JP4762437B2 - 歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造 - Google Patents
歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車と、この歯車の側面と対向する歯車対向部材との間に配置される中間部材を保持するための保持部材の取付構造に係り、例えば、四輪駆動車の差動制限機能付き遊星歯車式センターディファレンシャル装置に使用できるものである。
【0002】
【背景技術】
図7は、従来の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造を示す。この取付構造は、歯車71と、この歯車71の側面と対向して配置された歯車対向部材72と、保持部材73で保持され、歯車71と歯車対向部材72との間に配置された中間部材74とを含んで形成された歯車機構に用いられている。
【0003】
図8は、保持部材73と中間部材74の全体斜視図であり、保持部材73と中間部材74は、共に歯車71の軸75が挿通される中心孔73A、74Aを有するリング状になっているとともに、中間部材74は保持部材73に接着剤で固定保持されている。また、保持部材73には、円周方向に離間して複数個の突起73Bが形成され、これらの突起73Bが、図7で示すように、歯車対向部材72の側面に設けられた切欠部72Aに挿入係止されることにより、保持部材73は歯車対向部材72に取り付けられている。
【0004】
図7の歯車機構は、中間部材74が摩擦部材となっている場合である。歯車76から歯車71へ回転が伝達され、共にはすば歯車である歯車76から歯車71に歯車対向部材72側へのスラスト荷重が作用することにより、歯車71の回転が中間部材74における摩擦トルクで歯車対向部材72に伝達され、この歯車対向部材72が回転する。
【0005】
以上の歯車機構と基本的に同じ機構は、一例として、四輪駆動車の差動制限機能付き遊星歯車式センターディファレンシャル装置における摩擦トルク伝達機構に採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した従来の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造では、中間部材74を歯車71の側面に接触させているため、確保できる中間部材74の最大直径は、歯車71の歯元円直径D2までである。
【0007】
例えば、差動制限機能付き遊星歯車式センターディファレンシャル装置における摩擦トルク伝達機構では、中間部材74での大きな伝達用摩擦トルクが必要とされ、最大直径がD2である中間部材74によって大きな伝達用摩擦トルクを得るためには、中間部材74の有効面積を拡大すべく歯車71の直径を大きくすることになり、これによると、歯車71を用いた装置全体が大型化するという不具合が生ずる。
【0008】
また、以上は中間部材74が摩擦部材となっている場合であったが、図7の歯車機構における歯車対向部材72が、歯車71に対して常に停止している軸受けハウジング等である場合には、スラスト荷重が作用する歯車71と歯車対向部材72との間で摩擦力が発生するのを防止するため、中間部材74は摩擦軽減部材、すなわちスラストワッシャとされる。
【0009】
このように中間部材74がスラストワッシャである場合にも、確保できる中間部材74の最大直径は歯車71の歯元円直径D2までとなり、歯車71に大きなスラスト荷重が作用したときでもこの歯車71を円滑に回転させるためには中間部材74の有効面積を拡大しなければならないため、この場合にも、歯車71の直径を大きくしなければならず、歯車71を用いた装置全体が大型化するという不具合が生ずる。
【0010】
本発明の目的は、歯車の直径を大きくしなくても、中間部材の有効面積を拡大できるようになる歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造を提供するところにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造は、歯車と、この歯車の側面と対向して配置された歯車対向部材と、保持部材で保持され、前記歯車と前記歯車対向部材との間に配置された中間部材とを含んで形成されている歯車機構において、前記保持部材に前記歯車側へ突出した突起がこの歯車の円周方向に複数設けられ、これらの突起が前記歯車の歯部同士の間に挿入係止されることにより、前記中間部材を前記歯車対向部材側に向けて保持した前記保持部材が前記歯車に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0012】
この歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造では、保持部材に歯車側へ突出した突起がこの歯車の円周方向に複数設けられ、これらの突起が歯車の歯部同士の間に挿入係止されることにより、中間部材を歯車対向部材側に向けて保持した保持部材が歯車に取り付けられるため、中間部材の最大直径を歯車の歯先円直径と同じ大きさ又はこれよりも大きくできる。
【0013】
このため、歯車の直径を大きくしなくても中間部材の有効面積を拡大できることになり、したがって、この歯車を用いた装置の小型化を図ることができ、また、有効面積を拡大できることから、中間部材の耐久性を大きく向上させることができる。
【0014】
また保持部材は、この保持部材に複数設けられた突起を歯車の歯部同士の間に挿入係止することにより歯車に取り付けられるため、従来と異なり、歯車対向部材に保持部材の突起を挿入係止するための切欠部を形成する必要がなくなり、この切欠部を形成するための加工作業を省略できる。
【0015】
さらに、保持部材の突起を歯車の歯部同士の間に挿入係止することによって保持部材を歯車に取り付けるため、保持部材を安価かつ簡単な回り止め構造で歯車に確実に取り付けることができる。
【0016】
以上の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造において、保持部材に中間部材を保持させるためには、中間部材を接着剤で保持部材に取り付けてもよく、接着剤以外の手段を用いて中間部材を保持部材に取り付けてもよい。
【0017】
後者の一例は、保持部材に、中間部材を歯車の半径方向に不動とする少なくとも1個の受け部を設け、この受け部で中間部材を保持部材に保持させることである。
【0018】
これによると、摩擦トルクによって発生する高温に対して耐久性を備えた接着剤を不要にできるとともに、保持部材による中間部材の保持を機械的、構造的に行えることになる。
【0019】
中間部材を歯車の半径方向に不動とするために保持部材に設ける上記受け部は、中間部材及び保持部材に歯車の軸を挿通させるための中心孔が形成される場合においては、保持部材の中心孔の箇所に、中間部材の中心孔の箇所に挿入される1個のリング状のもの又は円周方向に分割して形成された複数個の突起状のものとして設けてもよく、あるいは、中間部材及び保持部材に歯車の軸を挿通させるための中心孔が形成される場合及び形成されない場合の両方において、保持部材の外周部に、中間部材の外周部と接触する1個のリング状のもの又は円周方向に分割して形成された複数個の突起状のものとして設けてもよい。さらに、上記受け部を保持部材の中心部と外周部との間に形成された1個又は複数個の突起とし、この突起を中間部材の中心部と外周部との間に形成した孔又は凹部に挿入することにより、中間部材を歯車の半径方向に不動にさせて保持部材に保持させるようにしてもよい。
【0020】
また、保持部材は、板金製でもよく、鋳物製でもよく、燒結金属製でもよく、その材料、材質は任意である。
【0021】
保持部材を板金製とする場合には、歯車の歯部同士の間に挿入係止するための前記突起と中間部材を歯車の半径方向に不動とするための前記受け部を備えた保持部材を、板金の打ち抜き加工と折り曲げ加工とにより形成してもよい。
【0022】
これによると、保持部材を容易に生産でき、その生産コストを低減できる。
【0023】
以上の本発明の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造は、任意な機械、装置等における動力伝達経路中に採用でき、その動力伝達経路の機能、用途、形態等に応じて中間部材は摩擦部材でもよく、摩擦軽減部材でもよい。
【0024】
中間部材が摩擦部材である場合には、歯車は、一般的に、歯車対向部材に対して相対的に回転又は相対的に停止するものとなり、歯車中間部材が摩擦軽減部材である場合には、歯車対向部材は、一般的に、歯車に対して常に停止しているものとなる。
【0025】
中間部材を摩擦部材とした場合には、本発明の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造を、一例として、四輪駆動車の差動制限機能付き遊星歯車式センターディファレンシャル装置における摩擦トルク伝達機構に採用でき、摩擦部材は、このセンターディファレンシャル装置のトルク発生部に配置される。
【0026】
中間部材を摩擦軽減部材とした場合には、本発明の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造を、一例として、スラスト荷重を受ける歯車を円滑に回転させなければならない機構となっている動力伝達装置に採用することができる。
【0027】
また、中間部材が摩擦軽減部材である場合には、歯車がすぐば歯車(平歯車)になっているときなど、歯車に大きなスラスト荷重が作用しない場合にも、本発明は適用できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1及び図2は、中間部材4が摩擦部材となっている場合の実施形態である。図1に示すように、歯車1の側面と対向して歯車対向部材2が配置され、これらの歯車1と歯車対向部材2との間には、保持部材3と、この保持部材3に保持された中間部材4とが配置されている。
【0030】
図2に示されているとおり、保持部材3と中間部材4は、歯車1の軸5が挿通される孔3A、4Aが中心部に設けられたリング状である。保持部材3の外周部における互いに反対側の2箇所には、歯車1側へ突出する突起3Bが形成され、また、保持部材3の中心孔3Aにおける互いに反対側の2箇所には、中間部材4側へ突出する受け部3Cが設けられている。保持部材3は板金の打ち抜き加工で形成され、突起3B及び受け部3Cは、板金の打ち抜き加工で保持部材3を形成する際に、折り曲げ加工により形成される。
【0031】
中間部材4の中心孔4Aにおける互い反対側の2箇所には、凹部4Bが設けられ、これらの凹部4Bに受け部3Cを挿入することにより、中間部材4は保持部材3に歯車1の半径方向に不動となって保持される。この状態において、図1に示すように、中間部材4を歯車対向部材2側に向けて中心孔3A、4Aに歯車1の軸5を挿通し、突起3Bを図2で示した歯車1の歯部1A同士の間に挿入係止する。
【0032】
これにより、中間部材4を保持した保持部材3は、歯車1に取り付けられることになる。
【0033】
図1に示すように、歯車1には歯車6が噛合し、これらの歯車1と6は共にはすば歯車である。歯車6の回転が歯車1に伝達されると、歯車1は回転するとともに、歯車1には、歯車1と6のはすばによって歯車対向部材2側へのスラスト荷重が作用する。この結果、歯車対向部材2は摩擦部材である中間部材4からの摩擦トルクを受けることになり、歯車対向部材2は歯車1と共に回転する。
【0034】
この実施形態によると、保持部材3は、外周部に設けられた突起3Bを歯車1の歯部1A同士の間に挿入係止することにより、歯車1に取り付けられ、中間部材4は、歯車対向部材2側へ向けられて保持部材3に保持されるため、中間部材4の最大直径D1を歯車1の歯先円直径と同じ又はこれと同じ程度まで大きくすることができる。
【0035】
このため、歯車1の直径を大きくすることなく、言い換えると、歯車1や歯車対向部材2等で構成される機械、装置等の全体寸法を大型化することなく、中間部材4の有効面積を拡大することができ、これにより、中間部材4で発生させる摩擦トルクを大きくできる。また、中間部材4の有効面積を拡大できることから、この中間部材4の耐久性を大きく向上させることができる。
【0036】
また、保持部材3は突起3Bで歯車1に取り付けられるため、図7の従来例と異なり、歯車対向部材2の側面に保持部材の突起を挿入係止するための切欠部を形成する必要がない。
【0037】
さらに、保持部材3を突起3Bによって歯車1に回り止めして取り付けることができ、安価で簡単な回り止め構造とすることができる。
【0038】
また、保持部材3には円周方向に離間した2個の受け部3Cが形成され、これらの受け部3Cを中間部材4の凹部4Bに挿入することにより、中間部材4を保持部材3に保持させたため、中間部材を歯車1と歯車対向部材2との間に配置した際に、中間部材4を保持部材3に対して固定しなければならない歯車1の半径方向に中間部材4を不動することができ、これを接着剤を用いることなく行え、摩擦トルクで高温となる箇所において、保持部材3に中間部材4を保持させるための構造として良好なものとなる。
【0039】
さらに、保持部材3は板金の打ち抜き加工で形成され、突起3B及び受け部3Cは、この打ち抜き加工を行う際に折り曲げ加工で形成されるため、保持部材を簡単な加工作業により安価に製造できる。
【0040】
図3は、以上説明した実施形態のように、中間部材4が摩擦部材になっている歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造を適用できる具体的な装置を示す。この装置は、四輪駆動車の差動制限機能付き遊星歯車式センターディファレンシャル装置である。次ぎに、このセンターディファレンシャル装置を説明する。
【0041】
エンジンからの駆動力で回転する入力軸11には歯車12と13を介して出力軸14が接続され、出力軸14には中間部材15を介してセンターデフ入力軸16がスプライン嵌合されている。中空のセンターデフ入力軸16の内部には、フロントドライブ軸17に中間部材18を介してスプライン嵌合されたフロント出力軸19と、中空のフロント出力軸19の後部に先端が挿入されたリヤ出力軸20とが配置されている。センターデフ入力軸16の端部には第1太陽歯車21が形成され、この第1太陽歯車21に第1遊星歯車22が噛合している。また、リア出力軸20には第2太陽歯車23がスプライン嵌合され、この第2太陽歯車23に第2遊星歯車24が噛合している。第1遊星歯車22と第2遊星歯車24は、軸25に回転自在に設けられた回転部材26に一体に形成されたものとなっている。
【0042】
軸25はキャリヤ27に固定状態で取り付けられており、このキャリヤ27は、同軸的に配置されているセンターデフ入力軸16、フロント出力軸19、リヤ出力軸20の中心軸を中心に回転自在となっており、キャリヤ27には円周方向に複数個の軸25、回転体26が設けられている。また、キャリヤ27の内部には、キャリヤ27の一部となっているハブ28が設けられ、このハブ28は、センターデフ入力軸16の第1太陽歯車21とリア出力軸20の第2太陽歯車23との間に挿入されている。また、ハブ28にはセンターデフ入力軸16とフロント出力軸19との間へ延びる延設部28Aが形成され、この延設部28Aはフロント出力軸19の外周部にスプライン嵌合されている。
【0043】
第1太陽歯車21とハブ28との間には第1摩擦部材29が、ハブ28と第2太陽歯車23との間には第2摩擦部材30が、第2太陽歯車23とキャリヤ27との間には第3摩擦部材31がそれぞれ介装されている。これらの摩擦部材29〜31及び軸25と回転体26との間で発生する摩擦により、センターディファレンシャル装置の差動制限機構が構成されている。
【0044】
また、フロントドライブ軸17は、図示しないフロントディファレンシャル装置を介して前輪へ駆動力を伝達し、リヤ出力軸20は、図示しないリアディファレンシャル装置を介して後輪へ駆動力を伝達する。また、第1太陽歯車21、第1遊星歯車22、第2太陽歯車23、第2遊星歯車24のそれぞれは、はすば歯車となっている。
【0045】
前進時の入力軸11の回転が、歯車12,13、出力軸14、中間部材15、センターデフ入力軸16に伝達されると、はすば歯車の第1太陽歯車21は第1遊星歯車22からのスラスト荷重でハブ28側へ、はすば歯車の第2太陽歯車23は第2遊星歯車24からのスラスト荷重でハブ28側へそれぞれ押圧され、これにより、第1及び第2摩擦部材29,30において摩擦トルクが発生する。また、後進時には、第2太陽歯車23は第2遊星歯車24からのスラスト荷重で前進時とは逆方向へ押圧され、これにより第3摩擦部材31において摩擦トルクが発生する。
【0046】
また、これらの場合において、第1遊星歯車22と第2遊星歯車24に作用するラジアル荷重により、軸25と回転体26との間でも、軸25に対する回転体26の回転を阻止しようとする摩擦トルクが発生する。
【0047】
以上は前輪と後輪に回転数の差が生じた場合の説明であり、直進時等で前輪と後輪が同一回転数となるときには、キャリヤ27等からなるセンターディファレンシャル装置全体が一体となって回転し、上記摩擦トルクは発生しない。
【0048】
また、前輪と後輪に回転数の差が生じた場合には、第1摩擦部材29の箇所における第1太陽歯車21とキャリヤ27のハブ28との間、第2摩擦部材30の箇所における第2太陽歯車23とキャリヤ27のハブ28との間、第3摩擦部材31の箇所における第2太陽歯車23とキャリヤ27との間のそれぞれで回転数の差が生じ、摩擦部材29〜31の摩擦すべりによる摩擦トルクが、回転数の大きい側から回転数の小さい側へ伝達される。
【0049】
図1で示した実施形態に係る歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造は、図3で示した四輪駆動車の差動制限機能付き遊星歯車式センターディファレンシャル装置における摩擦トルク発生部となっている第1摩擦部材29、第2摩擦部材30、第3摩擦部材31の配置箇所に、摩擦部材である中間部材4を配置するために適用できる。
【0050】
図4は、中間部材44が摩擦軽減部材となっている場合の実施形態である。歯車41の側面と対向して配置されている歯車対向部材42は、歯車41の軸45を回転自在に支持する軸受け47のハウジングである。歯車41と歯車対向部材42との間に配置された中間部材44は、歯車41の半径方向に不動となって保持部材43に保持されている。この保持は、図2で示した実施形態と同じく、軸45が挿通する保持部材43の中心孔に設けた複数個の受け部43Cを、軸45が挿通する中間部材44の中心孔に形成した複数個の凹部44Bに挿入することにより行われている。
【0051】
また、保持部材43の外周部には、図2の実施形態と同じく、円周方向に離間して複数個の突起43Bが設けられ、これらの突起43Bを歯車41の歯部41A同士の間に挿入係止することにより、保持部材43は、中間部材44を歯車対向部材42側に向けて歯車41に取り付けられている。
【0052】
軸受け47のハウジングである歯車対向部材42から突出した軸45の先端にはタイミングプーリ48が取り付けられ、このタイミングプーリ48がタイミングベルト49からの駆動力で回転することにより歯車41が回転し、歯車41に噛合している歯車46も回転する。
【0053】
歯車41と46は、共にはすば歯車であるため、歯車41には歯車対向部材42側へのスラスト荷重が作用するが、中間部材44は摩擦軽減部材であるスラストワッシャになっているため、中間部材44と歯車対向部材42との間で大きな摩擦は発生せず、タイミングベルト49からの駆動力を歯車46に伝達するための駆動力伝達装置における一部品となっている歯車41は、円滑に回転する。
【0054】
この実施形態においても、中間部材44の直径を歯車41の歯先円直径と同じ又はこれよりも大きくでき、これによって中間部材44の有効面積を拡大できるる。このため、スラストワッシャになっている中間部材44が受ける単位面積当たりのスラスト荷重である面圧を低下させることができ、これにより、中間部材44を安価なスラストワッシャとすることができ、また、中間部材44の耐久性を大きく向上させることもできる。また、これら以外に、保持部材43を歯車41に取り付けるために突起43Bを歯車41の歯部41A同士の間に挿入係止するなど、図1及び図2で示した前記実施形態と同様な構造となっているため、この図4の実施形態でも、図1及び図2の実施形態と同様な効果を達成できることになる。
【0055】
なお、図4で示した歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造は、歯車41と46がすぐば歯車(平歯車)になっている場合にも適用できる。
【0056】
図5は、別実施形態に係る保持部材53を示す。この保持部材53の中心孔53Aには、互いに反対側の2箇所において、中間部材を歯車の半径方向に不動に保持するための受け部53Cが形成されているとともに、保持部材53の外周部には、多数の突起53Bが円周方向に等間隔で形成されている。これらの突起53Bの個数は、歯車の歯部の個数と同じであり、それぞれの突起53Aを歯車側へ折り曲げることにより、これらの突起53Aは、歯車のそれぞれの歯部同士の間に挿入係止される。
【0057】
このように、保持部材53に設ける突起53Bを歯車の歯部の個数と同数とし、歯車の全部の歯部同士の間に保持部材53の突起53Bを挿入係止させるようにしてもよい。
【0058】
また、突起53Bは歯車の円周方向への曲がり角度を有している。図6は、突起53Bを歯車51側へ折り曲げることにより、突起53Bを歯車51の歯部51A同士の間に挿入係止した状態を示している。この図6で示されているように、突起53Bが歯車51の円周方向への曲がり角度を有していると、歯車51がはすば歯車である場合とすぐば歯車である場合の両方に対処できるようになり、保持部材53に汎用性を付与することができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によると、歯車の直径を大きくしなくても、中間部材の有効面積を拡大できるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造を示す断面図であって、中間部材が摩擦部材である場合の図である。
【図2】図1の歯車、保持部材、中間部材の分解斜視図である。
【図3】中間部材が摩擦部材である場合に、歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造が適用される具体的な装置である四輪駆動車の差動制限機能付き遊星歯車式センターディファレンシャル装置を示す断面図である。
【図4】中間部材が摩擦軽減部材となっている場合の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造を示す断面図である。
【図5】別実施形態に係る保持部材を示す正面図である。
【図6】図5の実施形態に係る保持部材の突起を折り曲げて歯車の歯部同士の間に挿入係止した状態を示す平面図である。
【図7】従来の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造を示す断面図である。
【図8】図7の保持部材と中間部材の全体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,41,51 歯車
1A,41A,51A 歯部
2,42 歯車対向部材
3,43,53 保持部材
3B,43B,53B 突起
3C,43C,53C 受け部
4,44 中間部材
Claims (7)
- 歯車と、この歯車の側面と対向して配置された歯車対向部材と、保持部材で保持され、前記歯車と前記歯車対向部材との間に配置された中間部材とを含んで形成されている歯車機構において、
前記保持部材に前記歯車側へ突出した突起がこの歯車の円周方向に複数設けられ、これらの突起が前記歯車の歯部同士の間に挿入係止されることにより、前記中間部材を前記歯車対向部材側に向けて保持した前記保持部材が前記歯車に取り付けられ、
前記保持部材には、前記中間部材を前記歯車の半径方向に不動とする少なくとも1個の受け部が設けられ、この受け部で前記中間部材が前記保持部材に保持されていることを特徴とする歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造。 - 請求項1に記載の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造において、前記中間部材には凹部が設けられ、この凹部に前記受け部が挿入されることにより、前記中間部材は前記保持部材に前記歯車の半径方向に不動となって保持されていることを特徴とする歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造。
- 請求項2に記載の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造において、前記保持部材と前記中間部材は、前記歯車の軸が挿入される孔が中心部に設けられたリング状になっており、前記突起は前記保持部材の外周部に、前記受け部は前記保持部材の前記中心孔の箇所にそれぞれ形成されているとともに、前記凹部は前記中間部材の前記中心孔の箇所に形成されていることを特徴とする歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造において、前記突起と前記受け部を有している前記保持部材は板金の打ち抜き加工と折り曲げ加工で形成されていることを特徴とする歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造において、前記中間部材は、前記歯車と前記歯車対向部材との間で摩擦トルクを伝達するための摩擦部材であることを特徴とする歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造。
- 請求項5に記載の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造において、前記摩擦部材は、四輪駆動車の差動制限機能付き遊星歯車式センターディファレンシャル装置の摩擦トルク発生部に配置されていることを特徴とする歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造において、前記中間部材は、前記歯車と前記歯車対向部材との間の摩擦を軽減するための摩擦軽減部材であることを特徴とする歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造。
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JP2001148592A JP4762437B2 (ja) | 2001-05-18 | 2001-05-18 | 歯車機構における中間部材用保持部材の取付構造 |
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