JP4760076B2 - 熱可塑性樹脂被覆導電性組成物 - Google Patents
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Description
熱可塑性樹脂被覆導電性組成物の形態が上記のようであると、成形時、導電性繊維(A)と低融点金属(B)の接触が効率的に行われ、ヒートショック試験後も優れた導電性を維持することができる。一方、低融点金属(B)が導電性繊維(A)の中に全く入り込まず、導電性繊維(A)の束と低融点金属(B)が並んだ状態で熱可塑性樹脂(C)に被覆されていたり、低融点金属(B)の中に導電性繊維(A)が収束された状態で熱可塑性樹脂(C)に被覆されている場合には、成形時に導電性繊維(A)と低融点金属(B)の接触が損なわれ、ヒートショック試験後に導電性が低下する傾向がある。
導電性繊維数が多すぎると、低温雰囲気下と高温雰囲気下で繰り返し使用されることを想定した試験、いわゆるヒートショック試験を実施すると、導電性が低下したり、成形加工性の悪化、外観不良を生じることがある。
(1)シートを加熱軟化する工程。
(2)軟化したシートを、熱成形用の型で熱成形し、熱成形体を得る工程。
(3)前記熱成形体を、成形用金型のキャビティ内にセットする工程。
(4)熱成形体をセットした上記金型キャビティ内に、溶融した基材用熱可塑性樹脂を注入し、注入された樹脂(基材)と該熱成形体とが貼合された積層構造体を得る射出成形工程。
工程(2)の熱成形法としては、例えば、真空成形、圧空成形、真空圧空成形などが挙げられる。
また、該成形品は、電磁波シールド性を評価する方法の一つであるアドバンテスト法による磁界波2〜30MHzにおいて、30dBを越える電磁波シールド性を備えた電磁波シールド性にも優れたものである。さらに、−30℃と120℃の雰囲気下に300回以上繰り返し曝されるヒートショック試験を実施した後も、導電性を維持することができるものである。
なお、実施例で使用した射出成形機、金型、成形品形状及び評価法は、以下のとおりである。
(1)射出成形機および金型、成形条件
射出成形機:日本製鋼所製 J150E 型締力 150トン
成形温度:250℃
金型:縦150×横150×厚み2mm、形状は図1参照。
金型温度:50℃
(2)導電性の測定
<内部抵抗値の測定>
上記(1)で得られた成形品の4隅に銅製のねじをそれぞれ約100mm間隔になるように打ち込んだ後、2箇所のねじの間の抵抗値を、ミリオームテスターを用いて測定して内部抵抗値の測定を行った。内部抵抗値が小さいほど導電性良好である。
(3)ヒートショック試験
冷熱衝撃試験機(タバイエスペック社製)を使用。
試験条件:低温槽温度−10℃、低温さらし時間30分、高温槽温度90℃、高温さらし時間25分とし、低温槽から高温槽へ、さらに低温槽へとサンプルを移動させるサイクルを300回実施した。
導電性繊維(A)として、繊維径50μmの銅繊維60本を、低融点金属(B)として、直径300μmの鉛フリーはんだ1本を用いた。導電性繊維(A)の繊維収束中に低融点金属(B)を収束した複合繊維束を、プロピレン単独重合体(C)(MFR100g/10min、住友化学工業製、登録商標住友ノーブレンU501E1)とともに40mmφの押出機のダイスを通して押し出し、複合繊維束の表面にプロピレン単独重合体を被覆した後、ペレット長6mmの大きさに切断して熱可塑性樹脂被覆導電性組成物を製造した。得られた熱可塑性樹脂被覆導電性組成物の組成は、銅繊維60重量%、鉛フリーはんだ30重量%、プロピレン単独重合体10重量%であった。
該熱可塑性樹脂被覆導電性組成物33重量%、ポリプロピレン樹脂組成物(MFR60g/10minのプロピレン−エチレン共重合体60重量%、MFR8g/10minのエチレン−1−オクテン共重合体20重量%、タルク20重量%からなる組成物)50重量%、プロピレン−エチレン共重合体(住友化学工業製、登録商標住友ノーブレンAZ161T、MFR30g/10min)9重量%、銅害防止剤マスターバッチ(住友化学工業製、登録商標住友ノーブレンMB109)8重量%をドライブレンドした後、成形温度250℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、150×150×2mm厚みの成形品を作製した。得られた成形品表面は良好であった。得られた成形品の内部抵抗値を評価した。結果を表2に示した。
導電性繊維(A)として、繊維径50μmの銅繊維90本を、低融点金属(B)として、直径300μmの鉛フリーはんだ1本を用いた。導電性繊維(A)の繊維収束中に低融点金属(B)を収束した複合繊維束を、プロピレン単独重合体(C)(MFR100g/10min、住友化学工業製、登録商標住友ノーブレンU501E1)とともに40mmφの押出機のダイスを通して押し出し、複合繊維束の表面にプロピレン単独重合体を被覆した後、ペレット長6mmの大きさに切断して熱可塑性樹脂被覆導電性組成物を製造した。得られた熱可塑性樹脂被覆導電性組成物の組成は、銅繊維67.5重量%、鉛フリーはんだ22.5重量%、プロピレン単独重合体10重量%であった。
該熱可塑性樹脂被覆導電性組成物30重量%、ポリプロピレン樹脂組成物(MFR60g/10minのプロピレン−エチレン共重合体60重量%、MFR8g/10minのエチレン−1−オクテン共重合体20重量%、タルク20重量%からなる組成物)50重量%、プロピレン−エチレン共重合体(住友化学工業製、登録商標住友ノーブレンAZ161T、MFR30g/10min)12重量%、銅害防止剤マスターバッチ(住友化学工業製、登録商標住友ノーブレンMB109)8重量%をドライブレンドした後、成形温度250℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、150×150×2mm厚みの成形品を作製した。得られた成形品表面は良好であった。得られた成形品の内部抵抗値を評価した。結果を表2に示した。
導電性繊維(A)として、繊維径50μmの銅繊維120本を、低融点金属(B)として、直径300μmの鉛フリーはんだ1本を用いた。導電性繊維(A)の繊維収束中に低融点金属(B)を収束した複合繊維束を、プロピレン単独重合体(C)(MFR100g/10min、住友化学工業製、登録商標住友ノーブレンU501E1)とともに40mmφの押出機のダイスを通して押し出し、複合繊維束の表面にプロピレン単独重合体を被覆した後、ペレット長6mmの大きさに切断して熱可塑性樹脂被覆導電性組成物を製造した。得られた熱可塑性樹脂被覆導電性組成物の組成は、銅繊維72重量%、鉛フリーはんだ18重量%、プロピレン単独重合体10重量%であった。
該熱可塑性樹脂被覆導電性組成物28重量%、ポリプロピレン樹脂組成物(MFR60g/10minのプロピレン−エチレン共重合体60重量%、MFR8g/10minのエチレン−1−オクテン共重合体20重量%、タルク20重量%からなる組成物)50重量%、プロピレン−エチレン共重合体(住友化学工業製、登録商標住友ノーブレンAZ161T、MFR30g/10min)14重量%、銅害防止剤マスターバッチ(住友化学工業製、登録商標住友ノーブレンMB109)8重量%をドライブレンドした後、成形温度250℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、150×150×2mm厚みの成形品を作製した。得られた成形品表面は良好であった。得られた成形品の内部抵抗値を評価した。結果を表2に示した。
鉛フリーはんだの周囲を銅繊維が収束せずに、鉛フリーはんだと銅繊維とが並んだ状態でポリプロピレン樹脂に被覆された熱可塑性樹脂被覆導電性組成物を用いた以外は、実施例1と同様に成形品を作製した。得られた成形品の内部抵抗値を評価した。結果を表2に示した。得られた成形品は、表面にはんだの分離が見られた。
繊維径50μmの銅繊維91本の束をプロピレン単独重合体(MFR100g/10min)で被覆した長さ6mmの導電性組成物22重量%と、Sn/Cu/Ag=96.5/0.5/3 (wt/wt)の組成からなる鉛フリーはんだ20重量%およびポリプロピレン樹脂組成物(MFR60g/10minのプロピレン−エチレン共重合体60重量%、MFR8g/10minのエチレン−1−オクテン共重合体20重量%、タルク20重量%からなる組成物)80重量%からなる樹脂組成物37.5重量%、ポリプロピレン樹脂組成物(MFR60g/10minのプロピレン−エチレン共重合体60重量%、MFR8g/10minのエチレン−1−オクテン共重合体20重量%、タルク20重量%からなる組成物)20重量%、プロピレン−エチレン共重合体(住友化学工業製、登録商標住友ノーブレンAZ161T、MFR30g/10min)12.5重量%、銅害防止剤マスターバッチ(住友化学工業製、登録商標住友ノーブレンMB109)8重量%を用いて、実施例1と同様に射出成形により成形品を得た。得られた成形品表面は良好であった。得られた成形品の内部抵抗値を評価した。結果を表2に示した。
Claims (2)
- 導電性繊維(A)、前記導電性繊維(A)よりも融点が低く、鉛を含有しない繊維状または棒状の低融点金属(B)および熱可塑性樹脂(C)からなる熱可塑性樹脂被覆導電性組成物であって、
導電性繊維(A)の繊維径は、40〜60μmであり、低融点金属(B)の径は、0.1〜3mmであり、
該組成物中の導電性繊維(A)、低融点金属(B)、熱可塑性樹脂(C)の重量合計を100としたときの導電性繊維(A)の割合が50〜95重量%、低融点金属(B)の割合が4〜40重量%、熱可塑性樹脂(C)の割合が1〜20重量%であり、
低融点金属(B)の導電性繊維(A)に対する重量比((B)/(A))が0.32〜0.7であり、かつ、前記低融点金属(B)が、50〜95本の前記(A)導電性繊維で包まれるようにして形成された複合繊維束の表面に、溶融状の前記(C)熱可塑性樹脂が被覆されていることを特徴とする熱可塑性樹脂被覆導電性組成物。 - 導電性繊維(A)が銅繊維である請求項1に記載の熱可塑性樹脂被覆導電性組成物。
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