JP4764612B2 - 歯科用生体観察機器、口腔内観察機器、歯科用照射額帯装置及びデンタルミラー - Google Patents

歯科用生体観察機器、口腔内観察機器、歯科用照射額帯装置及びデンタルミラー Download PDF

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Description

本発明は、口腔内における歯牙のう蝕状況、欠損部、病変部や、歯石或いは歯垢の付着状況、根管部、歯肉、舌の病変部の診断を術者が行うのに用いる歯科用生体観察機器、更には、病変部の状況を鮮明に視認し更には撮影することができる口腔内撮影装置、歯科用照射額帯装置或いはデンタルミラーに関する。また、家庭で一般ユーザが自身や家族の口腔内での歯石の付着状況やう蝕の進展状況等を観察することができる歯科用生体観察機器、口腔内撮影装置、歯科用デンタルミラーに関する。
例えば、口腔内を診断する為の口腔内撮影装置としては、口の中に入れて操作する必要があることから、撮像手段部分がコンパクトに構成されていることが必要である。即ち、従来から、このような口腔内撮影装置は、手指で持って支持する本体の先端部に、診断対象に光を照射する光源やCCD撮像手段等を、極めて小型に纏めて配置構成してあり、例えば、特許文献1に示された構造のものが知られている。
前記特許文献1に記載の従来技術による口腔内撮影装置は、全体として細長く、かつ、先端部を細い形状に構成することにより、口腔内に挿入し易くするともに、白色LEDを照明光とすることで口腔内を明るく照明しながら撮影することができるものであり、狭い口腔内において希望とする箇所の撮影を容易に行える利点を有している。しかしながら、かかる口腔内撮影装置では、歯や口腔内の表面状況が可視光(約380〜760nmの波長)照射下の状態で撮影できるに止まるものであって、表層内部の状況や歯牙のう蝕、歯石の付着状況まで的確に把握できるものではなかった。
一方、特許文献2には、歯牙に波長が405nmの励起光を照射し、歯牙の病変部から発せられる特有の蛍光を550nmの透過特性を有するフィルタ付メガネを通して観察することにより、う蝕等の診断が行える装置が開示されている。また、特許文献3には、歯牙に波長が360〜420nmの励起光を照射し、上記同様歯牙の病変部から発せられる特有の蛍光を、620nm以下の波長の光を吸収若しくは反射するフィルタをメガネに設けて観察する装置が開示されている。
特開平11−047092号公報 特開昭59−137037号公報 特公平6−73531号公報
前記特許文献2に開示された装置は、水銀灯等の光源からの光をファイバーを介してプローブに導光し、プローブから歯牙などの患部に光照射して、フィルタを備えた保護メガネを介して患部の状態を観察診断するものであるが、ファイバーを必要とする上にプローブを操作する別の補助者も必要とされ、装置が大掛かりで且つ診断作業の効率化が図り難いと言う問題点があった。また、特許文献3に開示された装置は、光源からの光を光線ガイドを介して導光し、歯牙に照射して、歯牙からの放射光をフィルタ付きのメガネにより観察するものであるが、この場合も光線ガイドを必要とし、装置が大掛かりとなる上に診断作業の効率化の点で問題点を内包するものであった。
更に、特許文献2や3に開示された装置では、特定の部位がう蝕部か健全部であるかの判断はできるが、特定波長の励起光を照射させた際の検出情報しか得られないので、う蝕部分の状況把握までには至らず、治療時の照明としては使えないものである。別言すれば、局部的なう蝕部位の検出はできても、歯牙の全体像における相対的なう蝕の位置或いは状況を判断するような情報を得ることはできないものである。
即ち、励起光の照射により病変部から発する蛍光の光度が弱く、観察対象部位から反射する励起光やその他の外乱光によりこの蛍光画像が埋没(マスク)されてしまい、蛍光画像が鮮明に認識されない為、上記特許文献2、3では、これらの外乱光をできるだけ遮断するフィルタを通して観察するようになされている。しかし、このようにフィルタにより外乱光を遮断すると、蛍光画像は抽出されて鮮明に認識されるが、観察に必要な最低限の照明光も遮断されるような状態となる為、蛍光で示される病変部以外の部位が暗くなり輪郭が不鮮明となる。また、使用されるフィルタによっては、青色が欠如した不自然な画像となることもある。また、皮膚科においても、アクネ菌の検出を、励起光を利用して実際に行われるが、同様の問題がある。
また、本来、励起光による蛍光は非常に弱い光であるので、例えば、白色光源などの照明を当てれば、その照明光の反射光に埋もれてしまって検出しにくい。また励起光は一般に狭帯域であるため、その励起光と蛍光だけの画像であると、蛍光部分だけが抽出され、本来の対象物そのものがはっきりせず、忠実な色合いが再現できないなどの欠点がある。特に通常、励起光は、受光時には大部分がカットされるので、得られる画像は、蛍光画像だけであり、背景が暗く非常に見にくい画像になる。このような画像からは、対象物の色合いや質感を把握するのはほとんど不可能で輪郭程度がぼんやりと視認できる程度であった。
従って、単にこの画像から患部のみを診断するだけであればともかく、この画像から患部周囲の状況を観察したり、説明に使用したりするに際しては、実際の色調からかけ離れた画像である為、非常に違和感を感じるものであった。そこで医療の分野では、蛍光画像と照明光をそれぞれ個別に使用しCCDカメラ等のカメラで撮影し画像を重複表示させる画像処理などを行って患部を視認しやすく加工したりしてモニタで観察していた。また、家庭用としては、安価にして簡単な構成で提供することが望まれていた。
上記の問題点を解消する為に、白色光の照射によるフィルタなしの可視光画像と励起光照射によるフィルタありの蛍光画像とを時分割で取得し、これを重畳して画像合成することにより、鮮明な輪郭画像の中に病変部の蛍光画像が鮮明に視認されるような診断画像を得るようになすことも考えられるが、複数の照射手段の切替手段、フィルタの切替手段、時分割の自動シークエンスの構築更には煩雑な画像処理を必要とし、コスト高となるばかりか家庭用としては高価になりすぎて市場には提供できないものであった。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、簡単な構成で鮮明な患部周辺の画像の中に病変部の蛍光画像も鮮明に視認し得て、且つ歯科医の術者から家庭での一般ユーザまでが手軽に使用出来る歯科用生体観察機器、口腔内撮影装置、歯科用照射額帯装置及びデンタルミラーを提供する点にある。
請求項1の発明に係る歯科用生体観察機器は、観察対象部位である口腔内の病変部より蛍光を放射させる励起光を照射する為の照射手段と、観察対象部位よりの放射光画像を観察する観察部とを備え、該観察部には上記励起光の中心波長より長波長側に20乃至50nmずれた波長域から長波長側の帯域の光を透過し、且つ、前記波長域から短波長側の帯域の光を遮断する受光用フィルタ部が設けられ、観察部では観察対象部位から発生する蛍光及び反射する励起光の一部による放射光画像の観察が可能とされていることを特徴とする。なお、ここで言う放射光画像とは、患部に励起光を照射した際に生じる蛍光画像と、反射光画像の両方を意味する。
上記励起光の中心波長と、受光用フィルタ部の波長特性(透過特性)との関係としては、具体的には、請求項2または3の発明のような組合わせが望ましい例として挙げられる。即ち、励起光の中心波長が405nmで、受光用フィルタ部は波長が425乃至455nm以上の光を透過するものである場合、照射手段から照射される励起光の中心波長が470nmで、受光用フィルタ部は波長が490乃至520nm以上の光を透過するものである場合である。尚、励起光の中心波長は、多少のばら付があり、±15nm程度は許容されるものとする。また、励起光の中心波長が赤外光領域の場合は、受光用フィルタ部はその中心波長より可視光側に20乃至50nmずれた位置より小さな波長の光を透過するように設定される。
請求項の発明に係る歯科用生体観察機器は、上記照射手段が、LED、レーザダイオード、半導体レーザ、固体レーザ発振器、レーザ発振器のいずれかからなることを特徴とする。更に、請求項の発明に係る歯科用生体観察機器は、上記照射手段が、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、クリプトンランプ、水銀ランプ或いはナトリウムランプのいずれかからなる光源と、照射用光学フィルタとから構成され、上記の光源から照射される光の内、照射用光学フィルタにて励起光成分だけを照射することを特徴とする。
請求項の発明は、上記発明を口腔内撮影装置に具現化したものであり、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の歯科用生体観察機器を用いた口腔内撮影装置であって、手指によって支持自在な本体と、前記本体に装備される前記照射手段と、前記本体に装備される前記観察部としての撮像手段とを備え、該撮像手段は、固体撮像素子と、前記受光用フィルタ部とを具備することを特徴とする
請求項の発明は、上記口腔内撮影装置において、前記照射手段が、複数種の異なる波長の光、即ち、白色光、赤外光、紫外光など光を照射する機能を更に備え、且つ該照射手段から照射される照射光の種類を選択可能とする切替手段を備えたことを特徴とする。この際、使用する光源に応じて受光用フィルタの種類を変えたり着脱交換して使用する。
請求項の発明は、上記発明を歯科用照射額帯装置に具現化したものであり、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の歯科用生体観察機器を用いた歯科用照射額帯装置であって、術者の頭部に装着させる為の頭部装着手段と、該頭部装着手段に取付けられた前記照射手段と、前記頭部装着手段に設けられた前記観察部とよりなることを特徴とする。
請求項の発明は、上記発明をデンタルミラーに具現化したものであり、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の歯科用生体観察機器を用いたデンタルミラーであって、手指によって支持されて口腔内に挿入可能な本体と、該本体に取付けられた前記照射手段と、前記本体の先側部分に装備されるミラー部とを備え、該ミラー部は、観察対象部位よりの放射光画像を反射させて観察する前記観察部とされ、その表面に前記受光用フィルタ部が形成されていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、観察部には上記励起光の中心波長より長波長側に20乃至50nmずれた波長域から長波長側の帯域の光を透過し、且つ、前記波長域から短波長側の帯域の光を遮断する受光用フィルタ部が設けられているから、観察部では観察対象部位から発生する蛍光はもとより観察対象部位において反射する励起光の一部による放射光画像の観察が可能とされる。
即ち、照射される励起光は単一波長の光であるが、その中心波長に対してある程度の幅を持っており、その幅は中心波長から20乃至50nmを超える範囲にまで及ぶ。而して、受光用フィルタ部は、励起光の中心波長より長波長側に20乃至50nmずれた波長域から長波長側の帯域の光を透過し、且つ、前記波長域から短波長側の帯域の光を遮断するようになされているから、この広がり幅部分の励起光を一部透過することになる。従って、観察対象部位によって反射された励起光の一部は、この受光用フィルタ部を透過し、反射光画像として観察部において視認される。この反射光画像は、励起光の一部が照明光として照射されたことによる画像に等しく、観察対象部位の輪郭画像として認識される。
一方、励起光照射に基づく病変部からの蛍光は、可視光領域に発現し、上記受光用フィルタ部を通して観察部で視認される。しかも、観察対象部位から反射する励起光は、その大半が受光用フィルタ部により遮断(吸収或いは反射)されるから、この蛍光画像が励起光によってマスクされず視認される。そして、上記のように一部励起反射光の透過に基づく全体画像(輪郭画像)の中に、病変部の蛍光画像が視認されるから、病変部の対象部位における相対位置や程度が把握され、適切な治療を行う上で極めて実用価値の高い画像情報が得られる。
請求項2または3の発明によれば、励起光の中心波長が405nm、470nmである場合に、夫々の受光用フィルタ部は、波長が425乃至455nm以上の光、490乃至520nm以上の光を透過するものであるので、観察対象部位から反射する励起光の大半は遮断されるが、各励起光の波長の広がり幅範囲内の光が一部透過し、この透過した励起光によって観察対象部位の輪郭画像が観察部によって視認される。また、病変部からの蛍光画像も励起光によってマスクされることが少なく視認される。
請求項の発明によれば、照射手段から照射される波長の巾が限られるので照射用光学フィルタを使用しないで構成できる。また、これらの汎用品を使用すれば、安価な構成にすることが出来る。特に、LED、レーザダイオード、半導体レーザ、固体レーザ発振器を採用すれば、機器が小型軽量化できる。
請求項の発明によれば、上記照射手段が、白色光又は白色光に近いブロードな幅広い波長であるハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、クリプトンランプ、水銀ランプ或いはナトリウムランプのいずれかからなる光源と、照射用光学フィルタとから構成されるから、病変部の蛍光画像を観察する場合は、照射用光学フィルタを装着して励起光成分だけを抽出して照射するようにし、一方、照射用光学フィルタを外して照射するようにすれば、これらの照射手段を照明用としても使用することができる。
請求項の発明によれば、本体の先側部分を口腔内に挿入し、照射手段からの励起光の照射に基づき観察対象部位の病変部より発する蛍光を撮像手段で受光して、所定の診断画像情報を得ることができる。そして、撮像手段は、上記のような波長特性を有する受光用フィルタ部を具備しているから、病変部からの蛍光画像が抽出されて固体撮像素子に結像され、また、観察対象部位によって反射した励起光の一部の反射光画像も透過して同様に固体撮像素子に結像される。従って、固体撮像素子によって電気信号に変換された光学画像をテレビモニタ等に表示して観察するようにすれば、輪郭画像と病変部の画像の両方を視認することができ、診断価値の高い画像情報を得ることができる。
そして、固体撮像素子(CCDやMOS)を採用することにより、良好な撮像画像情報をローコストで、しかも、迅速に取得することができる。また、小型で、取扱い易い便利なものとして提供することができ、更に、小型、安価、安全に製品化できるので、機能を限定した仕様は家庭用として最適である。尚、撮像手段は、例えば300〜800nmの波長の光を撮影できる広分光特性を持ったものであれば、蛍光領域の撮影も可能であり、紫外光から可視光を含め赤外光まで幅広く撮影できることは言うまでもない。勿論、特殊な蛍光の検出が必要な場合は、撮像手段として上記波長範囲よりも広い専用の広分光特性を持ったものを選択すればよい。
請求項の発明によれば、前記照射手段が、複数種の異なる波長の光を照射する機能を更に備え、白色光、赤外光、紫外光などの複数の光を切替手段で選択して照射するように構成するものであるので、必要に応じて照明光や励起光を選択できる。また、使用する光の種類に応じて受光用フィルタの種類を変えたり着脱交換して使用することができる。光の種類は、2種類でも良いし、3種類以上であってもよい。
請求項の発明によれば、照射手段からの励起光の照射と、観察部における受光用フィルタ部の透過特性とにより、上記同様観察対象部位の輪郭画像と病変部の蛍光画像とを観察部において視認することができ、診断価値の高い画像情報を得ることができる。しかも、照射手段が、頭部装着手段に取付けられているから、照射手段の照射野が術者の視線上に向くよう設定しておけば、術者の診断作業時には照射手段は常に観察対象部位に指向され、別設置された照射手段のようにその都度調整をするような煩わしさがない。また、術者の両手はフリーとなるから、診断治療作業も大変円滑になされる。このように、コンパクトな構成でありながら、病変部の状態を的確に観察することができ、これに使い勝手の良さが相乗して、極めて実用価値の高い医療用照射額帯装置として提供することができる。
請求項の発明によれば、観察部としてのミラー部には、上記同様の波長特性を有する受光用フィルタ部が形成されているから、照射手段からの励起光の照射に伴う観察対象部位からの放射光画像のうち、病変部による蛍光はこの受光用フィルタ部を透過しミラー部で反射されて蛍光画像として視認される。そして、観察対象部位から反射する励起光の大半は受光用フィルタ部で遮断(吸収)されるから、上記蛍光画像がこれらの励起光にマスクされることなく視認される。
しかも、反射励起光の一部は受光用フィルタ部を透過しミラー部で反射されて反射光画像として視認されるから、観察対象部位の輪郭も視認され、観察対象部位における病変部の相対位置や程度もミラー部により的確に観察把握することができる。このように、従来のデンタルミラーに簡単な構成を付加するだけで、従来では得られない極めて診断価値の高い診断情報を得ることができる。尚、受光用フィルタ部は、ミラー部の表面を上記の波長特性(透過特性)を有するコーティング剤によりコーティング加工し、或いは同様の波長特性を有するフィルム状のフィルタ部材を貼着することにより形成される。
以下、本発明の最良の形態について図面に基づき説明する。以下において、実施例1〜5は、本発明の歯科用生体観察機器を口腔内撮影装置に具現化した例を、実施例6〜14は歯科用照射額帯装置に具現化した例を、実施例15はデンタルミラーに具現化した例を夫々示す。
図1は本発明の口腔内撮影装置の一例を示す平面図、図2は同撮影装置本体の長手方向に沿った縦断面図、図3は同本体の先側部分の拡大底面図、図4は図3におけるX−X線縦断面図及び図5は同先側部分の部分縦断部分切欠正面図を夫々示す。図における口腔内撮影装置Aは、手指によって支持自在な歯科用ハンドピース形状の本体(ケーシング)1の先側部分1aに、照射手段2及び観察部3としての撮像手段4を備えている。この口腔内撮影装置Aは、主として口腔内における歯のう蝕、欠損部、病変部、歯石、歯垢やバイオフィルムの付着度合い等の診断用として好適なものであり、歯の表面撮影だけでなく、歯の表層内部状況(表面から1mm程度内部の状況)の撮影による歯の表層内部の病変部の認識ができ、更にコードレスの仕様にすればコードレスとして制御ボックスH(図2参照)に信号を伝達して、撮影された画像をプリントアウトして取り出すことができる。また、ズームイン、ズームアウトを行うズーム機構やオートフォーカス機能を設けることも可能である。
本体ケーシング1は、合成樹脂製の上ケース1b、下ケース1c及び先端側ケース1dからなり、上ケース1bに対して下ケース1cを4本のビス1eで固定してある。本体ケーシング1は、手指によって支持される胴部が比較的太く、その先端側ほど細くなるように一旦絞ってから、左右及び上方に膨出した形状の先側部分1aが形成されている。撮像手段4は、CCDやMOS等の固体撮像素子4aと、該固体撮像素子4aに特定波長の光を導光させる為の受光用フィルタ部5とよりなり、上下のケース1b、1cに対して着脱自在に装着された先端側ケース1dに備えられている。尚、1fは各ケース1b〜1dの内側に一体形成された補強リブである。
先端側ケース1dは、図5に示すように、その根元側に形成された舌片1gを下ケース1cの内側に嵌め入れるとともに、先端側の縦壁部1hに形成された引掛け片1iを、上ケース1bの対応する箇所に形成された係合部1jに嵌め入れることで装着されている。外す場合は、引掛け片1iを係合部1jから解放すべく先端側ケース1dの先側を上ケース1bから離れる方向に移動させ、それから先端側ケース1dを下ケース1cから離れる方向(図5における左方向)に移動させれば良い。
受光用フィルタ部5は、本体ケーシング1に着脱自在な先端側ケース1dに形成されているので、異なる波長特性の受光用フィルタ部5を有した別の先端側ケース1dに交換することができる。また、図5では照射手段2は撮像手段4と共に上ケース1b内に設置されているが、先端側ケース1dに取り付けて受光用フィルタ部5と共に先端側ケース1d毎取り替えるようにしてもよい。なお、この際には、照射手段2に電気を供給する為の電気接点を切り離し自在に構成すれば良い。
本体ケーシング1の上面には、撮影スイッチ6、光源選択スイッチ7、画像選択スイッチ8が、形成されており、本体ケ−シング1内には、照射手段2や撮像手段4等を駆動するための二次電池等の電源10と、撮像手段4で撮像された情報を、制御ボックスHに送信するための無線送信機11、並びにマイコン12とが装備されている。つまり、この口腔内撮影装置Aは、リード線を引き回すことが無く操作しやすいコードレス型に構成されている。コードレス型でない場合には、撮影スイッチ6を、リード線を介して口腔内撮影装置Aに接続された制御ボックスHやフートペダル(図示省略)等、本体ケーシング1以外の箇所に設けても良い。
先側部分1aには、図3、図4に示すように、撮像手段4と、照射手段2と、撮像手段4を構成する受光用フィルタ部5とが配置されている。撮像手段4は、上記のようにCCDやMOS等の固体撮像素子4aと、受光用フィルタ部5から成り、照射手段2からの照射光が歯等の観察対象部位に照射されたときに、観察対象部位から放射される光を受光して、所定の診断画像を撮影するものであり、上下方向視で先側部分1aの中心位置に配置されている。
照射手段2は、図3に示すように、発光部としての励起光発光LED2a、白色光LED2b、赤外光LED2cの3種のLED(発光ダイオード)の2個ずつで計6個から成り、固体撮像素子4aの光軸を中心としてその周囲に、回転対称となるようにほぼ均等角度毎に配置されている。これにより、照射手段2よりの光を直接、歯に照射することができる構成としてある。各LED2a、2b、2cは、固体撮像素子4aを中心とした周方向で180度離して対向配置されているが、この配置状態及び照射用光源の組み合わせに限られるものではない。
照射手段2は、上記励起光発光LED2a単独であってもよく、これに上記白色光LED2b、赤外光LED2c或いは紫外光LEDを適宜組合わせて構成することも可能であり、これらの複数の発光部を切替手段(不図示)で選択的に発光できるようにすることができる。照射手段2としては、LED以外に、レーザ発振器(He−Neレーザ、クリプトンレーザ、色素レーザ等の半導体レーザ、レーザダイオード或いは固体レーザ発振器、レーザ発振器)、ハロゲンランプ、クリプトンランプ、水銀ランプ、ナトリウムランプ、キセノンランプ或いはメタルハライドランプのいずれかが採用可能である。LEDやレーザダイオードなどを使用すると小型軽量化することができる。
尚、ハロゲンランプ、クリプトンランプ、水銀ランプ、ナトリウムランプ、キセノンランプ或いはメタルハライドランプを照射手段として使用する場合は、ランプの前に照射用フィルタを設置して励起光成分の波長の光のみを抽出して照射するようにしても良い。上記のランプ光源から照射される光は、白色光又は白色光に近いブロードな幅広い波長であるので、照射用光学フィルタを外して照射することによって、これらの励起光照射手段を照明用として使用することができる。また、波長切換え式のLED又はレーザ発振器であっても良い。尚、レーザ発振器を用いる場合は、本体内のレーザ発振部から適当なライトガイドで先側部分1aの先端照射口まで導光させることが必要である。
LEDやレーザ発振器は、赤外、近赤外、紫外、近紫外のみならず、可視光領域である赤色、橙色、紫色、青色、緑色の領域を持つものが望ましい。特に、励起光発光LEDとしては、中心波長が405nm或いは470nmの光を発するもの望ましく採用され、これらは、一般に市販されているものから安価に入手することができる。また、励起光を発するレーザ光の波長としては、中心波長が635nm或いは780nmのものが採用される。
受光用フィルタ部5は、図2〜図5に示すように、先端側ケース1dに着脱交換自在に嵌め込みによって装着されており、固体撮像素子4aの下方側を覆う大きさで、ほぼ円形板状のものとされている。先端側ケース1d自体も本体下部1に着脱交換自在とされている。この受光用フィルタ部5は、固体撮像素子4aの受光部に特定波長域の光のみを通過させるものであるが、照射手段2に対応する周辺部は、照射手段2の光をそのまま通過させる構造とするか、この周辺部を照射手段2からの光のうち、特定波長域の光のみを通過させて診断対象に照射させる照射用のフィルタとするか、或いは受光用フィルタと照射用フィルタとの双方の機能を兼ね備えた複合フィルタとすることも可能である。また、受光用フィルタや照射光用フィルタとレンズとを併用しても良いし、これらのフィルタとレンズとを一体で構成しても良い。また、これらのレンズ表面にフィルタ機能を有するコーティングを施して使用しても良い。
受光用フィルタ部5は、照射手段2から励起光を照射し、病変部から特有の蛍光を放射させてその蛍光画像を撮像手段4で観察撮影する場合、励起光の中心波長より長波長側に20乃至50nmずれた波長域から長波長側の帯域の光を透過し、且つ、前記波長域から短波長側の帯域の光を遮断するような透過特性を有するものが採用される。即ち、照射手段2が、中心波長が405nm或いは470nmの励起光を発するものである場合、波長が425乃至455nm以上の光、490乃至520nm以上の光を夫々透過するものが採用される。
図6は、上記口腔内撮影装置Aの使用状態を示す図であり、この口腔内撮影装置Aは、図に示すように、口腔内に先側部分1aを挿入して診断対象としての歯tの診断が行えるものであり、前記制御ボックスHに接続されたモニタ画面M(いずれも図2参照)に、撮像手段4による撮像画像を写しながら診断を行えるようになっている。そして、関心領域があれば、その箇所を撮影している状態で撮影スイッチ6を操作することにより、その箇所の静止画像を本体ケーシング1若しくは制御ボックスHのメモリ13に記憶し、必要に応じて制御ボックスHに接続されたプリンタ(図示省略)にてプリントアウトすることができる。本口腔内撮影装置Aでは、照射手段2からの照射光を歯tに直接照射することができる。
歯石、歯垢或いはう蝕部分(病変部)がある歯牙に、照射手段2の励起光発光LED2aより中心波長が405nmの励起光を照射し、波長が425乃至455nm以上の波長の光のみを透過する受光用フィルタ部5を撮像手段4の受光部に装着して撮影すると、診断画像におけるこれら病変部はオレンジ色乃至橙色に視認される。図7に、口腔内撮影装置Aの撮像手段4で撮影された歯tのプリントアウト画像を示す。励起光の照射により病変部からは上記のような蛍光が放射され、この蛍光画像は受光用フィルタ部5を透過して、固体撮像素子4aに結像される。
また、病変部以外の部位では反射した励起光は、その大半が受光用フィルタ部5で遮断(反射或いは吸収)されるから、上記蛍光画像はこれらの励起光にマスクされることなく明瞭に視認される。また、反射励起光の一部は受光用フィルタ部5を透過し、歯tの輪郭画像としてぼんやりと固体撮像素子4aに結像される。従って、モニタMに表示された画像や図7のプリントアウト画像においては、歯の輪郭画像もぼんやりと視認されると共にその輪郭画像内でオレンジ色乃至橙色を呈する病変部(蛍光を発する部位)画像が明瞭に視認される。尚、図7において破線部が病変部である。
図8は、波長405nmの励起光を歯牙に照射した場合に、歯牙から放射される光(蛍光)のスペクトル分布を示すものである。図において、健康な歯の場合には蛍光の波長増加に伴って放射線強度Iは次第に低下する傾向を示しているが、う蝕された歯の場合には、蛍光の波長に対する放射線強度Iは3箇所(636nm、673nm、700nm)にピークが出る蛍光スペクトルを呈する。また、実験によればこれ以外にもオレンジ色乃至橙色の蛍光も発することが確認されている。従って、観察対象部位においてこのような蛍光を発している部分が視認できれば、その部分がう蝕部分であるとの判定が的確になされる。
また、図9は、波長488nmの光を歯牙に照射した場合に、歯牙から放射される光の健康な歯(健康なエナメル質)と、う蝕された歯(う蝕されたエナメル質)とを対比したグラフ(蛍光強度の対比グラフ)である。このグラフから判るように、一般的に、健康な歯と、う蝕された歯とでは、照射する励起光の波長が異なれば発生する蛍光の波長毎の強度も変化する。そして、歯牙の場合、図8のように波長405nmの励起光を照射した場合に、600nm以上において顕著に差が出ることが理解される。また、一般に、励起光を照射してう蝕部などから発生する蛍光は、非常に弱い光で照明光をう蝕等の患部に同時に照射すると照明光に埋もれて視認しにくかった。更に、非常に弱い蛍光を視認するためには、暗いところで見る必要があり、観察・診断の対象物位全体の組織を通常の自然光や白色光の下で見るようには明瞭に見えず、照明光が全くない場合には、患部の周囲や背景組織は、見えなかった。そこで、患部が患部周囲のどの部分にあるかを見られるようにする必要があった。
図10は、照射手段2から照射される励起光の波長分布特性と、受光用フィルタ部5の透過特性との関係を示す図である。図において、aは、中心波長が405nmの励起光の波長分布特性を示し、bはこれに対応して用いられる受光用フィルタ部5の透過特性曲線を示す。即ち、受光用フィルタ部5は、この透過特性曲線bより長波長側、即ち可視光の中心側(白抜き矢示帯域)の光を透過することを示す。励起光を発する発光部としてのLED等は単一波長の光を発するものとして設計されるが、実際には図のようにある程度の幅を持った波長分布特性となることは不可避である。従って、受光用フィルタ部5を、透過特性曲線bのように、425乃至455nm以上の波長の光のみを透過するものとすれば、励起光の内の一部を透過する領域c(図の斜線部)が発現する。
而して、上記波長の励起光を歯tに照射すると、歯tの病変部からは図8に示すように波長が636nm、673nm更には700nmの蛍光が放射され、これらの蛍光は受光用フィルタ部5を透過して固体撮像素子4aに結像される。また、歯tの病変部以外の部位で反射する励起光は、図10の透過特性曲線bでも理解される通り、大半は受光用フィルタ部5によって遮断されるが、領域cに属する励起光は透過する。この領域cに基づく反射励起光は、謂わば照明光として作用し、これにより歯tの全体輪郭画像が固体撮像素子4aに結像されることになる。従って、反射励起光によりマスクされることなく抽出された病変部の蛍光画像と、全体輪郭画像とが視認される極めて診断価値の高い画像情報が得られるのである。
図例の口腔内撮影装置Aでは、上記のように、照射手段2として、励起光発光LED2aの他に、更に、白色LED2b及び赤外光LED2cを備えている。白色LED2bを用いる場合は、例えば、診断に先立ち光源選択スイッチ7を選択操作して白色LED2bを点灯させ、観察対象部位及びその周辺の状態を観察する為の照明光として使用する。この時は、撮像手段4を駆動せず(画像選択スイッチ8はオフ)、術者自らが視認観察することになる。もちろん撮像素子を使用してモニタ画像として観察する仕様でも良い。また、赤外光LED2cは、その浸透性の強い特性を利用し、歯の深部のクラック等の観察に用いられる。この場合は術者自ら反射赤外光画像を観察することも可能であるが、受光用フィルタ部5として赤外光のみを透過するものを用いれば、抽出された赤外光画像が撮像手段4によってより鮮明に知見される。また、赤外フィルタや450nm程度より大きい波長の光を透過するフィルタは、さほど、画像に影響を与えないので十分使用できる。
図11の口腔内撮影装置A1は、照射手段が着脱自在とされた例を示すものである。図における口腔内撮影装置A1は、手指によって支持自在な本体ケーシング1の先側部分1aに、励起光を観察対象部位に照射するための照射手段(LED)2と、観察部3としての撮像手段4とを備えている。撮像手段4は、上記同様の固体撮像素子4aと、観察対象部位の病変部から放射される蛍光及び反射する励起光の一部を透過させて固体撮像素子4aに導光させるための受光用フィルタ部5とよりなる。そして、照射手段2は先側部分1aに対し、着脱自在とされている。
即ち、先端側ケース1d、固体撮像素子4aの直下において受光用フィルタ部5を支持する環状の受部5aが形成されるとともに、その受部5aの周囲近傍位置には、複数の受電極14が固設されている。これら受電極14に対応して電気的に接触する複数の凸電極15を有した環状支持部材16が、先端側ケース1dに固着されたゴム製の内径が伸縮自在な環状装着部材17に対して、着脱自在に嵌め込み装着されており、この環状支持部材16の下面側には、各凸電極15に導通接続された複数のLED(照射手段)2が取付けられている。この照射手段2を構成するLEDは上記と同様、病変部に照射した時には、病変部からその特有の蛍光を放射させる励起光発光LEDである。14aは、照射手段2或いは固体撮像素子4a用のリード線である。
従って、環状支持部材16を環状装着部材17に嵌め入れて装着すれば、それに伴って、各凸電極15が対応する受電極14に接触して電気的導通状態になる。一方、環状支持部材16を環状装着部材17から取外せば、各凸電極15と受電極14との導通状態が断絶されるようになっている。故に、LED2の交換等は支持部材16の環状装着部材17に対する着脱によって簡易になされる。
本口腔内撮影装置A1によれば、その先側部分1aを口腔内に挿入し、照射手段(励起光発光LED)2を点灯させて励起光を観察対象部位に照射すると、観察対象部位の病変部からはその特有の蛍光が放射される。また、病変部以外の部位では照射された励起光が反射される。観察対象部位から放射されたこれら蛍光及び反射励起光は受光用フィルタ部5に向かうが、この受光用フィルタ部5においては、蛍光と反射励起光の一部(図10におけるc領域の光)が透過され、固体撮像素子4aに導光され結像される。従って、上記と同様一部透過した反射励起光による患部のぼんやりとした輪郭画像と、蛍光画像とが合わさった診断価値の高い鮮明な画像情報が固体撮像素子4aによって得られる。
尚、照射手段2を構成するLEDの一部を白色LEDとし、診断に先立ちこの白色LEDのみを点灯させ、観察対象部位の全体観察を行えるようになすことも可能である。この場合は、上記同様撮像手段4は駆動させず、術者自らが観察することも可能である。また、赤外光LEDや紫外光LEDと組合わせ、上記同様診断目的に応じた照射を行えるようになすことも可能である。この場合、照射手段2の着脱自在な機構を利用して、別途準備されたこれらLEDを着脱交換するようになすことも可能である。
図12の口腔内撮影装置A2は、照射手段と受光用フィルタ部とが一体で着脱自在とされた例を示すものである。即ち、図における口腔内撮影装置A2においては、照射手段(LED)2と受光用フィルタ部5とが一体で先側部分1aに着脱自在に装着されている。図12に示すものは、基本的には図11に示すものと同様であり、異なる点は、受部5aの形状を変更して、照射手段2と受光用フィルタ部5との双方を支持する構造としたことである。その他の構成は図11に示す例と同様であるので、共通部分には同一の符号を付しその説明を割愛する。尚、受部5aをゴム製として、受部5aに対して受光用フィルタ部5を着脱自在に装着する構造としても良い。
本口腔内撮影装置A2では、受部5aの環状装着部材17への装着に伴って、照射手段2と受光用フィルタ部5とを先側部分1aに装着でき、受部5aの環状装着部材17からの取外しに伴って、照射手段2と受光用フィルタ部5とを先側部分1aから取外すことができる。この構造によれば、励起光を発するものはもとより、異なる照射特性(白色光、赤外光、紫外光等)を有する照射手段2と、それに対応する透過特性の受光用フィルタ部とが組合わさった複数の受部5aを準備しておき、これら受部5aの適宜選択装着により、病変部の鮮明な蛍光画像に加え、診断目的に応じたその他の画像情報も簡易に取得され、多様な診断治療が極めて効率的且つ的確になされる。
図13の口腔内撮影装置A3は、撮像手段が光路変更手段を備えた例を示すものである。図における口腔内撮影装置A3は、本体ケーシング1の先側部分1a内に、観察部3としての撮像手段4を構成する固体撮像素子4aがその光軸を本体ケーシング1の長手方向に沿った状態で配設され、また先側部分1aの先端側内面には、上記光軸に対して略45度の角度となるように光路変更手段としてのミラー(或いはプリズム)18が取付けられ、このミラー18と固体撮像素子4aとの間の内筒部が、撮像光の導光路19とされている。この導光路19にはリレーレンズ20及び光軸に沿って移動可能なリレーレンズ21が配され、上記ミラー18、リレーレンズ20、21及び後記する受光用フィルタ部5によって、光学画像を固体撮像素子4aに結像させる為の光学系が形成され、この光学系と固体撮像素子4aとによって撮像手段4が構成される。
筒状の先側部分1aの途中であって、上記リレーレンズ20の前側(先端側)近傍には、受光用フィルタ部5が着脱可能に装着されている。5bは、受光用フィルタ部5の脱け出しを抑えるキャップである。従って、波長特性の異なる各種受光用フィルタ部を用意しておけば、診断目的に応じたフィルタ交換が簡易になされる。上記リレーレンズ21に光軸方向に沿った適宜移動機構を付加すればズーム機構が構成される。リレーレンズ20、21は、図面上凸レンズとして示しているが、凸レンズに限定されるものではなく、光学画像を伝える機能があればどのようなレンズであっても良いことは言うまでもない。もちろんライトガイドなどの画像伝達手段を使用してもよい。
先側部分1aには、上記光軸に略直交する方向に開口する入光用の開口部22が形成され、この開口部22と上記導光路19とが連通するよう構成されている。開口部22の周辺部には、複数のLED(照射手段)2を周方向に沿って隔設した環状支持部材23が着脱自在に取付けられている。環状支持部材23の背面には上記各LED2に対応する雄型受電極24が形成され、環状支持部材23を先側部分1aに装着した時には、先側部分1aに形成された雌型供給電極25と電気的に接合するようになされている。上記雌雄の電極24、25の嵌合接合関係は、環状支持部材23の着脱機構を構成するものとし、ワンタッチで照射手段2の取付けが可能となる。
上記環状支持部材23は、照射手段2毎に複数種準備することができる。例えば、励起光発光LEDのみのもの、励起光発光LEDと白色LEDとを組合わせたもの、赤外光LED或いは紫外光LEDのみのもの、更にはこれらを適宜組合わせたもの等である。そして、受光用フィルタ部5も、これら使用される照射手段2の特性に応じた透過特性のものが複数準備され、適宜選択装着される。即ち、照射手段2として励起光発光LEDを用いる場合は、受光用フィルタ部5として、上記同様、励起光の主成分を遮断するが、病変部からの特有の蛍光及び病変部以外の部位で反射された励起光の一部を透過するような特性のものが用いられる。このような照射手段2による励起光の照射と、受光用フィルタ部5の透過特性とにより、上記と同様に病変部の蛍光画像と輪郭画像とが発現される診断価値の高い画像情報が得られる。照明光として紫外光を用いる場合は、受光用フィルタを外して使用する。
また、白色光LEDを観察対象部位の照明に用いる場合は、撮像手段4を駆動せずに術者が直接観察対象部位を観察するか受光用フィルタ部5を装着せず、その照明による可視光画像を固体撮像素子4aに結像させるようになされる。尚、受光用フィルタ部5を装着したまま、可視光画像を固体撮像素子4aに結像させる場合は、受光用フィルタ部5により一部の色成分が欠如した画像となるが、目的によっては、使用可能な画像が得られる場合が多い。更に、赤外光LEDや紫外光LEDを用いる場合は、赤外光のみ或いは紫外光のみを透過させる受光用フィルタ部5が用いられる。勿論、環状支持部材23に複数種のLED2を設け、これらのうちのいずれかを選択照射するようにし、その選択したLED2に応じた波長特性の上記受光フィルタ部5を選択装着するようになすことも可能である。赤外光のみ或いは紫外光のみを透過させる受光用フィルタを使用する場合は、白色LEDの照明時、フィルタを除去しないと満足な画像を得ることは難しい。
斯くして、照射手段2から照射された光は、歯牙等の観察対象部位に照射され、照射手段2の種類に基づく観察対象部位の波長特性に応じて、観察対象部位からは反射光或いは蛍光等が放射される。これらの放射に基づく光学画像光は開口部22から先側部分1a内に入光し、ミラー18で90度に反射され、受光用フィルタ部5を透過し、導光路19を進行しながらリレーレンズ21、22で集光され、固体撮像素子4aに結像される。尚、受光用フィルタ部5の取付位置は図例に限らず、導光路19上であれば任意の位置が可能である。また、照射手段2に対する電線の連結手段を別に設けることにより、雌雄電極24、25に代えて、他の接合手段も採用可能であることは言うまでもない。その他の構成は上記と同様であるので共通部分には同一の符号を付しその説明を割愛する。
図14の口腔内撮影装置A4は、実施例4と同様に撮像手段が光路変更手段を備えると共に、先側部分1aが、ヘッド部1a1と基部1a2とに分離可能とされた例を示すものであり、実施例4と共通する部分には同一の符号を付している。即ち、筒状ヘッド部1a1の内面には、上記光軸に対して略45度の角度となるように光路変更手段としてのミラー(或いはプリズム)18が取付けられ、一方先側部分1aの筒状基部1a2内には観察部3としての撮像手段4を構成する固体撮像素子4aが設置されており、ヘッド部1a1と基部1a2とを後記する結合手段26を介して結合した時には、このミラー18と固体撮像素子4aとの間の内筒部が、撮像光の導光路19とされる。
この導光路19に沿ってヘッド部1a1内にはリレーレンズ20が、基部1a2内には光軸に沿って移動可能なリレーレンズ21が夫々配され、上記ミラー18、リレーレンズ20、21及び後記する受光用フィルタ部5によって、光学画像を固体撮像素子4aに結像させる為の光学系が形成され、この光学系と固体撮像素子4aとによって撮像手段4が構成される。ヘッド部1a1の上記光軸に略直交する方向に開口する入光用の開口部22が形成され、この開口部22と上記導光路19とが連通するよう構成されている。リレーレンズ20の前側(先端側)近傍には、受光用フィルタ部5が装着されている。
開口部22の周辺部には、複数のLED(照射手段)2が周方向に沿って隔設されている。この各LED2にはヘッド部1a1の壁部内に埋設されたリード線27a…が接続され、更にこのリード線27a…はヘッド部1a1の基部1a2側端面に突出する雄型電極27…に連接されている。一方、基部1a2のヘッド部1a1側端面にはこの雄型電極27…に対応して雌型電極28…が凹設されており、これら雌型電極28…は基部1a2の壁部内に埋設されたリード線28a…を介して、本体ケーシング1内の不図示の電源部に接続されている。
上記雄型電極27…と雌型電極28…との嵌合関係によりヘッド部1a1と基部1a2との結合手段26が構成されると共に、両電極の電気的接合部が形成される。従って、ヘッド部1a1の手操作により、基部1a2に対する着脱が簡易になされる。これにより、雄型電極27…及び雌型電極28…が電気的に接合され、前記スイッチの適宜操作により、上記電源部からLED2に電源供給がされ、これらの起動発光がなされる。
上記のような構成において、波長特性の異なる種々の受光用フィルタ部5と、発光特性の異なる種々のLED2とを組合わせた種々のヘッド部1a1を準備しておけば、これらヘッド部1a1を結合手段26を介して基部1a2に対して適宜選択装着することにより、観察対象部位の状態或いは診断目的に応じた多面的な診断撮影を実施することができる。このような使用態様は実施例4と同様であるので、その作用等の説明は割愛する。また、その他の構成も同様であるので、共通する部分には同一の符号を付し、その説明を割愛する。
図15は本発明の歯科用照射額帯装置の1例を示す図であり、(a)はその使用状態の概念図、(b)は照射手段の拡大断面図、(c)はその変形例の同様図である。図における歯科用照射額帯装置Bは、術者Dの頭部に装着される頭部装着手段29と、この頭部装着手段29に取付けられた照射手段30と、術者Dの眼前に位置する透光性部材32とよりなる。この透光性部材32は、その透光部が受光用フィルタ部33として機能するものである。受光用フィルタ部33については後記する。図例の頭部装着手段29は、締付ベルト或いは弾性帯であることを示すが、これに限らず医療分野で公知のこの種頭部装着手段も採用し得るものである。
照射手段30は、頭部装着手段29における術者Dの額部分に相当する位置に設けられた取付ベース34に対し首振り自在に取付けられ、その照射野の位置調整が可能とされている。照射手段30をオン・オフする為の点灯スイッチ34aは、術者Dが操作し易いように、頭部装着手段29の側部に設けられている。尚、ここでの術者Dとは、医者及びその診断作業を補助する補助者或いはナースをも含む概念である。また、照射手段30の電源としては、頭部装着手段29の適宜箇所に交換可能に取付けられた電池(不図示)が用いられる。
図例の照射手段30は、発光部と光学部材とをパッケージ化して構成されたものである。即ち、図15(b)における照射手段30は、カップ状のケーシング30aの底部中心に配設された発光部35としての励起光発光LED35aと、ケーシング30aの内側壁に形成された凹曲コーン状のミラー30bと、ケーシング30aの先側開口部に取付けられた集光レンズ30cとよりなる。30dは集光レンズ30cを固定する為のキャップナットである。LED35aから発せられる励起光は、ミラー30bで反射する光も含め、集光レンズ30cを透過して観察対象部位に照射される。このように、ミラー30b及び集光レンズ30cにより、LED35aから発せられる励起光は、無駄なく観察対象部位に照射されることになる。LED35aとしては、歯科診断用の場合、400±30nmの波長の光を発するLEDが最も望ましいが、これに限らず診断目的に応じて他の波長特性のLEDも用いられる。
図例の場合、頭部装着手段29の前側部分の下部で、術者Dの眼窩前方近傍位置が観察部31とされ、この観察部31の頭部装着手段29に、受光用フィルタ部33として機能する透光性部材32が装着されている。受光用フィルタ部33は、先の実施例における受光用フィルタ部5と同様、励起光の照射により病変部から放射される蛍光と、観察対象部位から反射する励起光の一部(図10における領域cに属する光)を透過する特性を有するものである。斯くして、観察時において、術者Dは、頭部装着手段29を自らの頭部に装着した上で、スイッチ34aをオンし、発光部35からの照射光の照射野が観察対象部位に向くよう調整する。そして、励起光が照射された観察対象部位の状態を、透光性部材32を通して観察する。
この時、観察対象部位に病変部があると、病変部が励起されてその病変部に特有の蛍光が放射される。この蛍光は受光用フィルタ部33としての透光性部材32を透過するが、反射励起光の大半は受光用フィルタ部33によって遮断(反射或いは吸収)されるから、蛍光画像は励起光にマスクされず、明瞭に視認される。また、反射励起光の一部は受光用フィルタ部33を透過するから、観察対象部位の輪郭もぼんやりと視認され、術者Dは、この蛍光画像と輪郭画像とが発現された画像を観察することにより、病変部の位置、程度、質等の状態を的確に把握することができる。
図15(c)は、上記の変形例を示すものであり、発光部35として白色LED35bが用いられている。そして、ケーシング30aの先側開口部には、上記レンズ30cに代え、照射用フィルタ36が着脱自在に取付けられている。36aは、この照射用フィルタ36を左右に抜差し自在に保持する為のキャップナットである。また、36bは照射用フィルタ36を抜差しする為の摘みである。照射用フィルタ36は、白色LED35bより発せられた白色光のうちの励起光(歯牙の診察の場合波長が400±30nmの光)成分のみを透過させるフィルタであり、この照射用フィルタ36と白色LED35bとの組合わせにより、上記LED35aを用いた照射手段と同様の励起光照射機能を奏する。従って、この照射用フィルタ36を通して励起光が観察対象部位に照射された時、観察対象部位に病変部があると、その特有の蛍光が放射され、透光性部材32を通してその状態観察がなされる。
上記照射用フィルタ36は着脱自在とされているから、観察開始にあたり、先ず、照射用フィルタ36を取付けない状態で白色LED35bを点灯し、観察対象部位を通常の照明光のように照らして、観察対象部位の全体を把握し、次いで、照射用フィルタ36を取付け、病変部を抽出観察するような観察診断手法を採ることができる。このようにすれば、観察対象部位全体における病変部の位置や、その程度等が的確に把握され、その後の治療精度の向上につながることになる。
また、照射用フィルタ36として、赤外光のみを透過するもの或いは紫外光のみを透過するものを別途準備し、これらを選択装着することにより、前記のような診断目的に応じた観察対象部位の観察ができ、診断・治療の多様化を図ることができる。従って、この場合の照射用フィルタ36及びその着脱機構は、照射手段35から照射される光の種類を選択する選択手段の機能も奏することになる。尚、図15(c)では割愛したが、図15(a)に示す集光レンズ30cと照射用フィルタ36とを併用するよう構成することも除外するものではない。
図16の歯科用照射額帯装置B1は、パッケージ化された照射手段30が、発光部35としての複数種(図例では3種)のLED(或いはベアチップ)35c、35d、35eからなる例を示すものである。図16(a)はその使用状態の概念図、図16(b)は照射手段30の部分切欠拡大斜視図を示す。即ち、照射手段30は、上記同様カップ状のケーシング30aの底部に励起光発光LED35c、白色LED35d及び赤外光LED35eを配設してなり、取付ベース34に首振り自在に取り付けられている。点灯スイッチ34bは、これら各発光部35に対応する3個のスイッチ部を備え、術者Dはこれらスイッチ部を選択操作して診断目的に応じた所望の光を照射させることができる。
ケーシング30aの内壁部には上記同様のミラー30bが設けられており、また、図では割愛したが、先側開口部には上記同様の集光レンズを装着することも望ましく採用される。尚、発光部35を構成する上記LED35c、35d及びLED35eを選択発光する場合、これらに適切な受光用フィルタ部を選択装着して使用することができることは言うまでもない。
尚、発光部35の数は3個に限らず、2個或いは4個以上であってもよい。またその種類も、上記以外の特定波長の光を発するLEDを採用することも可能である。その他の構成及び作用は、上記と同様であるので、共通部分に同一の符号を付しその説明を割愛する。
図17の歯科用照射額帯装置B2、B3は、複数の発光部35を変位させて選択的に照射させるようにした例を示すものである。図17(a)の歯科用照射額帯装置B2では、発光部35としての3個のLED35c、35d、35eが横長のスライド部材(取付基部)30e上に直列状に等間隔で配設され、このスライド部材30eは、頭部装着手段29の長手方向に沿った受止ガイド部材34dに、その長手方向に沿ってスライド可能に取り付けられている。受止ガイド部材34dの長手方向中央部には1組の電気接点(不図示)が設けられ、また、スライド部材30eの背面には、各LED35c、35d、35eに対応する接点(不図示)が設けられ、スライド部材30eをスライドさせることにより中央に位置することになった各LED35c、35d、35eに対応する接点のいずれかが受止ガイド部材34d側の電気接点と電気的に接合されることになる。従って、点灯スイッチ34cをオン操作すれば、この電気的接合が確立している発光部35が点灯することになる。
LED35c、35d、35eは、上記同様、夫々、励起光発光LED、白色LED及び赤外光LEDとされるが、励起光発光LED35c以外はこれらに限定されるものではない。術者Dは、診断に際して、スライド部材30eを手操作により左右にスライドさせ、所望の発光部35が中央になるよう位置決めし、点灯スイッチ34cをオンとすると、位置決めされた発光部35が点灯する。
17(b)の歯科用照射額帯装置B3では、頭部装着手段29の額側中央部に取付ベース34eが固設され、発光部35としての3個のLED35c、35d、35eが、この取付ベース34eに回転可能に取付けられた回転部材(取付基部)30f上に、その回転中心と同心の円周に沿って等間隔で配設されている。取付ベース34eにおける発光部35の回転軌道に対応する位置には1組の電気接点(不図示)が設けられ、また、回転部材30fの背面には、各LED35c、35d、35eに対応する接点(不図示)が設けられ、回転部材30fを回転させることにより、各LED35c、35d、35eに対応する接点のいずれかが取付ベース34e側の電気接点と電気的に接合されることになる。従って、点灯スイッチ34cをオン操作すれば、この電気的接合が確立している発光部35が点灯することになる。
従って、術者Dは、診断に際して、回転部材30fを手操作により回転させ、所望の発光部35が上記接合位置になるよう位置決めし、点灯スイッチ34cをオンとすると、位置決めされた発光部35が点灯する。上記スライド部材30eによる左右のスライドや、この回転部材30fの回転は、照射手段の選択手段に相当し、これらの駆動をモータにより行うよう構成することも可能である。
図18の歯科用照射額帯装置B4は、照射手段30が頭部装着手段29に対して着脱自在に取付けられる例を示すものであり、図18(a)はその使用状態の概念図、図18(b)は着脱の機構を示す図である。頭部装着手段29の額側中央部には断面凹型の取付ベース34fが固設され、その底部に1組の電気接点34gが設けられている。また、照射手段30は、上記と同様内部に発光部35を備えるパッケージタイプに構成され、取付基部30gに首振り自在に取付けられている。この取付基部30gは、取付ベース34fの凹部に嵌り込み保持されるような形状とされている。取付基部30gの背面には、上記電気接点34gに対合する接点(不図示)が設けられ、照射手段30を取付基部30gをして取付ベース34fに装着した時には、両接点が電気的に接合される。そして、取付ベース34fの側部には点灯スイッチ34aが設けられ、このスイッチ34aの操作により装着された照射手段30の発光部35が点灯する。
図18(b)は3種類の照射手段30が準備され、これらが適宜頭部装着手段29に選択装着可能であることを示している。図例では、3種の照射手段30が、発光部35として、夫々励起光発光LED35c、白色LED35d及び赤外光LED35eを備えている。従って、術者Dは観察・診断目的に応じて、所望の照射手段30を選択し、図のように取付ベース34fに対し上方から取付基部30gを嵌め込み装着し、点灯スイッチ34aをオンして観察対象部位の観察・診断を実施することができる。また、これら3種の照射手段30を適宜選択交換しながら、前記のような多様な観察・診断も行うことができる。尚、発光部35としては、励起光発光LED35c以外は他の波長特性を持ったものに置き換え、或いは追加させることも可能であることは言うまでもない。
図19の歯科用照射額帯装置B5は、観察部31が、防護メガネ或いは防護ゴーグルの透光性メガネレンズ部或いはゴーグル本体部からなる例を示すものである。医療用具として、処置液の飛沫から術者の目を護るため或いは感染防止の為に専用のメガネやゴーグルが用いられる。本実施例の歯科用照射額帯装置B5は、このような目を保護する機能をも備えたものであり、ここでは上記メガネレンズ部或いはゴーグル本体部を総称して眼窩保護部材37と言う。図19(a)は、眼窩保護部材37の着脱の機構を示す図、図19(b)はその使用状態の概念図である。
頭部装着手段29の額側中央部には、取付ベース34hが固設され、この取付ベース34hには、実施例7と同様の3種の光を発する発光部35をパッケージ化した照射手段30が首振り自在に取付られている。また、頭部装着手段29の側部には、この3種の発光部35を選択点灯させ得る3個のスイッチ部を備えた点灯スイッチ34bが設けられている。眼窩保護部材37は、その取付基部37aをして取付ベース34hの下辺部に矢示のように着脱自在に装着される。そして、眼窩保護部材37は、単なる透光部材からなるものであっても良いが、術者の視力に応じて適宜度が付されているものであってもよい。また、眼窩保護部材37の光透過部分は、上記同様の透過特性を有する受光用フィルタ部33とされている。
従って、照射手段30から励起光を照射し、受光用フィルタ部33を通して観察対象部位の画像を観察すれば、上記同様病変部から放射される蛍光画像と輪郭画像とが鮮明に視認される。また、白色光を照射して歯牙の全体を観察する場合は、受光用フィルタ部33の機能を備えた眼窩保護部材37を取外し、直接観察することもできる。
尚、上記では眼窩保護部材37自体が受光用フィルタ部33としての機能を奏する部材からなる例を述べたが、眼窩保護部材37を単なる透光性部材で構成し、その前面又は背面に同様の波長特性を有するフィルタ部材を着脱自在に装着するようにしてもよい。また、上記取付基部37aによる着脱自在な機構に代え、眼窩保護部材37を上方に跳ね上げ退避させ得る機構を採用することも可能である。
図20の歯科用照射額帯装置B6は、観察部31が、拡大鏡からなる例を示すものである。図例の拡大鏡は双眼鏡38を例としているが、虫眼鏡状のものであってもよい。図20(a)は双眼鏡8の斜視図、図20(b)は双眼鏡38の着脱の機構を示す図である。照射手段30は、実施例7と同様に3種の光を発する発光部35をパッケージ化したものであり、頭部装着手段29に取付ベース34hを介して首振り自在に取付られている。頭部装着手段29の側部には、上記同様3個のスイッチ部を備えた点灯スイッチ34bが設けられている。
双眼鏡38は、その取付基部38aをして取付ベース34hの下辺部に矢示のように着脱自在に装着される。そして、双眼鏡38の対物レンズ側には、フィルタ39aが着脱自在に装着され、これが受光用フィルタ部39とされる。このフィルタ39aは、上記同様、照射手段30から励起光を観察対象部位に照射した際に病変部から放射される蛍光と病変部以外の部位で反射する励起光の一部を透過させるような波長特性を持ったものから構成される。従って、本実施例の歯科用照射額帯装置B6によれば、抽出された病変部の蛍光画像を鮮明に且つ双眼鏡38の機能によって拡大された状態で視認することができるから、病変部の状態をより正確に把握することができる。
図21の歯科用照射額帯装置B7は、全体がゴーグル若しくはメガネ状に構成されたもので、観察部31が、透光性のゴーグル本体部若しくはメガネレンズ部(以下、上記同様眼窩保護部材と称す)39と、CCDやMOS等の固体撮像素子40aを内蔵した撮像手段40とよりなる例を示すものである。頭部装着手段29は、術者の耳部に掛けられるゴーグルフレーム或いはメガネフレームからなり、以下、これをフレーム29と言う。フレーム29の側部には、実施例7と同様に3種の光を発する発光部35をパッケージ化した照射手段30が着脱自在に装着され、また、フレーム29の上辺中央部にはCCD40aを内蔵した撮像手段40が着脱自在に設置されている。撮像手段40の受光部には上記と同様の波長特性を有するフィルタが着脱自在に装着され、受光用フィルタ部41とされている。
上記撮像手段40は、更に無線信号送出部40bを備え、CCD40aにより電気信号に変換された画像データが別置きされたパーソナルコンピュータ42に無線送出されるようになされている。パーソナルコンピュータ42では、その制御部42aが、受信した画像データを記憶部に記憶し、或いは適宜画像処理をしてディスプレイ42bに表示し、更にはプリンタ(不図示)でプリントアウトしたりするよう構成することができる。また、フレーム29の側部には、照射手段30のスイッチと撮像手段40の駆動スイッチを兼ねたスイッチ40cが取付けられている。尚、照射手段2の照射駆動制御を上記パーソナルコンピュータ18の制御部18aで行うことも可能であり、この照射駆動制御と撮像手段40からの画像データとを関連させて、多様な画像情報の処理を行うようになすこともできる。これについては後記する。また、有線で撮像手段40とパーソナルコンピュータ42とを連繋させるようになすことも可能であることは言うまでもない。
眼窩保護部材39は、上記同様処置液の飛沫から術者の目を保護し或いは感染を防止すると共に、観察部31として機能するものであり、その透光部に上記同様の波長特性を有する部材を充当させて、図のように受光用フィルタ部43とされている。上記撮像手段40に装着される受光用フィルタ部41とこの受光用フィルタ部43とは、照射手段30により励起光が観察対象部位に照射されたときに、病変部から照射される蛍光及び病変部以外の部位から反射される励起光の一部を透過し、大部分の励起光が遮断されるような波長特性を有するものであり、眼窩保護部材39を通し視認され、或いは撮像手段40によって得られる画像は、病変部の画像及びぼんやりとした輪郭共に視認される診断価値の高いものである。
本実施例の歯科用照射額帯装置B7によれば、術者は、照射手段30から観察対象部位に所望の光を照射させ、観察対象部位からの光画像を、眼窩保護部材39を通して自ら観察すると共に、同じ画像を撮像手段40によって電気信号に変換してパーソナルコンピュータ42に送出し、ディスプレイ42b等に表示させることができる。従って、患者或いは補助者は表示された画像によって観察対象部位の状態を術者と同時に観察することができ、術者、患者或いは補助者間の意思の疎通が図られ、確度の高い診断・治療を実施することができる。また、撮像手段40から得られた画像情報は、カルテ情報として保存され、継続的な診断等に有効に活用することもできる。また、眼窩保護部材39の受光用フィルタ部43或いは撮像手段40の受光用フィルタ部41の適宜選択的使用及び照射手段30における発光部35の適宜切替え発光により、多様な診断画像情報もえることができる。
図22の歯科用照射額帯装置B8は、額帯鏡での適用例を示すものであり、開環状の弾性固定帯からなる頭部装着手段29の額側中央部に、取付ベース34iが固設され、この取付ベース34iに、照射手段30と椀状に凹曲した鏡44とが一体となって首振り自在に取付けられている。照射手段30は、照射光がこの鏡44の鏡面に指向されるよう支持アーム45に支持され、鏡44の鏡面で反射された照射光は予め定められた焦点に集光され、観察対象部位に照射されるようになされている。鏡44の凹曲底部には、覗き孔46が開設され、この覗き孔46が観察部31とされている。術者はこの覗き孔46の背後に自らの一方の目を位置させ、覗き孔46を通して観察対象部位の状態を観察する。この覗き孔46には、上記と同様の波長特性を有するフィルタ部材が装着され、これが受光用フィルタ部47とされる。
頭部装着手段29の側部には照射手段30の励起光を発する発光部35を点灯させる為の点灯スイッチ34jが設けられている。術者は、頭部装着手段29を自らの頭部に装着し、この点灯スイッチ34jをオンし、照射手段30及び鏡44を首振りさせてその照射野が観察対象部位に向くように調整する。そして、覗き孔46を通して、励起光が照射された観察対象部位の状態を観察する。この時、覗き孔46には受光用フィルタ部47が設けられているから、照射手段30から直接覗き孔46に向かう励起光の大半が受光用フィルタ部47により遮断され、観察対象部位の病変部から放射される特有の蛍光が抽出されてそれを明瞭に観察することができる。また、観察対象部位から反射する励起光の一部は透過するから、この反射光により観察対象部位の輪郭画像がぼんやりと視認される。
尚、照射手段30として、励起光以外の白色光や、赤外光或いは紫外光をも照射する機能を有するものとし、受光用フィルタ部47を取外し或いは照射光の種類に応じた波長特性を備えた受光用フィルタ部47を適宜装着することにより、前記のような多様な観察診断が行えるようにもなし得ることは言うまでもない。また、本実施例の歯科用照射額帯装置B8に、実施例12の撮像手段40を付加して、同様の機能を持たせるようにすることも可能である。
図23の歯科用照射額帯装置B9は、レーザ治療等に用いられるフェースカバーでの適用例を示すものであり、頭部装着手段29としてのフェースカバーフレーム(バイザーフレーム)の前面(額側)には、術者Dの顔面を略覆う透光性樹脂製のフェースカバー本体48が着脱自在に取付けられている。このフェースカバー本体48が観察部31とされると共に、フェースカバー本体48の表面をコーティング処理することにより前記のような波長特性を備えた受光用フィルタ部49とされている。尚、フェースカバー本体48自体は単に光を透過するものとし、この前面若しくは背面に同様の波長特性を有するフィルタ部材を着脱可能とし、これを受光用フィルタ部とすることも可能であることは言うまでもない。
また、頭部装着手段29の額側中央部分には、取付ベース34hが固設され、この取付ベース34hには実施例7と同様に3種の光を発する発光部35をパッケージ化した照射手段30が首振り自在更には着脱自在に装着されている。頭部装着手段29の側部には、上記3種の発光部35を選択点灯させ得る3個のスイッチ部を備えた点灯スイッチ34bが設けられている。照射手段30の先側には、上記同様必要によって、照射用フィルタや集光レンズを装着し得ることは言うまでもない。
図24は、本発明の歯科用生体観察機器をデンタルミラーに具現化したものであり、図例のデンタルミラーCは、手指によって支持されて口腔内に挿入可能な本体50と、照射手段51と、先側のミラー部52とよりなる。照射手段51は、本体50の先側にミラー部52を所定の角度で支持する為の支持アーム53の途中に装備され、前記と同様の波長特性の励起光を発するLED等の発光部より構成される。そして、本体50に内蔵された電池(不図示)を電源として、本体50の胴部に設けられた点灯スイッチ54の操作によりその点灯がなされる。照射手段51から出射される光は矢示のように歯tに指向され、その歯tから放射される光がミラー部52に向かうようになされている。ミラー部52は観察部55とされ、術者はミラー部52によって反射される画像を観察して診断を行う。
ミラー部52は、その表面に、観察対象部位(歯t)から発生する蛍光及び反射する励起光の一部を透過させるようなコーティング剤をコーティングし、或いは同様の透過特性を有する透光性樹脂フィルムを貼着することにより、受光用フィルタ部56が形成されている。本実施例のデンタルミラーCは、従来公知のデンタルミラーと同様に、その先側を口腔内に挿入し、ミラー部52に映る歯tの状態を観察診断するものである。
而して、本実施例のデンタルミラーCにおいては、上記観察・診断に際して、点灯スイッチ54がオンされ、照射手段51より観察対象部位の歯tに励起光が照射される。歯tにう蝕等の病変部があると、その特有の蛍光が放射される。また、病変部以外の部位では照射された励起光が反射される。これらの光は、ミラー部52に向かうが、ミラー部52には上記透過特性の受光用フィルタ部56が形成されているから、蛍光はこの受光用フィルタ部56を透過してミラー部52で反射される。また、観察対象部位で反射した励起光の大半は受光用フィルタ部56で遮断(吸収)され、一部が透過してミラー部52で反射される。従って、ミラー部52から反射される蛍光画像は、鮮明な画像であり、しかも一部透過して反射する励起光による歯tの輪郭画像も視認されるから、歯tにおける病変部の相対位置や程度も的確に把握され、診断治療に極めて有用である。
また、上記各実施例の構成を適宜組合わせて診断機器を構成することも可能である。更に、照射手段のオン・オフをフートペダルスイッチにより行うようにしてもよい。そして、本発明の診断機器は歯科用として得に有効であるが、これに限らず、耳鼻科、内科、皮膚科等の医療用として広く採用され得るものである。また、上記照射手段を歯科用エアタービンハンドピースや歯科用スケーラハンドピース等の歯科用ハンドピース、光重合照射器に内蔵または外装して使用することもできるし、更に、歯科用ハンドピース等に上記照射手段と撮像手段を内蔵又は外装して取得した画像によって患部周辺組織を視認しながら患部の治療を行うこともできる。また、上記歯科用ハンドピース等に上記照射手段を備える場合、従来周知のライトガイドを用いて光導光することが望ましい。このようにすれば治療と観察とを一つの機器で行えるものとできる。また、これらの機器を一般家庭で広く使用することができる。これによって、う蝕予防、皮膚の手入れの参考にできる。
本発明の口腔内撮影装置の一例を示す平面図である。 同口腔内撮影装置の長手方向に沿った縦断面図である。 同本体先側部分の拡大底面図である。 図3におけるX−X線縦断面図である。 同先側部分の部分縦断部分切欠正面図である。 口腔内撮影装置による口腔内の診断状況を示す作用図である。 口腔内における歯の撮影画像の一例を示す図である。 励起光の照射によるう蝕歯と健康歯の放射線強度の対比グラフを示す図である。 励起光照射によるう蝕歯と健康歯との相対蛍光強度グラフを示す図である。 励起光の波長分布と受光用フィルタ部の透過特性との関係を示すグラフである。 口腔内撮影装置の第2の実施例の部分縦断部分切欠正面図である。 口腔内撮影装置の第3の実施例の部分縦断部分切欠正面図である。 口腔内撮影装置の第4の実施例の部分縦断部分切欠正面図である。 口腔内撮影装置の第5の実施例の部分縦断部分切欠正面図である。 診断用照射額帯装置の第1実施例を示す図であり、(a)はその使用状態の概念図、(b)は照射手段の拡大断面図、(c)はその変形例の同様図である。 診断用照射額帯装置の第2実施例を示す図であり、(a)はその使用状態の概念図、(b)は照射手段の部分切欠拡大斜視図を示す。 診断用照射額帯装置の第3実施例を示す図であり、(a)は複数の発光部をスライドにより変位させて選択的に照射させるようにした例であり、(b)は同回転により変位させて選択的に照射させるようにした例である。 診断用照射額帯装置の第4実施例を示す図であり、(a)はその使用状態の概念図、(b)は着脱の機構を示す図である。 診断用照射額帯装置の第5実施例を示す図であり、(a)は眼窩保護部材の着脱の機構を示す図、(b)はその使用状態の概念図である。 診断用照射額帯装置の第6実施例を示す図であり、(a)は双眼鏡の斜視図、(b)は双眼鏡の着脱の機構を示す図である。 診断用照射額帯装置の第7実施例を示す図である。 診断用照射額帯装置の第8実施例を示す図である。 診断用照射額帯装置の第9実施例を示す図である。 デンタルミラーの実施例を示す図である。
符号の説明
1 本体
2、30、51 照射手段
3、31、55 観察部
4 撮像手段
4a 固体撮像素子
5、33、43、47、49、56 受光用フィルタ部
6 照射用フィルタ
18a 照射駆動手段
29 頭部装着手段
50 本体
52 ミラー部
A、A1〜A4 口腔内撮影装置
B、B1〜B9 医療用照射額帯装置
C デンタルミラー
D 術者

Claims (9)

  1. 観察対象部位である口腔内の病変部より蛍光を放射させる励起光を照射する為の照射手段と、観察対象部位よりの放射光画像を観察する観察部とを備え、該観察部には上記励起光の中心波長より長波長側に20乃至50nmずれた波長域から長波長側の帯域の光を透過し、且つ、前記波長域から短波長側の帯域の光を遮断する受光用フィルタ部が設けられ、観察部では観察対象部位から発生する蛍光及び反射する励起光の一部による放射光画像の観察が可能とされていることを特徴とする歯科用生体観察機器。
  2. 請求項1に記載の歯科用生体観察機器において、
    前記照射手段から照射される励起光の中心波長が405nmであり、受光用フィルタ部は波長が425乃至455nm以上の光を透過するものであることを特徴とする歯科用生体観察機器。
  3. 請求項1に記載の歯科用生体観察機器において、
    前記照射手段から照射される励起光の中心波長が470nmであり、受光用フィルタ部は波長が490乃至520nm以上の光を透過するものであることを特徴とする生体観察機器。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の歯科用生体観察機器において、
    前記照射手段が、LED、レーザダイオード、半導体レーザ、固体レーザ発振器、レーザ発振器のいずれかからなることを特徴とする歯科用生体観察機器。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の歯科用生体観察機器において、
    前記照射手段が、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、クリプトンランプ、水銀ランプ或いはナトリウムランプのいずれかからなる光源と、照射用光学フィルタとから構成され、上記の光源から照射される光の内、照射用光学フィルタにて励起光成分だけを照射することを特徴とする歯科用生体観察機器。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の歯科用生体観察機器を用いた口腔内撮影装置であって、
    手指によって支持自在な本体と、前記本体に装備される前記照射手段と、前記本体に装備される前記観察部としての撮像手段とを備え、該撮像手段は、固体撮像素子と、前記受光用フィルタ部とを具備することを特徴とする口腔内撮影装置。
  7. 請求項6に記載の口腔内撮影装置において、
    前記照射手段が、複数種の異なる波長の光を照射する機能を更に備え、且つ該照射手段から照射される照射光の種類を選択可能とする切替手段を備えたことを特徴とする口腔内撮影装置。
  8. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の歯科用生体観察機器を用いた歯科用照射額帯装置であって、
    術者の頭部に装着させる為の頭部装着手段と、該頭部装着手段に取付けられた前記照射手段と、前記頭部装着手段に設けられた前記観察部とよりなることを特徴とする医療用照射額帯装置。
  9. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の歯科用生体観察機器を用いたデンタルミラーであって、
    手指によって支持されて口腔内に挿入可能な本体と、該本体に取付けられた前記照射手段と、前記本体の先側部分に装備されるミラー部とを備え、該ミラー部は、観察対象部位よりの放射光画像を反射させて観察する前記観察部とされ、その表面に前記受光用フィルタ部が形成されていることを特徴とするデンタルミラー。
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