JP4763110B2 - コンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、一対の電極箔を、電解液を保持させたセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を、封口部材とともに有底筒状の外装ケースに収納し、その開口端部を封口してなるコンデンサに関するもので、特に電気二重層コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一対の電極箔を、電解液を保持させたセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を、封口部材とともに有底筒状の外装ケースに収納し、その開口端部を封口したコンデンサとしては、一対の分極性電極箔を、電解液が含浸された電解紙をセパレータとして、分極性電極箔の間にセパレータを介して巻回してコンデンサ素子とし、これを封口部材とともに外装ケースに収納し、外装ケースの開口部を封口してなる電気二重層コンデンサがある。電気二重層コンデンサは、分極性電極箔と電解液とを接触させ、その界面の電気二重層を利用したコンデンサである。このような電気二重層コンデンサに用いられる分極性電極箔としては、アルミニウム箔を集電極とし、そのアルミニウム箔の両面に活性炭層を形成して分極性電極箔としたものが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電気二重層コンデンサは、分極性電極の活性炭層の電気抵抗や、電気二重層コンデンサの内部で使用されている電解液の電気抵抗、その他の構成部品の接触抵抗等を併せた内部抵抗を有する。
【0005】
コンデンサの内部抵抗は、コンデンサに充電する際の充電電流を消費し、熱エネルギーとして放出してしまう。そのため、コンデンサに蓄積されるエネルギーは、コンデンサに入力された全充電エネルギーのうち、コンデンサの内部抵抗によって熱として失われたエネルギー分を差し引いた分となる。これはコンデンサからの放電時の放電電流についても同様のことが言え、コンデンサに蓄積されていたエネルギーのうち、コンデンサの内部抵抗によって熱エネルギーとして失われる分を差し引いたエネルギーが外部に放出される。以上のように、コンデンサの内部抵抗は、コンデンサへの充電エネルギーよりも放電エネルギーを小さくするもので、エネルギー効率の低下を招くものである。前述の充放電時に失われる熱エネルギーはコンデンサの内部抵抗の大きさに比例するものである。
【0006】
電気二重層コンデンサは電池の代替用等、電気エネルギーの蓄積部品としての用途が期待されるものであり、充放電の際のエネルギー効率の低下は好ましいものではない。そのため、電気二重層コンデンサの分野ではその内部抵抗の低減が強く望まれている。
【0008】
ところで、一対の電極箔を電解紙を介して巻回した型のコンデンサでは、以上のような内部抵抗を低減させる方法としては、コンデンサ素子を巻回する際に、電極箔および電解紙により強い張力を加えた状態で巻回し、電極箔と電解紙の接触圧を高めることにより解決することができる。すなわち、強い張力を加えて巻回すると、コンデンサ素子の巻き弛み等がなくなり、対向する一対の電極箔の極間距離が狭められる。そのため、それらの電極の間に保持されている電解液の電気抵抗分が減少し、コンデンサ全体としての内部抵抗が減少するためである。
【0009】
また、電気二重層コンデンサにおいて、分極性電極箔に用いられている活性炭は多孔質体で弾力性を有するものである。この活性炭に圧力を加えて圧縮すると、多孔質体の内部で活性炭同士の接触頻度が増し、活性炭の内部での導電経路が増大するために、活性炭層全体としての電気抵抗が減少する。そのために、電気二重層コンデンサにおいても、コンデンサ素子を巻回する際に電極箔および電解紙に張力を加えて巻回することにより、活性炭層を圧縮することができ、コンデンサ全体の内部抵抗を低減させることができる。
【0010】
しかし、電極箔および電解紙に強い張力を加えるためには、製造装置および製造工程を複雑化するものである。また、過度の張力の印加は電極箔や電解紙を破断させるおそれがあり、張力の印加にも限界がある。そのために、より簡易な方法で、コンデンサの内部抵抗の低減することが求められている。
【0011】
この発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、簡易な構成によってコンデンサ、特に電気二重層コンデンサの内部抵抗の低減を図るものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明では、金属箔の両面に活性炭層を形成してなる一対の分極性電極箔を、電解液を保持させたセパレータを介して巻回し、分極性電極箔と電解液との界面に形成される電気二重層を利用するコンデンサ素子を、封口部材とともに有底筒状の外装ケースに収納し、その開口端部を封口するとともに、外装ケースの側面を変形させて外装ケースがコンデンサ素子を中心方向に向かって均等に圧縮するようにしたことを特徴とする。
このように外装ケースの側面を変形させてコンデンサ素子を中心方向に向かって均等に圧縮したことにより、コンデンサ素子が外装ケース内部で移動することが防止されるとともに、コンデンサ素子内部での対向する一対の電極箔同士の極間距離が狭められることになり、電極箔の間に存在する電解液の電気抵抗分を減少させることができ、コンデンサ全体として内部抵抗が減少する。さらに、一対の電極箔として、金属箔の両面に活性炭層を形成してなる分極性電極箔を用いた電気二重層コンデンサでは、分極性電極箔の活性炭層は多孔質体であるために、それに圧力を加えて均等に圧縮した場合には、多孔質体の内部での活性炭同士の接触頻度が増加して導電経路が増大するため、活性炭層の電気抵抗が減少する。そのため、外装ケースを変形させてコンデンサ素子を圧縮した場合にも、コンデンサ素子を活性炭層も圧縮されるために、コンデンサ全体としての内部抵抗も減少する。
【0014】
前記の外装ケースの変形は、外装ケースの側面に一個または複数の凹部を形成する押圧加工によって変形させることが好適である。
外装ケースの側面に一個または複数の凹部を形成するためには、所望の凹部に対応した変形治具をコンデンサの側面に押し当てて、外装ケースを押圧することにより形成することができるために、簡易に製造できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態について図面とともに説明する。
【0016】
図1の中の符号2はコンデンサ素子で、一対の分極性電極箔をセパレータとしての電解紙を介して巻回したもので、円柱状に形成されている。なお、コンデンサ素子2の最外周には電解紙が巻かれるようにして、分極性電極箔が露出しないように巻回されている。そして、コンデンサ素子2はその巻きほぐれを防止するために、巻き止めテープ4がその外周に巻かれている。また、コンデンサ素子2には電解液が含浸され、電解紙に電解液が保持されている。そのため、電解液は分極性電極箔と接触した状態となっている。ここで用いられている分極性電極箔は、アルミニウム箔の両面に活性炭シートを貼り付けたものである。この分極性電極箔に用いられているアルミニウム箔は、厚さが30μm程度のもので、集電極としての機能を果たすとともに、分極性電極箔の引張強度等の必要な機械的強度をも担っている。また活性炭シートの厚さとしては、100〜500μmの間より選択することができるが、ここでは150μmの厚さの物を用いている。
【0017】
活性炭層が両面に形成された分極性電極箔を形成する方法としては、前述のようにアルミニウム箔に活性炭シートを貼り付けたものには限られない。例えば、活性炭粉末を主成分とし、アルコール等をバインダーとしてペースト状としたものをアルミニウム箔の両面に塗布、乾燥させて、アルミニウム箔の両面に活性炭層を形成したものでもよい。
【0018】
なお分極性電極箔には、電極タブ3がコールドウェルドや超音波溶接等の方法によって接続されており、さらに電極タブ3はコンデンサ素子2の一方の巻回端面より導出されている。
【0019】
このコンデンサ素子2は外装ケース5に封口部材6とともに収納されている。封口部材6は、絶縁性で硬質のベーク板7にゴム等の弾性部材8が貼り合わされて形成されており、封口部材6の表裏を電気的に接続するためのリベット9が2本貫通している。そして封口部材6はベーク板7側がコンデンサの内部側に向けて使用されている。封口部材6のリベット9の内部側の頭部にはコンデンサ素子2から導出された電極タブ3がそれぞれ溶接等の手段により接続されている。またリベット9の外部側の頭部には、外部との電気的および機械的な接続を得るための外部端子10が接続されている。
【0020】
外装ケース5はアルミニウム等の金属製で、円筒形で一方の端部が閉口した有底筒状に形成されている。その内径はコンデンサ素子2の径よりもやや大きい径となっており、コンデンサ素子を収納した場合には、外装ケース5の内側面とコンデンサ素子2との間には隙間が殆ど無い状態となる。
【0021】
このようにコンデンサ素子2と封口部材6を収納した外装ケース5は、その側面からの横溝加工および開口端部のカーリング加工を行って、開口端部の封口が行われる。外装ケース5の側面からの横溝加工および開口端部のカーリングを行うことにより、封口部材6は側面からの横溝とカーリング部の先端に挟持されるようになり、位置決めがなされるとともに、その回転も防止することができる。また、カーリング加工において、外装ケース5の開口端部を封口部材6の弾性部材8の層に食い込ませることにより、弾性部材8と開口端部が密着し、電気二重層コンデンサの気密を得ている。
【0022】
以上のように形成した電気二重層コンデンサ1は、さらに、外装ケース5の側面に凹部を形成するように変形し、コンデンサ素子2を圧縮する。側面の変形は図4(a)および(b)に示すように、変形治具12を図中の矢印方向に移動させて、円筒状を成す外装ケース5の8方向より同時に押し当てて、外装ケースを押圧し、外装ケース5の縦方向に長い3つの溝状の凹部11を形成するように外装ケース5を変形した。その外装ケースの変形後の電気二重層コンデンサ1は図2に示すように、外装ケース5の縦方向に3つの溝状の凹部が直線上に形成されており、その直線状の3つの溝状の凹部が円周上の8方向に形成されており、合計で24個の溝状の凹部11が形成されている。
【0023】
上記のように円周上の8方向より凹部を形成する場合など、円筒状の外装ケースの対称の位置関係にある方向から、変形治具を押し当てる場合には、変形治具を全ての方向から同時に押し当てて、外装ケースを変形させることが好ましい。このようにすれば、外装ケースの変形の応力がコンデンサ素子にも均等に加わり、コンデンサ素子を対称の方向から均等に圧縮することができる。
【0024】
外装ケースに凹部を形成するように変形させることにより、コンデンサ素子を圧縮させる形態としては、以上に説明したような凹部の形態、配置に限定されるものではない。例えば、図3に第2の実施例として示すように、外装ケースの縦方向の溝状の凹部ではなく、外装ケースの側面に横溝加工をして横溝状の凹部11を複数個形成するように外装ケースを変形し、コンデンサ素子を圧縮する方法でも良い。ここでの横溝加工は、外装ケースの開口部の封口の際に行う横溝加工と同様の方法で行うことができる。
【0025】
また、前述のように、外装ケースに複数の凹部を形成するように変形するのではなく、図5に第三の実施例として示すように、外装ケースの側面に幅の広い横溝加工を行って、一個の凹部を形成するように変形させてもよい。このような凹部を形成すると、コンデンサ素子の側面の圧縮面積を多くすることになり、活性炭層の圧縮される面積も多くなり、活性炭層の電気抵抗を低減させる効果が大きい。従って、コンデンサの内部抵抗を低減する効果も大きくなる。
【0026】
以上に説明した形態の他にも種々の形態が考えられる。この発明の範囲としては、凹部の数としては何個でも良く、さらに凹部の形状や大きさ、その凹部の配置等は任意に選択することができる。例えば、外装ケースの縦方向に一本の溝状の凹部を形成するようにして、コンデンサ素子を圧縮することも可能である。
【0027】
このように、外装ケースの側面に一個または複数の凹部を形成するように変形させる場合には、変形治具を外装ケースに押し当てて、外装ケースを押圧することにより、所望の凹部を形成することができ、簡易な方法で外装ケースの変形加工をすることができるものである。
【0028】
以上の発明の実施の形態では、電気二重層コンデンサについて説明してきたが、アルミニウム等の弁金属よりなり、その表面積を拡大する拡面処理とともに陽極酸化処理された陽極箔と、アルミニウム等の金属よりなり、その表面積を拡大する拡面処理された陰極箔を、セパレータとしての電解紙を介して巻回したコンデンサ素子を用いた電解コンデンサもこの発明の範囲に含むものである。このような電解コンデンサの場合も、外装ケースを変形してコンデンサ素子を圧縮することにより、陽極箔と陰極箔の極間距離を狭めることができ、その間に保持されている電解液の電気抵抗分を減少させることができるために、電解コンデンサの内部抵抗を減少させる効果がある。
【0029】
以下にこの発明の具体例を示す。
【0030】
電気二重層コンデンサとして、外径が35mm、高さが125mmの大きさのものを作成した。この電気二重層コンデンサの定格は定格電圧が2.5V、定格静電容量が700Fである。この電気二重層コンデンサを外装ケースを変形する前に静電容量および内部抵抗を測定し、外装ケースを変形した後に再度静電容量および内部抵抗の測定を行った。測定条件は、外装ケースの変形前、変形後では全く同じ条件である。サンプル数は20個で行い、その測定値を平均した。その結果を下の表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
この表1から判るように、外装ケースの変形加工の前後においては、静電容量には殆ど変化は無いが、外装ケースの変形加工を施した後は内部抵抗については約20%の低減を図ることができた。
【0033】
【発明の効果】
この発明は以下のような効果を有する。
【0034】
請求項1の発明のように、コンデンサ素子を外装ケースの変形によって圧縮することにより、巻回されている一対の電極箔の極間距離を狭めることができ、一対の電極箔の間に保持されている電解液の電気抵抗分が減少するために、コンデンサ全体としての内部抵抗が減少する。
また、コンデンサ素子を外装ケース内に固定することができるという効果も有するが、コンデンサ素子を外装ケース内に固定するのに素子固定材等を用いることがないために、コンデンサの重量増加もない。
【0035】
請求項2の発明では、電極箔として、金属箔の両面に活性炭層を形成してなる一対の分極性電極箔を用いているが、分極性電極箔の活性炭層は多孔質体であるために、これに圧力を加えて圧縮した場合には、多孔質体の内部での活性炭同士の接触頻度が増して導電経路が増大し、活性炭層の電気抵抗が減少する。そのために、請求項1の発明の効果に加え、さらにコンデンサ全体として内部抵抗が減少する。
【0036】
請求項3の発明では、外装ケースの側面に一個または複数の凹部を形成するためには、所望の凹部に対応した変形治具をコンデンサ素子の側面に押し当てることにより形成することができるため、簡易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のコンデンサの第一の実施例を示す断面図であり、(a)は正面から見た断面図、(b)は(a)中の矢視断面図である。
【図2】この発明のコンデンサの第一の実施例を示す斜視図である。
【図3】この発明の第二の実施例を示す斜視図である。
【図4】この発明のコンデンサの第一の実施例の外装ケースを押しつぶす工程を示す図面であり、(a)は正面図、(b)は上から見た図である。
【図5】この発明の第三の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 コンデンサ
2 コンデンサ素子
3 電極タブ
4 巻き止めテープ
5 外装ケース
6 封口部材
7 ベーク板
8 弾性部材
9 リベット
10 外部端子
11 凹部
12 変形治具
Claims (2)
- 金属箔の両面に活性炭層を形成してなる一対の分極性電極箔を、電解液を保持させたセパレータを介して巻回し、前記分極性電極箔と前記電解液との界面に形成される電気二重層を利用したコンデンサ素子を封口部材とともに有底筒状の外装ケースに収納し、その開口端部を封口するとともに、前記外装ケースの側面を変形させて、前記コンデンサ素子の活性炭層が中心方向に向かって均等に圧縮されるようにした電気二重層コンデンサ。
- 前記外装ケースの変形は、前記外装ケースの側面に一個または複数の凹部を形成する押圧加工によって変形させたことを特徴とする請求項1に記載の電気二重層コンデンサ。
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