JP4753014B2 - 有機性廃棄物の焼却処理方法 - Google Patents
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ところが、焼却した際には、当然ながらダイオキシン、一酸化炭素(CO)等の各種有害物質が環境中に排出されるため、近年はこれら有害物質の排出量規制がなされている。
また、焼却炉の内部構造や付帯設備を工夫した回転式焼却炉、多段燃焼室を有する焼却炉、流動床焼却炉、溶融用のバーナを設置した焼却炉など、焼却炉に工夫を凝らす試みもなされている。
ダイオキシンに関しては、800℃以上での高温処理や、上述した従来法により、その排出量を極限まで低減し得ることが知られているが、COについては産業上実用的な手段は知られていない。
この点、本出願人の一人が、界面活性剤を含む廃棄物焼却用燃焼助剤を用いて廃棄物を燃焼させることにより、CO等の発生を抑制し得る方法について出願している(特願2004−120228号)が、その時点では、この燃焼助剤を用いるのに適した焼却装置およびそれを用いた効率的な燃焼方法についての知見は得られていなかった。
本発明において、有機性廃棄物とは、燃焼によりCO等の有害ガスを発生する廃棄物全般を意味し、紙くず、廃プラスチック、廃タイヤ、廃ゴム、繊維、ビニール、有機性汚泥等の廃棄物であって、家庭・産業廃棄物を問わない。
廃棄物焼却処理装置は、上述のように、シュート装置と、焼却炉とを備えて構成されるものである。
このシュート装置は、廃棄物投入口および廃棄物排出口を有し、廃棄物投入口から投入された有機性廃棄物が廃棄物排出口に向かって落下するように構成されたものであるが、本発明においては、この基本構成以外に、界面活性剤含有水を散布するための液体散布口を備えている。このように、液体散布口を備えていることで、シュート装置内を通過する有機性廃棄物に対して、効率的に界面活性剤含有水を付着させることができ、その後の焼却工程での不完全燃焼を効率的に防止でき、CO発生量を削減することができる。
なお、シュート装置の基本構成部分は、従来公知の装置と同様の構成を採用することができる。
また、シュート装置における液体散布口が設けられる位置は、特に限定されるものではなく、廃棄物投入口の近傍、廃棄物排出口の近傍、シュート装置内部等、適宜な位置とすることができるが、散布された界面活性剤含有水がシュート装置内でより広がり易くなるように、シュート装置内部、特に、装置の上下方向中央付近に設けることが好適である。
その構造は、管状、シャワーヘッド状、スプレーノズル状等の液体を放出、散布可能な任意の構造とすることができるが、特に、液体を霧状に噴霧可能なスプレーノズル状のものが最適である。なお、送液管自体に形成した孔を液体散布口とすることもできる。
ノズル状の液体散布口を採用する場合、広角ノズルと狭角ノズルとを組み合わせるなど、スプレー角度の異なる複数種のノズルを組み合わせて用いることが好ましい。このようにすれば、界面活性剤含有水の効率的な散布が可能になる。なお、スプレーパターンは、フラット、ソリッド、フルコーン、ホローコーンなどの各種パターンを採用できるが、散布の効率化を考慮すると、ソリッド以外が好ましい。
シュート装置内に、その廃棄物投入口から有機性廃棄物が投入されるとともに、シュート装置に設けられた液体散布口から有機性廃棄物に対して界面活性剤含有水が散布される。界面活性剤含有水が付着した有機性廃棄物は、シュート装置内を落下し、その廃棄物排出口から、外部へ排出される。排出された有機性廃棄物は、焼却炉に投入され、その内部で焼却処理される。なお、界面活性剤含有水は、ポンプ等の適宜な送液手段を用いてシュート装置まで送液すればよい。
また、シュート装置は、焼却炉上部に、これと一体に設けられていてもよく、別体とされていてもよい。別体とされている場合には、シュート装置と焼却炉との間に、コンベア等の適宜な移送手段を設け、シュート装置から排出された有機性廃棄物を、この移送手段にて焼却炉まで運ぶようにしてもよい。
界面活性剤含有水中の水は、被燃焼物の見かけの比熱を増加させ、引火性を抑制するとともに、重量増加により、不完全燃焼し易い燃焼炉の上層部から、完全燃焼可能な燃焼炉底部まで被燃焼物を速やかに落下させる作用を有している。
また、界面活性剤は、それが有する浸透作用、湿潤作用により被燃焼物の表面から内部に水を良く浸透させたり、ビニール等の軽量の被燃焼物表面全体に水を濡れ広がらせたりする(濡れ面積を増大させる)ことで、被燃焼物の重量増加を促進させるものと考えられる。
以上の相乗効果により、被燃焼物(有機性廃棄物)が焼却炉内の比較的高温燃焼領域に落下し易くなる結果、不完全燃焼が抑制され、COの発生が抑えられるものと考えられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、フォスフォン酸塩等の各種親水基を有する界面活性剤が挙げられる。
ここで、スルホン酸塩型としては、例えば、アルキル硫酸Na、アルキルベンゼンスルホン酸Na、α−オレフィンスルホン酸Naなどが挙げられ、硫酸エステル塩型としては、アルキルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられ、カルボン酸塩型としては、エーテルカルボン酸塩、高級脂肪酸塩などが挙げられる。
ここで、アミン塩型としては、例えば、第1〜3級のアミン塩、変性アミン塩などが挙げられ、第4級アンモニウム塩としては、テトラアルキル第4級アンモニウム塩、トリアルキルベンジル第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。
また、高分子量型界面活性剤として、各種セルロースやデンプンなどの糖類を原料とし、比較的高分子量を有するカチオン化セルロースやカチオン化デンプンなどを用いることもできる。
具体的には、例えば、ラウリルアミノジプロピオン酸Na、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等を好適に用いることができる。
脂肪酸エステル型としては、例えば、脂肪酸グリセリンエステル、脂肪酸アルキレンオキシド、脂肪酸ペンタエリスリトールエステル、脂肪酸ショ糖エステル、脂肪酸ソルビタンエステル等が挙げられる。
ポリアルキレンオキシド縮合型としては、例えば、高級アルコール縮合物、高級脂肪酸縮合物、高級脂肪酸アミド縮合物、高級アルキルアミン縮合物、高級アルキルメルカプタン縮合物等が挙げられる。この場合、アルキレンオキシドについては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびこれらの任意の組み合わせ等が挙げられ、複数組み合わせて使用する場合における縮合形態は問わない。
なお、上記各界面活性剤は、いずれも1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
R−X−(AO)n−R′・・・(1)
(式中、Rは炭素数6〜21のアルキル基またはアルケニル基、R′は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルケニル基、XはOまたはCOO、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜100の整数を示す。)
炭素数6〜21のアルキル基またはアルケニル基としては、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、イソトリデシル基、セチル基、オレイル基、ステアリル基、リノレイル基、エイコシル基等が挙げられる。
nは、0〜100の整数であるが、界面活性剤の浸透性、湿潤性、濡れ性等を燃焼助剤としてより好適なものにすることを考慮すると、好ましくは3〜50、より好ましくは
5〜30である。
これらの多価アルコール(誘導体)は、保水剤として軽量の有機性廃棄物の重量増加作用および保水作用を発揮するため、当該化合物を上述した界面活性剤と併用することで、軽量の有機性廃棄物の不完全燃焼を、より確実に防止することができる。
このような多価アルコール(誘導体)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられ、中でも、グリセリン、ソルビトールが好適である。
また、界面活性剤含有水には、必要に応じて抗菌剤、防腐剤、pH安定剤、可溶化剤、安定化剤、液性改良剤、流動点降下剤、消泡剤、湿潤剤等のその他の添加剤を適宜配合することもできる。
図1には、本発明の有機性廃棄物焼却装置(以下、単に焼却装置という)1が示されている。焼却装置1は、シュート装置10と、焼却炉である流動床ボイラ20とを備えている。
シュート装置10は、金属製箱状体で、その上部側面部に廃棄物投入口11が形成されるとともに、その底面部に廃棄物排出口12が形成されている。また、その内部の上下方向中央からやや廃棄物排出口12よりに、界面活性剤含有水3を送液する送液管13が、シュート装置10の内側面に沿って配管されている。
そして、図2に示されるように、この送液管13には、界面活性剤含有水3を、シュート装置10の内部を落下する有機性廃棄物2に対して散布するための液体散布口である広角ノズル13Aと狭角ノズル13Bとがそれぞれ4基ずつ設けられている。
また、液体散布口として、広角ノズル13A、狭角ノズル13Bを用いていたが、これに限られず、管状などのその他の形状や、送液管13に直接形成した孔状のものを採用することもできる。
さらに、広角ノズル13Aおよび狭角ノズル13Bが、それぞれ4基ずつ設けられていたが、この態様に限られず、広角ノズルのみでも、狭角ノズルのみでもよく、また、その数も任意である。ただし、上記実施形態のように、広角ノズル13Aと、狭角ノズル13Bとを、それぞれ複数個用いることで、効率的に界面活性剤含有水3を噴霧することができる。
また、界面活性剤含有水3を、シュート装置10に導入する直前で、水3Aおよび界面活性剤3Bを混合して調製していたが、予め調製した界面活性剤含有水をポンプなどで送液する態様でもよい。
さらに、焼却炉として流動床ボイラ20を用いていたが、これに限られず、回転型の燃焼炉、多段燃焼室を有する燃焼炉などを用いることもできる。
その他、具体的な装置の構成部材の形状、材質、配置等については、本発明の目的を達成できる限りにおいて、適宜変更してもよい。
有機性廃棄物3の焼却装置1として、荏原製作所製内部循環流動床水管式ボイラ(型式ICFB−700D)を用いた。この焼却装置1のシュート装置10内部に送液管13を設け、その送液管13に液体散布口として120°広角ノズル13A(スプレーイングシステムス ジャパン製 GG−W 8W)と、70°狭角ノズル13B(池内製作所製 充円錐)を各4基ずつ設けた。
界面活性剤3Bとして、ライオン(株)製「リポミックス LA−90−G」(ポリオキシエチレンラウリン酸メチルエステル(EOP=9)を15%含む非イオン界面活性剤)水溶液を使用した。
有機性廃棄物2は、廃プラスチックと紙くずを主とした有機性産業廃棄物を用いた。
次いで、湿潤有機性廃棄物2Aが、搬送コンベア(第2および第3コンベア42,43)で移送され、ボイラ20の炉頂部よりその内部に投入される。
その後、一次空気による流動床燃焼により湿潤有機性廃棄物2Aは酸化されてCO2となるが、同時に発生したCOは、下流に設置されている二次燃焼空気による二次燃焼によりCO2に酸化されることとなる。
[1]ダイオキシン、COの測定
ダイオキシン:JIS K0311に準拠して測定した。
CO:横河電機製 SG−400(非分散型赤外線式)により、焼却炉の炉頂のCO濃度を測定した。
[2]NOxおよびSO2の測定
島津製作所製 URA−208型(赤外線式)により煙道での各濃度を測定した。
界面活性剤水溶液3を、送液管13に形成した孔からなる液体散布口8個から、棒状に流出させた以外は、実施例1と同じ焼却処理方法を行った。その結果、ダイオキシン発生量は99%、平均CO濃度は78%、NOx濃度は99%、SO2濃度は97%であった。
水を用いた以外は、実施例2と同じ焼却方法を行った。
上述のとおり、比較例1で得られたダイオキシン、CO、NOx、SO2の濃度を100%とし、相対評価の指標とした。
以上の実施例および比較例の評価結果を以下の表1にまとめて示す。
2 有機性廃棄物
2A 湿潤有機性廃棄物
3 界面活性剤含有水
10 シュート装置
11 廃棄物投入口
12 廃棄物排出口
13 送液管
13A 広角ノズル(液体散布口)
13B 狭角ノズル(液体散布口)
20 焼却炉
Claims (2)
- 廃棄物投入口および廃棄物排出口を有し、前記廃棄物投入口から投入された有機性廃棄物が前記廃棄物排出口に向かってその内部を落下するシュート装置と、このシュート装置から排出された前記有機性廃棄物を焼却する焼却炉とを備えた廃棄物焼却装置を用いた有機性廃棄物の焼却処理方法であって、
前記シュート装置が、少なくとも1つの液体散布口を備え、この液体散布口から前記有機性廃棄物に対して界面活性剤含有水が散布された後、前記有機性廃棄物が前記焼却炉内に投入され、焼却されることを特徴とする有機性廃棄物の焼却処理方法。 - 前記液体散布口が、前記シュート装置の内部に配設された送液管に設けられている請求項1記載の有機性廃棄物の焼却処理方法。
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