JP4768959B2 - 自立可能なステッキ - Google Patents
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Description
これは、把持部(3)と、該把持部(3)に略直交する縦長の支持筒(2)とを具えたステッキ(1)であり、下部には地面に接して支持筒(2)を支える複数の脚片(5)(5)を開閉自在に設けている。脚片(5)(5)の上端部は、支持筒(2)にスライド可能に嵌められた可動体(25)に枢支(50)され、支持筒(2)上にて可動体(25)と把持部(3)との間には、ロック爪(26)が出没可能に設けられている。可動体(25)の上端部には、ロック爪(26)に嵌まる孔(29)が開設されている。
支持筒(2)の下端部には、可動環(27)及び固定環(27a)が嵌められており、可動環(27)及び固定環(27a)は脚片(5)と連結杆(55)(55)にて枢支連結され、リンク機構を構成している。可動環(27)及び固定環(27a)間には、スリーブ(28)が支持筒(2)に嵌められ、脚片(5)(5)が開いた状態で、可動環(27)及び固定環(27a)はスリーブ(28)の端部に接している。可動環(27)と可動体(25)との間には、圧縮バネ(56)が設けられている。固定環(27a)は支持筒(2)に固定されている。
脚片(5)を開くには、ロック爪(26)を押して、孔(29)との係合を解除する。可動体(25)は自重で降下する。圧縮バネ(56)の復元力により、可動環(27)が押し下げられ、脚片(5)(5)が開く。可動環(27)がスリーブ(28)の上端に接して、脚片(5)の開き姿勢を保ち、ステッキ(1)は自立可能となる。
本発明の目的は、脚片(5)を開く速度と脚片(5)の開き角度を、独立して自由に設定できるステッキを提供することにある。
可動体(25)は支持筒(2)内に配備された筒体(6)内を昇降し、
支持筒(2)内には、可動体(25)の下降完了時に更なる下降を規制する筒体(6)に嵌まった第2環(61)、第2環(61)を上下に貫通するワイヤ(10)、及び第2環(61)に接するストッパ片(13)、及び可動体(25)とは独立して昇降可能な筒体(6)に嵌まった第1環(60)と、該第1環(60)に繋がって第1環(60)より下側に位置する保持筒(8)が設けられ、
可動体(25)の下端部には、ワイヤ(10)の下端部が取り付けられた摺動子(7)が取り付けられ、
脚片(5)は前記枢支部(50)より下側で、保持筒(8)に連繋され、
第2環(61)上には、可動体(25)の下降完了状態から、第1環(60)を上向きに付勢する開脚バネ(63)が設けられている。
また、支持筒(2)又は把持部(3)には、可動体(25)の下降完了状態から、第2環(61)及び可動体(25)を引き上げる収納手段が設けられ、収納手段には、該収納手段の第2環(61)及び可動体(25)の引上げ操作に抗するリターンバネ(64)が接続され、収納手段は、支持筒(2)又は把持部(3)に納まった初期状態と、可動体(25)をリターンバネ(64)に抗してロック機構(4)に係止させるまで引き上げた操作完了状態との間を移動可能に設けられ、操作完了状態からリターンバネ(64)によって第2環(61)及びストッパ片(13)とともに初期状態に戻される。
可動体(25)は上昇して、ロック機構(4)に係止されている。脚片(5)は閉じている。
ステッキを自立させるとき
使用者は操作手段を操作する。ロック機構(4)が解除され、リリースバネ(66)により可動体(25)は下向きに付勢される。ストッパ片(13)と第2環(61)によって可動体(25)の下降は止まる。脚片(5)は上端部が可動体(25)に枢支(50)され、前記上端部より下側で可動体(25)とは独立して昇降可能な保持筒(8)に連繋されている。保持部材は可動体(25)の下降完了状態にて開脚バネ(63)により上がる。即ち、可動体(25)の下降ストロークと保持筒(8)の下降ストロークは異なる。これにより、脚片(5)は開く。換言すれば、脚片(5)の開き角度は開脚バネ(63)がどれだけ保持部材を上昇させるかにより決定される。
即ち、脚片(5)が開く速度はリリースバネ(66)により決定され、脚片(5)の開き角度は開脚バネ(63)により決定される。これにより、脚片(5)を開く速度を設定するバネ体と、脚片(5)の開き角度を設定するバネ体を別個に設けることにより、脚片(5)を開く速度と脚片(5)の開き角度を独立して自由に設定できる。
自立状態から脚片を収納するとき
使用者は収納手段を手で引き出すと、第2環(61)及びリターンバネ(64)に抗して可動体(25)は引き上げられる。これにより、脚片(5)は閉じて、支持筒(2)内に収納され、可動体(25)はロック機構(4)に係止される。この状態で収納手段から手を離すと、収納手段及び第2環(61)は、リターンバネ(64)により、初期状態に戻される。第2環(61)上の開脚バネ(63)も戻され、保持部材の上向き付勢が解除される。
即ち、収納手段は自動で元に戻り、該収納手段の高さ位置は変わらない。これにより、使用者の使い勝手が良くなる。
以下、本発明の一例を図を用いて詳述する。
図1(a)、(b)は、ステッキ(1)の斜視図である。ステッキ(1)は、把持部(3)と、該把持部(3)に略直交した縦長中空の支持筒(2)を具え、該支持筒(2)の下端部には、石突き(19)が設けられている。支持筒(2)の下面開口(図示せず)は、石突き(19)の下面と同一面内にある。支持筒(2)は金属製であり、使用者が体重を掛けても、支持筒(2)は容易に撓まない。また、後記する支持筒(2)の内部の部品も保護される。
把持部(3)の一端部には、押圧される操作釦(30)が、他端部にはストラップ(31)が出没可能に設けられている。脚片(5)(5)が閉じた状態で、操作釦(30)を押し込むと、脚片(5)が石突き(19)の下面から飛び出して、脚片(5)(5)が開く。脚片(5)(5)が開いた状態で、ストラップ(31)を引き出すと、脚片(5)(5)が閉じて、支持筒(2)内に収納される。その後、ストラップ(31)は自動で戻る。
筒体(6)の外周には、第1環(60)、第2環(61)、第3環(62)が上から順に夫々嵌まり、第1環(60)、第2環(61)は筒体(6)に沿って昇降可能で、第3環(62)は筒体(6)に固定されている。第1環(60)、第2環(61)には第1ワイヤ(10)が貫通する。第1ワイヤ(10)には、第1環(60)と第2環(61)の間にて、ストッパ片(13)が取り付けられ、後記するように第1ワイヤ(10)の下降時はストッパ片(13)が第2環(61)に接する。ストラップ(31)は第2ワイヤ(11)を介して第2環(61)に繋がる。
筒体(6)には、圧縮バネである開脚バネ(63)、引張りバネであるリターンバネ(64)が嵌まり、開脚バネ(63)は第2環(61)上に載置される。リターンバネ(64)は、第2環(61)と第3環(62)に掛けられており、脚片(5)を閉じた状態では、リターンバネ(64)は自由長さとなっている。
図3は、筒体(6)の内部構造を示す正面図である。可動体(25)と筒体(6)の間には、引張りバネであるリリースバネ(66)が設けられ、該リリースバネ(66)により可動体(25)が下向きに付勢される。前記の如く、初期状態では、可動体(25)がロック機構(4)に係止され、可動体(25)は不用意に降下しない。
図4(a)、(b)、(c)は、ロック機構(4)の構成及び動作を示す正面図である。可動体(25)の上端部には、半球状の頭部(23)及び該頭部(23)から下向きに延びた小径部(24)が設けられている。前記操作釦(30)は第2圧縮バネ(65)により把持部(3)から突出する向きに付勢されており、先端部が第1棒(40)に繋がる。該第1棒(40)は円板(42)を介して第2棒(41)に連繋する。該第2棒(41)の先端部が、小径部(24)の側部に嵌まり、これにより可動体(25)は第2棒(41)に係止され、下降が規制される。
可動体(25)が第2棒(41)に係止された図4(a)の状態から、第2圧縮バネ(65)に抗して操作釦(30)を指で押すと、図4(b)に示すように、円板(42)が時計方向に回転し、第2棒(41)が左向きに移動する。図4(c)に示すように第2棒(41)と可動体(25)の係合状態が外れ、可動体(25)は前記リリースバネ(66)により下向きに移動する。操作釦(30)から指を離すと、第2圧縮バネ(65)によって操作釦(30)は元に戻る。尚、可動体(25)を係止するロック機構(4)には、この他、種々の構成が考えられ、上記の構成に限定されない。
図6(a)に示すように、脚片(5)が閉じた状態から、取付け片(72)が下がる又は保持筒(8)を上げると、図6(b)に示すように、枢支部(50)を中心に脚片(5)が開く。取付け片(72)を上げる又は保持筒(8)が下がると、脚片(5)が閉じる。
取付け片(72)が可動体(25)に繋がり、図2に示すように、脚片(5)が閉じた状態では、可動体(25)がロック機構(4)に係止されているから、取付け片(72)の上下位置が決まる。従って、脚片(5)の上下位置も決まる。
連結杆(52)が脚片(5)に枢支(51)され、該連結杆(52)は保持筒(8)に枢支(53)されているから、脚片(5)が閉じた状態では、保持筒(8)の上下位置が定まる。保持筒(8)と第1環(60)とが第3ワイヤ(12)にて連結されているから、第1環(60)の上下位置が定まる。
以下にステッキ(1)の脚片(5)の開閉動作を示す。
脚片(5)を開くには、操作釦(30)を押し込む。第2棒(41)と可動体(25)の係合状態が解除され、可動体(25)は前記リリースバネ(66)により、下向きに移動する。即ち、可動体(25)の降下速度はリリースバネ(66)にて決まる。
図7は、可動体(25)が降下した状態を示す正面図である。可動体(25)の降下により、可動体(25)に繋がる摺動子(7)が降下し、摺動子(7)に繋がった第1ワイヤ(10)が降下する。脚片(5)は可動体(25)に繋がった取付け片(72)に枢支(50)されており、連結杆(52)は脚片(5)と保持筒(8)を連結しているから、脚片(5)と保持筒(8)も降下する。
保持筒(8)の降下により、第3ワイヤ(12)にて保持筒(8)に連結された第1環(60)も降下する。摺動子(7)の降下時に、鍔(70)と保持筒(8)の上端が接すると、衝撃音が生じる虞れがあるが、緩衝体(73)によりこの虞れを防いでいる。脚片(5)は支持筒(2)の下面から突出する。
第1ワイヤ(10)に取り付けられたストッパ片(13)が第2環(61)に接すると、摺動子(7)及び第1ワイヤ(10)の降下が止まる。摺動子(7)は可動体(25)に繋がっているから、可動体(25)の降下も止まる。
即ち、摺動子(7)及び該摺動子(7)に繋がった可動体(25)の下降ストロークは、ストッパ片(13)が第2環(61)に接する迄であり、図2にLで示される。これに対し、第1環(60)は距離Lだけ一旦降下した後に、開脚バネ(63)に稍上向きに押し上げられ、第1環(60)、保持筒(8)の合計荷重と開脚バネ(63)の付勢力が釣り合った上下位置にて止まる。換言すれば、第1環(60)及び保持筒(8)の下降ストロークは、距離Lよりも短くなり、該下降ストロークは、開脚バネ(63)により決定される。
保持筒(8)の下降ストロークが取付け片(72)の下降ストロークよりも短いから、図6(b)に示すように、脚片(5)は開くことができる。この保持筒(8)の下降ストロークにより、脚片(5)が開く角度(図6(b)のθ)が決定される。
即ち、使用者が操作釦(30)を押し込むと、脚片(5)が支持筒(2)から突出して開き、ステッキ(1)を自立させることができる。
脚片(5)を閉じるには、図7に示す状態から、片手で支持筒(2)を掴み、他方の手でストラップ(31)を引っ張る。図8に示すように、ストラップ(31)は第2ワイヤ(11)を介して第2環(61)に繋がっているから、第2環(61)がリターンバネ(64)に抗して引き上げられる。第3環(62)が筒体(6)に固定されているから、リターンバネ(64)は伸びる。第2環(61)上に載置されているストッパ片(13)及び該ストッパ片(13)を取り付けた第1ワイヤ(10)も引き上げられる。第1ワイヤ(10)の引き上げにより、摺動子(7)及び可動体(25)が引き上げられる。連結杆(52)が支持筒(2)の下端開口の周縁に接して、脚片(5)(5)が閉じる。
更に、第2環(61)を引き上げることにより、開脚バネ(63)は第1環(60)を上向きに押す。第1環(60)は、第3ワイヤ(12)を介して保持筒(8)に繋がっているから、保持筒(8)も引き上げられる。第1環(60)と第2環(61)の間隔は変わらない。
可動体(25)がロックされた状態では、ストラップ(31)は引き出されている。この状態で、ストラップ(31)から手を離す。リターンバネ(64)が伸ばされているから、ストラップ(31)から手を離すと、リターンバネ(64)により第2環(61)は下向きに引っ張られる。開脚バネ(63)は自由になる。第1環(60)は開脚バネ(63)により押し上げられていたが、開脚バネ(63)の降下により該押し上げが解除される。従って、第1環(60)及び第3ワイヤ(12)を介して第1環(60)に繋がった保持筒(8)が稍下降する。
可動体(25)はロック機構(4)によりロックされているから、図2に示す初期状態に戻る。可動体(25)に繋がった摺動子(7)及び取付け片(72)は上下移動しない。
また、脚片(5)が開いた状態で、ストラップ(31)を引き上げる。可動体(25)はロック機構(4)に係止される。連結杆(52)が支持筒(2)の下端開口の周縁に接して、脚片(5)が閉じる。この状態でストラップ(31)から手を離すと、ストラップ(31)はリターンバネ(64)により、初期状態に戻される。
即ち、ストラップ(31)は自動で元に戻り、該ストラップ(31)の高さ位置は変わらない。これにより、使用者の使い勝手が良くなる。
更に、脚片(5)が支持筒(2)内に収納されるから、脚片(5)が露出することによる危険、例えば被服が脚片(5)に引掛かる等の虞れを防止できる。
本願の内容は、ステッキとしても使える傘にも応用できるのは、勿論である。
(2) 支持筒
(3) 把持部
(4) ロック機構
(5) 脚片
(6) 筒体
(25) 可動体
(31) ストラップ
(63) 開脚バネ
(66) リリースバネ
Claims (4)
- 下端部に脚片(5)(5)を開閉自在に設けた支持筒(2)と、把持部(3)と、支持筒(2)に沿って昇降する可動体(25)を有し、脚片(5)は上端部が可動体(25)に枢支(50)され、支持筒(2)又は把持部(3)には、該可動体(25)を上昇状態にて係止して脚片(5)を閉じた状態を保つロック機構(4)と、ロック機構(4)が可動体(25)を係止した状態を解除する操作手段と、脚片(5)を開く向きに可動体(25)を付勢するリリースバネ(66)が設けられ、可動体(25)の下降状態にて脚片(5)(5)が開くステッキに於いて、
可動体(25)は支持筒(2)内に配備された筒体(6)内を昇降し、
支持筒(2)内には、可動体(25)の下降完了時に更なる下降を規制する筒体(6)に嵌まった第2環(61)、第2環(61)を上下に貫通するワイヤ(10)、及びワイヤ(10)に取り付けられて第2環(61)に接するストッパ片(13)、及び可動体(25)とは独立して昇降可能な筒体(6)に嵌まった第1環(60)と、該第1環(60)に繋がって第1環(60)より下側に位置する保持筒(8)が設けられ、
可動体(25)の下端部には、ワイヤ(10)の下端部が取り付けられた摺動子(7)が取り付けられ、
脚片(5)は前記枢支部(50)より下側で、保持筒(8)に連繋され、
第2環(61)上には、可動体(25)の下降完了状態から、第1環(60)を上向きに付勢する開脚バネ(63)が設けられたことを特徴とするステッキ。 - 支持筒(2)又は把持部(3)には、可動体(25)の下降完了状態から、第2環(61)及び可動体(25)を引き上げる収納手段が設けられ、収納手段には、該収納手段の第2環(61)及び可動体(25)引上げ操作に抗するリターンバネ(64)が接続され、
収納手段は、支持筒(2)又は把持部(3)に納まった初期状態と、可動体(25)をリターンバネ(64)に抗してロック機構(4)に係止させるまで引き上げた操作完了状態との間を移動可能に設けられ、操作完了状態からリターンバネ(64)によって第2環(61)及びストッパ片(13)とともに初期状態に戻される請求項1に記載のステッキ。 - リリースバネ(66)は、筒体(6)と可動体(25)の間に掛けられた引張りバネであり、開脚バネ(63)は該第2環(61)上に設けられた圧縮バネである請求項1又は2に記載のステッキ。
- 収納手段は、支持筒(2)又は把持部(3)に出没自在に設けられたストラップ(31)である請求項2に記載のステッキ。
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