以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。本発明の実施形態は以下のものに限定されるものではない。
実施例1
[画像形成装置の全体構成]
図1は電子写真プロセスを利用したカラー画像形成装置(レーザプリンタ或いは複写機)の要部概略断面を示す。
画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色用の画像形成部として、それぞれ像担持体、帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段を有する4つの独立した画像形成ステーション(第1、第2、第3、第4画像形成ステーション)P1、P2、P3、P4を有する。各画像形成ステーションP1、P2、P3、P4は、縦一列に配置されている。そして、各画像形成ステーションP1、P2、P3、P4に対して、転写材搬送手段としての転写材搬送ベルトであるETB(静電搬送ベルト)8に吸着させた転写材Sを搬送し、トナー像の転写を行うことによってフルカラー画像を得る。
更に説明すると、各画像形成ステーションP1、P2、P3、P4は、それぞれ像担持体として繰り返し使用される回転ドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)11、12、13、14を有する。感光ドラム11、12、13、14は、図中矢示の時計方向に所定の周速度(像担持体表面の移動速度:以下、単に「移動速度」という。)v1[mm/s](プロセススピード)をもって回転駆動される。
本実施例では、各感光ドラム11、12、13、14は、直径30mmの負帯電OPC感光体であり、本実施例の画像形成装置100のプロセススピード(本実施例では、ETB8の速度に相当)は180mm/secである。
各感光ドラム11、12、13、14は、回転過程で、帯電手段としての1次帯電ローラ21、22、23、24により、所定の極性・電位に一様に帯電処理される。
1次帯電ローラ21、22、23、24は、DC接触帯電方式のものである。つまり、1次帯電ローラ21、22、23、24は、本実施例では、それぞれ−1.2kVのDC電圧が印加される実抵抗106Ωのローラである。そして、この1次帯電ローラ21、22、23、24を、各感光ドラム11、12、13、14に総圧9.8Nで従動当接させて帯電を行う。これにより、感光ドラム11、12、13、14の表面は、−600Vに帯電される。
次いで、各感光ドラム11、12、13、14は、画像露光手段としてのレーザスキャナ装置31、32、33、34による画像露光を受ける。これにより、各感光ドラム11、12、13、14には、それぞれ目的のカラー画像の色成分像(本実施例ではイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色成分像)に対応した静電潜像が形成される。レーザスキャナ装置31、32、33、34は、レーザダイオード、ポリゴンスキャナー、レンズ群などによって構成される。レーザスキャナ装置31、32、33、34は、画像信号により変調されたレーザビームを、感光ドラム11、12、13、14上に結像させる。これにより、感光ドラム11、12、13、14上に静電潜像が形成される。
レーザ露光の書き出しは、主走査方向(転写材Sの進行と直交方向)では、各走査ライン毎にBDと呼ばれるポリゴンスキャナー内の位置信号から、又、副走査方向(転写材Sの進行方向)では転写材搬送路内のスイッチを起点とするTOP信号から、所定の時間遅延させて行うことによって、各色の画像形成ステーションでは常に転写材S上の同じ位置に露光を行うことができる。
次いで、静電潜像はそれぞれの画像形成ステーションP1、P2、P3、P4が備える現像手段としての現像装置41、42、43、44により、現像剤としてのトナーを用いて現像される。各現像装置41、42、43、44は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを感光ドラム11、12、13、14に供給する。本実施例では、トナーとして、磁性体を含まない所謂ノンマグトナーを用いる。そして、一成分接触現像方式によって現像を行う。つまり、各現像装置41、42、43、44は、感光ドラム11、12、13、14に対向する位置に現像剤担持体としての現像ローラを有する。この現像ローラの表面に、現像ブレード、供給ローラなどでトナーをコートする。そして、本実施例では、この現像ローラを感光ドラム11、12、13、14と等速で回転駆動する。そして、感光ドラム11、12、13、14に対して、トナーを担持した現像ローラを接触させる。又、現像ローラに約−500Vを印加する。こうして、感光ドラム11、12、13、14上の静電潜像に応じて、トナーが現像ローラから感光ドラム11、12、13、14へと転移し、感光ドラム11、12、13、14上の静電潜像は現像される。
尚、本実施例では、トナーは重合方式によって製造された二層構造の球状トナーである。このトナーは、中心部のワックスの周りを、シェルと呼ばれる樹脂バインダー層が取り囲んだ構成を有する。又、本実施例では、トナーは、負帯電性である。そして、反転現像により、即ち、トナーの帯電極性と同極性に帯電させられた感光ドラム11、12、13、14上の、露光により帯電電位が減衰した部分にトナーを転移させることにより、トナー像を形成する。
各画像形成ステーションP1、P2、P3、P4において、少なくとも感光ドラム、1次帯電ローラ、現像装置が、可転写トナー像を形成する画像形成ユニットU1、U2、U3、U4を構成する。
又、本実施例では、各画像形成ステーションP1、P2、P3、P4における感光ドラム、1次転写ローラ、現像装置、クリーニング装置は、枠体によって一体的にカートリッジ化された、画像形成装置本体Aに対して着脱可能なプロセスカートリッジを構成する。尚、画像形成装置Aに対して着脱自在なカートリッジは、斯かる態様に限定されるものではない。プロセスカートリッジは、感光体と、感光体に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段、クリーニング手段の少なくとも1つとを一体的にカートリッジ化したものであってよい。又、現像装置を画像形成装置本体Aに対して着脱可能とした現像カートリッジであってもよい。
ETB8は、複数のローラ101、102、103に掛け回されている。そして、ETB8は、複数のローラのうち駆動ローラ102によって駆動される。これにより、ETB8は、図中矢示方向に所定の周速度(転写材搬送手段表面の移動速度:以下、単に「移動速度」という。)v2[mm/s]をもって周回移動(回転)する。
ETB8としては、例えば、108〜1011Ωcmに抵抗調整された、厚み60〜150μmの、ポリイミド、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の単層樹脂ベルトを用いることができる。又、ETB8は、背面(ローラ101、102、103に接する側)におけるスラスト方向(表面移動方向と直交する方向)の両側に、リブが接着されている。このリブによって、ETB8の蛇行や寄りを規制することができる。
ETB8を介して各感光ドラム11、12、13、14に対向する位置に、転写手段としての転写部材である転写ローラ51、52、53、54が配置されている。本実施例では、転写ローラ51、52、53、54としては、体積抵抗率107Ωcmに調整した、高電圧を印加可能なエピクロルヒドリンゴムのローラを用いる。又、転写ローラ51、52、53、54は、ETB8の背面から、感光ドラム11、12、13、14とのニップ部(転写部)T1、T2、T3、T4に総圧2.94[N]の転写圧で当接している。
転写材カセット(図示せず)から供給された転写材Sは、レジストローラ(図示せず)を通過した後に、転写入口ガイド(図示せず)を介してETB8と接触する。
ここで、本実施例では、画像形成装置100は、設置面積を最小化するため、或いは前扉の開閉でカートリッジの交換やジャム処理(万一転写材が搬送経路中でつまった場合に、これを除去する処理)といった所望の目的が達成できるように、各画像形成ステーションP1、P2、P3、P4を縦に配置している。これにより、ETB8とカートリッジとの間、即ち、前扉に取り付けられたETB(ETBが張架されたローラ、転写部材などを含む)と感光ドラム、1次帯電ローラ、現像装置などを含む画像形成ユニットU1、U2、U3、U4と、の間で画像形成装置本体Aを分割する構成となっている。
このように、各画像形成ステーションP1、P2、P3、P4が縦方向に配列されていることから、転写材Sは、重力に逆らって上方に搬送される。このため、転写材SとETB8とが十分に吸着していることが必要である。従って、本実施例では、転写材SとETB8との接触点付近に、バイアスが印加される吸着ローラ7が設けられている。画像形成中は、吸着ローラ7に+1KVの電圧を印加して転写材Sに電荷を与える。これによって、ETB8による転写材Sの吸着搬送力を発生させている。
吸着ローラ7は、本実施例では、EPDMゴムに、抵抗調整のためにカーボンブラックを分散させた直径12mmのソリッドゴムローラである。又、吸着ローラ7は、芯金に吸着用の高圧バイアスを印加できるように構成されている。吸着ローラ7の抵抗値は、幅1cmの金属箔をローラ外周に巻き付け、芯金との間に500Vの電圧を印加した時の抵抗値で106Ωに調整してある。
上述のようにして転写材カセット(図示せず)から供給され、転写入口ガイド(図示せず)、吸着ローラ7を通過してETB8との間に吸着力を得た転写材Sは、第1色目の転写部T1に入る。転写部T1では、ETB8の背面に設けた転写ローラ51に転写バイアスが印加されることによって、第1色目のトナー像が、感光ドラム11から転写材Sに転写される。転写ローラ51に印加されるバイアスは、転写材Sの通過(通紙)中に吸着ローラに流れる電流から算出されたETB8や転写材Sのインピーダンスから計算することができる。通常環境の片面プリントでは、いずれの画像形成ステーションP1、P2、P3、P4についても、約+1.5kVのDCバイアス(トナーの正規の帯電極性とは反対極性の電圧)が、転写電圧印加手段(高圧電源)としての転写バイアス電源71、72、73、74から転写ローラ51、52、53、54に印加される。
第1色目のトナー像の転写が終了すると、その後、転写材Sが第2、第3、第4色目の転写部T2、T3、T4を通過するごとに、それぞれの画像形成ステーションP2、P3、P4の感光ドラム12、13、14から各色のトナー像が転写材Sに転写される。こうして、転写体S上に、複数色のトナーから成る未定着のトナー像が形成される。
全色の転写が終了し、ETB8の後端から曲率によって分離された転写材Sは、定着手段としての定着装置9に搬送される。定着装置9は、加熱手段を備える定着ローラ91と、定着ローラに圧接する加圧ローラ92とを有し、転写材Sを加熱すると共に挟持搬送する。転写材S上の未定着トナー像は、定着装置9によって転写材Sに定着され、転写材S上にフルカラーの記録画像が形成される。その後、転写材Sは、搬送ユニット(図示せず)を経由して機外に排出される。こうして、最終プリントが得られる。
又、トナー像を転写材Sに転写した後の各感光ドラム11、12、13、14は、クリーニング手段としてのクリーニング装置61、62、63、64によって、その表面の付着物(トナー、紙粉など)が清掃される。又、ETB8の表面も、転写材搬送手段クリーニング手段としてのETBクリーニング装置104によって、その表面の付着物(トナー、紙粉など)清掃される。
尚、本実施例では、ETB8の表面移動方向において駆動ローラ102の下流側(且つ、本実施例ではローラ101の上流側)に、光学センサ10が設けられている。光学センサ10は、光源を有する投光部と、光電変換素子(受光素子)を備える受光部とを有しており、ETB8の表面に検知光を照射して、その表面反射光量を検出することができる。本実施例では、光学センサとしてレジストレーション(位置ずれ)検知センサ(以下「レジ検センサ」という。)10が、ETB8のスラスト方向において一対(2個)配置されている。
レジ検センサ10は、ETB8上に転写された各色のトナーパターンとETB8の表面の反射光量を検出する。各色トナーパターンのエッジ位置の検出結果に基づき、CPU111が計算を行い、各色の書き出し位置補正や倍率補正を行う。又、このレジ検センサ10をトナー付着量検知手段として兼用することができる。つまり、例えば、各色について、濃度の違うトナーパターン(パッチ画像、基準画像)をETB8上に形成する。そして、そのトナーパターンの反射光量を検出し、その結果に基づいてCPU111が計算することで、現像電圧などのプロセス条件の設定を行なうことができる。
[カブリ防止機構]
次に、「カブリ」を転写工程において低減する手段について説明する。
前述の通り、「カブリ」は反転トナー(本実施例では正極性に帯電したトナー)が主要因である。従って、トナーの正規の帯電極性と反対極性(本実施例では正極性)の転写バイアスを印加する系においては、本来ならば反転トナーは転写材Sには転写され難いはずである。
本発明においては、その本質に着目し、反転トナーが転写電界に忠実に動くようにするための手段として、感光ドラム11、12、13、14の移動速度とETB8の移動速度との間に速度差(移動速度差(周速差))を設ける。
感光ドラム11、12、13、14の移動速度とETB8の移動速度との間に速度差を設けることで、トナーは動的刺激を受け、物理的に動き易くなるため、転写電界により忠実に動き易くなる。その結果、反転トナーは、転写材Sに転写されずに感光ドラム11、12、13、14上に残り、画像部分の正規極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーのみが転写材Sに転写され易くなる。このため、「カブリ」を抑制することができる。
又、感光ドラム11、12、13、14上の反転トナーに対して動的刺激を与えることが本質的に重要であるため、反転トナーが存在する感光ドラム11、12、13、14の移動速度に対して、ETB8の移動速度を速くした方が「カブリ」抑制の効果がある。
上記メカニズムの概念図を図2に示す。図2は、カブリ量(%)と、ETB8の移動速度に対する感光ドラム11、12、13、14の移動速度の差(%)との関係を示す。
ここで、カブリ量(%)とは、カブリが発生していない部分とカブリが発生している部分の反射光量の差を元に算出している。カブリが発生していない部分は、転写材Sの印字面側の一部をテープ等でマスキングし、印字後マスキング部を剥がした部分のことを示す。カブリが発生していない部分の反射光量を100%として、カブリが発生している部分の反射光量がそれの95%だった場合、カブリ量は5%となる。反射光量の測定器としては、DENSITOMETER TC−6DS(東京デンショクテクニカルセンター製)を用いた。
図2から分かるように、感光ドラム11、12、13、14の移動速度とETB8の移動速度との差が0%である場合は、転写材S上のカブリ量(%)が4%程度である。これに対し、感光ドラム11、12、13、14とETB8との間に移動速度差をつけると、反転トナーが動的刺激を受けて転写電界に忠実に動く結果、転写材S上の「カブリ」が低減する。又、前述のように、感光ドラム11、12、13、14の移動速度に対して、ETB8の移動速度を速くした方が(図2中、横軸の%の符号が負の方向)、転写材S上の「カブリ」低減に効果がある。
尚、図2は、転写材Sとして平滑紙を用いた場合における実験結果をもとに作成している。ここで、普通紙、平滑紙、ラフ紙の区別は、JIS−P8119法に基づき各転写材について表面平滑度を測定して行った。下記表に測定結果と転写材S種の区別を示す。
次に、本実施例における感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1[mm/s]と、ETB8の移動速度v2[mm/s]との移動速度差について説明する。ここでは、感光ドラム11、12、13、14とETB8との移動速度差を、以下の式で算出されるΔv12[%]として定義する。つまり、ETB8の移動速度に対する感光ドラム11、12、13、14の移動速度の差である。
Δv12[%]=(v1−v2)/v2*100 ・・・(1)
しかしながら、感光ドラム11、12、13、14とETB8との間に移動速度差をつけると、ETB8によって搬送される転写材Sが感光ドラム11、12、13、14と当接する際に、速度差に伴う摩擦力が生じる。このため、転写材Sを介してETB8が感光ドラム11、12、13、14の移動速度の影響を受ける。その結果、ETB8の移動速度変動(周速変動)が起きる。これにより、トナー像が本来転写されるべき位置からずれた位置に転写される。そして、各色の画像形成ステーションP1、P2、P3、P4毎の転写位置のずれ量が発生する。以下、この現象を「色ずれ」という。
従って、「色ずれ」が悪化しない範囲で、「カブリ」を低減させることができる移動速度差を設定する必要がある。
図3に、転写材Sとしてラフ紙を用いた場合における、色ずれ量(μm)と、感光ドラム11、12、13、14の移動速度に対するETB8の移動速度の差(%)との関係を示す。
又、本実施例での色ずれ量(μm)とは、転写材S上に印字された各色ラインの転写材Sの先端からの副走査方向の距離を測定し、ブラックの位置に対してシアン、マゼンタ、イエローのズレ量のことを示す。色ずれ量の値には、転写材Sの先端からのシアン、マゼンタ、イエローの位置がブラックより遠い場合に+、転写材Sの先端からのシアン、マゼンタ、イエローの位置がブラックより近い場合に−の符号を付しているが、以下、特別に断りのない場合には、色ずれ量(μm)の大小は、その絶対値にて議論するものとする。
図3に示すグラフは、ETB8の移動速度に対する感光ドラム11、12、13、14の移動速度の差による色ずれのみを抽出して表示してある。又、図3に示すグラフは、ETB8の移動速度変動の影響が最も顕著に現れる、第1画像形成ステーションP1と第4画像形成ステーションP4との色ずれ量(μm)についての結果を示している。
図3に示すグラフから分かるように、ETB8の移動速度が感光ドラム11、12、13、14の移動速度に対して速い場合(図3中、横軸の%の符号が負の方向)は、感光ドラム11、12、13、14の移動速度に対するETB8の移動速度の差(%)が1%以上の範囲で、色ずれ量(μm)があまり変化しない。これに対し、ETB8の移動速度が感光ドラム11、12、13、14の移動速度に対して遅い場合(図3中、横軸の%が符号が正の方向)は、移動速度差に従って色ずれ量(μm)がリニアに増大していく。
これは、次のような理由によるものと考えられる。つまり、ETB8の移動速度が感光ドラム11、12、13、14の移動速度より遅いと、ETB8を駆動しているDCモータ(図示せず)が、感光ドラム11、12、13、14の移動速度に影響され、早回しされてしまう。逆に、ETB8の移動速度が感光ドラム11、12、13、14の移動速度より速いと、ETB8を駆動しているDCモータは、所望の回転数で回転しようと制御するため、あまり感光ドラム11、12、13、14の移動速度の影響を受けずに済む。このことから、「色ずれ」に関しては、ETB8の移動速度は、感光ドラム11、12、13、14の移動速度より速い方が望ましい。
本実施例では、画像形成装置100は、ETB8上の転写材Sに直接トナー像を転写するタンデム型直接転写多色画像装置である。このため、ETB8上の転写材Sの搬送速度に影響を及ぼす要因として、上記のETB8と感光ドラム11、12、13、14との移動速度差以外に転写材Sの供給速度(給紙速度)や定着速度(定着装置9による転写材Sの搬送速度)の影響が挙げられる。
タンデム型直接多色画像装置の場合、「色ずれ」のレベルは転写材Sの種類によって異なる。転写材Sとして平滑紙を用いる場合の「色ずれ」レベルは、ラフ紙を用いる場合に比べ良くなる(即ち、色ずれ量(μm)は小さくなる)。これは、ETB8と転写材Sの接触する面積が、ラフ紙に比べ、平滑紙の方が大きく、その結果転写材SとETBの吸着力が高くなるためである。つまり、転写材SとETB8の吸着力が弱いと、上述した転写材Sの供給速度とETB8の移動速度との速度差、定着速度とETB8の移動速度との速度差がある場合に、ETB8から転写材Sがズレてしまい、それにより色ずれが発生してしまうからである。これらのことから、平滑紙とラフ紙を比べると、平滑紙の方が移動速度差Δv12の絶対値に対する「色ずれ」への影響は小さくなる。
又、「カブリ」のレベルも転写材Sの種類によって異なる。平滑紙の場合、「カブリ」レベルは悪くなる(即ち、カブリ量(%)は大きくなる)。これは、定着装置9でカブリ反転トナーが定着される際、紙表面が平滑であるため紙の繊維の中にトナーが入り込まずに潰されて定着され、その結果カブリ反転トナーが目立つためである。ラフ紙(表面のザラついた紙)であれば、紙の繊維の中にトナーが入り込んだ状態で定着されるので目立ちにくくなるため「カブリ」のレベルは良くなる(即ち、カブリ量(%)は小さくなる)。
2種類の転写材Sについて「カブリ」及び「色ずれ」レベルの移動速度差Δv12への依存性を確認した。その検討結果を表2に示す。表2には、「カブリ」と「色ずれ」の差が分かり易いように、高温高湿環境(30℃、80%)の場合のデータを示す。
尚、表2における「カブリ」、「色ずれ」レベルの判定基準は以下の通りである。
1:発生が認められないレベル
3:実用上問題にならない程度のレベル
5:目立つレベル
本検討結果によると、転写材Sの種類によって「カブリ」と「色ずれ」の両方を満足する移動速度差Δv12が異なることが分かる。ラフ紙では、Δv12=0〜−1%で「カブリ」と「色ずれ」を共に良好なレベルに抑制できる。これに対して、平滑紙ではΔv12=−1〜−3%で「カブリ」と「色ずれ」を共に良好なレベルに抑制することができる。
そこで、本実施例においては、特定の画像形成条件(印字条件、プリント条件)として、転写材Sの種類に応じて、移動速度Δv12を変更する。つまり、本実施例では、特定の画像形成条件とは、転写材の種類によって定義されるものである。前述のように、好ましくは、ETB8の移動速度v2は、感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1以上とする。
更に説明すると、本実施例では、転写材Sとして平滑紙にプリントをする場合、CPU111が平滑紙用の移動速度差Δv12を選択する。より具体的には、本実施例では、転写材Sが平滑紙である場合には、移動速度差Δv12を−2%とする。一方、転写材Sとして平滑紙以外のもの(ラフ紙等)を用いる場合には、移動速度差Δv12は0%とする。
本発明者の検討によれば、色ずれの問題に対し有利な平滑紙を用いる場合でも、移動速度差Δv12の絶対値は3%以内とするのが好ましい。移動速度差Δv12が3%を越えると、色ずれが悪化し、画像不良となることがある。
本実施例においては、感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1を変更することで、移動速度差Δv12を変更する。感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1の制御は、感光ドラム11、12、13、14の駆動源であるDCモータ80(図4)の回転駆動を、CPU111により制御することで行われる。尚、複数の感光ドラム11、12、13、14の全て若しくは幾つかについて駆動源を共通としてもよいし、それぞれに対して個別に設けてもよい。
このように、CPU111は、感光ドラム11、12、13、14の駆動源であるDCモータ80(図4)の制御速度を変更することで、感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1を変更し、移動速度差Δv12を変更する。本実施例では、画像形成装置100に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ(外部機器)140(図4)において、操作者がプリンタドライバ上で設定する転写材Sの種類に基づいて、CPU111は移動速度差Δv12を制御する。
図4を参照して更に説明する。図4は本実施例に係る画像形成装置100の概略制御ブロック図である。尚、図4中、画像形成ステーションについては、第1画像形成ステーションP1のみ示すが、制御態様はその他の画像形成ステーションについても同様である。
画像形成装置100は、装置動作を統括制御する画像形成制御部110を有する。制御部50は、制御の中心的素子(制御手段)たるCPU111を有し、このCPU111には、記憶手段として、ROM等のメインメモリ112が接続されている。メインメモリ112には、CPU111が実行するプログラムや各種データが格納されている。又、CPU111には、記憶手段として、作業用のメモリ等として使用されるRAM、不揮発性メモリ等のメモリ113が接続されている。CPU111は、メインメモリ112に記憶されたデータ、プログラム等に従って画像形成装置100をシーケンス動作させる。
画像形成制御部110には、画像処理部(ビデオコントローラ)120が接続されている。画像処理部120は、画像形成装置本体Aに対して通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部機器140からの画像信号を受信すると共に、この信号を画像形成装置100における画像形成に係る信号に変換して、画像形成制御部110のCPU111に送信する。CPU111は、斯かる画像形成信号に従って、画像形成装置100の各部の動作を制御する。
そして、本実施例では、CPU111は、操作者の入力に従ってパーソナルコンピュータ140から送信される転写材Sの種類を示す信号を受信する。そして、CPU111は、指示された転写材Sの種類に応じて移動速度差Δv12を変更する。つまり、CPU111は、転写材Sの種類と対応づけてメインメモリ112に記憶されている移動速度差Δv12のデータから、適切な移動速度差Δv12を選択する。CPU111は、こうして選択した移動速度差Δv12に応じて、感光ドラム11、12、13、14の駆動源であるDCモータ80の駆動速度を変更する信号を生成する。DCモータ80は、この信号に応じて所定の移動速度v1で感光ドラム11、12、13、14を回転駆動する。
次に、転写ローラ51、52、53、54が感光ドラム11、12、13、14に当接する圧力(以下「転写圧」という。)と「カブリ」及び「色ずれ」レベルとの相関について説明する。本実施例では、好ましくは以下説明するように転写圧を設定する。
カブリ反転トナーを転写材Sに転写し難くするためには、転写圧を低くした方が効果ある。しかし、転写圧を低くし過ぎると「転写抜け」が発生し、本来の目的である転写性が損なわれる。従って、「カブリ」と「転写抜け」とを両立させる転写圧を選択する必要がある。表3に移動速度差Δv12が2%であるときの「カブリ」及び「転写抜け」レベルの転写圧依存性を示す。尚、表3には、代表例として転写材Sに平滑紙を用いた場合の結果を示すが、下記の議論は転写材Sの種類によらず有意である。
表3における「カブリ」、「転写抜け」レベルの判定基準は以下の通りである。
1:発生が認められないレベル
3:実用上問題にならない程度のレベル
5:目立つレベル
表3から転写圧によって「カブリ」、「転写抜け」レベルが変化し、両者を両立させる転写圧は1.96〜3.92[N]であることが分かる。このため、本実施例においては、転写総圧を2.94[N]としている。ここで、転写総圧とは、1つの画像形成ステーションにおける転写ローラの感光体ドラムに対する転写圧のことをいう。
以上のように、本実施例によれば、転写材Sの種類に応じて移動速度差Δv12を変更する。これにより、転写材Sの種類によらずに、「カブリ」と「色ずれ」を良好なレベルに抑制することができる。つまり、転写材Sの種類毎に移動速度差Δv12を設けることで、「カブリ」と「色ずれ」の両方を満足することができ、高画質プリントが可能となる。
尚、上述した本実施例においては、操作者によるプリンタドライバ上での設定から、転写材Sの種類を判断したが、本発明はこれに限定されるものではない。画像形成装置本体A内に、転写材Sの表面の平滑性を自動検知する転写材種類検知手段を設置することができる。転写材種類検知手段としては、例えば、転写材に光を当て反射光量により判断するものや、CCD等の撮像素子により転写材表面状態を判断する方式などを使用することができる。この場合、転写材種類検知手段の検知信号は、CPU111に入力され、CPU111が、その転写材種類検知手段の検知結果から平滑紙か否かを判断する。これにより、上述と同様にして感光ドラム11、12、13、14とETB8との間の移動速度差Δv12を変更することができる。従って、上記本実施例と同様な効果を得ることができる。
又、上述した本実施形態においては、感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1を変更することで、移動速度差Δv12を変更したが、本発明はこれに限定されるものではない。ETB8の移動速度v2を変更することで移動速度差Δv12を変更しても、本実施例と同様の効果を得ることができる。但し、この場合、ETB8の速度変更に応じた各色の書き出しタイミングの変更が必要となる。
実施例2
次に、本発明の第2の実施例について説明する。上記実施例の画像形成装置と実質的に同一若しくは相当する機能、構成を有する要素については同符号を付し、詳しい説明を省略する。
本実施例は、特定の画像形成条件として、プリントモードによって、移動速度差Δv12を変えることを特徴としている。つまり、本実施例では、特定の画像形成条件とは、プリントモードによって定義されるものである。
「カブリ」はプロセススピードと相関があり、プロセススピードが遅いと、現像ローラと感光ドラム11、12、13、14とが接触している時間が長くなるために、「カブリ」が悪化する。
従って、「カブリ」が悪化する低速のプロセススピードにおいて、実施例1で述べた「色ずれ」レベルが悪化しない範囲内で移動速度差Δv12の絶対値を大きくする。これにより、転写材S上の「カブリ」抑制することができる。特に、低速モードでは高画質が求められるため、その効果は大きい。
本実施例における、プリントモードによる移動速度差Δv12[%]の設定を表4に示す。
図4を参照して更に説明すると、CPU111は、操作者の入力に従ってパーソナルコンピュータ140から送信されたプリントモードを示す信号を受信する。そして、CPU111は、指示されたプリントモードに応じて移動速度差Δv12を変更する。つまり、CPU111は、プリントモードと対応づけてメインメモリ112に記憶されている移動速度差Δv12のデータ(表4)から、適切な移動速度差Δv12を選択する。CPU111は、こうして選択した移動速度差Δv12に応じて、感光ドラム11、12、13、14の駆動源であるDCモータ80の駆動速度を変更する信号を発生する。DCモータ80は、この信号に応じて所定の移動速度v1で感光ドラム11、12、13、14を回転駆動する。
以上のように、本実施例によれば、プリントモードに応じて移動速度差Δv12[%]を適切に変更する。これにより、「色ずれ」を悪化させることなく、各モードにおける「カブリ」のレベルを適切に低減することができる。
尚、上述した本実施例においては、感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1を変更することで移動速度差Δv12を変更したが、実施例1にて説明したように、ETB8の移動速度v2を変更しても本実施例と同様の効果を得ることができる。但し、この場合、ETB8の速度変更に応じた各色の書き出しタイミングの変更が必要となる。
又、当然、実施例1で説明した転写材Sの種類に応じた移動速度差△v12と組み合わせてもよい。これにより、更なる高画質プリントが可能となる。
実施例3
次に、本発明の第3の実施例について説明する。上記各実施例の画像形成装置と実質的に同一若しくは相当する機能、構成を有する要素については同符号を付し、詳しい説明を省略する。
本実施例は、特定の画像形成条件として、雰囲気環境検知手段の検知結果によって、移動速度差Δv12を変えることを特徴としている。つまり、本実施例では、特定の画像形成条件とは、雰囲気環境検知手段によって検知される雰囲気環境で定義されるものである。
画像形成装置内外の雰囲気環境によって、「カブリ」のレベルは変動する。例えば、画像形成装置内外の雰囲気温度が高温高湿環境(例えば、30℃/80%[R.H.:相対湿度])である場合には、通常環境(例えば、23℃/60%R.H.)や低温低湿環境(例えば、15℃/10%[R.H.:相対湿度])と比較して、空気中の湿度によって、トナートリボが減衰するため、反転トナーが増加し、結果として「カブリ」のレベルが悪化する。
従って、本実施例では、画像形成装置100内に雰囲気環境検知手段として温湿度センサ130(図4)を設置する。そして、この温湿度センサ130による検知結果に従って、感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1を変更する。
「カブリ」のレベルが悪い高温高湿度環境では、通常環境よりも移動速度差Δv12の絶対値を、実施例1で述べた「色ずれ」レベルが悪化しない範囲内で大きくする。これにより、「カブリ」レベルの悪化を抑制することができる。
本実施例における、雰囲気環境(温度[℃]、湿度[R.H.:相対湿度])による移動速度差Δv12[%]の設定を表5に示す。尚、本実施例では、雰囲気環境として、温度及び湿度に応じて移動速度差Δv12を変更するが、温度又は湿度の何れかに応じて移動速度差Δv12を変更してもよい。
図4を参照して更に説明すれば、温湿度センサ130の検知信号は、CPU111に入力される。CPU111は、温湿度センサ130から入力された検知信号から雰囲気環境(温度、湿度)を判断する。そして、CPU111は、雰囲気環境(温度、湿度)に応じて移動速度差Δv12を変更する。つまり、CPU111は、雰囲気環境(温度、湿度)と対応づけてメインメモリ112に記憶されている移動速度差Δv12のデータ(表5)から、適切な移動速度差Δv12を選択する。CPU111は、こうして選択した移動速度差Δv12に応じて、感光ドラム11、12、13、14の駆動源であるDCモータ80の駆動速度を変更する信号を発生する。DCモータ80は、この信号に応じて所定の移動速度v1で感光ドラム11、12、13、14を回転駆動する。
以上のように、本実施例によれば、画像形成装置内外の雰囲気温度及び/又は雰囲気湿度の検知手段を有し、その検知結果に応じて移動速度差Δv12[%]を変更する。これにより、「色ずれ」レベルを悪化させることなく、雰囲気環境に応じて「カブリ」レベルを良好なレベルに抑制することができる。
尚、上述した本実施例においては、感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1を変更することで、移動速度差Δv12を変更したが、実施例1にて説明したように、ETB8の移動速度v2を変更しても、本実施例と同様の効果を得ることができる。但し、この場合、ETB8の速度変更に応じた各色の書き出しタイミングの変更が必要となる。
又、当然、実施例1で説明した転写材Sの種類に応じた移動速度差△v12と組み合わせてもよい。これにより、更なる高画質プリントが可能となる。表5は、転写材の種類(ラフ紙、平滑紙)毎の雰囲気環境(温度、湿度)による移動速度差Δv12[%]の設定を示す。
実施例4
次に、本発明の第4の実施例について説明する。上記各実施例の画像形成装置と実質的に同一若しくは相当する機能、構成を有する要素については同符号を付し、詳しい説明を省略する。
本実施例は、特定の画像形成条件として、転写に関わる部材、即ち、転写部の電気的抵抗を検知した結果に基づいて、移動速度差Δv12を変更する。つまり、本実施例では、特定の画像形成条件とは、転写部の電気的抵抗を検知した結果によって定義されるものである。又、換言すれば、本実施例は、雰囲気環境を検知する手段として、実施例3で述べた温湿度センサ130の代わりに、転写部の電気的抵抗を検知した結果に基づいて、移動速度差Δv12を変更するものである。
本実施例の画像形成装置100は、ATVC(Active Transfer Voltage Control)により転写バイアスを制御している。ATVCは、転写材Sが転写部に到達する前(非通紙時)に所定の電流或いは電圧のバイアスを印加することにより転写部全体のインピーダンスを検知し(即ち、発生電圧或いは発生電流を検知し)、その検出結果に基づいて、転写材Sが転写部に突入した際(通紙時)に転写材Sにトナー像を転写するために転写部材に印加する転写バイアスを決定する方式である。ATVCによれば、実際の転写部のインピーダンスに応じて転写バイアスを選択するため、環境や転写材Sのサイズに応じて良好な転写バイアスを選択することができる。
本実施例では、このATVCの結果を利用することによって、雰囲気環境を検知する。つまり、本実施例においては、非通紙時に第1画像形成ステーションP1の転写ローラ51に1kVの転写バイアスを印加し、この際に流れる電流を検知する。雰囲気環境に応じて検知電流が変化するため、検知した電流値から雰囲気環境を判断することができる。そして、判断した雰囲気環境に応じて移動速度差Δv12を変える。
尚、ここで、転写部の電気的抵抗を検知するとは、転写部材に所定の電流或いは電圧のバイアスを印加した際の、実質的に転写部の電気的抵抗の変化に応じて変化する発生電圧、発生電流を検知することを含む。
検知電流が大きい高温高湿下では、通常環境よりも移動速度差Δv12を、実施例1で述べた「色ずれ」レベルが悪化しない範囲内で大きくする。これにより、「カブリ」レベルの悪化を抑制することができる。
本実施例における、ATVC検知電流による移動速度差Δv12[%]の設定を表6に示す。
図4を参照して更に説明すれば、本実施例の画像形成装置100では、転写バイアス印加手段たる転写バイアス電源71は、電流検知手段としての電流検出器を内蔵しており、その検出信号は、CPU111に入力される。CPU111は、転写バイアス電源71から入力された検知信号(即ち、雰囲気環境(温度、湿度))に応じて移動速度差Δv12を変更する。つまり、CPU111は、ATVC検知電流と対応づけてメインメモリ112に記憶されている移動速度差Δv12のデータ(表6)から、適切な移動速度差Δv12を選択する。CPU111は、こうして選択した移動速度差Δv12に応じて、感光ドラム11、12、13、14の駆動源であるDCモータ80の駆動速度を変更する信号を発生する。DCモータ80は、この信号に応じて所定の移動速度v1で感光ドラム11、12、13、14を移動させるように、感光ドラム11を回転駆動する。
以上のように、本実施例によれば、転写部の電気的抵抗検知手段によって、画像形成装置内外の雰囲気温湿度を判断し、移動速度差Δv12を変更する。これにより、「色ずれ」レベルを悪化させることなく、雰囲気環境に応じて「カブリ」レベルを良好なレベルに抑制することができる。又、本実施例によれば、温湿度センサを設置する必要がないため、実施例3に比べて装置構成の簡易化が可能であり、又安価で済ますことができる利点がある。
尚、上述した本実例においては、感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1を変更することで、移動速度差Δv12を変更したが、実施例1にて説明したように、ETB8の移動速度v2を変更しても、本実施例と同様の効果を得ることができる。但し、この場合、ETB8の速度変更に応じた各色の書き出しタイミングの変更が必要となる。
又、当然、実施例1で説明した転写材Sの種類に応じた移動速度差△v12と組み合わせてもよい。これにより、更なる高画質プリントが可能となる。表6は、転写材の種類(ラフ紙、平滑紙)毎のATVC検知電流による移動速度差Δv12[%]の設定を示す。
実施例5
次に、本発明の第5の実施例について説明する。上記各実施例の画像形成装置と実質的に同一若しくは相当する機能、構成を有する要素については同符号を付し、詳しい説明を省略する。
本実施例は、特定の画像形成条件として、画像形成装置100の使用量(寿命)の検知結果によって移動速度差Δv12を変えることを特徴としている。つまり、本実施例では、特定の画像形成条件とは、画像形成装置の使用量によって定義されるものである。
画像形成装置100の画像形成回数が増えて寿命が進むに連れて、トナーの劣化が進行する。これにより、トナートリボが減衰し、反転トナーが増え、「カブリ」のレベルが悪化する。
よって、本実施例では、画像形成装置100のCPU111で転写材Sに対する画像形成回数(通紙枚数)をカウントして、その通紙枚数を画像形成装置100内の不揮発メモリ等の記録手段(メモリ)113に記録する。そして、CPU111は更に、記録手段(メモリ)113に記録した通紙枚数を参照して、その通紙枚数が増えるのに伴い、感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1を変更することで、移動速度差Δv12を高く変更する。これにより、「色ずれ」を或る程度に保ちながら「カブリ」レベルの悪化を防止することができる。
本実施例における、通常環境での積算通紙枚数による移動速度差Δv12[%]の設定を表7に示す。
図4を参照して更に説明すれば、上述のように、CPU111は、通紙枚数をカウントして、メモリ113に記録する。そして、CPU111は、メモリ113から読み出した積算通紙枚数Cpに応じて移動速度差Δv12を変更する。つまり、CPU111は、積算通紙枚数Cpと対応づけてメインメモリ112に記憶されている移動速度差Δv12のデータ(表7)から、適切な移動速度Δv12を選択する。CPU111は、こうして選択した移動速度差Δv12に応じて、感光ドラム11、12、13、14の駆動源であるDCモータ80の駆動速度を変更する信号を発生する。DCモータ80は、この信号に応じて所定の移動速度v1で感光ドラム11、12、13、14を回転駆動する。
以上のように、本実施例によれば、寿命の指標となる画像形成回数の検知結果に応じて、実施例1で述べた「色ずれ」レベルが悪化しない範囲内で、移動速度差Δv12[%]を変更する。これにより、「カブリ」レベルを良好なレベルに抑制することができた。
尚、本実施例では、画像形成装置100の使用量の指標として、画像形成回数(通紙枚数)を利用したが、本発明はこれに限定されるものではない。この他、例えば、現像ローラの総回転数、トナー残量などを利用することができる。
又、上述した本実施例においては、感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1を変更することで、移動速度差Δv12を変更したが、実施例1にて説明したように、ETB8の移動速度v2を変更しても、本実施例と同様の効果を得ることができる。但し、この場合、ETB8の速度変更に応じた各色の書き出しタイミングの変更が必要となる。
又、当然、実施例1で説明した転写材Sの種類に応じた移動速度差△v12と組み合わせてもよい。これにより、更なる高画質プリントが可能となる。表7は、転写材の種類(ラフ紙、平滑紙)毎に設定された、通算通紙枚数による移動速度差Δv12[%]の設定を示す。
実施例6
次に、本発明の第6の実施例について説明する。上記各実施例の画像形成装置と実質的に同一若しくは相当する機能、構成を有する要素については同符号を付し、詳しい説明を省略する。
実施例5にて説明したように、装置の画像形成回数が増えて寿命が進むにつれて、トナーの劣化が進行する。そのため、トナートリボが減衰し、反転トナーが増え、「カブリ」のレベルが悪化する。又、実施例3、4にて説明したように、画像形成装置内外の雰囲気環境によって、「カブリ」のレベルは変動する。例えば、画像形成装置内外の雰囲気温度が高温高湿環境(例えば30℃/80%[R.H.:相対湿度])である場合には、通常環境(例えば23℃/60%[R.H.:相対湿度])や低温低湿環境(例えば15℃/10%[R.H.:相対湿度])と比較して、空気中の湿度によって、トナートリボが減衰するため、反転トナーが増加し、結果として「カブリ」のレベルが悪化する。
本実施例では、特定の画像形成条件として、光学センサ10によるETB8の表面の反射光量に基づき、移動速度差Δv12を変えることを特徴としている。つまり、本実施例では、特定の画像形成条件とは、光学センサ10によるETB8の表面の反射光量によって定義されるものである。
つまり、本実施例の画像形成装置100は、上述のように、ETB8の表面移動方向において駆動ローラ102の下流側に、光学センサとしてのレジ検センサ10が設けられている。このレジ検センサ10を、移動速度差Δv12の制御のために、ETB8の表面の反射光量を検出する検出手段として利用する。本実施例では、レジ検センサ10は、ETB8のスラスト方向において一対(2個)配置されている。移動速度差Δv12の制御のためには、2個のレジ検センサ10のいずれか一方を用いても良いし、両方用いてもよい。
「カブリ」が悪化するとETB8の表面の反射光量は低下する。そこで、プリント前回転時(画像形成前の準備動作時)若しくは後回転時(画像形成後の準備動作時)のレジ検センサ10により検出されるETB8の表面の反射光量をモニタする。そして、検出された値が所定の閾値を超えた場合に(即ち、ETB8からの反射光量が所定値より低くなった場合に)、感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1を変更する。これにより、「カブリ」の起きにくい移動速度差Δv12に設定することができる。
尚、レジ検センサ10の検出出力の閾値は、特に制限されるものではなく、「カブリ」を所望のレベルに抑制し得るように、又使用するETB8の構成等に応じて、実験等を通して適宜設定し得るものである。
これにより、例えば、劣化の少ないトナー初期状態やトナートリボが減衰しにくい通常環境や低温低湿環境では、「カブリ」が発生していないので、「色ずれ」に最も有利である移動速度差Δv12を選択してプリントすることができる。又、トナー劣化の進んだ状態や高温高湿環境では、「カブリ」が発生するので、「カブリ」を抑えるための移動速度差△v12を選択して、「色ずれ」と「カブリ」の両立を図ったプリントを行うことができる。
図4のブロック図及び図5のフローチャートを参照して更に説明する。レジ検センサ10の検知信号、即ち、ETB8の反射光量を示す情報(P)は、前回転時又は後回転時にCPU111に入力される(S101)。CPU111は、このレジ検センサ10から入力された検知信号と、メインメモリ112に記憶された所定の閾値とを比較する(S102)。つまり、CPU111は、前回転時又は後回転時にレジ検センサ10により検知したETB8の表面の反射光量(P)が所定値(X)より低くなっていないか否かを常にモニターしている。そして、レジ検センサ10の検出結果が所定の閾値を越えた場合(即ち、ETB8からの反射光量(P)が所定値(X)より低くなった場合)には、続く画像形成動作時に、予めメインメモリ112に記憶されているデータに応じて移動速度差Δv12を適当量変更する(S103)。つまり、CPU111は、移動速度差Δv12を所定量変更するべく、感光ドラム11、12、13、14の駆動源であるDCモータ80の駆動速度を変更する信号を発生する。DCモータ80は、この信号に応じて所定の移動速度v1で感光ドラム11、12、13、14を移動させるように、感光ドラム11を回転駆動する。一方、S102の判断において、レジ検センサ10による反射光量(P)が所定値(X)以上であると判断した場合には、移動速度差Δv12は変更しない(S104)。
以上のように、本実施例によれば、レジ検センサ10を用いてETB8の表面の反射光量を検知して「カブリ」量を常にモニタすることによって移動速度差Δv12を変更する。これにより、トナーの劣化状況や、画像形成装置内外の雰囲気温度に応じて、「色ずれ」と「カブリ」の両方を満足することができる。
尚、上述した本実施例においては、感光ドラム11、12、13、14の移動速度v1を変更することで、移動速度差Δv12を変更したが、実施例1にて説明したように、ETB8の移動速度v2を変更しても、本実施例と同様な効果を得ることができる。但し、この場合、ETB8の速度変更に応じた各色の書き出しタイミング変更が必要となる。
又、当然、実施例1で説明した転写材Sの種類に応じた移動速度差△v12と組み合わせてもよい。これにより、更なる高画質プリントが可能となる。
実施例7
次に、本発明の第7の実施例について説明する。上記各実施例の画像形成装置と実質的に同一若しくは相当する機能、構成を有する要素については同符号を付し、詳しい説明を省略する。
本実施例では、実施例6と同様、光学センサであるレジ検センサ10を用いることで、移動速度差Δv12を制御する。
特に、本実施例では、転写材搬送手段クリーニング手段としてのETBクリーニング装置104によってETB8をクリーニングした後のレジ検センサ10によるETB8の表面の反射光量と、プリント後のETB8の反射光量との比較を行う。そして、その比較した値(典型的には差)が所定の閾値を超えた場合に、移動速度差Δv12を変えることを特徴としている。つまり、本実施例では、特定の画像形成条件とは、ETBクリーニング装置104によってETB8をクリーニング直後のETB8の表面の反射光量と、プリント後のETB8の表面の反射光量とを比較した結果で定義されるものである。
本実施例は、ETB8上の転写材Sに直接転写するタンデム型直接転写多色画像装置である。そのため、装置の画像形成回数が増えて寿命が進むにつれて、紙粉がETB8上に付着し、ETB8の反射光量が低下する。
そこで、本実施例においては、クリーニング後のETB8の表面の反射光量を、画像形成装置本体A内の不揮発メモリなどの記録手段(メモリ)113に記録する。そして、その値と、プリント後のETB8の反射光量とを比較する。
これにより、ETB8の耐久劣化によるETB8の表面の反射光量の低下を含んだ状態で、ETB8上の「カブリ」を検出することができる。その結果、「カブリ」による反射光量低下を確実に判断することができる。その他、実施例6と同様の効果を得ることができる。
図4のブロック図及び図6のフローチャートを参照して更に説明する。先ずレジ検センサ10によってクリーニング直後のETB8の反射光量が測定される。つまり、クリーニング直後のレジ検センサ10の検知信号、即ち、クリーニング直後のETB8の反射光量を示す情報(Pcl)がCPU111に入力される(S201)。CPU111は、このPclをメモリ113に記憶(格納)する(S202)。次いで、レジ検センサ10によって印字後のETB8の反射光量が測定される。つまり、印字後のレジ検センサ10の検知信号、即ち、印字後のETB8の反射光量を示す情報(Pp)がCPU111に入力される(S203)。CPU111は、このPpとメモリ113に記憶されたPclとの比率(Pp/Pcl)を、メインメモリ112に記憶された所定の閾値(Z)と比較する(S204)。そして、Pp/Pclが閾値Zより小さくなった場合には、続く画像形成動作時に、予めメインメモリ112に記憶されているデータに応じて移動速度差Δv12を適当量変更する(S205)。つまり、CPU111は、移動速度差Δv12を所定量変更するべく、感光ドラム11、12、13、14の駆動源であるDCモータ80の駆動速度を変更する信号を発生する。DCモータ80は、この信号に応じて所定の移動速度v1で感光ドラム11、12、13、14を移動させるように、感光ドラム11を回転駆動する。一方、S204の判断において、Pp/Pclが閾値Z以上である場合と判断した場合には、移動速度差Δv12は変更しない(S206)。
以上のように、本実施例によれば、実施例6と同様の効果を得られると共に、ETB8上のカブリをより確実にモニタして、移動速度差Δv12を変更することができる。
又、当然のように実施例1で説明した転写材Sの種類に応じた移動速度差△v12と組み合わせることで、さらなる高画質プリントが可能となる。
尚、上記実施例では、画像形成装置が、複数の像担持体(感光ドラム)と、この複数の像担持体からトナー像が転写される転写材を担持して搬送する転写材搬送手段とを備える画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。像担持体が1つである場合にも、本発明は等しく適用可能である。