JP4761595B2 - メタライズ基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミックス基板表面に、回路となる導体層を形成したメタライズ基板に係り、特に導体層の腐食が少なく、かつ導体層の半田濡れ性を大幅に改善したメタライズ基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器や半導体装置の構成部品として、図5および図6に示すように、アルルミナ(Al)基板や窒化アルミニウム(AlN)基板などのセラミックス基板2の表面および内層に回路となる導体層(メタライズ配線層)3を一体に形成した各種のメタライズ基板(セラミックス回路基板)1c,1dが広く用いられている。
【0003】
上記のようなAlNメタライズ基板やアルミナメタライズ基板としては、例えば自動車のエンジン制御回路に使用されるメタライズ基板のように高温度の雰囲気中において使用されるメタライズ基板や、NOxやSOxのような腐食性ガスが発生した雰囲気中で使用されるメタライズ基板がある。そして、そのような過酷な雰囲気によって導体層が酸化腐食されることを防止する目的として、また導体層に外部リード端子などの他の金属部品を半田接合する際の接合を容易化し、かつ接合強度を強固にするための半田濡れ性を高める目的として、導体層表面にニッケル(Ni)や金(Au)などから成る所定厚さのめっき層が形成されている。
【0004】
この際、上記めっき層に欠陥が存在する場合には、その欠陥部分を起点として導体層の腐食が急速に進行することがある。そのため、一般的な対策として、導体層の表面に形成するめっき層の厚さを一定以上に厚く確保することにより、上記のようなめっき層の欠陥の存在確率を低減せしめて導体層の腐食を防止する手法が採用されている。
【0005】
また、他の金属部品との接合性を高める観点から、例えば金属部品をろう付け接合や半田付けによって導体層に接合する場合には、図5に示すように、厚さ1.8μm程度の電解ニッケルめっき層4が導体層3の表面に形成される。また、図6に示すように、厚さ1.2μm程度の無電解ニッケルめっき層5を導体層3の表面に形成するめっき構造も採用されている。
【0006】
さらに、Au−Si系接合材やAu−Ge系接合材など金を含有する接合材を用いる場合、または、接合材の濡れ性をより向上させる場合には、ニッケルめっき層を下地にして電解Auめっき層をさらに形成する構造も採用されている。
【0007】
上記のような各めっき層の形成法のうち、ニッケルめっき法については、無電解めっき液のコストが電解めっき液と比較して高価である上に、無電解ニッケルめっき法の方が工程管理がより複雑になる。そのため、数か所程度のパターン部から成る単純なメタライズ基板に対しては、バレルめっき法や治具鍍金法を利用して電解ニッケルめっき法により所定厚さのニッケルめっき層を形成する一方、より複雑なパターン形状を有するメタライズ基板に対しては、無電解ニッケルめっき法によりめっき層を形成するというように、導体層の複雑さの程度に応じてめっき法が使い分けられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のめっき法により形成しためっき層構造では、高い濡れ性および品質を維持するようにめっき処理を行う場合には以下のような問題点があった。すなわち、電解めっき法だけで形成しためっき層では濡れ性が不十分である一方、無電解めっき法だけで形成しためっき層を形成する場合には、十分なめっき反応を進行させるために、予めセラミックス基板を薬品により前処理する必要があり、工程が煩雑になる欠点があった。特にセラミックス基板としてのAlN基板は耐薬品性が低いため、前処理段階でAlN基板が腐食損傷したり、セラミックス基板と導体層との境界部がダメージを受け易く、メタライズ基板の製造歩留りが低下する問題点があった。
【0009】
また、ニッケルめっき層表面に、さらに金めっき層を形成することにより濡れ性は飛躍的に向上させることは可能であるが、金めっき自体の処理コストが高いため、メタライズ基板の製造コストが大幅に増加してしまう難点がある。
【0010】
一方、上記のように導体層表面に形成しためっき層に欠陥が存在しないように厳格なめっき管理を実施した場合においても、図5および図6に示すように導体層3の外周部とセラミックス基板2との境界部分でめっき層4,5の厚さが薄くなったり、不連続になり、別の欠陥が発生し易い構造であった。そして、上記欠陥部から水蒸気,イオン,腐食性ガスなどが浸入して導体層の腐食が進行し、回路基板としてのメタライズ基板の動作信頼性が低下してしまう問題点もあった。
【0011】
上記のような導体層の外周部とセラミックス基板との境界部から進行する腐食は、従来構造のように導体層表面に形成するめっき層の厚さを制御しても防止することが困難であった、特に車載用のメタライズ基板のようにメタライズ基板の封止が高気密仕様でない場合において、上記導体層の腐食がより顕著になり、何らかの腐食防止対策を講じることが技術上の課題になっていた。
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、特に導体層の腐食を効果的に防止でき、かつ導体層の半田濡れ性を大幅に改善したメタライズ基板を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明に係るメタライズ基板は、セラミックス基板表面に回路となる導体層を形成したメタライズ基板において、上記導体層の表面部,側面部および導体層とセラミックス基板との接合端部を被覆するように導体層からセラミックス基板表面まで連続した無電解めっき層を形成し、上記導体層の側面に形成された無電解めっき層表面からセラミックス基板表面上に張り出して形成される上記無電解めっき層の幅が10〜20μmであり、上記無電解めっき層がニッケル(Ni)から形成されており、上記導体層は、モリブデン(Mo),タングステン(W),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ハフニウム(Hf)およびその化合物から選択される少なくとも1種から成り、上記無電解めっき層の厚さが0.5〜8μmであることを特徴とする。
【0015】
さらに、めっき層が下地めっき層から最外めっき層までの複数のめっき層から成り、下地めっき層が電解めっき法で形成されためっき層である一方、最外めっき層が無電解めっき法で形成されためっき層であることが好ましい。
【0016】
また、めっき層はニッケル(Ni)および金(Au)の少なくとも一方から形成するとよい。さらに、セラミックス基板が窒化アルミニウム(AlN)基板である場合に特に有効である。また、導体層は、モリブデン(Mo),タングステン(W),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ハフニウム(Hf)およびその化合物から選択される少なくとも1種から構成するとよい。さらに、めっき層の厚さは0.5〜8μmの範囲が好ましい。
【0017】
本発明に係るメタライズ基板に使用されるセラミックス基板としては、特に限定されるものではなく、酸化アルミニウム(Al)基板(アルミナ基板),窒化アルミニウム(AlN)基板,窒化けい素(Si)基板,ムライト基板,炭化けい素(SiC)基板,ガラスセラミックス基板などの電気絶縁性を有する各種セラミックス基板が使用される。
【0018】
また、導体層はモリブデン(Mo),タングステン(W)などの高融点金属材,チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ハフニウム(Hf),その化合物から成り、半導体素子の各電極を外部リード端子等に電気的に接続するための回路層(導電路)としてセラミックス基板の表層部に形成される。またセラミックス基板が多層基板である場合には内層部にも導体層が形成される。
【0019】
めっき層は、導体層が酸化腐食することを防止するとともに、外部リード端子,ボンディングワイヤのような他の金属部品と導体層との接合を容易にして接合強度を高めるために形成される。特に本発明において、上記めっき層は導体層の表面部,側面部および導体層とセラミックス基板との接合端部を被覆するように導体層からセラミックス基板表面まで連続して形成される。
【0020】
上記のように導体層の表面部,側面部および接合端部が連続しためっき層で被覆されているため、導体層の外周部分において、水蒸気(湿分),イオン,腐食性ガスなどの導体層への直接的な接触はめっき層によって阻止され、導体層の腐食が効果的に抑止される。すなわち、水蒸気,イオン,腐食性ガス等が導体層に接触するまでには、導体層の表面および外周部に形成されためっき層の内部を拡散するか、あるいは導体層とセラミックス基板とめっき層との界面に沿って移動する必要がある。しかしながら、めっき層の内部における腐食性ガス等の拡散は、めっき層の膜厚を大きくすることにより抑制でき、導体層の腐食が防止できる。特に、本発明によれば導体層の表面からセラミックス基板との接合端部を含め、セラミックス基板上面まで張り出すように連続してめっき層が形成されているため、水蒸気,腐食性ガス等は、いずれの経路によっても、その移動が十分に抑制される結果、導体層の腐食が効果的に防止できる。
【0021】
ここで、上記導体層の側面からセラミックス基板表面上に張り出して形成されるめっき層の幅は3μm以上であることが好ましい。上記めっき層の幅が3μm未満であると、導体層とセラミックス基板との接合端部を完全に被覆することが困難になり、めっき層の不連続部が形成され易く、この不連続部から腐食が進行し易くなる。そのため、めっき層の張り出し幅は3μm以上とされるが、5〜20μmの範囲がより望ましい。
【0022】
上記めっき層の厚さは、0.5〜8μmの範囲とされる。上記めっき層の厚さが0.5μm未満の場合には、めっきの未着部分がない均一なめっき層が得られなくなり、導体層の腐食防止が困難になるとともに、導体層の半田濡れ性が不十分になり、導体層と他の金属部品との接合強度が低下してしまう。一方、上記めっき層の厚さが8μmを超えるように過大になると、めっき処理時間が増加してメタライズ基板の製造コストが上昇してしまう。したがって、上記めっき層の厚さは0.5〜8μmの範囲とされるが1〜5μmの範囲がより好ましい。
【0023】
上記めっき層の厚さおよびセラミックス基板表面上に張り出して形成されるめっき層の幅は、めっき液の濃度,電解時間等のめっき条件を適宜制御して調整することができる。すなわち、めっき液の濃度を高めたり、電解電圧を高めたりする、いわゆる“強めっき処理”を実施することにより、めっき層の厚さおよび張り出し幅を大きく設定することが可能である。
【0024】
また、上記めっき層を形成する金属としてはニッケル(Ni)または金(Au)等を使用できる。但し、Auめっき層は半田濡れ性が極めて良好である反面、めっき液が高価であるため、より安価なNiで構成しためっき層の方が好ましい。
【0025】
上記めっき層は単層で形成してもよいが、下記のように複層構造となるように形成してもよい。すなわち、めっき層を下地めっき層から最外めっき層までの複数のめっき層から構成し、下地めっき層が電解めっき法で形成されためっき層である一方、最外めっき層が無電解めっき法で形成されためっき層であるように構成してもよい。
【0026】
具体的には、AlN基板表面に導体層を形成したAlNメタライズめっき部品の表面に電解ニッケルめっき法により第1めっき層を形成し、しかる後に無電解ニッケルめっき法により第2めっき層を順次形成する。または、電解ニッケルめっきを施工した後に、還元雰囲気ガス中で温度500〜800℃で焼成し、さらに無電解ニッケルめっきを施工したり、または再度電解ニッケルめっきを施工した後に、無電解ニッケルめっきを施工して複層構造のめっき層を形成してもよい。
【0027】
ここで、上記電解ニッケルめっき法は、前処理工程および後処理工程のpH,温度などのめっき条件でもセラミックス基板に与える損傷は少ない。そのため、特に水やアルカリなどの薬品と反応し浸食され易い窒化アルミニウム(AlN)基板をセラミックス基板として使用した場合に特に有効である。すなわち、AlNメタライズ部品表面に、まず下地めっき層として電解ニッケルめっき層を形成した場合には、AlN基板の表面や導体層との接合端部における浸食は発生せず、また導体層の接合強度の劣化等が発生することがない。
【0028】
また、予め下地めっき層として電解ニッケルめっき層を形成したメタライズ部品であれば、下地がニッケルであるので、強アルカリ溶液を使用する過酷なエッチング処理等の前処理を実施しなくても、その表面上に無電解ニッケルめっき法により、均一で緻密なニッケルめっき層を形成することが可能になる。
【0029】
このように下地めっき層としての電解めっき層と無電解めっき層とを組み合せることにより、無電解めっき処理を行う際に必須であったエッチング処理を省略したり、緩和することができる。また電解めっき層の上面に、半田濡れ性が良好な無電解めっき層を形成することにより、セラミックス基板の損傷や導体層の接合不良を招くことなく、導体層の半田濡れ性を大幅に向上させることが可能となる。
【0030】
また上記のように電解めっき層と無電解めっき層を順次別工程で形成するため、めっき工程時間は若干長くなるが、高価なAuめっき層を形成しないため、メタライズ基板の製造コストの上昇は少ない。
【0031】
上記のように構成したメタライズ基板によれば、導体層の表面部,側面部および導体層とセラミックス基板との接合端部を被覆するように導体層からセラミックス基板表面まで連続しためっき層を形成しているため、水蒸気,イオン,腐食性ガス等の導体層への浸入がめっき層によって阻止される結果、導体層の腐食が効果的に防止できる。
【0032】
また、導体層とセラミックス基板との接合端部にも連続しためっき層が形成されているため、さらに無電解めっき層を形成する場合においても、無電解めっき施工前の前処理や後処理によって接合端部が浸食されるおそれも少ない。
【0033】
さらに、下地めっき層としての電解めっき層と無電解めっき層とを組み合せてめっき層を構成することにより、無電解めっき処理を行う際に必須であったエッチング処理を省略したり、緩和することができる。また電解めっき層の上面に、半田濡れ性が良好な無電解めっき層を形成することにより、セラミックス基板の損傷や導体層の接合不良を招くことなく、導体層の半田濡れ性を大幅に向上させることが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態について添付図面を参照しながら下記の実施例に基づいて具体的に説明する。
【0035】
参考例1〜2および実施例〜5]
平均粒径2μmの窒化アルミニウム(AlN)原料粉末に、焼結助剤としてのY粉末を5重量%添加し、さらにバインダーおよび溶剤を添加混合して泥漿状のセラミックススラリーを調製した。次に、得られたスラリーをドクターブレード法により成形してシート状のAlNグリーンシートを多数調製した。次に得られたAlNグリーンシートを切断加工して所定寸法のシート状成形体とした。
【0036】
一方、タングステン(W)粉末にバインダーおよび溶剤を添加して導体ペーストを調製し、導体ペーストを上記シート状成形体表面にスクリーン印刷法等の厚膜手法を採用して図1に示すような所定の導体パターン形状に印刷塗布した。
【0037】
そして導体パターンを印刷したAlNグリーンシートを窒素・水素・水蒸気雰囲気中で加熱して脱バインダー処理を行った後に、窒素雰囲気中で温度1750℃で焼結することにより、回路としての導体層を一体に形成したAlNメタライズ部品を多数調製した。
【0038】
次に、図1および図2に示すように、AlNメタライズ部品のAlN基板2の表面に接合した導体層3の表面部,側面部および導体層3とAlN基板2との接合端部を被覆するように、導体層3からAlN基板2の表面まで連続したニッケルめっき層5aを無電解めっき法により、それぞれ形成した。なお、図2に示すように、導体層3の側面からAlN基板2表面上に張り出して形成される各めっき層5aの幅Wおよび厚さは、表1に示す値となるように、めっき液の濃度およびめっき処理時間を調整した。
【0039】
こうして調製された参考例1〜2および実施例〜5に係るメタライズ基板1は、図1および図2に示すように、AlN基板2の上面側に一体に形成されたW導体層3の表面にNiから成る所定厚さの無電解ニッケルめっき層5aを形成した構造を有する。また、各メタライズ基板1は導体層3の外周部からAlN基板2の上面までに亘って、幅Wが3μm以上のめっき膜を備えている。
【0040】
[比較例1]
一方、参考例1において調製したAlN基板2の表面に同様にW導体層3を形成し、このW導体層3の表面に、図5に示すように、電解ニッケルめっき法により、厚さ1.8μmであり、従来形状のNiめっき層4を一体に形成することにより、比較例1に係るメタライズ基板1cを調製した。
【0041】
[比較例2]
一方、参考例1において調製したAlN基板2の表面に同様にW導体層3を形成し、このW導体層3の表面に、図6に示すように、無電解ニッケルめっき法により、厚さ1.2μmであり、従来形状のNiめっき層5を一体に形成することにより、比較例2に係るメタライズ基板1dを調製した。
【0042】
上記のように調製した参考例、実施例および比較例に係るメタライズ基板の耐食性を評価するために、下記のような腐食試験を実施した。すなわち、温度60℃で関係温度が80%である高温高湿状態に調整した試験炉内に各メタライズ基板を配置し、外観から導体層の腐食が発生したことが確認できた時間を測定した。測定結果を下記表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004761595
【0044】
上記表1に示す結果から明らかなように、導体層からAlN基板の表面までの範囲に所定の張り出し幅Wでめっき層を連続的に形成した参考例1〜2および実施例3〜5に係るメタライズ基板においては、試験時間として400時間が経過して初めて導体層の腐食が観察され、特に幅Wが5μm以上のものは、1000時間以上腐食されず、優れた耐食性を有することが確認できた。
【0045】
一方、AlN基板表面まで連続的にめっき層を形成していない比較例1〜2に係るメタライズ基板においては、試験時間が20時間経過した時点で、既に導体層の腐食が発生し始めることが判明し、耐食性が低いことが再確認できた。
【0046】
実施例6
熱伝導率が170W/m・Kであり、焼結助剤としてのイットリア(Y)を3重量%含有し、縦10mm×横10mm×厚さ1mmである窒化アルミニウム(AlN)基板の両面にMo−TiNペーストをスクリーン印刷法により塗布し、窒素雰囲気中で温度1700℃で1時間加熱することによりAlNメタライズ基板を得た。
【0047】
次に、得られたAlNメタライズ基板を、室温(25℃)下で濃度50%の塩酸前処理液中に1分間浸漬した後に、電解ニッケルめっき浴(ワット浴)中にてバレルめっき法を用い、電流値50Aで2000カウントの条件下で電解ニッケルめっき層を形成した。蛍光X線膜厚計により、ニッケルめっき層の厚さを測定したところ、0.9μmであった。
【0048】
さらに、上記AlNメタライズ基板を窒素・水素雰囲気中で温度800℃で3分間焼成した後に、室温(25℃)下で濃度50%の塩酸前処理液中に1分間浸漬した後に、温度55℃の酸エッチング液中で1分間処理した後に、温度65℃の無電解ニッケルホウ素(Ni−B)めっき液中に3分間浸漬する処理を行って無電解ニッケルめっき層を形成することにより、実施例6に係るメタライズ基板を製造した。なお、無電解ニッケルめっき層の厚さを測定したところ、1.5μmであった。
【0049】
実施例6に係るメタライズ基板1aにおいては、図3に示す通り、AlN基板2の表面にMo−TiNから成る導体層3が一体に形成され、さらに導体層3の表面に厚さ0.9μmの電解ニッケルめっき層4aと、厚さ1.5μmの無電解ニッケルめっき層5bとが順次形成されて複層のめっき層6を構成している。
【0050】
上記実施例6のメタライズ基板1aの半田濡れ性の良否を評価するために、下記の濡れ性試験を行った。すなわち、重量%で95%Pb−3.5%Sn−1.5%Agなる組成を有する高温半田ペレットをメタライズ基板1aのめっき層6表面に載置して窒素・水素雰囲気中で温度400℃に加熱して半田ペレットを溶融せしめ、金属部品の接合面積に対する半田の濡れ面積の割合を測定したところ、95%という高い値が得られ、半田濡れ性が極めて良好であることが確認できた。
【0051】
一方、他の金属部品との接合性を評価するために、下記の接合試験を行った。すなわち、Pb−Sn共晶半田を用いて銅製のネールヘッドピンを導体層に接合し、引張り試験機を使用してピンの接合強度(ピール強度)を測定したところ、3kg/mmという高い値が得られ、他の金属部品との接合性も良好であることが判明した。
【0052】
実施例7
実施例1において、導体層の表面に厚さ0.9μmの電解ニッケルめっき層4aを形成したAlNメタライズ基板を、窒素・水素雰囲気中で温度800℃で3分間焼成した後に、室温(25℃)下で濃度50%の塩酸前処理液中に1分間浸漬した後に、電解ニッケルめっき浴(ワット浴)中にてバレルめっき法を用い、電流値50Aで1000カウントの条件下で電解ニッケルめっき層を形成した。蛍光X線膜厚計により、ニッケルめっき層の厚さを測定したところ、0.6μmであった。
【0053】
引き続き、上記AlNメタライズ基板を室温(25℃)下で濃度50%の塩酸前処理液中に1分間浸漬した後に、温度55℃の酸エッチング液中で1分間処理した後に、温度65℃の無電解ニッケルホウ素(Ni−B)めっき液中に3分間浸漬する処理を行って無電解ニッケルめっき層を形成することにより、実施例7に係るメタライズ基板を製造した。なお、無電解ニッケルめっき層の厚さを測定したところ、1.9μmであった。
【0054】
実施例7に係るメタライズ基板1bにおいては、図4に示す通り、AlN基板2の表面にMo−TiNから成る導体層3が一体に形成され、さらに導体層3の表面に厚さ0.9μmの電解ニッケルめっき層4aと、厚さ0.6μmの電解ニッケルめっき層4bと、厚さ1.9μmの無電解ニッケルめっき層5cとが順次形成されて3層構造のめっき層6aを構成している。
【0055】
上記実施例7のメタライズ基板1bの半田濡れ性の良否を評価するために、実施例1と同様の濡れ性試験を行って金属部品の接合面積に対する半田の濡れ面積の割合を測定したところ、97%という高い値が得られ、半田濡れ性が極めて良好であることが確認できた。
【0056】
一方、他の金属部品との接合性を評価するために、実施例1と同様の引張り試験を実施してピンの接合強度(ピール強度)を測定したところ、2.9kg/mmという高い値が得られ、他の金属部品との接合性も良好であることが判明した。
【0057】
比較例3
実施例1において導体層をAlN基板表面に一体に形成したAlNメタライズ基板を、濃度50%の塩酸前処理液(温度25℃)中に1分間浸漬した後に、電解ニッケルめっき浴(ワット浴)中にてバレルめっき法を用い、電流値50Aで2000カウントの条件下で電解ニッケルめっき層を形成して図5に示すような比較例3に係るメタライズ基板1cを調製した。電解ニッケルめっき層の膜厚を測定したところ、1.7μmであった。
【0058】
得られたメタライズ基板1cについて。実施例1と同様の濡れ性試験および引張り強度試験を実施したところ、接合面積に対する半田の濡れ面積の割合は91%であり、ピンの接合強度は3.0kg/mmと、前記実施例6,7と比較して低い値となり、濡れ性が低下した。
【0059】
比較例4
実施例1において導体層をAlN基板表面に一体に形成したAlNメタライズ基板を、濃度50%の塩酸前処理液(温度25℃)中に1分間浸漬した後に水洗し、さらに温度60℃で濃度50%のアルカリ系触媒溶液中に3分間浸漬した後に水洗した。次に、濃度50%の塩酸液中で30秒間処理した後に、無電解ニッケルめっき液中で6分間処理することにより、無電解ニッケルめっき層を形成し、さらに水洗して、図6に示すような比較例4に係るメタライズ基板1dを調製した。無電解ニッケルめっき層5の膜厚を測定したところ、1.1μmであった。
【0060】
得られたメタライズ基板1dについて。実施例1と同様の濡れ性試験および引張り強度試験を実施したところ、接合面積に対する半田の濡れ面積の割合は100%と良好であったが、ピンの接合強度は2.3kg/mmと、前記実施例6,7と比較して低い値となり、接合強度が低下することが判明した。
【0061】
上記実施例6〜7と比較例3〜4との比較から明らかなように、電解ニッケルめっき層の上面にさらに無電解ニッケルめっき層を順次形成した各実施例に係るメタライズ基板においては、無電解ニッケルめっき層の作用により、半田濡れ性が大幅に改善される。また、下地めっき層としての電解ニッケルめっき層により、接合強度の低下が少ないAlNメタライズ基板が得られることが判明した。さらに、めっき層の張り出し幅Wを3μmとし、実施例1と同様の腐食試験を実施したところ、1000時間放置したものであっても腐食は観察されず、耐食性も向上していることが判明した。
【0062】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係るメタライズ基板によれば、導体層の表面部,側面部および導体層とセラミックス基板との接合端部を被覆するように導体層からセラミックス基板表面まで連続しためっき層を形成しているため、水蒸気,イオン,腐食性ガス等の導体層への浸入がめっき層によって阻止される結果、導体層の腐食が効果的に防止できる。
【0063】
また、導体層とセラミックス基板との接合端部にも連続しためっき層が形成されているため、さらに無電解めっき層を形成する場合においても、無電解めっき施工前の前処理や後処理によって接合端部が浸食されるおそれも少ない。
【0064】
さらに、下地めっき層としての電解めっき層と無電解めっき層とを組み合せてめっき層を構成することにより、無電解めっき処理を行う際に必須であったエッチング処理を省略できる。また電解めっき層の上面に、半田濡れ性が良好な無電解めっき層を形成することにより、セラミックス基板の損傷や導体層の接合不良を招くことなく、導体層の半田濡れ性を大幅に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメタライズ基板の一実施例を示す平面図。
【図2】図1に示すメタライズ基板のII−II矢視拡大断面図。
【図3】本発明に係るメタライズ基板の他の実施例を示す拡大断面図。
【図4】本発明に係るメタライズ基板のその他の実施例を示す拡大断面図。
【図5】従来のメタライズ基板の構成例を示す断面図。
【図6】従来のメタライズ基板の他の構成例を示す断面図。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c,1d メタライズ基板(セラミックス回路基板)
2 セラミックス基板(AlN基板,Al基板)
3 導体層(Mo−TiNメタライズ層,メタライズ配線層)
4,4a 電解ニッケルめっき層
5,5a,5b,5c 無電解ニッケルめっき層
6,6a めっき層

Claims (3)

  1. セラミックス基板表面に回路となる導体層を形成したメタライズ基板において、上記導体層の表面部,側面部および導体層とセラミックス基板との接合端部を被覆するように導体層からセラミックス基板表面まで連続した無電解めっき層を形成し、上記導体層の側面に形成された無電解めっき層表面からセラミックス基板表面上に張り出して形成される上記無電解めっき層の幅が10〜20μmであり、上記無電解めっき層がニッケル(Ni)から形成されており、上記導体層は、モリブデン(Mo),タングステン(W),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ハフニウム(Hf)およびその化合物から選択される少なくとも1種から成り、上記無電解めっき層の厚さが0.5〜8μmであることを特徴とするメタライズ基板。
  2. セラミックス基板が窒化アルミニウム(AlN)基板であることを特徴とする請求項1記載のメタライズ基板。
  3. 上記無電解めっき層によって水蒸気,イオン,腐食性ガスの導体層への直接的な接触を阻止し、導体層の腐食が抑止されていることを特徴とする請求項1記載のメタライズ基板。
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