本発明の化合物は、下記式(I)で表される基本骨格を有する。
発光層に式(I)で表される化合物を含有させることにより、特に長波長域に極大発光波長をもつ有機EL素子が得られる。特に、式(I)の化合物は、発光層において、それ自体で発光機能を有するホスト物質のドーパントとして、あるいは電子注入輸送性化合物と正孔注入輸送性化合物とで形成された発光機能を有する混合層のドーパントとして使用することによって、青〜赤色の発光、特に長波長発光が可能であり、しかも十分な輝度が得られ、発光性能が持続する。
式(I)中、R1 ,R2 ,R3 およびR4 はそれぞれ置換または非置換のアリール基またはアルケニル基を表す。R5 ,R6 ,R7 およびR8 はそれぞれ水素を表す。また、R1 〜R4 のうち、少なくとも2個以上が、2環以上か、もしくはアリール基、アミノ基、アルケニル基、アリーロキシ基および複素環基を置換基として有するアリール基であるか、アルケニル基である。また、2個以上の置換基が単環のアリール基であるときにはさらに置換基を有する。また、置換基がアミノ基であるとき、R1 ,R2 ,R3 およびR4 の少なくとも2個以上が置換または非置換のアリール基を置換基として有する。
R1 〜R4 で表されるアリール基としては、単環もしくは多環のものであって良く、縮合環や環集合も含まれる。総炭素数は、6〜30のものが好ましく、置換基を有していても良い。アリール基が単環である場合、好ましくは3個以上がアリール基により置換されていて、さらに、これらがアリール基を置換基として有することが好ましい。
R1 〜R4 で表されるアルケニル基としては、少なくとも置換基の1つにフェニル基を有する(1−、および2−)フェニルアルケニル基、(1,2−、および2,2−)ジフェニルアルケニル基、(1,2,2−)トリフェニルアルケニル基等が好ましいが、非置換のものであっても良い。
R1 〜R4 が置換基を有する場合、これらの置換基のうちの少なくとも2つがアリール基、アミノ基、複素環基、アルケニル基およびアリーロキシ基のいずれかであることが好ましい。アリール基、アミノ基、複素環基およびアルケニル基については上記R1 〜R4 と同様である。
R1 〜R4 に置換するアリール基としては、好ましくはフェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、(1−、および2−)ナフチル基、アントリル基、(o−,m−,p−)ビフェニリル基、ターフェニル基、フェナントリル基等である。
R1 〜R4 に置換するアミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基等いずれでも良い。これらは、総炭素数1〜6の脂肪族、および/または1〜4環の芳香族炭素環を有することが好ましい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ビスジフェニリルアミノ基、ビスナフチルアミノ基等が挙げられる。
R1 〜R4 に置換する複素環基としては、ヘテロ原子としてO,N,Sを含有する5員または6員環の芳香族複素環基、および炭素数2〜20の縮合多環芳香複素環基等が挙げられる。
芳香族複素環基および縮合多環芳香複素環基としては、例えばチエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、キノキサリル基等が挙げられる。
R1 〜R4 の置換基となるアリーロキシ基としては、総炭素数6〜18のアリール基を有するものが好ましく、具体的には(o−,m−,p−)フェノキシ基等である。
これら置換基の2種以上が縮合環を形成していてもよい。また、さらに置換されていても良く、その場合の好ましい置換基としては上記と同様である。
R1 〜R4 が置換基を有する場合、少なくともその2種以上が上記置換基を有することが好ましい。その置換位置としては特に限定されるものではなく、メタ、パラ、オルト位のいずれでも良い。また、R1 とR4 、R2 とR3 はそれぞれ同じものであることが好ましいが異なっていてもよい。また、好ましくは、上記置換基がアリール基である場合、さらに置換されていることが好ましい。
R5 ,R6 ,R7 およびR8 は、それぞれ水素を表す。
また、本発明の有機EL素子用化合物はさらに下記の式(II)で表される基本骨格を有するものが好ましい。
上記式(II)中、R11〜R 13 、R21〜R 23 、R31〜R 33 およびR41〜R 43 の群中のそれぞれは、水素または置換もしくは非置換のアルキル基、アリール基、アミノ基、複素環基もしくはフェノキシ基である。また、これらのうちの少なくとも2群中には置換または非置換基のアリール基、ヘテロ環基またはアリーロキシ基を置換基として有するか、あるいはこれらの全てが水素である場合には、R11〜R 13 、R21〜R 23 、R31〜R 33 およびR41〜R 43 の各群中において、これらの2個以上が縮合環を形成している。
アリール基、アミノ基、複素環基およびアリーロキシ基の好ましい態様としては上記R1 〜R4 と同様である。また。R11〜R 13 、R21〜R 23 、R31〜R 33 およびR41〜R 43 は、それぞれ同じであることが好ましいが異なっていてもよい。
R11〜R 13 、R21〜R 23 、R31〜R 33 およびR41〜R 43 の置換基となるアミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基等いずれでも良い。これらは、総炭素数1〜6の脂肪族、および/または1〜4環の芳香族炭素環を有することが好ましい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ビスビフェニリルアミノ基等が挙げられる。
形成される縮合環としては、例えばインデン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、isoキノリン、キノクサリン、フェナジン、アクリジン、インドール、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、アクリドン、ベンズイミダゾール、クマリン、フラボン等を挙げることができる。
本発明の化合物は、さらに下記の基本骨格を有していてもよい。
上記式(III)中、XはR1 ,R2 ,R3 およびR4 の置換基と同様の置換基を表し、iは0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは2〜10、さらには2〜4の整数を表す。
本発明の特に好ましい化合物の具体例を以下の表1〜33に示す。但し、各置換基R1 〜R8 をR10〜R80として表した。
本発明の化合物を得るには、例えば、下記に示す合成スキーム等に従い得ることができる。
本発明の有機EL素子は、ホール注入電極と、電子注入電極と、これらの電極間に少なくとも発光層を含有する有機層を有し、前記発光層には上記化合物を含有する。
また、本発明の有機EL素子は、上記式(IV)で表される基本骨格を有する化合物を2種以上含有していてもよい。
上記式(IV)中、R101 ,R102 ,R103 およびR104 はそれぞれ水素、あるいは置換または非置換のアリール基またはアルケニル基を表す(但し水素が3個以上となることはない)。R105 ,R106 ,R107 およびR108 はそれぞれ水素または置換もしくは非置換のアリール基およびアルケニル基のいずれかを表す。また、R101 〜R104 のうちの少なくとも2個以上が2環以上のアリール基であるか、アルケニル基であるか、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルケニル基、アリーロキシ基または複素環基を置換基として有する。
R101 ,R102 ,R103 およびR104 、およびこれらの置換基の詳細は上記式(I)のR1 ,R2 ,R3 およびR4 と同様である。
R105 ,R106 ,R107 およびR108 は、それぞれ水素または置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、アミノ基およびアルケニル基のいずれかを表す。
R105 ,R106 ,R107 およびR108 で表されるアリール基、アミノ基、アルケニル基としては、上記R1 〜R4 の場合と同様である。また、R105 とR106、R107 とR108 は、それぞれ同じものであることが好ましいが、異なっていても良い。
キャリアトラップ性の異なる上記化合物を2種以上含有させることにより、駆動電圧を下げ、連続発光での長寿命化を図ることができる。また、使用する化合物の組み合わせを選択することにより発光輝度が向上する。
上記化合物を2種以上発光層に含有する場合の、好ましい組み合わせとしては、ホールトラップ性であるアリールアミノ基もしくはアリーロキシ基を有する化合物と、電子トラップ性である炭化水素のみで構成される化合物との組み合わせが好ましい。具体的には、下記の(化12)と(化26)、(化12)と(化13)、(化12)と(化14)、(化12)と(化27)の組み合わせなどが好ましい。
また、炭化水素のみで構成される化合物のみでの組み合わせでも同様の効果が得られ、式(IV)において、(1)R101 ,R102 ,R103 およびR104 が全てアリール基、またはエテニル基の化合物と、R101 〜R106 が全てアリール基、またはエテニル基の化合物との組み合わせ、(2)R101 ,R102 ,R103 が全てアリール基、またはエテニル基の化合物との組み合わせ、(3)R101 ,R102 ,R103 およびR104 のうち2個がアリール基の化合物と、R101 ,R102 ,R103 およびR104 が全てアリール基、またはエテニル基の化合物との組み合わせ、(4)2種ともR101 ,R102 ,R103 およびR104 全てアリール基の化合物と等を挙げることができる。
具体的には、(1)として(化26)と(化27)、(化11)と(化27)、(化13)と(化27)、(2)として(化26)と(化10)、(化11)と(化10)、(化13)と(化10)、(化14)と(化10)、(3)として(化29)と(化26)、(化29)と(化11)、(化29)と(化13)、(化29)と(化14)、(4)として(化26)と(化85)、(化26)と(化13)、(化26)と(化14)、(化85)と(化13)、(化85)と(化14)、(化11)と(化14)、(化13)と(化14)等の組み合わせを挙げることができる。
本発明の化合物を含有する発光層は、ホール(正孔)および電子の注入機能、それらの輸送機能、ホールと電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する。発光層は本発明の化合物の他、比較的電子的にニュートラルな化合物を用いることで、電子とホールを容易かつバランスよく注入・輸送することができる。
本発明の有機EL素子の発光層には、それ自体で発光が可能なホスト物質と組み合わせて使用することが好ましく、ドーパントとしての使用が好ましい。このような場合の発光層における本発明の化合物の含有量は0.01〜10wt% 、さらには0.1〜5wt% であることが好ましい。ホスト物質と組み合わせて使用することによって、ホスト物質の発光波長特性を変化させることができ、長波長に移行した発光が可能になるとともに、素子の発光効率や安定性が向上する。
ホスト物質としては、キノリノラト錯体が好ましく、さらには8−キノリノールないしその誘導体を配位子とするアルミニウム錯体が好ましい。このようなアルミニウム錯体としては、特開昭63−264692号、特開平3−255190号、特開平5−70733号、特開平5−258859号、特開平6−215874号等に開示されているものを挙げることができる。
具体的には、まず、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム、ビス(ベンゾ{f}−8−キノリノラト)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウムオキシド、トリス(8−キノリノラト)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラト)カルシウム、5,7−ジクロル−8−キノリノラトアルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム、ポリ[亜鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メタン]、等がある。
また、8−キノリノールないしその誘導体のほかに他の配位子を有するアルミニウム錯体であってもよく、このようなものとしては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(メタークレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,6−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,4−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,6−ジフェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,4,6−トリフェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3,6−トリメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3,5,6−テトラメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(1−ナフトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−6−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 等がある。
このほか、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 等であってもよい。
このほかのホスト物質としては、特願平6−110569号に記載のフェニルアントラセン誘導体や特願平6−114456号に記載のテトラアリールエテン誘導体なども好ましい。また、TPDに代表されるようなトリフェニルアミン誘導体もホスト物質に好ましい。
この他、他の蛍光性物質を含有させることも可能である。このような蛍光性物質としては、例えば、特開昭63−264692号公報に開示されているような化合物、例えばキナクリドン、スチリル系色素等の化合物から選択される少なくとも1種が挙げられる。また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体色素などのキノリン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体等が挙げられる。さらには、特願平6−110569号のフェニルアントラセン誘導体、特願平6−114456号のテトラアリールエテン誘導体等を用いることができる。
発光層は電子注入輸送層を兼ねたものであってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。これらの蛍光性物質を蒸着すればよい。
また、必要に応じて発光層は、少なくとも一種以上のホール注入輸送性化合物と少なくとも1種以上の電子注入輸送性化合物との混合層とすることも好ましく、この混合層中にドーパントを含有させることが好ましい。このような混合層における化合物の含有量は、0.01〜20wt% 、さらには0.1〜15wt% とすることが好ましい。
混合層では、キャリアのホッピング伝導パスができるため、各キャリアは極性的に優勢な物質中を移動し、逆の極性のキャリア注入は起こり難くなり、有機化合物がダメージを受け難くなり、素子寿命がのびるという利点があるが、前述のドーパントをこのような混合層に含有させることにより、混合層自体のもつ発光波長特性を変化させることができ、発光波長を長波長に移行させることができるとともに、発光強度を高め、かつ素子の安定性を向上させることができる。特に、本発明の化合物は電子注入、ホール注入ともに安定でありドーパントとして2wt%程度ドープするだけで飛躍的に発光寿命を延ばすことができる。
また、ドーパントのキャリアトラップ性が、電子側もしくはホール側に偏っている場合、再結合を向上させるためキャリアトラップ性の異なる2種以上のドーパントを用いて再結合確率を向上させてもよい。キャリアトラップ性の異なるドーパントを用いることで、発光層でのホールと電子の再結合確率が向上し、発光効率、発光輝度が向上する。特に好ましい組み合わせは、ホスト材料に対して、電子トラップ性の高いドーパントと、ホスト材料に対して、ホールトラップ性の高いドーパントとの組み合わせである。
混合層に用いられるホール注入輸送性化合物および電子注入輸送性化合物は、各々、後述のホール注入輸送層用の化合物および電子注入輸送層用の化合物の中から選択すればよい。なかでも、ホール注入輸送層用の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン誘導体、例えばホール輸送材料であるトリフェニルジアミン誘導体(TPD)、さらにはスチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体を用いるのが好ましい。
電子注入輸送性の化合物としては、キノリン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体、特にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )を用いることが好ましい。また、上記のフェニルアントラセン誘導体、テトラアリールエテン誘導体を用いるのも好ましい。
ホール注入輸送層用の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン誘導体、例えば上記のホール輸送材料であるトリフェニルジアミン誘導体、さらにはスチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体を用いるのが好ましい。
この場合の混合比は、それぞれのキャリア移動度とキャリア濃度を考慮する事で決定するが、一般的には、ホール注入輸送性化合物の化合物/電子注入輸送機能を有する化合物の重量比が、1/99〜99/1、さらには10/90〜90/10、特には20/80〜80/20程度)となるようにすることが好ましい。
また、混合層の厚さは、分子層一層に相当する厚みから、有機化合物層の膜厚未満とすることが好ましく、具体的には1〜85nmとすることが好ましく、さらには5〜60nm、特には5〜50nmとすることが好ましい。
また、混合層の形成方法としては、異なる蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもできる。混合層は化合物同士が均一に混合している方が好ましいが、場合によっては、化合物が島状に存在するものであってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質を蒸着するか、あるいは樹脂バインダー中に分散させてコーティングすることにより、発光層を所定の厚さに形成する。
本発明の化合物を用いて製造される有機EL発光素子の構成例として、例えば、基板上に、ホール注入電極、ホール注入・輸送層、発光および電子注入輸送層、電子注入電極を順次有する。また、必要により電子注入電極上に補助電極や封止層を有していてもよい。
本発明の有機EL素子は、上記例に限らず、種々の構成とすることができ、例えば発光層を単独で設け、この発光層と電子注入電極との間に電子注入輸送層を介在させた構造とすることもできる。また、必要に応じ、ホール注入・輸送層と発光層とを混合しても良い。
発光層の厚さ、ホール注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、形成方法によっても異なるが、通常、5〜500nm程度、特に10〜300nmとすることが好ましい。
ホール注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは、再結合・発光領域の設計によるが、発光層の厚さと同程度もしくは1/10〜10倍程度とすればよい。ホールもしくは電子の、各々の注入層と輸送層を分ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は1nm以上とするのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上限は、通常、注入層で500nm程度、輸送層で500nm程度である。このような膜厚については注入輸送層を2層設けるときも同じである。
ホール注入輸送層は、ホール注入電極からのホールの注入を容易にする機能、ホールを安定に輸送する機能および電子を妨げる機能を有し、電子注入輸送層は、電子注入電極からの電子の注入を容易にする機能、電子を安定に輸送する機能およびホールを妨げる機能を有するものであり、これらの層は、発光層に注入されるホールや電子を増大・閉じこめさせ、再結合領域を最適化させ、発光効率を改善する。
また、ホール注入輸送層には、例えば、特開昭63−295695号公報、特開平2−191694号公報、特開平3−792号公報、特開平5−234681号公報、特開平5−239455号公報、特開平5−299174号公報、特開平7−126225号公報、特開平7−126226号公報、特開平8−100172号公報、EP0650955A1等に記載されている各種有機化合物を用いることができる。例えば、テトラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミンないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等である。これらの化合物は2種以上を併用してもよく、併用するときは別層にして積層したり、混合したりすればよい。
ホール注入輸送層をホール注入層とホール輸送層とに分けて設層する場合は、ホール注入輸送層用の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いることができる。このとき、ホール注入電極(ITO等)側からイオン化ポテンシャルの小さい化合物の層の順に積層することが好ましい。またホール注入電極表面には薄膜性の良好な化合物を用いることが好ましい。このような積層順については、ホール注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。このような積層順とすることによって、駆動電圧が低下し、電流リークの発生やダークスポットの発生・成長を防ぐことができる。また、素子化する場合、蒸着を用いているので1〜10nm程度の薄い膜も、均一かつピンホールフリーとすることができるため、ホール注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、可視部に吸収をもつような化合物を用いても、発光色の色調変化や再吸収による効率の低下を防ぐことができる。ホール注入輸送層は、発光層等と同様に上記の化合物を蒸着することにより形成することができる。
また、必要に応じて設けられる電子注入輸送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等を用いることができる。電子注入輸送層は発光層を兼ねたものであってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。電子注入輸送層の形成は発光層と同様に蒸着等によればよい。
電子注入輸送層を電子注入層と電子輸送層とに分けて積層する場合には、電子注入輸送層用の化合物の中から好ましい組み合わせを選択して用いることができる。このとき、電子注入電極側から電子親和力の値の大きい化合物の順に積層することが好ましい。このような積層順については電子注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。
ホール注入輸送層、発光層および電子注入輸送層の形成には、均質な薄膜が形成できることから真空蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法を用いた場合、アモルファス状態または結晶粒径が0.1μm 以下の均質な薄膜が得られる。結晶粒径が0.1μm を超えていると、不均一な発光となり、素子の駆動電圧を高くしなければならなくなり、ホールの注入効率も著しく低下する。
真空蒸着の条件は特に限定されないが、10−4Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続して各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げるため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低くしたり、ダークスポットの成長・発生を抑えたりすることができる。
これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着することが好ましい。
電子注入電極は、好ましくは仕事関数が4eV以下の金属、合金または金属間化合物から構成される。仕事関数が4eVを超えると、電子の注入効率が低下し、ひいては発光効率も低下する。仕事関数が4eV以下の電子注入電極膜の構成金属としては、例えば例えば、Li、Na、K等のアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属、La、Ce等の希土類金属や、Al、In、Ag、Sn、Zn、Zr等が挙げられる。、仕事関数が4eV以下の膜の構成合金としては、例えばAg・Mg(Ag:0.1〜50at%)、Al・Li(Li:0.01〜12at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)、Al・Ca(Ca:0.01〜20at%)等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上の組み合わせとして存在してもよく、これらを2種以上組み合わせた場合の混合比は任意である。また、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属の酸化物やハロゲン化物を薄く成膜し、アルミニウム等の支持電極(補助電極、配線電極)を用いてもよい。
この電子注入電極は蒸着法やスパッタ法等によって形成できる。
このような電子注入電極の厚さは、電子注入を十分行える一定以上の厚さとすればよく、0.5nm以上、好ましくは1nm以上とすればよい。また、その上限値には特に制限はないが、通常膜厚は1〜500nm程度とすればよい。
ホール注入電極としては、好ましくは発光した光の透過率が80%以上となるような材料および厚さを決定することが好ましい。具体的には、酸化物透明導電薄膜が好ましく、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In2O3 )、酸化スズ(SnO2 )および酸化亜鉛(ZnO)のいずれかを主組成としたものが好ましい。これらの酸化物はその化学量論組成から多少偏倚していてもよい。In2O3 に対しSnO2 の混合比は、1〜20wt%が好ましく、さらには5〜12wt%が好ましい。In2O3 に対しZnOの混合比は、12〜32wt%が好ましい。
ホール注入電極は、発光波長帯域、通常350〜800nm、特に各発光光に対する光透過率が80%以上、特に90%以上であることが好ましい。通常、発光光はホール注入電極を通って取り出されるため、その透過率が低くなると、発光層からの発光自体が減衰され、発光素子として必要な輝度が得られなくなる傾向がある。ただし、発光光を取り出す側が80%以上であればよい。
ホール注入電極の厚さは、ホール注入を十分行える一定以上の厚さを有すれば良く、好ましくは50〜500nm、さらには50〜300nmの範囲が好ましい。また、その上限は特に制限はないが、あまり厚いと剥離などの心配が生じる。厚さが薄すぎると、製造時の膜強度やホール輸送能力、抵抗値の点で問題がある。
ホール注入電極を成膜するにはスパッタ法が好ましい。スパッタ法としてはRF電源を用いた高周波スパッタ法等も可能であるが、成膜するホール注入電極の膜物性の制御のし易さや、成膜面の平滑度等を考慮するとDCスパッタ法を用いることが好ましい。
また、必要に応じて保護膜を形成してもよい。保護膜はSiOX 等の無機材料、テフロン等の有機材料等を用いて形成することができる。保護膜は透明でも不透明であってもよく、保護膜の厚さは50〜1200nm程度とする。保護膜は前記した反応性スパッタ法の他に、一般的なスパッタ法、蒸着法等により形成すればよい。
さらに、素子の有機層や電極の酸化を防ぐために素子上に封止層を設けることが好ましい。封止層は、湿気の侵入を防ぐために市販の低吸湿性の光硬化性接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体接着剤シート等の接着性樹脂層を用いて、ガラス板等の封止板を接着し密封する。ガラス板以外にも金属板、プラスチック板等を用いることもできる。
基板材料としては、基板側から発光した光を取り出す構成の場合、ガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明材料を用いる。また、基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコントロールしてもよい。また、前記逆積層の場合には、基板は透明でも不透明であってもよく、不透明である場合にはセラミックス等を使用してもよい。
カラーフィルター膜には、液晶ディスプレイ等で用いられているカラーフィルターを用いれば良いが、有機ELの発光する光に合わせてカラーフィルターの特性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すればよい。
また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収するような短波長の外光をカットできるカラーフィルターを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向上する。
また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させることで、発光色の色変換を行うものであるが、組成としては、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の三つから形成される。
蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いことが望ましい。実際には、レーザー色素などが適しており、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロ等も含む)ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素系化合物・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・クマリン系化合物等を用いればよい。
バインダーは基本的に蛍光を消光しないような材料を選べば良く、フォトリソグラフィー・印刷等で微細なパターニングが出来るようなものが好ましい。また、ITOの成膜時にダメージを受けないような材料が好ましい。
光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りない場合に用いるが、必要の無い場合は用いなくても良い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しないような材料を選べば良い。
本発明により製造される有機EL素子の構成例を図1に示す。図1に示される有機EL素子は、基板1上に、ホール注入電極2、ホール注入輸送層3、発光層4、電子注入輸送層5、電子注入電極6を順次有する。本発明の有機EL素子は、図示例に限らず、種々の構成とすることができる。
本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動型、パルス駆動型のEL素子として用いられるが、交流駆動とすることもできる。印加電圧は、通常、2〜30V 程度とされる。
以下、本発明の具体的実施例を比較例とともに示し、本発明をさらに詳細に説明する。
<合成例1>
5,12−ビス(2−ナフチル)−6,11−ジフェニル−ナフタセン(例示化合物:I−85)の合成。
塩化メチレン中、ナフトキノン5.2g (33.3mmol)と、1,3−ジフェニルイソベンゾフラン10g (37mmol)との混合溶液に、三臭化ホウ素を、1時間かけて添加することにより、6,11−ジフェニル−5,11−ナフタセンキノン7.1g を得た。(黄色針状結晶:80%)
次いで、アルゴンと置換したシュレンクフラスコに、上記ナフタセンキノン2.05g (5mmol)と、トルエン100mlを投入した。この溶液に、別途N−ブチルリチウムヘキサン溶液と2−ブロムナフタレンより合成したリチオカ試薬(15mmol)のトルエン/エーテル溶液を1時間かけて滴下した。滴下後、室温で12時間撹拌して、氷浴中に投入した。この反応溶液をトルエンで5回抽出した後、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後溶媒を留去し、メタノールとヘキサンを用いて洗浄し、ジオール体2.4g (白色粉末:71%)を得、さらに下記構造の目的物1.3g を得た(赤色固体:76%)。この目的物1g を昇華したところ、赤色固体0.8g を得た。得られた赤色固体の分析結果を下記に示す。
質量分析:m/e 632(M+)(スペクトルを図2に示す)
1H−NMRスペクトル:図3に示す。
赤外吸収スペクトル:図4に示す。
<合成例2>
5,12−ジフェニル−6,11−トリフェニルアミノナフタセン(例示化合物:II−40)の合成。
合成例1と同様の反応により、6,11−ジフェニル−5,11−ナフタセンキノンと、p−ジヨードベンゼンより、ジオール体2.2g (白色粉末:67%)を得、5,12−ビス(4−ヨードフェニル)−6,11−ジフェニルナフタセン1.3g を得た(赤色固体:62%)。
次いで、上記ヨード体1.2g (1.5mmol)、ジフェニルアミン1.0g (6.0mmol)、銅粉末0.5g 、炭酸カリウム1.5g 、デカリン10cm3 を用いたUllman反応により、下記構造の5,12−ジフェニル−6,11−トリフェニルアミノナフタセン0.9g を得た(赤色固体:68%)。この赤色固体0.9g を昇華精製したところ、赤色固体0.8g を得た。得られた赤色固体の分析結果を下記に示す。
質量分析:m/e 868(M+)(スペクトルを図5に示す)
1H−NMRスペクトル:図6に示す。
赤外吸収スペクトル:図7に示す。
<合成例3>
5,12−ジフェニル−6,11−ビス(トリフェニルエテニル)−ナフタセン(例示化合物:III−38)の合成。
合成例1と同様の反応により、6,11−ジフェニル−5,11−ナフタセンキノンと、2−ブロモ−1,1,2−トリフェニルエチレンより、ジオール体2.2g (白色粉末:68%)を得、下記構造の目的物1.4g を得た(赤色固体:72%)。この赤色固体0.9g を昇華精製したところ、赤色固体0.8g を得た。得られた赤色固体の分析結果を下記に示す。
質量分析:m/e 889〔(M+1)+ 〕(スペクトルを図8に示す)
1H−NMRスペクトル:図9に示す。
赤外吸収スペクトル:図10に示す。
<実施例1>
ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。このITO透明電極付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、槽内を1×10−4Pa以下まで減圧した。
次いで減圧状態を保ったまま、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル−(4−アミノフェニル)]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを蒸着速度0.2nm/sec で50nmの膜厚に蒸着し、ホール注入層とした。
次いで、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)を蒸着速度0.2nm/secで20nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層とした。
さらに、減圧を保ったまま、下記構造の本発明の化合物(例示化合物I−33)とトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )を、重量比を2:100で、全体の蒸着速度0.2nm/secとして70nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送性発光層とした。
次いで、減圧状態を保ったまま、Mg・Ag(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに蒸着し、電子注入電極とし、保護電極としてAlを100nm蒸着し有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が8.8V で、810cd/m2 の発光が確認できた。このときの発光極大波長λmax =570nm、色度座標は(x、y)=(0.53,0.46)であった。
さらに、この素子に10mA/cm2 の一定電流を流して発光させながら、LCD用赤色フィルターを輝度計に装着して測定したところ、輝度=150cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.66,0.34)の赤色発光が確認できた。なお、使用した赤色用フィルターは、波長590nm以下を遮断し、波長600nmでの透過率は30%である。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は2700時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例2>
実施例1において、電子注入輸送・発光層にAlq3 と共に用いる化合物を、下記構造の化合物(例示化合物I−17)とした他は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が8.6V で、820cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =575nm、色度座標は(x、y)=(0.53,0.46)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=155cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.66,0.34)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は2700時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例3>
実施例1において、電子注入輸送・発光層にAlq3 と共に用いる化合物を、下記構造の化合物(例示化合物I−223)とした他は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が9.0V で、850cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =576nm、色度座標は(x、y)=(0.53,0.46)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=165cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.66,0.34)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は3000時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例4>
実施例1において、電子注入輸送・発光層にAlq3 と共に用いる化合物を、下記構造の化合物(例示化合物I−273)とした他は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が8.8V で、810cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =573nm、色度座標は(x、y)=(0.53,0.46)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=155cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.66,0.34)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は2700時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例5>
実施例1において、電子注入輸送・発光層にAlq3 と共に用いる化合物を、下記構造の化合物(例示化合物I−226)とした他は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が8.7V で、855cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =575nm、色度座標は(x、y)=(0.53,0.46)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=162cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.66,0.34)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は3000時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例6>
実施例1において、電子注入輸送・発光層にAlq3 と共に用いる化合物を、下記構造の化合物(例示化合物II−86)とした他は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が9.1V で、830cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =575nm、色度座標は(x、y)=(0.53,0.46)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=157cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.66,0.34)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は2700時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例7>
実施例1において、電子注入輸送・発光層にAlq3 と共に用いる化合物を、上記各実施例で用いた例示化合物以外の表1〜33の化合物を用いて有機EL素子を得たところ、ほぼ同様の効果が得られた。
<実施例8>
実施例1において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDと下記構造の化合物(I−33)を重量比で2:100の比率で蒸着し、Alq3 は単層で蒸着した他は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が5.7V で、970cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =560nm、色度座標は(x、y)=(0.44,0.53)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=145cd/m2 、極大波長λmax =615nm、色度座標は(x,y)=(0.61,0.37)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は2000時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例9>
実施例8において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDとともに蒸着する化合物を下記構造の化合物(I−17)とした他は実施例8と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が5.73V で、980cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =565nm、色度座標は(x、y)=(0.45,0.53)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=140cd/m2 、極大波長λmax =615nm、色度座標は(x,y)=(0.62,0.37)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は1700時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例10>
実施例8において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDとともに蒸着する化合物を下記構造の化合物(I−223)とした他は実施例8と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が5.65V で、985cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =565nm、色度座標は(x、y)=(0.44,0.53)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=145cd/m2 、極大波長λmax =615nm、色度座標は(x,y)=(0.62,0.37)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は2000時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例11>
実施例8において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDとともに蒸着する化合物を下記構造の化合物(I−273)とした他は実施例8と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が5.65V で、985cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =565nm、色度座標は(x、y)=(0.44,0.53)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=145cd/m2 、極大波長λmax =615nm、色度座標は(x,y)=(0.62,0.37)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は2000時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例12>
実施例8において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDとともに蒸着する化合物を下記構造の化合物(I−226)とした他は実施例8と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が5.75V で、980cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =563nm、色度座標は(x、y)=(0.44,0.53)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=140cd/m2 、極大波長λmax =615nm、色度座標は(x,y)=(0.61,0.37)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は2000時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例13>
実施例8において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDとともに蒸着する化合物を下記構造の化合物(II−86)とした他は実施例8と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が5.0V で、970cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =563nm、色度座標は(x、y)=(0.44,0.53)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=140cd/m2 、極大波長λmax =615nm、色度座標は(x,y)=(0.61,0.37)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は2000時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例14>
実施例10において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDとともに蒸着する化合物を上記実施例10〜13で用いた以外の例示化合物以外の表1〜33の化合物を用いて有機EL素子を得たところ、ほぼ同様の効果が得られた。
<実施例15>
実施例1と同様にホール注入層を形成した後、キャリアトラップ性の異なる下記構造の化合物2種と、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)を、重量比2:2:100で、蒸着速度0.2nm/secとし、40nmの厚さに蒸着して発光層とした。
さらに、減圧を保ったまま、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )を蒸着速度0.2nm/secとして30nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
次いで、実施例1と同様に、Mg・Ag(重量比10:1)電子注入電極、およびAl保護電極を成膜し、有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が9.2V で、800cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =580nm、色度座標は(x、y)=(0.54,0.46)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=175cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.66,0.34)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は3000時間以上と、極めて優れた高寿命特性を示した。
<実施例16>
実施例1と同様にホール注入層を形成した後、キャリアトラップ性の異なる下記構造の化合物2種と、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)を、重量比2:2:100で、蒸着速度0.2nm/secとし、40nmの厚さに蒸着して発光層とした。
さらに、減圧を保ったまま、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )を蒸着速度0.2nm/secとして30nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
次いで、実施例1と同様に、Mg・Ag(重量比10:1)電子注入電極、およびAl保護電極を成膜し、有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が9.2V で、850cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =558nm、色度座標は(x、y)=(0.54,0.46)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=165cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.66,0.34)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は3000時間以上と、極めて優れた高寿命特性を示した。
<実施例17>
実施例1と同様にホール注入層を形成した後、キャリアトラップ性の異なる下記構造の化合物(I−33)と、9,9’,10,10’−テトラ−2−ビフェニリル)−2,2’ジアントラセン(DPA)を、重量比2:100で、蒸着速度0.2nm/secとし、40nmの厚さに蒸着して発光層とした。
さらに、減圧を保ったまま、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )を蒸着速度0.2nm/secとして15nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。その他は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が7.7V で、1300cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =570nm、色度座標は(x、y)=(0.53,0.46)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=235cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.66,0.34)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は1300時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例18>
実施例1と同様にホール注入層を形成した後、キャリアトラップ性の異なる下記構造の化合物(I−223)と、9,9’,10,10’−テトラ−2−ビフェニリル)−2,2’ジアントラセン(DPA)を、重量比2:100で、蒸着速度0.2nm/secとし、40nmの厚さに蒸着して発光層とした。
さらに、減圧を保ったまま、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )を蒸着速度0.2nm/secとして15nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。その他は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が7.8V で、1250cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =576nm、色度座標は(x、y)=(0.53,0.46)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=230cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.66,0.34)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は1300時間以上の高寿命特性を示した。
<実施例19>
実施例1において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDとともに蒸着する化合物を下記構造の化合物とし、蒸着速度100:2としてホール注入輸送層を得た。
ホール注入層を形成した後、キャリアトラップ性の異なる下記構造の化合物DPAと4,4’−ビス(N−フェニル−N−1−ナフチル)アミノスチルベン)を、重量比100:2で、蒸着速度0.2nm/secとし、40nmの厚さに蒸着して発光層とした。
さらに、減圧を保ったまま、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を蒸着速度0.2nm/secとして20nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。その他は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が7.1V で、750cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの色度座標は(x、y)=(0.34,0.42)であった。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は400時間以上の特性を示した。
<実施例20>
実施例1において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDとともに蒸着する化合物を下記構造の化合物(I−33)とし、蒸着速度100:2としてホール注入輸送層を得た。
ホール注入層を形成した後、キャリアトラップ性の異なる下記構造の化合物DPAと4,4’−ビス(N−フェニル−N−1−ナフチル)アミノスチルベン)を、重量比100:2で、蒸着速度0.2nm/secとし、40nmの厚さに蒸着して発光層とした。
さらに、減圧を保ったまま、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を蒸着速度0.2nm/secとして20nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。その他は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が7.3V で、1000cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの色度座標は(x、y)=(0.33,0.41)であった。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は500時間以上の特性を示した。
<実施例21>
実施例1において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDとともに蒸着する化合物を下記構造の化合物(I−223)とし、蒸着速度100:2としてホール注入輸送層を得た。
ホール注入層を形成した後、キャリアトラップ性の異なる下記構造の化合物DPAと4,4’−ビス(N−フェニル−N−1−ナフチル)アミノスチルベン)を、重量比100:2で、蒸着速度0.2nm/secとし、40nmの厚さに蒸着して発光層とした。
さらに、減圧を保ったまま、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を蒸着速度0.2nm/secとして20nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。その他は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が7.3V で、900cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの色度座標は(x、y)=(0.34,0.41)であった。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は500時間以上の特性を示した。
<比較例1>
実施例1において、電子注入輸送・発光層にAlq3 と共に用いる化合物を、下記構造のルブレンとした他は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が9.0V で、700cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =558nm、色度座標は(x、y)=(0.48,0.51)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=90cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.65,0.35)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は1500時間未満であった。
<比較例2>
実施例1において、電子注入輸送・発光層にAlq3 と共に用いる化合物を、下記構造の化合物とした他は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が9.0V で、800cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =572nm、色度座標は(x、y)=(0.53,0.46)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=153cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.66,0.34)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は2500時間以上であった。
<比較例3>
実施例8において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDとともに蒸着する化合物を、下記構造のルブレンとした他は実施例8と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が5.46V で、788cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =553nm、色度座標は(x、y)=(0.43,0.54)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=80cd/m2 、極大波長λmax =612nm、色度座標は(x,y)=(0.59,0.39)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は900時間未満であった。
<比較例4>
実施例8において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDとともに蒸着する化合物を、下記構造の化合物とした他は実施例8と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が5.77V で、974cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =563nm、色度座標は(x、y)=(0.44,0.53)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=140cd/m2 、極大波長λmax =615nm、色度座標は(x,y)=(0.61,0.37)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は1700時間以上であった。
<比較例5>
実施例1と同様にホール注入層を形成した後、キャリアトラップ性の異なるルブレンと、下記構造の9,9’,10,10’−テトラ−2−ビフェニリル)−2,2’ジアントラセン(DPA)を、重量比2:100で、蒸着速度0.2nm/secとし、40nmの厚さに蒸着して発光層とした。
さらに、減圧を保ったまま、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を蒸着速度0.2nm/secとして15nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。その他は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が7.3V で、850cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =558nm、色度座標は(x、y)=(0.48,0.51)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=160cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.65,0.35)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は500時間以下であった。
<比較例6>
実施例1と同様にホール注入層を形成した後、キャリアトラップ性の異なる下記構造の化合物と、9,9’,10,10’−テトラ−2−ビフェニリル)−2,2’ジアントラセン(DPA)を、重量比2:100で、蒸着速度0.2nm/secとし、40nmの厚さに蒸着して発光層とした。
さらに、減圧を保ったまま、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )を蒸着速度0.2nm/secとして15nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。その他は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が7.5V で、1200cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの発光極大波長λmax =572nm、色度座標は(x、y)=(0.54,0.46)であった。
また、実施例1と同じ赤色フィルターを用いて同様の測定を行うと、輝度=230cd/m2 、極大波長λmax =620nm、色度座標は(x,y)=(0.66,0.34)の赤色発光が確認できた。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は1000時間以上であった。
<比較例7>
実施例1において、ホール注入輸送層を蒸着する際に、TPDとともに蒸着する化合物を下記構造のルブレンとし、蒸着速度100:2としてホール注入輸送層を得た。
ホール注入層を形成した後、キャリアトラップ性の異なる下記構造の化合物DPAと4,4’−ビス(N−フェニル−N−1−ナフチル)アミノスチルベン)を、重量比100:2で、蒸着速度0.2nm/secとし、40nmの厚さに蒸着して発光層とした。
さらに、減圧を保ったまま、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を蒸着速度0.2nm/secとして20nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。その他は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が7.1V で、750cd/m2 の発光が確認できた。また、このときの色度座標は(x、y)=(0.34,0.42)であった。
また、この素子に50mA/cm2 の一定電流を流し、連続発光させたところ輝度半減時間は200時間以下であった。