JP4756162B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、う蝕予防効果を有することを特徴とする口腔用組成物、より詳しくは、歯の耐酸性を向上させることによって、う蝕予防効果を有することを特徴とする口腔用組成物に関する。
う蝕は、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)などの口腔内に棲息するう蝕原因菌が、飲食物に含まれるう蝕性糖質、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖などを摂取することにより産生する酸が、歯牙表面のエナメル質、象牙質を溶解することによって発症する。
歯牙表面のエナメル質、象牙質の主成分はハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイトであって、これらの物質は上記のう蝕原因菌の産生する酸の作用によって分解し、リン酸イオンやカルシウムイオンが溶出する(脱灰)。その一方、口腔中の唾液中のカルシウムイオンおよびリン酸イオンがエナメル表層下に取り込まれ、脱灰していた部分が再び結晶化する(再石灰化)。口腔中では食事の度に脱灰と再石灰化が繰り返し行なわれており、通常は平衡状態にあるが、このバランスが壊れた時にう蝕になる。
これまでう蝕を予防するための手段としては、微生物が摂取して酸を産生しないパラチノースなどの非う蝕性糖質の利用、フッ素などの薬剤の利用などが知られている。
フッ素の作用としては、例えば、歯質の再石灰化を促進する、フッ化物(フッ素)イオンが歯質に入り込んで酸をブロックすることにより脱灰されるのを抑制するなどが報告されている。従って、従来からフッ素、フッ化物、フッ素化合物などのフッ素含有物は、単独であるいは他の成分と併用して種々の口腔用組成物に添加されている。
これまで、フッ化含有物を配合した口腔用組成物としては、フッ化含有物と併用して、ポリアクリル酸重合体やアクリル酸共重合体を含む組成物(特許文献1)、カルシウムイオンを含む組成物(特許文献2及び特許文献3)、ハイドロキシアパタイトを含む組成物(特許文献4及び特許文献5)、糖誘導体または糖アルコールを含む組成物(特許文献6及び特許文献7)、チタンイオンを含む組成物(特許文献8)などがある。これらは、主に、フッ素による再石灰化促進に関する発明であるが、フッ素と酸を併用した例は知られていない。
一方、酸は、口腔用組成物に対して、有効成分の可溶化などの目的で添加されている。例えば、酸を含有する組成物としては、有機酸とハイドロキシアパタイトを含むチューインガム(特許文献9)、有機酸とキシリトールを含む組成物(特許文献10)、食品用酸と炭酸カルシウムを含むシュガーレスチューインガム(特許文献11)などがあるが、これらの文献には酸とフッ素を併用した例の記載はない。
上記のように、う蝕原因を排除して、歯質を強化する効果を期待する多くの技術が提案されているが、これらは、再石灰化を促進することに言及しているが、再石灰化した歯の耐酸性を向上させるものではない。
特開昭63-33321号公報 特開昭63-101312号公報 特開2000-154127号公報 特開昭64-6213号公報 特開2003-310170号公報 特開平3-72415号公報 特開2000-72638号公報 特開2002-3352号公報 特開平3-13341号公報 特開平8-175947号公報 特表2002-542185号公報
従って、本発明の目的は、再石灰化した歯の耐酸性を向上させることにより、う蝕を予防することのできる口腔用組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フッ素含有物および酸を併用することにより、再石灰化した歯の耐酸性を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1) フッ素含有物および酸を含み、う蝕性糖質を含まないことを特徴とする口腔用組成物。
(2) 歯の耐酸性を向上させる機能を有することを特徴とする、(1)に記載の口腔用組成物。
(3) 口腔内に適用したときに、唾液中のフッ化物イオン濃度が0.1〜100ppmとなる量のフッ素含有物を含むことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の口腔用組成物。
(4) 口腔内に適用したときに、唾液のpHを6〜8に上昇させ、かつ、該pH下における唾液中のフッ化物イオン濃度が0.1〜10ppmとなることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の口腔用組成物。
(5) フッ素含有物が天然物である、(1)〜(4)のいずれかに記載の口腔用組成物。
(6) 天然物が茶抽出物である、(5)に記載の口腔用組成物。
(7) 酸が有機酸である、(1)〜(6)のいずれかに記載の口腔用組成物。
(8) 有機酸が、クエン酸、リンゴ酸、及び酒石酸から成る群より選ばれる1種または2種以上である、(7)に記載の口腔用組成物。
(9) 口腔用組成物が、食品または医薬品である、(1)〜(8)のいずれかに記載の口腔用組成物。
(10) 食品がチューインガムである、(9)に記載の口腔用組成物。
本発明の口腔用組成物によれば、再石灰化された歯の耐酸性が向上し、う蝕原因菌の産生した酸によるう蝕が抑制されるため、う蝕予防に有効である。本発明の口腔用組成物を使用すれば、歯質をう蝕の原因となる酸に溶けにくい状態に改善し、う蝕になりにくい歯を作ることができる。
本発明の口腔用組成物は、フッ素含有物および酸を有効成分として含み、う蝕性糖質を含まないことを特徴とする。
本発明の口腔用組成物は、歯に耐酸性を付与する機能を有する。本発明において、「耐酸性」とは、う蝕原因菌の産生した、酸の作用による再石灰化した歯からのミネラル流出を抑制し、ミネラル残存量を向上させる機能をいう。
本発明の口腔用組成物において使用するフッ素含有物としては、フッ素イオンを提供し、かつ口腔内で使用可能なものであれば特に限定されず、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化アンモニウム、フッ化リチウム、フッ化スズ、フッ化アミン塩などのフッ化物、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウムなどのフッ素化合物を挙げることができる。
本発明の口腔用組成物を食品に適用する場合は、安全性の観点から、フッ素含有物は、天然物由来のものが好ましい。天然物由来のフッ素含有物としては、椿科植物、海藻が挙げられ、これらの抽出物が好適に用いられる。椿科植物としては、例えば、茶、椿、榊などが挙げられるが、茶が好ましい。茶は、例えば、緑茶、紅茶、ウーロン茶などのいずれでもよいが、特に緑茶が好ましい。緑茶抽出物は、例えば、BIO INDUSTRY Vol. 15, p66-77, 1998に記載の方法に従って得ることができる。また、海藻としては、例えば、昆布、わかめなどが挙げられる。使用するフッ素含有物は、一種でもよく、あるいは二種以上を組み合わせてもよい。
本発明の口腔用組成物におけるフッ素含有物の配合量としては、該組成物を口腔内に適用としたときに、該組成物から溶出されるフッ化物イオンの唾液中での濃度が、0.1〜100ppm、好ましくは0.1〜10ppmとなるような量であればよい。0.1ppmより少ないとフッ化物による耐酸性向上に十分な効果が得られず、また、100ppmより多いと味や安全面での問題が出てくる。また、上記の好ましいフッ化物イオン濃度が達成されるときの口腔内のpHは6〜8、好ましくは7〜8である。
酸としては、無機酸または有機酸のいずれでもよいが、有機酸が好ましい。有機酸としては、食用に供される有機酸であれば特に限定はされないが、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、アスコルビン酸、酒石酸、アジビン酸などが挙げられ、なかでもクエン酸、リンゴ酸、酒石酸が好ましい。使用する酸は、一種でもよく、あるいは二種以上を組み合わせてもよい。
また、本発明において、う蝕性糖質とは、う蝕原因菌の栄養源となり、非水溶性のグルカンおよび有機酸を生成させる糖質、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖などの糖質をいう。従って、本発明の口腔用組成物は、これらのう蝕性糖質を含まなければよく、非う蝕性糖質、例えば、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、ラクチトール、還元パラチノース、マンニトールなどの糖アルコール、還元水飴、あるいは高甘度甘味料、例えば、サッカリン、スクラロース、アセスルファムKなどは含まれていてもよい。
また、本発明の口腔用組成物には、前記成分の他、該組成物の種類に応じて、例えば、湿潤剤、粘結剤、発泡剤、研磨剤、増量剤、保存剤、殺菌剤、粘着剤、顔料、着色料、香料などを適宜配合することができる。
本発明において、口腔用組成物とは、口中で咀嚼したり、含嗽したりするものをいい、例えば、チューインガム、キャンデー、錠菓、フィルム菓子などの食品;練り歯磨き剤、液状歯磨き剤、洗口剤などの医薬品などが挙げられる。
本発明の口腔用組成物の剤型は、該組成物の種類に応じて、錠剤、液剤、トローチ剤、顆粒剤、噴射剤、カプセル剤、チュアブル剤などの様々な剤型を選択することができる。
本発明の口腔用組成物の製造も、該組成物の種類に応じて通常の方法にて行うことができる。例えば、チューインガムの場合は、上記の成分を配合する以外は、当該分野で一般的に用いられている原料、例えばガムベース、軟化剤、乳化剤、安定剤、酸味料、香料、着色料などを使用し、通常の方法にて製造することができる。典型的には、ガムベースをニーダーに入れて攪拌溶解後、冷却してミキサーに移し、それにその他の原料を加えてよく混合し、次に、それを射出成形機によりシート状に押し出し、圧延、裁断して製造する。また、チューインガム組成物の形態も特に限定されず、例えば、チャンク型、粒型、板型などのいすれであってもよい。
本発明の口腔用組成物を使用する場合は、例えばチューインガムであれば、1日1回以上、好ましくは食事後および就寝前に、1回に5分間以上、好ましくは10〜30分間、噛み、摂食するのがよい。
以下、実施例、試験例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1) フッ素含有物および酸配合シュガーレスガム
フッ素含有物として緑茶抽出物であるカメリアエキスMJ(太陽化学製)を使用し、表1に示した配合にて、1枚の重量が2.5gの板状のチューインガムを常法により調製した。なお、カメリアエキスMJのフッ化物イオン濃度は1500 ppm(mg/1000g)であることから、1枚のガム当りのフッ化物イオン濃度は1.5ppmである。
Figure 0004756162
(比較例1)フッ素含有物配合シュガーレスガム
表2に示した配合にて、1枚の重量が2.5gの板状のチューインガムを常法により調製した。
Figure 0004756162
(比較例2)フッ素含有物無配合シュガーレスガム
表3に示した配合にて、1枚の重量が2.5gの板状のチューインガムを常法により調製した。
Figure 0004756162
(実施例2)フッ素含有物および酸配合シュガーレスガム
表4に示した配合にて、1枚の重量が2.5gの板状のチューインガムを常法により調製した(1枚のガム当りのフッ化物イオン濃度は13.5 ppm)。
Figure 0004756162
(比較例3)フッ素含有物配合シュガーレスガム
表5に示した配合にて、1枚の重量が2.5gの板状のチューインガムを常法により調製した。
Figure 0004756162
(試験例1) ミネラル喪失量による耐酸性の評価試験
A.試験方法
(1)試料の調製
(1−1)標準試料
視診により健全と認められ、フッ化物使用歴のないヒト小臼歯由来の健全なエナメル質を試料ブロックとして用いた。試料ブロックは、エナメル質表面(3mmx4mm)以外をネイルバーニッシュで被覆した。この試料ブロックを、37℃に加温したpH 5.0の緩衝液(乳酸;0.1M, Ca2+;3.0mM,PO4 3-;1.8mM)の中に3日間浸漬して歯の表層を一部脱灰させた後、蒸留水で緩衝液を除去した。ここで得られた試料ブロックを標準試料とした。標準試料のブロックの一部は(2)のミネラル喪失量の測定に使用し、残りは以下の咀嚼後試料の調製に供した。
(1−2)咀嚼後試料
図1に示すようなガム咀嚼試験装置((A)単独、(B)装着した状態)に標準試料を2個はめ込み、エナメル質表面のみが露出するようにワックスで固定した。被験者は、前記試験装置を下顎に装着し、チューインガム1枚を20分間咀嚼した。咀嚼後、チューインガムを口腔内から取り除き、試験装置のみを更に、20分間口腔内に保持した。このチューインガム咀嚼試験を、1日に4回(朝食、昼食、夕食後と就寝前)、2週間、連続して実施した後の試料ブロックを咀嚼後試料とした。咀嚼後試料のブロックの一つは(2)のミネラル喪失量の測定に使用し、もう一つは以下の酸処理試料の調製に供した。
(1−3)酸処理試料
チューインガム咀嚼試験終了後、咀嚼後試料を試験装置より取り外し、これを37℃に加温したpH 5.0の緩衝液(乳酸;0.1M,Ca2+;3.0mM,PO4 3-;1.8mM)の中に3日間浸漬し、その後蒸留水で、緩衝液を除去した。ここで得られた試料ブロックを酸処理試料とした。酸処理試料は(2)のミネラル喪失量の測定に使用した。
(2)ミネラル喪失量の測定
(1)で得られた標準試料、咀嚼後試料および酸処理試料を、被験歯面の厚みが200μmになるように切片を作成した。この切片をアルミステップウェッジと共に、2kV、20mA、20分の条件で、マイクロラジオグラフィー(HB−50;HITEX社製)にて撮影し、ミネラル濃度分布を算出した。ミネラル濃度分布の算出にあたっては、1試料につき、深さ方向に2μmごと、25μmのライン幅でデンシトメータにて濃淡を測定してミネラル濃度を求め、下記式を用いてミネラル喪失量(△Z)を算出した。図2は、歯牙内部のミネラル濃度およびミネラル喪失量を模式的に示したグラフである。
Figure 0004756162
上記式中、△Zはミネラル喪失量(Vol%・μm)を示し、Lは歯牙表面から健全部までの深度(μm)を示す。なお、健全部はミネラル濃度が95 Vol%以上の部位とする。mは脱灰しない部分のミネラル濃度を 100 Vol%したときの任意の深度(L)でのミネラル濃度(Vol%)を示す。
B.結果
実施例1、比較例1、および比較例2のチューインガムを用い、各群(実施例1、比較例1、および比較例2)10名からなる被験者によって、上記の試験方法に従って、咀嚼後試料および酸処理試料を調製した。なお、被験者の構成は、健常成人30名(男性15名、女性15名、平均年齢28.5才)であった。
標準試料と、各群で得られた咀嚼後試料および酸処理試料から、ミネラル喪失量を測定した。これらの平均値を元に、再石灰化されたミネラル量、酸処理により溶出したミネラル量、および酸処理により溶出されなかった、再石灰化したミネラルの残存量を求めた。結果を表6(表中、単位はすべて Vol%・μm)に示す。
Figure 0004756162
表6に示されるように、比較例2(フッ素含有物無配合ガム)では、再石灰化されたミネラルは、酸処理によってほとんど溶出してしまった。また、実施例1(フッ素含有物および酸配合ガム)は比較例1(フッ素含有物配合ガム)の2倍以上のミネラルが溶出されずに残存し、再石灰化された歯の耐酸性が向上したことが確認された。
(試験例2) 口腔内唾液のpH変化量測定
5名の被験者の下顎に、pH電極を付けた図1の試験装置を装着した。また、同被験者の首筋には比較電極を装着した。この状態で被験者に実施例2、比較例3のチューインガム各1枚を咀嚼させ、口腔内唾液のpH変化を経時的に測定した。咀嚼前の口腔内唾液のpHは4.8〜7.0の範囲であった。表7に各被験者の咀嚼前、咀嚼後2分及び5分後のpH値を示す。
Figure 0004756162
また、咀嚼前の口腔内唾液のpH変化量を0とし、咀嚼開始から20分間における、5名の被験者の口腔内唾液のpH変化量の平均を図3に示す。図中のプラスの変化はアルカリ性方向への変化、マイナスの変化は酸性方向への変化を示す。実施例2(フッ素含有物および酸配合ガム)の方が、比較例3(フッ素含有物配合ガム)より速やかに口腔内唾液のpHが上昇し、2分後には実施例2は比較例3の2.94倍と有意に上昇した。また、咀嚼後5分以内のpH上昇が特に大きいことがわかった。
(試験例3) 耐酸性モデル試験
pH条件及びフッ化物イオン濃度が耐酸性にどのような影響を与えるかを調べるため、牛歯(10例)を使い、以下の耐酸性のモデル試験を行った。
象牙質部分を除去し、エナメル質を露出させた牛歯を用いて試料ブロックを作成した。試料ブロックはエナメル質露出表面(3mmx4mm)以外をネイルバーニッシュで被覆した。この試料ブロックを37℃に加温したpH5.0の緩衝液(乳酸;0.1M,Ca2+;3.0mM,PO4 3-;1.8mM)の中に3日間浸漬して歯の表層を一部脱灰させた後、蒸留水で緩衝液を除去し、脱灰表面の3分の1をネイルバーニッシュで被覆し、該被覆部を標準部とした。
カメリアエキスMJ(太陽化学製)を添加してフッ素イオン濃度を調整し、水酸化ナトリウムによりpHを6.0、7.0、8.0に調製した緩衝液(乳酸;0.1M,Ca2+;3.0mM,PO4 3-;1.8mM)の中に上記の試料ブロックを3日間浸漬して再石灰化させた後、蒸留水で緩衝液を除去し、再石灰化表面の2分の1(エナメル質露出表面の3分の1)をネイルバーニッシュで被覆し、該被覆部を再石灰化部とした。
上記処理を行った試料ブロックを、37℃に加温したpH 5.0の緩衝液(乳酸;0.1M,Ca2+;3.0mM,PO4 3-;1.8mM)の中に3日間浸漬し(酸処理)、その後蒸留水で緩衝液を除去した。
上記の酸処理後の試料ブロックにおいて、ネイルバーニッシュで被覆しなかった再石灰化表面部分を酸処理部とした。このようにして、1個のブロックにおいて標準部、再石灰化部、酸処理部が設けられ、再石灰化及び酸処理時のミネラル量の変化が測定できる試料ブロックを得た。
得られた試料ブロック(標準部、再石灰化部、酸処理部)を用い、試験例1に記載の方法に従って、ミネラル喪失量を測定し、これらの平均値を元に、再石灰化されたミネラル量、酸処理により溶出したミネラル量、および酸処理により溶出されなかった、再石灰化したミネラルの残存量を求めた。結果を表8(表中の単位はすべて Vol%・μm)に示す。
Figure 0004756162
表8において、再石灰化ミネラルの残存量がマイナスのものは、再石灰化された以上のミネラルが酸処理時に喪失したことを示す。再石灰化時のpHが少なくとも酸性であるよりも中性又はアルカリ性である方が、またフッ化物濃度が高い方が、酸処理時に溶出されずに残存したミネラル量が増し、耐酸性が向上することが示された。
上記の各試験において、本発明の口腔用組成物は、再石灰化された歯の耐酸性を向上させる機能を有することが示された。また、本発明の口腔用組成物が口腔内に存在すると、全く予期しないことに口腔内唾液のpHが一時的に上昇することが示された。従って、本発明の口腔用組成物による耐酸性向上のメカニズムは、次のように考えられる。
本発明の口腔用組成物が口中に存在すると、該組成物中の酸の作用によって唾液の分泌が促進され、分泌された唾液のpHが一時的に上昇する。このとき、同組成物中にあるフッ素含有物から放出されたフッ化物イオンの再石灰化された歯質間への取りこみが促進され、その結果、再石灰化された部分の耐酸性が向上する。
よって、従来の口腔用組成物は、う蝕原因菌により産生された酸によってう蝕した歯牙を、再石灰化により再生することによって歯質の強化をはかるものが主流であったのに対し、本発明の口腔用組成物は、再石灰化された歯の耐酸性を向上させ、う蝕原因菌が産生する酸によるう蝕を防止するという、まったく新しい作用機序によって歯質の強化をはかるものであるといえる。
本発明の口腔用組成物は、オーラルケアに関する製品、代表的にはチューインガムやキャンデーなどの菓子、歯磨き剤や洗口剤などの医薬部外品に利用できる。
図1は、ガム咀嚼試験装置(A)、該試験装置を石膏型に装着した様子(B)を示す。 図2は、歯牙内部のミネラル濃度およびミネラル喪失量を模式的に示したグラフである。 図3は、ガム咀嚼時における、口腔内唾液のpHの経時変化を示す。
符号の説明
X 実施例2のチューインガム咀嚼時の口腔内唾液のpH変化
Y 比較例3のチューインガム咀嚼時の口腔内唾液のpH変化

Claims (3)

  1. 茶抽出物由来のフッ素含有物および0.1〜0.2重量%の有機酸を含み、う蝕性糖質を含まないこと、ならびに、口腔内に適用したときに、唾液のpHを7〜8に上昇させ、かつ、該pH下における唾液中のフッ化物イオン濃度が0.1〜10ppmとなることを特徴とする食品。
  2. 有機酸が、クエン酸、リンゴ酸、及び酒石酸から成る群より選ばれる1種または2種以上である、請求項1に記載の食品。
  3. 食品が、チューインガム、キャンデー、錠菓、またはフィルム菓子である、請求項1または2に記載の食品。
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