以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1の実施形態を図1〜図10により説明する。
図1は、本実施形態が適用された油圧ショベルの油圧駆動装置の構成を表す油圧回路図である。
この図1において、油圧ショベルの油圧駆動装置は、ディーゼルエンジン1と、作動油を貯留するタンク2と、エンジン1によって駆動され、タンク2からの作動油を加圧するメインの可変容量型の油圧ポンプ3A〜3Cと、油圧ポンプ3A〜3Cの吐出圧をそれぞれ検出する圧力センサ4A〜4Cと、油圧ポンプ3A〜3Cの容量(傾転角)をそれぞれ制御するレギュレータ5A〜5Cと、エンジン1によって駆動され、タンク2からの作動油を加圧する固定容量型のパイロットポンプ6とを備えている。また、油圧ポンプ3A〜3Cから吐出された圧油により駆動する複数の油圧アクチュエータ(詳細には、左右一対のブーム用油圧シリンダ7、アーム用油圧シリンダ8、バケット用油圧シリンダ9、旋回用油圧モータ10、及び左右の走行用油圧モータ11L,11R)と、油圧ポンプ3A〜3Cからブーム用油圧シリンダ7への圧油の流れをそれぞれ制御する油圧パイロット方式のブーム用コントロールバルブ12A〜12Cと、油圧ポンプ3A,3Bからアーム用油圧シリンダ8への圧油の流れをそれぞれ制御する油圧パイロット方式のアーム用コントロールバルブ13A,13Bと、油圧ポンプ3A,3Bからバケット用油圧シリンダ9への圧油の流れをそれぞれ制御する油圧パイロット方式のバケット用コントロールバルブ14A,14Bと、油圧ポンプ3Cから旋回用油圧モータ10への圧油の流れを制御する油圧パイロット方式の旋回用コントロールバルブ15と、油圧ポンプ3Aから左走行用油圧モータ11Lへの圧油の流れを制御する油圧パイロット方式の左走行用コントロールバルブ16と、油圧ポンプ3Bから右走行用油圧モータ11Rへの圧油の流れを制御する油圧パイロット方式の右走行用コントロールバルブ17とを備えている。
油圧ショベルの運転席(図示せず)の左側には、アーム(図示せず)のダンプ・クラウド及び上部旋回体(図示せず)の左・右の旋回を指示する操作装置18が設けられている。操作装置18は、十字操作式の操作レバー19と、この操作レバー19の操作量に応じてパイロットポンプ6からの1次パイロット圧を減圧した操作パイロット圧(2次パイロット圧)を出力する二対の減圧弁20a,20b,21a,21bとを有している。
そして、例えば操作レバー19を前側に操作すると、その操作量に応じて減圧弁20aで生成した操作パイロット圧をアーム用コントロールバルブ13A,13Bのパイロット操作部へ出力し、これによってアーム用コントロールバルブ13A,13Bを切り換えてアーム用油圧シリンダ8を縮短させる。また、例えば操作レバー19を後側に操作すると、その操作量に応じて減圧弁20bで生成した操作パイロット圧をアーム用コントロールバルブ13A,13Bのパイロット操作部へ出力し、これによってアーム用コントロールバルブ13A,13Bを切り換えてアーム用油圧シリンダ8を伸長させるようになっている。なお、減圧弁20aとアーム用コントロールバルブ13A,13Bとの間に接続されたパイロット管路には、減圧弁20aの操作パイロット圧を検出する圧力センサ22aが設けられている。また、減圧弁20bとアーム用コントロールバルブ13A,13Bとの間に接続されたパイロット管路には、減圧弁20bの操作パイロット圧を検出する圧力センサ22bが設けられている。
また、例えば操作レバー19を左側に操作すると、その操作量に応じて減圧弁21aで生成した操作パイロット圧を旋回用コントロールバルブ15のパイロット操作部へ出力し、これによって旋回用コントロールバルブ15を切り換えて旋回用油圧モータ10を一方向に回転駆動させる。また、例えば操作レバー19を右側に操作すると、その操作量に応じて減圧弁21bで生成した操作パイロット圧を旋回用コントロールバルブ15のパイロット操作部へ出力し、これによって旋回用コントロールバルブ15を切り換えて旋回用油圧モータ10を反対方向に回転駆動させるようになっている。なお、減圧弁21aと旋回用コントロールバルブ15との間に接続されたパイロット管路並びに減圧弁21bと旋回用コントロールバルブ15との間に接続されたパイロット管路には分岐管路がそれぞれ接続されており、これら分岐管路がシャトル弁に接続されている。そして、このシャトル弁を介して減圧弁21a,21bのうち大きいほうの操作パイロット圧を検出する圧力センサ23が設けられている。
また、油圧ショベルの運転席の右側には、ブーム(図示せず)の下げ・上げ及びバケット(図示せず)のクラウド・ダンプを指示する操作装置24が設けられている。操作装置24は、十字操作式の操作レバー25と、この操作レバー25の操作量に応じてパイロットポンプ6からの1次パイロット圧を減圧した操作パイロット圧(2次パイロット圧)を出力する二対の減圧弁26a,26b,27a,27bとを有している。
そして、例えば操作レバー25を前側に操作すると、その操作量に応じて減圧弁26aで生成した操作パイロット圧をブーム用コントロールバルブ12A〜12Cのパイロット操作部へ出力し、これによってブーム用コントロールバルブ12A〜12Cを切り換えてブーム用油圧シリンダ7を縮短させる。また、例えば操作レバー25を後側に操作すると、その操作量に応じて減圧弁26bで生成した操作パイロット圧をブーム用コントロールバルブ12A〜12Cのパイロット操作部へ出力し、これによってブーム用コントロールバルブ12A〜12Cを切り換えてブーム用油圧シリンダ7を伸長させるようになっている。なお、減圧弁26aとブーム用コントロールバルブ12A〜12Cとの間に接続されたパイロット管路には、減圧弁26aの操作パイロット圧を検出する圧力センサ28aが設けられている。また、減圧弁26bとブーム用コントロールバルブ12A〜12Cとの間に接続されたパイロット管路には、減圧弁26bの操作パイロット圧を検出する圧力センサ28bが設けられている。
また、例えば操作レバー25を左側に操作すると、その操作量に応じて減圧弁27aで生成した操作パイロット圧をバケット用コントロールバルブ14A,14Bのパイロット操作部へ出力し、これによってバケット用コントロールバルブ14A,14Bを切り換えてバケット用油圧シリンダ9を伸長させる。また、例えば操作レバー25を右側に操作すると、その操作量に応じて減圧弁27bで生成した操作パイロット圧をバケット用コントロールバルブ14A,14Bのパイロット操作部へ出力し、これによってバケット用コントロールバルブ14A,14Bを切り換えてバケット用油圧シリンダ9を縮短させるようになっている。なお、減圧弁27aとバケット用コントロールバルブ14A,14Bとの間に接続されたパイロット管路には、減圧弁27aの操作パイロット圧を検出する圧力センサ29aが設けられている。また、減圧弁27bとバケット用コントロールバルブ14A,14Bとの間に接続されたパイロット管路には、減圧弁27bの操作パイロット圧を検出する圧力センサ29bが設けられている。
また、油圧ショベルの運転席の前方側には、例えば下部走行体(図示せず)に設けられた左右の履体(クローラ、図示せず)等の動作を指示する操作装置30が設けられている。操作装置30は、手でも足でも前後方向に操作可能な左右の操作レバー31L,31Rと、左の操作レバー31Lの操作量に応じてパイロットポンプ6からの1次パイロット圧を減圧した操作パイロット圧(2次パイロット圧)を出力する一対の減圧弁32a,32bと、右の操作レバー31Rの操作量に応じてパイロットポンプ6からの1次パイロット圧を減圧した操作パイロット圧(2次パイロット圧)を出力する一対の減圧弁33a,33bとを有している。
そして、例えば左の操作レバー31Lを前側に操作すると、その操作量に応じて減圧弁32aで生成した操作パイロット圧を左走行用コントロールバルブ16のパイロット操作部へ出力し、これによって左走行用コントロールバルブ16を切り換えて左走行用油圧モータ11Lを一方向に回転駆動させる。また、例えば左の操作レバー31Lを後側に操作すると、その操作量に応じて減圧弁32bで生成した操作パイロット圧を左走行用コントロールバルブ16のパイロット操作部へ出力し、これによって左走行用コントロールバルブ16を切り換えて左走行油圧モータ11Lを逆方向に回転駆動させるようになっている。なお、減圧弁32aと左走行用コントロールバルブ16との間に接続されたパイロット管路並びに減圧弁32bと左走行用コントロールバルブ16との間に接続されたパイロット管路には分岐管路がそれぞれ接続されており、これら分岐管路がシャトル弁に接続されている。そして、このシャトル弁を介して減圧弁32a,32bのうち大きいほうの操作パイロット圧を検出する圧力センサ34が設けられている。
また、例えば右の操作レバー31Rを前側に操作すると、その操作量に応じて減圧弁33aで生成した操作パイロット圧を右走行用コントロールバルブ17のパイロット操作部へ出力し、これによって右走行用コントロールバルブ17を切り換えて右走行用油圧モータ11Rを一方向に回転駆動させる。また、例えば右の操作レバー31Rを後側に操作すると、その操作量に応じて減圧弁33bで生成した操作パイロット圧を右走行用コントロールバルブ17のパイロット操作部へ出力し、これによって右走行用コントロールバルブ17を切り換えて右走行用油圧モータ11Rを反対方向に回転駆動させるようになっている。なお、減圧弁33aと右走行用コントロールバルブ17との間に接続されたパイロット管路並びに減圧弁33bと右走行用コントロールバルブ17との間に接続されたパイロット管路には分岐管路がそれぞれ接続されており、これら分岐管路がシャトル弁に接続されている。そして、このシャトル弁を介し減圧弁33a,33bのうち大きいほうの操作パイロット圧を検出する圧力センサ35が設けられている。
図2は、本実施形態による建設機械の監視装置の要部構成を表すブロック図である。
この図2において、油圧ショベルは、エンジンコントローラ36と、ポンプコントローラ37と、データ記録ユニット38と、モニタ39とを備えており、それらはネットワーク(CAN:Controller Area Network)40を介し互いに接続されている。
油圧ショベルの運転室内には、エンジン1の目標回転数を指示可能なダイヤル41が設けられており、このダイヤル41からの指示信号がエンジンコントローラ36及びポンプコントローラ37に入力されるようになっている。また、エンジン1の実回転数を検出する回転数センサ42が設けられており、この回転数センサ42からの検出信号がエンジンコントローラ36及びポンプコントローラ37に入力されるようになっている。また、上述した圧力センサ4A〜4Bからの検出信号及び圧力センサ22a,22b,23,28a,28b,29a,29b,35,36(以降、「圧力センサ22a等」と称す)からの検出信号がポンプコントローラ37に入力されるようになっている。
また、油圧ショベルの運転室内には、HPモード、Pモード、及びEモードのうちのいずれか1つを選択可能なモードスイッチ43(モード指示手段)が設けられており、このモードスイッチ43からのモード信号がポンプコントローラ37に入力され、さらにポンプコントローラ37を介してエンジンコントローラ36に入力されるようになっている。そして、ポンプコントローラ37は、図3に示すように、例えばモードスイッチ43でHPモードが選択された場合、油圧ポンプ3A〜3Cの制限トルクをエンジン1の実回転数の増減に応じて変動させるスピードセンシングトルク制御を行い、例えばモードスイッチ43でPモード又はEモードが選択された場合、油圧ポンプ3A〜3Cの制限トルクをエンジン1の実回転数の増減に拘わらず固定する定トルク制御を行うようになっている(詳細は後述)。また、エンジンコントローラ36は、図3に示すように、モードスイッチ43で選択されたモードに対応する制限値でエンジン1の回転数を制限するようになっている(詳細は後述)。
まず、エンジンコントローラ36の制御機能の詳細を説明する。図4は、エンジンコントローラ36の機能構成を表すブロック図である。
この図4において、エンジンコントローラ36は、ポンプコントローラ37からのモード信号及びダイヤル41からの指示信号に基づいてエンジン1の目標回転数を演算する目標回転数演算部44と、この目標回転数演算部44で演算された目標回転数に基づいてエンジン1のレギュレーション特性を設定するレギュレーション特性設定部45と、回転数センサ42からの検出信号に基づいてエンジン1の実回転数を演算し、この実回転数とレギュレーション特性設定部45で設定されたレギュレーション特性に基づいて燃料噴射量を演算する燃料噴射量演算部46と、この燃料噴射量演算部46で演算された燃料噴射量に基づいてエンジン1の電子ガバナ(燃料噴射装置)47を制御するガバナ制御部48とを有している。
目標回転数演算部44は、HPモードの最大目標回転数Nhp、モードPの最大目標回転数Np(但しNp<Nhp)、モードEの最大目標回転数Ne(但しNe<Np)を予め記憶している。そして、ダイヤル41からの指示信号に基づいて指示目標回転数を演算し、この指示目標回転数とモードスイッチ43で選択されたモードの最大目標回転数とを比較して小さい方をエンジン1の目標回転数とする。
レギュレーション特性設定部45は、目標回転数演算部44で演算された目標回転数に応じてエンジン1のレギュレーション特性(エンジン回転数に対するエンジントルク特性)を設定する。前述の図3では、ダイヤル41の指示信号が最大である場合(すなわち、HPモードでは目標回転数Nhp、Pモードでは目標回転数Np、Eモードでは目標回転数Neとなる場合)のHPモード、Pモード、及びEモードのレギュレーション特性をそれぞれ示している。このレギュレーション特性のガバナ領域(燃料噴射量調整領域)は、目標回転数(定格回転数)からエンジン回転数が上昇するのに従ってエンジントルクが単調に減少するようになっている(ドループ特性)。
燃料噴射量演算部46は、回転数センサ42からの検出信号に基づいてエンジン1の実回転数を演算する。そして、例えばレギュレーション特性設定部45で設定されたレギュレーション特性のガバナ領域にエンジン1の実回転数がある場合は、目標回転数と実回転数との偏差にドループ特性の傾きに対応するゲインを乗じて燃料噴射量を演算する。そして、ガバナ制御部48は、燃料噴射量演算部46で演算された燃料噴射量に対応する制御信号を電子ガバナ47に出力するようになっている。
次に、ポンプコントローラ37の機能詳細を説明する。ポンプコントローラ37は、ポンプトルクを制限する制御機能と、油圧アクチュエータの動作速度を操作レバーの操作量に対応させる制御機能とを有している。図5は、ポンプコントローラ37の機能構成を表すブロック図である。
この図5において、ポンプコントローラ37は、モードスイッチ43からのモード信号に応じて油圧ポンプ3A〜3Cの制限トルク(但し、HPモードの場合はベーストルク)を設定する制限トルク設定部49と、モードスイッチ43でHPモードが選択された場合、ダイヤル41からの指示信号に基づいてエンジン1の目標回転数を演算する目標回転数演算部50と、モードスイッチ43でHPモードが選択された場合、回転数センサ42からの検出信号に基づいてエンジン1の実回転数を演算し、このエンジン1の実回転数と目標回転数演算部50で演算された目標回転数に基づいて油圧ポンプ3A〜3Cの制限トルクの補正値を演算する制限トルク補正演算部51と、モードスイッチ43でHPモードが選択された場合、制限トルク補正演算部51で演算された補正値を制限トルク演算部49で演算された制限トルクに加算する加算部52と、この加算部52から入力した制限トルクに基づき油圧ポンプ3A〜3Cの容量を演算するポンプ容量第1演算部53とを有している。また、圧力センサ22a等からの検出信号に基づいて操作パイロット圧をそれぞれ演算し、油圧ポンプ3A〜3Cの系統毎に最大操作パイロット圧を演算するパイロット圧演算部54と、このパイロット圧演算部54で演算された最大操作パイロット圧に基づき油圧ポンプ3A〜3Cの容量を演算するポンプ容量第2演算部55と、油圧ポンプ3A〜3Cのそれぞれに対しポンプ容量第1演算部53及びポンプ容量第2演算部55で演算された容量のうち小さい方を選択する比較部56と、この比較部56から入力した油圧ポンプ3A〜3Cの容量に基づいてレギュレータ5A〜5Cを制御するレギュレータ制御部57とを有している。
制限トルク設定部49は、HPモードにおける油圧ポンプ3A〜3Cのベーストルク(前述の図3では全油圧ポンプのベーストルクThpを示している)、Pモードにおける油圧ポンプ3A〜3Cの制限トルク(前述の図3では全ポンプの制限トルクTpを示している。但しTp<Thp)、モードEにおける油圧ポンプ3A〜3Cの制限トルク(前述の図3では全油圧ポンプの制限トルクTeを示している。但しTe<Tp)を予め記憶している。そして、モードスイッチ43からのモード信号に応じて油圧ポンプ3A〜3Cの制限トルク(又はベーストルク)をそれぞれ設定するようになっている。
回転数演算部50は、モードスイッチ43からのモード信号によりHPモードであるかどうかを判定するようになっている。そして、例えばHPモードであると判定した場合、ダイヤル41からの指示信号に基づいてエンジン1の指示目標回転数を演算し、この指示目標回転数とHPモードの最大目標回転数Nhpとを比較して小さい方を目標回転数として出力する。制限トルク補正演算部51は、回転数演算部50から入力した目標回転数に応じて目標マッチング回転数(詳細には、目標回転数に基づき設定されるエンジン1のレギュレーション特性とHPモードの全油圧ポンプのベーストルクThpとの交点におけるエンジン回転数。前述の図3参照)を一義的に設定する。そして、回転数センサ42からの検出信号に基づいてエンジン1の実回転数を演算し、この実回転数と目標マッチング回転数との偏差に基づいて油圧ポンプ3A〜3Cの制限トルクの補正値を演算する。具体的には、例えばエンジン1の実回転数がマッチング回転数より大きい場合は、その偏差の増大に従ってプラス側に大きくなる補正値を演算し、一方、例えば実回転数がマッチング回転数より小さい場合は、その偏差の増大に従ってマイナス側に大きくなる補正値を演算する(前述の図3参照)。そして、加算部52は、例えば制限トルク補正演算部51から補正値が入力されると(言い換えれば、HPモードの場合)、制限トルク設定部49で設定されたベーストルクにその補正値を加算して出力するようになっている。
ポンプ容量第1演算部53は、圧力センサ4A〜4Cからの検出信号に基づいて油圧ポンプ3A〜3Cの吐出圧をそれぞれ演算し、これら油圧ポンプ3A〜3Cの吐出圧と加算部52から入力した油圧ポンプ3A〜3Cの制限トルクに基づいて油圧ポンプ3A〜3Cの容積を演算するようになっている。その詳細を、油圧ポンプ3Cを代表例とし、図6及び図7を用いて説明する。
例えばEモードが選択されて油圧ポンプ3Cの制限トルクがTc_eである場合、図6に示すように、油圧ポンプ3Cの吐出圧がP1未満では、油圧ポンプ3Cの容積が最大値qc_maxであっても油圧ポンプ3Cのトルクは制限トルクTc_eに達しない。一方、油圧ポンプ3Cの吐出圧がP1以上では、油圧ポンプ3Cのトルクが制限トルクTc_eとなるように(言い換えれば、制限トルクTc_eを越えないように)油圧ポンプ3Cの容積を減少させるように演算する。また、例えばPモードが選択されて油圧ポンプ3Cの制限トルクがTc_p(但しTc_p>Tc_e)である場合、図6に示すように、油圧ポンプ3Cの吐出圧がP2(但しP2>P1)未満では、油圧ポンプ3Cの容積が最大値qc_maxであっても油圧ポンプ3Cのトルクは制限トルクTc_pに達しない。一方、油圧ポンプ3Cの吐出圧がP2以上では、油圧ポンプ3Cのトルクが制限トルクTc_pとなるように(言い換えれば、制限トルクTc_pを越えないように)油圧ポンプ3Cの容積を減少させるように演算する。
また、例えばHPモードが選択されて油圧ポンプ3Cの制限トルクがベーストルクTc_hp1(但しTc_hp1>Tc_p)となる場合(詳細には、エンジン1の実回転数がマッチング回転数となり、制限トルクの補正値がゼロである場合)、図6及び図7に示すように、油圧ポンプ3Cの吐出圧がP3(但しP3>P2)未満では、油圧ポンプ3Cの容積が最大値qc_maxであっても油圧ポンプ3Cのトルクは制限トルクTc_hp1に達しない。一方、油圧ポンプ3Cの吐出圧がP3以上では、油圧ポンプ3Cのトルクが制限トルクTc_hp1となるように(言い換えれば、制限トルクTc_hp1を越えないように)油圧ポンプ3Cの容積を減少させるように演算する。また、例えばHPモードが選択されて油圧ポンプ3Cの制限トルクが最大値Tc_hp2(但しTc_hp2>Tc_hp1)となる場合(詳細には、エンジン1の実回転数が目標マッチング回転数より大きくなり、制限トルクの補正値がプラス側に最大となる場合)、図7に示すように、油圧ポンプ3Cの吐出圧がP4(但しP4>P3)未満では、油圧ポンプ3Cの容積が最大値qc_maxであっても油圧ポンプ3Cのトルクは制限トルクTc_hp2に達しない。一方、油圧ポンプ3Cの吐出圧がP4以上では、油圧ポンプ3Cのトルクが制限トルクTc_hp2となるように(言い換えれば、制限トルクTc_hp2を越えないように)油圧ポンプ3Cの容積を減少させるように演算する。また、例えばHPモードが選択されて油圧ポンプ3Cの制限トルクが最小値Tc_hp3(但しTc_hp3<Tc_hp1)となる場合(詳細には、エンジン1の実回転数が目標マッチング回転数より小さくなり、制限トルクの補正値がマイナス側に最大となる場合)、図7に示すように、油圧ポンプ3Cの吐出圧がP5(但しP5<P3)未満では、油圧ポンプ3Cの容積が最大値qc_maxであっても油圧ポンプ3Cのトルクは制限トルクTc_hp3に達しない。一方、油圧ポンプ3Cの吐出圧がP5以上では、油圧ポンプ3Cのトルクが制限トルクTc_hp3となるように(言い換えれば、制限トルクTc_hp3を越えないように)油圧ポンプ3Cの容積を減少させるように演算する。
パイロット圧演算部54は、油圧ポンプ3Aの系統(詳細には、ブーム用コントロールバルブ12A、アーム用コントロールバルブ13A、バケット用コントロールバルブ14A、及び左走行用コントロールバルブ16)に係る圧力センサ22a,22b,28a,28b,29a,29b,34の検出信号に基づいて最大操作パイロット圧を演算する。また、油圧ポンプ3Bの系統(詳細には、ブーム用コントロールバルブ12B、アーム用コントロールバルブ13B、バケット用コントロールバルブ14B、及び右走行用コントロールバルブ17)に係る圧力センサ22a,22b,28a,28b,29a,29b,35の検出信号に基づいて最大操作パイロット圧を演算する。また、油圧ポンプ3Cの系統(詳細には、ブーム用コントロールバルブ12C及び旋回用コントロールバルブ15)に係る圧力センサ28a,28b,23の検出信号に基づいて最大操作パイロット圧を演算するようになっている。
ポンプ容量第2演算部55は、対応する最大操作パイロット圧に基づき油圧ポンプ3A〜3Cの容量を演算するようになっている。その詳細を、油圧ポンプ3Cを代表例とし、図8を用いて説明する。例えば最大操作パイロット圧がS1未満の場合は、油圧ポンプ3Cの容積を最小値qc_minとし、また例えば最大操作パイロット圧がS2(但しS2>S1)以上の場合は、油圧ポンプ3Cの容積を最大値qc_maxとし、また例えば最大操作パイロット圧がS1以上S2未満の場合は、最大操作パイロット圧の増加に応じてポンプ容積が単調増加するように演算する。
そして、比較部56は、油圧ポンプ3A〜3Cのそれぞれに対し、ポンプ容量第1演算部53で演算された容量及びポンプ容量第2演算部55で演算された容量のうち小さい方を選択し、レギュレータ制御部57は、この比較部56から入力した油圧ポンプ3A〜3Cの容量に対応する制御信号をレギュレータ5A〜5Cに出力するようになっている。これにより、油圧ポンプ3A〜3Cのトルクを制限することができるとともに、例えばポンプ容量第2演算部55で演算された容量が支配的となる場合は、油圧アクチュエータの動作速度を操作レバーの操作量に対応させることができるようになっている。
次に、本実施形態の要部であるデータ記録ユニット38について説明する。データ記録ユニット38は、エンジンコントローラ36やポンプコントローラ37から各種状態量を取得し、それらの条件に基づいてエンジン1の実回転数を取得して記録するようになっている。このようなデータ記録ユニット38の制御手順を図9により説明する。
図9は、データ記録ユニット38の制御処理内容を表すフローチャートである。
この図9において、まずステップ100において、タイマ時間t=0に初期化する。そして、ステップ110に進み、例えばエンジン1の実回転数によりエンジン1が駆動しているかどうかを判定する。例えばエンジン1が駆動している場合は、ステップ110の判定が満たされ、ステップ120に移る。ステップ120では、ダイヤル41の指示信号が最大であるかどうかを判定する。例えばダイヤル41の指示信号が最大である場合は、ステップ120の判定が満たされ、ステップ130に移る。ステップ130では、油圧ポンプ3A〜3Cの各系統における最大操作パイロット圧が全て最大値Smax(前述の図8参照)であるかどうかを判定する(本実施形態では、ブームに係る操作パイロット圧が最大値Smaxであるかどうかを判定するようにしてもよい)。例えば油圧ポンプ3A〜3Cの各系統における最大操作パイロット圧が全て最大値Smaxである場合は、ステップ130の判定が満たされ、ステップ140に移る。
ステップ140では、全ての油圧ポンプ3A〜3Cの吐出圧が予め設定された所定の閾値Px(前述の図6及び図7で示すようにP1〜P5よりも大きい値)に達したかどうかを判定することにより、油圧ポンプ3A〜3Cのトルクが制限値に達したかどうかを判断する。例えば全ての油圧ポンプ3A〜3Cの吐出圧が所定の閾値Pxに達している場合(言い換えれば、油圧ポンプ3A〜3Cのトルクが制限値に達している場合)、ステップ140の判定が満たされ、ステップ150に進んで、タイマを作動させてタイマ時間tを進める。その後、ステップ160に進んで、タイマ時間tが予め設定された所定時間Y(例えば2秒)以上であるかどうかを判定する。
例えばタイマ時間tが所定時間Y未満である場合は、ステップ160の判定が満たされず、前述のステップ110に戻って同様の手順を繰り返す。そして、例えばステップ110〜150の手順が繰り返し行われてタイマ時間tが所定時間Y以上になると、ステップ160の判定が満たされ、ステップ170に移る。ステップ170では、エンジン1の実回転数を取得し、モードの種類(HPモード、Pモード、又はEモード)と関連づけて一次記録する。
一方、例えばステップ110でエンジン1が駆動していない場合は、その判定が満たされず、ステップ110に戻って、タイマ時間t=0にリセットする。また、例えばステップ120でダイヤル41の指示信号が最大でない場合は、ステップ110に戻って、タイマ時間t=0にリセットする。また、例えばステップ130で油圧ポンプ3A〜3Cの各系統における最大操作パイロット圧のうちのいずれかが最大値Smaxでない場合は、その判定が満たされず、ステップ110に戻って、タイマ時間t=0にリセットする。また、例えばステップ140で油圧ポンプ3A〜3Cの吐出圧のいずれかが所定の閾値Pxに達していない場合は、その判定が満たされず、ステップ110に戻って、タイマ時間t=0にリセットする。
なお、上述したように所定時間Yが経過してからエンジン1の実回転数を取得して記録した理由を、図10を用いて説明する。図10は、モードスイッチ43でHPモードが選択された場合に運転者がブームの上げを意図して操作レバー25を中立位置から後側の最大操作位置まで操作したときのエンジン1の実回転数の変動を表す図である。操作レバー25が中立位置にあってエンジン1が無負荷状態にあるときは、エンジン1の実回転数が目標回転数より高いハイアイドル状態にある。そして、操作レバー25を後側の最大操作位置まで操作してブームの上げ動作を行うと、エンジン1への燃料噴射制御の応答遅れにより、燃料噴射エンジン1の実回転数が一時的に落ち込むラグダウンという現象が起こる。本実施形態では、このラグダウンを回避するため、所定時間Yが経過してからエンジン1の実回転数を取得して記録するようになっている。
そして、データ記録ユニット38は、一次記録されたエンジン1の実回転数からモード毎に定期的(例えば30分毎や1日毎)に平均値を演算し、これらをエンジン1の運転状態の傾向を表すトレンドデータとして二次記録する。また、データ記録ユニット38は、通信端末58を介し管理事務所の情報端末等(図示せず)にトレンドデータを定期的に送信するようになっている。また、モニタ39は、データ記録ユニット38からトレンドデータを入力し、エンジン1の実回転数の平均値が予め設定された基準範囲から外れていないかどうかを判定する。そして、エンジン1の実回転数の平均値が基準範囲から外れている場合は、メンテナンスを促すメッセージ等を表示するようになっている。
なお、上記において、ダイヤル41は、特許請求の範囲記載のエンジンの目標回転数を指示する回転数指示手段を構成し、エンジンコントローラ36は、回転数指示手段で指示された目標回転数に基づいてエンジンの燃料噴射装置を制御するエンジン制御手段を構成する。また、圧力センサ4A〜4Cは、第1油圧ポンプの吐出圧を検出する吐出圧検出手段を構成し、ポンプコントローラ37及びレギュレータ5A〜5Cは、吐出圧検出手段で検出された第1油圧ポンプの吐出圧の上昇に応じて第1油圧ポンプの容量を減少させ、第1油圧ポンプのトルクを制限値に制限する第1ポンプ制御手段を構成する。また、回転数センサ42は、エンジンの実回転数を検出する回転数検出手段を構成する。また、データ記録ユニット38は、吐出圧検出手段で検出された第1油圧ポンプの吐出圧が予め設定された所定の閾値に達したかどうかを判断することにより、第1油圧ポンプのトルクが制限値に達したかどうかを判定する第1ポンプトルク判定手段を構成し、さらに、回転数指示手段で指示されたエンジンの目標回転数が予め設定された所定の設定値でかつ第1ポンプトルク判定手段で第1油圧ポンプのトルクが制限値に達したと判定された状態が予め設定した時間継続した後に、回転数センサで検出されたエンジンの実回転数をモード指示手段で指示されたモード別に取得し、そのエンジン実回転数から所定の時間間隔毎の代表値をモード別に演算し、これをエンジンの運転状態の傾向を示すトレンドデータとして生成するトレンドデータ生成手段をも構成する。
以上のように構成された本実施形態においては、データ記録ユニット38は、油圧ポンプ3A〜3Cの各系統における最大操作パイロット圧が全て最大値であるかどうか、さらに圧力センサ4A〜4Cで検出された油圧ポンプ3A〜3Cの吐出圧が予め設定された所定の閾値Pxに達したかどうかを判定することにより、油圧ポンプ3A〜3Cのトルクが制限値に達したかどうかを判断する。そして、ダイヤル41の指示信号が最大でかつ油圧ポンプ3A〜3Cのトルクが制限値に達したと判断された状態が予め設定した時間継続した後に、回転数センサ42で検出されたエンジン1の実回転数を取得して一次記録し、このエンジン1の実回転数の平均値を定期的にモード毎に演算し、これらをトレンドデータとして記録する。これにより、上記従来技術に比べ、油圧ポンプ3A〜3Cのトルクが制限値に達したときのエンジン1の実回転数(マッチング回転数)を確実に取得することができ、トレンドデータの信頼性を向上させることができる。その結果、エンジンの運転状態の傾向をより的確に把握することができる。
また、油圧ポンプ3A〜3Cは、長期使用により、機器の摩擦等で制御トルクが変化することがある。そして、例えば油圧ポンプ3A〜3Cの制御トルクが既定値より大きくなると、油圧機器やエンジン1等の故障の原因となり、例えば油圧ポンプ3A〜3Cの制御トルクが小さくなると、油圧ショベルの作業量が少なくなる傾向にある。本実施形態では、マッチング回転数のトレンドデータを作成するので、ポンプ3A〜3Cの制御トルクの不具合を把握することができる。
なお、上記第1の実施形態においては、エンジン1の実回転数の平均値をモード毎に定期的に演算し、これらをトレンドデータとして記録する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えばHPモード、Pモード、及びEモードのうちのいずれか1つにおけるエンジン1の実傾転数を取得して一次記録し、その平均値を定期的に演算し、これをトレンドデータとして記録するようにしてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
本発明の第2の実施形態を図11により説明する。本実施形態は、上部旋回体の旋回操作の有無に応じて、旋回用油圧モータに圧油を供給する油圧ポンプのトルク制限値を変更する実施形態である。なお、本実施形態において、上記第1の実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態では、ポンプコントローラ37の制限トルク設定部49は、圧力センサ23からの検出信号を入力し、この検出信号により旋回操作の有無を判定するようになっている。そして、例えば旋回操作が無いと判定した場合は、上記第1の実施形態と同様、モードスイッチ43からのモード信号に応じて油圧ポンプ3Cの制限トルク(又はベーストルク)を設定する。一方、例えば旋回操作が有りと判定した場合は、油圧ポンプ3CにおけるHPモードのベーストルク、Pモードの制限トルク、及びEモードの制限トルクを減少させる。これにより、上部旋回体の旋回動作速度を抑えるようになっている。
このような本実施形態では、旋回操作の有無に応じて油圧ポンプ3Cのトルクが変動し、全油圧ポンプのトルクが変動する。そこで、本実施形態では、データ記録ユニット38は、エンジン1の実回転数を取得する条件として、旋回操作の有無の判定を加えている。このようなデータ記録ユニット38の制御手順を図11により説明する。
図11は、データ記録ユニット38の制御処理内容を表すフローチャートである。
この図11において、例えばエンジンが駆動しかつダイヤル41の指示信号が最大である場合は、ステップ100を経由しステップ110及び120の判定が満たされ、ステップ180に移る。ステップ180では、圧力センサ23の検出信号により旋回操作が行われていないかどうかを判定する。例えば旋回操作が行われた場合は、ステップ180の判定が満たされず、ステップ110に戻って、タイマ時間t=0にリセットする。一方、例えば旋回操作が行われていない場合は、ステップ180の判定が満たされ、ステップ130に移る。そして、例えば油圧ポンプ3A〜3Cの各系統における最大操作パイロット圧が全て最大値Smaxである場合に、ステップ130の判定が満たされ、さらに全ての油圧ポンプ3A〜3Cの吐出圧が所定の閾値Pxに達している場合(言い換えれば、油圧ポンプ3A〜3Cのトルクが制限値に達している場合)に、ステップ140の判定が満たされ、ステップ150に進んで、タイマを作動させてタイマ時間tを進める。
そして、例えばステップ110、120,180,130,140,150の手順が繰り返し行われてタイマ時間tが所定時間Y以上になると、ステップ160の判定が満たされ、ステップ170に移る。ステップ170では、エンジン1の実回転数を取得し、モードの種類(HPモード、Pモード、又はEモード)と関連づけて一次記録する。その後、データ記録ユニット38は、エンジン1の実回転数の平均値をモード別に定期的に演算し、これらをトレンドデータとして二次記録する。
なお、上記において、圧力センサ23は、特許請求の範囲記載の特定の油圧アクチュエータの操作の有無を検出する操作検出手段を構成し、ポンプコントローラ37は、操作検出手段の検出結果に応じて第1油圧ポンプのトルクの制限値を変更する第1ポンプ制御手段を構成する。また、データ記録ユニット38は、回転数センサで検出されたエンジンの実回転数を取得する条件として、操作検出手段で特定の油圧アクチュエータが操作されていないと検出されたことを加えたトレンドデータ生成手段を構成する。
以上のように構成された本実施形態においても、上記第1の実施形態同様、トレンドデータの信頼性を向上させることができ、エンジン等の運転状態の傾向をより的確に把握することができる。
本発明の第3の実施形態を図12〜図16により説明する。本実施形態は、エンジンによって駆動され冷却ファン用油圧モータに圧油を供給する可変容量型の油圧ポンプを設けた実施形態である。なお、本実施形態において、上記第1及び第2の実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図12は、本実施形態が適用された油圧ショベルの油圧駆動装置の構成を表す油圧回路図である。また、図13は、本実施形態による建設機械の監視装置の要部構成を表すブロック図である。
本実施形態では、油圧ショベルの油圧駆動装置は、コントロールバルブ12A〜12C,13A,13B,14A,14B,15,16,17から作動油タンク2への戻り油管路にバイパスされたバイパス管路に設けられ、作動油を冷却する空冷式のオイルクーラ59と、このオイルクーラ59への冷却風を生起する冷却ファン60と、この冷却ファン60を回転駆動するファン用油圧モータ61と、エンジン1によって駆動されファン用油圧モータ61に圧油を供給する可変容量型の油圧ポンプ3Dと、油圧ポンプ3Dの容量(傾転角)を制御するレギュレータ5Dと、例えば作動油タンク2からポンプ3A〜3D,6への油管路に設けられ、作動油の温度を検出する温度センサ62とを備えている。
ポンプコントローラ37Aは、上記第1の実施形態のポンプコントローラ37Aの制御機能に加えて、冷却ファン60の回転数制御機能を有している。図14は、ポンプコントローラ37Aの冷却ファンの回数制御機能に係る構成を表すブロック図である。
この図14において、ポンプコントローラ37Aは、温度センサ62からの検出信号に基づいて油圧ポンプ3Dの容量を演算するポンプ容量第3演算部63と、このポンプ容量第3演算部で演算された油圧ポンプ3Dの容量に基づいてレギュレータ5Dを制御するレギュレータ制御部64とを有している。
ポンプ容量第3演算部63は、温度センサ62からの検出信号に基づいて作動油の温度を演算し、この作動油の温度に基づいて油圧ポンプ3Dの容量を演算するようになっている。詳細には、図15に示すように、例えば作動油の温度がt1未満では油圧ポンプ3Dの容積を最小値qd_minとし、また例えば作動油の温度がt2(但しt2>t1)以上では油圧ポンプの容積を最大値qd_maxとし、また例えば作動油の温度がt1以上t2未満の場合は、作動油の温度の増加に応じてポンプ容積が増加するように演算する。また、例えば、基づき油圧ポンプ3A〜3Cの容量を演算するようになっている。
このような本実施形態では、作動油の温度に応じて油圧ポンプ3Dのトルクが変動し、全油圧ポンプのトルクが変動する。そこで、本実施形態では、データ記録ユニット38Aは、エンジン1の実回転数を取得する条件として、作動油の温度の判定を加えている。このようなデータ記録ユニット38Aの制御手順を図16により説明する。
図16は、データ記録ユニット38Aの制御処理内容を表すフローチャートである。
この図16において、例えばエンジンが駆動しかつダイヤル41の指示信号が最大である場合は、ステップ100を経由しステップ110及び120の判定が満たされ、ステップ190に移る。ステップ190では、作動油の温度が予め設定された所定の閾値Tx(前述の図15で示すようにt2よりも大きい値)に達したかどうかを判定することにより、油圧ポンプ3Dのトルクが最大値Td_max(前述の図15参照)に達したかどうかを判断する。
例えば作動油の温度が所定の閾値Txに達していない場合(言い換えれば、油圧ポンプ3Dのトルクが最大値Td_maxに達していない場合)、ステップ190の判定が満たされず、ステップ110に戻って、タイマ時間t=0にリセットする。一方、例えば作動油の温度が所定の閾値Txに達している場合(言い換えれば、油圧ポンプ3Dのトルクが最大値Td_maxに達している場合)、ステップ190の判定が満たされ、ステップ180に移る。
そして、例えば旋回操作が行われていない場合に、ステップ180の判定が満たされ、さらに例えば油圧ポンプ3A〜3Cの各系統における最大操作パイロット圧が全て最大値Smaxである場合に、ステップ130の判定が満たされ、さらに全ての油圧ポンプ3A〜3Cの吐出圧が所定の閾値Pxに達している場合(言い換えれば、油圧ポンプ3A〜3Cのトルクが制限値に達している場合)に、ステップ140の判定が満たされ、ステップ150に進んで、タイマを作動させてタイマ時間tを進める。
そして、例えばステップ110、120,190,180,130,140,150の手順が繰り返し行われてタイマ時間tが所定時間Y以上になると、ステップ160の判定が満たされ、ステップ170に移る。ステップ170では、エンジン1の実回転数を取得し、モードの種類(HPモード、Pモード、又はEモード)と関連づけて一次記録する。その後、データ記録ユニット38は、エンジン1の実回転数の平均値をモード別に定期的に演算し、これらをトレンドデータとして二次記録する。
なお、上記において、温度センサ62は、特許請求の範囲記載の放熱器の被冷却媒体の温度を検出する温度検出手段を構成する。また、ポンプコントローラ37Aは、温度検出手段で検出された放熱器の被冷却媒体の温度の上昇に応じて第2油圧ポンプの容量を増加させる第2ポンプ制御手段を構成する。また、データ記録ユニット38Aは、温度検出手段で検出された放熱器の被冷却媒体温度が予め設定された所定の閾値に達したかどうかを判断することにより、第2油圧ポンプのトルクが最大値に達したかどうかを判定する第2ポンプトルク判定手段を構成し、さらに、回転数センサで検出されたエンジンの実回転数を取得する条件として、第2ポンプトルク判定手段で第2油圧ポンプのトルクが最大値に達したと判定されたことを加えるトレンドデータ生成手段を構成する。
以上のように構成された本実施形態においても、上記第1の実施形態同様、トレンドデータの信頼性を向上させることができ、エンジン等の運転状態の傾向をより的確に把握することができる。
なお、上記第3の実施形態においては、放熱器としてオイルクーラ59を例にとって説明したが、これに限られず、例えばラジエータやインタークーラ等に適用してもよい。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
なお、以上においては、本発明の適用対象として油圧ショベルを例にとって説明したが、これに限られず、クレーン等の他の建設機械に適用してもよいことは言うまでもない。