JP4765013B2 - ベクトル制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータ回転速度を検出してフィードバックすることにより所望のトルクでモータ回転速度を制御するベクトル制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来のベクトル制御装置を示すブロック図である。
この図において、1は交流電源、2は交流電源1と接続されたインバータである。3は誘導電動機(モータ)、4は誘導電動機3と接続された負荷、5は誘導電動機3の回転速度を検出するパルスエンコーダである。また、6は速度設定器であり、速度指令演算回路7を介して制御回路8に接続されている。9は誘導電動機3の各相電流を検出する電流センサであって、制御回路8と接続されている。
【0003】
交流電源1からの交流電力は、インバータ2により所定の電圧と周波数の交流電力に変換され、誘導電動機3を所望のトルクで運転する。負荷4はこの誘導電動機3により駆動されるものであって、パルスエンコーダ5によって負荷4を駆動する誘導電動機3の回転速度が検出される。
【0004】
速度設定器6は、誘導電動機3により運転される負荷4の速度設定値ωr#を設定するものである。この速度設定値ωr#に基づいて、速度指令演算回路7では速度指令値ωr*が演算される。この速度指令値ωr*は、予め定められた加速度により変化するように演算され、最終的には速度設定値ωr#で負荷4を運転するように制御回路8に対して指令される。さらに、この制御回路8には、パルスエンコーダ5からのフィードバック信号と電流センサ9により検出された相電流信号が供給されている。この制御回路8からインバータ2に三相電圧指令値が出力され、誘導電動機3のトルク・速度制御が実現される。
【0005】
図7は、従来のベクトル制御装置を用いて2台のモータの位置同期制御を行う場合のブロック図である。ここでは、図6のベクトル制御装置の各構成ブロックと対応する部分に対応する符号を付け、さらに一方の制御装置については添え字aを、他方の制御装置については添え字bを加えている。
【0006】
2台の誘導電動機3a,3bは、それぞれ独立の制御装置によって上述した図6のものと同様に制御可能であるが、ここでは2台を位置同期制御するために、一方のパルスエンコーダ5aで検出されたモータ回転速度信号が、信号線10を介して他方の制御装置に設けた加算器11に供給されている。さらに、この加算器11には他方のパルスエンコーダ5bで検出されたモータ回転速度信号も供給され、2つの回転速度信号の偏差が演算される。
【0007】
12は偏差カウンタであり、ここで2台の誘導電動機3a,3bに接続されたパルスエンコーダ5a,5bからのパルス信号の偏差が積算される。この偏差カウンタ12で積算された偏差信号は位置調節器13に入力され、偏差カウンタ12で積算された偏差信号が零になるように、2台の誘導電動機3a,3bの位置同期をとるための速度指令値が演算される。そして、速度指令演算回路7bからの速度指令値に替えて、この速度指令値が切り換え回路14から誘導電動機3bに対する速度指令値ωr*として制御回路8bに入力される。
【0008】
このように、速度設定器6bによる速度設定値ωr#に基づく速度指令値が無効にされ、速度設定器6aによる速度設定値ωr#に基づく速度指令値だけが2台のモータ速度を決定するようにしたことにより、誘導電動機3bを誘導電動機3aと位置同期するように制御回路8bで運転制御できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のベクトル制御装置を複数台用いて位置同期運転のための制御系を構成した場合、一方の誘導電動機3aに対して他方の誘導電動機3bでは、位置制御系を構成する位置調節器13における応答遅れによって位置誤差が生じる。すなわち、誘導電動機3bは一方の制御装置により運転される誘導電動機3aとの間で、位置調節器13での応答遅れ分だけ位置偏差が生じるという問題があった。
【0010】
このような位置制御系における応答遅れを解消する方法としては、つぎに説明するように、それぞれのベクトル制御装置により制御される負荷4a,4bの速度設定値ωr#を、統一した速度設定器とパルス発生回路によって設定するものが提案されている。
【0011】
図8は、ベクトル制御装置の外部にパルス発生回路16を備え、2台のモータの位置同期制御を行うための構成を示す回路ブロック図である。ここでは、2台のベクトル制御装置の外部に速度設定器15とパルス発生回路16を用意して、統一した速度設定値ωr#でモータ速度を制御している。これにより、2台のベクトル制御装置の位置制御系での応答遅れが等価であるとしたならば、図7における位置同期制御と比較して、2台の誘導電動機3a,3bの間での位置偏差を小さくすることができる。
【0012】
しかし、位置同期制御を行うために、余分な速度設定器15やパルス発生回路16を用意しなければならないだけでなく、それらと各ベクトル制御装置とを接続するための配線作業も必要になるので、システム全体のコストが高くなるという問題があった。
【0013】
この発明の目的は、複数台の誘導電動機の位置同期制御が簡単に実現でき、そのシステム全体のコストを抑え、しかも制御性能の優れたベクトル制御装置を提供することにある。
【0014】
また、この発明の他の目的は、誘導電動機の実速度を検出するパルスエンコーダなどの信号検出系に不具合が生じた場合でも、制御性能の自己チェックを可能とするベクトル制御装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、モータの回転速度を検出してフィードバックすることにより所望のトルクでその回転速度を制御するベクトル制御装置が提供される。このベクトル制御装置は、前記モータの回転速度指令値に比例した速度指令パルス信号を発生するパルス発生手段と、前記速度指令パルス信号と前記モータの回転速度に対応して検出されたパルス信号との偏差を零とするように新たな回転速度指令値を演算する演算手段と、前記速度指令パルス信号を当該ベクトル制御装置の外部に出力可能な同期運転用端子とから構成される。このベクトル制御装置によれば、前記速度指令パルス信号を前記同期運転用端子から前記パルス発生手段を備えた他のモータの回転速度を制御するベクトル制御装置に供給することにより、複数台のモータを位置同期運転することができる。
また、本発明によれば、モータの回転速度を検出してフィードバックすることにより所望のトルクでその回転速度を制御するベクトル制御装置において、前記モータの回転速度に対応して速度信号を検出するパルスエンコーダと、前記モータの回転速度指令値に比例した速度指令パルス信号を発生するパルス発生手段と、前記速度指令パルス信号と前記パルスエンコーダで検出された前記パルス信号とのいずれかを選択して出力する切り換え手段とを備え、故障診断時に、前記モータの回転速度に替えて前記パルス発生手段からの速度指令パルス信号によってモータ回転速度を制御するようにしたことを特徴とするベクトル制御装置が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の2つの実施形態について、図面を参照して説明する。
(第一の実施形態)
図1は、この発明のベクトル制御装置を示すブロック図である。ここでは、図7のものと同様、2台の誘導電動機3a,3bの位置同期制御を行うためのベクトル制御装置19a、19bの構成を示している。
【0017】
1a,1bは交流電源、2a,2bはそれぞれ交流電源1a,1bと接続されたインバータである。4a,4bはそれぞれ誘導電動機3a,3bと接続された負荷、5a,5bは誘導電動機3a,3bの回転速度を検出するパルスエンコーダである。ベクトル制御装置19a、19bはいずれも同一の構成であって、最初にベクトル制御装置19aの構成について説明する。
【0018】
速度設定器6は、誘導電動機3aにより運転される負荷4aの速度設定値ωr#を設定するものである。この速度設定値ωr#に基づいて、速度指令演算回路7では速度指令値ωr*が演算される。この速度指令演算回路7は、パルス発生回路17及び切り換え回路14を介して制御回路8と接続されている。また、速度指令値ωr*は、予め定められた加速度により変化するように、かつ最終的には速度設定値ωr#で負荷4を運転するような指令値として演算される。さらに制御回路8には、パルスエンコーダ5aからのフィードバック信号と電流センサ9により検出された相電流信号が供給されるとともに、制御回路8からインバータ2aに三相電圧指令値が出力され、誘導電動機3aのトルク・速度制御が実現される。
【0019】
パルス発生回路17のパルス信号は、同期運転用端子18及び加算器11に供給され、加算器11にはパルスエンコーダ5aで検出されたモータ回転速度信号が供給されている。なお、パルス発生回路17は速度指令演算回路7の出力に比例した周波数のパルス信号を出力するものであるが、速度設定器6から速度指令演算回路7の出力を零に設定することによって、パルス発生回路17からのパルス信号が抑制可能に構成されている。
【0020】
加算器11では、パルス発生回路17から速度指令値として供給されたパルス信号と誘導電動機3aに接続されたパルスエンコーダ5aで検出されたパルス信号との間で回転速度の偏差が演算され、これらの偏差が偏差カウンタ12で積算される。この偏差カウンタ12で積算された偏差信号は位置調節器13に入力され、偏差カウンタ12で積算された偏差信号が零になるように誘導電動機3aの速度指令値が演算される。切り換え回路14では、速度指令演算回路7からの速度指令値に替えて、位置調節器13で演算された速度指令値が選択され、制御回路8に誘導電動機3aに対する速度指令値ωr*として入力され、インバータ2aが制御される。
【0021】
ベクトル制御装置19a,19bの同期運転用端子18は互いに信号線20によって接続され、インバータ2aを制御するベクトル制御装置19aと、インバータ2bを制御するベクトル制御装置19bとでそれぞれ2台の誘導電動機3a,3bを位置同期制御している。
【0022】
以上では、ベクトル制御装置19aの構成を中心にして説明したが、ベクトル制御装置19bの構成も同一であって、対応する部分には同一の符号を付けてある。つぎに、これらのベクトル制御装置19a,19bを互いに信号線20で接続して実行される2台の誘導電動機3a,3bの位置同期制御について説明する。
【0023】
ベクトル制御装置19aでは、パルス発生回路17が速度指令演算回路7の出力に比例した周波数のパルス信号を出力しているが、上述したように速度設定器6が速度指令演算回路7の出力を零とするように速度設定されていれば、パルス発生回路17からのパルス信号を抑制できる。そこで、いまベクトル制御装置19bのパルス発生回路17からのパルス信号を抑制するように、速度設定器6の設定値を零とする。
【0024】
ベクトル制御装置19bの加算器11には、ベクトル制御装置19aのパルス発生回路17から同期運転用端子18を介してパルス信号が供給されている。すなわち、ベクトル制御装置19a,19bの各加算器11には、一方のベクトル制御装置19aのパルス発生回路17から同じパルス信号が速度指令値として供給される。したがって、ベクトル制御装置19a,19bはそれぞれの位置調節器13での応答遅れ分が等しくなって、2台の誘導電動機3a,3bが正確に位置同期制御されることになる。
【0025】
このように、インバータ2a,2bを制御するベクトル制御装置19a,19bの少なくとも一方にパルス発生回路17が内蔵されていれば、同期運転用端子18を信号線20で互いに接続するだけで、2台の誘導電動機3a,3bの位置同期制御が簡単に実現できる。また、位置同期運転を行わない場合には、切り換え回路14を切り換えて、速度指令演算回路7の速度指令値ωr*が制御回路8に入力されるように構成すればよい。しかも、ベクトル制御装置19a,19bをそれぞれ単独で使用して誘導電動機の速度制御を実行する場合には、パルス発生回路17のパルス信号を外部に出力することなく、制御装置内部での信号処理が可能になる。
【0026】
以上述べたように、第一の実施形態では位置同期制御システム自体の構成は、図7に示す構成と等価のものではあるが、パルス発生回路17がベクトル制御装置19に内蔵されているので、システム全体のコストを抑え、かつ制御性能の優れたシステムを提供することができる。
【0027】
つぎに、ベクトル制御装置19a,19bの制御回路8の構成について説明する。図2は、誘導電動機3のトルク・速度を制御する制御回路の一例を示すブロック図である。
【0028】
図2において、21は速度演算器、22は速度調節器、23,24は演算回路、25,26は座標変換器、27はT軸電流調節器、28はM軸電流調節器、29はすべり周波数演算器、30はロータ周波数演算器、31は積分器、32は磁束指令演算回路である。
【0029】
速度演算器21は、パルスエンコーダ5からのフィードバック信号を演算処理することで誘導電動機3の実速度ωrを検出するものである。速度調節器22では、速度指令値ωr*と実速度ωrとの偏差が入力され、調節動作により偏差を零とするトルク指令値τ*を出力する。演算回路23,24は、それぞれT軸電流指令値IT*とM軸電流指令値IM*を演算する回路である。
【0030】
T軸電流指令値IT*は、モータ一次電流の二次磁束に垂直な電流指令値であって、下記の式(1)で演算される。
IT*=τ*/φ2* …(1)
また、M軸電流指令値IM*は、モータ一次電流の二次磁束に平行な電流指令値であって、下記の式(2)で演算される。
【0031】
IM*=1/Lm×φ2* …(2)
ここで、Lmはモータ励磁インダクタンスである。
25は座標変換器であって、電流センサ9により検出された相電流IU,IV,IWを一次電流の二次磁束と平行な電流(以降、M軸電流検出値という。)IMと、垂直な電流(以降、T軸電流検出値という。)ITとに変換する。
【0032】
このうち、M軸電流検出値IMは下記の式(3)で、T軸電流検出値ITは下記の式(4)で示される。ここでψ2はU相巻線とモータ二次磁束のなす角度である。
【0033】
IM=sinψ2×IU+sin(ψ2−120°)×IV
+sin(ψ2+120°)×IW …(3)
IT=cosψ2×IU+cos(ψ2−120°)×IV
+cos(ψ2+120°)×IW …(4)
座標変換器26は、T軸電圧指令値VT*とM軸電圧指令値VM*とを入力して、三相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*をインバータ2に出力するもので、それぞれ以下の式(5)(6)(7)の変換を実行する。
【0034】
Vu*=cosψ2×VM*+sinψ2×VT* …(5)
Vv*=cos(ψ2−120°)×VM*+sin(ψ2−120°)×VT*…(6)
Vw*=cos(ψ2+120°)×VM*+sin(ψ2+120°)×VT*…(7)
T軸電流調節器27では、T軸電流指令値IT*とT軸電流検出値ITとの偏差が入力され、調節動作により偏差を零とするT軸電圧指令値VT*を出力する。
【0035】
M軸電流調節器28では、M軸電流指令値IM*とM軸電流検出値IMとの偏差が入力され、調節動作により偏差を零とするM軸電圧指令値VM*を出力する。
【0036】
すべり周波数演算器29にはT軸電流指令値IT*と二次磁束指令値φ2*が入力され、次の式(8)に示すすべり周波数ωslが演算される。ここで、R2はモータ二次時定数である。
【0037】
ωsl=R2×IT*/φ2* …(8)
ロータ周波数演算器30は、誘導電動機3の回転速度信号ωrに基づいて次の式(9)に示すロータ周波数ω2を演算する。ここで、Pはモータポール数である。
【0038】
ω2=ωr×P/120 …(9)
積分器31では、すべり周波数ωslとロータ周波数ω2の加算結果ω1が入力され、U相巻線とモータ二次磁束とのなす角度ψ2を出力する。
【0039】
磁束指令演算回路32は実速度ωrから二次磁束指令値φ2*を演算する。ここでは、誘導電動機3の実速度ωrが基底回転速度ωbまでは100%指令、基底回転速度ωb以上では速度に反比例して二次磁束指令値φ2*を下げる。
(第二の実施形態)
図3は、セルフチェック機能を内蔵したベクトル制御装置の一例を示すブロック図である。この図では、図2の制御回路8の各構成ブロックと対応する部分に対応する符号を付け、それらの詳細な説明を省略する。
【0040】
図2に示す制御回路では、パルスエンコーダ5から速度演算器21、ロータ周波数演算器30に至る制御系に不具合が生じた場合に,正常なトルク・速度制御が行えなくなる。一般に、その場合の故障診断では、ひとつにはパルスエンコーダ自体の故障、2つには速度演算器21、ロータ周波数演算器30など、制御回路内部の故障、3つにはパルスエンコーダ5から制御回路8までの信号線に加わるノイズが原因であると考えられている。三つ目のノイズについては、制御系の試運転を行うことで判明し、的確な対応が容易になされる。しかし、最初の2つについては、制御系の稼動後しばらくして発生する故障であって、一度正常なトルク・速度制御が行えなくなると、その原因を区別して対処することが困難であった。
【0041】
これに対して、図3に示す制御回路8では、パルス発生回路33が内蔵されていて、速度指令値ωr*に比例した速度指令パルス信号を発生し、切り換え回路34を切り替えることによって、パルスエンコーダ5からのモータ回転速度信号に替えて、パルス発生回路33からの速度指令パルス信号によってモータ回転速度を制御するように構成している。
【0042】
すなわち図2の制御回路と比較した場合、図3のものではパルスエンコーダ5からの速度信号を使用しないで、速度演算器21の動作確認ができる。したがって、パルスエンコーダ5自体が故障してフィードバック信号系に不都合が生じた場合には、パルスエンコーダ5からの速度信号に替えて、パルス発生回路33の速度信号を速度演算器21に入力することによって、パルスエンコーダ5、あるいは制御回路8内部のどちらに故障が発生したかを直ちに判別することができる。
【0043】
図4は、A,B二相のパルス信号FA,FBを発生するパルス発生回路33の一例を示すブロック図である。
33aは、予め設定されたパターンにしたがって、速度指令値ωr*に基いた上限値信号Saに変換する上限変換器である。33bはアップダウンカウンタ、33c〜33eはいずれも2入力(A,B)の比較器(コンパレータ)、33fはフリップフロップである。カウンタ33bの上限値は、上限変換器33aの上限値信号Saと比較器33cの出力信号Scにより書き換えられるとともに、フリップフロップ33fの出力信号Sfにより、アップカウントとダウンカウントとの切り換えが行われる。カウンタ33bの出力信号Sbは、比較器33c〜33eのB入力として出力され、上限値信号SaがA入力となる比較器33cではB≧Aの条件で信号Scを出力し、比較器33dでは上限値信号Saとは無関係にB=0の条件で信号Sdを出力し、上限値信号SaがA入力となる比較器33eではB=A/2の条件で信号Seを出力する。フリップフロップ33fは、入力信号Sdのタイミングで立ち上がり、入力信号Scのタイミングで立ち下がる矩形波信号Sfを出力する。
【0044】
なお、33gはラッチ回路、33hは信号反転器、33iは極性判別回路、33jは選択器である。
つぎに、このパルス発生回路33の動作を説明する。図5は、図4に示す各信号Sa〜Shを示す動作波形図である。
【0045】
上限変換器33aでは、速度指令値ωr*に対応するように、アップダウンカウンタ33bに上限値信号Saを出力する。このパルス発生回路33では、速度指令値ωr*に比例して周波数の高いパルス信号を出力するので、この上限値信号Saは速度指令値ωr*が大きい程、小さな値となる。アップダウンカウンタ33bは、その入力信号Sa,Sc,Shの状態に従ってアップダウン動作を行い、アップダウン信号Sbを出力する。比較器33c〜33eからは、それぞれの内部条件に応じたタイミングでパルス信号Sc,Sd,Seが出力される。
【0046】
その結果、パルス信号Scはカウント値が上限のときに、パルス信号Sdはカウント値が下限(=0)のときに、パルス信号Seはカウント値が上下限のセンタのときにそれぞれ発生する。このうち、パルス信号Sc,Sdをフリップフロップ33fのJ,K入力端子にそれぞれ入力することで矩形波信号Sf(=FA)が得られ、このパルス発生回路33からA相信号として出力される。
【0047】
ラッチ回路33gでは、この信号Sfをパルス信号Seのエッジによりラッチすることで、1/4周期ずれた矩形波信号Sgが得られる。矩形波信号Sgは、信号反転器33hで反転された信号Shとともに、選択器33jで選択される。すなわち、選択器33jは極性判別回路33hで判別された速度指令値ωr*の極性に応じて切り替えられ、速度指令値ωr*の極性がプラスの場合、ラッチ回路33gからの矩形波信号SgがそのままB相信号(=FB)として出力される。しかし、速度指令値ωr*の極性がマイナスの場合には、信号反転器33hで極性反転された信号ShがB相信号(=FB)として出力される。
【0048】
以上の実施形態では、いずれもベクトル制御装置はパルスエンコーダから誘導電動機の実速度をフィードバックするものとして説明した。しかし、制御対象のモータは例えば直流電動機、同期電動機であってもよい。すなわち、実速度をフィードバックすることにより、一次電流を二次磁束と平行な成分と垂直な成分とに分離して所望のトルクで速度制御を行うものであれば、いずれの制御装置であっても本発明を適用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明のベクトル制御装置によれば、誘導電動機の回転速度指令に比例した速度指令パルス信号を内部で発生するようにしたので、同期運転用端子からの速度指令パルス信号を他のベクトル制御装置に供給することによって、複数台の誘導電動機についての位置同期運転が可能になり、しかもローコスト化、省配線化が実現できる。
【0050】
また、この発明のベクトル制御装置によれば、内蔵したパルス発生手段により誘導電動機の回転速度指令に比例した速度指令パルス信号を発生することによって、誘導電動機の実速度信号を用いないで速度演算が実行可能になり、実速度信号の検出系に不具合が生じた場合でも、制御性能の自己チェックができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のベクトル制御装置を示すブロック図である。
【図2】誘導電動機のトルク・速度を制御する制御回路の一例を示すブロック図である。
【図3】セルフチェック機能を内蔵したベクトル制御装置の一例を示すブロック図である。
【図4】A,B二相のパルス信号を発生するパルス発生回路の一例を示すブロック図である。
【図5】図4に示す各信号Sa〜Shを示す動作波形図である。
【図6】従来のベクトル制御装置を示すブロック図である。
【図7】従来のベクトル制御装置を用いて2台のモータの位置同期制御を行う場合のブロック図である。
【図8】制御装置外部にパルス発生回路を備え、2台のモータの位置同期制御を行うベクトル制御装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 交流電源
2 インバータ
3 誘導電動機(モータ)
4 負荷
5 パルスエンコーダ
6 速度設定器
7 速度指令演算回路
8 制御回路
9 電流センサ
10 信号線
11 加算器
12 偏差カウンタ
13 位置調節器
14 切り換え回路
15 速度設定器
16,17 パルス発生回路
18 同期運転用端子
19a,19b ベクトル制御装置
20 信号線
21 速度演算器
22 速度調節器
23,24 演算回路
25,26 座標変換器
27 T軸電流調節器
28 M軸電流調節器
29 すべり周波数演算器
30 ロータ周波数演算器
31 積分器
32 磁束指令演算回路
33 パルス発生回路
34 切り換え回路
Claims (2)
- モータの回転速度を検出してフィードバックすることにより所望のトルクでその回転速度を制御するベクトル制御装置において、
前記モータの回転速度指令値に比例した速度指令パルス信号を発生するパルス発生手段と、
前記速度指令パルス信号と前記モータの回転速度に対応して検出されたパルス信号との偏差を零とするように新たな回転速度指令値を演算する演算手段と、
前記速度指令パルス信号を当該ベクトル制御装置の外部に出力可能な同期運転用端子とを備え、
前記速度指令パルス信号を前記同期運転用端子から前記パルス発生手段を備えた他のモータの回転速度を制御するベクトル制御装置に供給することにより、複数台のモータを位置同期運転するようにしたことを特徴とするベクトル制御装置。 - モータの回転速度を検出してフィードバックすることにより所望のトルクでその回転速度を制御するベクトル制御装置において、
前記モータの回転速度に対応して速度信号を検出するパルスエンコーダと、
前記モータの回転速度指令値に比例した速度指令パルス信号を発生するパルス発生手段と、
前記速度指令パルス信号と前記パルスエンコーダで検出された前記パルス信号とのいずれかを選択して出力する切り換え手段とを備え、
故障診断時に、前記モータの回転速度に替えて前記パルス発生手段からの速度指令パルス信号によってモータ回転速度を制御するようにしたことを特徴とするベクトル制御装置。
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