JP4759726B2 - 2領域微粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
(i) 少なくとも1種の分散安定剤の水溶液中に、2種のポリマーを含む有機溶媒溶液を分散させることにより、1種のポリマーを含む材料からなる2つの領域に分離した表面を有する液滴が得られる。さらに、この液滴分散液から溶媒を除去することにより、2種のポリマー領域に分離した微粒子が得られる。
(ii) 2種のポリマーを同容量使用し、かつ上記液滴を構成する各表面領域の分散安定剤水溶液との間の界面自由エネルギーがほぼ等しくなるように、ポリマー及び分散安定剤の種類を選択すれば、各領域の表面積は等しくなり、その結果、半球状の2領域が合一した形の球状微粒子が得られる。
(iii) 2種のポリマーを含む有機溶媒溶液に、2種以上の顔料又は/及び染料を含ませる場合は、各染顔料は馴染の良いポリマー溶液中に移行するため、得られる微粒子において、互いに異なる染顔料及びポリマーを含む2領域が形成される。また、1種の顔料又は染料を用いる場合も馴染の良いポリマー溶液中に移行するため、得られる微粒子において、互いに色又は濃度の異なる2領域が形成される。
液滴から溶媒を除去する第2工程と
を含む2領域微粒子の製造方法。
分散安定剤
分散安定剤としては、ポリマーを含む有機溶媒溶液を水中に分散して形成した液滴が、合一しないようにする作用を有するものを広い範囲から使用できる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルチオエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドのようなポリオキシエチレン系界面活性剤、ポリエチレンイミン、ソルビタンアルキルエステル、グリセリン又はポリグリセリンと油脂、脂肪酸、樹脂酸、又はナフテン酸とのエステル、グリコールエステル、ペンタエリスリットエステル、サッカロースエステルのような多価アルコールと脂肪酸とのエステル、脂肪酸エタノールアミド、メチロールアミド、オキシメチルエタノールアミド、脂肪酸エタノールアミド誘導体のようなアミド型界面活性剤等のノニオン性界面活性剤;
炭素数12〜30程度の高級脂肪酸塩(以下、「高級」とは炭素数12〜30程度を指す)、第2級高級脂肪酸塩、高級アルキル・ジカルボン酸塩のようなカルボン酸型陰イオン性界面活性剤、第1級高級アルコール硫酸エステル塩、第1級高級アルコール硫酸エステル塩のような硫酸エステル型陰イオン性界面活性剤、第1級高級アルキル硫酸エステル塩、第2級高級アルキル硫酸エステル塩のような硫酸エステル型陰イオン性界面活性剤、第1級高級アルキル・スルフォン酸塩、第2級高級アルキル・スルフォン酸塩、高級アルキル・ジスルフォン酸塩、硫酸化脂肪及び硫酸化脂肪塩、スルフォン化高級脂肪酸塩のようなスルホン酸型陰イオン性界面活性剤、高級アルキルリン酸エステル塩のようなリン酸エステル型陰イオン性界面活性剤、アルキルベンゼン・スルフォン酸塩、アルキルフェノール・スルフォン酸塩、アルキルナフタリン・スルフォン酸塩、アルキルテトラリン・スルフォン酸塩のようなアルキルアリルスルフォン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、高級脂肪酸アミドのアルキル化スルフォン酸塩のようなアミドスルフォン酸塩型アニオン系界面活性剤;
アルキルアミン塩、変性アルキルアミン塩、テトラアルキル第4級アンモニウム塩、変性トリアルキル第4級アンモニウム塩、トリアルキル・ベンジル第4級アンモニウム塩、アルキル・ピリジニウム塩、変性アルキル・ピリジニウム塩、アルキル・キノリニウム塩、アルキル・フォスフォニウム塩、アルキル・スルフォニウム塩等のカチオン性界面活性剤;
陽イオン性基としてテトラアルキル第4級アンモニウム塩を有し、陰イオン性基としてカルボキシル基、又はスルフォン酸基を有する両性界面活性剤等が挙げられる。
ポリマー
ポリマーは、有機溶媒に溶解する熱可塑性樹脂であればよく、特に限定されない。
このようなビニル系モノマーとしては、モノビニル芳香族系モノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー,ビニルエステル系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、モノオレフィン系モノマー、ハロゲン化オレフィン系モノマー、ジオレフィン等の単官能性モノマーが挙げられる。
上記一般式(1)において、R1は、水素原子、メチル基又は塩素原子が好ましく、R2は、水素原子、塩素原子、メチル基又は−SO3Na基であるのが好ましい。
一般式(2)において、R3は、水素原子又はメチル基であるのが好ましく、R4は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、低級(炭素数1〜4)ヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アミノアルキル基が好ましい。
上記ビニルエステル系単量体の具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
上記ビニルエーテル系単量体の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルn−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が挙げられる。
上記モノオレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられる。
また、ビニル系の多官能性モノマーは、一方のビニル基のみが重合に関与し,他のビニル基(官能基)が残存し,溶媒に溶解する線状ポリマーであれば使用できる。例えば,アリルメタクリレートなどの反応性の違う2重結合を持ったモノマーの重合の場合がそれに相当する。
液滴中のポリマーの濃度は、2種の合計で1〜25重量%程度が好ましく、5〜10重量%程度がより好ましい。液滴中のポリマー濃度が上記範囲であれば、実用的な時間内に溶媒を放出させることができ、かつ粘度が高くなりすぎず明確に相分離する。但し,顔料などを混合する場合においては,その容積も加味した容積であるものとする。
ポリマー・分散安定剤の好適な組み合わせ
2種のポリマーを含む溶液が水中に分散されてなる液滴は、互いに異なるポリマー溶液からなる2領域に分離する。このポリマー溶液の分離は、液滴表面に2領域ができるように行われる。ここで、ポリマー溶液は、分散安定剤水溶液との間の界面自由エネルギーが小さいほど大きな表面積を占めるようになる。従って、2種のポリマー溶液の分散安定剤水溶液との間の界面自由エネルギーが互いに実質的に同じ、即ち、両者が等しいか、又はその差が1.5mN/m以下になるようにすれば、2種のポリマー溶液からなる半球に分離した液滴が得られ、最終的に、互いに異なるポリマーからなる半球状部分が合一した形の球状微粒子が得られる。
有機溶媒
有機溶媒は、ポリマーを溶解、又は膨潤させるものであればよく、特に限定されない。有機溶媒としては、例えば、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンのような直鎖状および分岐状脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン,ベンゼン,キシレン,シクロヘキシルベンゼン、1,2-ジメチルナフタレン、1,3-ジメチルナフタレン、1,6-ジメチルナフタレンのような芳香族炭化水素系溶媒;ジベンジルエーテルのようなエーテル系溶媒;アセチルクエン酸トリエチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ベンジル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ベンジル、シュウ酸ジアミル、酒石酸ジブチル、フタル酸ジエチルのようなエステル系溶媒;ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジブチルアニリン、トリアミルアミン、トリ-n-ブチルアミンのような含窒素系溶媒などが挙げられる。
染顔料
ポリマー溶液に、顔料及び染料からなる群より選ばれる少なくとも1種の着色剤を添加してもよい。隠ぺい力や長期着色安定性の点で顔料が好ましい。
分散工程
第1工程では、ポリマーの有機溶媒溶液を調製し、分散安定剤水溶液中で分散させる。ポリマー溶液の使用量は、分散安定剤水溶液に対して0.1〜20重量%程度が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。ポリマー溶液の使用量が上記範囲であれば、実用的な生産性が得られ、かつ液滴同士の合一が起こり難い。
溶媒除去工程
第2工程では、液滴から溶媒を除去する。例えば、液滴分散液を、温度0〜40℃程度の加熱下、又は/及び圧力103〜105Pa程度の減圧条件下に置くことにより、分散安定剤水溶液を通して液滴中の有機溶媒が蒸発して除去される。上記温度範囲、又は圧力範囲であれば、実用的な時間内に溶媒を除去することができるとともに、2領域の間の界面が平滑になり、例えば明確に半球状部分に分かれた微粒子を得ることができる。なお、自然蒸発させたり、相分離後に分散安定剤水溶液ごとスプレードライすること等によっても乾燥できる。
後染色工程
また本発明方法では、2種のポリマーを含む有機溶媒溶液に、1種以上の顔料又は/及び染料を含ませて、2領域からなる微粒子を作成した後、一方の領域を,別途、化学反応により染色させることもできる。例えば、2種のポリマーと1種の染顔料を用いて一方の領域に染顔料が含まれる2領域微粒子を作成し、次いで、染顔料が含まれない方の領域を化学反応により染色することもできる。
微粒子
このようにして、互いに異なるポリマーを含む2領域かなる微粒子が得られる。この微粒子は、表面部分が互いに異なるポリマーからなるように分かれた2領域からなるものである。
実施例
以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<界面自由エネルギーの測定>
表面張力試験器(DropMaster500)(協和界面科学株式会社)を用いて、所定の濃度の界面活性剤水溶液中に、室温下、ポリマーを溶解した(18wt%)トルエン溶液を内径1mmの逆針より押し出し,ペンダント型に形成されたトルエン滴の形状とそれぞれの密度差より,界面張力を測定した。
<平均粒径の測定>
光学顕微鏡を用いて100個の微粒子について測定し平均値を求めた。
実施例1
50ml容量のサンプル瓶内でポリスチレン(PS)0.025g及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)0.025gを0.6gトルエン中に溶解させ、このポリマー溶液に0.0033wt% Emulgen 911(Kao. Corp.)水溶液15gを加えた後、ホモジナイザーを用いて2000rpmで2分間撹拌することで懸濁滴を作製した。懸濁滴からトルエンを室温で24時間放置することで蒸発させて、粒子を作製した。得られた粒子は,平均粒子径4μmであり,半球状に相分離していた。
実施例2
50ml容量のサンプル瓶内でポリスチレン0.025g及びポリメタクリル酸メチル0.025gを0.6gトルエン中に溶解させ、このポリマー溶液に10wt% Tween 80(Nakalai tesque. Inc.)水溶液0.01g、2.83wt% ポリビニルアルコール(PVA;鹸化度88%)水溶液3.51g及び純水11.58gの混合水溶液を加えた後、ホモジナイザーを用いて2000rpmで2分間撹拌することで懸濁滴を作製した。懸濁滴からトルエンを室温で24時間放置することで蒸発させて、粒子を作製した。得られた粒子は,平均粒子径5μmであり,半球状に相分離していた。
実施例3
50ml容量のサンプル瓶内でポリスチレン0.025g及びポリメタクリル酸メチル0.025g,カーボンブラック0.01gを0.5gトルエン中に溶解させ、このポリマー溶液に0.0033wt% Emulgen 911(Kao. Corp.)水溶液15gを加えた後、ホモジナイザー2000rpmで2分間撹拌することで懸濁滴を作製した。懸濁滴からトルエンを室温で24時間放置することで蒸発させて、粒子を作製した。得られた粒子は,平均粒子径3μmであり,半球状に相分離しており,カーボンブラックが片方の相のみに存在していた。
実施例4
50ml容量のサンプル瓶内でポリスチレン0.025g及びポリメタクリル酸メチル0.025g,酸化チタン0.01gを0.5gトルエン中に溶解させ、このポリマー溶液に0.0033wt% Emulgen 911(Kao. Corp.)水溶液15gを加えた後、ホモジナイザーを用いて2000rpmで2分間撹拌することで懸濁滴を作製した。懸濁滴からトルエンを室温で24時間放置することで蒸発させて、粒子を作製した。得られた粒子は,平均粒子径4μm,半球状に相分離しており,酸化チタンが片方の相のみに存在していた。
実施例5
50ml容量のサンプル瓶内でポリスチレン0.025g及びポリメタクリル酸メチル-アリルメタクリレート共重合体(9/1モル比)0.025g,酸化チタン0.01gを0.5gトルエン中に溶解させ、このポリマー溶液に0.0033wt% Emulgen 911(Kao. Corp.)水溶液15gを加えた後、ホモジナイザーを用いて2000rpmで2分間撹拌することで懸濁滴を作製した。懸濁滴からトルエンを室温で24時間放置することで蒸発させて、粒子を作製した。得られた粒子は,平均粒子径4μm,半球状に相分離しており,酸化チタンがスチレン部にのみに存在していた。その後,粒子を四酸化オスミウム酸で100℃にてポリメタクリル酸メチル-アリルメタクリレート共重合体部を染色することにより,2色半球状分離粒子が作製された。
実施例6
50ml容量のサンプル瓶内でポリスチレン0.025g及びポリメタクリル酸メチル0.025gを0.6gトルエン中に溶解させ、このポリマー溶液に0.0033wt%ドデシル硫酸ナトリウム(ナカライテスク(株))水溶液15gを加えた後、ホモジナイザーを用いて2000rpmで2分間撹拌することで懸濁滴を作製した。懸濁滴からトルエンを室温で24時間放置することで蒸発させて、粒子を作製した。
このとき,それぞれの相と分散安定剤水溶液との間の界面張力の差は1.7mN/mであった。得られた粒子は,平均粒子径2μmであった。また、相分離はしていたが、半球状には相分離していなかった。
Claims (5)
- 高分子分散安定剤、ポリオキシエチレン系界面活性剤、及び硫酸エステル型陰イオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の分散安定剤の水溶液中に、2種のポリマーを含む有機溶媒溶液を分散させて、互いに異なるポリマーを含む材料からなる2つの表面領域を有する液滴を得る第1工程と、
液滴から溶媒を除去する第2工程と
を含む2領域微粒子の製造方法であって、
前記2種のポリマーが、モノビニル芳香族系モノマーを重合させたポリマー、及びアクリル系モノマー又はメタクリル系モノマーを重合させたポリマーである、製造方法。 - 第1工程で得られる液滴中の、互いに異なるポリマーを含む材料からなる2つの表面領域の分散安定剤水溶液との間の界面自由エネルギーが実質的に同じとなるように、前記ポリマー及び前記分散安定剤を使用する請求項1に記載の方法。
- 前記2種のポリマーを実質的に同容積使用する請求項1又は2に記載の方法。
- 前記2種のポリマーを含む有機溶媒溶液に、さらに顔料及び染料からなる群より選ばれる少なくとも1種の着色剤が含まれる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- さらに、得られた2領域微粒子の一方の領域を染料で染めて、2領域のそれぞれが着色された微粒子を得る第3工程を含む請求項4に記載の方法。
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