JP2004089238A - 歯表面観察装置 - Google Patents

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Shigetoshi Kanazawa
金澤 成寿
Takemi Oketa
桶田 岳見
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Abstract

【課題】初期段階の虫歯や歯垢(プラーク)の付着や磨き残しの部位がはっきりとわかる歯観察装置を提供することを目的とする。
【解決手段】歯1の表面に300から550nmの波長を含む励起光3を光源4から照射して、反射してきた反射光5(蛍光)をカメラ6で撮影することによって、特定波長の励起光に対して、歯部分の反射光の波長とそうでない部分(初期虫歯、プラーク、磨き残し等)の反射光の波長の違いを画像上で色合いの差として捕らえ、歯1の表面の状態をよりはっきりと観察することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の波長の励起光を歯に照射し、歯からの反射光を撮影することによって、歯の表面状態を観察するための歯表面観察装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来は、歯の状態を観察するためのものとして、先端に鏡のついた口腔鏡や白色光(照明)と撮影のためのカメラを備え、画像情報としてモニターに映し出す口腔カメラがあり、対象とする部位の拡大は可能なものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置では歯の表面の状態はある程度見ることができるが、初期段階の虫歯や歯垢(プラーク)の付着や磨き残しの部位がはっきりとわからないという課題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、初期虫歯の部位、プラークの付着、磨き残しの部位等が容易に判断できる歯表面観察装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の歯表面観察装置は、歯の表面に300から550nmの波長を含む励起光を照射して、反射してきた反射光をカメラで撮影するものである。
【0006】
これによって、特定波長の励起光に対して、歯部分の反射光の波長とそうでない部分(初期虫歯、プラーク、磨き残し等)の反射光の波長に違いがあり、その差が画像上では色合いの差として見られるために歯の表面の状態をよりはっきりと観察することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、少なくとも300〜550nmの波長を含む励起光を歯へ照射する光源と、歯から反射してきた反射光を撮影するためのカメラとを備えた歯表面観察装置とすることにより、歯部分の反射光の波長とそうでない部分(初期虫歯、プラーク、磨き残し等)の反射光の波長に違いがあり、その差が画像上では色合いの差として見られるために歯の表面の状態をよりはっきりと観察することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、歯の表面に照射される光が単一波長の光である請求項1に記載の歯表面観察装置とすることにより、励起光の波長をカットして、歯からの反射光のみをカメラで撮影することができ、励起光の干渉が少ない画像を得ることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、歯に照射される励起光の中心波長が330nmの紫外線領域にある請求項1または2に記載の歯表面観察装置とすることにより、人の歯は470nm付近の青い自己蛍光を発することが知られている。従って、歯に照射される励起光の中心波長を330nmとすることで、より鮮明に本来の歯部分とそうでない部分が鮮明に区別して観察することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、歯の表面に照射される励起光の光源がLEDである請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯表面観察装置とすることにより、コンパクトで、熱が発生しにくく、超寿命、省エネ性の優れたものとすることができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、歯の表面に照射される励起光の光源が半導体レーザーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯表面観察装置とすることにより、コンパクトで高エネルギー(ハイパワー)、単一波長の光を得ることができる。すなわち、効果的に反射光を発生させることができ、歯の表面観察をより有効にすることができる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、歯の表面に照射するための光源がカメラを中心として複数個配置されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の歯表面観察装置 とすることにより、一つの光源の明るさを変えることで、歯表面の凹凸の状態がはっきりとして、立体的に観察でき、さらに複数方向からの光源により凹み部分にも励起光が届くようになり、歯の表面状態を色々と観察することができる。
【0013】
請求項7に記載の発明は、カメラの前に特定の波長の光を透過するフィルターを配置させた請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯表面観察装置とすることにより、反射光以外の光(例えば、励起光、自然外光等)をカットすることができ、より鮮明に歯の表面状態を観察することができる。
【0014】
請求項8に記載の発明は、歯からの反射光を撮影したカメラからの映像信号は、画像処理回路で画像処理される請求項1〜7のいずれか1項に記載の歯表面観察装置とすることにより、反射光の情報からコントラスト強調、エッジ部強調、色差強調、色補正等の処理を施すことにより、得られた画像情報から歯の表面状態をより詳しく観察することができる。
【0015】
請求項9に記載の発明は、カメラによって撮影された歯からの反射光の画像情報を、記録メディアに保存可能とした請求項1〜8のいずれか1項に記載の歯表面観察装置とすることにより、後で画像を取り出せたり、画像処理ソフトの入ったパーソナルコンピューターで画像処理をすることができる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1における歯表面観察装置を示すものである。
【0018】
図1に示すように、歯1は歯茎2により支えられている。そして、歯表面観察装置は、励起光3を歯1に対して照射する複数個の光源4と、歯1からの励起光3の波長に対応した反射光5を撮影するためのカメラ6とを備えている。これら光源4とカメラ6はヘッド7に配置され、ヘッド7は手で持つためのグリップ8から延びたアーム先端に設けられている。
【0019】
前記した光源4から照射する励起光3は、少なくとも300〜550nmの波長を含むものである。また、励起光3は、単一波長の光であり、なおかつ、中心波長が330nmの紫外線領域にある。
【0020】
以上のように構成された歯表面観察装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0021】
まず、ヘッド7に設けられた光源4より300から550nmの波長を含む励起光3を歯の表面に照射することができ、励起光3の波長に対応して、本来の歯(健康な歯)の部分とそうでない部分(初期虫歯、プラーク、磨き残し等)からそれぞれ違った波長の反射光5が歯の表面より発生する。このときヘッド9に設けられたカメラ6によってそれぞれの波長の特性に応じた反射光5の状態を映し出すことによって、歯1の表面の状態を観察することができる。
【0022】
以上のように、本実施例においては、300から550nmの波長を含む励起光3を歯1に照射し、発生する反射光5をカメラで撮影することによって、歯の表面の状態が本来の歯の部分とそうでない部位分が、色の差として映し出すことができるようになり、歯1の表面の状態をより鮮明に観察することができる。
【0023】
また、本実施例では光源4からの励起光3を単一波長とすることによって、歯1からの反射光5を撮影するためのカメラ6に励起光3が入らないようにカットすることが容易となり、よりはっきりとした画像として、歯1の表面状態を観察することができる。
【0024】
特に、励起光3の中心波長が330nmの紫外領域とすることによって、人の歯は、470nmの青い自己蛍光放出するため(Benedict,H.C. Note on the fluoresence of teeth in ultraviolet rays. Science 67 442,1928.に記載されている)、より青く画面に映し出され、歯本来の組織以外のもの(虫歯部位、プラーク等)と区別が鮮明にできるものである。このときに、光源4として、LEDを用いることによって、コンパクトで、熱が発生しにくく、超寿命、省エネ性の優れたものとすることがでる。また、光源4として、半導体レーザー(LD)を用いることによって、コンパクトで高エネルギー(ハイパワー)、単一波長の光を得ることができることにより、効果的に反射光を発生させることができ、歯の表面観察をより有効にすることができる。
【0025】
(実施例2)
図2は、本発明の実施例2における歯表面観察装置の先端部分を示すものである。
【0026】
図に示すように、光源4は、カメラ6を中心として対角線上に複数個配置されている。そして、各光源4は、明るさを調整することができるようになっているものである。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0027】
以上のように構成された歯表面観察装置について、以下その動作、作用を説明する。まず、カメラ6の周りに配置された光源4の明るさを調整することにより、様々なパターンの励起光を歯に照射することができる。このように、本実施例においては、各光源4の明るさを変えることによって、例えば、カメラ6を中心に対角線上の光源4を明るさ変えることによって、歯1の表面の凹凸をはっきりとさせることができる。また、光源4の明るさを均等にすれば、歯1の表面の凹んだ部分にも励起光3が届き、歯の表面観察がしやすくすることができる。
【0028】
(実施例3)
図3は、本発明の実施例3における歯表面観察装置の先端部分を示すものである。基本構成は実施例1と同様であるので、相違点についてのみ説明する。
【0029】
図に示すように、カメラ6の前に特定の波長の光を透過するフィルター9を配置させているものである。その他の構成は実施例1と同じである。
【0030】
以上のように構成された歯表面観察装置について、以下その動作、作用を説明する。まず、光源4から発せられた励起光3は、歯1にあたり特定の反射光5を発生させる。このとき、カメラ6に対して、反射光5以外の散乱した励起光3、自然光、外光(室内照明等)が入ってくるのをフィルター9によってカットし、反射光5の波長域のみを透過させカメラ6に写るようにできる。
【0031】
以上のように、本実施例においては、カメラ6の前に反射光5の波長域のみを透過させるフィルター9を配置することによって、反射光の波長以外の光をカットすることができ、歯の表面状態を鮮明に観察することができる。
【0032】
(実施例4)
図4は、本発明の実施例4における歯表面観察装置において画像処理を示すものである。
【0033】
図に示すように、歯1からの反射光5は所定の波長を透過させるフィルター10を通過し、カメラ(CCD)11によって撮影される。撮影された映像情報は、画像処理回路12によって、色差補正、輪郭強調、コントラスト調整、画像強調等信号処理を経て処理画像情報13として別設のモニター14に映し出されるようになっている。
【0034】
以上のように構成された歯表面観察装置は、歯1からの反射光5をカメラ11で撮影した後、画像処理回路12で画像処理を行うことにより、より鮮明に歯の表面状態を観察することができるものである。また、カメラ11によって撮影された歯からの反射光5の画像情報が、記録メディアに保存することができることによって、後で画像を取り出せたり、画像処理ソフトの入ったパーソナルコンピューターで画像処理をすることできることにより、簡単に歯の表面状態を画像処理でき、より詳しく解析することが可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明の歯表面観察装置によれば、少なくとも300〜550nmの波長を含む励起光を歯へ照射する光源と、歯から反射してきた反射光を撮影するためのカメラとを備えたことによって、歯部分の反射光の波長とそうでない部分(初期虫歯、プラーク、磨き残し等)の反射光の波長に違いがあり、その差が画像上では色合いの差として見られるために歯の表面の状態をよりはっきりと観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における歯表面観察装置の概略構成図
【図2】本発明の実施例2における歯表面観察装置の先端部分を示す斜視図
【図3】本発明の実施例3における歯表面観察装置の概略構成図
【図4】本発明の実施例4における歯表面観察装置の画像処理を示すブロック図
【符号の説明】
1 歯
3 励起光
4 光源
5 反射光
6、11 カメラ
7 ヘッド
9、10 フィルター
12 画像信号処理回路
13 処理映像情報
14 モニター

Claims (9)

  1. 少なくとも300〜550nmの波長を含む励起光を歯へ照射する光源と、歯から反射してきた反射光を撮影するためのカメラとを備えた歯表面観察装置。
  2. 歯の表面に照射される光が単一波長の光である請求項1に記載の歯表面観察装置。
  3. 歯に照射される励起光の中心波長が330nmの紫外線領域にある請求項1または2に記載の歯表面観察装置。
  4. 歯の表面に照射される励起光の光源がLEDである請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯表面観察装置。
  5. 歯の表面に照射される励起光の光源が半導体レーザーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯表面観察装置。
  6. 歯の表面に照射するための光源がカメラを中心として複数個配置されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の歯表面観察装置。
  7. カメラの前に特定の波長の光を透過するフィルターを配置させた請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯表面観察装置。
  8. 歯からの反射光を撮影したカメラからの映像信号は、画像処理回路で画像処理される請求項1〜7のいずれか1項に記載の歯表面観察装置。
  9. カメラによって撮影された歯からの反射光の画像情報を、記録メディアに保存可能とした請求項1〜8のいずれか1項に記載の歯表面観察装置。
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