本発明の第一は、2軸延伸のポリエステルフィルムもしくはポリアミドフィルムを基材フィルムとし、前記基材フィルムの面に無機酸化物の蒸着膜を設けたガスバリア性フィルムに、さらに複数の微細な空孔を設けたガスバリア性フィルムである。以下、本発明を詳細に説明する。
フィルムの層構成として、本発明のガスバリア性フィルムは、図1(a)に示すように、ポリエステルフィルムもしくはポリアミドフィルムなどの基材フィルム(10)と無機酸化物の蒸着膜(20)とを有する。更に、図1(b)に示すように、ポリエステルフィルムもしくはポリアミドフィルム(10)および蒸着膜(20)上にそれぞれ表面処理層(10’)、(20’)を有していても良い。
本発明で使用する基材フィルムは、化学的ないし物理的強度に優れ、無機酸化物の蒸着膜を製膜化する条件等に耐え、また、その無機酸化物の蒸着膜の膜特性を損なうことなく良好に保持し得ることができる基材フィルムであり、温度25℃、相対湿度50%での動摩擦係数が0.4以下、より好ましくは0.3以下、ヘイズが6.0%以下、より好ましくは3.0%以下、アッシュテスト性能が15mm以下であり、少なくも一方の表面の表面粗さが1000nm以下、より好ましくは10〜200nmの2軸延伸のポリエステルフィルムもしくはポリアミドフィルムである。
このようなポリアミドフィルムとしては、脂肪族ポリアミドであっても、芳香族ポリアミドであっても、これらを混合した組成物であってもよい。好ましいポリアミドの具体例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ‐ε‐アミノへプタン酸(ナイロン7)、ポリ‐ε‐アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2・6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4・6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6・6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6・10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6・12)、ポリオクタメチレンドデカミド(ナイロン6・12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8・6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10・6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10・10)、ポリドデカメチレンドデカミド(ナイロン12・12)、メタキシレンジアミン‐6ナイロン(MXD6)などを挙げることができ、これらを主成分とする共重合体であってもよく、その例としては、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート共重合体、ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート共重合体、ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体、エチレンジアンモニウムアジぺート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体などを挙げることができる。これらのポリアミドには、フィルムの柔軟性改質成分として、芳香族スルホンアミド類、p‐ヒドロキシ安息香酸、エステル類などの可塑剤や低弾性率のエラストマー成分やラクタム類を配合することも有効である。
また、基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂のほか、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムを使用することができる。本発明においては、上記の樹脂のフィルムの中でも、特に、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムを使用することが好ましいものである。なお、基材フィルムは、上記樹脂の未延伸フィルムや一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムなどのいずれのものでも使用することができる。
本発明において、上記各種の樹脂のフィルムとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押出法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムを製造し、更に、要すれば、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムを使用することができる。
本発明において、各種の樹脂のフィルムの膜厚としては、6〜2000μm位、より好ましくは、9〜100μm位が望ましい。なお、上記各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。そして、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
本発明において、上記基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜を形成するが、予め基材フィルムに表面処理をおこなってもよい。これによって基材フィルムと無機酸化物の蒸着膜との密着性を向上させることができる。なお、このような表面処理としては、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスもしくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他前処理などがある。
また、本発明で使用する基材フィルムの表面に、予め、プライマーコート剤、アンダーコート剤、アンカーコート剤、あるいは、蒸着アンカーコート剤等を任意に塗布し、表面処理とすることもできる。なお、前記コート剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂、その他ビヒクルを主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
このような表面処理の中でも、特に、コロナ処理やプラズマ処理を行うことが好適である。例えばプラズマ処理としては、気体をアーク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して表面改質を行なうプラズマ処理がある。プラズマガスとしては、上記のほかに、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスを使用することができる。例えば、後記する化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成する直前に、インラインでプラズマ処理を行うことにより、基材フィルムの表面の水分、塵などを除去すると共にその表面の平滑化、活性化、その他表面処理を可能とすることができる。また、蒸着後に、プラズマ処理を行い、蒸着層とその上に積層される他の層との密着性を向上することもできる。なお、プラズマ処理としては、プラズマ出力、プラズマガスの種類、プラズマガスの供給量、処理時間、その他の条件を考慮してプラズマ放電処理を行うことが好ましい。また、プラズマを発生する方法としては、直流グロー放電、高周波放電、マイクロ波放電、その他の装置を使用することができる。また、大気圧プラズマ処理法によりプラズマ処理を行なうこともできる。
次いで、無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、物理気相成長法、化学気相成長法またはこれらを複合して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができる。本発明での物理気相成長法として、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)などにより無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。具体的には、金属または金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化したものを基材フィルムの一方の上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材フィルムの一方の上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。なお、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等にて行うことができる。物理気相成長法による無機酸化物の薄膜を形成する方法について、本願発明の特徴である巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図を示す図2を参照して説明する。
まず、巻き取り式真空蒸着装置241の真空チャンバー242の中で、巻き出しロール243から図中矢印方向で繰り出す基材フィルム201は、ガイドロール244、245を介して、冷却したコーティングドラム246に案内される。上記の冷却したコーティングドラム246上に案内された基材フィルム201の上に、コーティングドラム246の下方に備えられたるつぼ247内に有する例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等の蒸着源248の中央近傍の表層面に、後述するエレクトロンビームガン100のエレクトロンビーム照射口110よりエレクトロンビーム120を照射し、蒸着源248を上方のコーティングドラム246側に加熱蒸発させ、更に、必要であれば酸素ガス吹出口249より噴出させた酸素ガス等を供給しながら、マスク250、250を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜が、後述するコーティングドラム246上を移動中の位置cに位置する基材フィルム201の上に成膜され、ガスバリア性フィルム202が形成される。
ここで、るつぼ247は、図3に示すように、蒸着源248へのエレクトロンビーム120の入射位置aより前方であって、るつぼ247の、蒸着源248が接する内側壁面140が、蒸着源248が接する内側底面150の接線lに対して30°〜60°の間の角度θで傾斜させて設けられる。なお、前記内側壁面140の傾斜は、エレクトロンビーム120の入射位置aより前方に限定されず、内側壁面全てを内側底面150の接線に対して30°〜60°の間の角度θで傾斜させて設けてもよい。
そして、蒸着源248へのエレクトロンビーム120の入射位置aから前方距離rが20cmになる、前記るつぼ247の傾斜させた内側壁面140の上部位置bに向けてスキャンさせたエレクトロンビームガン100のエレクトロンビーム照射口110より照射したエレクトロンビーム130を前記上部位置bで、上方のコーティングドラム246側に反射させ、このエレクトロンビーム130の反射二次電子により、コーティングドラム246上を移動し、位置dに位置する蒸着膜が形成されたガスバリア性フィルム202に、図示しない複数の微細な空孔が設けられる。この蒸着膜が形成されたガスバリア性フィルム202に設けられた微細な空孔は、エレクトロンビーム130が、るつぼ247の内側底面150の接線lに対して30°〜60°の間の角度θで傾斜させたエレクトロンビーム120の入射位置aより前方の内側壁面140の上部位置bに反射したその二次電子により開孔したサイズであり、この空孔サイズは、酸素分子をより多く通過させ易くする。一方でこの空孔サイズは、酸素分子よりもやや小さい水分子は、液体である水が温度や圧力の影響により気体である水蒸気となることで、窒素や酸素など他のガス分子を取り込んで籠型のマクロ分子構造を形成するため、酸素分子よりも大きくなった水蒸気の水分子の通過を阻むことから、上記の方法で設けた空孔によって、水蒸気のバリア性能に優れるとともに、一方で酸素ガスのバリア性能を低下させたガスバリア性フィルムにすることができる。
なお、このときの操作条件として、真空チャンバー242内における蒸着チャンバー内の真空度:2.0×10-4mbar、エレクトロンビームの電力:25kW、コーティングドラム246の温度:−15℃、基材フィルム201や蒸着膜が形成されたガスバリア性フィルム202などが図中の矢印方向へ進むフィルムライン速度:540m/minなどの条件で処理されるが、これら数値に限定されず、諸条件により操作条件が適宜変更される。
そして、上記において、複数の微細な空孔が設けられたガスバリア性フィルム202を、ガイドロール251、252を介して送り出し、巻き取りロール253に巻き取ると、カイロ包材などに適用し得る、酸素ガスなどガスのバリア性能を低下させ、一方で水蒸気のバリア性能に優れるガスバリア性フィルム203を得ることができる。なお、上記巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、その上に無機酸化物の蒸着膜を更に形成し、または、上記巻き取り式真空蒸着装置を2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成して、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成してもよい。
ところで、金属または無機酸化物の蒸着膜としては、基本的には、金属の酸化物を蒸着した薄膜であればよく、例えば、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。好ましくは、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。よって、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物と称することができ、その表記は、例えば、SiOX、AlOX、MgOX等のようにMOX(ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は0を超え2以下、アルミニウム(Al)は0を超え1.5以下、マグネシウム(Mg)は0を超え1以下、カルシウム(Ca)は0を超え1以下、カリウム(K)は0を超え0.5以下、スズ(Sn)は0を超え2以下、ナトリウム(Na)は0を超え0.5以下、ホウ素(B)は0を超え1、5以下、チタン(Ti)は0を超え2以下、鉛(Pb)は0を超え1以下、ジルコニウム(Zr)は0を超え2以下、イットリウム(Y)は0を超え1.5以下の範囲である。上記においてX=0の場合は完全な金属であり、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。本発明において、Mとしてケイ素やアルミニウムが好ましく、その際これらのXの値は、ケイ素(Si)は1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は0.5〜1.5の範囲である。なお、無機酸化物の蒸着膜の膜厚は、使用する金属や金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å、好ましくは、100〜1000Åの範囲内で任意に選択することができる。また、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
更に、本発明では、例えばプラズマ化学気相成長法、低温プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等の化学気相成長法でも行えるが、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできる。この異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜としては、まず、基材フィルムの上に、化学気相成長法により、緻密で柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設け、次いで、該無機酸化物の蒸着膜の上に、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することが好ましいものである。上記とは逆に、基材フィルムの上に、先に、物理気相成長法により、無機酸化物の蒸着膜を設け、次に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
次いで、本発明のガスバリア性フィルムは、更に、上記無機酸化物の蒸着膜またはその表面処理面に、更にプライマー層、ラミネート接着剤層、印刷層、ヒートシール層などを任意に設けることができる。まず、プライマー層としては、たとえば、シランカップリング剤と充填剤とを含むポリウレタン系樹脂組成物によるコーティング薄膜が例示できる。該コーティング薄膜に使用するシランカップリング剤としては、二元反応性を有する有機官能性シランモノマ−類を使用することができ、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルートリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルシリコ−ンの水溶液等の1種ないしそれ以上を使用することができる。
上記のようなシランカップリング剤は、その分子の一端にある官能基、通常、クロロ、アルコキシ、または、アセトキシ基等が加水分解し、シラノール基(SiOH)を形成し、これが、無機酸化物の蒸着膜に含まれるケイ素など活性な基と、例えば、水酸基等の官能基と何らかの作用、例えば、脱水縮合反応等の反応を起こして、蒸着層上にシランカップリング剤が共有結合等で修飾され、更に、シラノール基自体の前記蒸着層への吸着や水素結合等により強固な結合を形成する。他方、シランカップリング剤の他端にあるビニル、メタクリロキシ、アミノ、エポキシ、あるいは、メルカプト等の有機官能基が、そのシランカップリング剤の薄膜の上に形成される、例えば、本発明のガスバリア性フィルムに積層され得るラミネート用接着剤層、アンカーコート剤層、その他の層を構成する物質と反応して強固な結合を形成することができる。これにより、ラミネート用接着剤層、アンカーコート剤層等を介して、蒸着層やその上に形成される表面処理層と他の層とが強固に密接着してラミネート強度を高めることができる。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、タルク、ガラスフリット、樹脂粉末、その他等のものを使用することができる。これは、ポリウレタン系樹脂組成物について、その粘度等を調整し、そのコーティング適性等を高めるものである。ポリウレタン系樹脂としては、具体的には、例えば、多官能イソシアネートとヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリマー、具体的には、例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート、あるいは、ヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート等の多官能イソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール等のヒドロキシル基含有化合物との反応により得られる一液ないし二液型ポリウレタン系樹脂を使用することができる。本発明では、上記したポリウレタン系樹脂を使用することにより、ラミネート加工性や製袋加工性を向上させ、後加工時における無機酸化物の薄膜のクラック等の発生を防止することができる。
上記のポリウレタン系樹脂組成物としては、ポリウレタン系樹脂、1〜30質量%に対し、シランカップリング剤、0.05〜10質量%位、好ましくは、0.1〜5質量%位、充填剤0.1〜20質量%位、好ましくは、1〜10質量%位の割合で添加し、更に、必要ならば、安定剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、紫外線吸収剤、その他等の添加剤を任意に添加し、溶媒、希釈剤等を加えて充分に混合してポリウレタン系樹脂組成物を調整する。上記ポリウレタン系樹脂組成物は、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、デップコート、スプレイコート、その他のコーティング法で無機酸化物の薄膜の上にコーティングし、しかる後コーティング膜を乾燥させて溶媒、希釈剤等を除去して、本発明にかかるガスバリア性フィルムとすることができる。なお、本発明において、ポリウレタン系樹脂組成物によるプライマー層の厚さとしては、例えば、0.01〜50μm位、好ましくは、0.1〜5μm位が望ましい。
また、ラミネート用接着剤としては、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルへキシルエステルなどのホモポリマーもしくはこれらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレンなどとの共重合体などからなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸などのモノマーとの共重合体などからなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂などからなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどからなる無機系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラスなどからなる無機系接着剤、その他の接着剤を使用することができる。
より好ましくは、例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナートなどの芳香族ポリイソシアナート、またはヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナートなどの脂肪族ポリイソシアナート等の多官能イソシアナートと、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリアクリレートポリオール、その他のヒドロキシル基含有化合物との反応によって得られるポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン系樹脂、ポリアクリレートポリウレタン系樹脂を主成分とするものである。これらによれば、柔軟性と屈曲性に富む薄膜を形成することができ、その引っ張り伸長度を向上させ、無機酸化物からなるバリア性薄膜層に対し、柔軟性、屈曲性などを有する被膜として作用し、ラミネート加工、印刷加工などの加工適性を向上させ、無機酸化物からなるバリア性薄膜層へのクラックなどの発生を回避することができる。上記ラミネート用接着剤からなるラミネート接着剤層は、JIS規格K7113に基づいて、100〜300%の引っ張り伸長度を有することが好ましい。
これらの接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型などのいずれの組成物形態でもよく、その性状はフィルム、シート状、粉末状、固形状などのいずれでもよい。更に、反応機構として、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶着型、熱圧型などのいずれでもよい。また、ラミネート用接着剤の使用量には特に限定はないが、一般には、0.1〜10g/m2(乾燥状態)である。上記ラミネート用接着剤は、ロールコート、グラビアコート、キスコートその他のコート法や印刷法によって行うことができる。
そして、上記ガスバリア性フィルムを形成するいずれかの層の間に所望の印刷模様層を形成することができる。上記の印刷模様層としては、例えば、上記のプライマー層の上に、通常のグラビアインキ組成物、オフセットインキ組成物、凸版インキ組成物、スクリーンインキ組成物、その他のインキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、その他の印刷方式を使用し、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他からなる所望の印刷絵柄を形成することにより構成することができる。
上記インキ組成物について、インキ組成物を構成するビヒクルとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルオキシエチルセルロースなどの繊維素系樹脂、塩化ゴム、環化ゴムなどのゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼインなどの天然樹脂、アマニ油、大豆油などの油脂類、その他の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
本発明において、上記のようなビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、染料・顔料などの着色剤の1種ないし2種以上を加え、さらに必要ならば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤、その他の添加剤を任意に添加し、溶剤、希釈剤などで充分に混練してなる各種の形態からなるインキ組成物を使用することができる。
印刷層は、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を表刷り印刷しても、あるいは裏刷り印刷してもよく、全面印刷でも、部分印刷でもよい。
本発明では、前記蒸着層上にヒートシールを押出し形成によって積層することができる。ヒートシール層を押出し形成する際に、前記蒸着層上にアンカーコート剤を介してヒートシール層を形成することが好ましい。使用するアンカーコート剤としては、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系、その他のアンカーコーティング剤が例示できる。より好ましくは、例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナートなどの芳香族ポリイソシアナート、またはヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナートなどの脂肪族ポリイソシアナート等の多官能イソシアナートと、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリアクリレートポリオール、その他のヒドロキシル基含有化合物との反応によって得られるポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン系樹脂、ポリアクリレートポリウレタン系樹脂を主成分とするものである。
これらによれば、柔軟性と屈曲性に富む薄膜を形成することができ、その引っ張り伸長度を向上させ、無機酸化物からなるバリア性薄膜層に対し、柔軟性、屈曲性などを有する被膜として作用し、ラミネート加工、印刷加工などの加工適性を向上させ、無機酸化物からなるバリア性薄膜層へのクラックなどの発生を回避することができ、バリア性フィルムとヒートシール層との密接着性を向上させ、無機酸化物からなるバリア性薄膜層へのクラックの発生を防止し、ラミネート強度を向上させることができる。本発明においては、アンカーコート剤を、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、デップコート、スプレイコート、その他のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥して、本発明にかかるアンカーコート剤によるアンカーコート剤層を形成することができる。アンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m2(乾燥状態)位が望ましい。また、上記アンカーコート剤からなるアンカーコート剤層は、JIS規格K7113に基づいて、100〜300%の引っ張り伸長度を有することが好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムに積層できるヒートシール層としては、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂等を使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂からなる1種以上のフィルムもしくはシートまたは塗布膜などを使用することができる。ヒートシール層は、上記樹脂の1種からなる単層でも多層でもよく、ヒートシール層の厚さとしては、15〜130μmである。15μmを下回ると炭素含有酸化珪素の蒸着膜に擦り傷やクラックを発生する場合がある。
本発明のガスバリア性フィルムを使用して成型物を製造することができる。例えば、本発明のガスバリア性フィルムに、更にプライマー層、ラミネート用接着剤層、ヒートシール層を積層して積層材となし、包装用容器とすることができる。たとえば、該積層材の内層のヒートシール性フィルムの面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒートシールしてシール部を設けて袋体を構成することができる。その製袋方法としては、上記の積層材を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピロ−シール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。また、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、積層材を使用してチューブ容器等も製造することができる。
ヒートシールの方法としては、例えば、バ−シール、回転ロ−ルシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピースタイプ、ツウーピースタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパー等を任意に取り付けることができる。また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
このような包装用容器は、種々の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品、その他等の物品の充填包装に使用されるものである。本発明においては、酸素などのガスのバリア性能を低下させ、一方で水蒸気のバリア性能に優れるガスバリア性フィルムであるため、特に、例えばカイロなどとして好適に使用することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
実施例1
一方にコロナ処理面を有する厚さ12μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを使用し、これを図2に示す、るつぼに入れたアルミニウムへのエレクトロンビームの入射位置より前方であって、該るつぼのアルミニウムが接する内側壁面を、アルミニウムが接する内側底面の接線に対して45°傾斜させて設けたるつぼを備えるエレクトロンビーム物理蒸着装置に装着した。次に、エレクトロンビーム物理蒸着装置内における蒸着チャンバー内の真空度を2.0×10-4mbar、巻き取りチャンバー内の真空度を2.0×10-2mbar程度に減圧し、フィルムの搬送速度を540m/minとして、酸素ガスを供給しながら電力を25kwとしたエレクトロンビームを、まず、るつぼ中のアルミニウムに照射することにより前記アルミニウムを蒸発させ、コーティングドラム上に案内された2軸延伸ポリエステルフィルムのコロナ処理面上に、前記蒸発したアルミニウムによる膜厚30nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成させ、次いで、るつぼ中のアルミニウムへのエレクトロンビームの入射位置から前方距離が20cmになる、るつぼの傾斜させた内側壁面の上部位置にエレクトロンビーム照射口が向くように、該エレクトロンビーム照射口をスキャンさせ、該るつぼの傾斜させた内側壁面の上部位置に向けて該エレクトロンビーム照射口より照射したエレクトロンビームを反射させ、該エレクトロンビームの反射二次電子により、コーティングドラム上の、酸化アルミニウムの蒸着膜を形成させた2軸延伸ポリエステルフィルムに、さらに複数の微細な空孔を設ける。次に、前記条件で得られた複数の微細な空孔を有する酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエステルフィルム上に、2液硬化型ポリウレタン系ラミネート用接着剤を形成し、厚さ60μmの低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネートして積層体にし、ガスバリア性フィルム1を製造した。
実施例2
るつぼのアルミニウムが接する内側壁面を、アルミニウムが接する内側底面の接線に対して30°傾斜させて設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム2を製造した。
実施例3
るつぼのアルミニウムが接する内側壁面を、アルミニウムが接する内側底面の接線に対して60°傾斜させて設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム3を製造した。
比較例1
るつぼのアルミニウムが接する内側壁面を、アルミニウムが接する内側底面の接線に対して15°傾斜させて設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム4を製造した。
比較例2
るつぼのアルミニウムが接する内側壁面を、アルミニウムが接する内側底面の接線に対して70°傾斜させて設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム5を製造した。
評価方法
実施例1〜3、比較例1〜2で製造したガスバリア性フィルムを用い、ガスバリア性の評価を行った。このガスバリア性は、酸素透過度および水蒸気透過度により評価した。その結果を表1に示す。なお、酸素透過度の測定は、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OX−TRAN2/20)〕にて測定した。また、水蒸気透過度の測定は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN3/31)〕にて測定した。なお、表1において、酸素透過度の単位は、〔cc/m2/day・23℃・90%RH〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2/day・40℃・90%RH〕である。
結果
(1)上記の実施例および比較例から、るつぼのアルミニウムが接する内側壁面を、アルミニウムが接する内側底面の接線に対して30°〜60°の範囲の角度で傾斜させて設けた場合には、酸素透過度が23〜86cc/m2/dayとなり、前記るつぼ内側壁面の傾斜角度を15°もしくは70°に傾斜させて設けた場合よりも酸素透過度が10倍以上高くなり、酸素ガスに対するバリア性が低下する、と判明した。
(2)上記の実施例および比較例から、前記るつぼ内側壁面の傾斜角度を15°もしくは70°に傾斜させて設けた場合の水蒸気透過度が2.1〜2.3cc/m2/dayであるのに比べて、前記るつぼ内側壁面の傾斜角度を30°〜60°の範囲の角度で傾斜させて設けた場合には、水蒸気透過度が1.3〜1.6cc/m2/dayに若干低下し、水蒸気に対するバリア性が向上する、と判明した。
従って、前記るつぼ内側壁面の傾斜角度を、30°〜60°の範囲で傾斜させれば、水蒸気バリア性を確保しつつ、酸素をより透過可能にすることが判明した。