JPS5858322B2 - 植物の病害防除方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、植物の病害駆除に関するもので、特に土壌中
の有害微生物を駆除し、有効微生物を温存して肥料の分
解をうながし、植物の正常な発育を助ける新規な方法を
提供するものである。

一般に、農場、果樹園等の圃場に於て栽培する植物は長
年の品種改良により育成されている関係上、病害菌によ
る抵抗が野生のそれに比べ少いのが通常である。

植物の病害菌による汚染は地上部、地下部を問わず起る
もので、罹病により作物の収量が激減したり作物の品質
が劣化する外、特に地下部が汚染すると植物が枯死し、
長年の労苦が無に帰すので最も恐れられている。

従来より前記病害の防除については多（の方法が報告さ
れており、一般に農薬を使用するもので、このため数多
くの農薬が市販されている。

しかし、これらの農薬は多少の差はあれ毒性を有し、公
害を伴うことも多く、樹木そのものにも生育を阻害する
ような悪影響があり、またその効果にも限界がある。

特に、果樹等の地下茎に繁殖するフザリューム等の不完
全菌に対しては、地表に農薬を散布しただけでは殆んど
効果を期待することはできず、通常地中に侵透性のある
、液剤やガス剤、例えばクロルピクリンやエチレンオキ
サイドの如き薬剤を地中に注入して防除している。

この方法によると４〜５年は有効であるが、その後は効
力が消失し、病気が再発するが、再発すると以前にも増
して被害が増大する外、注入により有用土壌微生物まで
死滅させるので、施肥した有機質肥料は分解されにくく
、この場合微生物の給源として多量の堆肥等の使用をす
すめているが、肥料の浪費となり、又注入に多くの手間
を要する等の欠点がある。

本発明は上記事情によりなされたもので、特に地中の根
に寄生する有害微生物を死滅させるか、生育を阻止し、
有用微生物に対しては害のない剤を得、植物の病害防除
を行わんと研究を進めた結果、アリシンにゲルマニウム
化合物及び／又はセルラーゼを配合してなる製剤を圃場
に散布するという簡単な方法で解決したのである。

本発明に使用するアリシン（Ｃ６Ｈ１０Ｓ２）とはにん
にく中のアリインをアリイナーゼにより分解させたとき
得られる物質であり、従来よりビタミンＢ群と関連して
研究されて来た物質である。

しかしながら、これにゲルマニウム及び／又はセルラー
ゼを配合した製剤の土壌微生物に対する挙動は末だ報告
されておらず、ましてこれを利用して農業用薬剤を製造
せんとする試みは本発明者を以て嘆矢とするものである
。

本発明者の植物根に寄生するフザリューム属、その他の
病源菌に対するアリシン製剤の挙動の研★★究によれば
、極めて強い抗菌性を呈するもので、その一例を試験例
により示す。

但し、試験は各々微生物の生育に適した培地、Ｄｉｆｃ
ｍ製を使用し、２５°Ｃ１３０°Ｃ１３５°Ｃのテルモ
により培養観察計数した。

この結果を第１表に示す。即ち、第１表から判明する如
く、アリシン製剤を添加することによりフザリュームそ
の他の有害微生物は皆無とすることができるものである
。

又アリシン単独使用よりもゲルマニウムと併用したもの
が抗菌作用が強く、通常アリシン１部に対し、ゲルマニ
ウム０．００１〜０．０１部加えるとアリシンの抗菌効
果は倍加する。

この現象はゲルマニウムのみならず、セルラーゼと併用
した場合にもみられ、これらの酵素剤の使用量はアリシ
ン１部に対し、セルラーゼ０．００１〜０．０１部程度
が良い。

上記他見を基とし、通称モンパ病にかかった果樹園で、
本発明の効果を確認するために試験を行った。

但し、試験は木の根の周囲半径１ｍの所に深さ３０ｃｒ
ｒＬの溝を掘り、その中にアリシン製剤液を散布し覆土
後、根の露出部分にはその倍量を塗布して行った。

すなわち、アリシン１％液にゲルマニウム０．０１％液
、セルラーゼ０．０１％液をそれぞれ混合して上記試験
を行ったところ、いずれの果樹園においても処理１週間
後には顕著な治療効果が認められ、２週間後にはほぼ全
治した。

アリシンにゲルマニウム又はセルラーゼを添加すること
により、アリシンの使用量は半減することが確認された
。

更に、モンパ病にかかつている苗木をとり、アリシン製
剤溶液中で２時間浸漬処理し、処理後本圃に移植した例
では総べて正常な生育を示し、爾後病害に侵かされるこ
とはなかった。

更に、本発明に使用する剤は適度の濃度であれば、土壌
中の有用微生物、例えばＴ ｒｉｃｈｏｄｅｒｍａ属の
ようなカビ、Ｓ ａｃｃｈａｒｏｍｙｃｅｓ属等の酵母
、Ｂａｃｉｌｌｉｓ属等のバクテリア原虫類に対して生
育阻害をしないもので、このため施肥した堆肥等の有機
質肥料は正常に分解せられ植物に利用されるので肥料効
果を損なわないものである。

本発明に使用するアリシンは純、不純を問わず使用する
ことができるが、使用に際しては、粉剤として使用する
よりも溶液として使用するのが良い。

これを施用するに当っては、根の周辺に溝等を堀って、
その中に散布し、地中への侵透を計るとか、空気にふれ
た根際等に対しては噴霧しておくとよい。

アリシンは、ゲルマニウム、酵素剤と併用すると薬効が
倍加するのでその使用量を半減させることができ、本発
明においてはこれらの剤と混合使用する。

又、苗或は苗木のように移植するようなものにあっては
、採苗後アリシン製剤溶液に３〜★★５時間浸漬し、殺
菌後移植するとよい。

以上の如く、本発明の方法によると有害菌のみ駆除され
、有用菌に対しては悪影響を与えないので、有機質肥料
の分解は正常に行なわれ、且つ植物根部に対し、薬害を
与えないので栽培植物は治癒し正鳶な発育をとげるもの
である。

又、人畜に対し無害とすることができるので公害も起す
こともない。

本発明の方法は農林栽培植物の病害防除に使用に供する
ことができ、特に土中の有害微生物の駆除に使用し、極
めて顕著な効果を奏するものである。

比較例 上記表の各組成を有する溶液Ａ−Ｇを用意した。

一方、モンパ病に罹病したことが明らかなぶどう園で、
罹病した３５本をえらび、５本づつ７組に分け、各ぶど
うの木の周囲に溝を堀り、その中にそれぞれ溶液Ａ−Ｇ
を４１づつ流し込んだ。

処置後１４日目に３５本すべてを検した結果、溶液Ｂ、
Ｃ，Ｄではモンパ病は完全に治癒していたが、溶液Ａ、
Ｇではややおさえられた程度で治癒には至らず、また、
溶液Ｅ、Ｆではモンパ病は進行しており、全く効果は認
められなかった。

以下実施例により説明する。

実施例 １ モンパ病に罹病したことが明らかな１．５ ｈａのぶど
う園に、各ぶどうの木の周囲に溝を堀り、その中にアリ
シン０．１、ゲルマニウム０．０１％を含む溶液を４１
流し込んだ。

又、各ぶどうの木の露出根際には０．５％のアリシン溶
液を噴霧した。

散布後１４日して検した結果、モンパ病は完全に治癒し
、他のぶどうへの漫延は全く防除できた。

実施例 ２ 実施例１のアリシン、ゲルマニウム混合溶液をアリシン
０．１％、セルラーゼ０．０１％に代え、実施例１の要
領でモンパ病にかかったことの明らかな１３年生桃の木
に１本当り４１散布した。

この結果１５日後光全治癒した。

実施例 ３ 根腐れ病の発生したトマトの種苗圃で、採苗し、これを
０．３％のアリシン、セルラーゼ０．０１％水溶液に１
時間浸漬後、常法にまり本圃に定植した。

定植１ケ月後検した結果、根腐れ病による被害は全くな
かったが、本発明の方法によらずそのまま移植したトマ
トはｌケ月後完全に罹病し、殆んど全滅した。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ アリシンにゲルマニウム化合物及び／又はセルラー
   ゼを配合してなる製剤により植物の病害を防除すること
   を特徴とする植物の病害防除方法。 ２ 圃場に散布する該アリシン製剤が水溶液又は粉剤の
   剤型であり、そして、散布する場所が植物の根の周辺又
   は根際であることを特徴とする特許請求の範囲第１項の
   植物の病害防除方法。 ３ 該アリシン製剤を植物の根に塗布することにより病
   害を予防することを特徴とする特許請求の範囲第１項の
   植物の病害防除方法。