JP2005000122A - 生物担持体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】菌類・微細藻類その他植物等を高密度で効率的に培養するために必要な特性を有し、かつ、廉価に製造可能な生物担持体を提供すること。
【解決手段】無機質材料からなる平均粒径が0.1mm以下の粒子と、前記粒子間に混在する熱可塑性樹脂からなるバインダとから主としてなるもの。
【選択図】 図1
【解決手段】無機質材料からなる平均粒径が0.1mm以下の粒子と、前記粒子間に混在する熱可塑性樹脂からなるバインダとから主としてなるもの。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種生物、例えば菌類、微細藻類、その他淡水性もしくは海洋性植物を表面に担持し、それらを高密度で効率的に培養するために用いられる生物担持体および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般ごみの焼却により生じる焼却灰や、石炭火力発電により生じる石炭灰については、その処理方法が問題とされている。特に、上記焼却灰についてはその殆どが産業廃棄物として埋め立て処理されているが、土地の確保や土壌汚染等の観点から埋め立て以外の処理方法、できれば付加価値のあるものへの有効利用が求められている。
【0003】
上記焼却灰や石炭灰等の灰類については、菌類・微細藻類その他植物の生育に適当な材料組成や表面状態を有することから、それらを担持させるための担持体としての応用が検討されている。
【0004】
例えば、海域や河川での藻類の培養は水面付近に発生させた藻類を回収することで成り立っているが、培養可能な領域が限定されること、培養密度が低いこと、また回収が容易でないことから、上述したような担持体を用いることによる効率的な培養、回収が期待されている。
【0005】
具体的には、漁礁あるいは藻類等の植物を培養するための既存のコンクリートブロックの代わりに、上述したような担持体を用いることが検討されている。また、海域や河川での藻類等の培養に限られず、排水処理等をはじめとする他の分野においても、担持体の応用が検討されている。
【0006】
このような担持体については、例えば海域や河川における藻類等の培養効率を向上させるため、藻類等の培養に必要な鉄分、リン分等の培養養分を含有させたり、浮遊性を向上させるためにアルミナやパーライトを含有させたりすることが行われている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0007】
また、上述したような焼却灰や石炭灰だけでなく、廃プラスチックについても、有用資源の活用といった観点からその処理方法が近年改めて問題となっている。
【0008】
例えば電線被覆として使用された塩化ビニルあるいは飲料水ボトルとして使用されたポリエチレンテレフタレート(PET)については、高い純度で材料を回収することができるため利用方法が確立されつつあるが、未だ十分に活用されているとはいえない。また、その他の多くの廃プラスチックについては有効な利用方法が定まっておらず、現在その利用方法が検討されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−243943号公報
【特許文献2】
特開平2000−245278号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、一般ごみの焼却により生じる焼却灰や、石炭火力発電により生じる石炭灰等については生物担持体としての利用が期待されている。しかしながら、生物担持体への焼却灰、石炭灰の利用については、生物担持体において菌類・微細藻類その他植物を効率的に培養するための特性が十分得られていないことや、製造にかかる費用が廉価でないこと等から十分に行われていない。
【0011】
本発明は上述したような課題を解決するためになされたものであって、菌類、微細藻類その他植物等を高密度で効率的に培養するために十分な特性を有し、かつ、廉価に製造可能な生物担持体およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の生物担持体は、無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子と、前記粒子間に混在するバインダとから主としてなることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の生物担持体の製造方法は、無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子とバインダとを混合し、または、無機質材料とバインダとをこの無機質材料の平均粒径が0.1mm以下となるように粉砕かつ混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を熱処理することにより前記バインダを溶融させて溶融混合物を得る溶融工程と、前記溶融混合物を成形して成形体を得る成形工程とを具備してなることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の生物担持体およびその製造方法ついて、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の生物担持体1の一例を示した概略図である。本発明の生物担持体1は、無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子2と、この粒子2間に混在するバインダ3とから主としてなるものである。
【0016】
本発明では生物担持体1を構成する粒子2として無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子を用いることによって、生物担持体1中に粒子2を良好に分散させ、均一な組成を得ることが可能になると共に、生物担持体1の表面に微細な凹凸を形成し生物付着性を向上させることが可能となる。
【0017】
粒子2は、最大粒径が0.5mm以下、最小粒径が0.01mm以上であればより好ましい。このような粒子2を用いることにより、生物担持体1の組成をより均一にすると共に、生物担持体1の表面の凹凸をより適切なものとし生物付着性を向上させることが可能となる。
【0018】
粒子2を構成する無機質材料としては、例えば一般ごみの焼却により生じる焼却灰や、石炭火力発電により生じる石炭灰を用いることができる。これらは多量に排出されるため供給量および費用の点で有利であり、これまで主に廃棄処分するしか処分方法がなかったものを有効利用することができるという点からも好ましい。
【0019】
焼却灰および石炭灰の中でも、特に石炭火力発電により発生する石炭灰はシリカ、アルミナを主成分とし成分的に比較的安定しており、環境汚染の可能性も少ないことから好ましい。
【0020】
石炭灰には石炭を燃焼させた時に発生する石炭灰を電気集じん器により捕集した微粉末の灰であるフライアッシュと、ボイラの底部に落下した石炭灰の塊を回収して脱水・粉砕したクリンカアッシュとがあるが、いずれを用いることも可能である。
【0021】
焼却灰、石炭灰は、有害金属である重金属を除去する脱重金属処理やダイオキシン等の有害有機物を除去する脱有害有機物処理を必要に応じて適宜選択して行ったものであればより好ましい。
【0022】
粒子2を構成する無機質材料としては、上述した焼却灰、石炭灰の他、貝殻粉砕物等の生物由来材料(バイオマス)、コンクリート片等の建築廃材を用いることもできる。粒子2はこのような無機質材料のうちの1種からなるものであってもよいし、2種以上からなるものであってもよい。
【0023】
粒子2を構成する無機質材料は多孔質構造を有するものであればより好ましい。このようなものとしては、例えば上述した石炭灰のうちボイラの底部に落下した石炭灰の塊を回収して脱水・粉砕して得られるクリンカアッシュ等が好適である。
【0024】
さらに、粒子2を構成する無機質材料は、水、有機溶媒、酸性もしくはアルカリ性の溶液に対する可溶性もしくは分解性、または、生分解性を有するものであれば好ましい。生物担持体1における粒子2を構成する無機質材料としてこのようなものを用いれば、例えば生物担持体1を上記各種液体で処理して粒子2を分解、除去し、その部分に生物の付着に有用な凹部や空孔を形成し、生物付着性を向上させることができる。石炭灰、焼却灰、その他貝殻粉砕物等も上述したような液体の中から適切なものを選んで処理することによって、溶解、分解することが可能である。
【0025】
本発明に用いられるバインダ3は少なくとも上述したような粒子2を複数結合させて、生物担持体1を形成するために用いられるものである。また、生物担持体1に培養養分等を含有させる場合には、それらを結合する役割も有するものである。
【0026】
本発明に用いられるバインダ3としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)およびポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂を用いることができ、これらは飲料水ボトルや電線被覆として用いられたものを用いることができる。また、バインダ3としては上述したような熱可塑性樹脂の他、ガラス類、セメント・粘度類、各種セラミックス類を用いることもできる。
【0027】
粒子2とバインダ3の含有量は用いる種類によっても異なるが、例えば粒子2として石炭灰を用い、バインダ3としてポリエチレンを用いる場合には重量比で、石炭灰:ポリエチレン=5:95〜30:70程度となるようにすることが好ましい。粒子2の含有量がこれよりも少なくなると、粒子2を含有させることによる生物担持体1表面の凹凸が十分に現れにくく、生物付着性が低くなるため好ましくない。また、粒子2の含有量がこれよりも多くなると、生物担持体1の形状を維持することが困難となり、十分な強度を得られにくくなるため好ましくない。
【0028】
バインダ3は多孔質構造であれば好ましい。多孔質構造を構成する空孔は、例えば図2に示すように閉じた空孔4であってもよいし、図示していないが開いた空孔であってもよい。バインダ3を多孔質構造とすることにより、生物担持体1の浮遊性の調整や、生物付着性の向上が可能となり、生物の効率的な培養が可能となる。
【0029】
多孔質構造を構成する閉じた空孔、開いた空孔は平均直径が0.2mm以下であれば好ましい。また、最終的に得られる生物担持体1の比重が所定の値となるように、空孔の量が調整されていることが好ましい。
【0030】
本発明の生物担持体1においては、上述した無機質材料からなる粒子2、バインダ3、空孔4の他に、さらに浮遊性を調整するための軽量化材、成形性や強度を向上させるための各種充填材、担持対象となる生物の栄養源となるリン・鉄源等の培養養分またはその成長を促進する成長促進成分を含有させてもよい。
【0031】
軽量化材としては、例えば粉末アルミニウム、パーライトシラス、シラスバルーンおよび粒状軽石が挙げられこれらは混合して用いてもよい。軽量化材を含有させる場合には、平均粒径0.1mm以下の粒子として含有させることが好ましい。
【0032】
また、担持対象となる生物の栄養源となるリン・鉄源等の培養養分としては、例えば下水汚泥の焼却灰から生成した微粉末を用いることができ、成長促進成分としては、例えば硫酸マグネシウム、硫酸銅または硫酸亜鉛からなる微粉末を用いることができる。培養養分、成長促進成分を含有させる場合も軽量化材と同様に平均粒径0.1mm以下の粒子として含有させることが好ましい。
【0033】
生物担持体1の形状は特に制限されるものではなく、角柱や円柱等の柱状、ペレット状もしくは球状であり、不定形状であってもよい。また、その大きさについても特に制限されるものではなく、担持させようとする生物に合わせて適宜その大きさを変更することが好ましい。
【0034】
例えば微細藻類等を担持させるときは、生物担持体1の1個あたりの大きさを小さくして多数個用いることが好ましいが、1個あたりの大きさを小さくしすぎると取り扱いや回収等が容易でなくなるため、球状のものでは直径3mm〜20mm、円柱状のものでは直径3mm〜20mm、長さ3mm〜20mmとなるようにすることが好ましい。
【0035】
また、生物担持体1の比重は、無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子およびバインダの含有割合、その他必要に応じて空孔の形成量、軽量化材や各種充填材の添加量を調整し、例えば1.00〜1.03とすれば好ましい。このような比重とすることにより、生物担持体1を浮遊させ流動に適したものとすることができる。
【0036】
本発明の生物担持体1の担持対象となる生物としては、例えば菌類、微細藻類、藻類その他植物等が挙げられ特に限定されるものではないが、本発明では無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子を含有させることで生物担持体1の表面に微細な凹凸を形成することができるため、特に菌類、微細藻類等の微細な生物を担持させるために用いれば好適である。
【0037】
次に、生物担持体1の製造方法について説明する。
【0038】
図3は、生物担持体の製造方法の一例を示したものである。生物担持体の製造は、例えば無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子とバインダとを混合し、または、無機質材料とバインダとを無機質材料の平均粒径が0.1mm以下となるように粉砕かつ混合して混合物を得る混合工程5と、得られた混合物を熱処理することによりバインダを溶融させて溶融混合物を得る溶融工程6と、溶融混合物を成形して成形体を得る成形工程7とから主としてなるものである。
【0039】
混合工程5では、あらかじめ粉砕、分級等を行うことにより平均粒径を0.1mm以下とした無機質材料からなる粒子を用いてもよいし、バインダとの混合時に平均粒径を0.1mm以下とすることができる無機質材料を用いてもよい。
【0040】
無機質材料としては上述したような一般ごみの焼却により生じる焼却灰や石炭火力発電により生じる石炭灰もしくはこれらに脱重金属処理を施したもの、または、貝殻粉砕物等の生物由来材料(バイオマス)、コンクリート片等の建築廃材が挙げられ、このようなものであればバインダとの混合時に平均粒径を0.1mm以下とすることもできる。
【0041】
バインダは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)もしくはポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂、または、ガラス類、セメント・粘度類もしくは各種セラミックス類を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば飲料水ボトルや電線被覆として用いられたものを用いることができる。
【0042】
特に、上述したような熱可塑性樹脂を用いれば300℃前後の熱処理で溶融させることができるため生物担持体の製造が容易となる。また、これらのものは軽質であるため生物担持体の浮遊性を容易に向上させ、流動性を持たせることも可能となる。
【0043】
混合に用いるバインダは微粒子状であればより好ましい。微粒子状のバインダを用いることで、無機質材料からなる0.1mm以下の粒子との混合が容易になり、混合物も均一なものとすることができる。特に、微粒子状のバインダは平均粒径が0.1mm以下であれば、無機質材料からなる粒子等と容易かつ均一に混合することができるため好ましい。
【0044】
粒子または粒子となる無機質材料とバインダの混合割合は用いる種類によっても異なるが、無機質材料として石炭灰を用い、バインダとしてポリエチレンを用いる場合には重量比で、石炭灰:ポリエチレン=5:95〜30:70程度となるように混合することが好ましい。粒子または粒子となる無機質材料の添加量がこれよりも少なくなると、最終的に得られる生物担持体の表面に十分な凹凸が現れにくく、生物付着性が低くなるため好ましくない。また、粒子または粒子となる無機質材料の添加量がこれよりも多くなると、生物担持体の形状を維持することが困難となり、十分な強度を得られにくくなるため好ましくない。
【0045】
また、粒子または粒子となる無機質材料およびバインダの他に、浮遊性を調整するための軽量化材、成形性や強度を向上させるための各種充填材、担持対象となる生物の栄養源となるリン・鉄源等の培養養分またはその成長を促進する成長促進成分を添加し混合してもよい。
【0046】
軽量化材としては、例えば粉末アルミニウム、パーライトシラス、シラスバルーンおよび粒状軽石等が挙げられる。軽量化材を添加する場合には、平均粒径0.1mm以下の微粒子状として添加すれば混合が容易となり、また均一な混合物を得られるため好ましい。
【0047】
また、担持対象となる生物の栄養源となるリン・鉄源等の培養養分としては、例えば下水汚泥の焼却灰から生成した微粉末を用いることができ、成長促進成分としては、例えば硫酸マグネシウム、硫酸銅または硫酸亜鉛からなる微粉末を用いることができる。培養養分、成長促進成分を添加する場合も軽量化材と同様に平均粒径0.1mm以下の粒子として添加することが好ましい。
【0048】
これら無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子または混合によりこのような粒子となる無機質材料およびバインダ、その他必要に応じて軽量化材、充填材、培養養分または成長促進成分等を添加したものは、混合して均一な混合物とする。このとき、平均粒径を0.1mm以下に調整していない無機質材料を用いる場合には、この混合工程において十分な混合を行うことにより無機質材料を粉砕して平均粒径を0.1mm以下とする。
【0049】
溶融工程6では、少なくとも無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子とバインダとを混合して得られる混合物を、熱処理することによりバインダを溶融させて溶融混合物とする。
【0050】
熱処理の際の温度はバインダの種類によっても異なるが、例えばバインダとしてポリエチレンを用いる場合には100〜180℃、ポリエチレンテレフタレートを用いる場合には200〜280℃で熱処理する。
【0051】
この際、溶融混合物を混練して内部に気泡を混入させてもよい。このような気泡を混入させることにより多孔質構造とすることができ、生物担持体の浮遊性の調整や、生物付着性の向上が可能となる。
【0052】
気泡は平均直径が0.2mm以下であれば好ましい。また、混入させる気泡の量は最終的に得られる生物担持体の比重が所定の値となるように調整することが好ましい。
【0053】
成形工程7では、得られた溶融混合物を成形して成形体とする。成形は、例えば溶融混合物を押出成形もしくは射出成形することにより行ってもよいし、溶融混合物をシート状に圧延した後、所定の形状に分断することにより行ってもよい。
【0054】
成形直後の成形体は冷却媒体を用いて急冷すればより好ましい。例えば冷却媒体を成形直後の成形体に接触させて急冷することで、冷却媒体の蒸発等に伴いバインダ表面等に凹凸を形成することができると共に、その形状を維持したまま固化させることができ、生物付着性を向上させることができる。
【0055】
以上、生物担持体の製造方法として混合物を溶融させた後、成形する方法を示したが、例えば粉末状の混合物を所定の金型を用いて加圧成形することにより一旦予備成形体を作製した後、この予備成形体を熱処理することによりバインダを溶融させて成形体を得てもよい。この場合も熱処理終了直後に冷却媒体を用いて急冷すれば、バインダ表面等に凹凸を形成することができ、生物付着性を向上させることができる。
【0056】
上述したような方法により得られた成形体についてはそのまま生物担持体として用いてもよいし、さらに洗浄工程8、表面処理工程9を行ってもよい。洗浄工程8、表面処理工程9は必ずしも両方を行う必要はなく、必要に応じて適宜選択して行えばよい。
【0057】
洗浄工程8では、成形体の表面を水、有機溶媒、酸性またはアルカリ性の液体を用いて洗浄する。成形体の構成によっては成形体の表面が極端な酸性、アルカリ性になる場合があり、生物が付着しにくい表面状態となることがある。このため、上述したような洗浄液を用いて成形体の表面を洗浄することで、生物が付着しやすい表面状態を得ることができる。
【0058】
また、無機質材料からなる粒子が、水、有機溶媒、酸性またはアルカリ性の液体に溶解または分解しやすいものであれば、上述したような洗浄の際に成形体表面の無機質材料からなる粒子を分解、除去し、その部分に凹部や空孔を形成し生物付着性を向上させることもできる。
【0059】
また、表面処理工程9は成形体の表面に担持対象である生物の栄養源となるリン・鉄源等の培養養分またはその成長を促進する成長促進成分を含む表面層を形成する。
【0060】
培養養分としては、例えば下水汚泥の焼却灰から生成した微粒子を用いることができ、成長促進成分としては、例えば硫酸マグネシウム、硫酸銅または硫酸亜鉛からなる微粉末を用いることができる。そして、これらの成分を含む表面層の形成は、例えば寒天やゼラチン等を溶かした溶融液に上述した培養養分または成長促進成分の微粒子を分散させて分散液を得、この分散液中に成形体を浸漬した後、取り出して乾燥させることにより行うことができる。
【0061】
【実施例】
平均粒径0.02mmの粒子状石炭灰およびバインダとしての廃電線由来の粒子状非架橋ポリエチレンを重量比にして12:88の割合で混合し、さらに担持対象となる微生物の栄養源となる培養養分および成長促進成分を添加して混合した。
【0062】
この混合物を130℃で熱処理を行いバインダを溶融させた後、押出加工を行って直径5mmの円柱状とし、さらに長さが5mmとなるように切断して成形体としての複数の円柱ペレットを作製した。これらの円柱ペレットの比重は1.008〜1.012であった。
【0063】
円柱ペレットの表面をアルコールで洗浄した後、微生物の栄養源となる培養養分および成長促進成分を分散させた寒天溶液に浸漬し乾燥させ表面層を形成した。
【0064】
このようにして得られた複数の円柱ペレットを5Lの容積を有する排水処理模擬試験槽に投入して1L/minで曝気を行ったところ、良好な水中循環性を有していることを確認した。また、この反応槽に活性汚泥を投入して生活排水を投入したところ、運転開始後3日から1週間程度で生物担持体表面に活性汚泥中の微生物が付着することを確認した。
【発明の効果】
本発明によれば、生物担持体を構成する粒子の平均粒径を0.1mm以下とすることにより、菌類、微細藻類その他植物等を高密度で効率的に培養するために必要な特性を得ることが可能となる。また、本発明によれば上述したような特性を有する生物担持体を容易かつ多量に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生物担持体の一例を示した一部断面図
【図2】本発明の生物担持体の他の例を示した一部断面図
【図3】本発明の生物担持体の製造方法を示した流れ図
【符号の説明】
1…生物担持体 2…粒子 3…バインダ 4…空孔 5…混合工程 6…溶融工程 7…成形工程 8…洗浄工程 9…表面処理工程
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種生物、例えば菌類、微細藻類、その他淡水性もしくは海洋性植物を表面に担持し、それらを高密度で効率的に培養するために用いられる生物担持体および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般ごみの焼却により生じる焼却灰や、石炭火力発電により生じる石炭灰については、その処理方法が問題とされている。特に、上記焼却灰についてはその殆どが産業廃棄物として埋め立て処理されているが、土地の確保や土壌汚染等の観点から埋め立て以外の処理方法、できれば付加価値のあるものへの有効利用が求められている。
【0003】
上記焼却灰や石炭灰等の灰類については、菌類・微細藻類その他植物の生育に適当な材料組成や表面状態を有することから、それらを担持させるための担持体としての応用が検討されている。
【0004】
例えば、海域や河川での藻類の培養は水面付近に発生させた藻類を回収することで成り立っているが、培養可能な領域が限定されること、培養密度が低いこと、また回収が容易でないことから、上述したような担持体を用いることによる効率的な培養、回収が期待されている。
【0005】
具体的には、漁礁あるいは藻類等の植物を培養するための既存のコンクリートブロックの代わりに、上述したような担持体を用いることが検討されている。また、海域や河川での藻類等の培養に限られず、排水処理等をはじめとする他の分野においても、担持体の応用が検討されている。
【0006】
このような担持体については、例えば海域や河川における藻類等の培養効率を向上させるため、藻類等の培養に必要な鉄分、リン分等の培養養分を含有させたり、浮遊性を向上させるためにアルミナやパーライトを含有させたりすることが行われている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0007】
また、上述したような焼却灰や石炭灰だけでなく、廃プラスチックについても、有用資源の活用といった観点からその処理方法が近年改めて問題となっている。
【0008】
例えば電線被覆として使用された塩化ビニルあるいは飲料水ボトルとして使用されたポリエチレンテレフタレート(PET)については、高い純度で材料を回収することができるため利用方法が確立されつつあるが、未だ十分に活用されているとはいえない。また、その他の多くの廃プラスチックについては有効な利用方法が定まっておらず、現在その利用方法が検討されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−243943号公報
【特許文献2】
特開平2000−245278号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、一般ごみの焼却により生じる焼却灰や、石炭火力発電により生じる石炭灰等については生物担持体としての利用が期待されている。しかしながら、生物担持体への焼却灰、石炭灰の利用については、生物担持体において菌類・微細藻類その他植物を効率的に培養するための特性が十分得られていないことや、製造にかかる費用が廉価でないこと等から十分に行われていない。
【0011】
本発明は上述したような課題を解決するためになされたものであって、菌類、微細藻類その他植物等を高密度で効率的に培養するために十分な特性を有し、かつ、廉価に製造可能な生物担持体およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の生物担持体は、無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子と、前記粒子間に混在するバインダとから主としてなることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の生物担持体の製造方法は、無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子とバインダとを混合し、または、無機質材料とバインダとをこの無機質材料の平均粒径が0.1mm以下となるように粉砕かつ混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を熱処理することにより前記バインダを溶融させて溶融混合物を得る溶融工程と、前記溶融混合物を成形して成形体を得る成形工程とを具備してなることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の生物担持体およびその製造方法ついて、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の生物担持体1の一例を示した概略図である。本発明の生物担持体1は、無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子2と、この粒子2間に混在するバインダ3とから主としてなるものである。
【0016】
本発明では生物担持体1を構成する粒子2として無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子を用いることによって、生物担持体1中に粒子2を良好に分散させ、均一な組成を得ることが可能になると共に、生物担持体1の表面に微細な凹凸を形成し生物付着性を向上させることが可能となる。
【0017】
粒子2は、最大粒径が0.5mm以下、最小粒径が0.01mm以上であればより好ましい。このような粒子2を用いることにより、生物担持体1の組成をより均一にすると共に、生物担持体1の表面の凹凸をより適切なものとし生物付着性を向上させることが可能となる。
【0018】
粒子2を構成する無機質材料としては、例えば一般ごみの焼却により生じる焼却灰や、石炭火力発電により生じる石炭灰を用いることができる。これらは多量に排出されるため供給量および費用の点で有利であり、これまで主に廃棄処分するしか処分方法がなかったものを有効利用することができるという点からも好ましい。
【0019】
焼却灰および石炭灰の中でも、特に石炭火力発電により発生する石炭灰はシリカ、アルミナを主成分とし成分的に比較的安定しており、環境汚染の可能性も少ないことから好ましい。
【0020】
石炭灰には石炭を燃焼させた時に発生する石炭灰を電気集じん器により捕集した微粉末の灰であるフライアッシュと、ボイラの底部に落下した石炭灰の塊を回収して脱水・粉砕したクリンカアッシュとがあるが、いずれを用いることも可能である。
【0021】
焼却灰、石炭灰は、有害金属である重金属を除去する脱重金属処理やダイオキシン等の有害有機物を除去する脱有害有機物処理を必要に応じて適宜選択して行ったものであればより好ましい。
【0022】
粒子2を構成する無機質材料としては、上述した焼却灰、石炭灰の他、貝殻粉砕物等の生物由来材料(バイオマス)、コンクリート片等の建築廃材を用いることもできる。粒子2はこのような無機質材料のうちの1種からなるものであってもよいし、2種以上からなるものであってもよい。
【0023】
粒子2を構成する無機質材料は多孔質構造を有するものであればより好ましい。このようなものとしては、例えば上述した石炭灰のうちボイラの底部に落下した石炭灰の塊を回収して脱水・粉砕して得られるクリンカアッシュ等が好適である。
【0024】
さらに、粒子2を構成する無機質材料は、水、有機溶媒、酸性もしくはアルカリ性の溶液に対する可溶性もしくは分解性、または、生分解性を有するものであれば好ましい。生物担持体1における粒子2を構成する無機質材料としてこのようなものを用いれば、例えば生物担持体1を上記各種液体で処理して粒子2を分解、除去し、その部分に生物の付着に有用な凹部や空孔を形成し、生物付着性を向上させることができる。石炭灰、焼却灰、その他貝殻粉砕物等も上述したような液体の中から適切なものを選んで処理することによって、溶解、分解することが可能である。
【0025】
本発明に用いられるバインダ3は少なくとも上述したような粒子2を複数結合させて、生物担持体1を形成するために用いられるものである。また、生物担持体1に培養養分等を含有させる場合には、それらを結合する役割も有するものである。
【0026】
本発明に用いられるバインダ3としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)およびポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂を用いることができ、これらは飲料水ボトルや電線被覆として用いられたものを用いることができる。また、バインダ3としては上述したような熱可塑性樹脂の他、ガラス類、セメント・粘度類、各種セラミックス類を用いることもできる。
【0027】
粒子2とバインダ3の含有量は用いる種類によっても異なるが、例えば粒子2として石炭灰を用い、バインダ3としてポリエチレンを用いる場合には重量比で、石炭灰:ポリエチレン=5:95〜30:70程度となるようにすることが好ましい。粒子2の含有量がこれよりも少なくなると、粒子2を含有させることによる生物担持体1表面の凹凸が十分に現れにくく、生物付着性が低くなるため好ましくない。また、粒子2の含有量がこれよりも多くなると、生物担持体1の形状を維持することが困難となり、十分な強度を得られにくくなるため好ましくない。
【0028】
バインダ3は多孔質構造であれば好ましい。多孔質構造を構成する空孔は、例えば図2に示すように閉じた空孔4であってもよいし、図示していないが開いた空孔であってもよい。バインダ3を多孔質構造とすることにより、生物担持体1の浮遊性の調整や、生物付着性の向上が可能となり、生物の効率的な培養が可能となる。
【0029】
多孔質構造を構成する閉じた空孔、開いた空孔は平均直径が0.2mm以下であれば好ましい。また、最終的に得られる生物担持体1の比重が所定の値となるように、空孔の量が調整されていることが好ましい。
【0030】
本発明の生物担持体1においては、上述した無機質材料からなる粒子2、バインダ3、空孔4の他に、さらに浮遊性を調整するための軽量化材、成形性や強度を向上させるための各種充填材、担持対象となる生物の栄養源となるリン・鉄源等の培養養分またはその成長を促進する成長促進成分を含有させてもよい。
【0031】
軽量化材としては、例えば粉末アルミニウム、パーライトシラス、シラスバルーンおよび粒状軽石が挙げられこれらは混合して用いてもよい。軽量化材を含有させる場合には、平均粒径0.1mm以下の粒子として含有させることが好ましい。
【0032】
また、担持対象となる生物の栄養源となるリン・鉄源等の培養養分としては、例えば下水汚泥の焼却灰から生成した微粉末を用いることができ、成長促進成分としては、例えば硫酸マグネシウム、硫酸銅または硫酸亜鉛からなる微粉末を用いることができる。培養養分、成長促進成分を含有させる場合も軽量化材と同様に平均粒径0.1mm以下の粒子として含有させることが好ましい。
【0033】
生物担持体1の形状は特に制限されるものではなく、角柱や円柱等の柱状、ペレット状もしくは球状であり、不定形状であってもよい。また、その大きさについても特に制限されるものではなく、担持させようとする生物に合わせて適宜その大きさを変更することが好ましい。
【0034】
例えば微細藻類等を担持させるときは、生物担持体1の1個あたりの大きさを小さくして多数個用いることが好ましいが、1個あたりの大きさを小さくしすぎると取り扱いや回収等が容易でなくなるため、球状のものでは直径3mm〜20mm、円柱状のものでは直径3mm〜20mm、長さ3mm〜20mmとなるようにすることが好ましい。
【0035】
また、生物担持体1の比重は、無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子およびバインダの含有割合、その他必要に応じて空孔の形成量、軽量化材や各種充填材の添加量を調整し、例えば1.00〜1.03とすれば好ましい。このような比重とすることにより、生物担持体1を浮遊させ流動に適したものとすることができる。
【0036】
本発明の生物担持体1の担持対象となる生物としては、例えば菌類、微細藻類、藻類その他植物等が挙げられ特に限定されるものではないが、本発明では無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子を含有させることで生物担持体1の表面に微細な凹凸を形成することができるため、特に菌類、微細藻類等の微細な生物を担持させるために用いれば好適である。
【0037】
次に、生物担持体1の製造方法について説明する。
【0038】
図3は、生物担持体の製造方法の一例を示したものである。生物担持体の製造は、例えば無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子とバインダとを混合し、または、無機質材料とバインダとを無機質材料の平均粒径が0.1mm以下となるように粉砕かつ混合して混合物を得る混合工程5と、得られた混合物を熱処理することによりバインダを溶融させて溶融混合物を得る溶融工程6と、溶融混合物を成形して成形体を得る成形工程7とから主としてなるものである。
【0039】
混合工程5では、あらかじめ粉砕、分級等を行うことにより平均粒径を0.1mm以下とした無機質材料からなる粒子を用いてもよいし、バインダとの混合時に平均粒径を0.1mm以下とすることができる無機質材料を用いてもよい。
【0040】
無機質材料としては上述したような一般ごみの焼却により生じる焼却灰や石炭火力発電により生じる石炭灰もしくはこれらに脱重金属処理を施したもの、または、貝殻粉砕物等の生物由来材料(バイオマス)、コンクリート片等の建築廃材が挙げられ、このようなものであればバインダとの混合時に平均粒径を0.1mm以下とすることもできる。
【0041】
バインダは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)もしくはポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂、または、ガラス類、セメント・粘度類もしくは各種セラミックス類を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば飲料水ボトルや電線被覆として用いられたものを用いることができる。
【0042】
特に、上述したような熱可塑性樹脂を用いれば300℃前後の熱処理で溶融させることができるため生物担持体の製造が容易となる。また、これらのものは軽質であるため生物担持体の浮遊性を容易に向上させ、流動性を持たせることも可能となる。
【0043】
混合に用いるバインダは微粒子状であればより好ましい。微粒子状のバインダを用いることで、無機質材料からなる0.1mm以下の粒子との混合が容易になり、混合物も均一なものとすることができる。特に、微粒子状のバインダは平均粒径が0.1mm以下であれば、無機質材料からなる粒子等と容易かつ均一に混合することができるため好ましい。
【0044】
粒子または粒子となる無機質材料とバインダの混合割合は用いる種類によっても異なるが、無機質材料として石炭灰を用い、バインダとしてポリエチレンを用いる場合には重量比で、石炭灰:ポリエチレン=5:95〜30:70程度となるように混合することが好ましい。粒子または粒子となる無機質材料の添加量がこれよりも少なくなると、最終的に得られる生物担持体の表面に十分な凹凸が現れにくく、生物付着性が低くなるため好ましくない。また、粒子または粒子となる無機質材料の添加量がこれよりも多くなると、生物担持体の形状を維持することが困難となり、十分な強度を得られにくくなるため好ましくない。
【0045】
また、粒子または粒子となる無機質材料およびバインダの他に、浮遊性を調整するための軽量化材、成形性や強度を向上させるための各種充填材、担持対象となる生物の栄養源となるリン・鉄源等の培養養分またはその成長を促進する成長促進成分を添加し混合してもよい。
【0046】
軽量化材としては、例えば粉末アルミニウム、パーライトシラス、シラスバルーンおよび粒状軽石等が挙げられる。軽量化材を添加する場合には、平均粒径0.1mm以下の微粒子状として添加すれば混合が容易となり、また均一な混合物を得られるため好ましい。
【0047】
また、担持対象となる生物の栄養源となるリン・鉄源等の培養養分としては、例えば下水汚泥の焼却灰から生成した微粉末を用いることができ、成長促進成分としては、例えば硫酸マグネシウム、硫酸銅または硫酸亜鉛からなる微粉末を用いることができる。培養養分、成長促進成分を添加する場合も軽量化材と同様に平均粒径0.1mm以下の粒子として添加することが好ましい。
【0048】
これら無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子または混合によりこのような粒子となる無機質材料およびバインダ、その他必要に応じて軽量化材、充填材、培養養分または成長促進成分等を添加したものは、混合して均一な混合物とする。このとき、平均粒径を0.1mm以下に調整していない無機質材料を用いる場合には、この混合工程において十分な混合を行うことにより無機質材料を粉砕して平均粒径を0.1mm以下とする。
【0049】
溶融工程6では、少なくとも無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子とバインダとを混合して得られる混合物を、熱処理することによりバインダを溶融させて溶融混合物とする。
【0050】
熱処理の際の温度はバインダの種類によっても異なるが、例えばバインダとしてポリエチレンを用いる場合には100〜180℃、ポリエチレンテレフタレートを用いる場合には200〜280℃で熱処理する。
【0051】
この際、溶融混合物を混練して内部に気泡を混入させてもよい。このような気泡を混入させることにより多孔質構造とすることができ、生物担持体の浮遊性の調整や、生物付着性の向上が可能となる。
【0052】
気泡は平均直径が0.2mm以下であれば好ましい。また、混入させる気泡の量は最終的に得られる生物担持体の比重が所定の値となるように調整することが好ましい。
【0053】
成形工程7では、得られた溶融混合物を成形して成形体とする。成形は、例えば溶融混合物を押出成形もしくは射出成形することにより行ってもよいし、溶融混合物をシート状に圧延した後、所定の形状に分断することにより行ってもよい。
【0054】
成形直後の成形体は冷却媒体を用いて急冷すればより好ましい。例えば冷却媒体を成形直後の成形体に接触させて急冷することで、冷却媒体の蒸発等に伴いバインダ表面等に凹凸を形成することができると共に、その形状を維持したまま固化させることができ、生物付着性を向上させることができる。
【0055】
以上、生物担持体の製造方法として混合物を溶融させた後、成形する方法を示したが、例えば粉末状の混合物を所定の金型を用いて加圧成形することにより一旦予備成形体を作製した後、この予備成形体を熱処理することによりバインダを溶融させて成形体を得てもよい。この場合も熱処理終了直後に冷却媒体を用いて急冷すれば、バインダ表面等に凹凸を形成することができ、生物付着性を向上させることができる。
【0056】
上述したような方法により得られた成形体についてはそのまま生物担持体として用いてもよいし、さらに洗浄工程8、表面処理工程9を行ってもよい。洗浄工程8、表面処理工程9は必ずしも両方を行う必要はなく、必要に応じて適宜選択して行えばよい。
【0057】
洗浄工程8では、成形体の表面を水、有機溶媒、酸性またはアルカリ性の液体を用いて洗浄する。成形体の構成によっては成形体の表面が極端な酸性、アルカリ性になる場合があり、生物が付着しにくい表面状態となることがある。このため、上述したような洗浄液を用いて成形体の表面を洗浄することで、生物が付着しやすい表面状態を得ることができる。
【0058】
また、無機質材料からなる粒子が、水、有機溶媒、酸性またはアルカリ性の液体に溶解または分解しやすいものであれば、上述したような洗浄の際に成形体表面の無機質材料からなる粒子を分解、除去し、その部分に凹部や空孔を形成し生物付着性を向上させることもできる。
【0059】
また、表面処理工程9は成形体の表面に担持対象である生物の栄養源となるリン・鉄源等の培養養分またはその成長を促進する成長促進成分を含む表面層を形成する。
【0060】
培養養分としては、例えば下水汚泥の焼却灰から生成した微粒子を用いることができ、成長促進成分としては、例えば硫酸マグネシウム、硫酸銅または硫酸亜鉛からなる微粉末を用いることができる。そして、これらの成分を含む表面層の形成は、例えば寒天やゼラチン等を溶かした溶融液に上述した培養養分または成長促進成分の微粒子を分散させて分散液を得、この分散液中に成形体を浸漬した後、取り出して乾燥させることにより行うことができる。
【0061】
【実施例】
平均粒径0.02mmの粒子状石炭灰およびバインダとしての廃電線由来の粒子状非架橋ポリエチレンを重量比にして12:88の割合で混合し、さらに担持対象となる微生物の栄養源となる培養養分および成長促進成分を添加して混合した。
【0062】
この混合物を130℃で熱処理を行いバインダを溶融させた後、押出加工を行って直径5mmの円柱状とし、さらに長さが5mmとなるように切断して成形体としての複数の円柱ペレットを作製した。これらの円柱ペレットの比重は1.008〜1.012であった。
【0063】
円柱ペレットの表面をアルコールで洗浄した後、微生物の栄養源となる培養養分および成長促進成分を分散させた寒天溶液に浸漬し乾燥させ表面層を形成した。
【0064】
このようにして得られた複数の円柱ペレットを5Lの容積を有する排水処理模擬試験槽に投入して1L/minで曝気を行ったところ、良好な水中循環性を有していることを確認した。また、この反応槽に活性汚泥を投入して生活排水を投入したところ、運転開始後3日から1週間程度で生物担持体表面に活性汚泥中の微生物が付着することを確認した。
【発明の効果】
本発明によれば、生物担持体を構成する粒子の平均粒径を0.1mm以下とすることにより、菌類、微細藻類その他植物等を高密度で効率的に培養するために必要な特性を得ることが可能となる。また、本発明によれば上述したような特性を有する生物担持体を容易かつ多量に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生物担持体の一例を示した一部断面図
【図2】本発明の生物担持体の他の例を示した一部断面図
【図3】本発明の生物担持体の製造方法を示した流れ図
【符号の説明】
1…生物担持体 2…粒子 3…バインダ 4…空孔 5…混合工程 6…溶融工程 7…成形工程 8…洗浄工程 9…表面処理工程
Claims (11)
- 無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子と、前記粒子間に混在するバインダとから主としてなることを特徴とする生物担持体。
- 前記粒子は多孔質構造を有することを特徴とする請求項1記載の生物担持体。
- 前記粒子の少なくとも一部が、水、有機溶媒、酸もしくはアルカリ性溶液に対する可溶性もしくは分解性、または、生分解性を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の生物担持体。
- 前記バインダは多孔質構造を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の生物担持体。
- 無機質材料からなる平均粒径0.1mm以下の粒子とバインダとを混合し、または、無機質材料とバインダとをこの無機質材料の平均粒径が0.1mm以下となるように粉砕かつ混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を熱処理することにより前記バインダを溶融させて溶融混合物を得る溶融工程と、前記溶融混合物を成形して成形体を得る成形工程とを具備してなることを特徴とする生物担持体の製造方法。
- 前記混合に用いられるバインダは微粒子状であることを特徴とする請求項5記載の生物担持体の製造方法。
- 前記成形は、押出成形もしくは射出成形またはシート状に圧延した後、所定の形状に分断するものであることを特徴とする請求項5または6記載の生物担持体の製造方法。
- 前記成形工程において、前記成形直後の成形体を冷却媒体を用いて急冷することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載の生物担持体の製造方法。
- 前記成形工程の後、前記成形体の表面を水、有機溶媒、酸性もしくはアルカリ性の溶液を用いて洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項記載の生物担持体の製造方法。
- 前記成形工程または洗浄工程の後、前記成形体の表面に担持対象となる生物の栄養源となる培養養分またはその成長を促進する成長促進成分を含む表面層を形成する表面処理工程を有することを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項記載の生物担持体の製造方法。
- 前記生物担持体を構成する無機質材料、バインダの混合比率を、前記生物担持体が所定の比重となるように調整することを特徴とする請求項5乃至10のいずれか1項記載の生物担持体の製造方法。
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JP2007181410A (ja) * | 2006-01-04 | 2007-07-19 | Kagoshima Univ | 中空穴あき体を用いる微生物の培養方法及びそのための装置 |
CN104946519A (zh) * | 2015-06-02 | 2015-09-30 | 新奥科技发展有限公司 | 一种固定化养殖的采收装置及采收方法 |
EP3695955A4 (en) * | 2017-11-17 | 2020-10-21 | Dalian University of Technology | METHOD OF MANUFACTURING A BIOCARRIER FOR FIXING BIOMASS COAL USING THERMOPLASTIC RESIN |
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2003
- 2003-06-13 JP JP2003169494A patent/JP2005000122A/ja active Pending
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