JP2009240042A - モータ制御装置およびモータ制御方法 - Google Patents

モータ制御装置およびモータ制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モータの直接トルク制御をセンサレスで行うモータ制御装置において、ロータの初期値が与えられない場合でも、簡単なアルゴリズムで高精度に鎖交磁束演算を行うことが可能なモータ制御装置およびモータ制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】鎖交磁束演算部10は、(Iα、Iβ)、(Vα、Vβ)および巻線抵抗値メモリ9に格納された巻線抵抗値Rに対して、ハイパスフィルタ処理を行って鎖交磁束(Φα、Φβ)を演算する。
【選択図】 図2−2

Description

本発明は、モータ制御装置およびモータ制御方法に関し、詳細には、モータの直接トルク制御をセンサレスで行うモータ制御装置およびモータ制御方法に関する。
モータの直接トルク制御(Direct Torque Contorl:以下、「DTC」と称する)は、モータトルクを直接制御しながら駆動する方式で、トルクの瞬時制御が行える特徴を有しており、最初は誘導機で提案された。この後、非特許文献1でPMモータ(Permanent Magnet Motor:永久磁石モータ、永久磁石同期モータを含む)のDTCの基本的駆動法が提案されている。
かかる非特許文献1では、PMモータのトルクと鎖交磁束の回転速度との関係が単調関係にあることを解明し、トルクを増加させる場合は、鎖交磁束の回転速度を増加し、トルクを減少させる場合は、鎖交磁束の回転速度を減少させればよいことを導出し、この機能を実現するインバータの制御方法を提案している。かかるインバータ制御方法では、PMモータの電圧、電流、および鎖交磁束は、固定座標上で演算できるため、ロータ位置を必要としないセンサレス駆動を良好に行うことができると記載されている。
しかしながら、非特許文献1では、鎖交磁束の演算をする場合に、ロータの初期位置が与えられている。すなわち、ロータの初期位置が与えられない場合は、鎖交磁束の演算ができないため、完全なセンサレスは実現されていない。また、スイッチング素子のON電圧のバラツキによる印加電圧の正負非対称性等から発生する直流分の影響を考慮していないため、安定した運転には問題がある。他方、速度制御する場合の速度検出は、別途、速度センサを必要とする。
また、特許文献1では、PMモータのDTCのセンサレスで行う場合に、PMモータの停止時にステータ巻線に電流を流し、その電流の軌跡からロータの磁束位置を推定し、積分演算より、鎖交磁束を演算する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1では、ロータの位置推定のアルゴリズムの実現に複雑な計算を必要とする。また、非特許文献1と同様に、定常時の鎖交磁束の演算は、積分により行っているため、発生する誤差による直流分に対する補正がされておらず、安定した運転ができないという問題がある。
特開2003−299382号公報 Analysis of Direct Torque Control in Permanent Magnet Synchronous Motor Drives IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS,12,NO.3,MAY 1997
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、モータの直接トルク制御をセンサレスで行うモータ制御装置において、ロータの初期値が与えられない場合でも、簡単なアルゴリズムで高精度に鎖交磁束演算を行うことが可能なモータ制御装置およびモータ制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、直流電源を交流電源に変換するインバータと、前記インバータを制御する制御部とを備え、前記インバータに接続されたモータを直接トルク制御するモータ制御装置において、前記制御部は、前記インバータ出力である電圧Vと電流Iおよび前記モータの巻線抵抗Rを入力して前記モータの鎖交磁束Φを演算する鎖交磁束演算部を備え、前記鎖交磁束演算部はハイパスフィルタ処理部を有することを特徴とする。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記制御部は、前記インバータ出力である電圧Vと電流Iおよび鎖交磁束演算部の出力である鎖交磁束Φを入力して前記モータの回転速度Nを演算する速度演算部を備えたことが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記モータは、PMモータであることが望ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、モータの直接トルク制御をセンサレスで行うモータ制御方法において、前記モータの鎖交磁束をΦ、前記モータの電圧をV、前記モータの電流をI、前記モータの巻線抵抗をR、ハイパスフィルタ処理をHPとした場合、下式を使用して前記モータの鎖交磁束Φを演算することが望ましい。
Figure 2009240042
また、本発明の好ましい態様によれば、前記鎖交磁束Φのベクトル表示をΦ=(Φα、Φβ)、前記電圧Vのベクトル表示をV=(Vα、Vβ)、前記電流Iのベクトル表示をI=(Iα、Iβ)とした場合、下式を使用して前記モータの回転速度Nを演算することが望ましい。
Figure 2009240042
本発明によれば、モータの直接トルク制御をセンサレスで行うモータ制御装置において、前記モータの電圧V、前記モータの電流I、前記モータの巻線抵抗Rに対して、ハイパスフィルタ処理HPを行って、鎖交磁束Φを演算することとしたので、モータの直接トルク制御をセンサレスで行うモータ制御装置において、ロータの初期値が与えられない場合でも、簡単なアルゴリズムで高精度に鎖交磁束演算を行うことが可能なモータ制御装置およびモータ制御方法を提供することが可能になるという効果を奏する。
以下に、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。
(本発明の原理)
PMモータのDTCをセンサレスで行う本発明に係るモータ制御装置の鎖交磁束演算について説明する。本発明に係るモータ制御装置は、ロータの初期位置の取得を不要とし、鎖交磁束演算を簡単なアルゴリズムで実現している。また、速度制御する場合に、簡単なアルゴリズムで速度演算を実現している。
PMモータの鎖交磁束をΦ、電圧をV、電流をI、PMモータの巻線抵抗をRとした場合、鎖交磁束Φは下記式(1)で演算することができる。
Figure 2009240042
ここで、Φはt=0の時の積分定数でPMモータの初期状態での鎖交磁束であり一定値である。センサレス制御では、PMモータの初期位置は不明であるため、上記式(1)を直接計算ができない。
そこで、本発明では、上記式(1)式に対して、直流成分を除去するハイパスフィルタ処理を行う。ここで、ハイパスフィルタ処理をHP( )と表記すると、上記式(1)では、鎖交磁束Φの直流成分のΦが消えて、下式(2)となる。
Figure 2009240042
また、定常同期運転状態では、鎖交磁束Φは交流成分であるため、起動から一定時間経過後は、Φ=HP(Φ)の置き換えが可能である。かかる置き換えが可能であることは、シミュレーションによって確認した。上記式(2)は、未知数がなくなったため、計算が可能となる。上記式(2)のハイパスフィルタHP( )は、積分の出力のフィルタであるため、2次以上のフィルタが必要となる。
図1は、上記式(2)の第1項をΦ、第2項をΦRIとしたベクトル図を示している。同図において、VはPMモータの電圧ベクトル、IはPMモータの電流ベクトル、Φは電圧ベクトルVにより発生する鎖交磁束ベクトル、ΦRIはRとIの積により発生する鎖交磁束ベクトル、ΦはΦVとΦRIの合成した鎖交磁束ベクトル、Φγはt=0におけるロータの磁束ベクトルを示しており、VとΦ、IとΦRIはそれぞれ直交するベクトルである。
本発明では、2次以上のハイパスフィルタを使用して上記式(2)により鎖交磁束を算出する。これにより、従来はロータの初期位置から得られる鎖交磁束(上記式(1)のΦ)を考慮して鎖交磁束演算を行っていたが、ロータの初期位置が分からなくても鎖交磁束演算を行うことが可能となる。
つぎに、速度演算について説明する。定常同期運転状態では、鎖交磁束Φの位相とロータの位相差は一定で位相の変化の角速度を極対数で除したものがPMモータの回転速度Nとなり、回転速度Nは下記式(3)となる。
Figure 2009240042
ここで、鎖交磁束Φのαβ座標(固定座標)上でのベクトル表示をΦ=(Φα、Φβ)とすると、θは下記式(4)のように表すことができる。
Figure 2009240042
上記式(3)は、上記式(4)より、以下のように展開して下記式(5)を導出することができる。
Figure 2009240042
ここで、V、Iのベクトル表示をV=(Vα、Vβ)、I=(Iα、Iβ)とすると、上記式(1)より、下記式(6)を導出することができる。
Figure 2009240042
上記式(5)は、上記式(6)より、下記式(7)に変形することができる。
Figure 2009240042
上記式(7)は、三角関数および微分演算を使用せずに速度演算が可能であることを示している。本発明では、上記式(7)を使用して、回転速度Nを算出する。これにより、
簡単なアルゴリズムで速度演算を行うことが可能となる。
(実施例)
図2〜図9−2を参照して、PMモータのDTCをセンサレスで行う本発明の実施例に係るモータ制御装置の一実施例について説明する。図2−1および図2−1は、実施例に係るモータ制御装置の概略構成例を示しており、特に、図2−1は、モータ制御装置の3相インバータ、駆動回路、およびPMモータの構成例を示しており、図2−2は、モータ制御装置の制御部を示している。
図2−1および図2−2において、モータ制御装置は、直流電源1と、6個のスイッチング素子2で構成される3相インバータ22と、電流検出器3と、電圧検出器4と、PMモータ5と、駆動回路6と、制御部21とを備えている。
制御部21は、電圧3/2相変換部7と、電流3/2相変換部8と、PMモータ5の巻線抵抗値を格納する巻線抵抗値メモリ9と、鎖交磁束演算部10と、速度演算部11と、トルク演算部12と、磁束振幅演算部13と、速度設定部14と、速度調節部15と、トルク増減判定部16と、鎖交磁束振幅判定部17と、鎖交磁束増減判定部18と、鎖交磁束位置判定部19と、駆動電圧ベクトル選択部20とを備えている。制御部21はマイコンで構成することができる。
直流電源1には、6個のスイッチング素子2でブリッジ状に構成された3相インバータ22が接続され、3相インバータ22の出力がPMモータ5に接続されている。スイッチング素子2は、直流電源1の正極側にコレクタを接続した3個の上アームトランジスタと、負極側にエミッタを接続した3個の下アームトランジスタと、カソードとアノードがそれぞれトランジスタのコレクタとエミッタに接続された6個の環流ダイオードとで構成されている。また、上アームトランジスタのエミッタと下アームトランジスタのコレクタとが一組ずつ接続され、この接続点がPMモータ5の端子(U相、V相、W相端子)にそれぞれ接続されている。
PMモータ5のモータ巻線の各相には、電流検出器3および電圧検出器4が接続されている。電流検出器3は、U相、V相、W相電流IU、IV、IWを検出して、制御部21の電流3/2相変換器8に出力する。電圧検出器4は、U相、V相、W相電圧VU、VV、VWを検出して、制御部21の電圧3/2相変換器7に出力する。
直流電源1から直流電力を6個のスイッチング素子2からなる3相インバータ22に供給することにより3相交流電力に変換し、この3相交流電力をPMモータ5に供給することによりPMモータ5を駆動する。制御部21は、電流検出器3および電圧検出器4の出力に基づいて、3相インバータ22を駆動するための駆動パルスを決定して駆動回路6に出力する。駆動回路6は入力される駆動パルスに基づいて、3相インバータ22のスイッチング素子2をスイッチングする。
電流3/2相変換器8は、U相、V相、W相電流IU、IV、IWを(Iα、Iβ)に3相/2相変換して、鎖交磁束演算部10およびトルク演算部12に出力する。また、電圧3/2相変換器7は、U相、V相、W相電圧VU、VV、VWを(Vα、Vβ)に3相/2相変換して、鎖交磁束演算部10および速度演算部11に出力する。
鎖交磁束演算部10は、(Iα、Iβ)、(Vα、Vβ)および巻線抵抗値メモリ9に格納された巻線抵抗値Rに基づいて、上記式(2)を使用して、鎖交磁束(Φα、Φβ)を演算して、速度演算部11、トルク演算部12、磁束振幅演算部13、および磁束位置判定部19に出力する。鎖交磁束演算部10の詳細な構成は後述する。
速度演算部11は、(Iα、Iβ)、(Vα、Vβ)および鎖交磁束(Φα、Φβ)に基づいて、上記式(7)を使用して、PMモータ5の回転速度Nを演算して、速度調整部15に出力する。速度演算部11の詳細な構成は後述する。
トルク演算部12は、(Iα、Iβ)、鎖交磁束(Φα、Φβ)に基づいて、ΦαIβ−ΦβIαのトルク演算を行って、トルクTRQをトルク増減判定部16に出力する。
磁束振幅演算部13は、鎖交磁束(Φα、Φβ)に基づいて、√(Φα+Φβ)の振幅演算を行って、磁束振幅ΦMを振幅増減判定部18に出力する。
速度調整部15は、速度設定部14から出力される設定速度NREFと回転速度Nに基づいて、トルク指令TRQRを算出して、トルク増減判定部16に出力する。
トルク増減判定部16は、トルク指令TRQRとトルクTRQとに基づいて、トルク増減指令TUPまたはTDNを算出して、駆動電圧ベクトル選択部20に出力する。
磁束振幅増減判定部18は、磁束振幅設定部17から出力される磁束振幅指令ΦMRと磁束振幅ΦMに基づいて、磁束増減指令MUPまたはMDNを算出して、駆動電圧ベクトル選択部20に出力する。
磁束位置判定部19は、現在の磁束位置を鎖交磁束(Φα、Φβ)に基づいて判定し、鎖交磁束領域R1〜R6(図4参照)のいずれかを駆動電圧ベクトル選択部20に出力する。
駆動電圧ベクトル選択部20は、スイッチングテーブル(図5参照)を使用して、磁束増減指令MUPまたはMDN、トルク増減指令TUPまたはTDN、および鎖交磁束領域R1〜R6に基づいて、駆動電圧ベクトルを選択し、U相パルスUP、X相パルスXP、V相パルスVP、Y相パルスYP、W相パルスWP、Z相パルスZPのパターンを決定して駆動回路6に出力する。駆動回路6は、U相パルスUP、X相パルスXP、V相パルスVP、Y相パルスYP、W相パルスWP、Z相パルスZPに基づいて、スイッチング素子2のスイッチングを行う。以上の構成により、PMモータ5の速度制御を速度センサ、位置センサなしで行うことが可能である。
駆動電圧ベクトル選択部20における駆動パルス(UP、XP、VP、YP、WP、ZP)の生成方法を図3〜図5を参照して説明する。図3は二相座標における電圧ベクトル図である。図4は電圧ベクトルV1〜V6による鎖交磁束の制御を示す図である。図5は3相インバータ22でDTC制御を行なう場合の3相インバータ22のスイッチングテーブルの一例である。
上記3相インバータ22は、回路構成上、直流電源1の短絡が発生しないように、上下アームトラジスタを排他的にオンオフするため、取りうるスイッチング状態は電圧値がゼロでない6通りと電圧値がゼロである2通りの合計8通りになる。図3に3相インバータ22のスイッチングパターンによって発生する電圧値がゼロでない6個の電圧ベクトルV1〜V6を示す。
これらの電圧ベクトルは60°間隔のベクトルとなる。これらのベクトルを中心として鎖交磁束領域を6個に分ける。これら6個の鎖交磁束領域に対し、磁束の振幅の増減と位相の増減に関係する電圧ベクトルが決定される。磁束は電圧の時間積で与えられるので、電圧ベクトルV1〜V6を所定時間出力した場合、磁束はそれに応じた方向と振幅で変化する。
図4は、電圧ベクトルの選択により半時計周りに回転する鎖交磁束が、与えられた上限値と下限値の間でどのように保持されるかを示した図である。鎖交磁束領域1に鎖交磁束がある場合を例に説明すると、電圧ベクトルV2が「振幅:増加、位相:増加」の働きを、電圧ベクトルV3が「振幅:減少、位相:増加」の働きを、電圧ベクトルV6が「振幅:増加、位相:減少」の働きを、V5が「振幅:減少、位相:減少」の働きをする。従って磁束振幅、トルク指令に従い鎖交磁束Φが位置する鎖交磁束領域に対応する電圧ベクトルVを選択することでPMモータ5のDTC制御による運転を行うことができる。
図5は3相インバータ22でDTC制御を行なう場合のスイッチングテーブルの一例を示す図である。このスイッチングテーブルは鎖交磁束Φ、トルクτそれぞれの基準値(例えば図4の点線で示した円)を与え、それらとの大小関係により各々が基準値に近づくように電圧ベクトルを選定するもので、Φ=0は鎖交磁束が基準値より大きい場合、Φ=1は鎖交磁束が基準値より小さい場合、τ=0はトルクが基準値より大きい場合、τ=1はトルクが基準値より小さい場合をそれぞれ示す。また、スイッチングテーブル中の鎖交磁束領域R1〜R6は、図4に示す各領域であり、電圧ベクトルV1〜V6は図4に示す各ベクトルである。ここで、各電圧ベクトルの記号の後の括弧内の添え字はU、V、W各相のスイッチング素子2のスイッチング状態を表し、“1”は上アームトランジスタがオン、“0”は下アームトランジスタがオンであることを示す。例えば“V2(110)”の場合はU相、V相の上アームがオンでW相の下アームがオンである。
図6は、図2−1の鎖交磁束演算部10の構成例を示す図である。図6に示す鎖交磁束演算部10の構成は、上記式(2)の演算を行うための構成である。鎖交磁束演算部10は、同図に示すように、積分器30、36、37、39、44、45、46、52、53、55、60、61と、減算器31、33、35、40、42、47、49、51、56、58と、ゲイン32、34、41、43、48、50、57、59と、掛算器38、54とを備えている。
ここでは、鎖交磁束Φαの算出について説明を行うこととして、鎖交磁束Φβも同様な方法で算出できるため、その詳細な説明は省略する。まず、Vαを積分器30により積分する。この出力は、フィードバックの減算器31とゲイン32と積分器36から構成される1段目のハイパスフィルタ、及び、フィードバックの減算器33とゲイン34と積分器37からなる2段目のハイパスフィルタの出力により、上記式(2)の第1項を演算することができる。次にIαと巻線抵抗値Rを掛算器38により演算し、第1項と同様に、積分器39で積分し、40〜45の2段ハイパスフィルタを通して第2項を算出する。第1項から第2項を減算器35で減算し、その出力として鎖交磁束Φαを得ることができる。
図7は、図6の構成を簡略化した構成である。図7は、積分器と2段のハイパスフィルタの構成を積分器を2段のハイパスフィルタと合成する構成にすることで、積分器を1個少なくした構成にしたものである。同図において、62、64は減算器を示し、65、67は積分器を示し、63、66はゲイン、XはVαまたはVβまたはRIαまたはRIβ、Yは、Xに対応するフィルタ演算結果を示している。
図8は、図2−1の速度演算部11の構成例を示す図である。図8に示す速度演算部11の構成は、上記式(7)の演算を行うための構成である。速度演算部11は、図8に示すように、掛算器70、74、75、76と、減算器71と、加算器77と、除算器72と、ゲイン73とを備えている。
ΦαとVβ−RIβの掛算器70による乗算とΦβとVα−RIαの掛算器74による乗算を減算器71により減算した出力は、上記式(7)の3番目の分数の分子を構成する。掛算器75により、Φαの2乗、掛算器76によりΦβの2乗を演算し、加算器77で加算した出力は、上記式(7)の分数の3番目の分母を構成する。減算器71の出力と加算器77の出力を除算器72により除算した結果は、上記式(7)の3番目の分数を構成する。この出力に1番目と2番目の分数の積をまとめたゲイン73を乗ずることで、上記式(7)を構成することができる。本構成によれば、三角関数、微分演算を使用することなく速度演算が可能となる。
図9−1および図9−2は、PMモータ5の回転速度を変更した場合のα軸鎖交磁束(Φα)とβ軸鎖交磁束(Φβ)の実測値とセンサレスでの演算結果の一例を示しており、図9−1は、従来技術の場合(HPフィルタ処理しない場合)、図9−2は、本発明の場合(HPフィルタ処理した場合)を示している。なお、これらの例は、ロータの初期位置がβ軸上にある場合である。
図9−1に示すように、従来技術(HPフィルタ処理しない場合)には、α軸鎖交磁束(Φα)の演算値は、実測値との大きな初期誤差が継続して発生している。これに対して、図9−2に示すように、本発明の場合(HPフィルタ処理する場合)には、α軸鎖交磁束(Φα)の演算値は、実測値と初期誤差があるものの直ぐに小さくなり、短時間で実測値と略一致しており、本発明の有効性が確認された。
以上説明したように、本実施例によれば、PMモータ5の鎖交磁束をΦ、電圧をV、電流をI、巻線抵抗をR、ハイパスフィルタ処理をHPとした場合、上記式(2)を使用して鎖交磁束Φを演算することとしたので、PMモータの直接トルク制御をセンサレスで行うモータ制御装置において、ロータの初期値が与えられない場合でも、簡単なアルゴリズムで高精度に鎖交磁束演算を行うことが可能となる。付言すると、ロータの位置を使用しない鎖交磁束の演算を、ハイパスフィルタ処理によって、鎖交磁束の初期値、スイッチングのON電圧の誤差や演算誤差から発生する直流分による鎖交磁束推定誤差を補正することができ、同期などにより回転が安定した定常状態の鎖交磁束を誤差なく演算可能となり、安定した運転が可能となる。
また、本実施例によれば、鎖交磁束Φのベクトル表示をΦ=(Φα、Φβ)、電圧Vのベクトル表示をV=(Vα、Vβ)、電流Iのベクトル表示をI=(Iα、Iβ)とした場合、上記式(7)を使用して回転速度Nを演算することとしたので、速度検出器を用いずに、速度の演算が可能となり、また、三角関数、微分演算を使用することなく速度演算を行うことができ、演算アルゴリズムを簡素化することが可能となる。付言すると、速度演算を磁束とそれの演算に使用される物理量を使用することにより演算でき、速度センサを必要とせず、また、高価なマイコンを必要とする三角関数を使用することなく、また、演算負荷が重く安定性に問題のある微分演算を使用せずに速度を得ることが可能となる。
なお、上記実施例では、電圧検出器4によりPMモータ5の電圧を直接検出することとしたが、直流電圧とスイッチングパルスにより検出することにしてもよい。
また、上記実施例では、本発明に係るモータ制御装置をPMモータに適用した場合について説明したが、誘導機にも適用可能である。
本発明に係るモータ制御装置およびモータ制御方法は、各種装置に広く利用可能であり、特に、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、クリーナー、および換気扇などに内蔵するモータを駆動する場合に有用である。
式(2)の第1項をΦ、第2項をΦRIとしたベクトル図である。 実施例に係るモータ制御装置の概略構成を示しており、特に、そのインバータ、駆動回路、およびPMモータの構成例を示す図である。 実施例に係るモータ制御装置の概略構成を示しており、特にその制御部の構成例を示す図である。 二相座標における電圧ベクトル図である。 電圧ベクトルV1〜V6による鎖交磁束の制御を示す図である。 インバータでDTC制御を行なう場合のインバータのスイッチングテーブルの一例を示す図である。 鎖交磁束演算部の構成例を示す図である。 図6の鎖交磁束演算部を簡略化した構成を示す図である。 速度演算部の構成例を示す図である。 PMモータの回転速度を変更した場合のα軸鎖交磁束(Φα)とβ軸鎖交磁束(Φβ)の実測値とセンサレスでの演算結果の一例を示す図である(従来)。 PMモータの回転速度を変更した場合のα軸鎖交磁束(Φα)とβ軸鎖交磁束(Φβ)の実測値とセンサレスでの演算結果の一例を示す図である(本実施例)。
符号の説明
1 直流電源
2 スイッチング素子
3 電流検出器
4 電圧検出器
5 PMモータ
6 駆動回路
7 電流3/2相変換部
8 電圧3/2相変換部
9 巻線抵抗値メモリ
10 鎖交磁束演算部
11 速度演算部
12 トルク演算部
13 磁束振幅演算部
14 速度設定部
15 速度調節部
16 トルク増減判定部
17 鎖交磁束振幅判定部
18 鎖交磁束増減判定部
19 鎖交磁束位置判定部
20 駆動電圧ベクトル判定部
21 制御部
22 3相インバータ

Claims (6)

  1. 直流電源を交流電源に変換するインバータと、前記インバータを制御する制御部とを備え、前記インバータに接続されたモータを直接トルク制御するモータ制御装置において、
    前記制御部は、前記インバータ出力である電圧Vと電流Iおよび前記モータの巻線抵抗Rを入力して前記モータの鎖交磁束Φを演算する鎖交磁束演算部を備え、
    前記鎖交磁束演算部はハイパスフィルタ処理部を有することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記制御部は、前記インバータ出力である電圧Vと電流Iおよび鎖交磁束演算部の出力である鎖交磁束Φを入力して前記モータの回転速度Nを演算する速度演算部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記モータは、PMモータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. モータの直接トルク制御をセンサレスで行うモータ制御方法において、
    前記モータの鎖交磁束をΦ、前記モータの電圧をV、前記モータの電流をI、前記モータの巻線抵抗をR、ハイパスフィルタ処理をHPとした場合、下式を使用して前記モータの鎖交磁束Φを演算することを特徴とするモータ制御方法。
    Figure 2009240042
  5. 前記鎖交磁束Φのベクトル表示をΦ=(Φα、Φβ)、前記電圧Vのベクトル表示をV=(Vα、Vβ)、前記電流Iのベクトル表示をI=(Iα、Iβ)とした場合、下式を使用して前記モータの回転速度Nを演算することを特徴とする請求項4に記載のモータ制御方法。
    Figure 2009240042
  6. 前記モータは、PMモータであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のモータ制御方法。
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