、カレンダー法等によりフィルム化したものが挙げられる(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。このような位相差フィルムは、適用される液晶セルや偏光板、その他液晶表示装置構成フィルム等に合わせて、ポリカーボネートのような正の固有複屈折値を有する材料からなるフィルムや、ポリスチレンのような負の固有複屈折値を有する材料からなるフィルムが1枚から数枚、各々使い分けられ使用されている。これらのフィルムを用いるためには、まず、フィルム形成のために煩雑なフィルム化工程が必要であり、また、これらのフィルムを液晶表示装置構成部品に貼り付ける等の手間も要する。
これらの問題を解消するために、n<n=nの光学特性を有するポリイミドのペースト塗布による薄膜形成により位相差層の形成が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。一方、n>n≧nの光学特性をもつもの、換言すれば、〔(n+n)/2−n〕×dとして表される厚み位相差の値が負になるものについては、n>n=nの光学特性を有する化合物の塗布が提案されている。これは、光異性化しうる官能基を有する高分子化合物の溶液を塗布、乾燥後、光を照射して高分子の配向を制御するもの又は、液晶ポリマーの溶液あるいは液晶ポリマーの溶融物を塗布、乾燥後、ポリマーのガラス転移温度で熱処理して液晶を配向させ、冷却することにより配向を固定化するものである(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、ポリイミドのペースト塗布による位相差層形成に比べ、光異性化しうる官能基を有する高分子化合物を用いる場合は光照射をしなければならないという煩雑さがあり、液晶ポリマーを用いる場合は一般に液晶が高価であり、コスト高になるという欠点がある。
ところで、液晶セルや偏光板、その他液晶表示装置構成フィルム等の複屈折による大きな厚み方向の位相差を補償するためには、その厚み方向の位相差の符号と逆であり、〔(n+n)/2−n〕×dで表される厚み位相差の絶対値が大きな光学補償用材料を用いることが有効である。そして、そのためには、(n+n)/2−nで表される値の絶対値が大きくなる材料を、大きくなる形成方法で形成することが特に有効である。なぜなら、(n+n)/2−nで表される値の絶対値が十分でなく膜厚を大きくする必要がある場合には、塗工膜形成後の液晶表示装置構成部品が嵩張るだけでなく、塗工膜の材料コストが増大する等の問題が生じるからである。
特開平3−33719号公報 特開平11−248939号公報 特開2001−290023号公報 特開平7−13022号公報
本発明の目的は、煩雑なフィルム化工程を必要とせずに光学補償用塗工膜を安価に提供することである。さらには、〔(n+n)/2−n〕×d<0の特性をもつ光学補償用塗工膜を安価に提供し、フィルム貼り付け等の手間を必要とせずにその特性を有する光学素子を提供することである。
さらに、セルロース N−置換カーバメートを含有し、(n+n)/2−nで表される値が負であり、その絶対値がより大きな光学補償用塗工膜の形成方法を提供し、その形成方法を用いて製造した光学素子を提供することである。
このような課題を解決するために本発明者らは鋭意研究の結果、セルロース N−置換カーバメートを含有して形成されることを特徴とする光学補償用塗工膜により上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、セルロース N−置換カーバメートを含有して形成されることを特徴とする光学補償用塗工膜に関する。
好ましい実施態様としては、セルロース N−置換カーバメートを含有して形成され、面内の屈折率のうち最大のものをn、最小のものをnとし、厚み方向の屈折率をn、膜厚をdとした時に、〔(n+n)/2−n〕×d<0の関係を満たすことを特徴とする光学補償用塗工膜に関する。
好ましい実施態様としては、前記セルロース N−置換カーバメートが、セルロースの水酸基の少なくとも一つがN−置換カーバメート化されており、かつ、セルロースカーバメートの窒素原子に結合した水素原子の少なくとも一つが下記一般式(1)〜(3)から選ばれる基で置換されており、かつ、複数のN−置換基は同一又は異なって、下記一般式(1)〜(3)から選ばれる基である化合物であることを特徴とする光学補償用塗工膜に関する。
Figure 0004772515
(式中R、R、R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素数1〜21のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。)
Figure 0004772515
(式中R、R、R、R、R10、R11、R12は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜21のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。)
Figure 0004772515
(式中R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜21のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。)
さらに本発明は、下記(A)、(B)を含有して形成される光学補償用塗工膜形成用塗工液に関する。
(A)請求項1乃至請求項3記載のセルロース N−置換カーバメート
(B)(A)成分が溶解可溶な溶媒。
さらに本発明は、上記記載の塗工液を基板に塗工し塗工基板とした後、該塗工基板を乾燥することを特徴とする光学補償用塗工膜の形成方法に関する。
好ましい実施態様としては、該塗工基板を下限0℃、上限40℃の範囲の温度で1次乾燥した後、更に、該塗工基板を下限80℃、上限300℃で2次乾燥することを特徴とする光学補償用塗工膜の形成方法に関する。
さらに本発明は、塗工液を基板に塗工し塗工基板とした後、(B)成分の蒸気にさらして塗工膜をアニーリングし、更に乾燥することを特徴とする光学補償用塗工膜の形成方法に関する。
さらに本発明は、上記の形成方法を用いたことを特徴とする光学素子の製造方法に関する。
さらに本発明は、上記の製造方法を用いて製造したことを特徴とする光学素子に関する。
さらに本発明は、上記の形成方法を用いて製造したことを特徴とする光学補償フィルムに関する。
さらに本発明は、偏光子の少なくとも片面に光学補償フィルムを偏光子保護フィルムとして装着したことを特徴とする偏光板に関する。
さらに本発明は、光学補償フィルムを備えた液晶表示装置に関する。
さらに本発明は、光学補償フィルムを装着した偏光板を備えた液晶表示装置に関する。
本発明の光学補償用塗工膜を用いると、煩雑なフィルム化工程やフィルム貼り付け等の手間を必要とせずに光学素子が製造でき、特に〔(n+n)/2−n〕×d<0の光学補償層を有する光学素子が製造できる。さらに、本発明の光学補償用塗工膜の形成方法を用いると、(n+n)/2−nで表される値が負であり、その絶対値がより大きなセルロース N−置換カーバメートを含有する光学補償用塗工膜が形成でき、より薄膜化された光学素子が製造できることから、工業的に極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、セルロース N−置換カーバメートを含有して形成されることを特徴とする光学補償用塗工膜である。
本発明の前記セルロース N−置換カーバメートは、セルロースの水酸基の少なくとも一つがN−置換カーバメート化されており、かつ、セルロースカーバメートの窒素原子に結合した水素原子の少なくとも一つが下記一般式(1)〜(3)から選ばれる基で置換されており、かつ、複数のN−置換基は同一又は異なって、下記一般式(1)〜(3)から選ばれる基である化合物であることを特徴とする光学補償用塗工膜である。
Figure 0004772515
(式中R、R、R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素数1〜21のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。)
Figure 0004772515
(式中R、R、R、R、R10、R11、R12は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜21のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。)
Figure 0004772515
(式中R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜21のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。)
本発明における、セルロース N−置換カーバメートは(以下(A)成分と言うことがある)、例えば、各種木材パルプ、綿リンター、綿リント等から得られるセルロースを原料とし、ピリジン、トリエチルアミン等の塩基触媒存在下でイソシアネート系化合物を反応させる既知の方法により製造することができる。尚、前記塩基触媒は溶媒としても使用することができる。その他の溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒を好適に用いることができる。更に、セルロースの溶媒に対する溶解性を向上させるために塩化リチウム等の無機塩を添加することもできる。また、このようなイソシアネート系化合物の例としては、下記一般式(4)〜(6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004772515
(式中R20、R21、R22、R23、R24は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素数1〜21のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。)
Figure 0004772515
(式中R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜21のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。)
Figure 0004772515
(式中R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜21のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。)
これらのイソシアネート系化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明では、上記イソシアネート系化合物の入手性の観点から、R20、R21、R22、R23、R24が、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、炭素数1〜16のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のアリールオキシ基、炭素数7〜16のアラルキル基、炭素数7〜16のアラルキルオキシ基、炭素数1〜17のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基である、一般式(4)で表されるイソシアネート系化合物を反応させ、前記セルロースの水酸基の少なくとも一つがN−置換カーバメート化されたセルロース N−置換カーバメートを用いることが好ましい。又はR25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38が、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、炭素数1〜16のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜17のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基である、一般式(5)、(6)で表されるイソシアネート系化合物を反応させ、前記セルロースの水酸基の少なくとも一つがN−置換カーバメート化されたセルロース N−置換カーバメートを用いることが好ましい。R20、R21、R22、R23、R24が、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数7〜12のアラルキルオキシ基、炭素数1〜13のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基である、一般式(4)で表されるイソシアネート系化合物を反応させ、前記セルロースの水酸基の少なくとも一つがN−置換カーバメート化されたセルロース N−置換カーバメートを用いることがより好ましい。又はR25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38が、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜13のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基である、一般式(5)、(6)で表されるイソシアネート系化合物を反応させ、前記セルロースの水酸基の少なくとも一つがN−置換カーバメート化されたセルロース N−置換カーバメートを用いることがより好ましい。
一般式(4)〜(6)で表されるイソシアネート系化合物を具体的に例示すると、フェニルイソシアネート、o−トリルイソシアネート、m−トリルイソシアネート、p−トリルイソシアネート、2−エチルフェニルイソシアネート、3−エチルフェニルイソシアネート、4−エチルフェニルイソシアネート、2−プロピルフェニルイソシアネート、3−プロピルフェニルイソシアネート、4−プロピルフェニルイソシアネート、2−ブチルフェニルイソシアネート、3−ブチルフェニルイソシアネート、4−ブチルフェニルイソシアネート、2,3−ジメチルフェニルイソシアネート、2,4−ジメチルフェニルイソシアネート、2,5−ジメチルフェニルイソシアネート、2,6−ジメチルフェニルイソシアネート、3,4−ジメチルフェニルイソシアネート、3,5−ジメチルフェニルイソシアネート、2,3−ジエチルフェニルイソシアネート、2,4−ジエチルフェニルイソシアネート、2,5−ジエチルフェニルイソシアネート、2,6−ジエチルフェニルイソシアネート、3,4−ジエチルフェニルイソシアネート、3,5−ジエチルフェニルイソシアネート、2,4,6−トリメチルフェニルイソシアネート、2−メトキシフェニルイソシアネート、3−メトキシフェニルイソシアネート、4−メトキシフェニルイソシアネート、2−エトキシフェニルイソシアネート、3−エトキシフェニルイソシアネート、4−エトキシフェニルイソシアネート、2−(フルオロメチル)フェニルイソシアネート、3−(フルオロメチル)フェニルイソシアネート、4−(フルオロメチル)フェニルイソシアネート、2−(クロロメチル)フェニルイソシアネート、3−(クロロメチル)フェニルイソシアネート、4−(クロロメチル)フェニルイソシアネート、2−(ブロモメチル)フェニルイソシアネート、3−(ブロモメチル)フェニルイソシアネート、4−(ブロモメチル)フェニルイソシアネート、2−(ヨードメチル)フェニルイソシアネート、3−(ヨードメチル)フェニルイソシアネート、4−(ヨードメチル)フェニルイソシアネート、2−(ジフルオロメチル)フェニルイソシアネート、3−(ジフルオロメチル)フェニルイソシアネート、4−(ジフルオロメチル)フェニルイソシアネート、2−(ジクロロメチル)フェニルイソシアネート、3−(ジクロロメチル)フェニルイソシアネート、4−(ジクロロメチル)フェニルイソシアネート、2−(ジブロモメチル)フェニルイソシアネート、3−(ジブロモメチル)フェニルイソシアネート、4−(ジブロモメチル)フェニルイソシアネート、2−(ジヨードメチル)フェニルイソシアネート、3−(ジヨードメチル)フェニルイソシアネート、4−(ジヨードメチル)フェニルイソシアネート、2−(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、3−(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、4−(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、2−(トリクロロメチル)フェニルイソシアネート、3−(トリクロロメチル)フェニルイソシアネート、4−(トリクロロメチル)フェニルイソシアネート、2−(トリブロモメチル)フェニルイソシアネート、3−(トリブロモメチル)フェニルイソシアネート、4−(トリブロモメチル)フェニルイソシアネート、2−(トリヨードメチル)フェニルイソシアネート、3−(トリヨードメチル)フェニルイソシアネート、4−(トリヨードメチル)フェニルイソシアネート、2−ビフェニリルイソシアネート、3−ビフェニリルイソシアネート、4−ビフェニリルイソシアネート、2−フェノキシフェニルイソシアネート、3−フェノキシフェニルイソシアネート、4−フェノキシフェニルイソシアネート、2’−ベンジルフェニルイソシアネート、3’−ベンジルフェニルイソシアネート、4’−ベンジルフェニルイソシアネート、2−ベンジルオキシフェニルイソシアネート、3−ベンジルオキシフェニルイソシアネート、4−ベンジルオキシフェニルイソシアネート、2−アセトキシフェニルイソシアネート、3−アセトキシフェニルイソシアネート、4−アセトキシフェニルイソシアネート、2−フルオロフェニルイソシアネート、3−フルオロフェニルイソシアネート、4−フルオロフェニルイソシアネート、2−クロロフェニルイソシアネート、3−クロロフェニルイソシアネート、4−クロロフェニルイソシアネート、2−ブロモフェニルイソシアネート、3−ブロモフェニルイソシアネート、4−ブロモフェニルイソシアネート、2−ヨードフェニルイソシアネート、3−ヨードフェニルイソシアネート、4−ヨードフェニルイソシアネート、2,4−ジフルオロフェニルイソシアネート、2,5−ジフルオロフェニルイソシアネート、2,6−ジフルオロフェニルイソシアネート、3,4−ジフルオロフェニルイソシアネート、3,5−ジフルオロフェニルイソシアネート、2,4−ジクロロフェニルイソシアネート、2,5−ジクロロフェニルイソシアネート、2,6−ジクロロフェニルイソシアネート、3,4−ジクロロフェニルイソシアネート、3,5−ジクロロフェニルイソシアネート、2,4−ジブロモフェニルイソシアネート、2,5−ジブロモフェニルイソシアネート、2,6−ジブロモフェニルイソシアネート、3,4−ジブロモフェニルイソシアネート、3,5−ジブロモフェニルイソシアネート、2,4−ジヨードフェニルイソシアネート、2,5−ジヨードフェニルイソシアネート、2,6−ジヨードフェニルイソシアネート、3,4−ジヨードフェニルイソシアネート、3,5−ジヨードフェニルイソシアネート、2,3,4−トリフルオロフェニルイソシアネート、2,3,4−トリクロロフェニルイソシアネート、2,3,4−トリブロモフェニルイソシアネート、2,3,4−トリヨードフェニルイソシアネート、2−フルオロ−5−メチルフェニルイソシアネート、2−フルオロ−6−メチルフェニルイソシアネート、3−フルオロ−2−メチルフェニルイソシアネート、3−フルオロ−4−メチルフェニルイソシアネート、4−フルオロ−2−メチルフェニルイソシアネート、4−フルオロ−3−メチルフェニルイソシアネート、5−フルオロ−2−メチルフェニルイソシアネート、2−クロロ−5−メチルフェニルイソシアネート、2−クロロ−6−メチルフェニルイソシアネート、3−クロロ−2−メチルフェニルイソシアネート、3−クロロ−4−メチルフェニルイソシアネート、4−クロロ−2−メチルフェニルイソシアネート、4−クロロ−3−メチルフェニルイソシアネート、5−クロロ−2−メチルフェニルイソシアネート、2−ブロモ−5−メチルフェニルイソシアネート、2−ブロモ−6−メチルフェニルイソシアネート、3−ブロモ−2−メチルフェニルイソシアネート、3−ブロモ−4−メチルフェニルイソシアネート、4−ブロモ−2−メチルフェニルイソシアネート、4−ブロモ−3−メチルフェニルイソシアネート、5−ブロモ−2−メチルフェニルイソシアネート、2−ヨード−5−メチルフェニルイソシアネート、2−ヨード−6−メチルフェニルイソシアネート、3−ヨード−2−メチルフェニルイソシアネート、3−ヨード−4−メチルフェニルイソシアネート、4−ヨード−2−メチルフェニルイソシアネート、4−ヨード−3−メチルフェニルイソシアネート、5−ヨード−2−メチルフェニルイソシアネート、2−ニトロフェニルイソシアネート、3−ニトロフェニルイソシアネート、4−ニトロフェニルイソシアネート、1−ナフチルイソシアネート、2−ナフチルイソシアネート、1−メチル−2−ナフチルイソシアネート、2−メチル−1−ナフチルイソシアネート、1−メトキシ−2−ナフチルイソシアネート、2−メトキシ−1−ナフチルイソシアネート、1−(トリフルオロメチル)−2−ナフチルイソシアネート、2−(トリフルオロメチル)−1−ナフチルイソシアネート、1−(トリクロロメチル)−2−ナフチルイソシアネート、2−(トリクロロメチル)−1−ナフチルイソシアネート、1−(トリブロモメチル)−2−ナフチルイソシアネート、2−(トリブロモメチル)−1−ナフチルイソシアネート、1−(トリヨードメチル)−2−ナフチルイソシアネート、2−(トリヨードメチル)−1−ナフチルイソシアネート、1−アセトキシ−2−ナフチルイソシアネート、2−アセトキシ−1−ナフチルイソシアネート、1−フルオロ−2−ナフチルイソシアネート、2−フルオロ−1−ナフチルイソシアネート、1−クロロ−2−ナフチルイソシアネート、2−クロロ−1−ナフチルイソシアネート、1−ブロモ−2−ナフチルイソシアネート、2−ブロモ−1−ナフチルイソシアネート、1−ヨード−2−ナフチルイソシアネート、2−ヨード−1−ナフチルイソシアネート、1−ニトロ−2−ナフチルイソシアネート、2−ニトロ−1−ナフチルイソシアネート等が挙げられる。これら及び前記イソシアネート系化合物を反応して得られるセルロース N−置換カーバメートは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、セルロースはその構成単位であるグルコース残基当たり3個の水酸基を有している。従って、これらの水酸基を置換する場合に、グルコース残基当たりの置換度(以下、DSと称する)は最大3になる。本発明においては、DSの下限は好ましくは0.1、より好ましくは0.5、さらに好ましくは1であり、上限は好ましくは3、より好ましくは2.95、さらに好ましくは2.9である。DSが0.1より低いと溶媒に溶け難くなる傾向がある。本発明では、DSが異なるセルロース N−置換カーバメートの2種以上を併用してもよく、単独で使用してもよい。
さらに、(A)成分の数平均分子量の下限は好ましくは5000、より好ましくは8000、さらに好ましくは10000であり、上限は好ましくは500000、より好ましくは300000、さらに好ましくは200000である。数平均分子量が5000より小さいと塗工膜強度が低下する傾向があり、数平均分子量が500000より大きいと溶媒(以下(B)成分と言うことがある)に溶け難くなる傾向がある。なお、当該数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値である。本発明では、数平均分子量が異なるセルロース N−置換カーバメートの2種以上を併用してもよく、単独で使用してもよい。
以下、光学補償用塗工膜形成用塗工液(以下、単に塗工液と言うことがある)について説明する。塗工液は、(A)前記セルロース N−置換カーバメート、(B)(A)成分が溶解可溶な溶媒、を含有してなる。
(B)成分の溶媒としては、(A)成分が可溶であれば特に限定されるものではないが、具体的な例としては、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジエチルベンゼンの異性体混合物等の炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;エチルエーテル、イソプロピルエーテル、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1,1−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、2,2−ジクロロプロパン、1,2,3−トリクロロプロパン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン等のアミド系溶媒;ピロリジン、ピペリジン、ピロール等のアミン系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明では、溶媒量は、(A)成分と(B)成分の総重量に対する(A)成分の割合が下限1重量%、上限70重量%の範囲で用いるのが好ましく、下限2重量%、上限60重量%の範囲で用いるのがより好ましく、下限3重量%、上限50重量%の範囲で用いるのがさらに好ましい。(A)成分の割合が1重量%より小さい場合は塗工膜厚が薄くなり、必要な膜厚が得られ難くなる傾向があり、70重量%より大きい場合は塗工液の粘度が高くなり、作業性が劣る傾向がある。
次に、本発明の塗工膜の特性を改質する目的で添加することが可能な樹脂について説明する。当該添加することが可能な樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等が例示されるが、これらは本発明の目的及び効果を損なわない範囲において添加することができる。
次に、本発明の塗工膜、塗工液の特性を改質する目的で加えることが可能な添加剤について説明する。添加剤としては、酸化防止剤(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製IRGANOX 1010、IRGANOX 1135、IRGANOX 1330等のヒンダードフェノール類)、加工安定剤(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製HP−136、IRGANOX E201、IRGAFOS 168等)、光安定剤(例えば、三共ライフテック製サノールLS−765、サノールLS−770等のヒンダードアミン類)、紫外線吸収剤(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製TINUVIN P、TINUVIN 213、TINUVIN 326等のベンゾトリアゾール類)、接着性改良剤(例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤)、シラノール縮合触媒(例えば、川研ファインケミカル製アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミキレートM等のアルミニウムキレート類)、可塑剤(例えば、ジ2−エチルヘキシルフタレート、ジイソブチルアジペート等のエステル類)、界面活性剤(例えば、住友スリーエム製Fluorad FC−430、Fluorad FC−4430等のフッ素系化合物)、帯電防止剤(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製IRGASTAT P18、IRGASTAT P22等)等が挙げられ、これらは本発明の目的及び効果を損なわない範囲において添加することができる。
本発明の塗工液は、例えば上記各成分を溶媒の融点以上、沸点以下の温度で、混合後静置又は攪拌混合等することにより得られる。
次に、光学素子用の基板について説明する。基板としては、各種のものが使用可能であるが、特に用途から考えると透明であることが好ましい。基板に使用される具体的な化合物の例としては、ビスフェノールAと塩化カルボニルより重縮合して製造されたポリカーボネート系重合体;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリアクリル酸エステル;アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコールとの縮合又はラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体;ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)等のスチレン系重合体;アクリル酸エステルとスチレンとの共重合体;ポリエチレン、ポリノルボルネン、ポリイソプレンの水素添加物、ポリブタジエンの水素添加物等のポリオレフィン系重合体;トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリビニルアルコール;塩化ビニル;ポリエーテルスルホン;エポキシ樹脂;シリコーン樹脂;国際公開第01/37007号パンフレットに記載される化合物等が挙げられる。基板としては、これらのポリマーを溶液流延法、溶液流延後乾燥品の一軸延伸法、溶液流延後乾燥品の二軸延伸法、押出法、押出品の一軸延伸法、押出品の二軸延伸法、カレンダー法等によりフィルム化したもの、これらのフィルムを保護フィルムとして偏光子に貼り付けた偏光板、ガラス板、カラーフィルター、液晶セル等が挙げられる。これらの基板は、光学補償用塗工膜形成時の基板としても用いることができる。
次に、本発明の光学補償用塗工膜の形成方法について説明する。光学補償用塗工膜は、前記基板の片面又は両面に本発明の塗工液を塗工して塗工基板とした後、この塗工基板を乾燥することにより基板上に好適に作製できる。塗工方法としては、グラビヤロールコート法、マイヤーバーコート法、ドクターブレードコート法、リバースロールコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カレンダーコート法、スキーズコート法、キスコート法、バーコート法、スロットダイコート法、スピンコート法等が挙げられる。
乾燥方法としては、前記塗工基板を、例えば空気中又は窒素等の不活性ガス中に放置(風乾)する方法、熱風オーブン、赤外線加熱炉等で加熱乾燥する方法、真空乾燥機等で減圧乾燥する方法等により、あるいはこれらを組み合わせて行うことができる。
乾燥温度条件としては、定温、多段階昇温のいずれも用いることができる。定温の場合、下限−30℃、上限300℃の温度範囲が好ましく、下限0℃、上限280℃がより好ましく、下限10℃、上限260℃がさらに好ましい。乾燥温度が−30℃より低いと乾燥時間が長くなる傾向があり、300℃より高いと塗工膜や基板の熱劣化が生じ易くなる傾向がある。このような定温乾燥を用いることができるが、効果的に乾燥させるためには多段階に温度を上げることが好ましく、経済的観点から1次乾燥、2次乾燥の2段乾燥が特に好ましい。
1次乾燥においては、下限0℃、上限40℃の温度範囲が好ましく、下限5℃、上限35℃がより好ましく、下限10℃、上限30℃がさらに好ましい。1次乾燥は、(n+n)/2−nで表される値の絶対値をより大きくするために必要な塗工膜内部構造の基礎形成に必要である。1次乾燥温度が0℃より低いと塗工膜内部構造の基礎形成に必要な乾燥時間が長くなる傾向があり、40℃より高いと、(n+n)/2−nで表される値の絶対値をより大きくするために必要な塗工膜内部構造の基礎形成がされ難くなる傾向がある。
2次乾燥においては、下限80℃、上限300℃の温度範囲が好ましく、下限90℃、上限280℃がより好ましく、下限100℃、上限260℃がさらに好ましい。2次乾燥は、(n+n)/2−nで表される値の絶対値をより大きくするために必要な塗工膜内部構造の確立に必要である。2次乾燥温度が80℃より低いと塗工膜内部構造の確立が不十分になる傾向があり、300℃より高いと塗工膜や基板の熱劣化が生じ易くなる傾向がある。尚、(n+n)/2−nで表される値の絶対値が十分に大きい時、確立された塗工膜内部構造は透過型電子顕微鏡(TEM)等で塗工膜断面から観察することができる。
さらに本発明は、塗工液を基板に塗工し塗工基板とした後、(B)成分の蒸気にさらして塗工膜をアニーリングし、更に乾燥することにより光学補償用塗工膜の形成方法とすることもできる。
アニーリングは塗工膜のレベリング性向上、応力緩和等のために行うことが好ましく、例えば面内位相差の低減、面内位相差の振れの低減等に有効である。本発明では、アニーリングは、(B)成分の蒸気中に塗工基板の塗工膜を上にして水平に静置して行うことが好ましい。アニーリング時の温度は種々設定できるが、下限−30℃、上限〔(B)成分の沸点(℃)〕の範囲が好ましく、下限−15℃、上限〔(B)成分の沸点(℃)−5℃〕がより好ましく、下限0℃、上限〔(B)成分の沸点(℃)−10℃〕がさらに好ましい。アニーリング時の温度が−30℃より低いとアニーリング時間が長くなる傾向があり、アニーリング時の温度が(B)成分の沸点(℃)より高いと塗工膜の基板からの流れ出しが生じ易くなる傾向がある。アニーリング時の圧力は種々設定でき、大気圧、加圧下、又は減圧下で行うことができるが、作業性の点で大気圧が好ましい。
次に、本発明の光学素子の製造方法について説明する。ここでいう光学素子は、基板と該基板上に塗工された光学補償用塗工膜からなる。また該光学補償用塗工膜を該基板から一旦引き剥がした後、光学用に使用する素子も含む。
光学素子は、前記基板の片面又は両面に本発明の塗工液を前記光学補償用塗工膜の形成方法で説明した塗工方法を用いて塗工後、乾燥、又は同光学補償用塗工膜の形成方法で説明した塗工方法を用いて塗工後、アニーリング、乾燥することにより好適に製造できる。
乾燥は、同光学補償用塗工膜の形成方法で説明した乾燥方法、乾燥温度を用いることにより好適に行うことができる。
本発明の光学補償用塗工膜は、面内の屈折率のうち最大のものをn、最小のものをnとし、厚み方向の屈折率をn、膜厚をdとした時に、〔(n+n)/2−n〕×d<0の特性をもつことが好ましい。特に、前記セルロース N−置換カーバメートを(B)成分として例示した溶媒等に溶解した溶液を用い、溶液キャスト法で製膜した未延伸膜において〔(n+n)/2−n〕×d<0の関係を満たすセルロース N−置換カーバメートを含有して形成した光学補償用塗工膜により前記特性が得られることが好ましい。光学補償用塗工膜の厚みをd(nm)とすると、面内位相差は、(n−n)×dで表され、厚み位相差は、〔(n+n)/2−n〕×dで表されるが、面内位相差は590nm光による測定において、下限0nm、上限300nmが好ましく、下限0nm、上限200nmがより好ましく、下限0nm、上限100nmがさらに好ましい。面内位相差が300nmより大きいと液晶セル等の複屈折による位相差の補償が困難になる傾向がある。また、厚み位相差は590nm光による測定において、下限−1000nm、上限−1nmが好ましく、下限−800nm、上限−10nmがより好ましく、下限−600nm、上限−20nmがさらに好ましい。厚み位相差が−1000nmより小さいと液晶セル等の複屈折による位相差の補償が困難になる傾向がある。
次に、本発明の光学補償フィルム(位相差フィルム)について説明する。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、前記光学素子用の基板として例示したもののなかでフィルム化したものを使用し、前記光学補償用塗工膜の形成方法を用いて光学補償層を形成することにより好適に作製できる。
次に、本発明の偏光板について説明する。偏光板としては、例えば、偏光子の両面にポリエステル系接着剤、ポリアクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シアノアクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤等の接着剤を用いて保護フィルムを貼り合わせたもの等が挙げられる。偏光子の例としては、親水性高分子フィルムにヨウ素及び/又は二色性染料を吸着配向して作製した偏光子、ポリビニルアルコール系フィルムを脱水処理してポリエンを形成させ、配向して作製した偏光子、ポリ塩化ビニルフィルムを脱塩酸処理してポリエンを形成させ、配向して作製したものが挙げられる。偏光子に使用される親水性高分子フィルムとしては、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物フィルム等が挙げられる。保護フィルムとしては、前記光学素子用の基板として例示したもののなかでフィルム化したもの、本発明の光学補償フィルム(位相差フィルム)等が挙げられるが、前記光学素子用の基板のなかでフィルム化したものを偏光子の両面に貼り合わせた場合は偏光板作製後、前記光学補償用塗工膜の形成方法を用いて偏光板の少なくとも片面に本発明の光学補償用塗工膜を設けることにより、本発明の偏光板とすることができる。本発明の光学補償フィルム(位相差フィルム)を保護フィルムとして使用する場合は、偏光子の両面に用いることもできるし、片面に本発明の光学補償フィルム(位相差フィルム)を使用し、反対の面に前記光学素子用の基板のなかでフィルム化したものを用いることもできる。また、片面に本発明の光学補償フィルム(位相差フィルム)を使用し、反対の面に前記光学素子用の基板のなかでフィルム化したものを用いた偏光板を作製後、片面又は両面に新たに本発明の光学補償用塗工膜を設けることもできる。
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。液晶表示装置としては、例えば、光源/導光板/光拡散フィルム/レンズフィルム/輝度向上フィルム/偏光板/液晶セル/偏光板の順に構成された表示装置等が挙げられるが、液晶セルの入射光側及び/又は出射光側に本発明の光学補償フィルム(位相差フィルム)を装着すること及び/又は液晶セルの入射光側及び/又は出射光側の偏光板に本発明の偏光板を装着することにより本発明の液晶表示装置とすることができる。液晶セルの方式としては、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In−Plane Switching)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式等挙げられる。
なお、本発明の光学補償用塗工膜、該光学補償用塗工膜形成用塗工液、それらを用いて製造した光学素子および光学補償フィルム(位相差フィルム)は、VA方式、IPS方式、OCB方式等の液晶セルを用いた液晶表示装置の視野角拡大用途に使用できる。本発明における光学補償用塗工膜の光学特性の性能を十分に発揮するためには、IPS方式が特に好ましい。また、前記光学補償用塗工膜、該塗工膜形成用塗工液、それらを用いて製造した光学素子および光学補償フィルム(位相差フィルム)は、ビデオ、カメラ、携帯電話、パソコン、テレビ、モニター、自動車のインパネ等の液晶表示装置作製部品等に好適に使用できる。
以下に、本発明をより詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
3次元屈折率(n,n,n)の算出
王子計測機器製自動複屈折計KOBRA−WRを用いて、25℃下で590nm光による測定を行い、3次元屈折率を算出した。得られた結果から、面内位相差を(n−n)×dにより求めた。また、厚み位相差を〔(n+n)/2−n〕×dにより求めた。但し、遅相軸を傾斜中心軸として位相差の測定を行った際、傾斜角の増加とともに位相差が増加した場合は位相差の符号判定を行うために次の方法を併用した。作製した光学素子上にポリカーボネート製λ/4板を重ね合わせ、λ/4板の配向角が0±1度になるように自動複屈折計KOBRA−WRに装着した後、遅相軸を傾斜中心軸とし、25℃下で590nm光による位相差測定を行った。測定結果が、λ/4板単体の位相差より上昇した場合は傾斜角の増加とともに光学素子単体の位相差も正の方向に上昇しているとみなし、λ/4板単体の位相差より低下した場合は傾斜角の増加とともに光学素子単体の位相差も負の方向に低下しているとみなして、先に測定した光学素子単体の位相差に正負の符号を付与し、3次元屈折率を算出した。得られた結果から、面内位相差を(n−n)×dにより求めた。また、厚み位相差を〔(n+n)/2−n〕×dにより求めた。
(合成例1)セルロース N−フェニルカーバメート(1)の合成
冷却管、窒素導入管、攪拌機、温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、60℃で7時間真空乾燥したセルロース(旭化成ケミカルズ製アビセルTG−F20)1.0gを入れ、ピリジン100mlを加えて懸濁液とした後、さらにフェニルイソシアネート(東京化成工業製)7.7gを加えた。窒素を導入し、攪拌しながら110℃に昇温した後、7時間反応させた。その後、25℃まで放冷した後、反応液をエタノール400ml中に滴下して沈殿を生成させた。濾別後、得られたポリマーにアセトン25mlを加えて溶解した後、純水400ml中に滴下して沈殿を生じさせた。濾別後、得られたポリマーを再度、アセトン30mlに溶解し、純水400ml中に滴下して沈殿を生成させた。濾別後水洗し、60℃で4時間真空乾燥することによって、2.5gのセルロース N−フェニルカーバメート(1)を得た(以下、合成品(1)と呼ぶことがある。)。合成品(1)のDSはプロトンNMR分析の結果、3であった。なお、DSは、セルロース骨格由来のプロトンの化学シフト(3.4〜5.5ppm)面積とフェニル基のプロトンの化学シフト(6.7〜7.8ppm)面積を比較することによって決定した。
(合成例2)セルロース N−フェニルカーバメート(2)の合成
冷却管、窒素導入管、攪拌機、温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、60℃で7時間真空乾燥したセルロース(旭化成ケミカルズ製アビセルTG−F20)1.0gを入れ、ピリジン100mlを加えて懸濁液とした後、さらにフェニルイソシアネート(東京化成工業製)7.7gを加えた。窒素を導入し、攪拌しながら110℃に昇温した後、7時間反応させた。その後、25℃まで放冷した後、反応液をエタノール400ml中に滴下して沈殿を生成させた。濾別後、得られたポリマーにアセトン30mlを加えて溶解した後、純水400ml中に滴下して沈殿を生じさせた。濾別後水洗し、60℃で4時間真空乾燥することによって、2.2gのセルロース N−フェニルカーバメート(2)を得た(以下、合成品(2)と呼ぶことがある。)。合成品(2)の置換度DSはプロトンNMR分析の結果、3であった。なお、DSは、セルロース骨格由来のプロトンの化学シフト(3.4〜5.5ppm)面積とフェニル基のプロトンの化学シフト(6.7〜7.8ppm)面積を比較することによって決定した。
(合成例3)セルロース N−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]カーバメート(3)の合成
冷却管、窒素導入管、攪拌機、温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、60℃で7時間真空乾燥したセルロース(旭化成ケミカルズ製アビセルTG−F20)1.0gを入れ、ピリジン100mlを加えて懸濁液とした後、さらに2−(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート(東京化成工業製)8.7gを加えた。窒素を導入し、攪拌しながら110℃に昇温した後、7時間反応させた。その後、25℃まで放冷した後、エタノール200mlを加え、反応液を純水1.5L中に滴下して沈殿を生成させた。濾別後、得られたポリマーにアセトン100mlを加えて溶解した後、純水2L中に滴下して沈殿を生じさせた。濾別後水洗し、60℃で4時間真空乾燥した後、ポリマーをソックスレー抽出器に入れた。メタノールによるソックスレー抽出を20回行った後、25℃で4時間真空乾燥することによって、3.4gのセルロース N−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]カーバメート(3)を得た(以下、合成品(3)と呼ぶことがある。)。合成品(3)のDSはプロトンNMR分析の結果、3であった。なお、DSは、セルロース骨格由来のプロトンの化学シフト(3.5〜5.5ppm)面積と2−(トリフルオロメチル)フェニル基のプロトンの化学シフト(6.9〜7.9ppm)面積を比較することによって決定した。
(実施例1)
合成品(1)0.85gに酢酸ブチル4.15gを加え、25℃下で溶解した。次に、この塗工液をバーコーターを用いて150μm厚のガラス基板(平均屈折率:1.52,面内位相差:0nm,厚み位相差:1nm)に塗工した後、120℃で1分間、空気中で乾燥して光学素子を作製した。乾燥後の塗工膜厚(d(nm))は、光学素子全体の厚みを測定し、ガラス基板の厚みを差し引くことにより求めた。次に、上記によって得られた光学素子の物性測定を行い、結果を表1に示した。
(実施例2)
合成品(1)0.85gにエチルセロソルブアセテート4.15gを加え、25℃下で溶解した。次に、この塗工液をバーコーターを用いて150μm厚のガラス基板(平均屈折率:1.52,面内位相差:0nm,厚み位相差:1nm)に塗工した後、エチルセロソルブアセテートの蒸気が充満したガラス容器に入れ、密閉後、25℃で24時間アニーリングした。その後、塗工基板を取り出し、120℃で1分間、空気中で乾燥して光学素子を作製した。乾燥後の塗工膜厚(d(nm))は、光学素子全体の厚みを測定し、ガラス基板の厚みを差し引くことにより求めた。次に、上記によって得られた光学素子の物性測定を行い、結果を表1に示した。
(実施例3)
合成品(3)1.0gにクロロホルム9.0gを加え、25℃下で溶解した。次に、この塗工液をバーコーターを用いて150μm厚のガラス基板(平均屈折率:1.52,面内位相差:0nm,厚み位相差:1nm)に塗工した後、100℃で1分間、空気中で乾燥して光学素子を作製した。乾燥後の塗工膜厚(d(nm))は、光学素子全体の厚みを測定し、ガラス基板の厚みを差し引くことにより求めた。次に、上記によって得られた光学素子の物性測定を行い、結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例3で作製した光学素子をクロロホルムの蒸気が充満したガラス容器に入れ、密閉後、30℃で7.5時間アニーリングした。その後、光学素子を取り出し、100℃で1分間、空気中で乾燥した。乾燥後の塗工膜厚(d(nm))は、光学素子全体の厚みを測定し、ガラス基板の厚みを差し引くことにより求めた。次に、上記によって得られた光学素子の物性測定を行い、結果を表1に示した。ここでは、実施例3よりも面内の複屈折(n−n)の小さいものが得られた。すなわち、アニーリングにより、面内位相差の低減が可能であった。
(実施例5)
合成品(2)0.52gに1,2−ジメトキシエタン3.48gを加え、23℃下で溶解した。次に、この塗工液をバーコーターを用いて150μm厚のガラス基板(平均屈折率:1.52,面内位相差:0nm,厚み位相差:1nm)に塗工し塗工基板とした。その後、この塗工基板を23℃で44時間、空気中で乾燥して光学素子を作製した。乾燥後の塗工膜厚(d(nm))は、光学素子全体の厚みを測定し、ガラス基板の厚みを差し引くことにより求めた。次に、上記によって得られた光学素子の物性測定を行った。その結果を表2に示す。
(実施例6)
合成品(2)0.5gにエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.5gを加え、23℃下で溶解した。次に、この塗工液をバーコーターを用いて150μm厚のガラス基板(平均屈折率:1.52,面内位相差:0nm,厚み位相差:1nm)に塗工し塗工基板とした。その後、この塗工基板を100℃で1分間、空気中で乾燥して光学素子を作製した。乾燥後の塗工膜厚(d(nm))は、光学素子全体の厚みを測定し、ガラス基板の厚みを差し引くことにより求めた。次に、上記によって得られた光学素子の物性測定を行った。その結果を表2に示す。
(実施例7)
合成品(2)0.5gに酢酸ブチル4.0g及びエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.5gを加え、23℃下で溶解した。次に、この塗工液をバーコーターを用いて150μm厚のガラス基板(平均屈折率:1.52,面内位相差:0nm,厚み位相差:1nm)に塗工し塗工基板とした。その後、この塗工基板を23℃で25分間、空気中で乾燥して光学素子を作製した。乾燥後の塗工膜厚(d(nm))は、光学素子全体の厚みを測定し、ガラス基板の厚みを差し引くことにより求めた。次に、上記によって得られた光学素子の物性測定を行った。その結果を表2に示す。
(実施例8)
塗工基板を30℃で25分間、空気中で乾燥して光学素子を作製したこと以外は実施例7と同様の操作を行った。得られた光学素子の物性測定を行った。その結果を表2に示す。
(実施例9)
塗工基板を23℃で44時間、空気中で乾燥し、更に、100℃で1分間、空気中で乾燥して光学素子を作製したこと以外は実施例5と同様の操作を行った。得られた光学素子の物性測定を行った。その結果を表2に示す。23℃で44時間、空気中で乾燥しただけの実施例5よりも(n+n)/2−nで表される値の絶対値が大きな光学素子が得られている。
(実施例10)
塗工基板を23℃で19時間、空気中で乾燥し、更に、100℃で1分間、空気中で乾燥して光学素子を作製したこと以外は実施例6と同様の操作を行った。得られた光学素子の物性測定を行った。その結果を表2に示す。100℃で1分間、空気中で乾燥しただけの実施例6よりも(n+n)/2−nで表される値の絶対値が大きな光学素子が得られている。
(実施例11)
塗工基板を23℃で25分間、空気中で乾燥し、更に、250℃で1分間、空気中で乾燥して光学素子を作製したこと以外は実施例7と同様の操作を行った。得られた光学素子の物性測定を行った。その結果を表2に示す。23℃で25分間、空気中で乾燥しただけの実施例7よりも(n+n)/2−nで表される値の絶対値が大きな光学素子が得られている。
(実施例12)
塗工基板を30℃で25分間、空気中で乾燥し、更に、250℃で1分間、空気中で乾燥して光学素子を作製したこと以外は実施例8と同様の操作を行った。得られた光学素子の物性測定を行った。その結果を表2に示す。30℃で25分間、空気中で乾燥しただけの実施例8よりも(n+n)/2−nで表される値の絶対値が大きな光学素子が得られている。
Figure 0004772515
Figure 0004772515
(実施例13)
ガラス基板の代わりに40μm厚のセルロースアセテートフィルム(面内位相差:0nm,厚み位相差:8nm)を用い、その上に10000nmの塗工膜を形成して光学補償フィルムを作製したこと以外は実施例10と同様の操作を行った。得られた光学補償フィルムの物性測定を行った結果、面内位相差は0nm、厚み位相差は−40nmであった。
(実施例14)
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を含浸させ、延伸することにより偏光子を作製した。この偏光子の片面にポリアクリル系接着剤を用いて80μm厚のセルロースアセテートフィルムを貼り合わせた。さらに、偏光子の反対の面に実施例13で作製した光学補償フィルムを塗工膜面が外側になるようにポリアクリル系接着剤を用いて貼り合わせ、光学補償層を有する偏光板を作製した。
(実施例15)
IPS方式の液晶セルを装着した液晶表示装置を用意し、実施例13で作製した光学補償フィルムを液晶セルの出射光側に重ね合わせた表示装置を作製した。表示画面を観察した結果、正面から見ても斜め方向から見ても色表示が変わることなく、良好な画像が得られた。
(実施例16)
IPS方式の液晶セルを装着した液晶表示装置を用意し、出射光側の偏光板をはずして代わりに実施例14で作製した偏光板を塗工膜面が液晶セルの出射光側になるように液晶セルに貼り合わせた表示装置を作製した。表示画面を観察した結果、正面から見ても斜め方向から見ても色表示が変わることなく、良好な画像が得られた。
(比較例1)
実施例13で作製した光学補償フィルムを使用しないこと以外は実施例15と同様の操作を行った。その結果、斜め方向から見た際、液晶表示装置構成部材の複屈折により正面から見た時と色表示が異なっていた。
(比較例2)
実施例14で作製した偏光板を使用せず、出射光側の偏光板をそのまま用いたこと以外は実施例16と同様の操作を行った。その結果、斜め方向から見た際、液晶表示装置構成部材の複屈折により正面から見た時と色表示が異なっていた。

Claims (13)

  1. セルロース N−置換カーバメートを含有して形成されることを特徴とする光学補償用塗工膜。
  2. セルロース N−置換カーバメートを含有して形成され、面内の屈折率のうち最大のものをn、最小のものをnとし、厚み方向の屈折率をn、膜厚をdとした時に、〔(n+n)/2−n〕×d<0の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の光学補償用塗工膜。
  3. 前記セルロース N−置換カーバメートが、セルロースの水酸基の少なくとも一つがN−置換カーバメート化されており、かつ、セルロースカーバメートの窒素原子に結合した水素原子の少なくとも一つが下記一般式(1)〜(3)から選ばれる基で置換されており、かつ、複数のN−置換基は同一又は異なって、下記一般式(1)〜(3)から選ばれる基である化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の光学補償用塗工膜。
    Figure 0004772515
    (式中R、R、R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素数1〜21のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。)
    Figure 0004772515
    (式中R、R、R、R、R10、R11、R12は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜21のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。)
    Figure 0004772515
    (式中R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜21のアシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。)
  4. 下記(A)、(B)を含有して形成される光学補償用塗工膜形成用塗工液。
    (A)請求項1乃至請求項3記載のセルロース N−置換カーバメート
    (B)(A)成分が溶解可溶な溶媒
  5. 請求項4記載の塗工液を基板に塗工し塗工基板とした後、該塗工基板を乾燥することを特徴とする光学補償用塗工膜の形成方法。
  6. 該塗工基板を下限0℃、上限40℃の範囲の温度で1次乾燥した後、更に、該塗工基板を下限80℃、上限300℃で2次乾燥することを特徴とする請求項5記載の光学補償用塗工膜の形成方法。
  7. 請求項4記載の塗工液を基板に塗工し塗工基板とした後、(B)成分の蒸気にさらして塗工膜をアニーリングし、更に乾燥することを特徴とする光学補償用塗工膜の形成方法。
  8. 請求項5乃至請求項7記載の形成方法を用いたことを特徴とする光学素子の製造方法。
  9. 請求項8記載の製造方法を用いて製造したことを特徴とする光学素子。
  10. 請求項5乃至請求項7記載の形成方法を用いて製造したことを特徴とする光学補償フィルム。
  11. 偏光子の少なくとも片面に請求項10記載の光学補償フィルムを偏光子保護フィルムとして装着したことを特徴とする偏光板。
  12. 請求項10記載の光学補償フィルムを備えた液晶表示装置。
  13. 請求項11記載の偏光板を備えた液晶表示装置。
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