JP2004267034A - 生物担持体及びその製造方法 - Google Patents

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Kentaro Matsunaga
健太郎 松永
Tetsuo Yoshimitsu
哲夫 吉満
Michihiko Koyama
充彦 小山
Hideshige Moriyama
英重 森山
Nobukazu Suzuki
信和 鈴木
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Abstract

【課題】各種微細藻類や菌類・淡水性及び海洋性植物を効率よく生育させるための生物担持体を廉価に得ることができる生物担持体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】石炭灰や焼却灰などの無機質粒状物2をバインダー3と混合し、この混合物に気体を吹き付けながら高速攪拌することにより気体を巻き込みバインダー3中に所望する浮力を得るための気泡4を封入し、この気泡4が形成された混合物から所望する大きさで形状の例えば球状に加工して熱処理することにより焼成した生物担持体1を得る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物などを高密度で効率的に培養するための生物担持体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般ごみの焼却によって生じる焼却灰や、石炭の火力発電により大量に生じる石炭灰については、その処理方法が問題となっている。特に焼却灰については、その殆どが産業廃棄物として埋め立て処理されてきたが、土地の確保や土壌汚染の問題等により、埋め立て以外の処理方法としてさらに付加価値の高い製品への加工が要求されている。その中で、上記の灰類の焼結体は、植物や微細藻類・菌類の生育に適した材料組成や表面状態を有することから、本発明者等は各種菌類・淡水性及び海洋性植物の生物担持体として実用化に向けて開発し、検討している。また、石炭灰の利用については、既に漁礁や藻類養殖の培地や、既存のコンクリートブロックの代用として海中に沈める等の活用方法が提案されてきたが、より付加価値の高い海洋や河川で植物を育成するための材料としての応用は、未だ十分ではない。
【0003】
従って、海洋や河川における植物の養殖方法については、さらに実用化のための開発が要求されている。一般に、海洋や河川における植物の養殖方法については、コンブなどの固定性植物や藻類の養殖が考えられるが、漁礁などで育成される一方の固定性植物は、生育速度が比較的遅い。他方の、藻類の養殖については、海表面付近で育成させた藻類を回収することで成り立っているが、生育速度が早い一方で、限定された海域での生育が難しく生育密度が低いこと、また回収に手間がかかることが大きな問題点となっていた。海域での藻類の効率的な育成は、育成に必要な鉄分やリン分等の養分を備えた藻類培養媒体が提案され、効率的な藻類の培養が可能となった。(例えば特開平11−243943号公報参照。)。
【0004】
さらに、藻類培養媒体を事業化するために低コストで製造することが要求され、海面に浮遊させるために藻類培養媒体に混入されている高価な撥水剤を少量化し軽量化材を混合する藻類培養媒体が提案されている。(例えば特開2000−245278号公報参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−243943号公報([0016])。
【特許文献2】
特開2000−245278号公報([0007],[0008],[0030]〜[0035])。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、藻類培養媒体用として利用される生物担持体の製造を事業化するためには、さらに生物担持体の製造コストを低減することが要求されている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、各種微細藻類や菌類・淡水性及び海洋性植物を効率よく生育させるための生物担持体をさらに廉価に得ることができる生物担持体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、次の構成からなる生物担持体及びその製造方法を提供するものである。
【0009】
即ち、上記目的を達成するため、本発明の生物担持体は、無機質粒状物と、前記無機質粒状物に混在し内部に気体を封入した気泡が設けられたバインダーとを具備してなることを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、無機質粒状物に混在して設けられたバインダー内部に気体が封入された気泡が設けられるので、高価な撥水剤を混入させなくても、水面付近に浮遊又は所望する水位の水中に位置させることができる生物担持体を得ることができる。上記バインダー内に設けられた気体が巻き込まれた気泡は、無機質粒状物及びバインダーに気体を混合させながら混練りして混合物に気泡を封入するので、高価な撥水剤を混入させなくても、空気や酸素、窒素などの気体でよいため安価に生物担持体を製造することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る生物担持体及びその製造方法の実施形態について、図1及び図20を参照して説明する。
【0012】
実施形態1
生物担持体の構成を図1を参照して説明する。図1は、生物担持体の実施形態を説明するための断面図である。図2は、生物担持体の製造方法の実施形態を説明するための工程図である。
【0013】
生物担持体1は、図1に示すように多量の無機質粒状物2と、この多量の無機質粒状物2を相互に接着し一体に固着し、固定するように設けられたバインダー3と、バインダー3内部に気体が巻き込まれて形成された気泡4が封入されて所望する浮力を得るように構成されている。この実施形態は、生物担持体1を水面付近に浮遊又は水中に位置させるために比重調整手段として気体が巻き込まれてバインダー3内に気泡4が封入されたケースであり、高価な撥水剤を使用することなく予め定められた浮力を得ることができる例である。
【0014】
上記無機質粒状物2は、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物などを培養する基材となる担持体母材である。この無機質粒状物2の材料としては、石炭灰、焼却灰スラグ、火山灰、汚泥処理灰、コークス、高炉スラグ、シラスバルーンあるいは木材の端材や貝殻等の生物由来材料(バイオマス)等であり、再生PET樹脂、廃棄電線被覆材等の廃棄・再生プラスチックでもよい。一旦使用した生物担持体1を破砕した使用済み生物担持体1の破砕片や微粉末を再び用いてもよい。即ち、この明細書において無機質粒状物とは、無機質粒状物で上記粉状、粒状、破砕片、切断片などを総称したものである。無機質粒状物2に有害な物質例えば重金属成分やダイオキシンなどが含まれる可能性がある場合には、予め重金属成分やダイオキシンなどの有害物質を分離除去したものを使用する。重金属成分の分離除去された無機質粒状物2は、例えば特願2001−157230号に記載された処理方法により重金属成分が分離除去された石炭灰又は焼却灰スラグであり、粒径は例えば約0.2〜2mmである。
【0015】
上記有害物質の分離除去手段は、例えば焼却灰や石炭灰などの無機質粒状物をブリケット状に成形し、このブリケット状成形体を不活性ガス雰囲気中1550℃〜1650℃の温度で30分以上加熱して溶融し、溶融状態のスラグを生成する。このスラグを水中に流入させることにより有害物質の金属を沈降させ、無機物の発泡スラグは水上に浮遊させて分離する。この有害物質が分離された発泡スラグは、粉末状無機質粒状物2として使用される。
【0016】
バインダー3は、多量の無機質粒状物2と混合し、一体に固定するためのものであれば何れの材料でもよい。無機質粒状物2のバインダー3としては、ガラス類例えばベントナイトとリン酸ガラスの混合物,ソーダ石灰ガラス,ホウケイ酸ガラスなど及びこれらを混合したもの、セメント・粘土類例えば各種セメントやアスファルト,各種セラミックス,ポリスチレン,ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂、天然接着剤例えばニカワやカゼイン等、エポキシ系等の合成接着剤で十分な強度で接着できるもの、さらに無機質粒状物2や骨材8の材質を溶解させない条件を満たす材料から選択してもよいし、また再生PET樹脂等の廃棄・再生プラスチックなどから選ばれた少なくとも一種、例えば比重1未満の廃プラスチック、例えば廃電線の被覆であるポリエチレンを用いても良い。
【0017】
バインダー3は、比較的低温で容易に加工でき、部材を強固に接着する各種樹脂や接着剤を用いることができるので、強固な構造の生物担持体1を容易に製造することができる。
【0018】
気体が巻き込まれ封入された気泡4の量は、生物担持体1の自重と水面付近か、水中か、対象とする植物を育成する位置によって決定される浮力との関係から決定される。気泡4の形成は、無機質粒状物2及びバインダー3を攪拌しながら、気体を混合物に吹き付けることにより上記気体をバインダー3内に巻き込み、気体を封入して形成することができる。形成される気泡4の量、大きさは、攪拌速度と時間と気体の吹き付け量などを調整することにより制御することができる。攪拌速度の高速化は、気泡を多数形成する。気泡4を形成するための気体としては、空気、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガスなどである。この明細書において、撥水材を入れて熱膨張させることにより形成される空隙は、気泡4に含まれないものとする。気泡4は、気体がバインダー3中に封入されたものをいう。
【0019】
次に、上記生物担持体の製造方法の実施形態を図2を参照して説明する。図2は、生物担持体の製造方法の実施形態を説明するための工程図である。図1と同一材料については、図2に同一符号を付与し、その詳細な説明は重複するので省略する。
【0020】
無機質粒状物2として例えば石炭灰は、重金属やダイオキシンなどの有害有機化合物が有害物質分離除去工程10で除去された石炭灰を使用する。バインダー3としては、ベントナイトとリン酸ガラスの混合物を使用する。これらの原料は、混合・気泡形成工程11にて、重量比で無機質粒状物:バインダー=8:2でミキサーにより混合し、混練りする。このミキサーによる混練り作業は、ミキサーにより高速攪拌しながら気体例えば空気を混合物に吹き付けることにより空気が巻き込まれ、混合物内には空気が巻き込まれた気泡4が封入される。この気泡4をバインダー3中に分散させ、バインダー3中に大きさ2mm以下の気泡が予め設定された比重になるように多数形成されたとき攪拌を終了する。上記気泡の大きさと量は、例えば生物担持体1が浮遊を維持するための量で無機質粒状物2とバインダー3の攪拌速度と攪拌時間で決定される。
【0021】
混練りされた混合物は、次の成形工程12において、上記混合物から形状例えば略球状に成形し、一個当たりの直径は例えば5〜7mmの成形物で多数個形成する。この形状は、球状に限らず方形状でもよい。
【0022】
球状に成形された多数個の成形物は、次の熱処理工程13にて、熱処理装置例えば電気炉を用いて温度例えば900℃にて2時間焼成することにより、多数個の生物担持体1を製造する。このようにして製造された多数個の生物担持体1のかさ密度は、測定の結果、0.8〜0.95g/cmの範囲に分布していた。
【0023】
このようにして製造された生物担持体1は、容積1Lの三角フラスコ中に入れた蒸留水に浮遊させて1週間放置したところ、いずれも良好な浮遊性を維持した。生物担持体1が浮遊性を示すかさ密度は、1g/cm以下であった。1g/cm以上になると生物担持体1は、水中又は水底に落下する。
【0024】
実施形態2
次に、混合・気泡形成工程11において、植物育成のための栄養素5を混合した実施形態を図3及び図4を参照して説明する。図1及び図2と同一材料、同一工程については、図3及び図4に同一符号を付与し、その詳細な説明は重複するので省略する。図3は、植物を育成するための養分を含有した生物担持体の製造方法を説明するための工程図である。図4は、図3の製造方法により製造された生物担持体の構成を説明するための断面図である。
【0025】
栄養素5例えば無機栄養素を混合した生物担持体1は、無機質粒状物2及びバインダー3の混合物に栄養素5例えば単細胞緑藻であるクロレラ、成長に必要な人工基質や養分を混合し、気体を吹き付けながら高速攪拌することにより混合物内部に上記気体が巻き込まれた気泡4が多数封入されたものである。即ち、図3に示すように混合・気泡形成工程11においては、無機質粒状物2と、栄養素5と、バインダー3とを混合する。この混合物を成形工程12で、形状例えば球形に成形し、熱処理工程13で固めることにより栄養素5が含有された生物担持体1を多数個製造することができる。この栄養素5を含有する球状生物担持体1の構成は、図4に断面図で示されている。図4には、球状生物担持体1内に栄養素5が混在して分散している状態が示されている。
【0026】
このようにして製造された単細胞緑藻であるクロレラと成長に必要な人工基質が投入された生物担持体1は、フラスコ内の水中へ浮遊させ、日光を当てて培養したところ、2〜3日後には生物担持体1表面に単細胞緑藻が付着し、成長している様子が確認された。また、フラスコ内の水中への生物担持体1からの重金属例えば鉛やクロム等有害物質の溶出は、いずれも環境基準値以下であった。
【0027】
また、上記栄養素5には、鉄分・リン分・窒素分等の養分や、培養対象である植物や微細藻類・菌類の生育に必要な無機栄養素、有機栄養素などを混合してもよい。さらに、生物担持体1は、気体が巻き込まれて形成された気泡により生物担持体1の浮力を得るので、高価な撥水剤を使用することなく安価に製造することができる。
【0028】
実施形態3
次に、成形・固化した図1の生物担持体1の表面に、養分含有薄膜を形成した実施形態を図5及び図6を参照して説明する。図1乃至図4と同一材料、同一工程には、図5及び図6に同一符号を付与し、その詳細な説明は重複するので省略する。図5は、植物を育成するための養分を含有した生物担持体の製造方法を説明するための工程図である。図6は、図5の製造工程により製造された生物担持体の構成を説明するための断面図である。
【0029】
図2の工程で得られた生物担持体1の表面には、被覆工程16において上記クロレラや人工基質、デンプン等の生分解性物質6やリン分、鉄分などの栄養素5を含む薄膜層17が図6に示すように被覆例えば塗布される。この薄膜層17が被覆された生物担持体1は、生物担持体1A表面への生物付着性をより向上させることができる。生物担持体1の表面に形成される薄膜層17の分散媒は、バインダーでも、塗料でもよい。
【0030】
この生物担持体1Aは、例えば海域表面で藻類等の植物を担持・生育させた後に回収し、植物を生物担持体1A表面から掻き取り再び海域に散布することもできる他、回収後に表面に付着した植物ごと粉砕して、肥料や土質改良材、ゴミ固形燃料(RDF)発電の燃料等として用いることもできる。また、表面の植物を回収した、使用済みの生物担持体1、1Aは、粉砕し、焼却灰や石炭灰と混合し、再び焼結して無機質粒状物(担持体母材)2として再利用してもよい。
【0031】
この実施形態によれば、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物などを培養する基材となる無機質粒状物2とバインダー3とを混合する混合・気泡形成工程11において、気体を吹き付けながら攪拌することによりこの気体を巻き込み、バインダー3内部に上記気体が封入された気泡4を混在させるので、撥水材を使用することなく、より安価に所望する浮力を有する生物担持体1Aを得ることができる。
【0032】
さらに、各種菌類・淡水性及び海洋性植物などの生育を促進する物質で表面を被覆した生物担持体1Aは、低コストで容易に製造することができ、海洋性・淡水性植物や藻類・菌類などを効率よく生育させることができる。
【0033】
実施形態4
次に、気泡4のみでは所望する精度の浮力を得ることができず、浮力の微調整が必要なときの実施形態を図7及び図8を参照して説明する。図1乃至図6と同一材料、同一工程については、図7及び図8に同一符号を付与し、その詳細な説明は重複するので省略する。図7は、浮力を調整するために比重調整材を添加した生物担持体の製造方法を説明するための工程図である。図8は、図7の製造工程により製造された生物担持体の構成を説明するための断面図である。
【0034】
気泡4は所望する浮力の主たる浮力を形成し、比重調整材7は所望する浮力に不足する調整分を形成する。所望する浮力に不足する浮力を得るための調整材は、比重調整材7であり、この比重調整材7としては、例えば高温度で膨張して空孔が膨張し、常温にすることによりその形状を固定する材料である。比重調整材7は、例えば例えば黒曜石を熱処理して形成された芙蓉パーライト社製のフヨーライト(平均直径1mm)、シラス灰熱処理粒子や、廃木材の砕片などである。比重調整材7は、浮遊させるためにかさ密度が1g/cm以下のものが望ましい。バインダー3の固化に適正な温度が900℃よりもさらに低いセメントなどのバインダー3を用いた場合は、比重調整材7としてさらに耐用温度の低い中空粒子であるシラス灰熱処理粒子や、廃木材の砕片なども利用することができる。
【0035】
このような比重調整材7は、図2に示す混合・気泡形成工程11において無機質粒状物2及びバインダー3に混合され、混合された混合物は気体を吹き付けながら混練りされ、気体が巻き込まれた気泡4が混合物内に分散して封入される。混練りされた混合物は、成形工程12で所望する大きさ、形状に加工され、熱処理工程13にて高温雰囲気中で焼成されて所望する浮遊特性を有する生物担持体1を得ることができる。比重調整材7は、熱処理工程13において、膨張して空孔を形成し、比重を調整する。
【0036】
比重調整材7の一部又は全部は、無機質粒状物2、比重調整材7又はバインダー3の内部に気体が封入された気泡4(又は防水性の気泡)で代替することができる。比重調整材7として用いる材料の一部又は全部に、石炭灰、焼却灰、火山灰、汚泥処理灰、コークス、高炉スラグ、又はこれらの混合材料については、予め重金属溶出防止処理を施したものを熱処理して中空粒子としたものを用いることができる。
【0037】
気体が巻き込まれて封入された気泡4又は防水性の気泡4が内蔵されて形成された生物担持体1は、比重調整のために特殊で高価な材料を混合する必要がないので、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物を効率よく生育させる図8に示すような生物担持体1を廉価に製造することができる。
【0038】
次に、この実施例を説明する。無機質粒状物2としては、重金属やダイオキシンなどの有害有機化合物が有害物質分離除去工程10で除去された石炭灰を使用する。比重調整材7としては、上記フヨーライトを使用する。バインダー3としては、ベントナイトとリン酸ガラスの混合物を使用する。これらの原料は、混合・気泡形成工程11にて、重量比で無機質粒状物:比重調整材:バインダー=6:3:1でミキサーにより混合し、混練りする。このミキサーによる混練り作業は、ミキサーにより高速攪拌しながら気体例えば空気を吹き付けて、上記空気が巻き込まれて多数形成された気泡4をバインダー3中に混入させる。この結果、バインダー3中には、大きさ2mm以下の気泡4が予め設定された比重になるように多数分散して封入される。上記気泡の量は、例えば生物担持体1が浮遊を維持するために予め設定された量である。
【0039】
次の成形工程12においては、上記混合物から形状例えば略球状に成形した一個当たり直径5〜7mmの成形物を多数個形成する。成形工程12において球状に成形された多数個の成形物は、熱処理工程13にて、熱処理装置例えば電気炉を用いて温度例えば900℃にて2時間焼成して、多数個の図8に示すような生物担持体1を製造する。
【0040】
このようにして製造された多数個の生物担持体1のかさ密度は、測定の結果、0.8〜0.95g/cmの範囲に分布していた。これらの生物担持体1を、容積1Lの三角フラスコ中に入れた蒸留水に浮遊させて1週間放置したところ、いずれも良好な浮遊性を維持した。
【0041】
実施形態5
次に、図8に示す生物担持体1に植物の育成に必要な栄養素5を含有させた実施形態を図9及び図10を参照して説明する。図1乃至図8と同一材料、同一工程には、図9及び図10に同一符号を付与し、その詳細な説明は重複するので省略する。図9は、植物を育成するための養分及び比重調整材を含有した生物担持体の製造方法を説明するための工程図である。図10は、図9の製造工程により製造された生物担持体の構成を説明するための断面図である。
【0042】
図9に示すように混合・気泡形成工程11においては、無機質粒状物2、比重調整材7及びバインダー3の混合物に例えば単細胞緑藻であるクロレラ、成長に必要な人工基質や養分などの栄養素5をミキサーにより混合する。さらに、この混合物に気体例えば酸素を吹き付けながら高速攪拌することにより混練り過程で形成された上記酸素が巻き込まれて封入された気泡4は、バインダー3中に分散して形成される。上記栄養素5には、鉄分・リン分・窒素分等の、培養対象である植物や微細藻類・菌類の生育に必要な無機栄養素が予め混合されてもよい。
【0043】
このようにして気泡4が形成された混合物を成形工程12で、予め定められた大きさ、形状に成形し、熱処理工程13で焼成して生物担持体1を製造する。このようにして製造された単細胞緑藻であるクロレラと成長に必要な人工基質が投入された生物担持体1は、フラスコ内の水面に浮遊させて日光を当てて培養したところ、2〜3日後には生物担持体1の表面に単細胞緑藻が付着し成長している様子が確認された。また、フラスコ内の水中への生物担持体1からの重金属例えば鉛やクロム等の溶出は、いずれも環境基準値以下であった。
【0044】
実施形態6
次に、図5及び図6の他の実施形態を図11及び図12を参照して説明する。図1乃至図10と同一材料、同一工程には、図11及び図12に同一符号を付与し、その詳細な説明は、重複するので省略する。図11は、植物を育成するための養分を表面に被覆した生物担持体の製造方法を説明するための工程図である。図12は、図11の製造工程により製造された生物担持体の構成を説明するための断面図である。
【0045】
図5及び図6の実施形態との相違は、混合・気泡形成工程11での浮力を調整するための材料として比重調整材7が混合されている点である。さらに、図9及び図10の実施形態との相違は、栄養素5などを図1の無機質担時体1の表面に被覆して設けた構成にした点である。
【0046】
混合・気泡形成工程11では、無機質粒状物2と、比重調整材7と、バインダー3とを混合し、この混合物内に気体が巻き込まれ封入された気泡4を形成したのち、成形工程12で成形し、熱処理工程13で固化する。被覆工程16では、成形、固化された図8に示す生物担持体1の表面に、クロレラや人工基質、デンプン等の生分解性物質6やリン分、鉄分などの栄養素5を含む薄膜層17を塗布する。薄膜層17が塗布された図12に示す生物担持体1Aは、この生物担持体1A表面への植物の付着性をより向上させることができる。
【0047】
この生物担持体1Aは、例えば海域表面で藻類等の植物を担持・生育させた後に回収し、植物を表面から掻き取り再び海域に散布することもできる他、回収後に表面に付着した植物ごと粉砕して、肥料や土質改良材、RDF発電の燃料等として用いることもできる。また、表面の植物を回収後、使用済みの生物担持体1Aは粉砕され、焼却灰や石炭灰と混合して再び焼結して無機質粒状物2として使用されてもよい。
【0048】
この実施形態によれば、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物などを培養する基材となる無機質粒状物2と比重調整材7と、バインダー3とを混合し、気体を吹き付けながら混練することによりバインダー3内に気体が巻き込まれた気泡4が封入されるので、高価な撥水材を使用することなく所望する浮力を得ることができる。さらに、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物などを効率よく生育させる生物担持体1Aを、容易に歩留りよく大量生産することができる。さらに、生物担持体1の表面には、各種菌類・淡水性及び海洋性植物などの生育を促進する物質が被覆されているので、海洋性・淡水性植物や藻類・菌類などを効率よく生育させることができる。
【0049】
実施形態7
次に、より強固で長寿命にした生物担持体の実施形態を、図13及び図14を参照して説明する。図1乃至図12と同一材料、同一工程には、図13及び図14に同一符号を付与し、その詳細な説明は重複するので省略する。図13は、植物を育成するための養分などを骨材8の表面に被覆した生物担持体の製造方法を説明するための工程図である。図14は、図13の製造工程により製造された生物担持体の構成を説明するための断面図である。
【0050】
混合・気泡形成工程11は、無機質粒状物2、比重調整材7、栄養素5例えば無機栄養素及びこれらを相互に接着し固定するバインダー3などが混合され、この混合物に気体を吹き付けながら混練りすることによりバインダー3中に上記気体が巻き込まれた気泡4が封入される。
【0051】
無機質粒状物2は、上記実施形態と同様に予め有害な重金属成分やダイオキシンなどを分離除去した石炭灰又は焼却灰スラグで、その粒径は例えば約0.2〜2mmである。また、比重調整材7としては、東海工業社製のメタスフィア(平均直径150〜200μm)である。バインダー3は、ポリエチレン樹脂である。これらの原料は、重量比で無機質粒状物:比重調整材:バインダー=4:2:4で混合し、溶融する。
【0052】
溶融工程は、温度例えば120℃にて溶融した状態で、混練工程を実行する。混練工程は、溶融物に気体を吹き付けながら高速攪拌して混練りし、バインダー3内に所望する大きさの多数の気体が巻き込まれた気泡4を混合物全体に分散させて封入する。混練りされた混合物は、被覆工程23において骨材8例えば約1cm角に破砕された木材端材チップの表面に被覆例えば塗布されて、図14に示す生物担持体1が製造される。上記気泡4は、上記気体が巻き込まれて封入された防水性気泡である。
【0053】
このようにして製造された生物担持体1のかさ密度の測定結果は、0.7〜0.9g/cmの範囲に分布していた。これらの生物担持体1は、容積1Lの三角フラスコ中に入れた蒸留水に浮遊されて1週間放置したところ、いずれも良好な浮遊性を維持した。さらに、上記フラスコの中に単細胞緑藻であるクロレラと成長に必要な人工基質を投入し、フラスコ中の水面に浮遊させ日光を当てて培養したところ、2〜3日後には生物担持体1表面に単細胞緑藻が付着し成長している様子が確認された。また、フラスコ内の水中への生物担持体1からの鉛やクロム等の溶出は、いずれも環境基準値以下であった。
【0054】
骨材8は、生物担持体1全体の構造を支持するものである。この骨材8としては、上記例の他に廃棄されたプラスチックの破砕チップや貝殻等の生物由来材料(バイオマス)を用いてもよい。さらに、無機栄養素としては、鉄分・リン分・窒素分等の、培養対象である植物や微細藻類・菌類の生育に必要な養分を予め混合したものである。
【0055】
この実施形態によれば、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物などの良好な媒地となる無機質粒状物2と、比重調整材7と、栄養素5と、バインダー3とを混合し、溶融後気体を吹き付けながら混練りするので、安価に気泡を形成することができ、これを骨材8の表面に被覆することにより強固に固定された生物担持体1を得ることができ、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物を長期に渉って効率よく生育させる生物担持体1を容易に製造することができる。
【0056】
実施形態8
次に、生物の育成に必要な養分の供給を長期化させた生物担持体の実施形態を図15及び図16を参照して説明する。図1乃至図14と同一材料、同一工程については、図15及び図16に同一符号を付与し、その詳細な説明は重複するので省略する。図15は、植物を育成するための養分などをカプセル内に内蔵させて養分の供給を長期化させた生物担持体の製造方法を説明するための工程図である。図16は、図13の製造工程により製造された生物担持体の構成を説明するための断面図である。
【0057】
この実施形態は、養分の供給を長期化するために養分をカプセル9内に収納するようにしたケースである。混合・気泡形成工程11においては、無機質粒状物2と、比重調整材7と、カプセル9及びこれらを相互に接着し固定するバインダー3などをミキサーにより混合し、この混合物に気体を吹き付けながら混練りすることによりバインダー3中に上記気体を巻き込み形成された気泡4を封入する。
【0058】
カプセル9には、生物を育成するための養分例えば栄養塩31が内包されており、この栄養塩31は銀イオンと硝酸塩の混合物である。即ち、栄養塩31を内包するカプセル9は、鉄分や硝酸塩等など植物の生育に必要な無機栄養素を、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロースなどの樹脂材料や生分解性プラスチック等の膜で包んで直径約3mmの球状に形成したものである。このカプセル9は、栄養塩31がカプセル9の外側に溶出して終了するまでの時間を長期化し、より効果的に長期に渉って生物の培養を促すためのもので、生物担持体1内に膜厚を異にするカプセル9や大きさを異にするカプセル9を混合させてもよい。
【0059】
無機質粒状物2は、有害物質分離除去工程10で予め有害物質が分離除去された石炭灰又は焼却灰スラグを用い、この石炭灰又は焼却灰スラグの粒径は約0.2〜2mmである。比重調整材7は、東海工業社製のメタスフィア(平均直径150〜200μm)であり、バインダー3はポリエチレン樹脂である。これらの原料は、重量比で無機質粒状物:比重調整材:カプセル:バインダー=10:10:5:75の割合でミキサーにより混合され、温度例えば290℃にて溶融される。溶融された混合物に気体を吹き付けながら高速で攪拌し混練すると、バインダー3内には、上記気体が巻き込まれ、この結果気泡4が分散して封入される。
【0060】
次に、成形工程12で球状に成形し、熱処理工程13で焼成して図16に示すような球状生物担持体1を製造した。生物担持体1の形状は、成形工程12において、方形状に成形して方形状生物担持体1を製造してもよい。
【0061】
実施形態9
次に、図15の生物担持体1の製造プロセスにおいて成形工程12で円筒状に成形した実施形態を図17及び図18を参照して説明する。 図15及び図16と同一材料、同一工程については、図17及び図18に同一符号を付与し、その詳細な説明は重複するので省略する。図17は、円筒状に形成した生物担持体の製造方法を説明するための工程図である。図18は、図17の製造工程により製造された生物担持体の構成を説明するための断面図である。
【0062】
混合・気泡形成工程11においては、同様に重量比で無機質粒状物:比重調整材:カプセル:バインダー=10:10:5:75の割合でミキサーにより混合し、290℃にて溶融し、気体を吹き付けながら高速で攪拌し混練すると、バインダー3内には、上記気体が巻き込まれ多数の気泡4が分散して封入される。次に、成形工程12においては、図18に示すように長さ1.2cm、直径1.2cm(円筒壁の厚み0.4cm)の穴32を有する円筒状に成形加工する。上記混練物の円筒形への加工は、混合した混練材料を押出し成形法により形成してもよいし、機械的に削り出してもよい。
【0063】
このように円筒状に成形された成形物は、熱処理工程13で焼成されて図18に示すような円筒状生物担持体1Bが製造される。この実施形態によれば、穴に紐を通して海面に浮遊させることにより多数個の生物担持体1Bを群管理することができる。
【0064】
実施形態10
次に、円筒状骨材の外周面上に無機質粒状物2と、比重調整材7と、カプセル9及びバインダー3などの混合物を形成した実施形態を図19及び図20を参照して説明する。図1乃至図18と同一材料、同一工程については、図19及び図20に同一符号を付与し、その詳細な説明は重複するので省略する。図19は、植物を育成するための養分などを円筒状骨材の表面に被覆した生物担持体の製造方法を説明するための工程図である。図20は、図19の製造工程により製造された生物担持体の構成を説明するための断面図である。
【0065】
この実施形態は、円筒状骨材8Aの外周面上に混合物を被覆したケースである。即ち、混合・気泡形成工程11において、無機質粒状物2と、比重調整材7と、カプセル9及びバインダー3とを混合した混合物を、高温で溶融し、気体を吹き付けながら高速で攪拌して混練りすることによりバインダー3中に上記気体が巻き込まれて封入された気泡4を分散して形成する。この気泡4が混在された混練物は、被覆工程23において円筒状骨材8Aの外周面上に被着例えば塗布される。その後、熱処理工程13で焼成して円筒状骨材8Aの外周面上に上記混練物をバインダー3により固定し図20に示すような円筒状生物担持体1Cを製造する。
【0066】
成形された生物担持体1Cを観察したところ生物担持体1Cには、混練中に気体を吹き付けてこの気体が巻き込まれた気泡4の他に、バインダー3の一部が分解して生じたガスにより形成された気泡4もバインダー3中に分散して形成されていた。このようにして製造された生物担持体1Cのかさ密度を測定したところ、0.7〜0.9g/cmの範囲に分布していた。これらの生物担持体1Cは、容積1Lの三角フラスコ中に入れた蒸留水に浮遊されて1週間放置されたところ、いずれも良好な浮遊性を維持した。さらに、上記フラスコの中に単細胞緑藻であるクロレラと成長に必要な人工基質を投入し、フラスコ中の蒸留水に生物担持体1Cを浮遊させて日光を当てて培養したところ、2〜3日後に生物担持体1の表面には、単細胞緑藻が付着し成長している様子が確認された。また、フラスコ内の水中への生物担持体1Cからの鉛やクロム等の溶出は、いずれも環境基準値以下であった。
【0067】
図18、図20に示す円筒状生物担持体1の使用例は、円筒状生物担持体1の穴32の径をロープ例えばテングスワイヤが通る大きさに選択することにより、ロープに多数個の円筒状生物担持体1を通して海洋に放置したり、多数個の円筒状生物担持体1B、1Cを通したロープを組み合わせて網とすることもできる。これらのロープや網などは、端部などを固定して河川や海水の表面付近に位置する様に岸壁付近や水面に設けられたフロートに放置して海洋生物を培養してもよい。さらに、ロープや網の一端側に錘をつけ、水面から水深方向に垂直に浮遊させて固定したり、任意の深度で水面に並行に固定したりして使用してもよい。さらに、円筒状生物担持体1B、1Cは、ロープや網に通すことにより、生物担持体1B、1Cを粒単位ではなく、群単位でまとめて扱うことができるため、生物担持体1B、1Cによる植物の生育準備や管理・回収などの収穫を取り残すことなく効率よく行うことができる。
【0068】
上記実施形態では、生物担持体1を球状、円筒状に成形した実施形態について説明したが、形状については、この他にも塊状、立方体、円柱状など、任意の形態に成形することが可能であり、全体を固化させた後、適当な大きさに分割する成形も可能である。
【0069】
上記実施形態において、混合・気泡形成工程11により水溶性の塩や、デンプン等の水中微生物の餌となる物質の砕片あるいは粉末を構成材料と共に混合して製造された生物担持体1に、表面から内部に通ずる空隙を形成することにより内部の養分を生育中の植物に長期に渉って供給することができる。さらに、中空円筒状生物担持体1、多孔質状生物担持体1など、生物担持体1の表面から内部まで連通する空隙を有する形状を与えることにより、内部の空隙表面に微生物や藻類・菌類が付着・生育して、単位体積当たりの微生物や藻類・菌類の付着量を増やすことができる。さらに、生物担持体1内の栄養素5を有効に利用することができる。上記空隙の形成法は、機械的な切削作業により形成することができる。
【0070】
上記実施形態において、無機質粒状物2、比重調整材7、骨材8あるいはバインダー3として用いる材料の一部又は全部に、キチン質やセルロース等の天然有機物高分子、あるいは生分解性プラスチックを用いることができる。 特に、バインダー3に各種天然有機物高分子を用いることで、生物担持体1、1A、1B、1Cを形成する各構成要素を相互に強固に固定することができると共に、生物担持体1〜1Cの生物親和性をさらに向上し、再利用にも適した生物担持体1〜1Cを製造することができる。
【0071】
上記実施形態において、無機質粒状物2、比重調整材7、バインダー3あるいは骨材8として用いる材料の一部又は全部に、培養対象である植物や微細藻類・菌類の種子や胞子を予め混合して生物担持体1〜1Cを製造することができる。この生物担持体1〜1Cは、生物担持体1〜1C内に予め植物や菌類の種子や胞子を内在させることにより、培養対象である生物を選択的に増殖させることができると共に、高い培養効率で各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物の育成をすることができる。
【0072】
上記実施形態において、無機質粒状物2、比重調整材7、バインダー3あるいは骨材8として用いる材料の一部又は全部に、無機栄養素や成長ホルモン等、植物や微細藻類・菌類の生育を促す物質、あるいは種子や胞子を、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロースなどの樹脂材料や生分解性プラスチック等の膜で包んだカプセルとして予め混合したものを材料として使用し、生物担持体1〜1Cを製造することもできる。この生物担持体1〜1Cは、栄養分や生物の成長を促進する物質を、生物担持体1〜1C周辺に散逸させることなく生物担持体1〜1Cで培養する植物や菌類に選択的かつ長期に渉って供給し、あるいは培養する生物の種子や胞子を安定して保持することにより、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物を効率よく育成することができる。
【0073】
上記実施形態において、気泡や防水性の気泡の形成方法は、無機質粒状物2などを混合する際に空気や窒素など任意のガスを吹き込むことにより形成する方法、無機質粒状物2、比重調整材7又はバインダー3の一部が生物担持体1〜1Cを形成する際に分解して生じるガスにより形成する方法、あるいは無機質粒状物2、比重調整材7、バインダー3に加えて熱処理でガスを発生する物質を混合し、生物担持体1〜1Cを形成する際にガス発生物質から発生するガスにより形成する方法などがある。
【0074】
上記実施形態において、無機質粒状物2、バインダー3あるいは骨材8として用いる材料の一部又は全部に、石炭灰、焼却灰、火山灰、汚泥処理灰、コークス、高炉スラグ、又はこれら材料については、予め重金属溶出防止処理を施したものを用いることができる。これらを用いた生物担持体1〜1Cは、入手の容易な、あるいは積極的な利用が望まれている安価な材料を用いて、海洋性・淡水性植物や藻類・菌類を効率よく生育させる生物担持体1〜1Cを作成することができる。
【0075】
上記実施形態では、表面に栄養素を塗布した例について説明したが、生物担持体1〜1Cの表面に、一般に水中で正の帯電性を有する物質層を形成することにより負の極性の微生物を誘引させることができる。また、生物担持体1〜1Cの表面に、一般に水中で負の電荷を帯びる物質層を形成することにより正の極性の微生物を誘引させることができる。このように水中微生物を静電的に引き付ける働きを持つ物質を生物担持体1〜1Cの表面に形成することにより、微生物を静電的に誘引させることができる。この結果、生物担持体1〜1Cは、海洋性・淡水性植物や藻類・菌類などを効率よく付着・生育させることができ、大量生産することが容易である。
【0076】
上記実施形態において、生物担持体1、1Cは、無機質粒状物2、比重調整材7、バインダー3あるいは骨材8として用いる材料の一部又は全部に、木材の端材や貝殻等の生物由来材料(バイオマス)を用いて製造することができる。上記実施形態において、生物担持体1〜1Cは、無機質粒状物2、比重調整材7、バインダー3あるいは骨材8に各種菌類・淡水性及び海洋性植物などと親和性の高い生物由来材料を混合することにより、海洋性・淡水性植物や藻類・菌類などを効率よく生育させる生物担持体1〜1Cを低コストで容易に製造することができる。
【0077】
上記実施形態では、生物担持体1の表面に植物を育成するための栄養素を塗布して実施形態について説明したが、 生物担持体1の表面に、酸化アルミニウムや酸化鉄など水中で正の帯電性を有する物質、培養対象である植物や微細藻類の種子や胞子、成長ホルモン等の生育促進物質等を多く含む層を塗布することもできる。この生物担持体1Aにおいては、各種菌類・淡水性及び海洋性植物などと親和性の高い物質、培養対象植物の種子や胞子、あるいは生物の生育を促進する物質を、生物担持体1の表面に集中して設けることにより、海洋性・淡水性植物や藻類・菌類などを効率よく生育させる生物担持体1Aを低コストで容易に製造することができる。
【0078】
以上説明したように上記実施形態によれば次のような効果を得ることができる。無機質粒状物2などの材料とバインダー3の混合物に気体が巻き込まれた気泡4を封入して所望する浮力を得るようにしたので、高価な撥水材を混入する必要がなく、安価な生物担持体1〜1Cを得ることができる。さらに、無機質粒状物2に比重調整材7を混合することにより、さらに調整された浮力の生物担持体1、1Aを得ることができる。さらに、円筒状生物担持体1B、1Cを製造することにより、ロープに生物担持体1を取付け、各種菌類・淡水性及び海洋性植物などの育成後の回収を全ての生物担持体1について漏れなく群管理することができる。
【0079】
さらに、無機質粒状物2をバインダー3により骨材8の表面に取着することにより、より強固な生物担持体1を得ることができ、台風や荒波により激しく打たれる海洋でも長期間に渉って各種菌類・淡水性及び海洋性植物などを育成することができる。さらに、生物担持体1相互の接触などによる生物膜の損耗やはがれを防ぐことにより、担持した各種藻類や植物を効率よく育成させることができる。
【0080】
さらに、植物や微細藻類・菌類の生育を促す物質をカプセル9として予め混合した生物担持体1、1B、1Cは、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物を長期に渉って効率よく育成することができる。さらに、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物などを培養する基材となる無機質粒状物2と比重調整材7とを任意の割合で混合し、これらと骨材8とをバインダー3により強固に固着した生物担持体1、1Cは、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物などを効率よく生育させることができ、運用方法に適した比重と強度を、安価かつ容易に作成することができる。
【0081】
また、水中微生物の餌となる物質を混入した生物担持体1〜1Cは、各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物の付着を促進すると共に、生物担持体1〜1Cの表面の一部が生物に吸収された後多孔質化し、さらに表面積が増えると共に、表面が生物にとって付着しやすくなるため、担持した各種藻類や植物を効率よく育成させることができる。さらに、石炭灰や焼却灰等の無機質粒状物2や骨材8の材料に含まれる鉛やクロム等の重金属分などの有害物質の溶出を防止する処理を施した材料により製造された生物担持体1〜1Cは、周辺の生態系に悪影響を与えずに各種微細藻類や菌類、あるいは淡水性及び海洋性植物を効率よく生育させることができる。
【0082】
さらに、火力発電所や焼却炉から大量に廃棄され、入手の容易な、あるいは積極的な有効利用が望まれている安価な石炭灰や焼却灰は、付加価値の高い海洋性・淡水性植物や藻類・菌類を効率よく生育させる生物担持体1〜1Cに再利用することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、各種微細藻類や菌類・淡水性及び海洋性植物を効率よく生育させるための生物担持体をさらに廉価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による生物担持体の実施形態を説明するための断面図。
【図2】図1の生物担持体の製造工程を説明するための工程図。
【図3】図2の他の実施形態を説明するための工程図。
【図4】図3の製造工程により製造された生物担持体を説明するための断面図。
【図5】図2の他の実施形態を説明するための工程図。
【図6】図5の製造工程により製造された生物担持体を説明するための断面図。
【図7】図2の他の実施形態を説明するための工程図。
【図8】図7の製造工程により製造された生物担持体を説明するための断面図。
【図9】図2の他の実施形態を説明するための工程図。
【図10】図9の製造工程により製造された生物担持体を説明するための断面図。
【図11】図2の他の実施形態を説明するための工程図。
【図12】図11の製造工程により製造された生物担持体を説明するための断面図。
【図13】図2の他の実施形態を説明するための工程図。
【図14】図11の製造工程により製造された生物担持体を説明するための断面図。
【図15】図2の他の実施形態を説明するための工程図。
【図16】図15の製造工程により製造された生物担持体を説明するための断面図。
【図17】図2の他の実施形態を説明するための工程図。
【図18】図15の製造工程により製造された生物担持体を説明するための断面図。
【図19】図2の他の実施形態を説明するための工程図。
【図20】図15の製造工程により製造された生物担持体を説明するための断面図。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C…生物担持体、2…無機質粒状物、3…バインダー、4…気泡、5…栄養素、6…生分解性物体、7…比重調整材、8…骨材、9…カプセル、10…有機物質分離除去工程、11…混合・気泡形成工程、12…成形工程、13…熱処理工程、16,23…被覆工程、17…薄膜層、31…栄養塩、32…穴。

Claims (7)

  1. 無機質粒状物と、
    前記無機質粒状物に混在し内部に気体を封入した気泡が設けられたバインダーと
    を具備してなることを特徴とする生物担持体。
  2. 前記気泡は防水性の気泡であることを特徴とする請求項1記載の生物担持体。
  3. 前記気泡は前記生物担持体が浮遊を維持するためのものであることを特徴とする請求項1又は2記載の生物担持体。
  4. 前記バインダーは、ガラス類、セメント・粘土類、各種セラミックス、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然接着剤、あるいは合成接着剤から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の生物担持体。
  5. 前記無機質粒状物と前記バインダーに、比重を調整するための比重調整材及び強度を高め形状を維持するための骨材を混合することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の生物担持体。
  6. 無機質粒状物及びバインダーとを気体を吹き付けながら混練りした混合物に気泡を封入させる混合・気泡形成工程と、
    前記混合物を成形して成形物にする成形工程と、
    前記成形物を熱処理する熱処理工程と
    を具備してなることを特徴とする生物担持体の製造方法。
  7. 前記気体は、空気、酸素、窒素、炭酸ガスなどのうち何れか一種又はこれらの混合気体であることを特徴とする請求項6記載の生物担持体の製造方法。
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