JP3999582B2 - 藻類増殖用材料及び人工魚礁 - Google Patents

藻類増殖用材料及び人工魚礁 Download PDF

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  • Artificial Fish Reefs (AREA)
  • Cultivation Of Seaweed (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は海中の有光層、或いは陸上の培養設備に浮遊して、海水中に生育する海藻類や植物プランクトンなどの藻類を増殖させるために用いる材料に関するものであり、この材料は、ホウ素及び鉄分を含有するホウケイ酸系ガラスで構成される。
【0002】
【従来の技術】
魚介類の生育に必要な海藻類を増殖するために、従来は、鋼材、石材、木材、コンクリート材料などを用い、海底にそのまま敷設したり、或いはそれらを適宜組み込んで人工魚礁にし、又は消波根固ブロックを利用する等の方法が採用されていた。さらに、これらの構成物には適宜の凹凸を形成して、表面形状に変化を与える等の工夫もなされていた。
しかし、これらは海藻類の着生基盤を造成するものであり、単に海藻類が増殖する場所(藻場)を提供するものであるにすぎない。
【0003】
海藻類を始めとし、植物プランクトンまで含めた藻類は海水中の各種成分を摂取して増殖するが、この増殖には海水中に溶存している窒素、リンの他にケイ素、マンガン、鉄など成分が必要であるといわれており、特に鉄が二価のイオンとして溶存していればその増殖効果は大きいとされている。
【0004】
本発明者等はこのような増殖効果に着眼し、二価の鉄イオンを人工的に供給する手段としてこれをガラス質材料に閉じ込め、この材料を海水中に沈めて使用することにより、長時間安定して二価の鉄イオンを海水中に放出するという藻類増殖材を特開平6−335330号公報(特許第2577319号)で提示した。
【0005】
すなわち、この発明は重量比でSiO2 :30〜70%、Na2 Oおよび/またはK2 O:10〜50%、Fe23 :5〜50%、さらに必要に応じてMnO、P25 を含有し、かつ二価の鉄含有量が1%以上であるガラス質材料からなる藻類増殖材であり、この増殖材を他の構造体の表面に塗布するなどして海水中に沈めて使用することにより、周囲の海水中に微量のイオンが徐々に溶出することにより有効な藻場を長期に亘って形成し、藻類生育の促進を図るものである。
【0006】
しかし、最近では下記に述べる理由により、従来に比べてさらに少量のガラス材で二価の鉄イオンを効率良く溶出されることが求められるようになっている。すなわち、
1)藻場に非常に少量の増殖材を配置して藻場全体の活性を高めたい。
2)アワビ、ウニなどの種苗生産の初期餌料である付着硅藻を増殖させる場合に、少量の増殖材の使用で二価の鉄イオンを溶出させ、増殖を促進させたい。
3)外海の沖合域で鉄分が不足し、植物プランクトンが増殖しにくい海域に少量の増殖材を広範囲に散布して増殖効果を達成させたい。
【0007】
さらに、従来の増殖材を水槽等の閉鎖系の海水中に多量に入れるとアルカリ成分(K,Naなど)の溶出のためにpHが上昇する傾向があり、このpHの上昇を回避するには、酸の添加などによりpHを安定させなければならない場合があるが、pHの上昇をおさえる増殖材が必要である。
【0008】
一方、最近大気中に放出される二酸化炭素(CO2 )による地球温暖化現象が問題になっている。すなわち、地球の温暖化は、生態系の攪乱や海面上昇をもたらすため地球規模でその対策が検討されている。
【0009】
この対策の一つとして藻類の増殖が注目されている。すなわち、沿岸域の水深20m以浅の比較的浅い海底には海藻や海草が分布し、地球上の海洋の有光層の大部分には植物プランクトンが分布するが、これらの海洋植物は年間300億トン程度の炭素を海水中から取り入れ、有機物に変えていることが知られている。それゆえ海洋植物、なかでもその主要部分を占める植物プランクトンを増殖させれば、さらに海水中の二酸化炭素を大量に取り込んで固定することが可能となり、従って海水中の二酸化炭素が減少すれば、大気と海洋との平衡関係から、それが減少した分大気中から取り込みが行われ、大気中の二酸化炭素を減少させることが可能となる筈である。
【0010】
このような考えはすでに知られており、植物プランクトンの生育に必要な窒素、リン、ケイ素等の濃度は十分にあるが、鉄が不足して植物プランクトンが増殖できない海域の海面に二価の鉄イオン溶液を散布して植物プランクトンの増殖を図るための予備的実験はすでに行われている。そしてその結果、海面への二価の鉄イオン溶液の散布は、植物プランクトンの増殖に有効であることが確認されている(Martin et al(1994);Testing the iron hypothesis in ecosystems of the equatorial Pacific Ocean,NATURE,vol.378(8),sept.pp123-129参照) 。
【0011】
このように二価の鉄イオン溶液を海面に散布することにより、植物プランクトンの増殖が可能であることは確認されているが、溶液で散布するとなると、大量の水量が必要となり運搬コスト等がかさみ不経済になり、また、液体での散布は拡散されるので、効果を長期的に実現することは困難である。これを実現するためには、海面付近に二価の鉄イオンを溶出する鉄化合物を供給する必要があるが、通常の鉄化合物や金属鉄はその比重が大きいため、僅かな時間海面に存在することがあっても海底に沈むのが早く、植物プランクトンの増殖効果が長続きしないことと、また、通常の鉄化合物や金属鉄は長時間安定して二価の鉄イオンを溶出させることが困難であるという問題があり、実用に適しない。
【0012】
また前述の通り、二価の鉄イオンを溶出するガラス質材料も既に提案されているが、さらに少量のガラス材で二価の鉄イオンを効率よく溶出することが望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このような技術の現状において、本発明はさらに二価の鉄イオンの溶出性能に優れたガラス質材料よりなる多孔質藻類増殖用材料を提供することを目的とする。
藻類、特に植物プランクトンは海表面付近乃至は有光層を浮遊或いは漂流し、光合成を行って増殖する。そして、二価の鉄イオンは植物プランクトンの光合成を促進する。それゆえ、有光層、好ましくは水深数m程度に安定して二価の鉄イオンを供給する必要があり、本発明は二価の鉄イオンを溶出するガラス質材料を海水以下の低比重に構成して浮遊させ、植物プランクトンが存在する領域と同じ領域において、長時間、安定して二価の鉄イオンを溶出する多孔質藻類増殖材を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は以下に記載する構成を要旨とする。
重量%で、水中に二価の鉄イオンを溶出するFeOおよびFeの何れか1種または2種を1〜40%、SiOを15〜50%、NaO、及びKOの何れか1種または2種を1〜35%、Bを30〜70%含有するガラス質材料を、独立気泡を有する多孔状に形成し、比重を0.1〜1.0の範囲にしたことを特徴とする藻類増殖用材料。
【0015】
本発明はガラス質の非晶質構造の特性に着目し、このガラス質をマトリックスとして鉄分を閉じ込め、水による浸食作用で二価の鉄イオンを海中に長期に亘ってゆっくりと安定して放出し続けることを可能にするものであり、さらに本発明はガラス質材料に多量のホウ素成分(B23 として30〜70%)を含有させことにより、鉄分(二価の鉄イオン)の溶出速度を早めることができ、藻類の増殖に大きく寄与するという特徴を有する。
【0016】
すなわちガラス質材料は、その不規則網目構造を形成する酸素と結合したケイ素とホウ素の陽イオン(網目形成イオン)、そして、その網目構造の中に入り込むナトリウムやカリウムなどの陽イオン(網目修飾イオン)、そして網目形成イオン或いは網目修飾イオンとして機能する鉄イオンを含んでいる。この様なガラス質材料を海水に浸漬すると、水のOH- がガラスの表面の陽イオンと結合し、NaOHやKOHを形成する。これがケイ素とホウ素との結合を徐々に切断していく。このような作用を繰り返すことにより、ガラス質成分が長期間に亘って徐々に溶出することになる。
【0017】
一般にホウ素(B23 として10〜25%)とケイ素(SiO2 として>70%)を主成分とするホウケイ酸ガラスは、化学的耐久性および耐熱性が強いホウケイ酸ガラスとして知られているが、本発明は、ガラスの化学組成でホウ素の含有量を変えることにより化学的耐久性を弱くし、二価の鉄イオンを多量に溶出するという新たな知見に基づいている。また、ガラス質材料に一般的に含有されているアルカリ成分(K,Naなど)の溶出による環境pHの上昇を、ホウ素イオンの溶出により抑制するという新たな効用も有している。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は二価の鉄イオンをFeOおよび/またはFe23 に換算した量として1〜40重量%含有し、比重が0.1〜1.0の範囲にあって、二価の鉄イオンを溶出し続けることのできる多孔性ガラス材料からなる藻類増殖用材料を提供する。独立気泡を有する多孔性とし、比重を0.1〜1.0、好ましくは0.2〜0.5の範囲にしたことにより海面および有光層の海中を浮遊或いは漂流し、さらには海面および海中にブイなどの浮体構造物を利用して藻類増殖用材料を固定することも可能であり、これらの状態から二価の鉄イオンを溶出して連続的に長期間供給し、海藻、とくに植物プランクトンの増殖に有効に作用する。
【0019】
さらに本発明のガラス質藻類増殖材料は、必要に応じてイオン溶出源としてケイ素(Si),ナトリウム(Na)および/またはカリウム(K),ホウ素(B),鉄(Fe)などの成分を組み合わせ、化合物として下記の範囲に含有させることができる。
【0020】
Siは非晶質網目構造を形成する基本成分であり、SiO2 として15〜50重量%含有する。15%未満では、Siが構成している網目形成機能がホウ素に依存するようになり、ガラスの耐水性が悪くなる。また、大気中の湿度でも溶解する可能性がある。一方50%を超えると網目構造が強固となり、ガラス自体の強度(化学的、構造的)が増大し、Feなどの溶出が少なくなる。
【0021】
NaおよびKはNa2 O,K2 Oとしてこれらの何れか1種または2種を合計で1〜35重量%含有させる。これらの成分はガラスの網目構造を切断し、ガラスの溶出速度をコントロールするために前記範囲で適宜選択して含有させる。
【0022】
Fe分は藻類の増殖に重要な役割を果たす二価の鉄イオンを溶出するための必須成分であり、FeOおよびFe23 に換算した量としてこれらの1種または2種を1〜40重量%含有させる。1%未満では二価の鉄イオンの溶出量が不十分であり、またFeの含有率が増加するとイオン状態でガラスに入り切れずに金属鉄として析出してしまう。すなわちFeが均等に分散されたガラスにならない。また、金属鉄がガラス表面に出てくると、熱膨脹率が異なるので割れる恐れがある。そのため40重量%を上限とした。
【0023】
さらに、BはB23 として30〜70重量%含有する。前述したように、ホウ素は30%以上含有させることによりガラスの組成を変え、二価の鉄イオンの溶出を促進する本発明の重要成分である。しかし70%を超えて含有させるとガラスの耐水性が悪くなる。
このガラス質材料の組成は上記した範囲にすることができる。
【0024】
本発明のガラス質藻類増殖用材料を製造するするには、ケイ素、ホウ素、鉄、ナトリウムおよび/またはカリウムなどの成分を適宜含む公知の材料を用い、所定量計りとったものを混合した後、高温に加熱(例えば1200〜1500℃で約20〜60分加熱)して溶融させ、次いで冷却させる公知のガラス化法を利用することができる。なお、このガラス化法の実施の際に、溶融雰囲気を、コークスなどの還元材を使用するか、一酸化炭素ガスなどの還元性ガスを用いて還元状態とすることにより、ガラス質中の二価の鉄含有量を増加することが可能となる。
【0025】
多孔性ガラス材料を製造するには、例えば、一旦所定の二価の鉄イオンを含むガラス質材料を形成した後、これに発泡性材料を混合して加熱溶融する方法を利用でき、或いは、ガラス質の原材料と発泡性材料とを同時に加熱溶融して製造することができる。
【0026】
例えば上記のようにして製造したガラス質材料を、粉末状(好ましくは平均粒径が300μm以下)にし、この粉末100重量部に対して1〜10重量部(好ましくは2〜5重量部)の炭化ケイ素粉末およびまたは炭素粉末を混合し、これを電気炉などを用いて600〜900℃の温度で5〜60分程度加熱して、ガラス質の多孔質化を図る方法が利用できる。
【0027】
また、上記のガラス材料を溶融下におき、これに空気、或いは窒素などの不活性ガスを吹き込む(バブリング)することによっても得ることができる。
或いは、溶融下のガラス材料に、硝酸ナトリウムや硝酸カリウムなどのような熱分解して気体を発生する化合物を接触させる方法や、さらには、ガラス質材料の原料成分の混合物に、還元剤としてコークス等で酸素と結合して気体を発生するような材料を加えて加熱溶融することによっても多孔性ガラス質材料を得ることができる。
【0028】
本発明の多孔性ガラス質材料の形状およびサイズについては、特に限定はしないが、直径が3〜100mm(好ましくは5〜50mm)の球状もしくは破砕形状であるのが望ましい。
【0029】
以上のようにして得られた本発明の多孔質藻類増殖材は、粉末状、塊状、或いは上記したように球状、破砕形状等の種々の形状にして、単独または組み合わせて用いることができ、また、ガラスからのイオン溶出速度を大きくするために材料表面を凹凸に形成して表面積を増大させることができ、以下に具体例で説明するように、実海域ではもちろんのこと、人工培養施設においても植物プランクトンや海藻類の培養、増殖用として極めて好適である。
【0030】
例えば、ウニや、アワビ、サザエ等の貝類の種苗生産において、人工培養場に本発明の塊状或いは顆粒状にしたガラス質藻類増殖材を袋に入れ、適宜水中に浮遊させることにより、培養基質に、その稚ウニや稚貝餌料となる付着珪藻類(微細藻類)を効果的に増殖させ、稚ウニや稚貝類の成長を促進する。
【0031】
また、人工培養施設での二枚貝の餌である浮遊珪藻類や、魚類の餌である微細藻類(単細胞藻類)の大量培養には二価の鉄イオンが必要であり、二価の鉄イオンを長期に安定して溶出する本発明のガラス質藻類増殖材を使用することが極めて有効であり、さらに、単細胞藻類の中にはβ−カロチンを大量に含むとされ、大量生産されているが、この大量連続生産に本発明のガラス質藻類増殖用材料の使用が極めて効果的である。
【0032】
また、海藻類、特にワカメ、コンブの養殖では、胞子から幼体になる期間を水槽等の人工設備で育てることがあるが、水槽中に顆粒状の本発明ガラス質増殖用材料を浮遊させておくことにより、数mm程度までの幼体になるまでの成長がより促進できる。
【0033】
また、植物プランクトンの増殖には二価の鉄イオンが必要であるが、実海域では、N,P,Siの濃度は高いものの、Feが少なく植物プランクトンが増殖しない海域がある。従って、これらの海域に本発明の多孔質ガラス材料を用いることにより、浮遊性の植物プランクトンの増殖に効果がある。このガラス材料には鉄イオンの他にケイ素も含むので、浮遊珪藻類の増殖にも有効である。
【0034】
かかる本発明藻類増殖用材料の使用により、二価の鉄イオンを始めケイ素イオン等を、海水中に長期に亘って安定して溶出させるため、海藻、植物プランクトンを増殖し、その結果、これらを捕食する魚介類を集めて増殖、さらには二酸化炭素の固定に極めて有益となる。
【0035】
なお、藻類増殖用材料には、リン成分、マンガン成分を、P25 として1〜30重量%、MnOとして0.1〜5重量%含有することが好ましいといわれ、また、その他不純物としてAl23 などを含有するが本発明もこれらの成分を除外するものではない。
【0036】
【実施例】
(1)多孔性ガラス質材料の製造
フラッタリ珪砂100重量部、ソーダ灰13.9重量部、炭酸カリウム36.1重量部、ヘマタイト28.7重量部、コークス11.5重量部、そしてホウ酸312.3重量部をミキサー中で混合し、これを予め1400℃に予熱しておいた電気炉に入れ、30分間溶融し、その後、溶融物を鉄板上に流延させ、表1に示す組成のガラスシート状の藻類増殖材試料を得た。
【0037】
【表1】
Figure 0003999582
【0038】
上記ガラス質材料100重量部を粉砕した後、これに1〜5%重量部の炭化ケイ素を混合し、710℃にて、加熱時間を15分、30分、45分と変えて多孔性ガラス質材料を得た。得られた多孔性ガラス質材料の成分組成は、原料のガラス質材料と同一であり、比重は表2のようになった。
【0039】
【表2】
Figure 0003999582
【0040】
この試料のうち、発泡剤添加率1%で熱処理が15分の場合は、気泡が独立しているが、気泡の径は1mm未満と小さく、したがって、比重が大きくなる。一方、発泡剤添加率5%で熱処理時間が45分の場合は、気泡が5〜10mmと大きく、構造強度の面ではやや弱くなることが判明した。また、発泡剤添加率は、添加しすぎても気泡はそれほど増えず、実用上では1〜5%が適当であった。
【0041】
(2)本発明試料の調整
上記(1)で得た多孔性ガラス質材料のうち、発泡剤添加率3%で熱処理時間30分の場合は、1〜2mmの独立気泡が均等に分布し、構造強度も十分であり、さらに比重が0.28と小さいことから、十分な浮力を有する。
この多孔性ガラス質材料を粉砕して、粒径が2〜7mmの試料(多孔質試料1)、そして粒径が7〜13mmの試料(多孔質試料2)を調製した。これらの試料は、いずれも直径が1〜2mmの独立気泡を含むものであった。
【0042】
(3)比較試料の調製
前記実施例1で製造したガラス質材料を粉砕して、粒径が2〜7mmの試料(非多孔質試料1)、そして粒径が7〜13mmの試料(非多孔質試料2)を調製した。
【0043】
(4)二価鉄イオンの海水への溶出試験
海水200l(リットル)を採り、これに室温(約20℃)にて、各試料を0.5〜4g添加し、そのまま15分もしくは2時間放置した。放置終了後、海水を採取し、二価の鉄イオンの濃度を8−ヒドロキシキノリンを利用するシリカゲルカラム法により測定した。測定結果を下記の表3に示す。なお表7中の二価の鉄イオン(Fe2+)の溶出速度は、試料添加量を1gとした時の換算値である。
【0044】
(5)試験結果
【表3】
Figure 0003999582
【0045】
本発明の多孔性ガラス質材料は独立気泡を有し、小さい比重を有することから、海面に浮かび、浮遊性を示すが、それのみでなく、水に接触する面積が増大したので、同一のガラス質成分を有する非多孔性ガラス質材料よりも大きなFe2+溶出速度を示すことが分る。試料1では52倍、試料2では183倍の溶出速度となっている。
また、粒径が小さいほど溶出速度は大きい。したがって、粒径を調整することで所要の鉄イオンの溶出量および海域への投入量を決めることができる。
【0046】
植物プランクトンを効果的に増殖させるには、海域によって鉄を必要とする期間が異なる。南極海では3ケ月、赤道域では12ケ月、亜北極域では6ケ月とされている。輸送費や散布費用を低減するには、所要の溶出期間に合せる必要があり、本発明の多孔性ガラスの化学成分、気泡の径、粒径を調整することで、溶出期間を制御できる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明の藻類増殖材は、海中の有光層や陸上の培養設備に浮遊させて、海草類や植物プランクトンなどの藻類を増殖させる。特に、種苗生産における植物プランクトンの増殖の促進に利用できる。特に、比重の小さい多孔性ガラス質材料とするので海水面や海中有光層に浮遊しながら、二価の鉄イオンを長期間安定して溶出させることができ、さらに粒径の調整によって所要の溶出期間に制御することが可能である。
【0048】
また、このガラス質材料にはケイ素を含まし得ることから、植物プランクトンの珪藻類の増殖にも貢献する。植物プランクトンは食物連鎖の底辺をなすものであるため、増殖した植物プランクトンは、より高次の生物の餌となり、海域の生物生産量を増大することとなり、結果的には漁業生産を向上させることになる。
【0049】
さらに、これらの植物プランクトンの増殖は、光合成によって、海水中の二酸化炭素を藻体に固定し、一部は沈降して海底に沈み、炭素を深海に固定する。一部はより高次の生物の餌となり、その高次の生物の一部は人類の植物としてリサイクルされる好適な物質循環を促進することになる。
【0050】
かくして海中で不足する二酸化炭素は、化石燃料を使用して大気中に放出された二酸化炭素の一部を海中に取り込み、大気中の二酸化炭素が減少することで地球温暖化を阻止することが可能となる。

Claims (1)

  1. 重量%で、水中に二価の鉄イオンを溶出するFeOおよびFeの何れか1種または2種を1〜40%、SiOを15〜50%、NaO、及びKOの何れか1種または2種を1〜35%、Bを30〜70%含有するガラス質材料を、独立気泡を有する多孔状に形成し、比重を0.1〜1.0の範囲にしたことを特徴とする藻類増殖用材料。
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