JP4763857B2 - 均一膜厚分布のためのスパッタ装置の磁界制御 - Google Patents

均一膜厚分布のためのスパッタ装置の磁界制御 Download PDF

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Description

本発明はスパッタ装置に関し、特に、集積回路などの製造中で金属または誘電体材料のスパッタプロセスに有用な膜厚、抵抗値分布に代表される薄膜特性が改善されるスパッタ装置に関するものである。
半導体装置などの電子部品の製造において磁気的に強化されたスパッタ装置は広く応用されている。従来から、プラズマの生成、プラズマの閉じ込め、プラズマ密度の増大、及び成膜の均一性改善の目的に応じて、種々の磁石配列を有する磁石装置をターゲットの背面側に配置することが知られている(例えば、非特許文献1や特許文献1)。
また、特許文献1では、ターゲット部材のエロージョン(侵食)に伴ってターゲット表面上の磁界が変化するのに対応させて、このような磁石装置のターゲットとの距離を調整することで、時間に伴うスパッタ速度の変動等を抑制する技術が開示されている。
特開2004−162138号公報
S.ウクラマナヤカおよびY.中川、「大面積ウェハー処理のための磁気的に強化された二周波容量結合型プラズマ源」、日本、応用物理、37、1999、6193頁
しかしながら、特許文献1の方法では、エロージョン進行に伴うスパッタ速度変化を抑制することは可能になっても、膜厚分布は完全には平坦になることはなく、磁石配列等を反映して所定の分布で形成される。また、このような磁石配列等を反映した分布は、ターゲット材料毎に放出角度が変わると、偏りが大きくなることがあり、都度マグネット配列の最適化を実施する必要があった。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、所望の膜厚分布に調整可能な手段を提供することをその目的とする。
上述の課題に鑑み、本発明に係るスパッタリング装置は、被処理体を配置可能な処理室と、被処理体が配置される側にターゲットを取り付け可能なカソードと、前記カソードの前記ターゲットを取り付ける側とは反対側に位置し、前記ターゲット表面に磁界を形成する磁石装置と、前記磁石装置と前記カソードとの距離を調整可能な駆動手段と、前記カソードへの電力供給及び前記駆動手段を制御する制御手段と、を備え、前記磁石装置は、前記カソードに面した平面シート上に分散配置された複数のマグネットからなり、各マグネットは前記カソード面に垂直方向に対向した磁極を有しそして隣接するマグネットは互いに逆磁性となるよう配置されており、前記駆動手段は前記磁石装置を一体的に移動させるよう構成され、前記制御手段は前記駆動手段を制御して、前記磁石装置と前記ターゲットとの間を第1の距離に設定し、ターゲットのスパッタリングにより被処理体に成膜する第1制御と、前記磁石装置と前記ターゲットとの距離を、前記第1の距離で成膜した場合と膜厚分布のパターンが異なる第2の距離に設定し、前記ターゲットのスパッタリングにより前記被処理体に成膜する第2制御とを行っていることを特徴とする。

本発明によれば、膜厚分布(抵抗値分布)を調整することが可能となる。
第1実施形態に係るスパッタ装置の概略図である。 磁石装置を基板側から見た平面図である。 第1実施形態に係る成膜フローを示す図である。 MT距離の変更例を示す図である。 MT距離の変更例を示す図である。 各設定MT距離で達成される薄膜のシート抵抗分布を示すグラフである。 各設定MT距離で達成される薄膜のシート抵抗分布を示すグラフである。 磁石装置により形成される磁界の状態を示す図である。 第2実施形態に係る成膜フローを示す図である。 第3実施形態に係るスパッタ装置の概略図である。 磁石装置の他の例を示す図である。 実施例のシート抵抗分布を示すグラフである。
[第1実施形態]
図1に、第1実施形態の概略図を示す。
図1のスパッタ装置は、容量結合形のプラズマを生成するスパッタ装置であり、反応容器1内に、上部電極2b、下部電極3、磁石装置4、円筒形の側壁5、ガス導入口6、および排気のために使用される排気口7を備えている。反応容器1は、円筒形の側壁5、ボトムプレート21およびトッププレート23によって形成されている。
カソードとしての上部電極2bには、下部電極3側にターゲット部材2aが取り付けられており、上部電極2bは例えばアルミニウムによって作られている。上部電極2bの直径は、処理されるべき基板8の直径に応じて選択され、例えば、基板8の直径が200mmのとき、210mmから350mmの範囲に設定される。ターゲット部材2aの直径は上部電極2bの直径と等しいかまたはそれよりも小さくなる。上部電極2bとターゲット部材2aの厚みは、本発明で限定されないが、磁石装置4がターゲット部材2aの下面(基板8が配置される側の面)上で強い磁界を形成できるような厚さ、例えば各々10mm未満に設定される。ターゲット部材2aは、本発明では特に限定されず、例えば、Cu(銅)、Al(アルミ)、Ti(チタン)、Ta(タンタル)などの金属又は合金、SiOのような誘電体部材で作られる。
上部電極2b及びターゲット部材2aは、反応容器1から電気的に絶縁されるようにするため、2つの部材17a,17bによって作られるリング形状の誘電体リング17の上に配置される。
図1の磁石装置4は、ポイントカスプ磁場を形成する磁石装置であり、ターゲット部材2aと等しい又はそれよりも大きな平面形状を有する金属シート9に複数のマグネット4N,4Sを配列して構成され、ターゲット部材2aの全面に磁界を形成可能に構成されている。図2は、磁石装置4を基板8側から見た平面図である。図2では、任意の2つの隣り合うマグネット4N,4Sの間隔は同じである。マグネット4N,4Sは、基板8に向く方の極性が、隣り合うもの同士で逆極性になるように配置されている。マグネット4N,4Sの端面は、好ましくは円形形状であるが、これに限らず、例えば四角形状のマグネットを使用することもできる。マグネット4N,4Sの寸法、マグネット間の距離、形状は、特に限定されず、各ターゲットの種類、基板8および反応容器1の各寸法等に応じ、所望の磁束密度にするために選択される。通常、マグネット4N,4S端面の直径は5mmから50mmの範囲であり、その高さは5mmから50mmの範囲である。マグネット4N,4Sの間隔も特に限定されず、ターゲット部材2aの下面における必要な磁界の強さに依存して選択される。ターゲット部材2aの下面での磁界の強さは、それは磁界の線119によって示されており、約400〜600ガウスであるように設定される。しかしながら、磁界のこの値は重要なことではなく、ターゲット部材2aの表面において異なる磁界の強さを用いることもできる。
磁石装置4は、マグネット配列をターゲット部材2aの中心軸の周りに面内方向に回転させるための回転機構10に接続されている。具体的には、回転機構10は、第1のモータ11と、互いに噛み合う2つのギヤ10a,10bと、を備えて構成される。ギヤ10aは絶縁ロッド12を介して第1のモータ11に連結されており、リング形状の他のギヤ10bは金属シート9の外側の周縁に固定され、ギヤ10aの回転力が伝達される。このように、マグネット配列を回転させることで、ターゲット部材2aに均等な磁界を形成し、プラズマ密度が面内で均一になるようにしている。マグネット配列の回転速度は重要なことではなく、例えば1Hzから100Hzの範囲にある。
また、磁石装置4は、磁石装置4とターゲット部材2aとの距離(以下、「MT距離」)を調整するMT距離調整機構30に接続されている。MT距離調整機構30は、本実施形態では、第2のモータ22と、第2のモータ22の回転力を直動に変換する連結部材13と、を備える。連結部材13は、内側部材13aと、これに螺合する外側固定部材13bと、を備えており、固定された第2のモータ22に接続された外側固定部材13bの回転により、内側部材13aが直動することで、絶縁ロッド14を介して磁石装置4が駆動される。なお、内側部材13aは、絶縁ロッド14の接続位置に軸受を内蔵しており、磁石装置4を回転可能に支持する。なお、MT距離調整機構30による調整範囲は、磁石装置4やスパッタ装置の構成によるが、例えば、0.1mm〜50mmの範囲で可変させる。
図中では、図示の簡略化のために、絶縁ロッド14を磁石装置4の回転中心から外れた位置に示しているが、実際には回転中心から延びている。また、他の図では、説明の簡略化のためMT距離調整機構30の詳細な図示を省略する。なお、マグネット配列の回転動作およびMT距離の調整動作の機構は、図1の例に限定されない。
上部電極2bは整合回路16を介してRF電源15に接続されている。RF電源15の周波数は重要なことではなく、例えば10MHzから300MHzの範囲に設定できる。
RF電源15に加えて、上部電極2は同様にまた同時にDC電源に接続されてもよく、DC電源を単独で用いてもよい。本実施形態の上部電極2bは、本発明のカソードに相当する。
下部電極3は金属で作られており、誘電体部材18の上に配置されることによって反応容器1の他の部分から電気的に絶縁されている。下部電極3は同様にまた整合回路20を介してRF電源19に接続されている。しかしながら、下部電極3にRF電力を与えることは必須なことではなく、これらのRF電源19および整合回路20を除くこともできる。前述の基板8は下部電極3の上に搭載される。
反応容器を作る前述した側壁5、ボトムプレート21、およびトッププレート23は金属で作られており、かつ電気的に接地されている。反応容器1の内部にはプロセスガスを供給する目的でいくつかのガス導入口6がある。低い圧力条件の下でRF電源15が上部電極2にRF電力を与えるとき、反応容器1における基板8の上側空間に容量結合型のメカニズムによってプラズマが生成される。プラズマにおける電子はターゲット部材2aの下側の磁界の存在によってサイクロトロン回転を行う。これはプラズマ密度を増大させ、基本的にターゲット部材2aの下側の領域にプラズマを閉じ込める。いったんプラズマが生成されると、ターゲット部材2aの上に負の自己バイアス電圧(VDC)が発生させられる。この電圧VDCのためプラズマにおけるイオンがターゲット部材2aの方向に加速されることによって付勢される。これらの高いエネルギを持ったイオンの衝突はターゲット部材2aのスパッタリングの原因となる。もし電圧VDCが、十分なスパッタ速度を得るためイオンを付勢するにあまりに低いときには、DC電源(図示されていない)からターゲット部材2aに対して負のDCバイアスを与えてもよい。
制御装置26は、予め定められたプロセスレシピに従って、各種の装置を制御して、スパッタリングによる成膜プロセスを実行させる。具体的には、本実施形態では、MT距離調整機構30を駆動して、MT距離を所定に設定する。また、本実施形態ではRF電源15,19による投入電力、磁石装置4の回転動作、ガス導入流量、排気速度などを所定値に制御する。制御装置26は、例えば、シーケンサやコンピュータなどの演算処理装置と、データを各種の装置に出力可能な電気信号などに変換するドライバと、を備えて構成される。
図3に、制御装置26により実行される本実施形態の成膜フローを示す。
本実施形態では、MT距離調整機構30により磁石装置4を駆動して、MT距離を第1のMT距離に設定した状態で(ステップS101)、放電させることで第1の成膜動作を実行する(ステップS102)。このときの第1のMT距離は、例えば、予め定められた値を用い、図4(A)に示すような距離とする。
次に、MT距離調整機構により磁石装置4を駆動してMT距離を第2の距離に設定し(ステップS103)、放電させることで第2の成膜動作を実行する(ステップS104)。つまり、1層の膜の成膜中にMT距離を変更し、2ステップの成膜を行う。第2のMT距離は、例えば、予め定められた値を用い、図4(B)に示すように、第1の距離よりも小さく、磁石装置4とターゲット部材2aとが近づいた状態とする。
図5に、第1及び第2のMT距離で達成される薄膜のシート抵抗分布(膜厚の逆数)の例を示す。MT距離の違いによってシート抵抗分布は大きく変化し、MT距離が遠い場合には、図5(A)のごとく基板中心付近でシート抵抗が小さく、端部に向かうに従ってシート抵抗が大きくなる谷形となる。一方、MT距離が近い場合には図5(B)のごとく基板中心付近でシート抵抗が大きく、端部に向かうに従ってシート抵抗が小さくなる山形となる。つまり、両者の分布は、対応する部分でシート抵抗の大小関係が反転した分布となっている。
図5(A)と図5(B)のようなシート抵抗分布を取るMT距離を一つのレシピ内に設定することで、山形と谷形の分布形状がキャンセルする形となり全体的にフラットな分布とすることができる。
図6に、磁石装置4により形成される磁界の状態を示す。
紙面右側の特性曲線121は、A−A’線に沿った2つのマグネット4N,4Sの間の磁束119による磁界の強さの変化の様子を示している。特性曲線121によって示されるように、ポイントカスプ磁界119の強さは、マグネット4N,4Sから離れるに従って次第に最大値BMAXに向かって増大し、そしてそれからマグネット4N,4Sの底部からの距離の増大に伴なって減少する。A−A′線は、2つのマグネット4N,4Sの中央付近に位置し、この部分に2つのマグネット4N,4Sに働く水平方向の磁場がプラズマの閉じ込めに寄与する。従って、磁石装置4からどの程度の距離にターゲット部材4aを配置させるかにより、ターゲット部材4a近傍に形成されるプラズマ密度の分布が2次元、3次元的に異なったものとなる。これにより、ターゲット表面へのイオンの衝突分布や入射角の違いによる放出角度の分布等が異なって、成膜分布の違いにつながると推測される。
従って、図4(A)及び(B)に示すように、所定の薄膜をスパッタ方式によって形成する際に、異なるMT距離2回以上用いることによって、薄膜のシート抵抗分布(膜厚分布も等しい)を改善することが可能である。このとき、MT距離は異なっても、例えば、山形分布で山の高さが異なるのみなど、分布傾向は同じで各部分の成膜特性の差の大きさのみが異なる分布であると、効果が得にくい。このため、第1のMT距離の成膜分布に対して少なくとも一部において互いの成膜分布の偏りをキャンセルすることができる成膜分布となる第2のMT距離を設定する。このようなMT距離は、シーケンサやPCなどによって作成されるプロセスレシピによって任意に設定可能である。この設定値は、ターゲット材料の違い等によって変わる分布の違いをあらかじめ確かめられた実験結果によって指定することで、種々のターゲット材料において最適な成膜分布が得られ、開発及び条件検討時間を大幅に削減することが可能となる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7に、第2実施形態に係る制御装置26のフローを示す。第2実施形態は、フローが異なる以外は、スパッタ装置の構成は第1実施形態と略同じである。
本実施形態では、まず第1及び第2のMT距離の選択後(ステップS201)、この値に対し、ターゲットの表面状態に応じた補正を行う(ステップS202)。ステップS201で取得する値は、例えば、ターゲットの経時変化にかかわらず設定された値である。
しかし、例えば、50時間ごとの動作でターゲット部材2aの厚みは1mmごと減少するため(エロージョン)、同じMT距離でもエロージョンの深さによって表面に形成される磁束は異なり、成膜分布も異なったものとなる。従って、本実施形態では、エロージョンの進行の度合いを取得し、エロージョンの進行の度合いに応じて第1のMT距離を補正する(ステップ202)。
エロージョンの進行の度合いを取得するための方法は、特に限定されないが、本実施形態ではエロージョン速度(単位時間に対するエロージョンの進行の度合い)を予め実験で求めておき、エロージョン速度と成膜累積時間に基づいてエロージョンの進行の度合いを演算する。そして、エロージョンの進行の度合いに応じた分だけMT距離を増加させ、ターゲット部材2aの表面における磁界がターゲット部材のライフタイム(寿命)の間を通してほとんど一定になるようにする。どの程度MT距離を調整するかは、予めマップや演算式などとして定めておく。
補正処理後、補正により求められた第1のMT距離で第1成膜動作(ステップS203,S204)、第2のMT距離にて第2成膜動作を行う(ステップS205,S206)。これにより、成膜分布形状はエロージョン進行に伴い変化することなく、ターゲットライフと言われるターゲット使いきりの状態まで維持される。また、結果として、プラズマの密度およびそれによるスパッタ速度は時間の経過に伴なって一定になるという効果もある。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
図8に、第3実施形態に係るスパッタ装置の概略を示す。RF電源と共に放電用の電力を供給するための直流電源、及び、これに内蔵されるモニタ回路25がある以外は図1で示したスパッタ装置の構成と略同じであり、制御装置26による成膜フローは図7に示したフローに従う。
本実施形態では、モニタ回路25によりターゲット部材2a表面の電流及び電圧を測定し、測定値を制御装置26に出力し、制御装置25により測定結果に基づきMT距離の補正処理(図7のステップS202)を実行する。DC電源内にあるモニター回路25で電極部に流れる電流と電圧を測定することが可能であり、これらを測定することで、ターゲット部材2a表面の電流及び電圧を測定するものである。制御装置26は、ターゲット部材2a表面の電流及び電圧に基づき、エロージョンの進行の度合いを演算し、演算結果に基づいてMT距離を補正する。ターゲット部材2a表面の電流及び電圧とエロージョンの進行の度合いとの対応関係は、予めマップ等により規定しておく。電力に基づき、補正を行ってもよい。
これにより、第2実施形態と同様に、ターゲットライフを通じて成膜分布形状が維持される。
以上、第2及び第3実施形態について説明したが、補正方法はこれに限定されない。なお、RF電力のみで放電する場合には、RFモニター回路内に備えられたVppやVdcのモニター値を測定することで同様にエロージョン進行の度合いを演算することが可能である。
上記実施形態では、第1のMT距離を第1成膜動作中同じにしているが、第1成膜動作中にも補正を行って、ターゲット部材2a表面に形成される磁界が略一定になるようにしてもよい。
また、第2及び第3実施形態では、成膜分布パターンがエロージョンにかかわらず略同じになるようにMT距離を補正しているが、エロージョンの進行の度合いに応じ分布パターンの組み合わせを変更するようにしてもよい。例えば、エロージョンの進行に従って第1成膜動作による成膜分布パターンが変化するのに対応して、これをキャンセルするために第2成膜動作により成膜させる分布のパターンも変更する。但し、上述のようにMT距離を補正する方法を取ると、ターゲット部材2a表面に形成される磁界やプラズマ密度、スパッタ速度等を各回で略同じにすることができる。
また、第2及び第3実施形態では、エロージョンの進行の度合いを推定し、これに基づき補正を行っているが、プラズマ密度等を推定し、これに応じて互いに偏りをキャンセルしあう成膜分布パターンを実現するMT距離を設定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、磁石装置4としてポイントカスプ磁場を形成するものを用いているが、これに限定されず、図9のごとくループ型に閉じたマグネット形状を使うことも本質的には問題ない。また外周マグネット500は中心マグネット501とは異なる磁性を有するものであり、おのおのの極性がNもしくはSに限定されるものではない。また細かい寸法やマグネット間の距離についてもプラズマ源として最適な形状を達成するがごとく決められるもので、その値に対しては限定されるものではない。
次に、本発明の動作例について説明する。
図1に示すようなスパッタ装置を用い、高周波電力4000Wに直流電圧400Vを上部電極2bに印加して、成膜を実行した。この際、第1成膜動作ではMT距離を20mm、第2成膜動作ではMT距離を17mm(第1のMT距離−3mm)で、各60秒ずつ成膜した。このときの第1成膜動作におけるシート抵抗分布は図5(A)、第2成膜動作におけるシート抵抗分布は図5(B)に示すような分布となり、全体の成膜後は図10に示すように、両分布の偏りが打ち消され、均一な分布が得られた。
なお、成膜時間は各成膜動作の成膜レートや分布の形状により任意に設定可能である。

Claims (5)

  1. 被処理体を配置可能な処理室、
    被処理体が配置される側にターゲットを取り付け可能なカソード、
    前記カソードの前記ターゲットを取り付ける側とは反対側に位置し、前記ターゲット表面に磁界を形成する磁石装置、
    前記磁石装置と前記ターゲットとの距離を調整可能な駆動手段及び、
    前記カソードへの電力供給及び前記駆動手段を制御する制御手段を備え、
    前記磁石装置は、前記カソードに面した平面シート上に分散配置された複数のマグネットからなり、各マグネットは前記カソード面に垂直方向に対向した磁極を有しそして隣接するマグネットは互いに逆磁性となるよう配置されており、前記駆動手段は前記磁石装置を一体的に移動させるよう構成され、
    前記制御手段は前記駆動手段を制御して、
    前記磁石装置と前記ターゲットとの間を第1の距離に設定し、ターゲットのスパッタリングにより被処理体に成膜する第1制御と、
    前記磁石装置と前記ターゲットとの距離を、前記第1の距離で成膜した場合と膜厚分布のパターンが異なる第2の距離に設定し、前記ターゲットのスパッタリングにより前記被処理体に成膜する第2制御とを行っているスパッタリング装置。
  2. 前記第2の距離で成膜した場合の膜厚分布のパターンは、前記第1の距離で成膜した場合の成膜パターンに対し、被処理体の少なくとも一部において膜厚の大小関係が反転したパターンであることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
  3. 前記制御手段は、エロージョンの進行の度合いに応じて、前記第1及び第2の距離を補正する補正部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリング装置。
  4. カソードの正面側にターゲットを配置させ、前記カソードの背面側で前記ターゲットと第1の距離に磁石装置を位置させて前記ターゲットの表面に磁界を形成させ、前記ターゲットのスパッタリングにより被処理体に成膜する第1のステップと、
    前記第1のステップで成膜した場合と膜厚分布のパターンが異なる膜厚分布パターンの成膜がなされる前記ターゲットからの第2の距離に、前記磁石装置を前記カソードの背面側に位置させ、前記ターゲットのスパッタリングにより前記被処理体に成膜する第2のステップとからなり、
    前記磁石装置は、前記カソードに面した平面シート上に分散配置された複数のマグネットからなり、各マグネットは前記カソード面に垂直方向の磁極を有しそして隣接するマグネットは互いに逆磁性となるよう配置されており、前記磁石装置を一体的に移動させているスパッタリング方法。
  5. 第1の距離はターゲットの表面状態に応じ補正し、該補正された第1の距離にて磁石装置の位置決めしている請求項4に記載のスパッタリング方法。
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