JP4752059B2 - 中空穴あき体を用いる微生物の培養方法及びそのための装置 - Google Patents

中空穴あき体を用いる微生物の培養方法及びそのための装置 Download PDF

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Description

本願発明は、微生物の分離の技術分野に属する。より具体的には、本願発明は、ガスを発生する微生物を分離する方法及びそのための装置に関する。
従来から、自然界から、さまざまな優れた微生物が単離されてきた。微生物の単離は、(1)生態的な分布を考慮し適切な分離源を選択し、(2)分離培地に使用する培地組成、温度、生育に関連する他の因子を考慮した培養条件の設定により行われてきた。特定の微生物のコロニーを見分けるための指標物質を含有させた分別培地、目的の微生物以外のコロニーの出現を阻止する各種抗生物質や薬剤を添加した選択培地などが種々知られている。更に、選択培地で直接分離できない時は、液体培地で選択分離を数回繰り返してから固体選択培地で目的とする微生物のコロニーを出現させる集積培養法が用いられる(非特許文献1)。
ところで、環境問題の高まり、京都プロトコール発効により、今後ますますCO2の排出制限が求められている中、水素ガスは、燃焼によって、水しか生じないため、理想的な、クリーンエネルギーとして注目を浴びている。従来、水素ガスの主要な製造法は、水の電気分解、又は天然ガスなどの化石燃料の高圧熱分解である。水の電気分解は、原料が水で、排出物としても水以外はないが、電気消費が非常に多いという問題があり、化石燃料の分解は、高温反応でエネルギー消費が多く、二酸化炭素も排出される。これに対し、微生物を用いた水素産生では、エネルギー消費は少なく、原料としても廃棄物を利用でき、排出物も、生分解性であり安全で優れている。そこで、水素生産に微生物の利用が検討され、水素生産に向いた微生物の探索もなされている。水素ガス生産菌としては、例えば、光合成細菌及び嫌気性細菌があげられ、光合成細菌としては、クラミドモナス ラインハルディ (Chlamidomonas reinhardti)等の緑藻類や、オシラトリア属菌(Oscillatoria sp.)、シネココックス属菌(Synechococcus sp.)等の藍藻類、Rhodobacter sphaeroides(紅色非硫黄細菌)などが知られている。また嫌気性微生物は、有機物の種々の還元的分解反応において水素を発生するものがあり、例えば、アゾトバクター クロオコッカム(Azotobacter chroococcum)、クレブシエラ ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、エンテロバクターエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、クロストリジウム(Clostridium)属菌などが知られている。
特許文献1(特公平7-63379号)は、非常に生産性の高いクロストリジウム(Clostridium)属に属する水素ガス産生菌を酢酸塩及びギ酸塩を含有する分離溶媒地を用いて分離し、次いで水素ガス産生能をスクリーニングにより推定するものである。特許文献2(特開平6-277076号)は、ニトロゲナーゼを構成的に発現する好気性窒素固定化菌が好気的に水素ガスを発生させるとの推論から、アセチレン還元試験により菌株をスクリーニングし、ガスクロマトグラフィー法で水素ガス量の発生量の多いものを選抜することが記載されている。
特許文献3(特開平8-252089号)には、高い水素ガス分圧環境下においても優れた水素ガス生産能を発現することができる水素ガス生産微生物を、大豆粕から嫌気的に集積培養を繰り返した後コロニーを形成させ、10種のコロニーを釣菌して培養後、ガスクロマトグラフィーで水素発生量を測定し、目的の菌株を分離するものである。
鮫島廣年外1名編「微生物と発酵生産」第38―42ページ 共立出版株式会社 特公平7-63379号 特開平6-277076号 特開平8-252089号
水素ガスなどのガス産生微生物の分離は、微生物学的特性に基づいたスクリーニング及び発生したガスの同定確認の2段階からなっており、特に分離培地や集積培養による微生物分離は数日を要するなど時間・手数のかかるものであった。現在まで、直接的にガスの発生に基づく微生物の分離手段が今までなかった。そこで本願発明は、直接的にガスの発生に基づく微生物の分離手段を提供することを課題とする。
更に、本願発明は、目的とするガスを産生する微生物を簡便に分離する方法、更に、ガス産生能力に優れた微生物、具体的には、水素ガス産生能力が優れた微生物の簡便な方法で分離する手段を提供することを課題とする。
本願発明者等は、偶然にも、鹿児島に豊富にあるシラス土のうち、中空シラスバルーンを用いることで、ガスを発生している微生物を、ガス産生というメルクマールで分離することで、1段で分離できることを見出した。具体的には、中空シラスバルーン内に水が入った状態では水没するが、気体が入った状態では浮上するような穴あき中空シラスバルーンをまず選択し、前記穴あき中空シラスバルーン内に培地とガス発生微生物を進入させ、培養することにより、ガスを発生させ、ガス産生微生物が含まれる穴あき中空シラスバルーンだけが浮上することを利用して、ガス産生微生物を選抜するものである。
更に、改良を重ね、予測されるガスについてそのガスの吸収剤を培地中に添加し対照として用いることで、ガスの種類も同定できることを見出した。
また、穴あき中空シラスバルーンが堆積してしまうと、せっかくガスが産生して浮力が生じた中空シラスバルーンが他の浮上しない中空シラスバルーンの下に重なりあり、浮上できないことがあったものを、中空シラスバルーンをゆるく攪拌することで解決した。そして、ガス産生微生物を含有する中空シラスバルーンが実質上すべて浮上できるようになったことから、ガス産生力の高いものは、早く浮上することを利用し、ガス産性能によるガス産生微生物の分離ができるようになった。
本願発明の方法により、従来は2段階の時間のかかる方法で選抜分離していた水素ガス産生微生物などのガス産生微生物を、極めて短時間で簡便に安価に、1段階で分離することができるようになった。
1.穴あき中空体を利用するガス発生微生物の分離方法
本願発明は、(1)穴あき中空体及び微生物含有試料を培養液に添加し、前記培養液を減圧処理し、前記培養液を減圧解除し、常圧で培養し、培養液面に浮上した穴あき中空体を回収することを特徴とするガス発生微生物を分離する方法を包含する。
1−1.穴あき中空体及び試料の調製
穴あき中空体としては、穴あき中空体を水溶液若しくは微生物培養培地で満たした場合には沈降し、穴あき中空体をガス発生微生物が産生するガス、例えば、酸素、メタンガス又は水素で満たした場合には、水溶液から浮上するような材料から構成された穴あき中空体であればいずれのもであっても用いることができる。例えば、有孔微小中空体、種々の有孔(穴あき)中空微小ガラス、具体的には、穴あき中空シラスバルーン、又は穴あき中空合成樹脂などが使用できる。例えば、穴あき中空シラスバルーンの性状は、粒径22〜112μm(平均47±18μm)、穴の平均直径は33±14 μm、浮上に必要なガスの体積分率は内部空間のうちの37%以上と推算される。これら、穴あき中空体シラスバルーンのような有孔微小中空体は、中空体内部に微生物を吸入することによりマイクロ培養器として使用できるものである。
なお、シラスバルーンとは、南九州地方で“シラス”と呼ばれる火山ガラス質堆積物(北海道、東北、南九州地方に大量に埋蔵し、その量は約2億トンと推定される)を約1000℃で加熱し発泡させたほぼ球形に近い中空体である。
Figure 0004752059
通常販売されているシラスバルーンは、さまざまな形状のものがあり、穴あき中空バルーンに加えて、穴のない中空バルーン、シラスバルーンの破片などが含まれている。穴あき中空シラスバルーンとしては、例えば、市販のシラスバルーン(豊和直株式会社製トワナライト FTB(微粒バルーン)、平均粒径=14μm、かさ比重=0.16〜0.18)から2段階に分けて分離できる。1段階目では「水に浮く中空体であるか否か」、2段階目では「中空体表面に穴が開いているか否か」を、シラスバルーンを溶液中に入れ、溶液を減圧後常圧に戻す操作により、穴あき中空バルーンが溶液中で沈降することを分離の基準に分離し、分離後はアセトンを用いてデカンテーションを行い乾燥させて用いることができる。
以下の工程で、穴あき中空体としては、好適には、有孔微小中空体、より好適には、有孔微小ガラス中空体、具体的には穴あき中空シラスバルーン(穴あきシラスバルーンとも呼ぶ。)を用いることができる。以下の具体的説明における有孔微小中空体としては、穴あき中空シラスバルーンを用いることができる。なお、有孔微小中空体を微小培養容器と呼ぶこともある。
以下、有孔微小中空体、又は穴あき中空シラスバルーンを例として説明する。
1−2.減圧処理、減圧解除処理
有孔微小中空体、例えば、穴あき中空シラスバルーンは、ガス産生微生物を含有する可能性のある試料とともに、容器中で水溶液、例えば、培養液に分散される。前記培養液は、有孔微小中空体の大部分が水中に沈降するような減圧条件で、減圧処理される。減圧処理としては、穴あき中空シラスバルーンを用いる場合は、圧力を1気圧から、0.7から0.3気圧の範囲程度、例えば、500mHgから400mHg、好適には、228mHg まで徐々に減圧する。具体的には、例えば、1気圧から0.6気圧に1分間かけて減圧する。本減圧処理により、中空体内の気体は穴より中空体外に放出される。そのため浮力を失しない有孔微小中空体は、培養液中を沈降する。なお、容器としては、例えば、試験管、エッペンドルフチューブなど、深さ20cmまでの容器を用いることができる。
1−3.減圧解除
減圧後、徐々に、減圧を解き、常圧に戻す。例えば、穴あき中空シラスバルーンを用いる場合は、0.6気圧から、1気圧に1分かけて減圧解除する。これにより、有孔微小中空体の外の圧力が有孔微小中空体内の圧力よりも高くなるために、有孔微小中空体内の空気体積が減少し、培養液(試料含有培地)が穴を通して中空体内に進入する。これにより、有孔微小中空体は、沈降する。浮上したままの有孔微小中空体があれば、あらかじめ、ピペットなどで、除去しておく。
1−4.常圧培養
試料中に存在すると推定される微生物のガス産生が行いうる培養条件下で、培養を続ける。例えば、光合成細菌であれば、酸素は発生を行うに十分な程度の光度の白色効果で培養する。培養時間は、ガス産生微生物の同定目的により、異なるが、ごく少数のガス産生能が高いものだけを分離するのであれば、有孔微小中空体が1以上浮上する時間、培養すればよく、有孔微小中空体の新たな浮上が観察されなくなるまで、培養を続けることができる。好適には、24時間くらい培養を続けることができる。
1−5.有孔微小中空体の浮上の確認及び回収
有孔微小中空体が浮上するか又は浮上しないかを指標として、試料にガス産生微生物が含まれるか否かを判別する。更に、浮上した有孔微小中空体を培養液から適宜の手段例えば、ピペットで回収する。回収した有孔微小中空体を、まとめて、又は1ないし数個に分別し、それぞれ培養用容器に移し、培養することにより、ガス産生微生物を増殖させる。
2.ガス発生微生物から発生したガスを同定する方法
本願発明は、有孔微小中空体及び試料を培養液に添加した後、前記培養液を減圧処理し、前記培養液を減圧解除し、常圧で培養し、浮上した有孔微小中空体の数を計数し、次にガス吸収剤を添加し、再度浮上している有孔微小中空体の数を計測することを含む、発生したガスを同定または確認する方法を包含している。
2−1.有孔微小中空体、減圧処理、減圧解除、常圧培養
有孔微小中空体の調製、減圧処理、減圧解除、及び常圧培養は、上記1−1から1−4に準じて同様に行うことができる。有孔微小中空体としては、上記1と同様、穴あきシラスバルーンが好適に用いることができる。
2−2.浮上した有孔微小中空体の個数の計測
常圧培養後、浮上した有孔微小中空体の個数を増す計測する。計測手法は任意であるが、上清を分離し、上清中に含まれる有孔微小中空体の個数を顕微鏡で計測することができる。
2−3.発生ガスのガス判別剤の添加
浮上した有孔微小中空体中には、微生物により産生されたガスが充満することにより浮上しているが、これを、産生したガスを再度培養液中に吸収(又は分解)するような薬剤を添加することで、産生ガスにより浮上している有孔微小中空体を再度沈降させることができれば、当該薬剤により培養液に吸収(又は分解)されるガスであったと同定することができる。たとえば、水素ガスの判別剤としては、重クロム酸カリウム(K2Cr2O7)を用いることができ、炭酸ガスの判別剤としては、NaOHを、酸素の判別剤としては、Na2SO3を用いることができる。これらガス判別剤の添加量は、有孔微小中空体を沈降させるのに十分な量であればよい。
2−4.残留している浮上有孔微小中空体の個数の計測
前記2-2と同様にして、ガスの吸収剤の添加後に、残留している浮上有孔微小中空体の個数を増す計測する。計測手法は任意であるが、2-2.と同様に、上清を分離し、上清中に含まれる有孔微小中空体の個数を顕微鏡で計測することができる。
2−5.ガスの同定
浮上した有孔微小中空体のうち、ガス吸収剤の添加後も、残留している浮上穴あき中空体の割合を算出し、50%以下であれば、発生しているガスの主成分は当該ガス吸収剤の吸収対象ガスであると同定できる。
3.有孔微小中空体を利用するガス発生微生物の分離方法のための攪拌装置及び当該攪拌装置を使用した有孔微小中空体を利用するガス発生微生物の分離方法
本願発明は、有孔微小中空体を利用するガス発生微生物の分離方法のための攪拌装置を包含する。更に、本願発明は、攪拌容器に培養液、有孔微小中空体及び試料を加え、前記培養液を減圧処理し、前記培養液を減圧解除し、攪拌容器で攪拌しながら常圧で培養し、培養液面に浮上した有孔微小中空体を回収することを含む有孔微小中空体を利用するガス発生微生物の分離方法を包含する。
3−1.有孔微小中空体を利用するガス発生微生物の分離方法のための攪拌装置
穴あき中空シラスバルーン(穴あきシラスバルーン)が堆積してしまうと、せっかくガスが産生して浮力が生じた穴あき中空シラスバルーンが他の浮上しない穴あき中空シラスバルーンの下に重なりあい、浮上できないので、穴あき中空シラスバルーンを舞い上がらないように、ゆるく攪拌することが望ましい。
攪拌装置としては、攪拌しつつ培養できる攪拌容器又は攪拌培養容器が望ましい。
攪拌装置としては、中空シラスバルーンを舞い上がらないように、ゆるく攪拌できることが必要で、好適には、堆積物のそれぞれが一番表層(他の堆積物の下とならない状態)とできるように攪拌できるものが望ましい。好適には、円環状の容器自体を回転させる攪拌装置を用いることができる。円環状の容器は、円の中心を回転軸として、回転軸を水平面と平衡となるように設置し、円環状の容器を円周方向に回転させることにより、一番下に堆積したものも、堆積物の上に出るようにしたものを用いることができる。
3−2.攪拌することにより、特にガス産生が優れた微生物を有孔微小中空体を利用し分離する方法
攪拌容器に培養液、有孔微小中空体及び試料を加え、前記培養液を減圧処理し、前記培養液を減圧解除するまでは、容器として攪拌容器を用いる点を除き、上記1,2と同様に行うことができる。上記1,2と同様に、有孔微小中空体としては、穴あき中空シラスバルーンを用いることができる。また、攪拌容器としては、好適には、円環状攪拌容器を用いることができる。
円環状攪拌容器を回転させながら常圧で培養する工程は、円環状攪拌容器を、円の中心を回転軸として、回転軸を水平面と平衡となるように円環状攪拌容器を設置し、円環状攪拌容器を円周方向に回転させることにより、一番下に堆積したものも、堆積物の上に出るようにしながら、培養することができる。
[参考例] 穴あきシラスバルーン(穴あき中空シラスバルーン)の調製
穴あきシラスバルーンは、以下の3段階により調製した。
第1段階(中空シラスバルーンの分離)
エッペンドルフチューブにシラスバルーンを50mg量り取った。次に脱イオン水を加え、試験管ミキサーで軽く懸濁した。卓上遠心機で12000rpm、1秒間遠心し、浮いたままのシラスバルーンをピペットにより培養液ごと吸い取って沈殿物から分離した。浮いたままであったシラスバルーンを中空シラスバルーン(穴あり、穴なし混在)として確保した。
第2段階(穴あり中空シラスバルーンの分離)
中空シラスバルーンを入れた容器に脱イオン水加え0.5mLとした後に試験管ミキサーで軽く攪拌した。容器上部にパラフィルムを巻くことにより蓋をし、針でそれに2、3箇所穴を開けた。減圧器内で15分間減圧(0.6気圧)した後常圧に戻した。この減圧操作により穴あり中空シラスバルーン内部の空気の大部分が排除され、常圧に戻すとき外部の水が流入して浮力を失う。卓上遠心機で12000rpm、1秒間遠心し、浮いたままのシラスバルーン(穴なし)をピペットにより培養液ごと吸い取って、沈殿したシラスバルーン(穴あり)から分離した。
第3段階(乾燥)
分離操作で獲得した穴あき中空シラスバルーンを入れた容器にアセトン0.5mLを加え、試験管ミキサーを用いて軽く攪拌した後、12000rpm、1秒間卓上遠心分離機にかけた。デカンテーションにより上清(水・アセトン混合液)を取り除いた。前記アセトン添加、遠心分離、デカンテーション、上清分離の操作を12回繰り返した後に減圧器にかけ(0.6気圧)、乾燥させた。以下この穴ありシラスバルーンを穴あき中空シラスバルーンとして用いた。
ガス産生による穴あき中空シラスバルーンの浮上
酸素発生型光合成細菌として、S.leopoliensis を用いた。S.leopoliensisは、25℃,27W蛍光灯下,無機培地において誘導期14時間で成育し、その後世代時間(もとの細胞濃度の2倍になるのに必要な時間)は16時間であった。(図1) なお、菌体濃度は、光路長1cmの石英製キュベットに入れた培養溶液の波長600 nmでの吸光度(光学密度)から推定した。吸光度1あたり100Mcells (10cells)/mlに換算した。図1においては、その常用対数値を縦軸として示した。
(1)穴あき中空シラスバルーンへの光合成細菌の導入方法
エッペンドルフチューブに無機培地 200μLを加え、S.leopoliensisを植え継いだ。これに穴あき中空シラスバルーン 1mgを加え、試験管ミキサーを用いて軽く攪拌した。
つぎに、15分間減圧器にかけて減圧した後に、常圧に戻して12000rpmで1秒間卓上遠心分離機にかけて穴あき中空シラスバルーンを沈殿させた。操作後、沈降溶液10μLを採り顕微鏡で観察した。
Figure 0004752059
(2)穴あき中空シラスバルーン浮上の検証:
上記(1)シラスバルーンへの導入の後、25℃、27Wの蛍光灯下で培養を行なった。所定の時間間隔で培養器から容器を取り出し、12000rpmで1秒間卓上遠心分離機にかけた。上清10μLをピペットによりサンプリングし、顕微鏡下で観察した(図2A)。
(2−1)ここで、浮上した穴あき中空シラスバルーンに微生物が取り込まれたか否かを蛍光法により検出した:S.leopoliensisはポルフィリン化合物を多く含むため、自家蛍光を発し、かなり長波長の励起でも蛍光が観測されるが、シラスバルーンは発光しない。従って633nm励起しながら、650nm以下をカットするフィルターを通して観測することで、微弱ながら650〜700nmの発光が観測されることにより、S.leopoliensisだけが検出される。結果を図2Bに示し、図2Aと図2Bとを重ね合わせて図2Cとして示す。
(2−2)共焦点顕微鏡による検出:上記の条件にて発光する試料を共焦点顕微鏡により深さ方向の断層撮影することにより、観察視野にいるS. leopoliensisの存在する深さを知ることができる。それがシラスバルーンの半径程度ならば、内部にいると判断できる。
結果を図3に示す。図3中の右上のバルーンには、矢印で示されるように、深さ8-12μmにS. leopoliensisが認められ、左下のバルーンには、同様に2つの矢印で示される、深さ8−12μm及び18−20μmの2つのS. leopoliensisが認められ、これによりシラスバルーンの内部にいることがわかる。
攪拌・静置培養における穴あき中空シラスバルーン浮上頻度の比較 ガスの発生判別試験
(1)Synechococcus leopoliensis吸入済み穴あき中空シラスバルーン入りエッペンドルフチューブの準備
室内25℃、20cm蛍光灯下にてBG11液体培地であらかじめ培養しておいたSynechococcus leopoliensisを新規BG11液体培地へと植え継ぎ前培養とした。24時間の前培養の後、新規BG11液体培地へと植え継いだ。その際、植え継ぎ時と24時間前培養時の吸光度を測定し、実施例1と同様にして菌体数を求めた。
Figure 0004752059
あらかじめ1.0mgずつ穴あき中空シラスバルーンを量り入れておいたエッペンドルフチューブに前記菌体濃度が30Mcells/ml (3.0x10cells/ml)となるように調整したSynechococcus leopoliensisを植え継いだ培地を1.0mLずつ加え、軽く攪拌したのち遠心分離機にかけた。穴あき中空シラスバルーン内部にSynechococcus leopoliensisと培地を吸入させるため、エッペンドルフチューブごと30分間減圧処理したのちに常圧に戻した。沈降したバルーンと浮上バルーンを分けるために3000rpm、1分間の遠心を行なった。吸入もれの上澄みをピペットマンで0.3ml取り、あらかじめ用意しておいたBG11液体培地を0.3ml注ぎ込んだ。この操作を10回繰り返し上澄みの、吸入もれ中空穴あきシラスバルーンがなるべく残らないように培地を置換した。その後、沈降している中空穴あきシラスバルーンを、ピペットマンを用いて、新たなエッペンドルフチューブへ0.3ml注ぎ込み、あらかじめ用意しておいたBG11液体培地を0.7ml注ぎ込んだ。これをSynechococcus leopoliensis吸入済み中空穴あきシラスバルーン入りエッペンドルフチューブとした。
なお、以下の穴あき中空シラスバルーンの浮上を確認する実験では、特に示していない場合以外は培養初期の菌体濃度が30Mcells/ml (3.0x10cells/ml)となるように調整した。
(2)撹拌なし 静置培養における穴あき中空シラスバルーン浮上頻度の測定
前記(1)実験準備にてあらかじめ作成しておいたSynechococcus leopoliensis吸入済み中空穴あきシラスバルーン入りエッペンドルフチューブを15本用意し、室内25℃で蛍光灯下20cmの位置で培養した。2時間毎に無作為に三本エッペンドルフチューブを取り、それぞれ、軽く撹拌して遠心1〜2秒かけた後、0.45mlの上澄みを取り出し、それぞれ、新しいエッペンドルフチューブへと移した。移したエッペンドルフチューブは室内25℃蛍光灯下20cmの条件にて、一度浮上した穴あき中空シラスバルーンが沈まないようにした。浮上バルーンの回収時間は2時間、4時間、6時間、8時間とした。
回収した浮上穴あき中空シラスバルーンの個数を数えるために、上澄みを円型ふち付スライドガラスへ0.42ml注ぎ込み、円型カバーガラスをかけた。そして、蛍光顕微鏡にて観察し、個数をカウントした。同時間に回収したものをそれぞれ三本ずつ計測した。
回収時間が4時間のものは、個数をカウントした後、浮上穴あき中空シラスバルーン入りスライドガラスからピペットマンにて新しいエッペンドルフチューブへと再回収した。さらに、再回収した浮上穴あき中空シラスバルーンと培地を軽く撹拌し、遠心に1〜2秒かけた後、上澄みを新たな円型ふち付スライドガラスへ注ぎ込み、足りない場合はBG11液体培地で補った。その後、蛍光顕微鏡にて、それぞれ3本のエッペンドルフチューブの浮上穴あき中空シラスバルーンの個数をカウントした。
回収時間が6時間のものは、個数をカウントした後、前記同様に回収した後、二酸化炭素判別試薬であるNaOHを1.67×10-4[M]加え、6時間後に上澄みを0.42ml取り、蛍光顕微鏡にてそれぞれ3本の浮上穴あき中空シラスバルーンの個数をカウントした。
回収時間が8時間のものは、個数をカウントした後、前記と同様に回収した後、酸素判別試薬であるNa2SO3を2.92×10-3[M]加え、3時間後に上澄みを0.42ml取り、蛍光顕微鏡にてそれぞれ3本のエッペンドルフチューブの浮上穴あき中空シラスバルーンの個数をカウントした。
結果を表4〜6及び図4に示す。
Figure 0004752059
Figure 0004752059
Figure 0004752059
(3)撹拌培養における穴あき中空シラスバルーン浮上頻度の測定
前記(1)実験準備にてあらかじめ作成しておいたSynechococcus leopoliensis吸入済み穴あき中空シラスバルーン入りエッペンドルフチューブを45本用意し、半径9cm、1回転20秒の円型撹拌培養器にかけ、蛍光灯下20cmの位置で培養した。
2時間毎に無作為に三本エッペンドルフチューブを取り、それぞれ、軽く撹拌して遠心に1〜2秒かけた後、0.45mlの上澄みを取り出し、それぞれ、新しいエッペンドルフチューブへと移した。移したエッペンドルフチューブは蛍光灯下20cmの条件にて、一度浮上した穴あき中空シラスバルーンが沈まないようにした。浮上穴あき中空シラスバルーンの回収時間は30秒、1分、2分、4分、8分、16分、32分、64分、128分、2時間、4時間、6時間、8時間とした。
回収した浮上穴あき中空シラスバルーンの個数を数えるために、上澄みを円型ふち付スライドガラスへ0.42ml注ぎ込み、円型カバーガラスをかけた。そして、蛍光顕微鏡にて観察し、個数をカウントした。同時間に回収したものをそれぞれ三本ずつ計測した。ただし、測定時間が30秒、1分、2分、4分、8分、16分、32分、64分、128分、のものは、カバーガラスに線を引き半分の面積分だけ観察し、カウントして、後に2倍にして計測した。
上記した(2)静置培養における穴あき中空シラスバルーン浮上頻度の測定結果及び(3)撹拌培養における穴あき中空シラスバルーン浮上頻度の測定結果を合わせて図5に示す。また、(3)の撹拌培養におけるバルーン浮上頻度(図5における隣接する時刻間の累積浮上個数の差分/隣接する時刻間の時間)については、図6にも示し、更に、図6の横軸を逆数としたものを図7とした。
なお、菌体の分離は全て「ガス発生に伴い浮上したシラスバルーン」の分離(ピペットによる上清の吸引)によって行われた。菌体が内部にあることはその都度位相差顕微鏡と共焦点顕微鏡により確認した。シラスバルーン内の菌体数は共焦点顕微鏡像から計数し、少数例から統計操作により母集団平均を推定した。
また、培養継続時間からガス産生能力へ換算した。菌体の吸入は最初に一括して同時に行なうので、浮上バルーンはみな同じ時刻にガス産生が開始されたはずである。しかし浮上の時刻が異なると言うことは、ほぼ均一の内部体積を仮定するならば、同じ体積分のガスを産生するのに、あるバルーンでは短い時間で達成されているのに比べ、別のバルーンでは長い時間を要するということになる。これはガスの産生能力に差があるということを意味している。単位時間当たりの平均ガス産生量をa [L/s]とすれば、浮上に必要な体積Vだけガスを産生するのにかかる時間はV/aになる。これが浮上時間に等しいわけであるから、浮上時間の逆数であるa/Vはaに比例し、単位時間当たりの平均ガス産生量に比例する。培養中にガスを産生して浮上して分離されたシラスバルーン内部の菌体は、ある一定空間をその浮上に至るまでの培養継続時間内にガスで満たし、浮上に要する体積(約36%)に至ったものであるから、これが短時間であるほど単位時間あたりのガス産生量(モル数)が多く、従ってその能力が高い。単位時間あたりのガス産生量はほぼ一定の(部分)内容積(36%)を培養継続時間(浮上時間)で除した値であるから、培養継続時間の逆数に比例する。時刻毎の浮上シラスバルーンを計数し、それを培養継続時間の逆数に対してプロットすれば、それは横軸をガス産生能力、縦軸をその能力をもった菌体数としてプロットしたことになる。そして、図6が隣接する時刻間の累積浮上個数の差分/隣接する時刻間の時間であるから、当該時刻に初めて浮上したバルーンの個数になる。これをガス産生能力と考えれば、能力別の微生物のポピュレーション構成がわかる。これが図8に相当する。横軸は時間の逆数の単位で表現されているが、これの大小は時間当たりのガス産生能力の大小に比例することとなる。
水素発生実験及びガスの判別
(1)E.aerogenesは、37℃,Davis培地において、誘導期が1時間存在した。その後、増殖期に入り、菌体濃度が約7.33×107cell/mlに達するまで増殖した。このときの世代時間は、67.4 分であった(図8)。
なおDavis培地組成は以下の通りである。
Figure 0004752059
培養条件以外は前記実施例2と同様に行った。培養中は遮光し、ガス交換を許さない密閉容器内の培養を嫌気培養条件、または通気性のあるシリコン栓を用いた好気培養条件を用いた。
(2)好気培養条件
エッペンドルフチューブに1.0mgの穴開き中空シラスバルーンを量り取った。Davis培地により6時間、37℃で前培養したE. aerogenesを3000rpm、20分集菌し、新たなDavis培地に植え継いだ(菌体濃度5.57×107cell/mL)。穴あき中空シラスバルーンを量り取ったチューブにE.aerogenesを植え継いだ培地を1mL加え、試験管ミキサーを用いて軽く攪拌した。15分間減圧器にかけて減圧した後に、常圧に戻して12000rpmで1秒間卓上遠心分離機にかけてシラスバルーンを沈殿させた。試験管に前記沈殿溶液を0.550μL移し、更に、前記E.aerogenesを植え継いだ培地を1mL加えた。24時間培養後に、試験管を指ではじき軽く攪拌した後に3000rpmで10分間遠心した。これの上清をリング付きスライドガラスに0.550mL移しカバーガラスを被せた後、顕微鏡観察した。結果を図9に示す。
(3)嫌気培養条件
エッペンドルフチューブに1.0mgの穴あき中空シラスバルーンを量り取った。Davis培地により6時間、37℃で前培養したE.aerogenesを3000rpm、20分集菌し、新たなDavis培地に植え継いだ(菌体濃度5.57×107cell/mL)。穴あき中空シラスバルーンを量り取ったチューブにE.aerogenesを植え継いだ培地を1mL加え、試験管ミキサーを用いて軽く攪拌した。15分間減圧器にかけて減圧した後に、常圧に戻して12000rpmで1秒間卓上遠心分離機にかけてシラスバルーンを沈殿させた。18本のエッペンドルフチューブにそれぞれ前記沈殿溶液を0.550μL移し、E.aerogenesを植え継いだ培地を1mL加えた。
チューブの蓋を閉め、周囲をパラフィルムで巻き、密栓状態とした。2,4,6,8,10,24時間の培養を経験したサンプルそれぞれにつき3サンプルづつ、チューブを指ではじき軽く攪拌した後に6200rpmで10分間遠心した。上清を顕微鏡観察した結果を図10に示す。更に、浮上した穴あき中空シラスバルーンの数を顕微鏡下で計数し、その平均と標準偏差を培養時間に対してプロットした図11に示す。図11の右の軸の数値は全穴あき中空シラスバルーンの個数に対する浮上穴あき中空シラスバルーンの個数の割合(%)が示されている。
(4)ガス判別実験
穴あき中空シラスバルーン内部は微小空間でるため、機器によりガスを検出するのは困難である。そこで、酸化剤(K2Cr2O7)を浮上穴あき中空シラスバルーン溶液に加え、その内部に存在する水素を消失させることを狙う。水素が酸化反応により消失していけば、いずれ浮上穴あき中空シラスバルーンは自身の重さにより沈降する。他方で、二酸化炭素による浮上ではないこともガス吸収剤(NaOH)を用いて検証する。
水素判別剤;0.601M-二クロム酸カリウム水溶液,密度1.01[g/cm3
二酸化炭素判別剤;0.986M-水酸化ナトリウム水溶液,密度1.04[g/cm3
結果をそれぞれ図12及び13に示し、まとめて以下の表8に示す。
Figure 0004752059
円環状攪拌容器及びその攪拌装置
1.円環状攪拌容器
内径4mmφ、外径6mmφの2本のシリコンチューブ(1)を2つのT字ジョイント管(10)で接合することで円環形状の攪拌容器を構成した。具体的に図16をもとに説明すると、シリコンチューブ(黒2本線)(1)はオス型ジョイント(白色)(11)に差し込まれ、それとT字メス型ジョイント(中央黒)(12)はネジ式コネクタ(灰色)(13)で固定される。該オス型ジョイント(白色)(11)、T字メス型ジョイント(中央黒)(12)及びネジ式コネクタ(灰色)(13)により、T字ジョイント管(10)が形成される。
円環の直径方向(2本のチューブを接合することにより形成される円の直径方向)のオス型ジョイントは円環内部への試料、培地または有孔中空微小体の出し入れのために使うもので、内部はエラストマー(14)で密閉されている。(図16)
2.円環状攪拌容器への有孔中空微小体(例えば穴あき中空シラスバルーン)および培地の導入
円環(4)を水平に保ち、円環の直径方向の開口部(15)を両方とも上方向に開けて保持し、内部に有孔中空微小体と培地の混合液を注入する。エラストマー(14)詰めたコネクタ(13)を、内部に空気が残らないようにT字ジョイント(12)差し込んで密閉する(図17)。
T字ジョイントのエラストマーストッパーを向き合わせて、沈殿した有孔中空微小体や浮上したものがジョイント部分で引っかからないようにする。円環の中心軸が水平になるように攪拌器にセットして運転する。(図14、図15)
円環状攪拌容器の攪拌装置を用いる、Synechococcus leopoliensis吸入済み中空穴あきシラスバルーンの培養
(1)実施例4記載の円環状攪拌容器の撹拌装置を用いて、3.75mg(dry、約10万個相当)の穴あき中空シラスバルーンに、細胞濃度3.0×107cells/mLのSynechococcus leopoliensis(前培養12時間)を1.0mLを加え、エッペンドルフチューブ内で数秒間回転撹拌の後、減圧下に30分暴露して常圧を回復、さらに減圧下に15分暴露して常圧を回復することで約30%の穴あき中空シラスバルーンに細胞を含んだ培地を吸入することができた。Synechococcus leopoliensis吸入済み穴あき中空シラスバルーンを12,000rpm×3秒の遠心分離により集め、50倍等容(約500μL)の培地に分散し、円環状攪拌容器の円環部分内部にできるだけ完全に培地で満たす。こうすることにより、後に浮上した穴あき中空シラスバルーンは円周の最上部に集積する。
(2)撹拌装置の運転
円環を毎分1回転で回転させ、蛍光灯下で24時間培養した。Synechococcus leopoliensisは当初12時間で(クロロフィルの蓄積に基く緑色のため)目視で確認可能なほど増殖し、さらに24時間後には穴あき中空シラスバルーンの外部にも酸素の生産に基く気泡が確認されたため培養を停止した。
(3)浮上穴あき中空シラスバルーンの回収
24時間の培養の後、一方のT字ジョイント管が円周の最上部に位置するところで回転運動を停止し、円環内の浮上穴あき中空シラスバルーンが円周の最上部に集積するのを待ち、上部T字ジョイント管のバルブを開け、ピペットにより浮上穴あき中空シラスバルーンを回収した。淡緑色固体浮遊物を50倍等容(約500 μL)の培地に分散し、30分間の振とう撹拌により穴あき中空シラスバルーン内部の酸素飽和状態を緩和して酸素ガスを培地に溶解させ、12,000rpm×3秒の遠心分離により緑色固体を回収した。ほぼ投入した全量の穴あき中空シラスバルーンが回収された。
(4)観察
顕微鏡観察によりSynechococcus leopoliensisの存在を確認した。
本願発明は、ガス生産微生物のスクリーニングに用いることができる。
酸素発生型光合成細菌として、S. leopoliensisを用い25℃,27 W蛍光灯下,無機培地で、培養し、経時的に菌体濃度を測定した。 A:シラスバルーンへの導入の後、25℃、27Wの蛍光灯下で培養を行ない、所定の時間間隔で培養器から容器を取り出し、12000rpmで1秒間卓上遠心分離機にかけた。上清10μLをピペットによりサンプリングし、顕微鏡下で観察した。B: 浮上したシラスバルーンを蛍光法による微生物の検出した:S.leopoliensisはポルフィリン化合物を多く含むため、自家蛍光を発し、かなり長波長の励起でも蛍光が観測される。C:図2Aと図2Bとを重ね合わせて図2Cとして示す。 蛍光法で発光する試料をを共焦点顕微鏡により深さ方向の断層撮影することにより、観察視野にいるS.leopoliensisの存在する深さをしらべた。 静置培養におけるバルーン浮上頻度の測定結果。 静置培養におけるバルーン浮上頻度の測定結果及び撹拌培養におけるバルーン浮上頻度の測定結果を合わせて示す。 撹拌培養におけるバルーン浮上頻度。 図6の対数表示。 E.aerogenesを、37℃,Davis培地において、培養し、経時的に菌体濃度を測定した。 E.aerogenesの好気培養条件における顕微鏡観察。 E.aerogenesの嫌気培養条件における顕微鏡観察。 嫌気的培養時間に対するバルーン浮上数の推移。 水素判別剤を用いたガス判別の顕微鏡写真。 二酸化炭素判別剤を用いたガス判別の顕微鏡写真。 円環状攪拌容器の攪拌装置 側面図。 円環状攪拌容器の攪拌装置 上面図。 2つのT字ジョイントで2つのチューブをつないだ微小培養容器の攪拌器(下)とその部分拡大図(上)。 円環状攪拌容器の攪拌装置を使用する場合の試料等の出し入れ手順。T字ジョイントの構造(上)、円環状攪拌容器への試料等の出し入れ(中)、円環状攪拌容器へ試料を注入後エラストマーで注入用開口部を密閉したところ(下)。 円環状攪拌容器の攪拌装置を使用する場合の運転時の配置。
符号の説明
(1)シリコンチューブ、(2)駆動装置、(3)円環保持プーリー、(4)円環、(10)T字ジョイント管、(11)オス型ジョイント(白色)、(12)T字メス型ジョイント(黒)、(13)ネジ式コネクタ(灰色)、(14)密閉用エラストマー、(15)円環の直径方向の開口部。

Claims (11)

  1. 以下の工程を含むガス発生微生物含有試料の選別方法。
    (1)穴あき中空体及び試料を培養液に添加する工程、
    (2)前記培養液を減圧処理し、穴あき中空体を沈殿させる工程、
    (3)前記培養液を減圧解除し、常圧に戻す工程、
    (4)前記培養液を常圧で培養する工程、及び
    (5)培養液面に穴あき中空体が浮上するか否かを確認する工程。
  2. 以下の工程を含むガス発生微生物を分離する方法。
    (1)穴あき中空体及び試料を培養液に添加する工程、
    (2)前記培養液を減圧処理し、穴あき中空体を沈殿させる工程、
    (3)前記培養液を減圧解除し、常圧に戻す工程、
    (4)前記培養液を常圧で培養する工程、及び
    (5)培養液面に浮上した穴あき中空体を回収する工程。
  3. 以下の工程を含むガス発生微生物から発生したガスを同定する方法。
    (1)穴あき中空体及び試料を培養液に添加する工程、
    (2)前記培養液を減圧処理し、穴あき中空体を沈殿させる工程、
    (3)前記培養液を減圧解除し、常圧に戻す工程、
    (4)前記培養液を常圧で培養する工程、
    (5)培養液面に浮上した穴あき中空体の数を計数する工程、及び
    (6)ガス判別剤を添加した後も浮上を続ける穴あき中空体の数を計数する工程。
  4. 以下の工程を含むガス発生微生物含有試料の選別方法。
    (1)穴あき中空体及び試料を培養液に添加する工程、
    (2)前記培養液を減圧処理し、穴あき中空体を沈殿させる工程、
    (3)前記培養液を減圧解除し、沈殿を円環状攪拌容器に移す工程、
    (4)前記円環状攪拌容器を回転させながら常圧で培養する工程、及び
    (5)円環状攪拌容器を停止させ穴あき中空体が浮上するか否かを確認する工程。
  5. 以下の工程を含むガス発生微生物を分離する方法。
    (1)穴あき中空体及び試料を培養液に加える工程、
    (2)前記培養液を減圧処理し、穴あき中空体を沈殿させる工程、
    (3)前記培養液を減圧解除し、沈殿を円環状攪拌容器に移す工程、
    (4)前記円環状攪拌容器を回転させながら常圧で培養する工程、及び
    (5)円環状攪拌容器を停止させ浮上した穴あき中空体を回収する工程。
  6. 以下の工程を含むガス発生微生物から発生したガスを同定する方法。
    (1)穴あき中空体及び試料を培養液に加える工程、
    (2)前記培養液を減圧処理し、穴あき中空体を沈殿させる工程、
    (3)前記培養液を減圧解除し、沈殿を円環状攪拌容器に移す工程、
    (4)前記円環状攪拌容器を回転させながら常圧で培養する工程、
    (5)円環状攪拌容器を停止させ浮上した穴あき中空体の数を計数する工程、及び
    (6)ガス判別剤を添加した後も浮上を続ける穴あき中空体の数を計数する工程。
  7. 穴あき中空体として、有孔微小中空体を用いる請求項1−6いずれか1項記載の方法。
  8. 有孔微小中空体が穴あき中空シラスバルーンである請求項7記載の方法。
  9. ガスが水素でガス判別剤がK2Cr2O7である請求項3、6、7又は8いずれか1項記載の方法。
  10. 請求項4−9いずれか1項記載の方法に用いられる攪拌装置であって、穴あき中空体を攪拌可能な円環状攪拌容器、及び該円環状攪拌容器を回転軸が水平面と平行となるように回転させる手段とを備えた穴あき中空体の攪拌装置。
  11. 円環状攪拌容器が、2本のチューブをT字ジョイント管で接合した円環状攪拌容器であって、該T字ジョイント管に密閉可能な開口部を設けた円環状攪拌容器である請求項10記載の攪拌装置。
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