JP4765226B2 - 指紋検出装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【本発明の属する技術分野】
本発明は指紋検出装置及びその製造方法に関する。詳しくは、指紋検出用の半導体チップの最外表面に保護膜としてダイヤモンドライクカーボン膜を備え、他の保護部材に比べて保護膜の応力を軽減できるようにすると共に、成膜温度の上限を規定して半導体チップ内の配線材料のストレスマイグレーション等による破壊を抑制できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、銀行や役所等で本人を確認する場合や、電子機器を動作させる場合、特定施設建物等に入場する場合に指紋検出装置が利用される場合が多くなってきた。
【0003】
この種の指紋検出装置によれば、半導体基板に格子状に検出電極を配置し、これらの検出電極の表面を保護膜で覆うようになされる。このような半導体チップを指紋センサチップとも呼ばれる。この保護膜の上に指を載せたときに、その保護膜を誘電体として検出電極と指の表面との間にコンデンサが形成され、指紋の凹凸に応じて静電容量が異なって分布するようになされる。この静電容量の変化を検出することによって指紋の模様(指紋パターン)を採取する方法が知られている(例えば、米国特許第5325442号公報参照)。
【0004】
このように指紋検出装置は半導体チップ表面を直接指で触れるようになされるために、半導体表面を剥き出した構造を採らざるを得ない。そのため、保護膜には例えば、指、爪、コイン、鉛筆等の物理的な衝突に対する耐性が求められる。物理的な衝突に対する耐性の他にも、静電気に対する耐性、容量検知が容易であることが要求される。具体的に、保護膜に関して、摩擦係数が小さく、硬くて、絶縁破壊電界が高く、高融点、高熱伝導率、熱膨張係数が小さく、比誘電率の大きいことが求められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来例に係る指紋検出装置によれば、誘電体膜を兼用する窒化シリコン膜が保護膜として最外表面に形成されている。このため、以下のような問題がある。
【0006】
i.窒化シリコン膜は表面硬度が9〜10GPa(ギガパスカル)程度であって、それほど硬い膜ではなく傷がつき易い。このため、指紋センサチップ(以下で半導体チップともいう)を露出しないように例えば、金属製の蓋体を装着して使用される場合が多かった。この種の保護用の蓋体の開閉動作は感覚的に必ずしも好ましいものではない。
ii.蓋体の開閉機構が指紋検出装置の薄型化及びその小型化を妨げたり、その低廉化の妨げとなる。
iii.更に、個人識別機能を重視すべく携帯電子機器等に指紋照合システムを搭載しようとした場合に、蓋体やその開閉機構が製造負担増となるおそれがある。
iv.因みに、ダイヤモンドなどの炭素部材を保護膜として用いた場合、膜の応力が高くなる。膜の応力が高いと、例えば膜自身の剥がれやストレスマイグレーションによる配線破壊を生じる場合が多くなる。つまり信頼性の良い指紋検出装置の製造の妨げとなる。
【0007】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、従来例に比べて保護膜の応力を軽減できるようにすると共に、半導体チップ内の配線材料のストレスマイグレーション等を防止できるようにした指紋検出装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題は、半導体基板と、前記半導体基板に形成された指紋検出用の複数の検出電極と、前記複数の検出電極を覆い、表面が平坦化された誘電体膜と、前記誘電体膜の表面の平坦面に設けられた炭素系の保護膜とを備え、前記保護膜にはダイヤモンドライクカーボンが適用され、前記ダイヤモンドライクカーボンは成膜温度を200℃乃至450℃に設定されて形成されたものであり、前記保護膜の膜厚は、保護機能を確保する最低膜厚0.2μm以上で膜剥がれを起こさない範囲の最大膜厚5.0μm以下に設定され、前記誘電体膜は、前記検出電極の面から前記保護膜の表面までのコンデンサ誘電体膜の総膜厚に対し、前記保護膜の膜厚制限による不足分を補う膜厚を有する窒化シリコン膜である指紋検出装置によって解決される。
【0009】
本発明に係る指紋検出装置によれば、成膜温度を200℃乃至450℃に設定してダイヤモンドライクカーボンが成膜されて成るので、膜の応力を軽減された保護膜により半導体チップの最上表面等を保護することができる。また、その成膜温度の上限が450℃とされるので、半導体チップ内の配線材料のストレスマイグレーション等による破壊を抑えることができ、膜自身の剥がれを無くすことができる。従って、より一層信頼性の高い指紋検出装置を提供することができる。
【0010】
本発明に係る指紋検出装置の製造方法によれば、半導体基板上に指紋検出用の複数の検出電極を形成する工程と、前記複数の検出電極を覆い、表面が平坦な誘電体膜を形成する工程と、成膜温度を200℃乃至450℃に設定して前記誘電体膜の表面の平坦面上にダイヤモンドライクカーボンを、保護機能を確保する最低膜厚0.2μm以上で膜剥がれを起こさない範囲の最大膜厚5.0μm以下の膜厚にて形成する工程とを有し、前記誘電体膜を形成する工程では、前記検出電極の面から前記保護膜の表面までのコンデンサ誘電体膜の総膜厚に対し、前記保護膜の膜厚制限による不足分を補う膜厚が前記複数の検出電極上で得られるように窒化シリコン膜を形成する。
【0011】
本発明に係る指紋検出装置の製造方法によれば、成膜温度を200℃乃至450℃に設定してダイヤモンドライクカーボンを成膜するようにしたので、200℃以下で保護膜を形成する場合に比べて保護膜としてのダイヤモンドライクカーボン膜の応力を軽減することができる。また、その成膜温度の上限が450℃とされるので、半導体チップ内の配線材料のストレスマイグレーション等による破壊を抑えることができ、膜自身の剥がれを無くすことができる。従って、信頼性の高い指紋検出装置を製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
続いて、この発明に係る指紋検出装置及びその製造方法の一実施の形態について、図面を参照しながら説明をする。
図1A及びBは本発明に係る実施形態としての指紋検出装置100の構成例を示す側面図及び拡大断面図である。
この実施形態では指紋検出用の半導体チップの最外表面に保護膜としてダイヤモンドライクカーボン膜を備え、従来例に比べて保護膜の応力を軽減できるようにすると共に、成膜温度の上限を規定して半導体チップ内の配線材料のストレスマイグレーション等による破壊を抑制できるようにしたものである。
【0013】
図1Aに示す指紋検出装置100は人の指紋を検出するものであり、絶縁基板1上に指紋検出用の半導体チップ(以下で指紋センサチップという)10が備えられている。この指紋センサチップ10の最外表面には炭素系の保護膜14が設けられている。指紋センサチップ10は指紋検出領域Aを有している。この保護膜14の周縁部は、指紋検出領域Aを画定する窓部Wを除く絶縁基板1の全面を覆うように絶縁性の部材2によって抑え込まれている。窓部Wは絶縁性の部材2に形成された開口部によって画定されている。
【0014】
炭素系の保護膜14を指紋センサチップ10の最外表面に設けたのは、当該指紋検出装置100が直接、指3で触れる構造であること、半導体表面を剥き出し状態にしないことを前提にして、指3、爪、コイン、鉛筆等の物理的な衝突に耐えられること、静電気に耐えられること、容量検知が容易であることを考慮したためである。
【0015】
この炭素系の保護膜14にはダイヤモンドライクカーボンが使用される。このダイヤモンドライクカーボンは成膜温度を200℃乃至450℃に設定されて形成されたものである。ダイヤモンドライクカーボンは摩擦係数が小さく、硬くて、絶縁破壊電界が高く、高融点、高熱伝導率、熱膨張係数が小さく、比誘電率の大きい等の特徴がある。一般に融点が高いほど、また、結晶性が高いほど、膜の応力が増加する傾向にあることは公知である。従って、ダイヤモンドとダイヤモンドライクカーボンを比べた場合、ダイヤモンドライクカーボンを用いる方が有利であることは明らかである。
【0016】
この実施形態ではダイヤモンドライクカーボンの膜厚を例えば、0.2〜5.0μmの範囲であって、好ましくは0.5〜2.0μm程度になされる。0.2μm以下では保護機能が十分ではなく、5μm以上ではダイヤモンドライクカーボンの内部応力のために、膜剥がれが起こることが本願発明者らによって確認されている。ダイヤモンドライクカーボンの膜硬度は10GPa(ギガパスカル)以上であって、好ましくは20GPa程度になされる。
【0017】
この実施形態ではダイヤモンドライクカーボンを炭素及び水素から構成する場合と、ダイヤモンドライクカーボンを炭素、水素及び/又は窒素から構成する場合が対象となる。いずれのダイヤモンドライクカーボンも、炭素原子が四面体配位を採り、ダイヤモンド構造を採る。
【0018】
通常のダイヤモンドは安定した立方晶系に属し、四面体の各頂点の炭素原子が電子を共有(SP2混成軌道)して三次元的に広がった構造を採る。ダイヤモンドライクカーボンはダイヤモンド構造を採るが、炭素原子の一部が水素原子及び/又は窒素原子と置き換わったものである。ダイヤモンドよりも更に硬い膜を形成することができる。
【0019】
この保護膜14の一例となるダイヤモンドライクカーボン膜(以下で同じ符号で記述する)の下方の指紋センサチップ10は、図1Bに示すように半導体基板11上に複数の検出電極12が形成されており、コンデンサCの蓄積電極等を構成するようになされる。この検出電極12の配置ピッチpは80μm程度である。
【0020】
検出電極12上には窒化シリコン膜などの絶縁膜13に覆われている。この絶縁膜13は誘電体膜を兼ねるようになされる。これと共に、検出電極12を直接接触できないようになされる。上述したダイヤモンドライクカーボン膜(以下でDLC膜という)14はこの絶縁膜13上を覆うように形成されている。
【0021】
次に、指紋センサチップ10における指紋検出原理について説明をする。図2は指紋センサチップ10の構成例を示す平面図である。
【0022】
この指紋センサチップ10では図2に示す半導体基板11に行方向m個及び列方向にn個の検出電極12が格子状に配置されている。これを検出電極アレイ15という。各々の検出電極12にはスイッチング用の電界効果トランジスタ(以下で単にトランジスタという)Trが接続されている。図2には3×3個の検出電極12及びトランジスタTrを示している。この例では検出電極12はトランジスタTrのソースに接続されている。他の検出電極12も同様に接続される。
【0023】
この検出電極アレイ15の例えば、左側には行駆動回路16が設けられ、各々のトランジスタTrのゲートに接続されると共に、列方向単位にゲートを一斉に選択するようになされる。検出電極アレイ15の下側には列検出回路17が設けられており、トランジスタTrのドレインに接続されると共に、列方向に検出電極12を走査するようになされる。
【0024】
この指紋センサチップ10によれば、図1Aに示した窓部Wに人の指3が載置されると、指紋を構成する凹凸部と、検出電極12との間に形成されるコンデンサCの容量が異なって現れる。つまり、コンデンサCは接地電位にある人の指3を共通電極とし、指紋センサチップ10の検出電極12、及び、その間に存在する誘電体としてDLC膜14+絶縁膜13、あるいは、空気層+DLC膜14+絶縁膜13によって形成される。
【0025】
例えば、指紋の隆起部3Aでは空気層によるコンデンサCが介在しなくなり、検出電極12との間隔が短くなることから、コンデンサCの容量は大きくなる。指紋の谷部3Bでは空気層によるコンデンサCの容量が直列に介在すること、及び、検出電極12との間隔が長くなるためコンデンサCの容量は小さくなる。
【0026】
このことから、そのコンデンサCの容量変化を指紋検出領域Aにおいて検出することにより指紋の模様(指紋パターン)を再現性良く採取できるのである。ここで採取した指紋検出画像をモニタ等に表示したり、予め取得した指紋検出画像と比較等することにより、本人確認のための照合処理等をすることができるようになる。
【0027】
続いて、指紋検出装置100の製造方法について説明をする。図3A〜3Cは指紋検出装置100における指紋センサチップ10の形成例を示す工程図である。図4はダイヤモンドライクカーボン成膜装置300の構成例を示すブロック図である。
【0028】
この実施形態では指紋センサチップ10のパッケージ前にダイヤモンドライクカーボン成膜工程を導入する場合を想定する。ダイヤモンドライクカーボン膜14の成膜温度は200℃乃至450℃に設定する場合を想定する。このときの成膜条件はチャンバ内を1.5E−4Paで背圧し、成膜圧力を2〜5Pa程度に設定し、RFパワーを0.3〜2.0kW程度に設定し、周波数を13.56MHzとする。
【0029】
これを製造条件にして、まず、図3Aに示す半導体基板11上に回路電極の一例となる検出電極12を形成する。ここで図3Aには示さないが行駆動回路16及び列検出回路17を予め形成した半導体基板11を準備する。検出電極12に関しては図2に示したように半導体基板11に行方向m個及び列方向にn個を格子状に並べて形成する(検出電極アレイ15)。
【0030】
図3Aに示す検出電極12には例えばAl−Siが用いられ、その配置ピッチpは80μm程度である。もちろん、検出電極12をパターニングするときに、行駆動回路16及び列検出回路17と接続するための配線層を同時に形成するようにしてもよい。
【0031】
その後、図3Bに示す検出電極12を含む半導体基板11上の全面に絶縁膜の一例となる窒化シリコン膜13を形成する。窒化シリコン膜13はCVD装置により膜厚数μm〜数十μm程度に形成する。
【0032】
更に、図3Cに示す窒化シリコン膜13の上に炭素系の保護膜の一例となるダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)14を形成する。DLC膜14の厚さは0.2〜5.0μmの範囲であって、好ましくは0.5〜2.0μm程度に形成する。例えば、図4に示すダイヤモンドライクカーボン成膜装置300を用いて窒化シリコン膜13上にDLC膜14を成膜する。
【0033】
図4に示すダイヤモンドライクカーボン成膜装置300は平行平板型のRFプラズマCVD装置を構成するものである。この成膜装置300は任意の試料面上にDLC膜14を成長する装置であり、搬入側にロードロックチャンバ31、中央にプラズマチャンバ32及び搬出側にロードロックチャンバ33を有している。
【0034】
ロードロックチャンバ31はシャッター31A,31Bを有しており、ロードロックチャンバ33はシャッター33A,33Bを有している。シャッター31Bはプラズマチャンバ32の入り口に設けられ、シャッター33Aはプラズマチャンバの出口に設けられている。
【0035】
プラズマチャンバ32内には接地線GNDに接続された平板電極35と、半導体ウエハ10’を載置すると共に高周波電源38に接続された平板電極36を有している。プラズマ34はこれらの平行電極35と36との間に発生される。この他にプラズマチャンバ32内にはランプヒータ37A,37Bが設けられ、これらのヒータ37A,37Bが温度制御手段37に接続され、半導体ウエハ10’が温度制御される。
【0036】
このダイヤモンドライクカーボン成膜装置300では搬送系から送られてきた指紋センサチップを有する半導体ウエハ10’が搬入側のロードロックチャンバ31を介在してプラズマチャンバ32に搬入される。例えば、予めプラズマチャンバ32内が1.5E−4Pa程度に背圧されている。
【0037】
シャッター31Aを開けて半導体ウエハ10’がロードロックチャンバ31に搬入されると共に、シャッター31Aが閉じられる。その後、ロードロックチャンバ31が真空引きされ、プラズマチャンバ32内の圧力と同等になされる。圧力が同等になされたところで、シャッター31Bを開けて半導体ウエハ10’がプラズマチャンバ32内の平板電極36にセットされる。
【0038】
その後、温度制御手段37によって、ランプヒータ37A,37Bの温度が200℃を越え、450℃以下に調整される。好ましくは300℃に調整される。平板電極35、36間のRFパワーが例えば、1.5kWに調整され、成膜圧力を3.0Paに設定される。
【0039】
この状態で主原料ガス39としてメタン(CH4)を使用し、そのガス流量は100sccmとなされる。この他に主原料ガス39には、エチレンなどの炭化水素系ガスや、ベンゼン、トルエンなどの芳香族系炭化水素、メタノール、エタノールなどのアルコール系炭化水素などプラズマチャンバ32内に導入され、それらに更に水素を反応性ガス301として混合するようになされる。なお、キャリヤガスとしてアルゴン等を混合してもよい。
【0040】
これにより、窒化シリコン膜13上にDLC膜14が形成され、指紋検出領域Aの最上層にDLC膜14を形成した指紋センサチップ10が完成する。その後の工程は従来例と同様にして半導体ウエハ10’が搬出側のロードロックチャンバ33を介在してプラズマチャンバ32外に搬出される。
【0041】
例えば、予めロードロックチャンバ33内が1.5E−4Pa程度に背圧された後に、シャッター33Aを開けて半導体ウエハ10’がロードロックチャンバ33に搬出されると共に、シャッター33Aが閉じられる。その後、ロードロックチャンバ33が減圧され、ロードロックチャンバ33内が大気圧と同等になされる。圧力が同等になされたところで、シャッター33Bを開けて半導体ウエハ10’が外部に取り出される。
【0042】
その後の工程では、絶縁基板1上に指紋センサチップ10を接合する。そして、指紋検出領域Aを画定する窓部Wを除くこのDLC膜14の周縁を押さえ込むように、絶縁基板1上に絶縁性の部材2を形成する。これにより、図1Aに示した指紋検出装置100が完成する。
【0043】
図5はDLC膜14の成膜時の基板温度と膜応力との関係例を示す特性図である。図5に示す縦軸は膜の応力Sであり、横軸は基板温度Tをそれぞれ示している。膜の応力Sは二点鎖線で示した熱応力Xと、一点鎖線で示した内部応力Yから成り、内部応力Yが支配的である。
【0044】
この膜応力特性によれば、熱応力Xは基板温度Tに比例して大きくなるが、逆に内部応力Yは基板温度Tに反比例して小さくなる。従って、全膜応力Zは点線で示すように、基板温度Tに反比例して小さくなる。
【0045】
つまり、図4に示した平行平板型のRFプラズマCVD装置等により、ダイヤモンドライクカーボン膜14を成長する時の温度は、パッケージ工程時の有機樹脂の加工温度を考慮して、200℃以下に抑えられる。しかし、応力を軽減させるためにはより高い温度で成膜した方が良いことがわかる。また、指紋センサチップ10内のアルミニウム配線材料等の融点から鑑みて、成膜時の温度を450℃までにとどめておくのが妥当である。
【0046】
このように、本発明に係る実施形態としての指紋検出装置100及びその製造方法によれば、ダイヤモンドライクカーボン膜14の成膜温度を200℃乃至450℃に設定することにより、保護膜としての応力を軽減することができる。また、その成膜温度の上限を450℃とされるので、半導体チップ内の配線材料のストレスマイグレーション等による破壊を抑えることができ、膜自身の剥がれを無くすことができる。
【0047】
従って、保護用の蓋体に依存することなく、指紋センサチップ10の表面強度及び静電耐圧を向上させることができる。しかも、傷や汚れ等がつき難くなる。従来方式のような保護用の蓋体が不要となることから、当該指紋検出装置100の薄膜化及び小型化をすることができる。
【0048】
また、指紋センサチップ10の薄膜化が可能になることから、検出電極12に蓄積する電荷量が多くなり、信号検出電圧を高くすることができる。これにより、信頼性及び性能の高い指紋検出装置100を提供することができる。
【0049】
この実施形態でDLC膜14をRFプラズマCVD法を用いて成膜する場合について説明したが、これに限られることはなく、この他に、スパッタ法、マイクロ波プラズマCVD法、PVD(物理的気相成長)法、レーザアブレーション法、イオンビーム蒸着法等を利用して形成することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る指紋検出装置によれば、指紋検出用の半導体チップの最外表面に設けられた炭素系の保護膜に、ダイヤモンドライクカーボンが適用され、このダイヤモンドライクカーボンは成膜温度を200℃乃至450℃に設定されて形成されたものである。
【0051】
この構成によって、半導体チップ形成時において、200℃を越える高い温度でダイヤモンドライクカーボンを成膜できるので、従来例に比べ保護膜の応力を軽減することができる。また、その成膜温度の上限が450℃とされるので、半導体チップ内の配線材料のストレスマイグレーション等による破壊を抑えることができ、膜自身の剥がれを無くすことができる。従って、信頼性の高い指紋検出装置を提供することができる。
【0052】
本発明に係る指紋検出装置の製造方法によれば、半導体基板上に指紋検出用の回路電極を形成し、その後、回路電極を含む半導体基板上の全面に絶縁性の膜を形成し、更に、成膜温度を200℃乃至450℃に設定して絶縁性の膜上にダイヤモンドライクカーボンを形成するようになされる。
【0053】
この構成によって、半導体チップ形成時において、200℃を越える高い温度でダイヤモンドライクカーボンを成膜できるので、従来例に比べて保護膜の応力を軽減することができる。また、その成膜温度の上限が450℃とされるので、半導体チップ内の配線材料のストレスマイグレーション等による破壊を抑えることができ、膜自身の剥がれを無くすことができる。従って、より一層信頼性の高い指紋検出装置を製造することができる。
【0054】
この発明は容量変化を利用して指紋を検出し照合するシステムに適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】A及びBは本発明に係る第1の実施形態としての指紋検出装置100の構成例を示す側面図及び拡大断面図である。
【図2】指紋センサチップ10の構成例を示す平面図である。
【図3】A〜Cは指紋検出装置100における指紋センサチップ10の形成例を示す工程図である。
【図4】ダイヤモンドライクカーボン成膜装置300の構成例を示すブロック図である。
【図5】DLC膜14の成膜時の基板温度と膜応力との関係例を示す特性図である。
【符号の説明】
1・・・絶縁基板、2・・・絶縁性の部材、10・・・指紋センサチップ(半導体チップ)、11・・・半導体基板、12・・・検出電極、13・・・窒化シリコン膜(絶縁膜)、14・・・ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜:保護膜)、15・・・検出電極アレイ、37・・・温度制御手段、100・・・指紋検出装置、300・・・ダイヤモンドライクカーボン成膜装置
Claims (6)
- 半導体基板と、
前記半導体基板に形成された指紋検出用の複数の検出電極と、
前記複数の検出電極を覆い、表面が平坦化された誘電体膜と、
前記誘電体膜の表面の平坦面に設けられた炭素系の保護膜と
を備え、
前記保護膜にはダイヤモンドライクカーボンが適用され、前記ダイヤモンドライクカーボンは成膜温度を200℃乃至450℃に設定されて形成されたものであり、
前記保護膜の膜厚は、保護機能を確保する最低膜厚0.2μm以上で膜剥がれを起こさない範囲の最大膜厚5.0μm以下に設定され、
前記誘電体膜は、前記検出電極の面から前記保護膜の表面までのコンデンサ誘電体膜の総膜厚に対し、前記保護膜の膜厚制限による不足分を補う膜厚を有する窒化シリコン膜である
指紋検出装置。 - 前記ダイヤモンドライクカーボンは炭素及び水素から成る
請求項1に記載の指紋検出装置。 - 前記ダイヤモンドライクカーボンは炭素、水素及び窒素から成る
請求項1に記載の指紋検出装置。 - 半導体基板上に指紋検出用の複数の検出電極を形成する工程と、
前記複数の検出電極を覆い、表面が平坦な誘電体膜を形成する工程と、
成膜温度を200℃乃至450℃に設定して前記誘電体膜の表面の平坦面上にダイヤモンドライクカーボンを、保護機能を確保する最低膜厚0.2μm以上で膜剥がれを起こさない範囲の最大膜厚5.0μm以下の膜厚にて形成する工程と
を有し、
前記誘電体膜を形成する工程では、前記検出電極の面から前記保護膜の表面までのコンデンサ誘電体膜の総膜厚に対し、前記保護膜の膜厚制限による不足分を補う膜厚が前記複数の検出電極上で得られるように窒化シリコン膜を形成する
指紋検出装置の製造方法。 - 前記ダイヤモンドライクカーボンは炭素及び水素から成る
請求項4に記載の指紋検出装置の製造方法。 - 前記ダイヤモンドライクカーボンは炭素、水素及び窒素から成る
請求項4に記載の指紋検出装置の製造方法。
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