JP4765520B2 - ガラクトース誘導系を有する形質転換体及びその利用 - Google Patents

ガラクトース誘導系を有する形質転換体及びその利用 Download PDF

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Description

本発明は、ガラクトース誘導系を用いた遺伝子発現技術に関し、詳しくは、形質転換体、核酸コンストラクト、発現ベクター、培養方法、遺伝子発現方法、物質生産方法等に関する。
従来、細胞等において遺伝子発現を所望のタイミングで誘導することが望まれている。例えば、形質転換体を用いた発酵生産においては、細胞を最大限増殖させた上で所望の遺伝子産物を生産させることがエネルギー収支及び遺伝子産物の回収操作等においても好ましい。一般に、こうした遺伝子の発現誘導に利用できる要素としては、グルコースの欠乏と新たな基質の供給が挙げられる。グルコースは多くの生物にとって最も利用しやすい栄養源であり、生物においてはグルコースの欠乏により種々の応答が生じるやすくなる。
こうしたグルコース欠乏時の応答として出芽酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomycereivisiae)等におけるガラクトース誘導がある。ガラクトース誘導は、グルコースの欠乏時においてガラクトースによりガラクトース代謝遺伝子(GAL遺伝子)群が活性化され誘導されるシステムである。ガラクトース誘導は、ただ一つの転写活性化因子であるGal4タンパク質(以下、単に、Gal4と称する。)によってガラクトース代謝に関連するGAL遺伝子群を正に制御しており、培地にガラクトースが存在しない間はGAL遺伝子群の転写開始を抑制しているが、培地中にグルコースがなくガラクトースが添加されると、この抑制が解除されてGAL遺伝子群の発現が誘導される。
Gal4は、出芽酵母等においてガラクトース代謝に必要なGAL1(ガラクトカイネース)遺伝子、GAL2(ガラクトパーミアーゼ)遺伝子、GAL7(α−D−ガラクトース−1−リン酸 ウリジルトランスフェラーゼ)遺伝子及びGAL10(ウリジンホスホガラクトース−1−エピメラーゼ)遺伝子(以下、単に、GAL10等と称する。)の各遺伝子を活性化するほか、GAL80、GAL3及びMEL1を活性化するとされている(非特許文献1)。
このようなGal4のGAL遺伝子群の転写活性化能力を利用して、GAL4遺伝子をガラクトース誘導性プロモーターの制御下に連結して出芽酵母の染色体に組み込むことが開示されている(特許文献1)。すなわち、この特許文献では、こうした組換え酵母において、培地中のグルコース量及びガラクトース量を制御して、Gal4を過剰発現させることを意図している。
特許第2708154号 D. Lohr et al,The FASEB Journal (1995), p.777-787
この手法では、正の転写調節因子としてのGal4の量が非常に少量であることに鑑み、Gal4をガラクトースによって誘導して過剰に発現させることにより他の多数のガラクトース誘導性プロモーターに連結される所望の外来遺伝子の発現を効果的に行おうとするものである。
しかしながら、こうしたGal4をガラクトース誘導的に過剰に発現させても必ずしも意図したように外来遺伝子がガラクトース誘導的に発現されるわけではなかった。反応基質であるガラクトースをグルコースと同等程度に要したり、反応時間が長くかかるなどその応答性は十分なものではなかった。
そこで、本発明では、良好な応答性を有する遺伝子発現の誘導系を有する形質転換体及びその用途を提供することを目的とする。すなわち、本発明は、感度のよい応答性を有する遺伝子発現誘導のための形質転換体、核酸コンストラクト、発現ベクター、培養方法、遺伝子発現方法、物質生産方法を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、迅速な応答性を有する遺伝子発現誘導のための形質転換体、核酸コンストラクト、発現ベクター、培養方法、遺伝子発現方法、物質生産方法を提供することを一つの目的とする。
本発明者らは、ガラクトース誘導系について詳細に検討した結果、ガラクトース誘導系は、Gal4自体を制御するよりもむしろGal4の制御下にあってGal80によるGal4活性の抑制解除に関与するタンパク質やガラクトースの取り込みに関与するタンパク質を構成的に発現させることにより、ガラクトースに対して良好な応答性でガラクトース誘導系が発現されてくることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
本発明の他の一つの形態によれば、ガラクトース誘導系を有し、構成的プロモーターの制御下にGal4活性を有するタンパク質による転写活性化を支援する支援タンパク質をコードするコード領域を宿主染色体上又は宿主染色体外に保持する、形質転換体が提供される。
この形態においては、前記支援タンパク質は、Gal80結合活性及び/又はガラクトカイネース活性を有するタンパク質を含むことができる。この態様において、前記支援タンパク質は、Gal1活性を有するタンパク質及びGal3活性を有するタンパク質から選択してもよい。さらに、前記Gal80結合活性を有するタンパク質は、Gal1活性を有するタンパク質としてもよい。
この形態においては、前記支援タンパク質は、ガラクトーストランスポーター活性を有するタンパク質を含むことができ、前記支援タンパク質は、Gal2活性を有するタンパク質としてもよい。
この形態においては、さらに、前記支援タンパク質は、Gal80結合活性及び/又はガラクトカイネース活性を有するタンパク質とガラクトーストランスポーター活性を有するタンパク質とを含むことが好ましい。この態様において、前記支援タンパク質は、Gal1活性を有するタンパク質とGal2活性を有するタンパク質とを含むことが好ましい。
この形態においては、前記構成的プロモーターは、HIS3プロモーター、TDH3プロモーター及びADH1プロモーター選択されることが好ましい。
また、この形態においては、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下にGal4活性を有するタンパク質をコードするコード領域を宿主染色体上又は宿主染色体外に保持することが好ましい。また、この形態においては、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下に内在性又は外来性の所望のタンパク質をコードするコード領域を保持することが好ましい。これらの態様においては、前記ガラクトース誘導性プロモーターは、GAL1プロモーター、GAL2プロモーター、GAL3プロモーター、GAL4プロモーター、GAL5プロモーター、GAL7プロモーター、GAL10プロモーター及びMEL1プロモーターからなる群から選択されることが好ましい態様である。さらに、前記ガラクトース誘導性プロモーターは、Gal4結合部位を上流側に備えGal4活性を有するタンパク質によって活性化可能なガラクトース代謝遺伝子以外の内在性プロモーター又は外来性プロモーターであってもよい。この態様において、前記外来性プロモーター又は前記内在性プロモーターは、CYC1プロモーター、CUP1プロモーター及びHOR7プロモーターから選択することができる。
本前記宿主細胞は酵母であることが好ましく、酵母は、サッカロマイセス・セレビシエ、サッカロマイセス・ポンベ、ピキア・パストリス、クルイベロマイセス・ラクティス及びカンジダ・アルビカンスから選択されることができる。
本発明の他の一つの形態によれば、構成的プロモーターと、該構成的プロモーターの制御下に連結されGal4活性を有するタンパク質による転写活性化を支援する支援タンパク質をコードするコード領域と、を備える、核酸コンストラクトが提供される。
本形態においては、前記支援タンパク質は、Gal80結合活性及び/又はガラクトカイネース活性を有するタンパク質を含むことが好ましく、前記支援タンパク質は、Gal1活性を有するタンパク質及びGal3活性を有するタンパク質から選択することができる。
本形態においては、前記支援タンパク質は、ガラクトーストランスポーター活性を有するタンパク質を含むことが好ましく、前記支援タンパク質は、Gal2活性を有するタンパク質とすることができる。
また、本発明の他の一つの形態によれば、第1の構成的プロモーターと、該第1の構成的プロモーターの制御下に連結されるGal80結合活性を有するタンパク質及び/又はガラクトカイネース活性を有するタンパク質をコードする第1のコード領域と、第2の構成的プロモーターと、該第2の構成的プロモーターの制御下に連結されるガラクトーストランスポーター活性を有するタンパク質をコードする第2のコード領域と、を備える、核酸コンストラクトが提供される。
本発明の他の一つの形態によれば、上記いずれかに記載の核酸コンストラクトを備える発現ベクターが提供される。本形態においては、プラスミド又はウイルスとすることができる。また、本発明の他の一つの形態によれば、前記発現ベクターを保持する宿主細胞も提供される。
本発明の他の一つの形態によれば、上記いずれかに記載の形質転換体を、実質的にガラクトースを含まない培地で培養する培養工程を、備える、培養方法が提供される。本形態においては、さらに、実質的にグルコースを含まず前記形質転換体の前記ガラクトース誘導系を発現可能な程度のガラクトースの存在下で前記形質転換体を培養する培養工程を、備えることができる。
本発明の他の一つの形態によれば、遺伝子の発現方法であって、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下に内在性又は外来性の所望のタンパク質をコードするコード領域を保持する上記いずれかに記載の形質転換体を、実質的にガラクトースを含まない培地で培養する第1の培養工程と、実質的にグルコースを含まず前記形質転換体の前記ガラクトース誘導系を発現可能な程度のガラクトースの存在下で前記形質転換体を培養し、前記所望のタンパク質を発現させる第2の培養工程と、を備える、発現方法が提供される。
本形態においては、前記第2の培養工程におけるガラクトースの初期濃度は20g/l未満であることが好ましい。また、前記第2の培養工程は、ガラクトースを含む培地に培地交換して開始することができる。
本発明の他の一つの形態によれば、形質転換体を用いる物質生産方法であって、上記遺伝子発現方法により発現させた所望のタンパク質又はそのタンパク質による代謝産物を回収する工程を備える、生産方法が提供される。
本発明の形質転換体、核酸コンストラクト、ベクター、細胞の培養方法、物質の生産方法の各種形態は、Gal4活性を有するタンパク質(以下、単にGal4活性タンパク質という。)による転写活性化を支援する支援タンパク質を構成的に発現させることを意図している。本発明の各種形態は、こうした支援タンパク質を恒常的に発現させることにより、応答性よくガラクトース誘導系を誘導できることを見出したことに基づいている。
図1に、ガラクトース誘導系において考えられる制御機構のうちガラクトース、Gal4及び各種の支援タンパク質との関係についての概略を示す。図1(a)に示すように、Gal4は、GAL遺伝子群の転写活性化因子として、GAL1などのGALプロモーターの上流側のUASgal部位にGal4が結合して転写活性化作用を奏する。図(b)に示すように、培地中にガラクトースが存在していないときには、Gal4に阻害因子であるGal80が結合するため、転写を活性化することができず、GAL1の発現は抑制されている。一方、図1(c)に示すように、培地中にグルコースがなくガラクトースが存在しているときには、Gal80の阻害作用が解除され、GAL1の転写が活性化される。また、ガラクトースと結合したGal1やGal3はGal80と結合できることが知られているが、Gal1やGal3の全ての機能は解明されているわけではない。また、培地中のガラクトースは、ガラクトースパーミアーゼ活性を有するGal2により細胞内に取り込まれ、Gal1はガラクトース代謝の第1段階の酵素であるガラクトカイネース活性を有している。しかしながらこれらの関係もまた解明されているわけではない。
本発明者らによれば、例えば、Gal80結合活性及び/又はガラクトカイネース活性を有するタンパク質などの支援タンパク質を構成的に発現させることでガラクトースの存在下に、予想を超えて迅速そして高感度にガラクトース誘導性プロモーターを作動させることができることがわかった。このため、ガラクトースの非存在下で、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下の遺伝子、例えば、外来タンパク質などの質的及び/又は量的に異質なタンパク質を発現させることなく、すなわち、増殖を阻害する可能性のある遺伝子を発現させることなく形質転換体を十分に増殖させることができる。そして、その後に、高密度又は大規模容量に増殖された形質転換体においてガラクトース誘導性プロモーター制御下の遺伝子をガラクトース誘導的に一挙にかつ多量に発現させることができる。本発明によれば、Gal4を誘導的に過剰発現するよりも応答性よくガラクトース誘導系を誘導できる。
なお、本明細書において、例えば、Gal4活性タンパク質などとタンパク質の名称に活性タンパク質を付記して表記するとき、該名称に係るタンパク質のほか、該名称に係るタンパク質以外のタンパク質であって該名称に係るタンパク質の生理活性のうち本発明に必要な生理活性を有しているタンパク質も包含している。したがって、こうした生理活性を有している限り、該名称に係る天然のタンパク質を改変したり人工的に合成したタンパク質も包含される。また、サッカロマイセス・セレビシエ以外の他の細胞のガラクトース誘導系におけるGal4に相当するタンパク質も包含される。なお、タンパク質を改変するには、天然タンパク質における生理活性部位についての情報が必要である。生理活性部位の情報は、部位特異的変異の挿入等の手法を用いて特定することができる。また、天然タンパク質のホモログ、オルソログ又はパラログを公知の相同性検索システムを用いて検索し、これらのタンパク質間において可能性ある生理活性部部位を特定することによっても得ることができる。
以下、本発明の形質転換体、核酸コンストラクト、ベクター、培養方法及び形質転換体を用いた物質の生産方法について順次説明する。
(形質転換体)
(ガラクトース誘導系)
本発明の形質転換体は、ガラクトース誘導系を有している。本明細書において、ガラクトース誘導系とは、栄養源としてのガラクトースによって転写活性化されるガラクトース代謝に関連する遺伝子群を意味している。ガラクトース誘導系としては、例えばサッカロマイセス・セレビシエ酵母が備えるGAL遺伝子群が知られている。サッカロマイセス・セレビシエにおけるGAL遺伝子群としては、GAL4及びGAL4の遺伝子産物であるGal4によって正に制御されるGAL1、GAL2、GAL5、GAL7及びGAL10が挙げられる。また、同様にGal4によって正に制御されるGAL80、GAL3及びMEL1が挙げられる。なお、ガラクトース誘導系を構成するコンポーネントには、これら構造遺伝子のほか、プロモーターやそのGal4結合部位などの調節領域が含まれる。
形質転換体の有するガラクトース誘導系は、宿主細胞が本来的に有するガラクトース誘導系であることが好ましい。すなわち、宿主細胞としてガラクトース誘導系を有する細胞を用いる。こうした細胞は、同等のガラクトース誘導系を備える細胞であればよく、サッカロマイセス・セレビシエのほか、サッカロマイセス・ポンベ、カルルスベンゲルス、ノルベンシス、ジアストチクス、オビホルミス、ウバルム、ロウキシ、モンタヌス、クルイベリ、エロンギスポルス等の他の種であってもよい。また、ピキア、クルイベロミセス等の他の属の酵母であってもよい。さらに、カンジダ・アルビカンスなどのカンジダ属であってもよい。ガラクトース誘導系を備える細胞を宿主細胞として用いることで形質転換体へ導入する外来遺伝子数を抑制できる。
なお、形質転換体の有するガラクトース誘導系は、宿主細胞の内在性遺伝子からなるガラクトース誘導系であってもよいが、一部又は全部が人工的に構築されていてもよい。すなわち、宿主細胞は、ガラクトース誘導系を本来的に有する細胞のほか、ガラクトース誘導系を遺伝子工学的手法により構築された細胞を用いることができる。例えば、ガラクトース誘導系のない宿主細胞にガラクトース誘導系を構築可能な外来遺伝子群を導入したり、ガラクトース代謝能力を有するがガラクトース誘導的でない場合においてガラクトース誘導的に改変したり、宿主のガラクトース誘導系の構造遺伝子や調節領域の一部又は全部を外来性遺伝子で置換したりしてもよい。また、ガラクトース誘導系のコンポーネントは、ガラクトース誘導的にガラクトース代謝が可能である限り、内在性の構造遺伝子や転写調節領域等が改変されていたり、欠損されていたりしてもよい。例えば、サッカロマイセス・セレビシエのガラクトース誘導系におけるGal4やGal80を改変してGal4活性タンパク質やGal80活性タンパク質を発現するように改変されていてもよい。また、ガラクトース誘導系は、その全てが宿主染色体上にある必要はなく、機能可能に宿主染色体及び/又は宿主染色体外に保持されていればよい。
以上のことから、本発明の宿主細胞としては、酵母などの単細胞真核生物が好ましい。こうした宿主細胞としては、なかでも、サッカロマイセス・セレビシエ、サッカロマイセス・ポンベ、カンジダ・アルビカンス、ピキア・パストリス、クルイベロミセス・ラクティスが好ましいものとして挙げられる。より好ましくは、サッカロマイセス・セレビシエ、クルイベロミセス・ラクティスである。
(構成的プロモーター)
形質転換体は、構成的プロモーターの制御下にGal4活性タンパク質による転写活性化支援タンパク質をコードするコード領域を保持している。ここで、構成的とは、宿主細胞の生育条件とは無関係に、という意味であり、構成的プロモーターとは、宿主細胞の生育条件とは無関係に制御下にある遺伝子を発現させるプロモーターを意味している。構成的プロモーターは、特に限定しないで使用する宿主細胞の種類に応じてまた制御する遺伝子の種類等に応じて適宜選択すればよい。例えば、サッカロマイセス・セレビシエにおける構成的プロモーターとしては、ADH1プロモーター、HIS3プロモーター、TDH3プロモーター、CYC3プロモーター、CUP1プロモーター及びHOR7プロモーターが挙げられる。なお、本明細書において、例えば、ADH1プロモーターと記載した場合、このプロモーターの塩基配列の一部のみからなる改変体や塩基配列の一部が置換,欠失、挿入等された改変体などの各種の改変体も含んでいる。構成的プロモーターは、支援タンパク質の種類に応じた発現レベルのものを選択することができる。例えば、Gal80結合活性及び/又はガラクトカイネース活性を有するタンパク質の構成的プロモーターとしてはHIS3プロモーター、CYC1プロモーターを選択することができる。また、Gal2活性タンパク質などのガラクトーストランスポーター活性を有するタンパク質の構成的プロモーターとしては、HIS3プロモーターを使用できる。HIS3プロモーターは、ガラクトーストランスポーター活性タンパク質を、Gal80結合活性及び/又はガラクトカイネース活性を有するタンパク質と同時に発現させる態様において好ましい、
(Gal4活性タンパク質による転写の活性化を支援する支援タンパク質)
本発明において、Gal4活性タンパク質による転写活性化を支援する支援タンパク質とは、Gal4活性タンパク質以外のタンパク質であって、結果として、Gal80活性タンパク質のGal4活性タンパク質に対する転写活性化阻害作用を解除するタンパク質であればよい。なお、Gal4活性タンパク質とは、具体的には、染色体上等のGal4結合部位やUASgalに結合するとともに、Gal80活性タンパク質等との相互作用により下流の遺伝子の転写活性を正に制御するタンパク質であればよい。したがって、サッカロマイセス・セレビシエのGal4のほか、Gal4結合部位への結合活性と転写制御活性を維持して人工的に改変されたタンパク質であってもよい。また、Gal4に相当する他の種又は属の酵母等のタンパク質であってもよい。既に、Gal4の全アミノ酸配列(Genbankアクセス番号:Z73604)及びDNA結合活性部位、転写活性化部位等は知られており(D. Lohr et al,TheFASEB Journal (1995), p.777-787)、こうした配列に基づいて人工的なタンパク質を作製するのは当業者であれば容易に行うことができる。
本発明においては、支援タンパク質として、Gal80結合活性及び/又はガラクトカイネース活性を有するタンパク質であることが好ましい。Gal80結合活性を有するタンパク質は、Gal80活性タンパク質のGal4活性タンパク質に対する転写活性化阻害作用を解除できると考えられる。また、ガラクトカイネース活性を有するタンパク質は、ガラクトースの細胞内取り込みを促進するものと考えられ、Gal80結合活性を有するタンパク質の該結合活性を促進するものと考えられるからである。なお、Gal80結合活性とは、Gal80活性タンパク質に対する結合活性であって結果としてGal80活性タンパク質のガラクトース誘導系の転写阻害作用を解除するような結合活性である。また、Gal80活性タンパク質とは、サッカロマイセス・セレビシエのGal80(Genbankアクセス番号:X01667)のほか、Gal4に結合してその転写活性化作用を阻害する活性を維持して人工的に改変されたタンパク質であってもよい。また、Gal80に相当する他の種又は属の酵母等のタンパク質であってもよい。
Gal80結合活性及びガラクトカイネース活性を有するタンパク質としては、Gal1活性タンパク質を用いることができる。また、Gal80結合活性を有するタンパク質としては、Gal1活性タンパク質及びGal3活性タンパク質を用いることができる。ガラクトカイネース活性を有するタンパク質としては、Gal1活性タンパク質を用いることができる。サッカロマイセス・セレビシエのガラクトース誘導系においては、Gal1及びGal3は、Gal80と結合能力があり、Gal80によるGal4に対する転写活性化阻害作用の解除を促進することが知られている。また、Gal1は、ガラクトカイネース活性を有している。
Gal1活性タンパク質としては、Gal1(Genbankアクセス番号:Z35889)のほか、Gal1のガラクトースキナーゼ活性及びGal80結合活性を有するタンパク質、ガラクトカイネース活性を有するタンパク質及びGal80結合活性を有するタンパク質のいずれかを用いることができる。好ましくは、Gal1、ガラクトカイネース活性及びGal80結合活性を有するタンパク質を用いることができる。Gal3活性タンパク質としては、Gal3のほか、Gal3のGal80結合活性を有するタンパク質を用いることができる。なお、Gal1活性タンパク質とは、サッカロマイセス・セレビシエのGal1のほか、Gal80結合活性及び/又はガラクトカイネース活性を有して、Gal80活性タンパク質のGal4活性タンパク質に対する転写活性阻害作用を解除できるものであればよく、人工的に構築又は改変されたタンパク質であってもよい。また、Gal1に相当する他の種又は属の酵母等のタンパク質であってもよい。また、Gal3活性タンパク質とは、サッカロマイセス・セレビシエのGal3(Genbankアクセス番号:Z74305)のほか、Gal80結合活性を有して、Gal80活性タンパク質のGal4活性タンパク質に対する転写活性阻害作用を解除できるものであればよく、人工的に構築又は改変されたタンパク質であってもよい。また、Gal3に相当する他の種又は属の酵母等のタンパク質であってもよい。
また、支援タンパク質としては、ガラクトーストランスポーター活性を有するタンパク質を用いることができる。ガラクトーストランスポーターは、ガラクトースを細胞内に取り込みを促進でき、Gal80結合活性を有するタンパク質の該結合活性を促進するものと考えられるからである。ガラクトーストランスポーター活性を有するタンパク質としては、Gal2活性タンパク質を用いることができる。Gal2活性タンパク質は、グルコースの存在下では細胞内において分解されることがわかっている。このため、この支援タンパク質を単独で用いてガラクトース誘導系を応答性よく発現させるには、Gal80結合活性等を有するタンパク質と併用する場合と同等若しくは高レベルに構成的に発現させることが好ましく、そうしたプロモーターを選択することが好ましい。Gal2活性タンパク質としては、Gal2(Genbankアクセス番号:Z73253)のほか、Gal2のガラクトーストランスポーター活性を有するタンパク質を用いることができる。なお、Gal2活性タンパク質とは、サッカロマイセス・セレビシエのGal2のほか、ガラクトーストランスポーター活性を有するものであればよく、人工的に構築又は改変されたタンパク質であってもよい。また、Gal2に相当する他の種又は属の酵母等のタンパク質であってもよい。
本発明では、こうした支援タンパク質として、少なくともGal80結合活性及び/又はガラクトカイネース活性を有するタンパク質を用いることが好ましく、より好ましくはGal80結合活性及びガラクトカイネース活性を有するタンパク質を用いることが好ましい。すなわち、Gal1活性タンパク質かGal3タンパク質を好ましく用いることができ、Gal1活性タンパク質をより好ましく用いることができる。本発明を拘束はしないが、Gal80結合活性とガラクトカイネース活性とを有するタンパク質を構成的に発現させることで、ガラクトースの細胞内取り込みを促進するとともに、取り込んだガラクトースと結合してGal結合活性を発揮し、細胞核内におけるGal80活性タンパク質の濃度を速やかに低下させることができると推論される。Gal80結合活性を有するタンパク質及びガラクトカイネース活性を有するタンパク質のいずれかを構成的に発現させることでも、細胞核内におけるGal80活性タンパク質濃度を速やかに低下させ、ガラクトース誘導系を応答性よく誘導させることができると推論される。
また、本発明の支援タンパク質としては、Gal80結合活性タンパク質及び/又はガラクトカイネース活性を有するタンパク質とともにガラクトーストランスポーター活性を有するタンパク質を用いることが好ましい。すなわち、Gal1活性タンパク質及び/又はGal3活性タンパク質とともにGal2活性タンパク質を用いることが好ましく、Gal1活性タンパク質及びGal2活性タンパク質を用いることが好ましい。本発明を拘束するものではないが、ガラクトーストランスポーター活性を有するタンパク質を構成的に発現させることで、グルコースの欠乏に伴って、ガラクトーストランスポーター活性タンパク質が速やかに細胞膜に保持されるようになり、ガラクトースの取り込みを促進し、細胞核内におけるGal80活性タンパク質濃度を低下させ、ガラクトース誘導系を応答性よく誘導させることができると推論される。
形質転換体は、こうした支援タンパク質をコードするコード領域を保持している。コード領域は、各種支援タンパク質の公知のアミノ酸配列及び塩基配列に基づいて決定することができるし、また、ガラクトース誘導系の各種タンパク質の各種活性部位の情報や部位特異的変異導入等の手法による活性化部位の決定結果に基づいて決定することもできる。コード領域するポリヌクレオチドは、好ましくはDNAであり、DNAは、cイントロンを含んでいてもよいが好ましくはcDNAである。なお、コード領域には、人工的なデオキシリボヌクレオチドを含んでいてもよく修飾がなされていてもよい。また、構成的プロモーター及びコード領域は、宿主染色体上にあっても宿主染色体外にあってもよい。好ましくは宿主染色体上に保持される。
(Gal4活性タンパク質)
形質転換体は、Gal4活性タンパク質をガラクトース誘導的に発現するものであってもよい。すなわち、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下にGal4活性タンパク質をコードするコード領域を保持していてもよい。支援タンパク質を構成的に発現させることなくGal4活性タンパク質をガラクトース誘導的に発現させても良好な応答性は得られていないが、支援タンパク質を構成的に発現させた上でGal4活性タンパク質をガラクトース誘導的に発現させることで、構成的に発現される支援タンパク質によるガラクトース誘導系の誘導の応答性を高め、発現強度を増強できる。
ガラクトース誘導性プロモーターとしては、GAL1、GAL2、GAL3、GAL5、GAL7、GAL10及びMEL1の各遺伝子のプロモーターを用いることができる。本明細書において、こうしたプロモーターはガラクトース誘導的である限り改変されていてもよく、そうした改変プロモーターも包含されるのは既に述べたとおりである。また、これらのプロモーターには、UASgal等のGal4活性タンパク質結合部位を含んでいる。好ましくは、GAL1、GAL2、GAL7及びGAL10のいずれかのプロモーターであり、より好ましくは、GAL10プロモーターを用いる。
また、Gal4結合部位を上流側に備えGal4活性を有するタンパク質によって活性化可能なガラクトース代謝遺伝子以外の内在性プロモーター又は外来性プロモーターをガラクトース誘導性プロモーターとして用いることができる。なお、いわゆるガラクトース誘導性プロモーターでないプロモーターであっても、その上流側にGal4結合部位を備えることでガラクトース誘導性プロモーターとして機能することはよく知られている。例えば、宿主細胞が本来的に有するプロモーターの上流側にGal4結合部位を保持させることで該内在性プロモーターをガラクトース誘導性プロモーターとして利用できる。ガラクトース誘導的でない外来性プロモーターについても同様である。こうした内在性プロモーター及び外来性プロモーターとしては、CYC1プロモーター、CUP1プロモーター及びHOR7プロモーターを好ましく用いることができる。
Gal4活性タンパク質をガラクトース誘導的に発現させるための領域は、宿主染色体上に保持されていても宿主染色体外に保持されていてもよいが、好ましくは宿主染色体上に保持される。
以上説明した本発明の形質転換体は、ガラクトース誘導的に所望の遺伝子を応答性よく発現させるのに適した改変されたガラクトース誘導系を備えるものとなっている。すなわち、こうした形質転換体において、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下に所望の遺伝子を発現させることで、効率的な物質生産に適した形質転換体を得ることができる。したがって、こうした形質転換体を、ガラクトース誘導系の制御下に所望の遺伝子を発現させるのに好ましい宿主細胞として用いることができる。
(ガラクトース誘導性プロモーターの制御下に内在性又は外来性の所望のタンパク質をコードするコード領域を保持する形質転換体)
本発明の形質転換体は、ガラクトース誘導的に内在性又は外来性の所望のタンパク質を発現する形質転換体とすることができる。すなわち、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下に内在性又は外来性の所望のタンパク質をコードするコード領域を保持することができる。この形質転換体によれば、ガラクトース誘導系の応答性が向上されているため、ガラクトース誘導的に応答性よく遺伝子を発現させて所望のタンパク質又はその代謝物を得ることができる。ガラクトース誘導性プロモーターとしては、既に説明したものから適宜選択して用いることができる。好ましくは、GAL1プロモーターを用いる。
ガラクトース誘導的に発現させる所望のタンパク質としては、ガラクトース代謝に関連するタンパク質以外であることが好ましく、必要に応じて選択される。例えば、研究用途等において発現レベルを視覚化するためにGFPなどの各種の蛍光タンパク質を用いることができる。こうした所望のタンパク質をガラクトース誘導的に発現させるための領域は、宿主染色体上及び宿主染色体外のいずれにあってもよいが、好ましくは宿主染色体上にある。
(形質転換体の製造方法)
こうした形質転換体は、好ましくは、ガラクトース誘導系を有する宿主細胞に、構成的プロモーターの制御下に連結されたGal結合活性を有するタンパク質のコード領域などを含む発現カセットを備える核酸コンストラクトをトランスフォーメーション法や、トランスフェクション法、接合法、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、酢酸リチウム法、パーティクルガン法等の公知の遺伝子導入法を用いて導入することによって得ることができる。適当な選択培地によって形質転換体を選択し、遺伝子の導入の確認できたものを用いることができる。
(核酸コンストラクト)
本発明の核酸コンストラクトは、構成的プロモーターと、該構成的プロモーターの制御下に連結されGal4活性を有するタンパク質による転写活性化を支援する支援タンパク質をコードするコード領域と、を備えている。構成的プロモーターとしては、既に説明したのと同様のプロモーターを用いることができる。また、支援タンパク質についても既に説明した支援タンパク質を用いることができる。また、転写調節領域としてターミネーター他、必要に応じてエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)を連結することができる。選択マーカーとしては、特に限定しないで、薬剤抵抗性遺伝子、栄養要求性遺伝子などを始めとする公知の各種選択マーカー遺伝子を利用できる。
核酸コンストラクトは、1種の支援タンパク質をコードするのであってもよいが、2種類以上の支援タンパク質をコードするものであってもよい。例えば、第1の構成的プロモーターと、該第1の構成的プロモーターの制御下に連結されるGal80結合活性を有するタンパク質及び/又はガラクトカイネース活性を有するタンパク質などの第1の支援タンパク質をコードする第1のコード領域と、第2の構成的プロモーターと、該第1の構成的プロモーターの制御下に連結されるガラクトーストランスポーター活性を有するタンパク質等の第2の支援タンパク質をコードする第2のコード領域と、を備えるようにしてもよい。核酸コンストラクトは、宿主染色体との一つ以上の相同性領域を備えさせることで染色体導入型として構築することもできる。
核酸コンストラクトにおける各種のコンポーネントは、PCR法等従来公知の手法により取得することができ、こうした核酸コンストラクトは適当なプラスミドベクター等に保持される。用いる遺伝子導入法に応じ、必要時に制限酵素等により切り出されてコンストラクト自体が用いられる。コンポーネントの取得及びコンストラクトの構築操作は従来公知の手法に従って行うことができる。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual second edition(Maniatis et al.,Cold Spring Harbor Laboratory press.1989)に従うことができる。
(発現ベクター)
こうした核酸コンストラクトは、各種ベクターの形態で提供される。ベクターとしては、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、トランスポゾン、人工染色体(YAC、BAC、PAC等)を、外来遺伝子の導入形態(染色体上あるいは染色体外)や宿主細胞の種類に応じて選択される。また、こうした発現ベクターは、適当な宿主細胞に保持された状態で提供される。
(形質転換体の培養方法)
本発明の形質転換体の培養方法は、Gal4活性を有するタンパク質による転写活性化を支援する支援タンパク質を構成的に発現するとともに、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下に内在性又は外来性の所望のタンパク質をコードするコード領域を宿主細胞の染色体上又は染色体外に保持する形質転換体を、実質的にガラクトースを含まない培地で培養する培養工程を備えている。こうした培養工程を備えることで、形質転換体におけるガラクトース誘導的に発現される外来性遺伝子等は発現されないで、細胞にとって質的及び/又は量的に異常にタンパク質が発現されることなく細胞が増殖される。これにより、容易に高密度又は大規模に細胞を増殖させることができる。さらに、この形質転換体によれば、応答性よくガラクトース誘導系を発現させることができる。したがって、本培養方法によれば、ガラクトース誘導系を感度よく、短時間でしかも大量に発現させるのに適した細胞増殖状態を容易に得ることができる。なお、本明細書において、「実質的にガラクトースを含まない培地」とは、ガラクトースを含まない培地又は形質転換体の有するガラクトース誘導系が誘導されない程度の濃度を限度としてガラクトースを含む培地を含んでいる。
形質転換体の培養には、宿主細胞や形質転換内容に応じて培養条件を選択することができる。宿主を酵母とする形質転換体を培養する培地としては、酵母が資化可能なガラクトース以外の炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれも使用することができる。炭素源としては、グルコース、フルクトース、スクロース、デンプン、セルロース等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコールを用いることができる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩またはその他の含窒素化合物の他、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー等を用いることができる。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウムなどを用いることができる。
培養方法は、特に限定しないで、従来公知の培養方法を利用できる。例えば、回分培養、半回分培養、連続培養等のいずれかあるいはこれらを組み合わせて実施することができる。また、酸素供給方式や攪拌方式も、形質転換体の種類に応じて選択すればよい、サッカロマイセス・セレビシエなどの酵母の場合には、通常、振とう培養または通気攪拌培養等の好気条件下、28〜30℃で6〜24時間行う。また、培養中は、必要に応じてアンピシリン、テトラサイクリンなどの抗生物質を培地に添加することができる。
(遺伝子の発現方法)
本発明の遺伝子の発現方法は、Gal4活性を有するタンパク質による転写活性化を支援する支援タンパク質を構成的に発現するとともに、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下に内外性又は外来性の所望のタンパク質をコードするコード領域を宿主細胞の染色体上又は染色体外に保持する形質転換体を、実質的にガラクトースを含まない培地で培養する第1の培養工程と、グルコースを実質的に含まないでガラクトース誘導系を発現可能な程度のガラクトースの存在下で形質転換体を培養し、内在性又は外来性のタンパク質を発現させる第2の培養工程とを備えている。この発現方法によれば、上記第1の培養工程を備えることで、上記したように、ガラクトース誘導系を感度よく、短時間でしかも大量に発現させるのに適した状態となっている。次いで、第2の培養工程においてガラクトースを添加してガラクトース誘導系を発現させることで、一挙にかつ大量にガラクトース誘導的にガラクトース誘導系を発現させてガラクトース誘導的に所望のタンパク質を発現させて該タンパク質又はその代謝物を得ることができる。
本発現方法における第1の培養工程は、本発明の培養方法と同様の各種態様で実施することができる。第2の培養工程においては、グルコースを実質的に含まない。本明細書において、「グルコースを実質的に含まない」とは、グルコースを含まないか又は形質転換体の有するガラクトース誘導系の誘導を抑制しない程度の濃度を限度としてグルコースが含まれてもよいことを意味している。
また第2の培養工程におけるガラクトース誘導系を発現可能な程度のガラクトースの初期濃度は、20g/l未満とすることができる。好ましくは2g/l以下であり、さらに好ましくは1g/l以下である。また、好ましくは、0.05g/l以上である。一過性のガラクトース誘導の場合には、ガラクトース濃度は特に維持する必要はないが、必要に応じて維持する場合もある。また、好気的条件で行うことが好ましく、撹拌操作も行うことができる。
(遺伝子産物又はその二次産物の生産方法)
本発明の遺伝子産物又はその二次産物の生産方法は、本発明の遺伝子発現方法により発現させた所望のタンパク質又はそのタンパク質による代謝産物を回収する工程を備えることができる。タンパク質やその代謝産物の回収工程は、例えば、形質転換体内にこれらの産物が生産された場合は、常法により菌体を超音波破壊処理、摩砕処理、加圧破砕などで細胞を破壊した後、産物と細胞と分離することができる。この場合、必要に応じてプロテアーゼを添加する。また、菌体外に産物が生産された場合には、この培養液等を、ろ過、遠心分離などにより菌体などの固形分を除去する。これらの粗抽出画分に対しては、従来公知の各種精製分離法等を利用して、これらの産物を精製することができる。
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施しすることができる。
(実施例1)ベクターの構築
本実施例においては、サッカロマイセス・セレビシエ由来のイミダゾールグリセロールリン酸脱水素酵素遺伝子(HIS3遺伝子)プロモーター配列の制御下で、目的遺伝子としてサッカロマイセス・セレビシエ由来のガラクトカイネース遺伝子(GAL1遺伝子)及びガラクトースパーミアーゼ遺伝子(GAL2遺伝子)を使用した。さらに、サッカロマイセス・セレビシエ由来のUDP−グルコース−4−エピメラーゼ遺伝子(GAL10遺伝子)プロモーター配列の制御下でサッカロマイセス・セレビシエ由来のGAL4遺伝子を使用した。以上に加え、サッカロマイセス・セレビシエ由来のガラクトカイネース遺伝子(GAL1遺伝子)プロモーター配列の制御下でオワンクラゲ由来のGreenFluorescent Protein遺伝子(GFP遺伝子)を使用した。
本実施例のために新たに構築した染色体導入型ベクターをpBS−HIS3p−GAL1−HIS3p−GAL2(図2)、pBS−GAL10p−GAL4(図3)、pBS−GAL1p−GFP(図4)と名付け、以下に本ベクター構築例の詳細を記す。なお本実施例の概要を図2〜4に示す。但し、ベクター構築の手順はこれに限定されるものではない。ベクターの構築にあたって、必要な遺伝子断片であるHIS3遺伝子のプロモーター断片(HIS3p)329bp、GAL1遺伝子cDNA断片(GAL1c)1608bp、GAL2遺伝子cDNA断片(GAL2c)1746bp、GAL10遺伝子のプロモーター断片(GAL10p)380bp、GAL4遺伝子cDNA断片(GAL4c)2667bp、CYC1遺伝子のターミネーター断片(CYC1t)231bpはサッカロマイセス・セレビシエW303−1a株(ATCC:The Global Bioresourcecenter)のゲノムDNAを鋳型として使用したPCR増幅法によって単離を行った。
また、URA3遺伝子断片(URA3g)1056bpはプラスミドpRS406(Stratagene社)、TRP1遺伝子断片(TRP1g)1021bpはプラスミドpRS404(Stratagene社)、LEU2遺伝子断片(LEU2g)2237bpはプラスミドpRS405(Stratagene社)、GFP遺伝子cDNA断片(GFPc)741bpはプラスミドpQBI25(和光純薬社)のDNAをそれぞれ鋳型として使用したPCR増幅法によって単離を行った。
サッカロマイセス・セレビシエW303−1a株のゲノムDNAは、ゲノム調製キットFast DNA Kit(Bio 101社)を用い、詳細は付属のプロトコールに従い、調製した。DNA濃度は分光光度計Ultrospec 3000(Amersham Biosciences社)にて測定した。PCR反応には、増幅酵素として、増幅断片の正確性が高いとされるKODDNA polymerase(東洋紡社)を使用した。上記手法にて調製したサッカロマイセス・セレビシエW303−1a株のゲノムDNA 50ng/サンプル、プライマーDNA 50pmol/サンプル、及びKOD DNApolymerase 0.2ユニット/サンプルを合計で50μlの反応系に調製した。反応溶液を、PCR増幅装置GeneAmp PCR system9700(PE Applied Biosystems社)によってDNA増幅を行った。PCR増幅装置の反応条件は、94℃、30秒の後、(94℃、30秒→50℃、30秒→68℃、3分)を30サイクル行い、その後4℃とした。HIS3p増幅断片1及び2、GAL1c増幅断片、GAL2c増幅断片、GAL10p増幅断片、GAL4c増幅断片、CYC1t増幅断片1〜3、URA3増幅断片、TRP1増幅断片、LEU2増幅断片、GFPc増幅断片を1%TBEアガロースゲル電気泳動にて遺伝子増幅断片の確認を行った。なお反応に使用したプライマーDNAは、合成DNA(サワデーテクノロジー社)を用い、このプライマーのDNA配列は以下の通りである。
HIS3p増幅断片1
・KpnI-His3p (29mer)末端に制限酵素KpnIサイトを付加:AGA GGT ACC CGT TTT AAG AGC TTG GTG AG(配列番号1)
・His3-BamHI (31mer)末端に制限酵素BamHIサイトを付加:AGA GGA TCC CTT TGC CTT CGT TTA TCT TGC C
HIS3p増幅断片2(配列番号2)
・SalI-His3 (29mer)末端に制限酵素SalIサイトを付加:AGA GTC GAC CGT TTT AAG AGC TTG GTG AG(配列番号3)
・His3-XhoI(31mer)末端に制限酵素XhoIサイトを付加:AGA CTC GAG CTT TGC CTT CGT TTA TCT TGC C(配列番号4)
GAL1c増幅断片
・BglII-Gal1c (39mer)末端に制限酵素BglIIサイトを付加:AGA AGA TCT ATA ATG ACT AAA TCT CAT TCA GAA GAA GTG(配列番号5)
・Gal1c-NheI (34mer)末端に制限酵素NheIサイトを付加:AGA GCT AGC TTA TAA TTC ATA TAG ACA GCT GCC C(配列番号6)
GAL2c増幅断片
・SalI-Gal2c (38mer)末端に制限酵素SalIサイトを付加:AGA GTC GAC ATA ATG GCA GTT GAG GAG AAC AAT GTG CC(配列番号7)
・Gal2c-XbaI (32mer)末端に制限酵素XbaIサイトを付加:GAG TCT AGA TTA TTC TAG CAT GGC CTT GTA CC(配列番号8)
GAL10p増幅断片
・SacI-Gal10p (29mer)末端に制限酵素SacIサイトを付加:AGA GAG CTC AAA GCT AGT ATT GTA GAA TC(配列番号9)
・Gal10p-BamHI (32mer)末端に制限酵素BamHIサイトを付加:AGA GGA TCC TTA TAT TGA ATT TTC AAA AAT TC(配列番号10)
GAL4c増幅断片
・BglII-Gal4c (34mer)末端に制限酵素BglIIサイトを付加:AGA AGA TCT ATA ATG AAG CTA CTG TCT TCT ATC G(配列番号11)
・Gal4-NheI (32mer)末端に制限酵素NheIサイトを付加:AGA GCT AGC TTA CTC TTT TTT TGG GTT TGG TG(配列番号12)
CYC1t増幅断片1
・XbaI-Cyc1t (31mer)末端に制限酵素XbaIサイトを付加:GAA TCT AGA ACA GGC CCC TTT TCC TTT GTC G(配列番号13)
・Cyc1t-SalI (27mer)末端に制限酵素SalIサイトを付加:AGA GTC GAC GTT ACA TGC GTA CAC GCG(配列番号14)
CYC1t増幅断片2
・NheI-Cyc1t (31mer)末端に制限酵素NheIサイトを付加:GAA GCT AGC ACA GGC CCC TTT TCC TTT GTC G(配列番号15)
・Cyc1t-SalI (27mer)末端に制限酵素SalIサイトを付加:AGA GTC GAC GTT ACA TGC GTA CAC GCG(配列番号16)
CYC1t増幅断片3
・XbaI-Cyc1t (31mer)末端に制限酵素XbaIサイトを付加:GAA TCT AGA ACA GGC CCC TTT TCC TTT GTC G(配列番号17)
・Cyc1t-KpnI (27mer)末端に制限酵素KpnIサイトを付加:AGA GGT ACC GTT ACA TGC GTA CAC GCG(配列番号18)
URA3g増幅断片
・SalI-Ura3g (30mer)末端に制限酵素SalIサイトを付加:AGA GTC GAC GAT TCG GTA ATC TCC GAA CAG(配列番号19)
・Ura3g-SacI (35mer)末端に制限酵素SacIサイトを付加:AGA GAG CTC GGG TAA TAACTG ATA TAA TTA AAT TG(配列番号20)
TRP1g増幅断片
・SalI-5-Trp1g(41mer)末端に制限酵素SalIサイトを付加:AGA GTC GAC AAC GAC ATT ACT ATA TAT ATA ATA TAG GAA GC(配列番号21)
・Trp1g-SacI (30mer)末端に制限酵素SacIサイトを付加:AGA GAG CTC AGG CAA GTG CAC AAA CAA TAC(配列番号22)
LEU2g増幅断片
・SacI-Leu2g (40mer)末端に制限酵素SacIサイトを付加:AGA GAG CTC TCG AGG AGA ACT TCT AGT ATA TCT ACA TAC C(配列番号23)
・Leu2-SacI (33mer)末端に制限酵素SacIサイトを付加:AGA GAG CTC TCG ACT ACG TCG TAA GGC CGT TTC(配列番号24)
GFPc増幅断片
・BglII-Gfpc (36mer)末端に制限酵素BglIIサイトを付加:AGA AGA TCT ATA ATG GCT AGC AAA GGA GAA GAA CTC(配列番号25)
・Gfpc-BlnI (32mer)末端に制限酵素ApaIサイトを付加:GAG CCT AGG TCA GTT GTA CAG TTC ATC CAT GC(配列番号26)
上記反応にて取得した各増幅断片をそれぞれ、エタノール沈殿処理によって精製した後、HIS3p増幅断片1を制限酵素KpnI/BamHI、HIS3p増幅断片2を制限酵素SalI/XhoI、GAL1c増幅断片を制限酵素BglII/NheI、GAL2c増幅断片を制限酵素SalI/XbaI、GAL10p増幅断片を制限酵素SacI/BamHI、GAL4c増幅断片を制限酵素BglII/NheI、CYC1t増幅断片1を制限酵素XbaI/SalI、CYC1t増幅断片2を制限酵素NheI/SalI、CYC1t増幅断片3を制限酵素XbaI/KpnI、URA3g増幅断片を制限酵素SalI/SacI、TRP1g増幅断片を制限酵素SalI/SacI、LEU2g増幅断片を制限酵素SacI/SacI、GFPc増幅断片を制限酵素BglII/BlnIでそれぞれ制限酵素反応処理を行った。なお以下に用いた酵素類はすべて宝酒造社製のものを用いた。また、エタノール沈殿処理、制限酵素処理の一連操作の詳細なマニュアルはMolecularCloning A Laboratory Manual second edition(Maniatiset al.,Cold Spring Harbor Laboratory press.1989)に従った。
ベクターの構築における一連の反応操作は、一般的なDNAサブクローニング法に準じて行った。すなわち、適当な制限酵素処理を行い、脱リン酸化酵素(AlkalinePhosphatase(BAP、宝酒造社))処理を施したpBluescriptIISK(−)ベクター(Stratagene社)に対して、制限酵素処理を施した上記のDNA増幅断片をT4DNA Ligase反応によって、連結させた。T4 DNA Ligase反応には、LigaFast Rapid DNA Ligation System(プロメガ社)を用い、詳細は付属のプロトコールに従った。次にLigation反応を行った溶液を、コンピテント細胞へ形質転換を行った。コンピテント細胞は大腸菌JM109株(東洋紡社)を用い、詳細は付属のプロトコールに従って行った。得られた培養液は抗生物質アンピシリン100μg/mlを含有したLBプレートにまいて一晩培養した。生育したコロニーをLB液体培地(アンピシリン100μg/ml)で一晩培養して、ミニプレップによるプラスミドDNA調製を行い、その溶液を制限酵素処理による確認をして、目的とするコンストラクトを持つ株を単離した。上記の操作を繰り返して、pBS−HIS3p−GAL1−HIS3p−GAL2、pBS−GAL10p−GAL4、pBS−GAL1p−GFPの3つの染色体導入型ベクターを作製した。
コントロール実験用の染色体導入型ベクターとして、GAL1遺伝子のみの効果を検証するpBS−HIS3p−GAL1、GAL2遺伝子のみの効果を検証するpBS−HIS3p−GAL2、ウラシル栄養要求性マーカーのみのpBS−URA3g、ロイシン栄養要求性マーカーのみのpBS−LEU2gも作製した。
構築した染色体導入型ベクターの確認の為に塩基配列決定を行った。塩基配列解析装置としてABIPRISM 310 GeneticAnalyzer(PE Applied Biosystems社)を使用し、試料の調製法、及び機器の使用方法などの詳細は本装置付属のマニュアルに従った。試料となるベクターDNAはアルカリ抽出法により調製したものを用い、これをGFXDNA Purification kit(Amersham Biosciences社)にてカラム精製した後、分光光度計Ultrospec 3000(Amersham Biosciences社)にてDNA濃度を測定したものを用いた。
(実施例2)(形質転換酵母の作製)
宿主である酵母W303−1a株(半数体株、TRP1変異、LEU2変異、URA3変異)はトリプトファン合成能、ロイシン合成能、ウラシル合成能を欠損した株である。この株をSD培養液5mlにて、30°Cで対数増殖期(OD660nm=0.8)まで培養した。これにFrozen−EZ Yeast Transformation IIキット(ZYMO RESEARCH社製)を用いてコンピテントセルを作製した。キット添付のプロトコールに従い、このコンピテントセルに上述の実施例にて構築した染色体導入型ベクターpBS−GAL1p−GFPを制限酵素XbaI処理し、遺伝子導入した。この形質転換試料を洗浄後、100μlの滅菌水に溶解させてトリプトファン選抜培地に塗沫し、それぞれについて30°C静置培養下で形質転換体の選抜を行った。
得られたそれぞれのコロニーを新たなトリプトファン選抜培地で再度単離し、生育能を安定に保持している株を形質転換候補株とした。次に、これらの候補株をYPD培養液2mlで一晩培養し、これにゲノムDNA調製キット、GenとるくんTM−酵母用−(タカラバイオ社製)を用いてゲノムDNAを調製した。調整した各ゲノムDNAを鋳型にPCR解析を行い、導入遺伝子の有無が確認できたものを形質転換株1とした。形質転換株1における染色体中の導入遺伝子の構造を図5に示す。
形質転換株1を用いて、上記と同様の方法でコンピテントセルを作製した。このコンピテントセルに上述の実施例にて構築した染色体導入型ベクターpBS−URA3g、pBS−HIS3p−GAL2、pBS−HIS3p−GAL1、pBS−HIS3p−GAL1−HIS3p−GAL2をそれぞれ制限酵素NcoI処理し、遺伝子導入した。この形質転換試料を洗浄後、100μlの滅菌水に溶解させてウラシル選抜培地に塗沫し、それぞれについて30°C静置培養下で形質転換体の選抜を行い、上記と同様の方法で導入遺伝子の確認を行い、有無が確認できたものをそれぞれ形質転換株2〜5とした。これらの形質転換酵母株における染色体中の導入遺伝子の構成を表1に示し、構造を図6〜図9に示す。
形質転換株2及び5を用いて、上記と同様の方法でコンピテントセルを作製した。これらのコンピテントセルに上述の実施例にて構築した染色体導入型ベクターpBS−GAL10p−GAL4を制限酵素EcoRI処理し、遺伝子導入した。また、形質転換株5のコンピテントセルにはpBS−LEU2gを制限酵素EcoRI処理し、遺伝子導入した。これらの形質転換試料を洗浄後、100μlの滅菌水に溶解させてロイシン選抜培地に塗沫し、それぞれについて30°C静置培養下で形質転換体の選抜を行い、上記と同様の方法で導入遺伝子の確認を行い、有無が確認できたものをそれぞれ形質転換株6〜8とした。それぞれの形質転換酵母株における染色体中の導入遺伝子の構成を表1に示し、構造を図10〜12に示す。
(実施例3)発酵試験によるガラクトース誘導性能の検証)
これらの形質転換株2〜8について以下の条件でグルコース存在下(ガラクトース添加なし)で培養し、その後、培地交換してガラクトース存在下(0.05g/l〜20g/l、グルコース添加なし)で培養し、産生したタンパク質を抽出し、ウェスタンブロッティングによりGFPタンパク量を評価した。
(培養条件)
SD培養液(グルコース2%)5mlにて、各形質転換株を30°Cで一夜前培養した。SD培養液(グルコース2%)10mlにこの前培養液100μlを植菌して、30°CでOD660nm=1.0〜1.2のものを0時間とし、培養液1mlを採取して、遠心を行って集菌して−20°C保存した。残りの培養液を遠心して菌体を集めて、8mlのSC培地(ガラクトース濃度:0.05g/l〜20g/l)を加えて懸濁して30°Cで0〜4時間、好気条件下で培養を行った(L字試験管、70rpm(小型振盪培養装置(ADVANTEC))。経時的(1h,2h及び4h)に培養液1mlを採取して、遠心を行って集菌して、−20°C保存した。
(タンパク質抽出)
−20°C保存した菌体を融解し、その6μlを50mM PMSFと50μl Y−PER Yeast ProteinExtraction Reagent(PIERCE社)を加えて、ゆるく振とうしながら室温で20分間処理した。4°C、15,000rpmで15分間遠心し、上清を別の1.5mlチューブに移して、タンパク質溶液とした。このタンパク質溶液を1/3希釈し、QuickStart プロテインアッセイキット(BIO−RAD社)を用いて、BSA溶液を基準としてOD595の吸光度を分光光度計Ultraspec 3000(Amersham Biosciences社)で測定し、タンパク質濃度を決定した。
(ウエスタンブッロッティング)
12%のアクリルアミドゲルを作製し、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動をTris−Glycineバッファーを用いて、100Vの定電圧で行った。ゲルをTowbinの転写バッファー(25mMTris,192mM Glycine,20% Methanol,pH8.3)(ref)に20分間浸して平衡化した。トランスブロットSDセル(BIO−RAD社)を用いて、上記の転写バッファーで既に平衡化を行ったタンパク質転写用メンブレンHybond−P(AmershamBiosciences社)に対してゲル中のタンパク質を15Vの定電圧で40分間転写した。メンブレンを軽く水ですすいだ後、2%BSAを含む1xTBSバッファー中に浸して、室温で一夜振とうしてブロッキングを行った。
抗オート蛍光たん白、モノクローナル抗体Anti−AFP,mAb(11E5)(和光純薬社製)を一次抗体として、1xTBSバッファーに1:1000倍希釈した。この溶液中にメンブレンを浸して、室温で2時間振とうした。0.1%のTween20(BIO−RAD社)を含む1xTBSバッファーで10分間・室温で振とうしてメンブレンを洗浄した。バッファーを取り替えて、この洗浄操作を3回繰り返した。
次に、ECLPlus Western blottingreagent pack(Amersham Biosciences社)に含まれているAnti mouse−IgG(peroxidase−linked)を二次抗体として、1xTBSバッファーに1:10000倍希釈した。この溶液中にメンブレンを浸して、室温で2時間振とうした。0.1%のTween20(BIO−RAD社)を含む1xTBSバッファーで10分間・室温で振とうしてメンブレンを洗浄した。バッファーを取り替えて、この洗浄操作を3回繰り返した。
ECLPlusキットのプロトコールにしたがって、化学発光を行い(2%,0.2%2min;0.01%,0.005%,10min)、化学発光検出器(アイシン精機)でシグナルを検出し、画像データと発光強度の数値データを得た。形質転換株2〜5についての画像データを図13に示し、得られた測定値に基づくグラフを図14に示す。なお、これらのグラフにおける発光強度は、メンブレン毎の相対的な数値データであり、メンブレン内の形質転換株4を2時間ガラクトース誘導培地で培養した後の発光強度を1とした場合の比で表した。また、形質転換株6〜8についての画像データを図15に示す。
図13及び図14に示すように、Gal1をHIS3プロモーターで構成的に発現させた形質転換株4とGal1とGal2とをHIS3プロモーターで構成的に発現させた形質転換株5とは、全てのガラクトース濃度においても最も強い発光強度を示した。また、Gal2のみを比S3プロモーターで発現させた形質転換株3は、ガラクトース濃度が20g/lのとき、対照となる形質転換株2を上回った。このことから、Gal4による転写活性化を支援するタンパク質であるGal1、Gal3及びGal2のいずれかを構成的に発現させることで、ガラクトース誘導的にGFPを効率的に発現させることができることがわかった。
また、ガラクトース濃度が20g/l及び2g/lのときには、Gal1のみを構成的に発現させた形質転換株4がGal1とGal2とを構成的に発現させた形質転換株5よりも上回っていた。一方、ガラクトース濃度が0.1g/l及び0.05g/lのときには、形質転換株5が形質転換株4を大きく上回っていた。すなわち、比較的高濃度のガラクトース存在下では、形質転換株4と5とでは、Gal1のみを構成的に発現させた形質転換株4のほうがどちらかといえば優勢ではあるがガラクトース誘導の応答性はそれほど大きく変らないのに対し、ガラクトース濃度が低くなると、これらの応答性は逆転ししかも濃度が低いほど応答性の差は顕著に拡大した。以上のことから、比較的低濃度のガラクトース濃度で有効な応答性を得ようとする場合、Gal1とGal2とを組み合わせて使用することが好ましいことがわかった。また、Gal2(ガラクトパーミアーゼ)は、ガラクトース濃度が低い場合において、Gal1との相乗作用が増強されることがわかった。さらに、Gal2のHIS3プロモーターによるGal2のみの構成的発現では、ガラクトース濃度がある程度高い場合には効果的であり、より強力な構成的発現による効果の増大が期待できることがわかった。
また、図15に示すように、Gal1とGal2とを構成的に発現する形質転換株7,8では、いずれも、Gal4をガラクトース誘導的に発現する形質転換株6よりも早くかつ多量のGFPを産生していた。少なくとも、2時間以内においては、形質転換株6においては、有意なシグナルを検出できなかった。また、特に、Gal1とGal2とを構成的に発現するとともにGal4をガラクトース誘導的に発現する形質転換株7においては、形質転換株6よりも良好な応答性を示した。
以上のことから、Gal4をガラクトース誘導的に発現させるだけでは、ガラクトース誘導系を応答性よく誘導できないことがわかった。また、Gal1やGal2などの支援タンパク質を構成的に発現させるともに、Gal4をガラクトース誘導的に発現させることで相乗的な効果があることがわかった。
配列番号1〜26:プライマー
ガラクトース誘導系におけるガラクトース、Gal80、Gal4及び支援タンパク質の関係を示す図。 pBS-HIS3p-GAL1-HIS3p-GAL2を示す図。 pBS-GAL10p-GAL4を示す図。 pBS-GAL1p-GFPを示す図。 形質転換株1を示す図。 形質転換株2を示す図。 形質転換株3を示す図。 形質転換株4を示す図。 形質転換株5を示す図。 形質転換株6を示す図。 形質転換株7を示す図。 形質転換株8を示す図。 実施例3におけるウェスタンブロッティングのメンブランの画像データを示す図。 図13の画像データをグラフ化した図。 実施例3におけるウェスタンブロッティングのメンブランの画像データを示す図。

Claims (19)

  1. ガラクトース誘導系を有し、
    構成的プロモーターの制御下に連結されるGal1活性タンパクをコードするコード領域と、
    構成的プロモーターの制御下に連結されるGal2活性タンパク質をコードするコード領域と、
    を、保持する、形質転換体。
  2. さらに、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下に連結されるGal4活性タンパク質をコードするコード領域を保持する、請求項1に記載の形質転換体。
  3. 前記構成的プロモーターは、HIS3プロモーター、TDH3プロモーター及びADH1プロモーターから選択される、請求項1又は2に記載の形質転換体。
  4. さらに、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下に内在性又は外来性の所望のタンパク質をコードするコード領域を保持する、請求項1〜3のいずれかに記載の形質転換体。
  5. 前記ガラクトース誘導性プロモーターは、GAL1プロモーター、GAL2プロモーター、GAL3プロモーター、GAL4プロモーター、GAL5プロモーター、GAL7プロモーター、GAL10プロモーター及びMEL1プロモーターからなる群から選択される、請求項4に記載の形質転換体。
  6. 前記ガラクトース誘導性プロモーターは、Gal4結合部位を上流側に備えGal4タンパク質によって活性化可能なガラクトース代謝遺伝子以外の内在性プロモーター又は外来性プロモーターである、請求項4又は5に記載の形質転換体。
  7. 前記外来性プロモーター又は前記内在性プロモーターは、CYC1プロモーター、CUP1プロモーター及びHOR7プロモーターから選択される、請求項6に記載の形質転換体。
  8. 宿主細胞が酵母である、請求項1〜7のいずれかに記載の形質転換体。
  9. 前記酵母は、サッカロマイセス・セレビシエ、サッカロマイセス・ポンベ、ピキア・パストリス、クルイベロマイセス・ラクティス及びカンジダ・アルビカンスから選択される、請求項8記載の形質転換体。
  10. 第1の構成的プロモーターと、
    該第1の構成的プロモーターの制御下に連結されるGal1活性を有するタンパク質をコードするコード領域と、
    第2の構成的プロモーターと、
    該第2の構成的プロモーターの制御下に連結されるGal2活性を有するタンパク質をコードするコード領域と、
    を備える、核酸コンストラクト。
  11. 請求項10に記載の核酸コンストラクトを備える発現ベクター。
  12. プラスミド又はウイルスである、請求項11に記載の発現ベクター。
  13. 請求項11又は12に記載の発現ベクターを保持する宿主細胞。
  14. 形質転換体の培養方法であって、
    請求項1〜9のいずれかに記載の形質転換体を、実質的にガラクトースを含まない培地で培養する培養工程を、備える、培養方法。
  15. さらに、実質的にグルコースを含まず前記形質転換体の前記ガラクトース誘導系を発現可能な程度のガラクトースの存在下で前記形質転換体を培養する培養工程を、備える、請求項14に記載の培養方法。
  16. 遺伝子の発現方法であって、
    請求項1〜9のいずれかに記載の形質転換体を、実質的にガラクトースを含まない培地で培養する第1の培養工程と、
    実質的にグルコースを含まず、前記形質転換体の前記ガラクトース誘導系を発現可能な程度のガラクトースの存在下で前記形質転換体を培養し、前記所望のタンパク質を発現させる第2の培養工程と、
    を備える、発現方法。
  17. 前記2の培養工程におけるガラクトースの初期濃度は20g/l未満である、請求項16に記載の発現方法。
  18. 前記第2の培養工程は、ガラクトースを含む培地に培地交換して開始する、請求項に16又は17に記載の発現方法。
  19. 形質転換体を用いた物質の生産方法であって、
    請求項16〜18のいずれかに記載の遺伝子発現方法により発現させた所望のタンパク質又はそのタンパク質による代謝産物を回収する工程を備える、生産方法。
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