以下に、本発明にかかる被検体内観察システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
(実施の形態1)
図1は、本発明にかかる被検体内観察システムの好適な実施の形態1である無線型の被検体内観察システムの全体構成を示す模式図である。この被検体内観察システムは、カプセル型医療装置の一例としてカプセル型内視鏡を用いている。図1において、被検体内観察システムは、供給装置1によって被検体2の所望の臓器、たとえば胃3内に導入され体腔内画像を撮像して映像信号などのデータ送信を行うカプセル型内視鏡4を含む被検体内導入体5と、胃3内に導入されたカプセル型内視鏡4から送信される無線信号の受信処理に用いられる受信装置6とを備える。この受信装置6は、被検体2のそばに配設された状態で使用され、カプセル型内視鏡4から受信した無線信号の受信処理を行うためのものである。被検体内導入体5は、供給装置1内に用意された、カプセル型内視鏡4と、第1の液体7と、第2の液体8とからなる。
また、本実施の形態1の被検体内観察システムは、受信装置6が受信した映像信号に基づいて体腔内画像を表示する表示部9を含み、システム全体の制御を司るワークステーション10を備える。受信装置6は、被検体2の体外表面で胃3付近に貼付される一つ又は複数のアンテナ6aと、このアンテナ6aに接続されアンテナ6aを介して受信された無線信号の受信処理等を行う受信本体ユニット6bとを備える。なお、アンテナ6aは、たとえば被検体2が着用可能な受信ジャケットに備え付けられ、被検体2は、この受信ジャケットを着用することによって、アンテナ6aを装着するようにしてもよい。また、この場合、アンテナ6aは、ジャケットに対して着脱自在なものであってもよい。
ワークステーション10は、受信装置6に対して有線接続されてデータの受け渡しが可能に構成されている。表示部9は、カプセル型内視鏡4によって撮像された体腔内画像などを表示するためのものであり、具体的には、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイなどによって直接画像を表示する構成としてもよいし、プリンタなどのように、他の媒体に画像を出力する構成としてもよい。なお、受信装置6とワークステーション10との間のデータの受け渡しは、受信装置6に内蔵型の記録装置、たとえばハードディスクを用い、ワークステーション10との間のデータの受け渡しのために、双方を無線接続するように構成してもよい。さらには、被検体2側には、アンテナ6aのみ備え、アンテナ6aの受信信号を通信により直接的にワークステーション10側に取り込み可能とし、ワークステーション10自体を受信装置として用いるように構成してもよい。
また、本実施の形態1の被検体内観察システムは、第1の液体7、第2の液体8とともに胃3内に導入されてその液体同士の境界面12上に浮揚するカプセル型内視鏡4の浮揚位置および浮揚姿勢を変化させるためのカプセル変位駆動手段である磁界付与手段としての外部永久磁石13と、観察対象となる被検体2の体位を変換するための体位変換装置14とを備える。外部永久磁石13は、医師等の医療従事者が手で把持することで被検体2の体表表面上の任意かつ所望の位置に配設自在に設けられている。体位変換装置14は、ベッド構造をベースとして図示しない機構により電動的かつ3次元的に自在に回動変位することにより、被検体2の体位を仰臥位(または、背臥位)、立位、側臥位の状態に適宜変換させるためのものである。
ここで、図2を参照して、被検体内導入体5について説明する。図2は、被検体内導入体5を含む供給装置1を示す概略斜視図である。本実施の形態1の供給装置1は、隔壁で区切られた2つの収納部1a,1bを有して被検体内導入体5を一体に収納した樹脂製パッケージ構造からなる。収納部1aは、第1の液体7およびカプセル型内視鏡4を一緒に収納し、切り取り線1cの切断により開口される一端側の飲み口1dから第1の液体7およびカプセル型内視鏡4を経口的に被検体2の胃3内に導入可能に構成されている。収納部1bは、第2の液体8を収納し、切り取り線1eの切断により開口される他端側の飲み口1fから第2の液体8を経口的に被検体2の胃3内に導入可能に構成されている。また、収納部1a,1bの容積は、胃3内に導入すべき液体導入量に応じて適宜設定されるが、たとえば、数百ミリリットル程度に設定される。
このような供給装置1に収納されて被検体内導入体5を構成するカプセル型内視鏡4、第1の液体7および第2の液体8は、いずれも比重1前後のものであるが、相互に異なる比重のものであり、比重の大小関係は、(第1の液体7)>(カプセル型内視鏡4)>(第2の液体8)を満足するように設定されている。また、第1の液体7および第2の液体8は、ともに被検体2の口腔から飲用可能であって、互いに混じりあわず、かつ、カプセル型内視鏡4の撮像光学系の波長に対して透明な液体が用いられている。本実施の形態では、一例として、第1の液体7は、比重が1に近い飲料水であり、第2の液体8は、比重が1よりも軽いオリーブ油等の食用油である。さらに、本実施の形態1では、第1の液体7や第2の液体8は、観察期間中、胃3内に滞留させることを目的としているため、飲用時の液温が20℃以上であることが望ましい。飲料水やスポーツ飲料の場合に胃での吸収が最も早いのが液温5〜15℃といわれており、この液温よりも高めの温度、たとえば20℃以上程度の液温であれば、吸収が遅くなり、胃3内に滞留する時間を確保できるからである。
また、図3を参照して、カプセル型内視鏡4について説明する。図3は、カプセル型内視鏡4の概略構成を示す側面図である。本実施の形態1のカプセル型内視鏡4は、図3に示すように、被検体2の体腔内に導入可能なカプセル型筐体21と、このカプセル型筐体21内に内蔵されて前端方向の撮影が可能な撮像光学系22とを備える単眼型のカプセル型内視鏡である。また、カプセル型内視鏡4は、カプセル型筐体21内に、基板や回路構成部品や送信アンテナなどの回路系部23や、電池(バッテリ)24などとともに、永久磁石25、加速度センサ26、角速度センサ(ジャイロ)27などを備える。
カプセル型筐体21は、被検体2の口腔から体内に飲み込み可能な大きさのものであり、略半球状で透明性あるいは透光性を有する先端カバー21aと、可視光が不透過な有色材質からなる有底筒形状の胴部カバー21bとを弾性的に嵌合させることで、内部を液密に封止する外装ケースを形成している。
撮像光学系22は、カプセル型筐体21内にあって、たとえば体腔内撮像部位を先端カバー21a部分を介して照明するための照明光を出射するLEDなどの複数の発光素子28(以下、「LED28」という)と、照明光による反射光を受光して体腔内撮像部位を撮像するCCDやCMOSなどの撮像素子29(以下代表して、「CCD29」という)と、このCCD29に被写体の像を結像させる結像レンズ30と、を備え、先端カバー21a側なる前端部方向の撮影が可能とされている。
永久磁石25は、そのN極、S極がカプセル型内視鏡4の長手方向に位置するように磁化されたものである。永久磁石25は、カプセル型内視鏡4の内蔵物中では重量物であるが、カプセル型筐体21内の後端部側に配設され、かつ、前端側の先端カバー21a内には空気層31を確保することで、本実施の形態1のカプセル型内視鏡4は、前端側が相対的に軽くなるように前後方向の重量バランスを変えることで重心位置が中心よりも後端側に偏心している。なお、このような重量バランスとするために、電池24を後端部側に配設させたり、錘等の別部材による重量物を後端部側に配設させたりしてもよい。
加速度センサ26は、カプセル型筐体21内でカプセル型内視鏡4の加速度を検出し、検出結果を積分することでカプセル型内視鏡4の移動量を検出するためのものである。本実施の形態1では、3軸(カプセル型内視鏡4の長手方向Zと径方向X,Y)の加速度の検出が可能とされている。角速度センサ(ジャイロ)27は、カプセル型筐体21内でカプセル型内視鏡4の揺動角度を検出するためのものである。角速度センサ27からの検出信号は、現在のカプセル型内視鏡4の向いている方向(姿勢)の検出に供される。加速度センサ26および角速度センサ27を備えることで、カプセル型内視鏡4の位置および向き(CCD29の上下方向も含む)の検出が可能である。これらの加速度センサ26および角速度センサ27は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用した超小型センサとして構成され、後述するように第1の液体7と第2の液体8との境界面12に浮揚するカプセル型内視鏡4の浮揚位置および浮揚姿勢を検出する検出手段を実現している。なお、カプセル型内視鏡4の浮揚位置の検出のみでよい場合には加速度センサ26のみを備えればよく、カプセル型内視鏡4の浮揚姿勢の検出のみでよい場合には角速度センサ27のみを備えればよい。
ここで、前述のワークステーション10の構成例について図4を参照して説明する。図4は、ワークステーション10の構成例を示す概略ブロック図である。本実施の形態1のワークステーション10は、制御部41と、この制御部41に接続された入力部42、表示部9、記憶部43および通信部44とを備える。入力部42は、キーボード、マウス等からなり、制御部41に対して必要な情報を自動的に入力し、または手動操作に基づき入力するためのものである。記憶部43は、カプセル型内視鏡4から得られる各種情報、その他の情報を記憶するためのものであり、ハードディスク装置等により構成されている。通信部44は、受信装置6とワークスステーション10との間の送受信を受け持つためのものである。
また、制御部41は、CPU、ROMおよびRAM等のコンピュータ構成からなるものであり、表示制御部41a、通信制御部41b、画像処理部41c、画像結合部41d、位置姿勢検出部41e、状態判断部41f等の各種機能実行部を備える。表示制御部41aは、カプセル型内視鏡4から受信装置6を介して取得した体腔内画像等の表示部9への表示制御を行うためのものである。通信制御部41bは、通信部44が行う受信装置6とワークスステーション10との間の送受信動作を制御するためのものである。画像処理部41cは、カプセル型内視鏡4から受信装置6を介して取得した体腔内画像データに関して必要な各種画像処理を施すためのものである。位置姿勢検出部41eは、加速度センサ26や角速度センサ27が検出したカプセル型内視鏡4の位置および向きの情報に基づいてその浮揚位置および浮揚姿勢を検出するためのものである。画像結合部41dは、カプセル型内視鏡4が撮像した胃3内の複数の画像データに関して、位置姿勢検出部41eにより検出されたカプセル型内視鏡4の浮揚位置および浮揚姿勢の情報を参照することで、画像データ中の共通部分を抽出し、複数の画像同士を連結結合するための結合処理を実行するためのものである。状態判断部41fは、外部永久磁石13をカプセル型内視鏡4に近づけた場合にこのカプセル型内視鏡4が印加される外部磁界に反応して位置変位または姿勢変位したか否かのカプセル型内視鏡4の状態を加速度センサ26の検出出力に基づいて判断するためのものである。
次に、本実施の形態1の胃3内の観察方法について図5〜図8を参照して説明する。図5は、観察時の胃3内の様子を示す概略正面図である。観察に先立ち、供給装置1から経口的に、カプセル型内視鏡4を第1の液体7、第2の液体8とともに胃3内に導入する。被検体内導入体5を構成するカプセル型内視鏡4、第1の液体7および第2の液体8は、胃3内に導入されると、その比重の違いにより、図5に示すように、第1の液体7上に第2の液体8が境界面12を形成して積層状態となり、中間の比重を有するカプセル型内視鏡4がこの境界面12に位置して浮揚する。
ここで、カプセル型内視鏡4は、図3で説明したように、重心が後端側に偏心しているので、境界面12において撮像方向となる前端側が上を向く立ち状態(鉛直状態)で浮揚する。この立ち状態は、第1の液体7だけの場合でもある程度は確保されるが、本実施の形態1では、境界面12が液体同士により形成されており、上方が空気の場合よりも比重差の少ない第2の液体8が存在する場合の方が粘性が強いため、境界面12の揺らぎ等があってもカプセル型内視鏡4の動き(倒れ)が鈍くなり、重心配置に従う立ち状態で境界面12に安定して浮揚することとなる。このような上向き安定状態で、カプセル型内視鏡4によって胃3内の上方側を撮像することで内壁画像を取得して、受信装置6側に送信出力することができる。
このような胃3の内壁の撮像の際、第2の液体8が導入されておらず空気層のままであれば、境界面12よりも上方位置の胃3の側壁3a部位等は萎んでしまい伸展・拡張が不十分となるが、本実施の形態1では、第1の液体7に加えて第2の液体8も胃3内に導入させることによって境界面12よりも上方位置の側壁3a部位に亘って十分に伸展・拡張させることができ、よって、広い臓器である胃3内で十分な視野を確保して良好なる観察を行うことができる。また、カプセル型内視鏡4の撮像方向は上向きであるが、その先端カバー21周りが空気層ではなく第2の液体8で満たされているため、先端カバー21上に傷や汚れがあっても目たちにくくなり、良好なる撮像画像を得ることができる。
この際、被検体2自身のわずかな体位変換を組合せて、胃3内における境界面12の位置を変えるだけで、カプセル型内視鏡4による撮像部位を変化させることができ、胃3内を見落としなく観察することができる。また、カプセル型内視鏡4として、図5中に示す点線に代えて実線で示すように広角化された撮像光学系22を備えるものを用いるようにすれば、少ない体位変換で胃3内をより広範囲に亘って観察することができる。
また、本実施の形態1は、第1の液体7と第2の液体8の胃3内への導入量を可変させて、境界面12の高さ位置を可変させることで、カプセル型内視鏡4の胃3内における重力方向の浮揚位置を任意の位置として、胃3内を観察させることができる。図6は、第1の液体7の導入量の増加前と増加後の胃3内の様子を示す概略正面図である。すなわち、図6(a)に示すように、カプセル型内視鏡4とともに所定量の第1の液体7、第2の液体8を飲み込んで観察を開始した後、図6(b)に示すように、適宜第1の液体7を追加して飲み込み胃3内の第1の液体7の導入量を順次増加させることで、境界面12の位置が順に高くなり、胃3の下部(幽門部)3b側から上部(噴門部)3c側に向けて順次内壁を観察することができる。この場合も、第1の液体7の追加毎に、被検体2自身のわずかな体位変換を組合せて、胃3内における境界面12の位置を変えるだけで、カプセル型内視鏡4による撮像部位を変化させることができ、胃3内を見落としなく観察することができる。
さらに、体位変換装置14による被検体2の大きな体位変換を組合せて、胃3内における境界面12の位置を大幅に変えることで、カプセル型内視鏡4による撮像部位を大きく変化させることができ、胃3内全体を一層見落としなく観察することができる。図7は、たとえば図4および図5に示すような観察状態から、体位変換装置14を90度回動させて倒し被検体2を立位状態から仰臥位(または、背臥位)状態に体位変換させた場合の観察時の胃3内の様子を断面的に示す模式図である。すなわち、上向き撮像のカプセル型内視鏡4は、図4および図5に示すような立位状態の場合には胃3の上方向を撮像観察するが、図7に示すような仰臥位(または、背臥位)状態の場合には胃3の前面側内壁(または、背面側内壁)を撮像観察することができる。さらに、側臥位状態に体位変換させるようにしてもよい。
次に、外部永久磁石13を利用する胃3内の観察方法について、図1および図8を参照して説明する。図8は、仰臥位(または、背臥位)状態の被検体2の胃3内の観察の様子を断面的に示す模式図である。前述したように、カプセル型内視鏡4は、胃3内において第1の液体7と第2の液体8との境界面12上を浮揚しながら胃3の内壁を撮像する。ここで、本実施の形態1では、被検体2外に医療従事者が手で把持した外部永久磁石13を配設しており、カプセル型内視鏡4内の永久磁石25に対して外部磁界を印加することができる。この永久磁石25は、カプセル型内視鏡4の長手方向に磁化されており、外部永久磁石13の極性を選択して対向位置に配設させて吸引方向の外部磁界を印加させながらこの外部永久磁石13の配設位置を図8中の水平方向の矢印で示すように水平面内で移動させると、それに伴ってカプセル型内視鏡4の境界面12上での浮揚位置も水平面内で強制的に変位駆動させることができる。また、外部永久磁石13の配設位置においてこの外部永久磁石13を図8中の回動方向の矢印で示すように回動変位させると、永久磁石25に印加される外部磁界の方向も鉛直方向から傾くため、それに伴ってカプセル型内視鏡4の境界面12での浮揚姿勢も水平面内で強制的に変位駆動させることができる。
これにより、境界面12上のカプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢を外部永久磁石13によって任意かつ強制的に変位させてカプセル型内視鏡4による胃3内の撮像位置や撮像方向を変えることができるので、胃3内を短時間に隈なく観察することができ、また、医師等が観察したい場所の観察も容易に実現することができる。この場合のカプセル型内視鏡4の重力方向の位置制御は、前述したような第1の液体7の胃3内導入量を順次増加させることによって簡単に行うことができる。さらに、前述したような被検体2の体位変換を組合せ、所望の体位毎にカプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢を強制的に変位させながら観察するようにすることで、より一層、胃3内を見落とし箇所無く観察することができる。特に、本実施の形態1では、カプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢を強制的に変化させるので、より少ない体位変換にて胃3内全体を隈なく観察することができる。
このようなカプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢の変化は、液体同士の境界面12上に浮揚しているカプセル型内視鏡4に対するものであり、位置や姿勢の変更時の抵抗が少ないため、小さな磁力で制御することができる。特に、本実施の形態1のカプセル型内視鏡4は、後部側に偏心させた重心配置により立ち状態を基本とするため、上向き状態のままの浮揚姿勢の変更を首振り運動のように簡単かつ安定して行わせることができる。よって、小型の永久磁石25や外部永久磁石13を利用することで実現できる。
なお、カプセル型内視鏡4の重心配置を中心または中心近傍とし、外部永久磁石13によって永久磁石25に印加する外部磁界の極性を吸引方向とすれば上記のような浮揚位置や浮揚姿勢の制御が可能となり、印加する外部磁界の極性を反発方向に切換えればカプセル型内視鏡4側の上下方向が反転した後(永久磁石25の極性が上下反転した後)、上記のような浮揚位置や浮揚姿勢の制御が可能となり、結局、カプセル型内視鏡4を上下方向で一回転させることも可能となる。
ところで、本実施の形態1では、カプセル型内視鏡4は、加速度センサ26を内蔵しており、カプセル型内視鏡4の位置を把握することが可能なため、外部永久磁石13をカプセル型内視鏡4に近づけたときにカプセル型内視鏡4が外部磁界に反応したか否か、すなわち、位置変位したかどうかの状態を確認することができる。カプセル型内視鏡4を所望通りに誘導できているか否かのこの状態判断の処理を制御部41中の状態判断部41fが行い、カプセル型内視鏡4が外部磁界に反応したか否かの判断結果を表示部9に表示させる。これにより、使用している外部永久磁石13の磁界強度や体表への押し付け具合が十分であるか否かを確認でき、印加する磁界強度の過大や不足によって見落としが発生するのを防止することができる。
なお、カプセル型内視鏡4が外部磁界に反応したか否かの判断には、加速度センサ26に限らず、位置検出機能を持つセンサや磁気センサ等を利用するようにしてもよい。また、外部永久磁石13としては、磁界強度の異なる複数種類の永久磁石を選択自在にあらかじめ用意しておき、このような状態判断の結果(印加する外部磁界の過大や不足)に応じて選択的に使い分けるようにすることが好ましい。また、被検体2の体型に合わせて使用する外部永久磁石13の強度を決めるようにしてもよい。すなわち、被検体2の体重、伸長、胴回り等に応じて、使用する外部永久磁石13の磁界強度を決定する。この際、被検体2の体重、伸長、胴回りの各値を元に使用する外部永久磁石13を決定するためのシートをあらかじめ用意しておけば、選択が適正かつ容易となる。これにより、被検体2の体型による個人差を吸収し、より正確かつ効率より検査を行うことができる。なお、被検体2の体重、伸長、胴回りの各値を入力することで、使用する外部永久磁石13を決定するプログラムを用意しておいてもよい。あるいは、体重、身長、胴回り等のデータに代えて、CTスキャン等によりあらかじめ取得されたCTデータ等を用いるようにしてもよい。
また、磁界強度の異なる複数種類の外部永久磁石13を用いる場合、所望の一つの外部永久磁石13しか取り出せないように保管収納する収納装置を備えることが望ましい。図9は、複数種類の外部永久磁石13の収納装置の構成例を示す概略断面図である。ここでは、6種類用意した外部永久磁石13a〜13fを保管収納する収納装置を例示する。
図9に示すように、この収納装置110は、外部永久磁石13a〜13fをそれぞれ個別に収納する6つの収納室111〜116と、収納室111〜116を一体的に接続する台117と、収納室111〜116の各開閉駆動を制御する制御部118とを有する。なお、外部永久磁石13a〜13fは、それぞれを特定するための磁石番号1〜6が付されているものとする。また、外部永久磁石13a〜13fは、かかる磁石番号が大きい程、強い磁力を有するものとする。
収納部111は、磁石番号1の外部永久磁石13aを収納するためのものである。具体的には、収納部111は、外部永久磁石13aを収納する箱部材111aと、箱部材111aの開口端を開閉する蓋111bと、箱部材111aに収納された外部永久磁石13aを検出する磁石検出部111cと、蓋111bを施錠するロック部111dとを有する。箱部材111aは、たとえば側断面が凹状の部材であり、開口端近傍に蓋111bが回動自在に設けられる。かかる箱部材111aに収納された外部永久磁石13aは、蓋111bを開閉することによって出し入れされる。磁石検出部111cは、外部永久磁石13aが箱部材111aに収納された場合、この外部永久磁石13aの磁場または重さを検出し、この検出結果をもとに箱部材111a内の外部永久磁石13aの有無を検出する。磁石検出部111cは、この外部永久磁石13aの検出結果を制御部118に通知する。ロック部111dは、制御部118の制御をもとに蓋111bを施錠し、または蓋111bの施錠を解除する。
また、収納部112〜116は、磁石番号2〜6の外部永久磁石13b〜13fをそれぞれ収納するためのものであり、上述した収納部111とほぼ同様の構成および機能を有する。すなわち、収納部112〜116は、外部永久磁石13b〜13fを個別に収納する箱部材112a〜116aと、箱部材112a〜116aの各開口端をそれぞれ開閉する蓋112b〜116bと、箱部材112a〜116aにそれぞれ収納された外部永久磁石13b〜13fを個別に検出する磁石検出部112c〜116cと、蓋112b〜116bをそれぞれ施錠するロック部112d〜116dとを有する。この場合、箱部材112a〜116aは収納部111の箱部材111aとほぼ同様の機能を有し、蓋112b〜116bは収納部111の蓋111bとほぼ同様の機能を有する。また、磁石検出部112c〜116cは収納部111の磁石検出部111cとほぼ同様の機能を有し、ロック部112d〜116dは収納部111のロック部111dとほぼ同様の機能を有する。
制御部118は、たとえば台117上に設けられ、上述した磁石検出部111c〜116cおよびロック部111d〜111fの各駆動を制御する。具体的には、制御部118は、磁石検出部111c〜116cから外部永久磁石13a〜13fの各検出結果を取得し、取得した外部永久磁石13a〜13fの各検出結果をもとにロック部111d〜116dの各駆動を制御する。この場合、制御部118は、磁石検出部111c〜116cの全てから磁石有りの検出結果を取得すれば、施錠を解除する駆動制御をロック部111d〜116dに対して行う。
一方、制御部118は、磁石検出部111c〜116cのうちの一つから磁石無しの検出結果を取得すれば、この磁石無しの検出結果を通知した磁石検出部を有する収納部、すなわち外部永久磁石が取り出された収納部のロック部(ロック部111d〜116dのいずれか)に対し、施錠を解除する駆動制御を行う。これと同時に、制御部118は、磁石有りの検出結果を通知した残りの磁石検出部を有する各収納部、すなわち外部永久磁石が収納されている各収納部のロック部(ロック部111d〜116dのいずれか)に対し、蓋を施錠する駆動制御を行う。
このような制御部118は、収納部111〜116にそれぞれ収納された外部永久磁石13a〜13fの中からいずれか一つを取り出せるように駆動制御し、同時に複数の外部永久磁石を取り出せないようにする。たとえば図9に示すように、検査者が外部永久磁石13a〜13fの中から外部永久磁石13aを取り出した場合、制御部118は、磁石検出部111cから磁石無しの検出結果を取得するとともに、残りの磁石検出部112c〜116fから磁石有りの検出結果を取得する。この場合、制御部118は、ロック部111dに対して蓋111bの施錠を解除する駆動制御を行うとともに、残りのロック部112d〜116dに対して蓋112b〜116bを施錠する駆動制御を行う。これによって、検査者は、収納装置110から必要な外部永久磁石のみを取り出すことができ、たとえばカプセル型内視鏡4を導入した被検体2に対して複数の外部永久磁石を意図せず近接させる事態を防止でき、より安全に被検体2内の観察を行うことができる。
次に、適宜境界面12位置の高さ調整、体位変換を伴いながら、カプセル型内視鏡4の境界面12での浮揚位置や浮揚姿勢を強制的に順次変化させながらカプセル型内視鏡4により撮像された胃3内の画像データの制御部41における処理例について図10および図11を参照して説明する。本実施の形態1では、カプセル型内視鏡4が加速度センサ26や角速度センサ27を内蔵しており、カプセル型内視鏡4が浮揚位置や浮揚姿勢を変化させながら共通部分を含む画像を連続的に撮像した場合に、カプセル型内視鏡4がどれだけ動いたかについての相対移動量を把握することができるため、エピポーラ幾何やテンプレートマッチングなどの技術を利用することで、異なる画像の共通部分が重なり合うように画像同士を繋ぎ合わせてパノラマ画像化することができる。
図10は、制御部41中の画像結合部41dにより実行される画像結合処理例を示す概略フローチャートである。概略的には、エピポーラ幾何を利用して、テンプレートマッチングの探索範囲を決定し、テンプレートマッチングにより複数の画像を繋ぎ合わせるものである。まず、結合すべき対象となる連続する2枚の画像Pn,Pn-1を入力する(ステップS201)。そして、きれいに重ね合わせるためにこれらの両画像Pn,Pn-1の歪曲収差補正を行う(ステップS202)。さらに、パターンマッチング処理を行う範囲を限定するための探索範囲を算出設定する(ステップS203)。
この探索範囲の決定は、カプセル型内視鏡4が変位した際に撮像範囲の重なり部分を大まかに検出することで、その後の画像合成の範囲を限定することで、処理速度を向上させるためのものであり、本実施の形態1においては、エピポーラ幾何を利用して決定する。図11は、エピポール幾何を利用する探索範囲設定例を示す説明図である。すなわち、カプセル型内視鏡4が、画像Pn-1を撮像した位置から画像Pnを撮像した位置に変位した場合、撮像部位の奥行きが判らないので移動前の画像Pn-1上の参照点R0が移動後の画像Pn上のどの点に対応するかは1点には定まらないが、移動前の参照点R0に対する対応点R1が移動後の画像Pnでのエピポーラ線Ep上に限定されるというエピポーラ幾何を利用するものである。この場合のPn,Pn-1間でカプセル型内視鏡4がどれだけ動いたかの相対移動量は、加速度センサ26や角速度センサ27により検出された加速度、角速度に基づく位置情報や姿勢情報の変化量が参照される。そこで、移動後の画像Pnでのエピポーラ線Epを求め、該画像Pnの端点(たとえば、左上端点と右下端点)とエピポーラ線Epとの位置関係を判断することで、画像Pn,Pn-1同士の重なり部分を判断し、探索範囲を決定する。
ついで、複数のテンプレート画像を検出し(ステップS204)、パターンマッチング処理を行う(ステップS205)。すなわち、設定された探索範囲内において、画像Pn中から複数のテンプレート画像を作成するとともに、合成すべき画像Pn-1において複数のテンプレート画像を切り出し、これらのパターンマッチングにより対応点を見出す。ここで、後述のアフィン変換の未知のパラメータ数が6個であるので、6個以上のテンプレート画像を用い、6個以上の対応点を見出す。そして、合成すべき両画像Pn,Pn-1間の関係式を回転と平行移動のアフィン変換とするアフィン変換処理を行う(ステップS206)。この処理においては、最小二乗法により6つのアフィンパラメータを算出する。そして、求めたアフィンパラメータを用いることで合成すべき画像Pn-1を直交座標系のx,y座標に変形変換することで、画像Pnと合成する(ステップS207)。このような処理を、処理対象となる全ての画像について順次繰り返す(ステップS208)。
このような画像結合処理により、複数の画像が共通部分で重なり合って連続する画像として認識することができるので、カプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢を順次強制的に駆動変位させて撮像された胃3内の診断が容易となる。
なお、ステップS207の処理においては、単純な合成処理であり、平面的な合成画像となる。そこで、さらにこのように合成された合成画像の横サイズをL、縦サイズをHとし、直径R=L/π、高さHの円柱に合成画像を貼付ける円柱マッピングを行い、円柱座標系と直交座標系の変換を行うようにしてもよい。このような合成画像を表示部9に表示させるようにすれば、カプセル型内視鏡4から胃3内を見ているようなバーチャル的な視点で、円筒内部を観察することができ、胃3内の診断が一層容易となる。
次に、上述の本実施の形態1の胃内観察方法(被検体内観察方法)の手順を図12にまとめて示す。図12は、本実施の形態1の胃内観察方法の手順を示す概略フローチャートである。まず、観察に先立ち、カプセル型内視鏡4からの信号を受信するためのアンテナ6aを被検体2の所定位置に配置するとともに、受信装置本体6bを被検体2の近傍位置に配置する(ステップS1)。次に、供給装置1内に収納されているカプセル型内視鏡4を別体の磁石等を用いて起動させる(ステップS2)。
そして、供給装置1の飲み口1dから第1の液体7を同封のカプセル型内視鏡4とともに飲み込むことで、胃3内に導入する(ステップS3)。この際、被検体2は、飲みやすくするため立位(または、座位)とする。ついで、供給装置1の飲み口1fから第2の液体8を飲み込むことで、胃3内に導入する(ステップS4)。この際、カプセル型内視鏡4は第1の液体7と同時に飲み込むことは必須ではないが、第1の液体7と一緒に飲み込むことでカプセル型内視鏡4を飲み込みやすくなる。また、カプセル型内視鏡4と第1の液体7と第2の液体8との飲み込み順序は、順不同であり、飲み込みやすい順序で構わない。その後、胃3内において境界面12が安定するまで数分程度待機する(ステップS5)。
そして、被検体2外の所望の位置に外部永久磁石13を配置させ(ステップS6)、境界面12上に浮揚するカプセル型内視鏡4の浮揚位置あるいは浮揚姿勢を決定する。これにより、たとえば図8等に示したような観察可能な状態となるので、この状態でカプセル型内視鏡4が撮像により取得した被検体内画像データを被検体2外に向けて送信出力させ、受信装置6で受信させる(ステップS7)。この撮像時に、加速度センサ26や角速度センサ27が検出した加速度情報や角速度情報も併せて被検体2外に向けて送信出力させ、受信装置6で受信させる。その後、外部永久磁石13によるカプセル型内視鏡4の必要な浮揚位置や浮揚姿勢の変更制御が終了するまで(ステップS8:Yes)、適宜タイミングで外部永久磁石13によるプセル型内視鏡4の必要な浮揚位置や浮揚姿勢の強制的な変更を行い、位置や姿勢が変化した状態でのステップS7の撮像処理を繰り返す。
その後、必要な体位変換が終了するまで(ステップS10:Yes)、適宜タイミングで、被検体2の体位を変換させ(ステップS11)、変換された体位でのステップS7〜S9の処理を繰り返す。そして、当該被検体2に対する胃3の観察がまだ完了していなければ(ステップS12:No)、適宜タイミングで、第1の液体7を胃3内に追加導入する(ステップS13)。その後、胃3内において境界面12が安定するまで数分程度待機し(ステップS14:Yes)、ステップS7以降の処理を繰り返す。当該被検体2に対する胃3の観察が終了したら(ステップS12:Yes)、観察処理を終了する。この際、被検体2を右側臥位状態に体位変換し、胃3内に導入された第1の液体7、第2の液体8とともにカプセル型内視鏡4の幽門部3b側への移動を促すことが望ましい。さらに、外部永久磁石13の外部磁界を印加しながらカプセル型内視鏡4を幽門部3b側に誘導して移動させるようにすれば、観察終了したカプセル型内視鏡4の排泄までの時間を早めることができる。
(変形例1)
なお、本実施の形態1では、カプセル型内視鏡4、第1の液体7および第2の液体8からなる被検体内導入体5を、パッケージ化された供給装置1から一括して被検体2内に導入させるようにしたが、このようなパッケージ化された供給装置1に限らず、被検体内導入体5の供給方法は任意でよい。図13は、変形例1の被検体内導入体5の供給方法の変形例を示す概略斜視図である。第1の液体7を収納した1個または追加用の数個のボトル状の容器51とカプセル型内視鏡4と第2の液体8を収納した1個(または数個)のボトル状の容器52とを、体位変換装置14付設の供給テーブル53上に用意しておき、被検体2に供給させるようにしてもよい。この場合、容器51,52を目盛54,55付きとし、導入量をわかりやすくすることが好ましい。あるいは、ボトル状の容器51,52に代えてコップ等の容器を利用するようにしてもよい。
(変形例2)
また、本実施の形態1では、前端側が相対的に軽い重量バランスで上向き撮像のカプセル型内視鏡4を用いる例で説明したが、下向き撮像を目的とする場合であれば、前端側が相対的に重い重量バランスの単眼型のカプセル型内視鏡を用いるようにすればよい。図14は、前端側が相対的に重い重量バランスの変形例2の単眼型のカプセル型内視鏡60の概略構成を示す側面図である。図14は、永久磁石25などの重量物を前端側寄りに配置し、後端部側に空気層31を配置させた構成例を示す。
ところで、図14に例示するような前端側が相対的に重い重量バランスの単眼型のカプセル型内視鏡60の場合、第1の液体7と第2の液体8との境界面12に立ち状態で浮揚して、常に下部側に位置する第1の液体7を通して胃3の内壁を下向き方向で撮像することとなる。よって、その先端カバー21周りが空気層ではなく第1の液体7で満たされているため、先端カバー21上に傷や汚れがあっても目立ちにくくなり、空気層を介して撮像する場合よりも良好なる撮像画像を得ることができる。また、たとえば図6(a)に示した場合のような第1の液体7が少ない段階での境界面12に浮揚するカプセル型内視鏡60での下向き撮像であっても、第1の液体7だけでなく第2の液体8も導入されることで、より多くの液体が胃3内に導入されて胃3の下部側内壁が広範に亘って伸展・拡張した状態での撮像となり、よって、広い臓器である胃3内で十分な視野を確保して良好なる観察を行うことができる。つまり、図6(a)に示すような状態で、(第1の液体+第2の液体)分の第1の液体のみを胃内に導入してカプセル型内視鏡を液中の所望の位置に沈ませる制御を行えば、一種類の液体のみでも同様の状態を確保することができるが、本発明の場合、カプセル型内視鏡を沈ませる制御を行うことなく、境界面12の位置を調整するだけで容易に実現することができる。
また、本実施の形態1では、前端側方向のみ撮像可能な単眼型のカプセル型内視鏡4,60の例で説明したが、前端側方向のみならず、たとえば、前端側斜視方向のみ、あるいは、前端側周方向のみの撮像が可能な単眼型のカプセル型内視鏡であってもよい。さらには、カプセル型内視鏡としては、単眼型のものに限らず、前端側方向および後端側方向の前後両方向の撮像が可能な複眼型のカプセル型内視鏡であってもよい。複眼型のカプセル型内視鏡の場合も、前後方向の重心バランスを変えて重心位置を偏心させることで境界面12に常に立ち状態で浮揚するようにすれば、外部永久磁石13による姿勢制御も安定し、安定した撮像が可能となる。この場合の撮像は、前後両方向であってもよく、あるいは、所望の片側方向のみであってもよい。
(変形例3)
本実施の形態1では、医師が経験的に所望とする被検体2の体表位置に外部永久磁石13を順次配設させることでカプセル型内視鏡4の浮揚位置や姿勢制御を行うようにしたが、指示プレートを用いることで利便性を向上させてもよい。図15は、変形例3の指示プレートの利用例を示す模式的な斜視図である。たとえば、被検体2の胴回りに配設される湾曲自在な指示プレート70は、被検体2内の胃3との位置関係に基づき外部永久磁石13を体表面上で配設すべき部位に複数の配設マーカ71を設けたものである。
このような指示プレート70を利用すれば、これらの配設マーカ71の位置に従って外部永久磁石13を配設すべき位置を順次変更させていくだけで、胃3の内壁を全面的に漏れなく観察することができる。これにより、外部永久磁石13の配設操作が容易となり、医師に限らず、看護師等の医療従事者も外部永久磁石13の配設操作が可能となるため、医師の拘束時間を短縮させ、検査の効率を向上させることができる。また、このような指示プレート70は、検査終了後のカプセル型内視鏡4を外部永久磁石13によって幽門部3b側に誘導させるための配設マーカ71を含んでいれば、排泄用の誘導操作も容易となる。
この場合の指示プレート70は、被検体2の体型に合わせて複数種類用意しておき、体型に合うものを選択使用することが望ましい。また、指示プレート70の形態としては、シート状のものに限らず、被検体2の体表周りに装着される服装型や枠型等のもの、あるいは被検体2の体表表面に投影する投影型であってもよい。
また、被検体2の体位毎に外部永久磁石13の最適な配設位置が異なることから、指示プレート70の配設マーカ71は、被検体2の体位毎に異ならせたマーカを用いることが好ましい。図16−1、図16−2は、被検体2の体位毎に異ならせた配設マーカを有する指示プレート70の例を示す模式的な斜視図である。すなわち、これらの図16−1、図16−2では、仰臥位、左側臥位、右側臥位用の丸形状、ひし形形状、二重丸形状のような異なる配設マーカ71a,71b,71cを設けた場合において、仰臥位の体位をとる図16−1のときには、仰臥位用の配設マーカ71aに従い外部永久磁石13を順次配設し、右側臥位の体位をとる図16−2のときには、右側臥位用の配設マーカ71cに従い外部永久磁石13を順次配設すればよいことを示している。これにより、体位に応じた外部永久磁石13の移動操作が明確となり操作を的確かつ容易なものとすることができる。
さらに、上述のように、磁界強度の異なる複数種類の外部永久磁石13を備える場合、指示プレート70においては、配設すべき外部永久磁石13に最適な磁界強度に応じて異なる配設マーカ71を設けておくようにしてもよい。被検体2の体表面から胃3内のカプセル型内視鏡4までの距離は、それぞれの配設マーカ71の位置によって変化する。この場合、使用する外部永久磁石13を距離に応じて磁界強度の異なるものに変更する必要があるが、配設すべき外部永久磁石13に最適な磁界強度に応じて異なる配設マーカ71を設けておくことで配設マーカ71に従う磁界強度の外部永久磁石13を配設すればよく、適正かつ効率的な検査を行うことができる。
(変形例4)
変形例4は、リアルタイム観察において、指示プレートを利用することで、注目部位を拡大観察できるようにしたものである。図17は、リアルタイム観察時の拡大観察機能を持たせた被検体内観察システムの全体構成を示す模式図であり、図18は、拡大観察に用いる指示プレートの構成例を展開して示す平面図である。図18に示すように、この指示プレート75は、被検体2の胴周りに巻回して装着自在な長方形状のもので、胴周りに巻回した場合に端部同士を連結する面ファスナーのような連結部74a〜74fを有する。また、指示プレート75は、たとえば外部永久磁石13や拡大観察を行うための磁力の強い引き付け永久磁石を配設すべき配設位置を示す升目状の座標が表記されたもので、ここでは、横軸d1〜d15、縦軸e1〜e10で示される150個の配設座標点を有する。たとえば図示の点Nは、座標(d4,e3)で示される点を示している。これらの座標点中、横軸d1〜d5分は左側臥位領域A2用、横軸d6〜d10分は仰臥位領域A1用、横軸d11〜d15分は右側臥位領域A3用に割り当てられている。
また、指示プレート75中には、カプセル型内視鏡4中に内蔵されている加速度センサ26との関係において、該指示プレート75の各部の位置を検出するための複数、ここでは5個の加速度センサ75a〜75eが埋設されている。加速度センサ75aは、指示プレート75の基準となるべき位置を検出するためのもので、指示プレート75の中心付近の座標(d8,e5)位置に配設され、残りの4個の加速度センサ75b〜75eは四隅付近に配設されている。なお、四隅に配設の加速度センサ75b〜75eの一つを基準用としてもよい。
このような指示プレート75とカプセル型内視鏡4との位置関係の設定は、カプセル型内視鏡4の飲み込み前であって指示プレート75の装着前に、カプセル型内視鏡4を指示プレート75上の加速度センサ75a位置に載せて起動させ、加速度センサ26および加速度センサ75a〜75eを初期設定することにより行われる。これにより、カプセル型内視鏡4の飲み込み後であって指示プレート75の装着後には、各加速度センサ26、75a〜75eの検出出力に基づき、カプセル型内視鏡4の位置並びにこのカプセル型内視鏡4に対する指示プレート75の湾曲状態等を含む位置を常に把握することができる。
ここで、加速度センサ26、75a〜75eによる位置検出方法について説明する。カプセル型内視鏡4(カプセル型筐体21)の位置(移動量)は、加速度センサ26によって検出された加速度に対して所定の積分処理を行うことで、所定の空間座標系xyzにおける移動量が算出される。算出された移動量は、空間座標系xyzでのカプセル型筐体21の移動距離および移動方向を示すベクトル量である。なお、カプセル型筐体21の姿勢は、角速度センサ27によって検出された角速度に対して所定の積分処理を行い、所定の空間座標系xyzにおける長軸(筐体中心長手方向)の回転角度および径軸(長軸直交方向)の回転角度を算出することにより検出される。同様に、各加速度センサ75a〜75eの位置(移動量)は、加速度センサ75a〜75eによって検出されたそれぞれの加速度に対して所定の積分処理を行うことで、所定の空間座標系xyzにおけるそれぞれの移動量が算出される。算出されたそれぞれの移動量は、空間座標系xyzでの加速度センサ75a〜75eのそれぞれの配設位置の指示プレート75の移動距離および移動方向を示すベクトル量である。
図19は、指示プレート75を含めて示すワークステーション76の概略ブロック図である。指示プレート75は、ケーブルを介してワークステーション76の制御部77に接続されており、各加速度センサ75a〜75eの位置検出情報の取り込みが可能とされている。制御部77は、前述の制御部41の構成中の位置姿勢検出部41eに代えて位置姿勢検出部77eを有するとともに、新たに付加された指定位置検出部77hを有する。位置姿勢検出部77eは、前述のようにカプセル型内視鏡4に内蔵の加速度センサ26や角速度センサ27の検出結果に基づきカプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢を検出するとともに、加速度センサ75a〜75eの検出結果に基づき加速度センサ75aの位置を基準とするカプセル型内視鏡4との相対位置関係、すなわち指示プレート75の湾曲状態等を含む位置を検出するためのものである。指定位置検出部77hは、カプセル型内視鏡4により撮像された画像を、表示部9でリアルタイム観察している場合において、表示部9を通じて拡大観察の要求があった場合にその指定位置が指示プレート75上のどの座標位置に対応するかを検出するためのものである。
次に、外部永久磁石13を指示プレート75に従い被検体2外の適宜位置に配設させた状態でのカプセル型内視鏡4による胃3内のリアルタイム観察時について説明する。図20は、リアルタイム観察時の胃3の撮像の様子の一例を示す模式図である。カプセル型内視鏡4は、外部永久磁石13により浮揚位置や浮揚姿勢が駆動制御された状態で、胃3内の一部をその撮像視野に従って撮像し、受信装置6等を経て、ワークステーション76側に送信することで、表示部9を通じてリアルタイム観察が可能となる。
ここで、カプセル型内視鏡4と胃3の内壁との間の距離は不明であっても、カプセル型内視鏡4による胃3の内壁に関する撮像領域S1(撮像画像)は、指示プレート75上に投影換算すると撮像領域S2として表すことができる。このような状況下で、カプセル型内視鏡4により撮像されて表示部9に表示されたリアルタイム画像において、図21に示すように、注目すべき患部78が出現した場合を考える。そこで、リアルタイム観察を行っている医師が、患部78について拡大観察を行うために、注目すべき患部78をカーソルKでクリック指定すると、指定位置検出部77hはこの患部78に対応する指示プレート75上の座標位置を検出する。
この座標位置の検出動作について、図22を参照して説明する。図22は、撮像領域S1(撮像画像)と撮像領域S2との対応関係を示す模式図である。カプセル型内視鏡4により撮像された実際の撮像領域S1(撮像画像)上の中心点CP1は、指示プレート75上の撮像領域S2では中心線C1の延長線上の中心点CP2として表すことができる。同様にして、実際の撮像領域S1(撮像画像)上の指定された患部78の位置は、カプセル型内視鏡4からの投影線に従い、指示プレート75上の撮像領域S2では指定位置Tとして表すことができる。ここで、カプセル型内視鏡4と指示プレート75の各座標との相対的な位置関係は、加速度センサ26,75a〜75eの検出結果に基づいて位置姿勢検出部77eにより常時把握されているので、指定位置検出部77hは、指定された患部78に対応する指示プレート75上の指定位置Tを求めることができる。求められた指定位置Tの座標は、たとえば表示部9上で表示される。
そこで、観察を行う医師が、図23に示すように、指示プレート75上の指定位置Tに磁力の強い引き付け永久磁石79を配設すると、境界面12上に浮揚していたカプセル型内視鏡4は患部78に接触する状態に強く引き付けられる。これにより、患部78がカプセル型内視鏡4の撮像画像の中心に位置し、かつ、密着状態での撮像となり、注目すべき患部78を拡大観察することができる。これにより、より詳細な観察が可能となり、検査精度が向上する。また、第1の液体7だけでなく第2の液体8を胃3内に導入しており、カプセル型内視鏡4は、境界面12から、空気中ではなく第2の液体8中を浮揚しながら患部78に向かうため、患部78に密着する状態への動作が円滑に行われる。
なお、指示プレート75の各座標位置に直接LEDや有機EL等の発光体を埋設させておき、カーソルK等により指示された拡大観察部に対応する指示プレート75上での指示位置を該指示プレート75上での発光により直接的に表示させるようにしてもよい。
また、変形例4のような拡大観察機能を持たせる場合、カプセル型内視鏡4にLED28による撮像観察機能だけでなく、特殊光観察機能を設けて密着状態の患部78の詳細観察を行えるようにしてもよい。この場合の観察光の切換えは、被検体2外からの指示で行えるようにすればよい。また、カプセル型内視鏡4に組織あるいは体液採取機能を付加し、被検体2外からの指示により組織あるいは体液の搾取を行わせることで、患部78の詳細検査を行えるようにしてもよい。さらには、カプセル型内視鏡4に治療機能を付加させてもよい。この場合の治療機能は、たとえば加熱プローブによる患部78組織の焼灼や、薬剤散布機構あるいは薬剤注入機構によって患部78に薬剤を作用させる機能であり、被検体2外からの指示により行う。あるいは、カプセル型内視鏡4に診断用の化学,生化学センサを設け、密着した患部78が病変部であるか否かを検出させるようにしてもよい。
(変形例5)
変形例5は、カプセル型内視鏡4から無線送信されるデータを受信するアンテナ6aを、カプセル型内視鏡4中の送信アンテナの指向性等の通信条件を考慮して配設マーカ71の位置と関連付けて磁石配設用の指示プレート70の所定位置に設けたものである。図24−1、図24−2は、それぞれアンテナ6aを備える指示プレート70の利用例を示す概略的な断面図である。図24−1は、たとえばカプセル型内視鏡4の送信アンテナが長手方向に指向性を持つ場合の構成例を示し、アンテナ6aは配設マーカ71と同じ位置に配設されている。一方、図24−2は、たとえばカプセル型内視鏡4の送信アンテナが長手方向に直交する方向に指向性を持つ場合の構成例を示し、アンテナ6aは配設マーカ71の位置に外部永久磁石13を配設させた場合にカプセル型内視鏡4がとり得る浮揚位置でカプセル型内視鏡4に直交する方向の指示プレート70の位置に配設されている。
これによれば、アンテナ6aは、カプセル型内視鏡4が画像を撮る位置での受信状態が最適となるため、低ノイズにてデータを受信することができ、観察性が向上する。また、指示プレート70を被検体2の体表に取り付けるだけでアンテナ6aの装着も完了するので、検査効率が向上する。
(変形例6)
本実施の形態1では、カプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢を検出するために、内蔵の加速度センサ26や角速度センサ27を利用するようにしたが、内蔵の距離センサを利用するようにしてもよい。すなわち、カプセル型内視鏡4内に光学式あるいは超音波式の距離センサを内蔵し、胃内壁面との距離を検出し、検出されたこの距離情報に基づいて複数の画像間の距離によるサイズのばらつきを補正し、画像結合に利用するようにしてもよい。
また、カプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢を検出する検出手段は、内蔵型に限らず、被検体2外に設けたものであってもよい。図25−1〜図25−3は、それぞれ被検体2外に設けたカプセル型内視鏡4の位置検出手段の構成例を示す模式図である。図25−1は、超音波プローブ81による断層像検出を用いてカプセル型内視鏡4の位置を検出する超音波方式の例を示す。胃3の内部は第1の液体7および第2の液体8で満たされているため、超音波プローブ81の発する超音波が伝播しやすく、胃3内のカプセル型内視鏡4の位置を断層像から検出することができる。超音波を用いるので、胃壁とカプセル型内視鏡4との距離が判るため、複数の画像結合のときの情報として有益となる。
図25−2は、カプセル型内視鏡4内に小型マイクロフォンを搭載させるとともに被検体2外の複数位置に音源82を配置させた音波方式の例を示す。内蔵の小型マイクロフォンで検出する音の強度により、複数位置の音源82からの距離を算出することで、カプセル型内視鏡4の位置を検出することができる。
図25−3は、カプセル型内視鏡4内に誘導コイルを内蔵し、被検体2外のドライブコイル83からの磁界を誘導コイルに作用させて、カプセル型内視鏡4内の誘導コイルとコンデンサとの共振系によって誘導磁界を発生させ、この誘導磁界を被検体2外のセンスコイル84により強度を検出することで、カプセル型内視鏡4の位置を検出する磁気式の例を示す。カプセル型内視鏡4は、被検体2外のドライブコイル83からの磁界によって誘導磁界を発生し、カプセル型内視鏡4内の電池を使わないため、省エネを図れる。なお、カプセル型内視鏡4内に磁界発生手段を備え、被検体2外に磁界検出手段を設けるようにしてもよい。これによれば、MI素子などの磁界検出手段を被検体2外に配設できるため、大型・高感度の検出器を用いることができる。また、逆に、被検体2外で磁界を発生させてカプセル型内視鏡4側でその磁界を検出するようにしてもよい。これによれば、カプセル型内視鏡4内に磁界発生手段を備える場合よりも、カプセル型内視鏡4側の消費エネルギーを小さくすることができる。また、これら位置や姿勢を検出した結果から、カプセル型内視鏡4が撮影した画像の位置を特定するのに利用し、画像結合時に活用しても良い。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について図26を参照して説明する。図1〜図25で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する。図26は、本発明の実施の形態2の被検体内観察システムの全体構成を示す模式図である。本実施の形態2の被検体内観察システムは、図1に示した外部永久磁石13に代えて、磁界付与手段としての電磁石100を被検体2外に備える。電磁石100は、体位変換装置101内に設けられたXYステージ102上に回転テーブル103を介して搭載されている。XYステージ102は、回転テーブル103をX方向にスライド自在に支持するレール104と、このレール104をY方向に移動自在に支持するコロ105とを備える。これにより、XYステージ102に支持された電磁石100は、体位変換装置101上の被検体2に対するXY平面内の配設位置が可変自在である。
ここで、電磁石100は、第1の電磁石106と第2の電磁石107とを備える。第1の電磁石106は、胃3内において境界面12上に浮揚するカプセル型内視鏡4の浮揚位置を制御するために上下方向の強めの外部磁界をカプセル型内視鏡4内の永久磁石25に対して印加するためのものであり、回転テーブル103の回転中心上に搭載されている。第2の電磁石107は、胃3内において境界面12上に浮揚するカプセル型内視鏡4の浮揚姿勢(向き)を制御するために上下方向の外部磁界をカプセル型内視鏡4内の永久磁石25に対して印加するためのものである。このため、第2の電磁石107が印加する外部磁界は第1の電磁石106が印加する外部磁界よりも弱く設定されている。また、第2の電磁石107は回転テーブル103上で第1の電磁石106の隣りに配設され、回転テーブル103の回転に伴い第1の電磁石106周りの任意位置に配設可能とされている。
また、体位変換装置101は、第1の電磁石106、第2の電磁石107に対してそれぞれ駆動電流を流すための駆動電源108,109を備える。ワークステーション10中の制御部41は、これら駆動電源108,109による第1の電磁石106および第2の電磁石107に対する駆動電流の付与を選択的に制御することで、カプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢を変化させるための通電制御部を備える。また、ワークステーション101は、回転テーブル103の回転位置を制御したり、ステージ102上の回転テーブル103の位置をXY平面上で2次元的に制御するための操作部110を備える。
次に、本実施の形態2の電磁石100の作用について説明する。前述したように、カプセル型内視鏡4は、胃3内において第1の液体7と第2の液体8との境界面12上を浮揚しながら胃3の内壁を撮像する。ここで、駆動電源108のみ駆動させて第1の電磁石106によりカプセル型内視鏡4内の永久磁石25に対して被検体2外から上下方向で吸引方向となる所定の外部磁界を印加すると、鉛直方向の磁気的吸引力が作用し、カプセル型内視鏡4は境界面12上でその位置に立ち状態でホールドされる。そこで、操作部110を操作してXYステージ102をXY方向に適宜移動させると、それに伴い、回転テーブル103の位置もXY平面内で移動し、第1の電磁石106による磁気的吸引力により立ち状態にホールドされているカプセル型内視鏡4の位置を強制的に境界面12上で移動させることができる。このように、境界面12上のカプセル型内視鏡4の浮揚位置を第1の電磁石106によって任意かつ強制的に変位させてカプセル型内視鏡4による胃3内の撮像位置を変えることができる。
さらに、上述のような第1の電磁石106によるカプセル型内視鏡4のホールド状態で、駆動電源109も駆動させて第2の電磁石107によりカプセル型内視鏡4内の永久磁石25に対して被検体2外側方から上下方向で吸引方向となる所定の外部磁界を印加すると、この外部磁界はカプセル型内視鏡4に対しては斜め方向ないしは水平方向に作用する。この結果、カプセル型内視鏡4に対しては第1の電磁石106による上下方向のホールド用の外部磁界と第2の電磁石107による斜め方向(または水平方向)の外部磁界とが作用することから、図23中にベクトル的に示すように、カプセル型内視鏡4には双方の外部磁界の合成方向の外部磁界が作用することとなり、カプセル型内視鏡4は立ち状態から斜め状態に浮揚姿勢が変化する。この場合の斜め方向は、第1の電磁石106に対する第2の電磁石107の位置、すなわち、操作部110の操作により回転テーブル103を回転させて第2の電磁石107の位置を変えることで任意に変更することができる。また、第2の電磁石107に対する通電量を可変させて印加する外部磁界の強さを可変させることで、カプセル型内視鏡4の斜め角度を変化させることができる。このように、境界面12上のカプセル型内視鏡4の浮揚姿勢を第1の電磁石106および第2の電磁石107によって任意かつ強制的に変位させてカプセル型内視鏡4による胃3内の撮像方向を変えることができる。
これにより、境界面12上のカプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢を第1の電磁石106や第2の電磁石107によって任意かつ強制的に変位させてカプセル型内視鏡4による胃3内の撮像位置や撮像方向を変えることができるので、胃3内を短時間に隈なく観察することができ、また、医師等が観察したい場所の観察も容易に実現することができる。この場合のカプセル型内視鏡4の重力方向の位置制御は、前述したような第1の液体7の胃3内導入量を順次増加させることによって簡単に行うことができる。さらに、前述したような被検体2の体位変換を組合せ、所望の体位毎にカプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢を強制的に変位させながら観察するようにすることで、より一層、胃3内を見落とし箇所無く観察することができる。
なお、第1の電磁石106および第2の電磁石107から印加する外部磁界の極性を吸引方向から反発方向に切換えれば、カプセル型内視鏡4の撮像方向を上向き方向から下向き方向、または、下向き方向から上向き方向に切換えることができる。
(変形例7)
図27は、変形例7の電磁石100の構成例を示す斜視図である。実施の形態2では、第2の電磁石107を1つのみ設けたが、変形例7では、第1の電磁石106の周りに複数個の第2の電磁石107a〜107fを配設し、選択的に通電駆動させるようにしたものである。111は、XYステージ102に搭載されるテーブルである。このような構成によれば、カプセル型内視鏡4の浮揚姿勢を変化させる場合、テーブル111を回転させる必要はなく、第2の電磁石107a〜107f中から所望位置のものを選択して駆動させればよく、XYステージ102の構造を小型・簡略化させることができる。
(変形例8)
図28は、変形例8の電磁石100の構成例を示す斜視図である。変形例8の第1の電磁石106は、内周側電磁石106aと外周側電磁石106bとの二重構造からなり、内周側電磁石106aと外周側電磁石106bとに矢印で示すような逆方向の電流を流すようにしたものである。第1の電磁石106において、外周側電磁石106bに内周側電磁石106aとは逆方向の磁場を発生させることで、第1の電磁石106の中心軸に向かう磁場勾配を大きくすることができる。これにより、カプセル型内視鏡4を第1の電磁石106によってトラップしやすくなり、制御性が向上する。
(変形例9)
図29は、変形例9の構成例を示す概略斜視図である。本実施の形態2では、第1の電磁石106と第2の電磁石107とを備える構成としたが、変形例9は、被検体2外で上下方向に対向配置させた一対の電磁石121,122を備える。123は、これら電磁石121,122を支持して被検体2に対する電磁石121,122の位置を可変自在とする回動支柱である。このような構成によれば、胃3内のカプセル型内視鏡4に対して広範囲に亘って安定した外部磁界を付与することができ、制御性が向上する。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について図30を参照して説明する。図1〜図25で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する。図30は、本発明の実施の形態3の被検体内観察システムの一部の構成を示す模式図である。本実施の形態3の被検体内観察システムは、図1に示した外部永久磁石13に代えて、アーム材による片持ち支持により被検体2外における配設位置が可変自在な電磁石131を磁界付与手段として備える。電磁石131は、ワークステーション10中の制御部41が備える電流制御部132による駆動電流の制御により、カプセル型内視鏡4に対して印加する外部磁界の強さが可変自在とされている。
前述したように、カプセル型内視鏡4は、胃3内において第1の液体7と第2の液体8との境界面12上を浮揚しながら胃3の内壁を撮像する。ここで、本実施の形態3では、被検体2外に医療従事者により片持ち支持される電磁石131を備えており、カプセル型内視鏡4内の永久磁石25に対して外部磁界を印加することができる。この永久磁石25は、カプセル型内視鏡4の長手方向に磁化されており、電磁石131の印加する磁界の極性を選択して対向位置に配設させて吸引方向の外部磁界を印加させながらこの電磁石131の配設位置を水平面内で移動させると、それに伴ってカプセル型内視鏡4の境界面12上での浮揚位置も水平面内で強制的に変位駆動させることができる。また、電磁石131の配設位置においてこの電磁石131を回動変位させると、永久磁石25に印加される外部磁界の方向も鉛直方向から傾くため、それに伴ってカプセル型内視鏡4の境界面12での浮揚姿勢も水平面内で強制的に変位駆動させることができる。
これにより、境界面12上のカプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢を電磁石131によって任意かつ強制的に変位させてカプセル型内視鏡4による胃3内の撮像位置や撮像方向を変えることができるので、胃3内を短時間に隈なく観察することができ、また、医師等が観察したい場所の観察も容易に実現することができる。この場合のカプセル型内視鏡4の重力方向の位置制御は、前述したような第1の液体7の胃3内導入量を順次増加させることによって簡単に行うことができる。さらに、前述したような被検体2の体位変換を組合せ、所望の体位毎にカプセル型内視鏡4の浮揚位置や浮揚姿勢を強制的に変位させながら観察するようにすることで、より一層、胃3内を見落とし箇所無く観察することができる。
ここで、本実施の形態3では、被検体2の体表に配設マーカ71を付した指示プレート70が設けられているので、電磁石131の位置変更はこの配設マーカ71に従って行えばよい。この際、体表面から胃3内のカプセル型内視鏡4までの距離は、各配設マーカ71の位置によって異なるので、配設すべき電磁石131に最適な磁界強度に応じて異なる配設マーカ71を設けておき、配設マーカ71の種類によって電磁石131に流す電流を変更させることが好ましい。電磁石131に流す電流は、配設マーカ71の種類を電磁石131に設けたマーカ検出センサ133で検出し、この検出結果に基づいて電流制御部132で自動的に変更制御するようにしてもよい。あるいは、配設マーカ71の種類を検出するのに代えて、電磁石131の位置を検出し、その位置情報に基づいて電流制御部132で自動的に変更制御するようにしてもよい。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について図31を参照して説明する。図1〜図25で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する。図31は、本発明の実施の形態4の被検体内観察システムの一部の構成を示す模式図である。本実施の形態4の被検体内観察システムは、図1等に示した前端方向の撮像が可能な単眼型のカプセル型内視鏡4に代えて、長手方向に直交する側視方向の撮像が可能な単眼型のカプセル型内視鏡141を備える。なお、カプセル型内視鏡141は斜視方向のみ撮像可能なものであってもよい。このカプセル型内視鏡141は、N極、S極が直径方向となるように磁化された永久磁石142を内蔵し、たとえば後端部側が重くなる重心配置とされている。
また、被検体2外においては、その下部側中心位置に対して隣接状態で同一平面上に配置させて同じ特性の一対の電磁石143,144を磁界付与手段として備える。これらの電磁石143,144の発生する外部磁界は上下方向となるように設定されている。また、これらの電磁石143,144は中心軸回りに水平面内で回転自在に設けられている。
ここで、カプセル型内視鏡141は、胃3内において第1の液体7と第2の液体8との境界面12上に浮揚する。この際、たとえば側視方式の撮像光学系の撮像視野が第2の液体8中となるように第2の液体8の胃3内導入量を調整する。これにより、カプセル型内視鏡141は、境界面12上の浮揚状態で胃3のある内壁側面を撮像する。ここで、電磁石143から永久磁石142を通って電磁石144に向かうような外部磁界を電磁石143,144によって印加させながら、これらの電磁石143,144を中心軸回りに水平面内で回転させると、それに伴い永久磁石142には水平面内で回転磁界が作用することとなり、カプセル型内視鏡141は立ち状態のまま灯台の如く水平面内で回転するように姿勢が変化する。これにより、側視方式のカプセル型内視鏡141は、胃3の内壁を水平面内で全周に亘って撮像可能となり、胃3内を短時間に隈なく観察することができる。撮像位置の高さ方向の変更は、第1の液体7の導入量の追加調整により可能である。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について図32を参照して説明する。図1〜図25で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する。図32は、本発明の実施の形態5の被検体内観察システムの一部の構成を示す模式図である。本実施の形態5の被検体内観察システムは、図1等に示したカプセル型内視鏡4に代えて、自己揺動機構としてのページャモータのような揺動モータ151が内蔵されたカプセル型内視鏡152を備える。揺動モータ151は、図29に示すようにカプセル型内視鏡152の長手方向中心軸に対して偏心配置されている。なお、内蔵物中で重量物である揺動モータ151あるいは電池等の後端部寄りの配置により、カプセル型内視鏡152の重心は後端部側に偏心されている。
本実施の形態5のカプセル型内視鏡152は、胃3内において第1の液体7と第2の液体8との境界面12上を浮揚しながら胃3の内壁を撮像する。ここで、本実施の形態5のカプセル型内視鏡152は、偏心配置された揺動モータ151が内蔵されているので、この揺動モータ151を揺動駆動させることにより、カプセル型内視鏡152は図32中に破線で示すような揺動運動を生ずる。この結果、カプセル型内視鏡152は自身で強制的に揺動しながら境界面12上の浮揚位置や浮揚姿勢を変えながら移動する。これにより、カプセル型内視鏡152は、胃3内を広範囲に亘って撮像可能となり、胃3内を短時間に隈なく観察することができる。撮像位置の高さ方向の変更は、第1の液体7の導入量の追加調整により可能である。さらに、前述したような被検体2の体位変換を組合せることで、より一層、胃3内を見落とし箇所無く観察することができる。
なお、揺動モータ151は、カプセル型内視鏡152の飲み込み時に駆動を開始させておいてもよく、あるいは、胃3内に飲み込まれた後、適宜タイミングでの外部からの無線指示によりスイッチが投入されて駆動を開始させるようにしてもよい。
また、揺動モータ151は、図33に示すように、カプセル型内視鏡152の長手方向中心軸に交差するように斜めに傾けて配置させてもよい。あるいは、揺動モータ151をカプセル型内視鏡152の長手方向中心軸上に配置させ、図34および図35に示すようにカプセル型内視鏡152の外周面両側にフィン状の水掻き部153を設けることで、揺動モータ151の揺動に伴い水掻き部153が第1の液体7を掻くようにして水平面内で移動するようにしてもよい。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6について図36を参照して説明する。図1〜図25で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する。図36は、本発明の実施の形態6の被検体内観察システムの一部の構成を示す模式図である。本実施の形態6の被検体内観察システムは、図1等に示したカプセル型内視鏡4に代えて、自己推進機構としてのスクリュ161およびこのスクリュ161を駆動するためのモータ162が内蔵されたカプセル型内視鏡163を備える。スクリュ161は、カプセル型内視鏡163内において他の内蔵部品の水密状態を維持して内蔵され、かつ、入水路164および出水路165に連通している。なお、内蔵物中で重量物であるモータ162あるいは電池等の後端部寄りの配置により、カプセル型内視鏡163の重心は後端部側に偏心されている。
本実施の形態5のカプセル型内視鏡163は、胃3内において第1の液体7と第2の液体8との境界面12上を浮揚しながら胃3の内壁を撮像する。ここで、本実施の形態6のカプセル型内視鏡163は、モータ162駆動により回転するスクリュ161が内蔵されているので、このスクリュ161を推進駆動させることにより、カプセル型内視鏡163は境界面12上に浮揚しながら水流を発生して境界面12上を移動し、その浮揚位置が順次強制的に変化する。これにより、カプセル型内視鏡163は、胃3内を広範囲に亘って撮像可能となり、胃3内を短時間に隈なく観察することができる。撮像位置の高さ方向の変更は、第1の液体7の導入量の追加調整により可能である。さらに、前述したような被検体2の体位変換を組合せることで、より一層、胃3内を見落とし箇所無く観察することができる。
なお、モータ162は、カプセル型内視鏡163の飲み込み時に駆動を開始させておいてもよく、あるいは、胃3内に飲み込まれた後、適宜タイミングでの外部からの無線指示によりスイッチが投入されて駆動を開始させるようにしてもよい。特に、モータ162を間欠的に駆動させることで、カプセル型内視鏡163全体を図34に示すように首振り動作させることで、カプセル型内視鏡163の撮像視野範囲を広くするようにしてもよい。
(付記1)第1の液体を被検体の所望の臓器内に導入するステップと、
前記第1の液体よりも比重が軽くて該第1の液体と混じりあわない第2の液体を前記臓器内に導入するステップと、
前記第1の液体と前記第2の液体との中間の比重を有するカプセル型医療装置を前記臓器内に導入するステップと、
前記臓器内に導入されて前記第1の液体と前記第2の液体との境界面に浮揚する前記カプセル型医療装置により被検体内情報を取得して該被検体内情報を被検体外に無線出力するステップと、
前記カプセル型医療装置の前記境界面における浮揚位置および/または浮揚姿勢を変化させる変位駆動ステップと、
を備えることを特徴とする被検体内観察方法。
(付記2)前記カプセル型医療装置として、被検体内画像を撮像するカプセル型内視鏡を用いるようにしたことを特徴とする付記1に記載の被検体内観察方法。
(付記3)前記変位駆動ステップは、永久磁石を内蔵した前記カプセル型医療装置に対して前記被検体外から外部磁界を印加させて該カプセル型医療装置の浮揚位置および/または浮揚姿勢を変化させるステップであることを特徴とする付記1または2に記載の被検体内観察方法。
(付記4)前記変位駆動ステップは、外部磁界を電磁石により印加することを特徴とする付記3に記載の被検体内観察方法。
(付記5)前記変位駆動ステップは、外部磁界を永久磁石により印加することを特徴とする付記3に記載の被検体内観察方法。
(付記6)前記変位駆動ステップは、外部磁界を印加する位置および/または方向を変化させながら行うことを特徴とする付記3〜5のいずれか一つに記載の被検体内観察方法。
(付記7)前記変位駆動ステップは、第1の電磁石が印加する外部磁界により前記カプセル型医療装置の浮揚位置を変化させ、印加する外部磁界が前記第1の電磁石よりも弱い第2の電磁石により前記カプセル型医療装置の浮揚姿勢を変化させることを特徴とする付記4に記載の被検体内観察方法。
(付記8)前記変位駆動ステップは、前記カプセル型医療装置を自己揺動機構により揺動させて該カプセル型医療装置の浮揚位置および/または浮揚姿勢を変化させるステップであることを特徴とする付記1に記載の被検体内観察方法。
(付記9)前記変位駆動ステップは、前記カプセル型医療装置を自己推進機構により推進させて該カプセル型医療装置の浮揚位置および/または浮揚姿勢を変化させるステップであることを特徴とする付記1に記載の被検体内観察方法。
(付記10)前記変位駆動ステップは、前記自己推進機構を間欠的に駆動させるステップであることを特徴とする付記9に記載の被検体内観察方法。
(付記11)前記第1の液体および/または前記第2の液体の臓器内導入量を変化させるステップをさらに備えることを特徴とする付記1〜10のいずれか一に記載の被検体内観察方法。
(付記12)前記臓器内導入量を変化させるステップは、前記第1の液体の導入量を順次増加させるステップであることを特徴とする付記11に記載の被検体内観察方法。
(付記13)前記臓器内に導入された前記第1の液体と前記第2の液体との境界面位置を前記被検体の体位変化により変化させるステップをさらに備えることを特徴とする付記1〜12のいずれか一に記載の被検体内観察方法。
(付記14)前記被検体内情報の取得時に、前記カプセル型医療装置の前記境界面における浮揚位置および/または浮揚姿勢を検出するステップをさらに備えることを特徴とする付記1〜13のいずれか一に記載の被検体内観察方法。
(付記15)検出された前記カプセル型医療装置の浮揚位置および/または浮揚姿勢の情報を参照して、前記カプセル型医療装置が取得した複数の被検体内情報同士を結合する結合処理ステップをさらに備えることを特徴とする付記14に記載の被検体内観察方法。
(付記16)前記被検体の所望の臓器は、胃であることを特徴とする付記1〜15のいずれか一に記載の被検体内観察方法。
(付記17)被検体の所望の臓器内に導入される第1の液体と、
前記第1の液体よりも比重が軽くて該第1の液体と混じりあわず、前記臓器内に導入される第2の液体と、
前記第1の液体と前記第2の液体との中間の比重を有して前記臓器内に導入されて該臓器内における前記第1の液体と前記第2の液体との境界面に浮揚し、被検体内情報を取得して該被検体内情報を被検体外に無線出力するカプセル型医療装置と、
前記被検体外に配置され、前記被検体内の前記カプセル型医療装置から無線送信される前記被検体内情報を受信する受信装置と、
前記カプセル型医療装置の前記境界面における浮揚位置および/または浮揚姿勢を変化させるカプセル変位駆動手段と、
を備えることを特徴とする被検体内観察システム。
(付記18)前記カプセル型医療装置は、永久磁石を内蔵し、
前記カプセル変位駆動手段は、前記カプセル型医療装置に内蔵された前記永久磁石に対して前記被検体外から外部磁界を印加して該カプセル型医療装置の浮揚位置および/または浮揚姿勢を駆動変化させる磁界付与手段であることを特徴とする付記17に記載の被検体内観察システム。
(付記19)前記磁界付与手段は、前記被検体外における配設位置が可変自在な電磁石よりなることを特徴とする付記18に記載の被検体内観察システム。
(付記20)前記永久磁石は、前記カプセル型医療装置の長手方向に磁化され、
前記電磁石は、前記カプセル型医療装置の浮揚位置を制御するための外部磁界を印加する第1の電磁石と、該第1の電磁石よりも弱い外部磁界を印加して前記カプセル型医療装置の浮揚姿勢を制御するための第2の電磁石とよりなることを特徴とする付記19に記載の被検体内観察システム。
(付記21)前記第2の電磁石は、前記第1の電磁石周りに位置可変自在に設けられていることを特徴とする付記20に記載の被検体内観察システム。
(付記22)前記第2の電磁石は、前記第1の電磁石周りに複数個配設されて選択的に通電されることを特徴とする付記20に記載の被検体内観察システム。
(付記23)前記第1の電磁石は、内外周で逆方向に電流が流される二重構造よりなることを特徴とする付記20〜22のいずれか一つに記載の被検体内観察システム。
(付記24)前記磁界付与手段は、前記被検体外における配設位置が可変自在な外部永久磁石よりなることを特徴とする付記18に記載の被検体内観察システム。
(付記25)前記永久磁石は、前記カプセル型医療装置の長手方向に磁化され、
前記外部永久磁石は、磁界強度が異なり選択的に使用される複数種類の磁石よりなることを特徴とする付記24に記載の被検体内観察システム。
(付記26)前記カプセル型医療装置は、径方向に磁化された永久磁石を有して側視方向または斜視方向の撮像が可能な単眼型のカプセル型内視鏡であり、
前記カプセル変位駆動手段は、水平面内で回転自在に設けられて前記カプセル型内視鏡に内蔵された前記永久磁石に対して前記被検体外から回転する外部磁界を印加して該カプセル型内視鏡を前記境界面上で回転させることで前記カプセル型内視鏡の浮揚姿勢を駆動変化させる磁界付与手段であることを特徴とする付記17に記載の被検体内観察システム。
(付記27)前記カプセル変位駆動手段は、前記カプセル型医療装置に付加されて揺動駆動により該カプセル型医療装置の浮揚位置および/または浮揚姿勢を変化させる自己揺動機構であることを特徴とする付記17に記載の被検体内観察システム。
(付記28)前記カプセル変位駆動手段は、前記カプセル型医療装置に付加されて推進駆動により該カプセル型医療装置の浮揚位置および/または浮揚姿勢を変化させる自己推進機構であることを特徴とする付記17に記載の被検体内観察システム。
(付記29)前記自己推進機構は、間欠的に駆動されることを特徴とする付記28に記載の被検体内観察システム。
(付記30)前記第1の液体および/または前記第2の液体は、臓器内導入量が可変的であることを特徴とする付記17〜29のいずれか一つに記載の被検体内観察システム。
(付記31)前記臓器内導入量の可変は、前記第1の液体の導入量を順次増加させることを特徴とする付記30に記載の被検体内観察システム。
(付記32)前記第1の液体、前記第2の液体および前記カプセル型医療装置が前記所望の臓器内に導入された前記被検体の体位を変化させる体位変換装置をさらに備えることを特徴とする付記17〜31のいずれか一つに記載の被検体内観察システム。
(付記33)前記カプセル型医療装置の前記境界面における浮揚位置および/または浮揚姿勢を検出する検出手段を備えることを特徴とする付記17〜32のいずれか一つに記載の被検体内観察システム。
(付記34)前記検出手段は、前記カプセル型医療装置に内蔵されていることを特徴とする付記33に記載の被検体内観察システム。
(付記35)前記被検体内情報取得時に前記検出手段で検出された前記カプセル型医療装置の浮揚位置および/または浮揚姿勢の情報を参照して、前記カプセル型医療装置が取得した複数の被検体内情報同士を結合する結合処理手段を備えることを特徴とする付記34に記載の被検体内観察システム。