JP4756306B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、例えば車載用の燃料電池システムに関し、より詳細には、燃料電池に供給する酸化剤ガスの圧力を制御可能な燃料電池システムに関する。
この種の燃料電地システムにおいては、水素を含有する燃料ガスが燃料電池のアノード側電極(燃料極)に供給されると共に、空気等の酸素を含有する酸化剤ガスが燃料電池のカソード側電極(酸素極)に供給され、発電を行う燃料電池を中核とした発電システムである。この燃料電池システムは、化学エネルギを直接、電気エネルギに変換するものであり、高い発電効率を有する。また、近年、この燃料電池システムを搭載し、この電気エネルギを駆動力源とした車両が開発されている。このような燃料電池システムにおいては、カソード側電極に発電に必要な流量と圧力を有する酸化剤ガスが供給されるために、圧縮機(コンプレッサ)や、調圧弁(レギュレータ)等が設けられる。
また、特許文献1には、燃料電池システムを搭載した車両において、走行運転時の高い駆動力(発電量)を必要とする高負荷運転時と、アイドル運転時の駆動力(発電量)を必要としない低負荷運転時とを制御する間欠運転に関する技術が開示されている。
特許文献2には、燃料電池システムの酸化剤ガスの循環系(以下、「カソード系」と称す)の排出側(下流側)における酸化剤ガスの圧力(所謂、「背圧」)と流量をスロットル弁等によって制御する技術が開示されている。
特許文献3には、燃料電池システムを搭載した車両が、例えば加速時等の過渡状態に発電量を急激に増加させる性能、所謂、過渡応答性能を、調圧弁等が設けられ、制御されることによって向上させる技術が開示されている。
特開2001−307758号公報 特開2003−304606号公報 特開2000−315510号公報 特開平5−135789号公報 特開2003−217626号公報
しかしながら、例えば、燃料電池システムを搭載した車両において、例えば、圧縮機用モータ等の補機類も停止される低負荷運転時には、アノード側電極からカソード側電極に水素が透過(所謂、クロスリーク)することによってカソード側電極の酸素が消費され、燃料電池スタック内の酸素の濃度が低くなる一方で、酸化剤ガスたる空気中に元々含まれる窒素の濃度が高くなる傾向がある。よって、低負荷運転或いは無負荷運転から、高負荷運転に切り替えられた場合に、特許文献1によれば、背圧の制御が行われないため、残存している窒素の排出が遅れ、カソード側電極で一時的に酸素不足に陥り、十分な過渡応答性能が得られないという技術的な問題点がある。
また、特許文献2によれば、高負荷運転に切り替えられた場合に、カソード系の背圧の制御が行われ、燃料電池システムの排出側に設けられたスロットル弁の開度が小さくされる。しかし、このスロットル弁の開度が小さくされることによって残存している窒素の排出が遅れ、特許文献1と同様に、十分な過渡応答性能が得られないという技術的な問題点がある。
また、特許文献3によれば、過渡応答性能を向上させるとの開示はあるが、特に上述の如く無負荷運転から高負荷運転に切り替えられる際に生じ得る酸素不足に対処するには不十分であるという技術的な問題点がある。
そこで本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、例えば、燃料電池システムを搭載した車両において、例えば間欠運転の際に生じる水素のクロスリークによる酸素不足など、低負荷状態或いは無負荷状態で酸素極に生じ得る酸化剤ガスの不足による悪影響を低減可能であり、よって過渡応答性能を向上させることが可能な燃料電池システムを提供することを課題とする。
本発明の燃料電池システムは上記課題を解決するために、燃料極(アノード)に供給された燃料ガスと酸素極(カソード)に供給された酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、該燃料電池における前記酸素極の残留ガスが排出される排出側に設けられ、前記残留ガスの背圧を調節する調圧手段と、前記燃料電池が低負荷状態から高負荷状態に切り替えられる高負荷切替の際に、前記燃料電池の上流側の圧力と前記背圧との差が大きくなるように、前記調圧手段を制御する制御手段とを備える。
本発明の燃料電池システムによれば、例えば、高い発電量を要求する高負荷状態と、発電量を殆ど又は全く要求しない低負荷状態或いは無負荷状態とが間欠的に繰り返される、所謂、間欠運転が行われる。
高負荷状態において、例えば、アノードである燃料極を構成する触媒層及びガス拡散層に燃料ガスが供給されると共に、例えば、カソードである酸素極を構成する触媒層及びガス拡散層に酸化剤ガスが供給され、両ガスが電気化学反応を起こし、燃料電池において発電が行われる。例えば、酸化剤ガスは、空気として外気から取り込まれ、コンプレッサにより加圧して酸素極に供給される。そして、酸素極の排出側からは、酸化剤ガスの残留ガスが排出される。係る酸素極の残留ガスの背圧は、例えば調圧弁からなる調圧手段により、高めに調節されることで、酸素極には、十分な酸化剤ガスが供給される。
他方、低負荷状態或いは無負荷状態においては、酸化剤ガスが殆ど又は全く供給されていない。例えば、空気たる酸化剤ガスを供給するためのコンプレッサは、停止される。しかしならが、低負荷状態或いは無負荷状態では、燃料極に残留する燃料ガスは、燃料電池内の電解質膜を透過(クロスリーク)し、酸素極に残留する酸化剤ガス(即ち、酸素極の残留ガス)と化学反応を起こす。ここに、本願発明に係る「化学反応」とは、燃料電池における電気化学反応とは異なり、酸素極において、電子の流れを伴わない反応のことである。より具体的には、水素と酸素が化学反応を起こし、水が生成される。特に、このような低負荷状態或いは無負荷状態が、例えば数秒、数分又は数時間以上に亘って長く続くと、化学反応の影響は顕在化し、酸素極の残留ガスにおいては無視し得ない程度に、酸素濃度が減少すると共に窒素濃度が増加する。
ここで仮に、次の高負荷切替の際に、例えば調圧弁を瞬時に閉弁することで背圧を瞬時に上昇させるなど、残留ガスの排出を促進しないように調圧手段を制御してしまうと、酸素極における残留ガス及び酸化剤ガスの流量は、緩やかにしか増加されない。この結果、酸素極における酸化剤ガスの不足により、電気化学反応が想定されている程度に起こらずに、発電不足の事態が生じ得る。即ち、高負荷切替時における過渡応答性能が顕著に落ちてしまいかねない。
しかるに本発明の燃料電池システムによれば、高負荷切替の際には、制御手段による制御下で、調圧手段によって、例えば、調圧弁をゆっくりと閉弁することで背圧をゆっくりと上昇させるなど、残留ガスの排出が促進される。例えば、酸素極に残留していた残留ガスは、高負荷切替の際には、コンプレッサにより空気として供給される酸化剤ガスにより、酸素極から、背圧の低い調圧手段を介して急激に流れ出されることになる。その結果、前述の如く低負荷状態或いは無負荷状態で大なり小なり低下していた、燃料電池内の酸素濃度を、急激に高めることが可能となる。従って、例えば、高負荷切替時に、加速時等の高負荷運転が即時に要求される過渡状態に迅速に応答して、燃料電池システムの発電量を急激に増加させる性能、所謂、過渡応答性能を向上させることが可能となる。
本発明の燃料電池システムの一態様では、前記制御手段は、前記燃料電池が前記低負荷状態又は前記高負荷状態にあるか否かを判定する負荷状態判定手段を含み、該負荷状態判定手段により前記高負荷切替であると判定された場合に、前記燃料電池の上流側の圧力と前記背圧との差が大きくなるように、前記調圧手段を制御する。
この態様によれば、負荷状態判定手段によって、燃料電池が低負荷状態にあるか又は高負荷状態にあるかが、例えば間欠運転中、常時或いは適宜に判定される。そして、負荷状態判定手段により高負荷切替であると判定された場合には、制御手段の制御下で、調整手段は、例えば調圧弁をゆっくりと閉弁するなど、残留ガスの排出を促進する。即ち、高負荷切替の際には確実に、残留ガスの排出を促進することが可能となる。
本発明の燃料電池システムの他の態様では、前記酸素極における酸素濃度を検出又は推定する酸素濃度特定手段を更に備え、前記制御手段は、前記高負荷切替の際に、前記検出又は推定された酸素濃度が相対的に低い場合、前記燃料電池内の空気流量の上昇速度に比べて、前記背圧の上昇速度を相対的に遅くするように前記調圧手段を制御する。
この態様によれば、酸素濃度特定手段によって、例えば間欠運転中或いは高負荷切替の際に、酸素極における酸素濃度が、直接的若しくは間接的に検出又は推定される。そして、高負荷切替の際には、酸素濃度特定手段により検出又は推定された酸素濃度が相対的に低い場合、制御手段による制御下で、調圧手段は、例えば調圧弁を相対的にゆっくりと閉弁したり、相対的に低速な所定速度で閉弁するなど、背圧の上昇速度を相対的に遅くする。即ち、高負荷切替の際に、実際に酸素濃度が酸素極で不足している場合に限って、或いは酸素濃度の不足の度合に応じて、残留ガスの排出を促進することが可能となる。逆に、高負荷切替の際に、酸素濃度特定手段により検出又は推定された酸素濃度が相対的に低くない場合、制御手段による制御下で、調圧手段は、例えば調圧弁を相対的に早く閉弁したり、相対的に高速な所定速度で閉弁するなど、背圧の上昇速度を相対的に早める。これにより、高負荷切替の際に、実際に酸素濃度が酸素極で不足していない場合に、酸化剤ガスを無駄に供給し、排出する事態を回避できる。
また、背圧が高い方が燃料電池の出力効率は向上するため、酸素濃度に応じて背圧を上昇させることができ、出力効率の低下を抑制することができる。
この態様では、前記制御手段は、前記高負荷切替の際に、前記検出又は推定された酸素濃度が低くなるにしたがって、前記燃料電池内の空気流量の上昇速度に比べて、前記背圧の上昇速度を遅くするように前記調圧手段を制御するように構成してもよい。
このように構成すれば、燃料ガスのクロスリークに起因して、酸素濃度が減少されると共に、窒素濃度が増加されることに、より的確に過渡応答性能を向上させることが可能となる。
この態様では、前記制御手段は、前記高負荷切替の際に、前記検出又は推定された酸素濃度が所定閾値以下である場合、前記燃料電池内の空気流量の上昇速度に比べて、前記背圧の上昇速度を遅くするように前記調圧手段を制御するように構成してもよい。
このように構成すれば、燃料ガスのクロスリークに起因して、酸素濃度が減少されると共に、窒素濃度が増加されることに、より迅速且つ簡便に過渡応答性能を向上させることが可能となる。
この態様では、前記燃料ガスの圧力を測定する測定手段を更に備え、前記酸素濃度特定手段は、前記測定された燃料ガスの圧力に基づいて、前記酸素濃度を検出又は推定するように構成してもよい。
このように構成すれば、測定手段によって測定された燃料ガスの圧力に基づいて、より迅速且つ簡便に酸素濃度を検出又は推定することが可能となる。より具体的には、酸素濃度特定手段は、測定された燃料ガスの圧力が減少した場合に、燃料ガスのクロスリークに起因される酸素濃度の減少、即ち、窒素濃度の増加をより迅速且つ簡便に検出又は推定することが可能となる。
この態様では、前記燃料電池の負荷量を測定する負荷量測定手段を更に備え、前記酸素濃度特定手段は、前記測定された負荷量に基づいて、前記酸素濃度を検出又は推定するように構成してもよい。
このように構成すれば、負荷量測定手段によって、燃料ガスのクロスリークに起因される酸素濃度の減少、即ち、窒素濃度の増加をより迅速且つ簡便に検出又は推定することが可能となる。より具体的には、負荷量測定手段によって、低負荷状態となる以前又は以降の高負荷状態の負荷量が測定される。即ち、負荷量測定手段によって、低負荷状態の燃料電池スタック内に潜在的に存在する可能性のある燃料ガスの量が間接的に測定されることで、燃料ガスのクロスリークに起因される酸素濃度の減少、即ち、窒素濃度の増加をより迅速且つ簡便に検出又は推定することが可能となる。
この態様では、前記低負荷状態の時間を計測する低負荷時間計測手段を更に備え、前記酸素濃度特定手段は、前記計測された時間に基づいて、前記酸素濃度を検出又は推定するように構成してもよい。
このように構成すれば、低負荷時間計測手段によって、燃料ガスのクロスリークに起因される酸素濃度の減少、即ち、窒素濃度の増加をより迅速且つ簡便に検出又は推定することが可能となる。より具体的には、低負荷時間計測手段によって、低負荷状態の時間が長くなった場合に、酸素濃度の減少、即ち、窒素濃度の増加をより迅速且つ簡便に検出又は推定することが可能となる。
本発明の燃料電池システムの他の態様では、前記酸素極における窒素濃度を検出又は推定する窒素濃度特定手段を更に備え、前記制御手段は、前記高負荷切替の際に、前記検出又は推定された窒素濃度が相対的に大きい場合、前記燃料電池内の空気流量の上昇速度に比べて、前記背圧の上昇速度を相対的に遅くするように前記調圧手段を制御する。
この態様によれば、窒素濃度特定手段によって、例えば間欠運転中或いは高負荷切替の際に、酸素極における窒素濃度が、直接的若しくは間接的に検出又は推定される。そして、高負荷切替の際には、窒素濃度特定手段により検出又は推定された窒素濃度が相対的に高い場合、制御手段による制御下で、調圧手段は、例えば調圧弁を相対的にゆっくりと閉弁したり、相対的に低速な所定速度で閉弁するなど、背圧の上昇速度を相対的に遅くする。即ち、高負荷切替の際に、実際に窒素濃度が酸素極で増加している場合に限って、或いは窒素濃度の増加の度合に応じて、残留ガスの排出を促進することが可能となる。逆に、高負荷切替の際に、窒素濃度特定手段により検出又は推定された窒素濃度が相対的に低い場合、制御手段による制御下で、調圧手段は、例えば調圧弁を相対的に早く閉弁したり、相対的に高速な所定速度で閉弁するなど、背圧の上昇速度を相対的に早める。これにより、高負荷切替の際に、実際に窒素濃度が酸素極で増加していない場合に、酸化剤ガスを無駄に供給し、排出する事態を回避できる。
特に、この態様によれば、窒素濃度検出手段によって、水素の透過に直接影響される窒素濃度が検出又は推定されるので、酸素濃度の減少、即ち、窒素濃度の増加に、より迅速且つ簡便に対応することが可能となる。
また、この態様によれば、高負荷切替の際に、窒素濃度特定手段によって検出又は推定された窒素濃度が高くなるにしたがって、制御手段による制御下で、背圧の上昇速度を遅くするように調圧手段を制御するように構成してもよい。
また、この態様によれば、高負荷切替の際に、窒素濃度特定手段によって検出又は推定された窒素濃度が所定閾値以上である場合、制御手段による制御下で、背圧の上昇速度を遅くするように調圧手段を制御するように構成してもよい。
更に、この態様によれば、燃料ガスの圧力を測定する測定手段を更に備え、窒素濃度特定手段は、測定された燃料ガスの圧力に基づいて、窒素濃度を検出又は推定するように構成してもよい。
更に、この態様によれば、燃料電池の負荷量を測定する負荷量測定手段を更に備え、窒素濃度特定手段は、測定された負荷量に基づいて、窒素濃度を検出又は推定するように構成してもよい。
更に、この態様によれば、低負荷状態の時間を計測する低負荷時間計測手段を更に備え、窒素濃度特定手段は、計測された時間に基づいて、窒素濃度を検出又は推定するように構成してもよい。
本発明の燃料電池システムの他の態様では、前記燃料極における水素濃度を検出又は推定する水素濃度特定手段を更に備え、前記制御手段は、前記高負荷切替の際に、前記検出又は推定された水素濃度が相対的に低い場合、前記燃料電池内の空気流量の上昇速度に比べて、前記背圧の上昇速度を相対的に遅くするように前記調圧手段を制御する。
この態様によれば、水素濃度特定手段によって、例えば間欠運転中或いは高負荷切替の際に、燃料極における水素濃度が、直接的若しくは間接的に検出又は推定される。そして、高負荷切替の際には、水素濃度特定手段により検出又は推定された水素濃度が相対的に低い場合、例えば多量の水素が電解質膜を透過している可能性が高く、それに伴って、酸素極で窒素濃度が増加している可能性が高いので、制御手段による制御下で、調圧手段は、例えば調圧弁を相対的にゆっくりと閉弁したり、相対的に低速な所定速度で閉弁するなど、背圧の上昇速度を相対的に遅くする。即ち、高負荷切替の際に、実際に水素濃度が燃料極で減少している場合に限って、或いは水素濃度の減少の度合に応じて、残留ガスの排出を促進することが可能となる。逆に、高負荷切替の際に、水素濃度特定手段により検出又は推定された水素濃度が相対的に低くない場合、制御手段による制御下で、調圧手段は、例えば調圧弁を相対的に早く閉弁したり、相対的に高速な所定速度で閉弁するなど、背圧の上昇速度を相対的に早める。これにより、高負荷切替の際に、実際に水素濃度が燃料極で減少していない場合に、酸化剤ガスを無駄に供給し、排出する事態を回避できる。
特に、この態様によれば、水素濃度検出手段によって、窒素濃度の増加に間接的に影響する水素濃度が検出又は推定され、燃料ガスのクロスリークに起因される酸素濃度の減少、即ち、窒素濃度の増加に、より迅速且つ簡便に対応することが可能となる。
また、この態様によれば、高負荷切替の際に、水素濃度特定手段によって検出又は推定された水素濃度が低くなるにしたがって、制御手段による制御下で、背圧の上昇速度を遅くするように調圧手段を制御するように構成してもよい。
また、この態様によれば、高負荷切替の際に、水素濃度特定手段によって検出又は推定された水素濃度が所定閾値以下である場合、背圧の上昇速度を遅くするように構成してもよい。
更に、この態様によれば、燃料ガスの圧力を測定する測定手段を更に備え、水素濃度特定手段は、測定された燃料ガスの圧力に基づいて、水素濃度を検出又は推定するように構成してもよい。
更に、燃料電池の負荷量を測定する負荷量測定手段を更に備え、水素濃度特定手段は、測定された負荷量に基づいて、水素濃度を検出又は推定するように構成してもよい。
更に、低負荷状態の時間を計測する低負荷時間計測手段を更に備え、水素濃度特定手段は、計測された時間に基づいて、水素濃度を検出又は推定するように構成してもよい。
本発明の燃料電池システムの他の態様では、前記調圧手段は、圧力調整弁を有し、前記制御手段は、前記燃料電池の上流側の圧力と前記背圧との差が大きくなるように、記圧力調整弁の開度の絞り速度を制御する。
この態様によれば、制御手段の制御下で、圧力調整弁の開度の絞り速度が制御されることで、残留ガスの排出を促進するように、調圧手段をより簡便に制御することが可能となる。
本発明の燃料電池システムの他の態様では、前記酸化剤ガスを加圧して供給する加圧供給手段(コンプレッサ)を更に備え、前記制御手段は、前記低負荷状態では前記酸化剤ガスを供給する動作を停止し、前記高負荷状態では前記酸化剤ガスを供給する動作を行うように、前記加圧供給手段を制御する。
この態様によれば、制御手段の制御下で、加圧供給手段によって、例えば、高い発電量を要求する高負荷状態と、発電量を殆ど又は全く要求しない低負荷状態或いは無負荷状態とが間欠的に繰り返される、所謂、間欠運転が実現可能である。
この態様では、前記制御手段は、前記燃料電池が前記高負荷状態から前記低負荷状態に切り替えられる低負荷切替の場合に、前記低負荷状態に切替えられてからも所定時間だけ前記酸化剤ガスを供給するように前記加圧供給手段を制御するように構成してもよい。
このように構成すれば、制御手段の制御下で、加圧供給手段は、低負荷状態に切り替えられてからも所定時間だけ酸化剤ガスの供給を継続する。よって、水素のクロストークによって、窒素濃度が増加し始める時期を遅らせることが可能となる。
以上より、より簡便に、過渡応答性能を向上させることが可能となる。
本発明の燃料電池システムの制御方法は上記課題を解決するために、燃料極(アノード)に供給された燃料ガスと酸素極(カソード)に供給された酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、該燃料電池における前記酸素極の残留ガスが排出される排出側に設けられ、前記残留ガスの背圧を調節する調圧手段とを備えた燃料電池システムを制御する制御方法であって、前記調圧手段により前記背圧を調節する調圧工程と、前記燃料電池が低負荷状態から高負荷状態に切り替えられる高負荷切替の際に、前記燃料電池の上流側の圧力と前記背圧との差が大きくなるように、前記調圧手段を制御する制御工程とを備える。
本発明の燃料電池システムの制御方法によれば、上述した燃料電池システムと同様に、高負荷切替えの際には、制御工程による制御下で、調圧手段によって、例えば、調圧弁をゆっくりと閉弁することで背圧をゆっくりと上昇させるなど、残留ガスの排出が促進される。例えば、酸素極に残留していた残留ガスは、高負荷切替えの際には、コンプレッサにより空気として供給される酸化剤ガスにより、酸素極から、背圧の低い調圧手段を介して急激に流れ出されることになる。その結果、低負荷状態或いは無負荷状態で大なり小なり低下していた、燃料電池内の酸素濃度を、急激に高めることが可能となる。従って、例えば、高負荷切替え時に、加速時等の高負荷運転が即時に要求される過渡状態に迅速に応答して、燃料電池システムの発電量を急激に増加させる性能、所謂、過渡応答性能を向上させることが可能となる。
本発明の燃料電池システムによれば、例えば、燃料電池システムを搭載した車両において、例えば間欠運転の際に生じる水素のクロスリークによる酸素不足など、低負荷状態或いは無負荷状態で酸素極に生じ得る酸化剤ガスの不足による悪影響を低減可能であり、よって過渡応答性能を向上させることが可能となる。
以下、本発明の燃料電池システムの具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。
本発明の燃料電池システムに係る実施形態の構成及び動作について、図1から図7を参照しながら詳細に説明する。
先ず、図1を参照しながら、本発明の燃料電池システムに係る実施形態の全体構成及び概略動作について説明する。ここに、図1は、本発明の燃料電池システムの実施形態の全体構成を示した図式的な構成図である。
先ず、図1に示されるように、本発明の燃料電池システムに係る実施形態は、燃料電池スタック10を中心として、アノード循環系20、カソード系30、冷却系40、及び、ECU50を備えて構成されている。
燃料電池スタック10は、少なくとも一つの燃料電池セル(以下、セルと称す)100が積層されて構成されている。尚、本発明の燃料電池システムに係る実施形態は、例えば、4個等の複数の燃料電池スタック10によって構成されてもよい。
アノード循環系20は、水素供給管21、本発明に係る「測定手段」の一例を構成する水素圧力センサ21a、水素排出管22、水素調圧弁22a、逆止弁23a、水素供給口管24、水素ガスボンベ25、レギュレータRG、本発明に係る「水素濃度特定手段」の一例を構成する水素濃度検出センサ29、水素循環ポンプ28、パージバルブ27a、三方弁27b、バイバス管24p、及び、逆止弁23bを備えて構成されている。尚、水素圧力センサ21a、水素調圧弁22a、及び、水素濃度検出センサ29は、後述されるECU50(Electrical Control Unit:電子制御ユニット)に電気的に接続されている。
以下、このように構成されたアノード循環系20の動作に加えて、詳細な構成について説明する。
アノード循環系20は、図1に示されるように、燃料電池スタック10とは循環経路を構成している。このアノード循環系20は、燃料電池スタック10との関連づけのために水素供給管21と水素排出管22とを備えており、その水素供給管21と水素排出管22とは、水素排出管22から水素供給管21への流れのみ許容する逆止弁23aを介して接続されている。
水素供給管21の一端側においては、その途中で水素圧力測定センサ21aが備えられると共に、水素供給口管24に連通されている。水素供給口管24は、その一端が、逆止弁23aの下流側において水素供給管21に接続され、その他端には、水素が充填されている水素ガスボンベ25が接続されている。この水素供給口管24にはレギュレータRGが介装されており、このレギュレータRGは、アノード循環系20内の圧力、即ち、水素供給管21及び水素排出管22内の圧力を所定圧に保つ役割を有し、アノード循環系20内が所定圧以下になったときには開弁して、水素ガスボンベ25内の水素を水素供給管21内に補充することになっている。他方、水素供給管21の他端側においては、燃料電池スタック100に連通され、水素が燃料電池スタック10における各セル100の一方のガス通路に供給されることになっている。
水素排出管22の一端側においては、燃料電池スタック10における各セル100の一方のガス通路内の水素が排出されることになっている。特に、水素排出管22の一端側、即ち、燃料電池スタック10から排出される電気化学反応後の水素の背圧を調節する水素調圧弁22aが備えられている。即ち、この水素調圧弁22aの開度がECUによって制御されることで、アノード循環系における燃料電池スタック10の排出側の背圧が調整される。他方、水素排出管22の他端側においては、逆止弁23aに向かって順に、水素濃度検出センサ29、水素循環ポンプ28、パージバルブ27a、三方弁27bが備えられている。
水素循環ポンプ28は、水素を強制循環するもので、これにより、加圧状態の水素が燃料電池スタック10に向けて供給できることになっている。パージバルブ27aは、通常は閉弁状態とされている一方、開弁時には、アノード循環系20内と大気とを連通して、アノード循環系20内のガスを放出する機能を有している。所謂、「水素入替補給」が、このパージバルブ27aが開弁されることによって行われる。加えて、水素の補給においては、アノード循環系20内の残存水素の回収を図り、その回収した水素も補給水素として使用することにより、水素使用量の低減を図るように構成してもよい。
三方弁27bは、水素排出管22において、その第1の接続口がパージバルブ27a側に接続されると共にその第2の接続口が逆止弁23a側に接続され、その第3の接続口は、水素供給口管24にレギュレータRGよりも上流側において接続されるバイバス管24pに接続されている。この三方弁27bは、その切換えによって選択的に、パージバルブ27a側と逆止弁23a側、又はパージバルブ27a側とバイバス管24側とを連通させることができることになっており、水素は、逆止弁23aを介して水素供給管21に流れることができるだけでなく、バイバス管24pにも流れることができることになっている。この場合、バイバス管24pには、逆止弁23bが、水素供給口管24に向かって順に、介装されている。逆止弁23bは、三方弁27bを通過した水素が水素供給口管24に流れ込むことを許容する一方、水素ガスボンベ25からの水素が三方弁27b側に流れ込むことを阻止する機能を有している。
カソード系30は、空気供給管33、空気圧力センサ33a、空気排出管34、本発明に係る「調圧手段」の一例を構成する空気調圧弁34a、本発明に係る「酸素濃度特定手段」の一例を構成する酸素濃度検出センサ34b、空気供給口管35、冷却器36、圧縮機(回転ポンプ)37、及び、空気排出口管31を備えて構成されている。尚、空気圧力センサ33a、空気調圧弁34a、及び、酸素濃度検出センサ34bは、後述されるECUに電気的に接続されている。
以下、このように構成されたカソード系30の動作に加えて、詳細な構成について説明する。
カソード系30は、図1に示されるように、燃料電池スタック10とは循環経路を構成している。このカソード系30は、燃料電池スタック10との関連づけのために空気供給管33と空気排出管34とを備えている。
空気供給管33の一端側においては、空気を取り入れる空気供給口管35に連通されている。空気供給管33には、空気供給口管35から空気供給管33の他端側に向けて順に、冷却器36、本発明に係る「加圧供給手段」の一例を構成する圧縮機(回転ポンプ)37、及び、空気圧力センサ33aが介装されている。冷却器36は、燃料電池スタック10に供給する空気の温度を調整するものである。圧縮機37は、その回転数を調整することにより、外気を吸引して燃料電池スタック10へその空気を供給すると共にその供給空気の圧力等を調整して燃料電池スタック10における電気化学反応を調整するものであり、その調整は、例えば、要求電力により応じて行われてもよい。
他方、空気供給管33の他端側においては、燃料電池スタック10に連通され、空気が燃料電池スタック10における各セル100の他方のガス通路119kに供給されることになっている。
空気排出管34の一端側においては、燃料電池スタック10における各セル100の他方のガス通路から空気が排出されることになっている。特に、空気排出管34の一端側、即ち、燃料電池スタック10から排出される電気化学反応後の窒素を含んだ空気の背圧を調節する空気調圧弁34aが備えられている。即ち、この空気調圧弁34aの開度がECUによって制御されることで、カソード系における燃料電池スタック10の排出側の背圧が調整される。他方、空気排出管34の他端側においては、大気に開口する空気排出口管31と連通されている。
冷却系40は、冷却水ヒータ41、循環ポンプ44、冷却水バルブ45、冷却器46、バイパス経路47、及び、冷却水バイパスバルブ48を備えて構成されている。
以下、このように構成された冷却系40の動作に加えて、詳細な構成について説明する。
冷却系40は、図1に示されるように、燃料電池スタック10と協働して冷却水を循環させる循環経路を構成している。この冷却系40の循環経路には、冷却水ヒータ41、循環ポンプ44、冷却水バルブ45、及び、冷却器46が備えられている。また、冷却系40には、冷却器46をバイパスするバイパス経路47が設けられ、そのバイパス経路47に冷却水バイパスバルブ48が設けられている。以上より、これらの構成要素によって冷却水の温度調整を行うことにより、燃料電池スタック10の温度調整が行えることになっている。
次に、図2を参照して、本発明の燃料電池システムの実施形態を制御する電子制御ユニット(ECU:Electrical Control Unit)について説明する。ここに、図2は、本発明の燃料電池システムの実施形態を制御する電子制御ユニット、各種センサ、各種弁等を示す概念図である。
図2に示されるように、ECU50は、内部にCPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、一時的にデータを記憶するRAM53、バックアップRAM54等を有するワンチップ・マイクロコンピュータであり、CPUがROM52に記録されたプログラムに従って、間欠運転における燃料電池システムを統括制御する。尚、ECU50によって、本発明に係る「負荷状態判定手段」、及び、「制御手段」の一例が構成されている。
ECU50には、本発明に係る「測定手段」の一例を構成する水素圧力センサ21a、空気圧力センサ33a、本発明に係る「水素濃度特定手段」の一例を構成する水素濃度検出センサ29、本発明に係る「酸素濃度特定手段」の一例を構成する酸素濃度検出センサ34b、時間を測定するタイマーTm、及び、その他の各種センサからの種々の信号が入力される。
ECU50は、上述した入力信号に対応して、次のような制御信号を出力する。
ECU50は、水素濃度検出センサ29に加えて又は代えて酸素濃度検出センサ34bの検出値より燃料電池スタック内の窒素濃度を推定し、所定閾値との比較に基づいて、空気調圧弁34a、及び、水素調圧弁22aに対して制御信号が出力され、間欠運転時に高負荷状態へ遷移における背圧の制御が行われる。また、ECU50は、タイマーTmによって測定された間欠運転時の停止時間と所定閾値との比較に基づいて、背圧の調整を行うか否かを判定する。
更に、ECU50は、後述される燃料電池スタック10の統括制御を行なう図示しない燃料電池用電子制御ユニット(以下「FCECU:Fuel Cell Electrical Control Unit」と称す)と通信ポート等を介して通信していてもよい。
次に、図3及び図4を参照して、本発明の燃料電池システムの実施形態において、間欠運転時に、負荷、空気の流量、空気の背圧、及び、燃料電池スタック内の酸素濃度が時間進行に伴ってどのように変化するかについて説明すると共に、本実施形態の作用効果についての検討を行う。ここに、図3は、本実施形態において、間欠運転時の時間進行に伴う各種パラメータ、即ち、負荷、空気の流量、空気の背圧、及び、燃料電池スタック内の酸素濃度の変化を示した複数のグラフである。尚、図3において、横軸は、時間を示し、縦軸は、各種パラメータを示す。また、図3中、太線で示された曲線は、本実施形態における各種パラメータの変化を示し、点線で示された曲線は、比較例における各種パラメータの変化を示す。また、本実施形態に係る時間間隔は、「t1」から「t6」で示され、比較例に係る時間間隔は、「h4」から「h6」で示されている。図4は、本実施形態において、間欠運転の低負荷運転時に、アノード側電極からカソード側電極に水素が透過(クロスリーク)することによって酸素濃度が減少し、窒素濃度が増加する様子を示した図式的な燃料電池スタックの模式図である。
間欠運転時には、次の3つの負荷状態の遷移が考えられる。1つは、高負荷状態から低負荷状態への遷移、2つは、低負荷状態のまま遷移しない、3つは、低負荷状態から高負荷状態への遷移である。以下、夫々の遷移について説明する。尚、高負荷状態とは、例えば、走行運転時において、高い駆動力(発電量)を必要とする燃料電池システムの状態である。他方、低負荷状態とは、例えば、アイドル運転時又はエンジン停止時において、駆動力(発電量)を必要としない燃料電池システムの状態である。また、過渡状態とは、例えば加速時等の低負荷状態から高負荷状態へ遷移する際に、駆動力(発電量)を加速度的に即時に必要とする燃料電池システムの状態である。
先ず、図3(a)の時間間隔t1に示されるように、高負荷状態から低負荷状態へ遷移すると、図3(b)の時間間隔t1に示されるように、圧縮機から燃料電池スタックへの空気の供給が停止され、燃料電池スタック内の空気の流量は急激に減少する。また、図3(c)の時間間隔t1に示されるように、カソード系において、燃料電池スタックの排出側の空気の背圧も急激に減少し、殆ど又は完全に無くなる。更に、図3(d)の時間間隔t1に示されるように、燃料電池スタック内の酸素濃度が比較的急激に減少し始める。何故ならば、図4に示されるように、アノード側電極からカソード側電極に水素が透過(クロスリーク)し、酸素と化学反応を起こし、酸素が消費されるためである。この酸素の消費に伴って、酸素濃度は低下すると共に、燃料電池スタック内の窒素濃度は増加するためである。
次に、図3(a)の時間間隔t2に示されるように、低負荷状態のまま遷移しない場合、図3(d)の時間間隔t2に示されるように、燃料電池スタック内の酸素濃度が比較的緩やかに減少を継続する。何故ならば、図4に示されるように、時間間隔t1と同様に、クロスリークした水素によって酸素が継続して消費されるためである。このように、燃料電池スタック内の酸素濃度の減少量は低負荷状態の時間間隔に概ね比例するといえる。この酸素の消費と共に、燃料電池スタック内の窒素濃度の増加は継続される。
続いて、図3(a)の時間間隔t3に示されるように、低負荷状態から高負荷状態へ遷移した場合、特に、本実施形態では、図3(c)の時間間隔t4における太い曲線で示されるように、ECUの制御下で、空気調圧弁の閉弁速度が減少されることによって、空気の背圧の急激な増加が抑制される。このことによって、図3(b)の時間間隔t5の太い曲線で示されるように、圧縮機から燃料電池スタックへの空気の供給が再始動と同時に、燃料電池スタック内の空気の流量は急激に増加する。何故ならば、空気の背圧の急激な増加が抑制されることで、圧縮機37による圧力と背圧との差が大きい状態が相対的に長く続き、燃料電池スタック内においてカソード側に残留している窒素を多量に含んだ残留ガスが、圧縮機37による圧力を受けて空気排出口管31から速やかに掃気されるためである。燃料電池スタック内のカソード側における空気の流量の急激な増加に伴って、図3(d)の時間間隔t6の太い曲線で示されるように、燃料電池スタック内の酸素濃度も急激に増加する。尚、本実施形態に係る空気の背圧の制御については、後述の図5において説明される。
仮に、図3(c)の時間間隔h4における点線で示されるように、空気調圧弁の閉弁速度が減少されず、空気の背圧が急激に増加した場合、図3(b)の時間間隔h5の点線で示されるように、圧縮機から燃料電池スタックへの空気の供給が再始動されるにも拘わらず、燃料電池スタック内の空気の流量の増加は緩やかである。何故ならば、空気の背圧が急激に増加されることで、直ぐに圧縮機37による圧力と背圧との差が低い状態となり、燃料電池スタック内においてカソード側に残留している窒素を多量に含んだ残留ガスが、空気排出口管31から十分に掃気されないためである。よって、燃料電池スタック内の空気の流量の増加は緩やかであるため、図3(d)の時間間隔h6に点線で示されるように、燃料電池スタック内の酸素濃度の増加は緩やかである。
これに対して、本実施形態によれば、ECUの制御下で、空気調圧弁の閉弁速度が減少されることによって、空気の背圧の急激な増加が抑制されることによって、燃料電池スタック内の空気の流量は急激に増加し、図3(d)の時間間隔t6に示されるように、燃料電池スタック内の酸素濃度を急激に増加させることが可能である。言い換えると、燃料電池スタック内の空気の流量を負荷状態に応じて適切に確保することが可能である。従って、例えば、加速時等の高負荷運転が即時に要求される過渡状態に迅速に応答して、燃料電池システムの発電量を急激に増加させる性能、所謂、過渡応答性能を向上させることが可能である。
加えて、高負荷状態から低負荷状態へ遷移する時に、空気の供給を停止する時期を遅らせれば、低負荷状態時に、燃料電池スタック内の酸素の濃度が大気の酸素の濃度に殆ど又は完全に等しくなり、空気の供給を停止した場合と比較して酸素の濃度を高くした状態で燃料電池システムを始動することが可能となり、過渡応答性能を更に向上させることが可能である。
次に、図5を参照して、本発明の燃料電池システムの実施形態に係る空気の背圧の調整、即ち、背圧を定量的にどのように制御するかについて、具体例を挙げて説明する。ここに、図5は、本発明の燃料電池システムの実施形態に係る空気の背圧の調整に影響を与える構成要素の一具体例である圧縮機と燃料電池スタック、及び、空気の背圧の調整を行う構成要素の一具体例である空気調圧弁を示した図式的な模式図(図5(a))、並びに、一般の圧縮機の応答性を示したグラフ(図5(b))である。尚、図5(b)において、縦軸は、圧縮機の回転数、及び、該回転数に比例される供給空気の流量を示し、横軸は、時間を示す。
空気の背圧の調整は、2種類のパラメータ、即ち、固定的及び変動的なパラメータに基づいて行われる。
固定的なパラメータとしては、次の3つを挙げることができる。1つめは、図5(a)に示された燃料電池スタックの容積である。2つめは、カソード系を構成する配管の容積である。3つめは、図5(a)及び(b)に示された圧縮機の応答性である。尚、この圧縮機の応答性の定量化については後述される。
変動的なパラメータとして、次の5つを挙げることができる。1つめは、燃料電池システムが低負荷状態となっている時間、即ち、燃料電池システムの停止時間である。2つめは、この停止時間中において水素のクロスリークによってアノード循環系において消費される水素消費量である。尚、この停止時間中の水素消費量は、電解質膜のガス透過速度に影響される。3つめは、アノード循環系の圧力低下量である。尚、この圧力低下量も電解質膜のガス透過速度に影響される。4つめは、燃料電池システムの停止後に燃料電池システムが高負荷状態となっている時の負荷量である。尚、この負荷量は、燃料電池システムの停止後に、供給される水素の濃度に比例する。5つめは、燃料電池システムの停止前に燃料電池システムが高負荷状態となっている時の負荷量である。尚、この負荷量は、燃料電池システムの停止前に、供給されていた水素の濃度に比例する。
上述した2種類の固定的及び変動的なパラメータによって、燃料電池スタック内に存在している水素の濃度を推定することによって、水素のクロスリークによって発生する窒素の濃度を間接的に推定し、この窒素の濃度に対応して、例えば、図5(a)に示された空気調圧弁の開弁及び閉弁速度を制御することで、空気の背圧の調整が適切に行われる。
次に、前述した図5(a)及び(b)を参照して、本発明の燃料電池システムの実施形態に係る空気の背圧の調整の作用効果について検討する。
ここでは、燃料電池スタック内の窒素を含んだ一定体積の空気に対して、空気の背圧の調整を全く行わない場合、即ち、空気の背圧を全くかけない場合における掃気時間と、空気の背圧の調整を、仮想的に高速な空気調圧弁によって行った場合における掃気時間とを比較させることによって、本実施形態に係る空気の背圧の調整の妥当性について検討する。ここに、「仮想的に高速な空気調圧弁」とは、圧縮機が空気を供給する工程において、仮想的に、空気の粘性による摩擦損失等に起因されるエネルギ損失や時間遅延の影響を受けることが殆ど又は完全にない空気調圧弁のことである。
本願発明者による研究によれば、燃料電池スタック内の窒素を含んだ一定体積の空気に対して、空気の背圧の調整を全く行わない場合、即ち、空気の背圧を全くかけない場合における掃気時間と、空気の背圧の調整を、仮想的に高速な空気調圧弁によって行った場合における掃気時間との割合は、「5」:「9」であることが判明している。よって、空気の背圧の調整による背圧の上昇を抑制的、消極的に行った方が、掃気時間をより効率的に短縮させることが可能であることが判明している。
先ず、燃料電池スタック内の窒素を含んだ一定体積の空気を殆ど又は完全に掃気するために必要な時間は、空気の背圧の調整を全く行わない場合、即ち、空気の背圧を全くかけない場合、以下の手順で計算される。尚、間欠運転における停止時間に、燃料電池スタック内の圧力が、大気圧まで下降し、燃料電池スタックのカソード側電極の酸素が殆ど又は完全に消費されていると仮定する。また、図5(b)に示されるように、圧縮機の供給の応答性を、例えば5(L/sec2(2乗))とする。また、この圧縮機の供給性能を、例えば5(L/sec)とする。更に、圧縮機と燃料電池スタックと調圧弁とを接続する配管の容積は燃料電池スタックの容積に比較し殆ど又は完全に無視できると仮定し、その燃料電池スタックの容積をV=10L(Liter)とする。また、燃料電池スタックの発電時の空気調圧弁の調圧値を要求される負荷量に関係なく200(KPa:Kilo Pascal(abs))の一定値とする。
より具体的には、空気の背圧の調整を全く行わない場合、即ち、空気の背圧を全くかけない場合、燃料電池スタック内の電気化学反応後の窒素を含んだ空気を殆ど又は完全に掃気するためには、燃料電池スタックの容積である10Lの空気が供給される必要がある。この供給すべき10Lの空気のうち、圧縮機によって、最初の1秒間で、燃料電池スタックに供給される空気は、2.5Lである。これは、圧縮機の応答性を時間積分することによって次式(1)によって計算される。
1秒間の供給空気=∬5dt=5/2×t2(2乗)=5/2=2.5 ……(1)
よって、10Lのうち残りの7.5L(=10−2.5)の空気は、図5(b)に示された5(L/sec)の性能を持つ圧縮機によって、1.5秒(=7.5÷5)で燃料電池スタックへ供給される。
以上より、燃料電池スタック内の一定体積の空気を殆ど又は完全に掃気するために必要な時間は、空気の背圧の調整を全く行わない場合、即ち、空気の背圧を全くかけない場合、上述した計算の結果、合計約2.5秒(=1+1.5)である。
他方、燃料電池スタック内の窒素を含んだ一定体積の空気を殆ど又は完全に掃気するために必要な時間は、空気の背圧の調整を、仮想的に高速な空気調圧弁によって行った場合、以下の手順で計算される。尚、物理的及び環境的な条件は、前述した空気の背圧の調整を全く行わない場合、即ち、空気の背圧を全くかけない場合と同様である。
より具体的には、空気の背圧の調整を、仮想的に高速な空気調圧弁によって行った場合、燃料電池スタック内の電気化学反応後の窒素を含んだ空気を殆ど又は完全に掃気するためには、燃料電池スタックの容積である10Lに加えて、燃料電池スタックの発電時の空気調圧弁の調圧値を前述した200KPaの一定値とするため、圧力上昇量に対応して、追加的に10Lだけ必要である。よって、合計20Lの空気が燃料電池スタックへ供給される必要がある。この供給すべき20Lの空気のうち、圧縮機によって、最初の1秒間で、燃料電池スタックに供給される空気は、前述した圧縮機の応答性を考慮して2.5Lである。
よって、20Lのうち残りの17.5L(=20−2.5)の空気は、前述の図5(b)に示された5(L/sec)の性能を持つ圧縮機によって、3.5秒(=17.5÷5)で燃料電池スタックへ供給される。
以上より、燃料電池スタック内の一定体積の空気を殆ど又は完全に掃気すると共に、空気調圧弁の調圧値を一定値とするために必要な時間は、空気の背圧の調整を仮想的に高速な空気調圧弁によって行った場合、上述した計算の結果、合計約4.5秒(=1+3.5)である。
以上の結果、間欠運転の停止時間中に存在する燃料電池スタック内の窒素を含んだ一定体積の空気に対して、空気の背圧の調整を全く行わない場合、即ち、空気の背圧を全くかけない場合における掃気時間は、2.5秒であるのに対して、空気の背圧の調整を、仮想的に高速な空気調圧弁によって行った場合における掃気時間は、4.5秒である。よって、空気の背圧の調整による背圧の上昇を抑制的、消極的に行った方が、掃気時間をより短縮させることが可能であることが判明している。仮に、空気の背圧の調整を積極的に行った場合、燃料電池スタック内の窒素を含んだ空気の掃気時間が長くなり、燃料電池スタック内で酸素濃度が低い状態での電気化学反応が継続され、発電量の低下、即ち、出力電流の低下の原因となることが判明している。
尚、実際の間欠運転においては、空気の背圧を、完全に大気圧まで下げることはない。また、完全に酸素濃度がゼロになるまで停止して、急激に負荷量を上げるような制御は行われていない。このため、車両を始動させるのに必要な約1秒程度の過渡応答性能は確保されている。
(間欠運転時の背圧調整処理ルーチンの一具体例)
次に、図6を参照して、本発明の燃料電池システムの実施形態に係る、CPUの制御下で行われる間欠運転時の背圧の調整処理の一具体例について説明する。ここに、図6は、本発明の燃料電池システムの実施形態に係る、CPUの制御下で行われる間欠運転時の背圧の調整処理ルーチン(以下、「背圧調整処理ルーチン」と称す)の一具体例を示すフローチャート図である。
この背圧調整処理ルーチンは、予めCPUのROMに記憶されているルーチンであり、本発明の燃料電池システムが動作中に定期的又は不定期的に、主にCPUによって実行されるルーチンである。或いは、間欠運転時における低負荷状態又は無負荷状態にのみ実行されるルーチンである。このルーチンは好ましくは、例えば、十分に短い時間で(例えば数msec或いは数μsecのオーダで)、繰り返して実行されることにより、圧力センサの異常が検知された場合にも、適切なタイミングでフェイルセーフ処理を実行させることが可能とある。
先ず、背圧調整処理ルーチンが実行されると、ECU50のCPU51は、間欠運転時における停止時間が所定閾値Aより大きいか否かが判定される(ステップS101)。尚、この所定閾値Aは、背圧の調整を行うべきか否かを判定するための停止時間の基準値であり、例えば、実験的、経験的又は理論的若しくはシミュレーション等により求められたクロスリークされる水素量と時間との関連性より決定することが可能である。ここで、停止時間が所定閾値Aより大きい場合(ステップS101:Yes)、燃料電池スタック内の酸素濃度が推定される(ステップS102)。より具体的には、例えば、水素濃度センサや酸素濃度センサによる測定値、及び、燃料電池スタック内の電解質膜のガス透過速度等による影響が考慮されて、CPU51の制御下で、燃料電池スタック内の酸素濃度が推定される。
続いて、この推定された酸素濃度が所定閾値Bより大きいか否かが判定される(ステップS103)。尚、この所定閾値Bは、背圧の調整を行うべきか否かを判定するための酸素濃度の基準値であり、前述した所定閾値Aと同様にして、例えば、実験的、経験的又は理論的若しくはシミュレーション等により求められたクロスリークされる水素量と時間との関連性より決定することが可能である。ここで、推定された酸素濃度が所定閾値Bより大きい場合(ステップS103:Yes)、CPU51の制御下で、この推定された酸素濃度に基づいて、空気調圧弁の閉弁速度が低い所定値に設定される(ステップS104)。続いて、CPU51の制御下で、空気調圧弁がこの設定された低い所定値たる閉弁速度で閉弁される(ステップS105)。
他方、ステップS103の判定の結果、推定された酸素濃度が所定閾値Bより大きくない場合(ステップS103:No)、CPU51の制御下で、空気調圧弁の閉弁速度が、増加されるか又は予め設定された相対的に高い既定値のままとされる(ステップS106)。更に、他方、ステップS101の判定の結果、停止時間が所定閾値Aより大きくない場合(ステップS101:No)、同様に、空気調圧弁の閉弁速度が増加されるか又は予め設定された相対的に高い既定値のままとされる(ステップS106)。
以上より、本実施形態に係る間欠運転時の背圧の調整の一具体例によれば、酸素の濃度に対応して、空気調圧弁の閉弁速度を制御することで、空気の背圧の調整が消極的に行われ、背圧の上昇を抑制することが可能となる。その結果、燃料電池スタック内の空気の流量は急激に増加され、燃料電池スタック内の酸素濃度を急激に増加させることが可能である。言い換えると、燃料電池スタック内の空気の流量を負荷状態に応じて適切に確保することが可能である。従って、例えば、加速時等の高負荷運転が即時に要求される過渡状態に迅速に応答して、燃料電池システムの発電量を急激に増加させる性能、所謂、過渡応答性能を向上させることが可能となる。
(間欠運転時の背圧調整処理ルーチンの他の具体例)
次に、図7を参照して、本発明の燃料電池システムの実施形態に係る、CPUの制御下で行われる間欠運転時の背圧調整処理の他の具体例について説明する。ここに、図7は、本発明の燃料電池システムの実施形態に係る、CPUの制御下で行われる間欠運転時の背圧調整処理ルーチンの他の具体例を示すフローチャート図である。
この背圧調整処理ルーチンの他の具体例は、主にECU50によって実行され、そのECU50等の構成は前述の図6で説明した背圧調整処理ルーチンの一具体例と同様である。尚、図7において、前述した背圧調整処理ルーチンの一具体例を示した図6と同様のステップには同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
図7において、ステップS101からステップS103については、前述した背圧調整処理ルーチンの一具体例を示した図6と同様である。
図7に示した背圧調整処理ルーチンの他の具体例では、特に、ステップS103の判定の結果、推定された酸素濃度が所定閾値Bより大きい場合(ステップS103:Yes)、CPU51の制御下で、空気調圧弁が、酸素濃度に無関係に予め設定された低い所定値たる閉弁速度で閉弁される(ステップS201)。
以上より、本実施形態に係る間欠運転時の背圧の調整の他の具体例によれば、酸素の濃度に対応して、空気調圧弁の閉弁速度を一定にすることで、空気の背圧の調整が消極的に行われ、背圧の上昇を抑制することが可能となる。特に、この背圧の調整の他の具体例によれば、CPU51等による空気の背圧の調整をより簡便にすることが可能となる。
尚、本発明は、空気調圧弁に加えて、水素調圧弁を制御するように構成してもよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う燃料電池システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の燃料電池システムの実施形態の全体構成を示した図式的な構成図である。 本発明の燃料電池システムの実施形態を制御する電子制御ユニット、各種センサ、各種弁等を示す概念図である。 本実施形態において、間欠運転時の時間進行に伴う各種パラメータ、即ち、負荷、空気の流量、空気の背圧、及び、燃料電池スタック内の酸素濃度の変化を示した複数のグラフである。 本実施形態において、間欠運転の低負荷運転時に、アノード側電極からカソード側電極に水素が透過(クロスリーク)することによって酸素濃度が減少し、窒素濃度が増加する様子を示した図式的な燃料電池スタックの模式図である。 本発明の燃料電池システムの実施形態に係る空気の背圧の調整に影響を与える構成要素の一具体例である圧縮機と燃料電池スタック、及び、空気の背圧の調整を行う構成要素の一具体例である空気調圧弁を示した図式的な模式図(図5(a))、並びに、一般の圧縮機の応答性を示したグラフ(図5(b))である。 本発明の燃料電池システムの実施形態に係る、CPUの制御下で行われる間欠運転時の背圧調整処理ルーチンの一具体例を示すフローチャート図である。 本発明の燃料電池システムの実施形態に係る、CPUの制御下で行われる間欠運転時の背圧調整処理ルーチンの他の具体例を示すフローチャート図である。
符号の説明
20…アノード循環系、21…水素供給管、21a…水素圧力センサ、22…水素排出管、22a…水素調圧弁、23a…逆止弁、23b…逆止弁、24…水素供給口管、25…水素ガスボンベ、28…水素循環ポンプ、27a…パージバルブ、27b…三方弁、24p…バイバス管、29…水素濃度検出センサ、30…カソード系、33…空気供給管、33a…空気圧力センサ、34…空気排出管、34a…空気調圧弁、34b…空気濃度検出センサ、35…空気供給口管、36…冷却器、37…圧縮機(回転ポンプ)、31…空気排出口管、40…冷却系、41…冷却水ヒータ、44…循環ポンプ、45…冷却水バルブ、46…冷却器、47…バイパス経路、48…冷却水バイパスバルブ、100…燃料電池セル、Tm…タイマー、RG…レギュレータ

Claims (14)

  1. 燃料極に供給された燃料ガスと酸素極に供給された酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、
    該燃料電池における前記酸素極の残留ガスが排出される排出側に設けられ、前記残留ガスの背圧を調節する調圧手段と、
    前記燃料電池が低負荷状態から高負荷状態に切り替えられる高負荷切替の際に、前記燃料電池の上流側の圧力と前記背圧との差が大きくなるように、前記調圧手段を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記制御手段は、前記燃料電池が前記低負荷状態又は前記高負荷状態にあるか否かを判定する負荷状態判定手段を含み、該負荷状態判定手段により前記高負荷切替であると判定された場合に、前記燃料電池の上流側の圧力と前記背圧との差が大きくなるように、前記調圧手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記酸素極における酸素濃度を検出又は推定する酸素濃度特定手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記高負荷切替の際に、前記検出又は推定された酸素濃度が相対的に低い場合、前記燃料電池内の空気流量の上昇速度に比べて、前記背圧の上昇速度を相対的に遅くするように前記調圧手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記制御手段は、前記高負荷切替の際に、前記検出又は推定された酸素濃度が低くなるにしたがって、前記燃料電池内の空気流量の上昇速度に比べて、前記背圧の上昇速度を遅くするように前記調圧手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記制御手段は、前記高負荷切替の際に、前記検出又は推定された酸素濃度が所定閾値以下である場合、前記燃料電池内の空気流量の上昇速度に比べて、前記背圧の上昇速度を遅くするように前記調圧手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
  6. 前記燃料ガスの圧力を測定する測定手段を更に備え、
    前記酸素濃度特定手段は、前記測定された燃料ガスの圧力に基づいて、前記酸素濃度を検出又は推定することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記燃料電池の負荷量を測定する負荷量測定手段を更に備え、
    前記酸素濃度特定手段は、前記測定された負荷量に基づいて、前記酸素濃度を検出又は推定することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  8. 前記低負荷状態の時間を計測する低負荷時間計測手段を更に備え、
    前記酸素濃度特定手段は、前記計測された時間に基づいて、前記酸素濃度を検出又は推定することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  9. 前記酸素極における窒素濃度を検出又は推定する窒素濃度特定手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記高負荷切替の際に、前記検出又は推定された窒素濃度が相対的に大きい場合、前記燃料電池内の空気流量の上昇速度に比べて、前記背圧の上昇速度を相対的に遅くするように前記調圧手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  10. 前記燃料極における水素濃度を検出又は推定する水素濃度特定手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記高負荷切替の際に、前記検出又は推定された水素濃度が相対的に低い場合、前記燃料電池内の空気流量の上昇速度に比べて、前記背圧の上昇速度を相対的に遅くするように前記調圧手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  11. 前記調圧手段は、圧力調整弁を有し、
    前記制御手段は、前記燃料電池の上流側の圧力と前記背圧との差が大きくなるように
    前記圧力調整弁の開度の絞り速度を制御することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  12. 前記酸化剤ガスを加圧して供給する加圧供給手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記低負荷状態では前記酸化剤ガスを供給する動作を停止し、前記高負荷状態では前記酸化剤ガスを供給する動作を行うように、前記加圧供給手段を制御することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  13. 前記制御手段は、前記燃料電池が前記高負荷状態から前記低負荷状態に切り替えられる低負荷切替の場合に、前記低負荷状態に切替えられてからも所定時間だけ前記酸化剤ガスを供給するように前記加圧供給手段を制御することを特徴とする請求項12に記載の燃料電池システム。
  14. 燃料極に供給された燃料ガスと酸素極に供給された酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、該燃料電池における前記酸素極の残留ガスが排出される排出側に設けられ、前記残留ガスの背圧を調節する調圧手段とを備えた燃料電池システムを制御する制御方法であって、
    前記調圧手段により前記背圧を調節する調圧工程と、
    前記燃料電池が低負荷状態から高負荷状態に切り替えられる高負荷切替の際に、前記燃料電池の上流側の圧力と前記背圧との差が大きくなるように、前記調圧手段を制御する制御工程と
    を備えたことを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
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