JP4771054B2 - 振動切削装置、成形金型、及び光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光学素子用の成形金型その他を形成する材料、素材等の切削加工に好適に用いられる振動切削装置、並びに、これを用いて作製される成形金型及び光学素子に関するものである。
ダイヤモンド等の工具先端を振動させることで、難切削材料である超硬やガラス等の材料を切削加工する技術があり、振動切削と呼ばれている。これは、振動によって工具刃先が高速で微小切り込みを行い、かつ、この時に生成する切り屑を振動によって刃先が掬い出す効果によって、工具に対しても被削材料に対しても応力の少ない切削加工を実現するものである(例えば特許文献1、2,3等参照)。この振動切削加工により、通常の延性モード切削で必要とされる臨界切り込み量が数倍に向上し、難切削材料を高効率で切削加工することができる。
かかる振動切削加工において、加工効率を向上するには振動周波数を高めれば上述した効果が増加し、さらに周波数にほぼ比例して工具の送り速度も高められるので、通常は20kHz以上の高速な振動が使われる。また、この周波数では人間の可聴域を超えているので、振動子やそれにより励振される振動体が不快な音を生じないというメリットもある。
このような高速振動を工具刃先に発生させる方法として、ピエゾ素子や超磁歪素子等によって工具を保持する部材を励振し、この部材を撓み振動や軸方向振動等で共振させることにより、定在波として安定振動させることが実用化されている。このような方法において、工具を保持する部材、すなわち振動体は、共振の節にあたるところで装置筐体や加工機の工具台等に連結された部材に固定されている。
特開2000−52101号公報 特開2000−218401号公報 特開平9−309001号公報
しかしながら、上記のような振動切削では、切削負荷によって振動子が発熱し、また、工具刃先で切削熱が発生するだけでなく、加工状況の変動に伴って、振動の負荷が変動し、切削時の摩擦仕事量も変動する。この結果、振動体の熱膨張量が変動し、工具刃先の固定の信頼性も低下する。つまり、切削条件や被削材料の種類等によって工具刃先の位置が変動し或いは工具刃先の固定が緩み、さらに、加工工程の具体的設定やその進捗状況に応じても工具刃先の位置が変動する可能性があり、加工再現性や加工汎用性が損なわれる。
そこで、本発明は、振動切削に伴う発熱によって振動体等の温度が変動することを防止し、安定した温度条件で高精度の切削加工を可能にする振動切削装置、並びに、これを用いて作製される成形金型及び光学素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る第1及び第2の振動切削装置は、(a)切削工具と、(b)切削工具を振動させるための振動源と、(c)先端部に切削工具を支持して、振動源からの振動を切削工具に伝達する振動体と、(d)振動体内部に設けられて先端部に形成された開口に連通する供給路を介して、切削工具にガス状流体を吹き付ける冷却手段とを備える。
上記第1及び第2の振動切削装置では、冷却手段が振動体内部に設けられて先端部に形成された開口に連通する供給路を介して切削工具にガス状流体を吹き付けるので、ガス状流体によって、振動体を内部から無駄なく効率的に冷却することができ、切削工具を振動体側から直接的に無駄なく冷却することができる。また、ガス状流体の吐出口が被加工体における加工点に近くなるので、加工点の温度上昇を抑え、高精度の加工を実現することができる。なお、ガス状流体は、質量が軽く、振動体の振動条件を変化させないという利点がある。
以上の第1及び第2の振動切削装置は、切削工具を固定するための締結部材をさらに有し、当該締結部材の少なくとも一部が供給路内に露出する。これにより、切削工具の締結部材を直接的に冷却することができ、締結部材による固定の信頼性を高めることができる。
以上の第1及び第2の振動切削装置は、締結部材の抜けを防止する係止部材をさらに有し、当該係止部材の少なくとも一部が供給路内に露出する。締結部材によって切削工具を振動体の先端部に固定するだけでなく、係止部材によって締結部材の抜けを防止するので、切削工具を振動体の先端部に対して確実に固定することができ、高精度で低損失の振動切削を実現できる。しかも、係止部材を直接的に冷却することができ、係止部材による締結部材の抜け防止の信頼性を高めることができる。
特に第1の振動切削装置において、締結部材が、先端部に設けた第1の固定穴にねじ込まれる第1の固定ネジである。なお、係止部材は、先端部に設けた第2の固定穴にねじ込まれる第2の固定ネジとすることができる。
特に第2の振動切削装置において、冷却手段の供給路が、振動体内部を貫通する。さらに、第2の振動切削装置において、係止部材が、供給路内に突起する突起部分を有し、当該突起部分が、ガス状流体の通路を確保する開口及び切欠の少なくとも一方を有する。この場合、係止部材をガス状流体によって効率良く冷却することができるだけでなく、係止部材の突起部分が障害となることを防止してガス状流体の流路を確保することができる。
本発明の具体的な態様では、上記第1の振動切削装置において、冷却手段が振動体内部を貫通し先端部に形成された開口に連通する供給路を有する。この場合、振動体の後端側にガス状流体を供給するだけの簡単な構造によって、振動体内部を先端部の開口に向けて貫通する供給路に沿ってガス状流体を流通させることができる。
本発明の別の態様では、供給路が、開口又は当該開口の近傍においてガス状流体の流動方向に垂直な断面積を減少させている。この場合、開口から吐出されるガス状流体の吹き付け速度が増加し、被加工体の加工点を高速のガス状流体で冷却し、かつ、加工点に生成された切り屑を迅速に除去することができる。
本発明の別の態様では、供給路が、振動体の軸心を貫通し切削工具の固定部周辺に延びる。この場合、ガス状流体によって切削工具の固定部も直接的に冷却することができ、切削工具の固定の信頼性を高めることができる。
本発明の別の態様では、上記第1の振動切削装置において、係止部材が、供給路内に突起する突起部分を有し、当該突起部分が、ガス状流体の通路を確保する開口及び切欠の少なくとも一方を有する。この場合、係止部材をガス状流体によって効率良く冷却することができるだけでなく、係止部材の突起部分が障害となることを防止してガス状流体の流路を確保することができる。
本発明の別の態様では、ガス状流体がミスト状の液体または粒子を含む。この場合、ミスト状に添加された冷却油などの液体や粒子によって冷却効率を高めることができ、ガス状流体に対して潤滑等の機能を付加することができる。
本発明の別の態様では、振動源及び振動体が、これらの接合部と交差する貫通孔を供給路として有し、冷却手段が、貫通孔の振動源側からガス状流体を供給する。この場合、貫通孔に流通させるガス状流体によって、振動源と振動体とを直接的かつ効率的に冷却することができる。
本発明の別の態様では、ガス状流体の温度を調整する温度調整手段をさらに備える。この場合、振動源をより精密に温度制御することができ、振動体の温度を安定させて切削工具の刃先位置の温度ドリフトを低減することができる。
本発明の別の態様では、ガス状流体の流量を調整する流量調整手段をさらに備える。この場合、振動源をガス状流体の流量制御によって温度制御することができ、切削工具の刃先位置の温度ドリフトを低減することができる。
本発明の別の態様では、ガス状流体が乾燥圧縮空気である。この場合、ガス状流体が安価で容易に入手可能なものとなり、振動子を乾燥状態に保つので漏電等の発生を効率的に防止できる。
本発明に係る成形金型は、上記振動切削装置を用いて、加工創製された光学面を有する。この場合、凹面その他の各種光学面を有する金型を、効率良く簡易に高精度で加工することができる。
本発明に係る光学素子は、上記成形金型によって成形される。この場合、高精度の金型によって高精度の光学素子を得ることができる。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係る振動切削装置を図面を用いて説明する。図1は、レンズ等の光学素子を成形するための成形金型の光学面を加工する振動切削装置の構造を概念的に説明するブロック図である。
図1に示すように、振動切削装置10は、被加工体であるワークWを切削加工するための振動切削ユニット20と、振動切削ユニット20をワークWに対して支持するNC駆動機構30と、NC駆動機構30の動作を制御する駆動制御装置40と、振動切削ユニット20に所望の振動を与える振動子駆動装置50と、振動切削ユニット20に冷却用のガスを供給するガス供給装置60と、装置全体の動作を統括的に制御する主制御装置70とを備える。
振動切削ユニット20は、Z軸方向に延びるツール部21先端に切削工具23を埋め込んだ振動切削工具であり、この切削工具23の高周波振動によってワークWを効率良く切削する。振動切削ユニット20の詳細については後述する。
NC駆動機構30は、台座31上に第1ステージ32と第2ステージ33とを載置した構造になっている。ここで、第1ステージ32は、第1可動部35を支持しており、この第1可動部35は、チャック37を介してワークWを間接的に支持している。第1ステージ32は、ワークWを、例えばZ軸方向に沿った所望の位置に所望の速度で移動させることができる。また、第1可動部35は、ワークWをZ軸に平行な水平回転軸のまわりに所望の速度で回転させることができる。一方、第2ステージ33は、第2可動部36を支持しており、この第2可動部36は、振動切削ユニット20を支持している。第2ステージ33は、第2可動部36及び振動切削ユニット20を支持して、これらを例えばX軸方向及びY軸方向に沿った所望の位置に所望の速度で移動させることができる。また、第2可動部36は、振動切削ユニット20を、Y軸に平行な鉛直回転軸のまわりに所望の速度で回転させることができる。特に、第2可動部36に対する振動切削ユニット20の固定角度を調節すること等により、振動切削ユニット20をその先端点のまわりに所望の角度だけ回転させることができる。
駆動制御装置40は、高精度の数値制御を可能にするものであり、NC駆動機構30に内蔵されたモータや位置センサ等を主制御装置70の制御下で駆動することによって、第1及び第2ステージ32,33や、第1及び第2可動部35,36を目的とする状態に適宜動作させる。例えば、第1及び第2ステージ32,33によって、振動切削ユニット20のツール部21先端に設けた切削工具23先端の加工点を低速でXZ面に平行な面内に設定した所定の軌跡に沿って移動(送り動作)させつつ、第1可動部35によって、ワークWを水平回転軸のまわりに高速で回転させることができる。結果的に、駆動制御装置40の制御下で、NC駆動機構30を高精度の旋盤として活用することができる。この際、第2可動部36によって、切削工具23先端に対応する加工点を中心として、切削工具23先端を鉛直回転軸のまわりに適宜回転させることができ、ワークWの加工点に対して切削工具23先端を所望の姿勢(傾き)に設定することができる。
振動子駆動装置50は、振動切削ユニット20に内蔵された振動源に電力を供給するためのものであり、内蔵する発振回路やPLL回路によって、ツール部21先端を主制御装置70の制御下で所望の振動数及び振幅で振動させることができる。なお、詳細は後述するが、ツール部21先端は、軸(すなわち切り込み深さ方向に延びる工具軸)に垂直な撓み振動や軸に沿った軸方向振動が可能になっており、その2次元的な振動や3次元的な振動によってワークW表面にツール部21先端すなわち切削工具23を向けた微細で効率的な加工が可能になっている。
ガス供給装置60は、振動切削ユニット20を冷却するためのものであり、加圧された乾燥空気を供給するガス状流体源61と、ガス状流体源61からの加圧乾燥空気を通過させることによってその温度を調節する温度調整手段としての温度調節部63と、温度調節部63を通過した加圧乾燥空気の流量調節を行う流量調整手段としての流量調節部65とを備える。ここで、ガス状流体源61は、例えば熱的工程やデシケータ等を利用した乾燥機に空気を送り込むことによって空気を乾燥させ、コンプレッサで乾燥空気を所望の気圧まで昇圧させる。また、温度調節部63は、図示を省略するが、例えば冷媒を周囲に循環させた流路と、この流路の途中に設けた温度センサとを有し、冷媒の温度や供給量の調節によって、流路に通した加圧乾燥空気を所望の温度に調節することができる。さらに、流量調節部65は、例えばバルブやフローコントローラ(不図示)を有し、温度調節された加圧乾燥空気を振動切削ユニット20に供給する際の流量を調節することができるようになっている。
図2は、振動切削ユニット20の構造を説明する断面図である。振動切削ユニット20は、切削工具23と、振動体82と、軸方向振動子83と、撓み振動子84と、カウンタバランス85と、筐体86とを備える。
ここで、切削工具23は、振動体82の先端側であるツール部21の先端部21aに埋め込むように固定されている。切削工具23は、後に詳述するが、先端23aがダイヤモンドチップの切刃になっており、共振状態とされた振動体82の開放端として振動体82とともに振動する。つまり、切削工具23は、振動体82の軸方向振動に伴ってZ方向に変位する振動を生じ、振動体82の撓み振動に伴ってY軸方向(或いはX軸方向)に変位する振動を生じる。結果的に、切削工具23の先端は、例えば誇張して図示したような楕円軌道EOを描いて高速変位する。
振動体82は、線膨張係数が6×10−6以下の材料によって形成されており、具体的には、窒化珪素、サイアロン、超硬、インバー材、ステンレスインバー材等が好適に用いられる。振動体82は、先端側のツール部21で外径が細くなっており、根元側で外径が太くなっている。振動体82の側面の適当な箇所には、板状部分である第1固定フランジ87が形成されており、振動体82は、第1固定フランジ87を介して筐体86に例えばネジ93で固定されている。なお、振動体82は、軸方向振動子83によって振動し、Z方向に局所的に変位する定在波が形成されている共振状態となる。また、振動体82は、撓み振動子84によって振動し、Y軸方向(或いはX軸方向)に局所的に変位する定在波が形成されている共振状態となる。ここで、第1固定フランジ87の位置は、振動体82にとって、軸方向振動と撓み振動とに共通の節となっており、第1固定フランジ87を介して振動体82を固定することにより、軸方向振動や撓み振動が妨げられることを防止できる。
図3は、第1固定フランジ87の形状を例示する。図3(a)に示す第1固定フランジ87は、完全な円板状の固定部材であり、外周部分が図2の筐体86に固定されて筐体86を封止しており、通気のない構造となっている。図3(b)に示す第1固定フランジ87は、複数の開口87aを有する固定部材であり、外周部分を図2の筐体86に固定しても、筐体86内外の通気がある程度確保できるようになっている。図3(c)に示す第1固定フランジ87は、例えば等角度で3方向に延びる支持部材87bを有する固定部材であり、支持部材87b先端を図2の筐体86に固定しても、筐体86内外の十分な通気が確保できるようになっている。
図2に戻って、軸方向振動子83は、ピエゾ素子(PZT)や超磁歪素子等で形成され振動体82の根元側端面に接続される振動源であり、図示を省略するコネクタ等を介して図1の振動子駆動装置50に接続されている。軸方向振動子83は、振動子駆動装置50からの駆動信号に基づいて動作し高周波で伸縮振動することによって振動体82に縦波を与える。なお、軸方向振動子83は、Z方向に関しては変位可能になっているが、XY方向に関しては変位しないようになっている。
撓み振動子84は、ピエゾ素子や超磁歪素子等で形成され振動体82の根元側側面に接続される振動源であり、図示を省略するコネクタ等を介して図1の振動子駆動装置50に接続されている。撓み振動子84は、振動子駆動装置50からの駆動信号に基づいて動作し、高周波で振動することによって振動体82に横波すなわち図示の例ではY方向の振動を与える。
カウンタバランス85は、軸方向振動子83を挟んで振動体82の反対側に接続される。カウンタバランス85の側面の適当な箇所には、第2固定フランジ88が形成されており、カウンタバランス85は、第2固定フランジ88を介して筐体86に固定されている。第2固定フランジ88の形状は、図3に示す第1固定フランジ87と同様のものとなっている。なお、カウンタバランス85は、軸方向振動子83によって振動し、Z方向に局所的に変位する定在波が形成されている共振状態となる。ここで、第2固定フランジ88の位置は、カウンタバランス85にとって、軸方向振動の節となっており、第2固定フランジ88を介して固定することにより、振動体82の軸方向振動が妨げられることを防止できる。なお、カウンタバランス85も、振動体82と同一の材料で形成されている。
筐体86は、円柱状の内部空間を有する部材であり、第1及び第2固定フランジ87,88を介して振動体82やカウンタバランス85を支持固定する部分である。筐体86の一端には、開口を塞ぐように上述の第1固定フランジ87が取り付けられており、他端には、端面の開口に連結された給気パイプ92が設けられている。この給気パイプ92は、図1のガス供給装置60に連結されており、所望の流量及び温度に設定された加圧乾燥空気が供給される。
以上の振動切削ユニット20において、振動体82と、軸方向振動子83と、カウンタバランス85とは、互いにロウ付けによって接合・固定されており、軸方向振動子83の効率的な振動が可能になっている。また、振動体82と、軸方向振動子83と、カウンタバランス85との軸心には、これらの接合面を横切るようにを貫通する貫通孔91が形成されており、給気パイプ92からの加圧乾燥空気が流通する。つまり、貫通孔91は、加圧乾燥空気を送り出す供給路であり、ガス供給装置60や給気パイプ92とともに、振動切削ユニット20を内部から冷却するための冷却手段を構成する。貫通孔91の先端部は、切削工具23を差し込んで固定するための保持孔に兼用されており、貫通孔91に導入された加圧乾燥空気を切削工具23の周辺に供給できるようになっている。また、貫通孔91の先端は、切削工具23を固定した場合にも隙間を残しており、切削工具23に隣接して形成された開口91aからは、加圧乾燥空気が高速で噴射され、切削工具23先端の加工点を効率良く冷却することができるだけでなく、加工点やその周囲に付着する切り屑を気流によって確実に除去することができる。
なお、図2において、第1固定フランジ87を図3(a)に示す封止型のものとした場合、給気パイプ92から供給される加圧乾燥空気を全て貫通孔91に導くことができるので、先端部21aすなわち切削工具23周辺に供給される加圧乾燥空気の流量を正確に制御することができ、加圧乾燥空気を利用した温度調整や切り屑除去がより確実なものとなる。以上の手法に代えて、ガス供給装置60からの加圧乾燥空気を別のルートで貫通孔91に直接導くことも可能であり、この場合、貫通孔91に導く加圧乾燥空気の量を個別に制御することができる。
図4(a)は、図2に示すツール部21先端の斜視図であり、図4(b)は、ツール部21先端の端面図であり、図4(c)は、ツール部21先端からの切削工具23を取り除いた斜視図である。また、図5(a)は、図2に示すツール部21先端の側面図であり、図5(b)は、ツール部21先端の平面図である。
図からも明らかなように、ツール部21に設けた先端部21aは、テーパ状の先細形状を有しており、切込み深さ方向に延びる工具軸AXのまわりに回転対称な截頭円錐形状を有する。また、先端部21aの先端に保持された切削工具23は、先端が三角で全体が板状のシャンク23bと、シャンク23bの尖端に固定された加工用チップ23cとを備える。このうち、シャンク23bは、超硬材料、セラミックス材料、ハイス鋼等によって形成されており、軽量でありながら撓みにくくなっている。また、加工用チップ23cは、ダイヤモンド製のチップであり、シャンク23bの先端にロウ付け等によって固定されている。切削工具23自体は、先端部21aの端面21dに埋め込むようにして固定されており、加工用チップ23cの尖端は、工具軸AXの延長上に配置されている。また、加工用チップ23cやこれを支持するシャンク23bは、先端部21aの側面形状を延長した円錐状の空間内に収まっている。ここで、先端部21aのテーパ角θは、15°〜90°の範囲となっており、好ましくは30°〜90°の範囲とする。テーパ角θが15°以上の場合、先端部21aの曲げ強度等が確保され、特に30°以上で十分な強度が確保される。また、テーパ角θが15°以上の場合、先端部21a近傍で振動モードが変化する傾向を抑制でき、切削工具23による切削加工精度が、特に30°以上で意図しない振動を回避して効果的に向上する傾向が生じる。一方、先端部21aのテーパ角θが90°以下の場合、先端部21aがワークWの被加工面SAと干渉し難くなるので、加工形状の任意性が高まる。
切削工具23すなわちシャンク23bの固定部分23eは、先端部21aの端面21dから工具軸AXに沿って穿設された孔21f内に挿入されており、ツール部21の材料と同一の材料等で形成された2つの固定ネジ25,26によって、先端部21aに対して着脱可能にしっかりと固定されている。具体的には、先端部21aの上下側面間を貫通する固定穴21h,21gに固定ネジ25,26を順次ねじ込んで固定する。これらの固定穴21h,21gは、例えばY軸方向に延びており、両者の締付け方向は、工具軸AXに直交する。両固定穴21h,21gは、内径が異なっており、固定穴21gの内径の方が固定穴21hの内径よりも大きくなっている。両固定穴21h,21gは、両固定ネジ25,26のネジ付けによって充填される。つまり、固定穴21h,21gの位置には、深い凹部が残ったり高い凸部が形成されないようにしている。固定穴21hにねじ込まれる一方の固定ネジ25は、切削工具23を固定するための締結部材であり、雄ネジ部25bとヘッド部25aとを含むトルクスネジである。雄ネジ部25bを固定穴21gに差し込んだ状態でヘッド部25aを適当な工具でネジ回すことにより、雄ネジ部25bが、固定部分23eに形成された開口23hを貫通して、固定穴21gの奥に形成された固定穴21h内面の雌ネジと螺合する。この際、切削工具23の固定部分23eがヘッド部25aと孔21fの内面とに挟まれて締付けられ、固定部分23eが上面側から固定されるので、切削工具23の分離が防止され切削工具23の固定が確保される。固定穴21gにねじ込まれる他方の固定ネジ26は、図6にも拡大して示すように、先端部に直径が減少した突起部分26aを有するイモネジであり、固定ネジ25の抜けを防止するための係止部材として機能する。この固定ネジ26は、下端を固定穴21gにあてがってネジ部26bの上端を適当な工具でネジ回すことにより、固定穴21g内面の雌ネジと螺合して固定穴21gにねじ込まれ固定穴21g内を充填する。こうしてねじ込まれた固定ネジ26の突起部分26aの端面26cにより、固定ネジ25が上端から締付けられ、固定ネジ25の緩みが防止されるので、切削工具23の固定がより確実なものとなり、切削工具23の振動や緩みを低減することができる。
切削工具23を振動体82の先端部21aに固定するための固定ネジ25,26は、振動体82と同様の線膨張係数を有する材料を用いることが望ましい。具体的には、その他の加工条件にも依存するが、振動体82の線膨張係数の0.75〜1.25倍程度が実用的である。この場合、ツール部21と固定ネジ25,26とが同様に膨張することになり、温度変化に拘らず切削工具23を安定して確実に固定することができる。さらに、固定ネジ25,26の材料としては、加工の容易性等を考慮すると、シャンク23bと同様に超硬材料の他、セラミックス材料、ハイス鋼等が適するが、窒化珪素、サイアロン、インバー材、ステンレスインバー材等を用いることもできる。また、固定ネジ25,26は、振動体82の振動にノイズ等を与えない観点で、振動体82の材料の比重と略等しい比重を有する材料で形成することが望ましい。具体的には、その他の加工条件にも依存するが、振動体82の比重の0.75〜1.25倍程度が実用的である。一般的には、固定ネジ25,26と振動体82とを同一材料で作製することになるが、固定ネジ25,26と振動体82とを異なる材料で形成することもできる。
切削工具23の固定部分23eが挿入される孔21fの内寸は、Y軸方向の厚みに関して、切削工具23の固定部分23eの外寸より僅かに大きくなっている。また、孔21fの内壁のうち切削工具23の固定部分23eを支持していない側には、貫通孔91をそのまま延長した状態の半円柱状の溝21kが形成されている。この溝21kの端部は、貫通孔91から送り出される加圧乾燥空気をツール部21の先端部21aに吐出させるための開口91aとなっている。これにより、切削工具23の上側側面を、先端部21aに埋め込まれて支持された固定部分23e側から直接的に無駄なく冷却することができる。また、ワークW上の加工点に近い開口91aから切削工具23の先端に向けて加圧乾燥空気を射出させるので、ワークWの温度上昇を抑え、加工精度を向上させることができる。また、溝21k内の気流断面は、貫通孔91内の気流断面よりも小さくなっており、溝21kの部分で加圧乾燥空気の流速を増加させることができる。この結果、ワークW上の加工点に十分な勢いの加圧乾燥空気を噴射することができるので、ワークWを確実に冷却することができ、ワークWの加工点やその近傍に付着する切り屑を迅速に除去することができ、切削工具23による加工精度を高めることができる。なお、固定ネジ26の下端に設けた突起部分26aは、溝21kを横切るように延びており、溝21kを部分的に塞ぐことになる。しかしながら、突起部分26aの直径を溝21kや貫通孔91の直径よりも一定割合以上小さくしておけば、溝21k内における加圧乾燥空気の流通が確保され、開口91aから噴射される加圧乾燥空気の流速も十分大きなものとすることができる。
図2に戻って、ツール部21の先端部21aは、既に説明したように例えばYZ面内で高速振動する。また、ツール部21の先端部21aは、図1のNC駆動機構30によって、被加工体であるワークWに対し、例えばXZ面内で所定の軌跡を描いて徐々に移動する。つまり、ツール部21の送り動作が行われる。また、被加工体であるワークWは、図1のNC駆動機構30によって、Z軸に平行な回転軸RAのまわりに一定速度で回転する(図5参照)。これにより、ワークWに対し回転軸RAのまわりに回転対称な例えば被加工面SA(例えば、凹凸の球面、非球面等の曲面のほか、位相素子面等の段差面)を形成することができる。この際、第2ステージ33を利用して、ツール部21の切削工具23の尖端をY軸方向に平行な旋回軸PXのまわりに回転させることで、切削工具23の尖端がワークWに形成すべき被加工面SAに対して略垂直になるようにする(図7参照)。 これにより、被加工面SAの加工精度を高め、被加工面SAをより滑らかなものとすることができる。また、ワークWの加工中、ツール部21先端の開口91aから切削工具23の先端に向けて加圧乾燥空気を高速で射出させるので、切削工具23や被加工面SAを効率良く冷却することができるだけでなく、切削工具23や被加工面SAの温度を加圧乾燥空気の温度と流量とによって一定範囲に収まるようにすることも可能である。この加圧乾燥空気は、ツール部21の軸心を貫通する貫通孔91を介して導入され、振動体82、軸方向振動子83、カウンタバランス85等の内部を流れるので、振動体82等の温度を加圧乾燥空気の温度と流量とによって調整することができる。このように、加圧乾燥空気の温度を調整することにより、振動体82の温度を安定させることができるので、結果的に、その先端に保持された切削工具23の刃先位置の温度ドリフトを低減することができ、高精度で再現性の高い切削加工面が得られる。
なお、以上の振動切削ユニット20では、振動体82や振動子83,84の周囲にも、ガス状流体である加圧乾燥空気を供給して、振動体82や振動子83,84を空冷している。振動子83,84からの発熱に対しては、発熱体となる振動子83,84に直接、冷却用の加圧乾燥空気を吹き付けることで、振動子83,84の温度上昇を確実に抑え、振動体82の温度膨縮を抑えて、この先端に固定されている切削工具23の刃先位置の再現性をさらに高めることができ、高精度な切削面を効率良く創製できる。
以上において、加圧乾燥空気によって、振動子83,84や振動体82を冷却しているが、乾燥空気は、安価で容易に入手・供給でき、かつ漏電等の原因となる水分が無いので、安全である。乾燥状態としては、相対湿度で10%以下が、結露の危険を避けられるので好ましい。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る振動切削装置について説明する。第2実施形態の振動切削装置は、第1実施形態の振動切削装置を一部変更したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の装置と共通しており、図面において共通する部分には同一の符号を付して重複説明を省略する。
図8は、第2実施形態における振動切削ユニットの構造の一部を説明するための図であり、図6に対応する。この場合、固定ネジ126には、突起部分126aの内部で交差して側面を貫通する通気孔126d,126eが、開口として設けられている。この場合、突起部分126aの直径が大きく、切削工具23先端の開口91aに連通する溝21k(図4(b)等参照)の直径以上である場合においても、通気孔126d,126eの存在によって溝21k内の通気を確保することができる。よって、開口91aから十分な量の圧乾燥空気を噴射させることができる。
図9(a)、(b)は、図8の固定ネジ126をさらに変形した例を示す側面図及び下面図である。この場合、固定ネジ226には、突起部分226aの下半分に交差する通気溝226d,226eが溝として設けられている。この場合も、通気溝226d,226eの存在によって、開口91aに連通する溝21k内の通気を確保することができる。よって、開口91aから十分な量の圧乾燥空気を噴射させることができる。
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係る振動切削装置について説明する。第3実施形態の振動切削装置は、第1実施形態の振動切削装置を一部変更したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の装置と共通している。
図10は、第3実施形態における振動切削ユニットの構造を説明するための図であり、図5(a)に対応する。この場合、固定ネジ326の上端、すなわちネジ部26bを挟んで突起部分26aの反対側にヘッド26hを設けて、固定ネジ326の着脱を簡単にしている。
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態に係る振動切削装置について説明する。第4実施形態の振動切削装置は、第1実施形態の振動切削装置を一部変更したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の装置と共通している。
図11(a)、(b)は、第3実施形態における振動切削ユニットの構造を説明するための図であり、それぞれ図5(a)、5(b)に対応する。このツール部21の軸心には、2つの貫通孔491が形成されている。これらの貫通孔491は、工具軸AXに沿って互いに等間隔を保って延びている。図12は、ツール部21先端の端面図である。貫通孔491は、先端部21aの端面21dまで貫通しており、切削工具23を固定する孔21fに連通している。この場合、固定ネジ26の突起部分26aとの干渉を回避するような流路が形成され、圧縮乾燥空気の流量確保が容易となる。
〔第5実施形態〕
以下、第5実施形態に係る成形金型について説明する。図13は、第1〜第4実施形態の振動切削ユニット20を用いて作製した成形金型を説明する図であり、図13(a)は、固定型すなわち第1金型2Aの側方断面図であり、図13(b)は、可動型すなわち第2金型2Bの側方断面図である。両金型2A,2Bの光学面3a,3bは、図1〜図5等に示す振動切削装置によって仕上げ加工されたものである。つまり、両金型2A,2Bの母材(材料は例えば超硬)をワークWとしてチャック37に固定し、振動子駆動装置50等を動作させて振動切削ユニット20に定在波を形成しつつ切削工具23を高速振動させる。これと並行して駆動制御装置40を適宜動作させて、振動切削ユニット20のツール部21先端をワークWに対して3次元的に任意に移動させる。これにより、金型2A,2Bの光学面3a,3bを、球面や非球面に限らず、段差面、位相構造面とすることができる。
図14は、図13(a)の金型2Aと、図13(b)の金型2Bとを用いてプレス成形したレンズLの断面図である。レンズLの材料は、プラスチックに限らず、ガラス等とすることができる。
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、振動切削ユニット20において、加圧乾燥空気を通す孔21fや貫通孔91の形状やサイズは、振動切削ユニット20の用途や使用条件等に応じて適宜変更することができる。具体的には、孔21fを、例えば図5(a)のXZ面に平行に延びる溝状のものとすることができる。
また、振動切削ユニット20において、振動体82や軸方向振動子83の全体的形状や寸法は、用途に応じて適宜変更することができる。さらに、カウンタバランス85から延びる第2固定フランジ88を省略することもできる。また、振動体82等の軸心に貫通孔91を設けて加圧乾燥空気を流通させているが、加圧乾燥空気の供給方法は、図2に例示する給気パイプ92に限らず様々な変形が可能であり、例えば筐体86の側面から振動体82の周囲に加圧乾燥空気を供給することもできる。また、振動切削ユニット20があまり加熱されない場合、振動体82の寸法変化を気にしなくても良くなるので、加圧乾燥空気の供給は不要である。また、図1のガス供給装置60において、空気ではなく、オイルその他の潤滑要素等をミスト化した液体や粒子として添加したガス状流体や、窒素ガス等の不活性ガス等を用いることができる。
また、切削工具23を固定するための固定ネジ25,26の形状、サイズ等は、適宜変更可能であり、例えば固定ネジ25のヘッド25aを延長して固定ネジ26と同様の形状とすることもできる。この場合、固定ネジ26のネジ部26bに相当する部分については、ネジ山を設けないことも可能である。
第1実施形態の振動切削装置を説明するブロック図である。 図1の振動切削装置に組み込まれる振動切削ユニットの構造を説明する縦断面図である。 (a)〜(c)は、図1の振動切削ユニットに用いられる第1固定フランジの形状を例示する端面図である。 (a)〜(c)は、ツール部先端の外観及び構造を説明する斜視図等である。 (a)、(b)は、ツール部先端の側方断面図及び平面断面図である。 係止用の固定ネジの拡大側面図である。 ツール部先端の移動および旋回を説明する平面図である。 第2実施形態における振動切削ユニットの構造の一部を説明するための図であり、固定ネジの変形例を示す。 (a)、(b)は、図7の振動切削ユニットの変形例を説明する側面図及び下面図である。 第3実施形態における振動切削ユニットの構造の一部を説明するための図であり、固定ネジの変形例を示す。 (a)、(b)は、第4実施形態における振動切削ユニットの構造の一部を説明する側面図及び平面図である。 ツール部先端の端面図である。 (a)、(b)は、第5実施形態に係る成形金型の側方断面図である。 図13の成形金型によって形成されたレンズの側方断面図である。
符号の説明
10…振動切削装置、 20…振動切削ユニット、 21…ツール部、 21a…先端部、 21d…端面、 21f…孔、 21k…溝、 23…切削工具、 23b…シャンク、 23c…加工用チップ、 23e…固定部分、 25…固定ネジ、 26…固定ネジ、 26a…突起部分、 26b…ネジ部、 30…駆動機構、 32…第1ステージ、 33…第2ステージ、 35…第1可動部、 36…第2可動部、 37…チャック、 40…駆動制御装置、 50…振動子駆動装置、 60…ガス供給装置、 61…ガス状流体源、 63…温度調節部、 65…流量調節部、 70…主制御装置、 82…振動体、 83,84…振動子、 85…カウンタバランス、 86…筐体、 91…貫通孔、 91a…開口、 92…給気パイプ、 AX…工具軸、 EO…楕円軌道、 RA…回転軸、 SA…被加工面、 W…ワーク

Claims (16)

  1. 切削工具と、
    前記切削工具を振動させるための振動源と、
    先端部に前記切削工具を支持して、前記振動源からの振動を前記切削工具に伝達する振動体と、
    前記振動体内部に設けられて前記先端部に形成された開口に連通する供給路を介して、前記切削工具にガス状流体を吹き付ける冷却手段と、
    前記切削工具を固定するための締結部材と、
    前記締結部材の抜けを防止する係止部材とを備え、
    前記締結部材の少なくとも一部は、前記供給路内に露出し、前記係止部材の少なくとも一部は、前記供給路内に露出し、
    前記締結部材は、前記先端部に設けた第1の固定穴にねじ込まれる第1の固定ネジであることを特徴とする振動切削装置。
  2. 前記係止部材は、前記先端部に設けた第2の固定穴にねじ込まれる第2の固定ネジである請求項1記載の振動切削装置。
  3. 前記冷却手段の前記供給路は、前記振動体内部を貫通することを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか一項記載の振動切削装置。
  4. 前記供給路は、前記開口又は当該開口の近傍において、前記ガス状流体の流動方向に垂直な断面積を減少させていることを特徴とする請求項3記載の振動切削装置。
  5. 前記供給路は、前記振動体の軸心を貫通し、前記切削工具の固定部周辺に延びることを特徴とする請求項3及び請求項4のいずれか一項記載の振動切削装置。
  6. 前記係止部材は、前記供給路内に突起する突起部分を有し、当該突起部分は、前記ガス状流体の通路を確保する開口及び切欠の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項記載の振動切削装置。
  7. 切削工具と、
    前記切削工具を振動させるための振動源と、
    先端部に前記切削工具を支持して、前記振動源からの振動を前記切削工具に伝達する振動体と、
    前記振動体内部に設けられて前記先端部に形成された開口に連通する供給路を介して、前記切削工具にガス状流体を吹き付ける冷却手段と、
    前記切削工具を固定するための締結部材と、
    前記締結部材の抜けを防止する係止部材とを備え、
    前記締結部材の少なくとも一部は、前記供給路内に露出し、前記係止部材の少なくとも一部は、前記供給路内に露出し、
    前記冷却手段の前記供給路は、前記振動体内部を貫通し、
    前記係止部材は、前記供給路内に突起する突起部分を有し、当該突起部分は、前記ガス状流体の通路を確保する開口及び切欠の少なくとも一方を有することを特徴とする振動切削装置。
  8. 前記供給路は、前記開口又は当該開口の近傍において、前記ガス状流体の流動方向に垂直な断面積を減少させていることを特徴とする請求項7記載の振動切削装置。
  9. 前記供給路は、前記振動体の軸心を貫通し、前記切削工具の固定部周辺に延びることを特徴とする請求項7及び請求項8のいずれか一項記載の振動切削装置。
  10. 前記ガス状流体は、ミスト状の液体または粒子を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項記載の振動切削装置。
  11. 前記振動源及び前記振動体は、これらの接合部と交差する貫通孔を前記供給路として有し、前記冷却手段は、前記貫通孔の前記振動源側から前記ガス状流体を供給することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項記載の振動切削装置。
  12. 前記ガス状流体の温度を調整する温度調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項記載の振動切削装置。
  13. 前記ガス状流体の流量を調整する流量調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項記載の振動切削装置。
  14. 前記ガス状流体は、乾燥圧縮空気であることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項記載の振動切削装置。
  15. 請求項1から請求項14記載のいずれか一項記載の振動切削装置を用いて、加工創製された光学面を有する成形金型。
  16. 請求項15記載の成形金型によって成形された光学素子。
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