JP4754868B2 - 不良緯条自動排出装置 - Google Patents

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本発明は、連続緯条を所定長さに切断しながら織物にする断片織機における不良緯条自動排出装置に関する。
近年、各種織布や畳表では、天然緯条(紙縒り、綿や綿を撚ったもの等)だけでなく、合成緯条(合成繊維を撚ったもの又は1本の合成樹脂緯条等)を用いた製品が増えてきている。こうした合成緯条は、コスト的に安価であり、季節に関係なく安定した入手が可能である。合成緯条は、製造装置から直接連続的に織機へ送り出すことができるが、実際には予め緯条ドラムに巻き取った物を送り出す方が多い。これは織機がなんらかのトラブルで停止した時でも合成緯条の製造装置は停止することができないためである。こうした織機への緯条の供給形態については、天然緯条でも大差はない。この緯条ドラムに巻き取る時、小さい巻径のドラムで巻くと長さも短くなり、また緯条に大きな巻癖ができてしまい途中止りなどの原因になってしまうため、大きい巻径のドラムに長さ40000m程度巻き取っている。
しかし、長く巻くため天然緯条だと1本の原料で連続に巻き取る事ができないため、どうしても何ヶ所か緯条のつなぎ目ができてしまう。合成緯条でも製造装置の状態により途中で切れたりして同様のつなぎ目ができてしまうことがある。これを、そのまま織込んでしまうと織傷のある製品となり、織機の方はそのまま連続で織り込んでしまうため、織上がった後に人手で修正する必要があった。
本発明者らは、従来からこのような断片織機の改良に取り組み、多くの提案をしている。例えば、特許文献1では、断片織機における2本刺しや空刺しを皆無にして、商品価値の高い製品を作ると共に、従来の断片織機が有していた緯条を供給装置に補給する手間の軽減、装置が複雑な点などを解決しようとして、開口された経糸内に送り込まれた緯条をオサにより、オサ打ちしながら織成するに際して、経糸内に送り込まれる緯条を連続緯条とし、その連続緯条を順次送り出し、そして切断して織成するようにした。
また、特許文献2では、緯条を直接製造装置から織機へ供給するための緯条連続送出装置を提供するために、緯条を連続的に織機へと送り出し続けるようにする緯条貯留機構と緯条送出機構とを開発した。すなわち、(1)緯条送出機構は、自動又は手動により緯条が織機へ至る本軌道から外れて回収できる待避軌道へと軌道選択を可能にし、この待避軌道B終端には緯条を引出す回収ローラを配置し、(2)緯条貯留機構は、弛ませて貯留する緯条に対して貯留量の上限に対応する上センサ又は下限に対応する下センサを配してなり、上センサは緯条を検知すると製造装置の送出速度を増速又は織機の織成速度を減速し、下センサは緯条を検知すると製造装置の送出速度を減速又は織機の織成速度を増速するようにした。
更に、特許文献3に記載の送出装置には、大きく緯条ドラムから各緯条を余分に引き出して緯条の送出を円滑にする緯条予備繰出機構と選択した緯条を所定長だけ送り出す緯条送出機構とについて、緯条予備繰出機構では、送り出す複数の緯条に差が生じないように一組の糸出しロールですべての緯条を挟持して各緯条ドラムから緯条を繰り出し、各緯条の弛みを一組の光センサで検知している。そして、糸出しロールは通常定常速度で回転し、緯条を緯条ドラムから繰り出しているが、光センサが弛んだ緯条を検知すると、糸出しロールを一時的に高速回転させて緯条の弛みを増やすのである。緯条送出機構は、各緯条を送出ロールと共に送出時間の間だけ挟持する送出プーリの回転動力に主回転軸からクランクを介して伝達される回転運動を用いている。
特許文献4では、織機へ緯条もしくは緯条を連続的に送り出す装置に関して、複数の緯条ドラムから複数の緯条1を糸出し上ロールと糸出し下ロールで共に余裕をもって弛むように送り出した緯条を個別に通した複数のノズルが互いに並行かつ中間が切れてノズル前部とノズル後部となるようほぼ横並びで連結し、ノズルの切れた部分に露出する緯条を所定長送り出す送り出しロールと送り出しプーリを接近離反可能に配置し、前記複数のノズルを交互に送り出しプーリの位置へ緯条の送り出しに連動した自動切換え可能なノズル切換手段を設けることを提案している。
特開平6-93535号公報(請求項1、[0006]、[0008]) 特開2000-355852公報(請求項1、[0004]、図1) 特開平11-217748号公報(請求項1、[0007]、図2) 実用新案登録第2598958号公報(請求項1、[0003]、図1)
本発明は、これら過去の改良技術に加えて、断片織機への緯条を連続供給する時、この緯条のつなぎ目を感知し経糸の開口を制御することで織機を止めることなく、つなぎ目のある不良緯条を織り込まなく自動排出し、製品織傷の未然防止と生産性向上を図ることを目的とするものである。
本発明の装置は、開口された経糸内に送り込まれた緯条をオサ打ちしながら織成する断片織機であって、経糸内に送り込まれる緯条を連続緯条とし、この緯条の不良緯条を感知する感知手段と、経糸の開口を制御して経糸に織込むことなく不良緯条を排出させる経糸開口制御手段を備えたものにおいて、経糸開口制御手段は上ツムと下ツムの駆動手段を個々独立に制御可能としたことを特徴とする断片織機における不良緯条自動排出装置である。
ここで、不良緯条を感知する感知手段は、連続緯条の送出し駆動ロールの前に設置して効率よく検知する。そのために、緯条の不良箇所に予めマーキングを施し、不良緯条を感知する感知手段が該マーキングを感知するセンサを設け、そのセンサに感知するよう緯条に染料又は顔料による着色でマーキングをすることで、不良緯条自動排出装置を形成する。不良箇所としてのつなぎ目のみでも感知できるが、確実性を高めるために、マーキングをするとよい。
不良緯条を感知する感知手段が、前述の連続緯条の送出し駆動ロールの前にあるものを第2センサとし、これと繰出し駆動ロールの手前にある第1センサの協働で、より正確な感知をする。第1センサで不良緯条を素早く感知して織機の速度を落とし、第2センサでの感知を確実なものとする。
更に、第2センサの位置は緯条のカッターからほぼ織物の織幅の長さの距離をおいての位置にして、感知から切断までの長さを移動する距離が織幅1本分とするのである。
これらのセンサによる不良緯条の感知があった場合に、その緯条を織面内に射出しないように、経糸開口制御手段の上ツムと下ツムの駆動手段を個々独立に制御可能とし、ツムの交互開口を阻止する。
そのための経糸の開口の制御は、上下のツムをそれぞれ別の開口カムと開口カムレバーに連結させ、その開口カムレバーが開口カムに接しないようにする制御レバーを取付け、その制御レバーをそれぞれソレノイドで制御して、ツムが共に後退した状態で保持できる構造にして、速やかに開口を閉じ、不良緯条を織面外へ自動的に排出する従来は、上下2段に配置されたツムから経糸側に横1列に固定されたツム針に経糸はそれぞれ通されており、上下のツムはそれぞれ開口カムとそれに接して揺動可能に軸支された開口カムレバーに接続機構により前後運動可能なよう連結されており、通常は上のツムが前進した時下のツムは後退するよう運動して経糸が開口され緯条が送り出される空間を形成していたのである。
本発明の緯条をドラムに巻く時、切れた緯条は人手でつなぐため、そのつなぎ目に赤色等のマークを付けておく。感知センサを緯条ドラムの送り出しロール付近と織機の緯条送り出し駆動ロールの前に設置し、まず緯条ドラムの送り出しロール付近の感知センサがつなぎ目のマークを感知すると、織機の回転を遅くしてゆっくり緯条を送るようにする。その後、織機の緯条送り出し駆動ロールの前に設置した感知センサがつなぎ目のマークを感知すると、ソレノイドにより制御レバーが開口カムレバー制御し上下のツムを後退した状態で保持し、緯条が送り出されても上下のツムが後退した状態であるため経糸に織り込まれることなく自然と排出されることとなる。
以上のような方法により、1サイクル終了後制御を解除すれば経糸の開口は正常となり通常の運転を継続することができる。これによって連続緯条の供給時に不良緯条があっても、織機を止めることなく自動排出させ、織傷のない製品を作ることができる。
不良緯条を感知する感知手段は、基本的には、連続緯条の送出し駆動ロールの前にある第2センサで感知するが、これと繰出し駆動ロールの手前に第1センサを設けて織機の回転を遅らせるようにしたために、確実な検知ができる。更に、第2センサの位置が緯条のカッターからほぼ織物の織幅の長さの距離をおいての位置にあるので、不良緯条が必ずその範囲内に入ることとなり、緯条の無駄を最小限に留めることができる。
経糸の開口制御手段に対しても、上ツムと下ツムの駆動手段が個々独立に制御可能としたために、不良緯条を感知した際に、直ちに開口を閉じて不良緯条を織面外へ射出し、織り込みを阻止する効果がある。
以下、図を参照しながら本発明の実施例について説明する。図1は緯条の織面への送出し機構に対する本発明の緯条感知センサの取付け位置を示す斜視図である。これは、緯条予備繰出機構1、緯条送出機構2を順に配設した緯条連続送出装置の全体を表した斜視図であり、図2〜図9は経糸の開口機構を示す側面図で、図2は従来のもの、図3〜図9は本発明の不良緯条自動排出装置に好適なものの実施例及び参考例である。まず、緯条予備繰出機構1及び緯条送出機構2及び経糸の開口機構3の概略について説明する。
緯条予備繰出機構1は、図1に見られるように、緯条ドラム(図1中右手)11から延びる緯条10は、繰出モータ12で回転駆動させる繰出下ロール13と繰出上ロール14によって長さに余裕をもって弛み状態で繰り出し、予備繰出としての緯条10の弛みが一定量確保できるように光センサ15で監視している。この予備繰出による緯条10の弛みは、緯条送出機構2が緯条10を送り出すことで減少する。本発明の不良緯条検知は、この緯条ドラム11から延びる緯条10に対し、その繰出ロール13,14に至る間で検知して織機を低速運転するように第1センサ4を設けている。第1センサ4は光センサが色の濃淡を検知位するのに好ましいものである。比較的低速で織成する場合は、第1センサ4を省くことができる。
緯条送出機構2は、経糸開口機構3の経糸開口へ緯条10を送り出す部分で、主回転軸21からインデックスドライブ22を介して送出し駆動ロール23へ動力を伝える。緯条10はノズル24を通って送出し駆動ロール23上へ導き、その上の送出し従動ロール25で挟まれて射出される。それに先立って先に射出された緯条はカッター26で切断されている。ここで、射出される緯条10に対し、不良緯条を検知するように第2センサ5を設けている。第2センサ5も光センサが色の濃淡を検知位するのに好ましいものである。
経糸開口機構3は、従来例を図2に示すが、経糸30の開口をする上下のツム31,32をそれぞれ別の上下接続ロッド33,34を出入りロッド35の両端に接続し、その中間の出入りレバー36と連結ロッド37で開口カムレバー38に連結させ、その開口カムレバー38が開口カム39に接して、ツムが前後に揺動して経糸30の開口をする。
図2の従来例では、構造上、上下のツムを両方とも同時に閉じることができないので、不良緯条の感知が遅れると、その一部が織り込まれてしまうおそれがある。そこで、更に確実な排除作用をさせるための経糸開口機構3の実施例を図3〜図に示す。まず、図3の例は、経糸30の開口をする上下のツム311,321をそれぞれ別の開口カム391,392と開口カムレバー381,382に連結させ、これらの開口カムレバー381,382が開口カム391,392に接しないようにする制御レバー393,394を取付け、その制御レバー393,394をそれぞれソレノイド395,396で制御して、各ツム311,321が共に後退した状態で保持できるようにして、速やかに開口を閉じ、不良緯条を織面外へ自動排出する。その状態を図4と図5に図3の開口制御機構が働いていない(OFF)状態の開口カム位置と、開口制御機構が働いている(ON)状態の開口カム位置を示している。
図6の参考例に示すように、図2の従来例において、上ツム311、下ツム321とそれぞれの接続ロッド331,341で接続されているツムの出入りレバー363で揺動するツム出入りロッド351の両端接続部分を切り離し可能な押し板306,307にすることでも同様の効果を得ることができる。この時は開口カム391と開口カムレバー381は各1組あればよいことになる。上ツム311、下ツム321を押さない状態で停止させるためにセンサで作動させるソレノイド334,344とそれらの作動板333,343を設けている。
また、図7の参考例に示すように、図6の開口カムレバー381先端と連結ロッド371とを切り離し可能にして、連結ロッド371下端に受け板372を設け、図6と同様に上ツム311、下ツム321を押さない状態で停止させるためにセンサで作動させるソレノイド373とその作動板374を設けることでも、同様の効果を得ることができる。
これら開口カムを使う代わりに、図8に見られるように、上ツム311、下ツム321の接続ロッド332,342をそれぞれ別のモータ16,17で動かし、これらモータの動きをセンサで制御することでも同様の効果を得ることができるので、図8に参考例として示した
図9の参考例に示すものは、ツムを使わずにツム針301,302を直接吊り込み糸303,304等で吊り、押し板305で吊っていないツム針を押して経糸を開口させている織機の場合、センサで不良緯条を感知して吊り込み糸を全部吊るようする。またはツム針を直接上げることでも、同様の効果を得ることができる。
以上のような装置により、断片織機に対する連続緯条の供給時に不良緯条があっても、織機を止めることなく自動排出させ、織傷のない製品を作ることができる。そして、1サイクル終了後に制御を解除すれば、経糸の開口は正常となり通常の運転を継続することができる。特に、本発明の実施例としての図3から図5の構成が好ましい。
緯条の織面への送出し機構に対する本発明の緯条感知センサの取付け位置を示す斜視図である。 従来の開口制御機構を示す側面図である。 本発明の開口制御機構を示す斜視図である。 図3の開口制御機構が働いていない(OFF)状態の開口カム位置を示す側面図である。 図3の開口制御機構が働いている(ON)状態の開口カム位置を示す側面図である。 本発明の開口制御機構の他の参考例として、ツム接続ロッド制御を示す側面図である。 本発明の開口制御機構の他の参考例として、接続ロッドの制御を示す側面図である。 本発明の開口制御機構の他の参考例として、ツム針のクランクモータ駆動制御を示す斜視図である。 本発明の開口制御機構の他の参考例として、ツム針の吊り込み糸制御を示す側面図である。
1 緯条予備繰出機構
2 緯条送出機構
3 経糸開口機構
4 第1センサ
5 第2センサ
10 緯条
11 緯条ドラム
12 繰出モータ
13 繰出下ロール
14 繰出上ロール
15 光センサ
16,17 モータ
21 主回転軸
22 インデックスドライブ
23 送出し駆動ロール
24 ノズル
25 送出し従動ロール
26 カッター
30 経糸
301,302 ツム針
303,304 吊り込み糸
305,306,307 押し板
31,311 上ツム
32,321 下ツム
33,331,332 上接続ロッド
334,335,344,373 ソレノイド
333,343,374 ソレノイド作動板
34,341,342 下接続ロッド
35,351 出入りロッド
36,361,362,363 出入りレバー
37,371 連結ロッド
372 受け板
38,381,382 開口カムレバー
39,391,392 開口カム
393,394 制御レバー
395,396 ソレノイド

Claims (1)

  1. 開口された経糸内に送り込まれた緯条をオサ打ちしながら織成する断片織機であって、経糸内に送り込まれる緯条を連続緯条とし、この緯条の不良緯条を感知する感知手段と、経糸の開口を制御して経糸に織込むことなく不良緯条を排出させる経糸開口制御手段を備えたものにおいて、
    経糸開口制御手段は上ツムと下ツムの駆動手段を個々独立に制御可能とし、
    上ツムと下ツムの駆動手段は、上下のツムをそれぞれ別の開口カムと開口カムレバーに連結し、これらの開口カムレバーが開口カムに接しないようにする制御レバーを取付け、その制御レバーをそれぞれソレノイドで制御して、
    各ツムが共に後退した状態で保持できるようにし、速やかに開口を閉じ不良緯条を織面外へ自動排出することを特徴とする断片織機における不良緯条自動排出装置。
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