JP3765552B2 - 高炉スラグを用いた水改質方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉スラグを用いて河川等の水路を流れる水質の改善を行い、淡水に棲息する魚類や貝類、また水草等の植物類の繁殖と生育に必要な良好な環境を与える水改質方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生活の高度化とともに河川に生活排水などの有機物流入量が増加しているが、ゆるやかに流れている河川において、川底や土手の接水部に沿って流れる水の流速が遅い場合、川底や土手側面に沈殿物が堆積しやすく、また一方水面もなめらかで水中への空気の巻き込みも少ないので、河川の自然浄化作用が弱い。これが長期間に亘れば景観を損ね、また、悪臭ガスなどを発生し、環境上大きな問題になっている。
【0003】
一方、従来より、人工的に魚介類を育成、増殖する方法としては、鋼材、石材、木材などを水中に沈めて人工魚礁とし、これにより魚礁空間を形成し、この空間内に海藻類や植物プランクトンを着生棲息させて藻場を形成する方法が広範に利用されている。
【0004】
しかしながら、淡水に棲息する魚介類を人工的に育成するためには、従来は水質環境、土質環境がなるべく自然に近く、かつ清浄であることが必須条件とされてきた。そのためごく最近までは、減少しつつある魚介類およびそれに食物連鎖上関わる野性生物の棲息環境を保護するためには、極力自然状態に近い環境に近づけ、人工的な構築物を排除するのが最良、かつ唯一の策であると考えられ、自然の棲息環境の保持、もしくは自然の棲息環境へ戻す方策が取られてきた。
また、河川内の景観も環境に配慮して、できる限り自然に近く、かつ、植物、生物に適したものが要望され、また、耐久性についても長期に亘って安定的なものが望まれるようになってきた。
【0005】
しかし、近年の研究においては、河川において、自然石よりも人工的なコンクリートなどの構造物に、貝類がより好んで付着する例が報告されており、また、都市内のコンクリート張りの河川において、貝類であるカワニナおよびそれを餌とするホタルの生息も確認されていることなどから、自然に近く清浄であることよりも、生育に必要な化学的成分が適量供給されるような環境であることが、魚介類をはじめとする野性生物の棲息環境を、保護育成する第一の条件であると考えられるようになってきている。
【0006】
この生育に必要な元素とは、貝類についていえば、甲殻の形成に必須な元素であるカルシウムイオン、また貝類の餌となる珪藻等の藻類の生育に必須なケイ酸イオン等である。これらの濃度は一般に表1に示す範囲が推奨されている。また、溶存酸素が90〜100%であることもこれらの生物の生育のために欠かせない条件である。
【0007】
【表1】
【0008】
従来、種々の目的で、この棲息条件を満たした上での水棲魚介および海藻類を人工的に繁殖させるための試みが行われてきた。
この様な例は数多くあるが、製鉄業での鉄鋼製造過程で発生する鉄鋼滓(スラグ)を利用した魚礁ブロックとしては、特開昭54−54892号、特開昭56−5032号、特開昭58−13334号等がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記公開特許は、何れも海水を対象としたもので、また魚礁そのものとその製造方法に特徴があり、淡水を対象としたものではない。
また、ゆるやかに流れている河川の川底または土手の接水部に沿って流れる水の流速が遅い場合は、層流に近い状態となるため水の乱れが少なく、沈殿物が堆積しやすく、また水面もなめらかで水中への空気の巻込みが少ないため、河川の自然浄化作用が少ない。さらにコンクリート等で固められた川底・土手面には魚介類や水草等の水中生物が好んで棲息する空間が少ないため、生物的浄化作用も減少する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題点を有利に解決するためになされたものであり、その手段とするところは下記のとおりである。
(1)徐冷スラグ、大気中で塊状化したものを破砕した水砕等の高炉スラグを水路において流水に浸漬し、流水のCaイオン:5.5〜30mg/リットル、ケイ酸イオン:25〜125mg/リットル、かつpH=6.0〜8.5になるように、前記高炉スラグとの接触面積を調整して、淡水棲魚介類、魚介類の餌となる珪藻類の育成に適した棲息環境とすることを特徴とする高炉スラグを用いた水改質方法。
(2)前記の接触面積の調整を、前記高炉スラグの粒度、高炉スラグの表面積のいずれかまたは両方で行うことを特徴とする(1)に記載の高炉スラグを用いた水改質方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
一般に増殖漁業等に使用されている魚礁の素材としての化学成分を表2に高炉スラグと共に示した。表2から明らかなように、高炉スラグは10〜50%のケイ酸分、20〜80%の酸化カルシウム等を含み、ケイ酸イオン、カルシウムイオンの供給に適しており、逆に硫黄等の有害物質は少ない。また溶製時の副産物であるため安価に入手できる利点がある。
なお、高炉スラグは徐冷であっても水砕としても成分的に変わりはない。
【0012】
【表2】
【0013】
本発明者らはこの点に着目し、高炉スラグの有効活用を図るため種々の研究開発を重ねた結果、本発明を完成したもので、単に高炉スラグを用いればよいというものではなく、そこには使用される水路(水量)に適したスラグ粒度および、水と接触する高炉スラグの面積の適正化が大きな要素を占るとの知見を得たものである。
【0014】
本発明で用いる高炉スラグは粒径として、1〜500mmのものを20kg採用することにより、スラグを徐々に溶解させ、カルシウムイオン、ケイ酸イオン等の有効成分を継続的に溶出させることができ、一定の流出水(5リットル/min)のときに、表3に示すとおり水路中の上記成分量を適量に保ち、かつpHを魚介類の生育に適した6.0〜8.5の範囲内に収めることができることが判った。
【0015】
【表3】
【0016】
また、高炉スラグの表面接触面積はスラグ形状によって大きく変わり、球状に近い程、外面との接触面積は少く、表面に多くの凹凸を有する形状であれば逆に接触面積は広くなる。したがって、スラグ形状によってはスラグ粒度のみではなく、形状に応じ、設置するスラグ量の調整を図る必要がある。
【0017】
また本発明によれば、高炉スラグに直射日光が適度に当たるので、水温が適度に上昇し、水草、藻等の水中植物の生育に良い環境を形成する。また、高炉スラグの下方に日陰が適度に形成されるので、水棲生物の休息等に良い環境を形成する。さらに、前記高炉スラグ設置箇所は水の循環が非常に良いので、酸素と栄養に富んだ環境を形成できる。
【0018】
【実施例】
1例として長さ約15m、幅約6mの河川(流路幅1m)において実施した俯瞰図を図1に示す。
また図2は本実施例の平面図である。水路3中の一部に本発明による高炉スラグ1を設置する。流水は堰2により乱流となり溶存酸素をほぼ飽和状態となった後、スラグ1に触れてその有効成分を溶出する。このような状況が繰り返されるように構成した。
【0019】
すなわち、図2に示したように使用するスラグをほぼ球形の高炉スラグ1a(径1〜500mm)を20kg、表面凹凸形状を有する高炉スラグ1b(平均径1〜100mm)を20kg、大気中で塊状化したものを破砕した水砕1c(径1〜100mm)を20kgの3種をそれぞれ投入設置した。
この結果、毎分10〜20リットル程度の流量においては、前記表3に示したと同様の流入水のpHが6.7のとき、流出水のpHは6.0〜8.5の範囲内に収っており、成分量を目標の領域に保つことができた。
【0020】
【表4】
【0021】
また、表4に流入水および流出水の上記2成分の分析結果も併せて示した。これからみても水中のカルシウム、ケイ酸のイオン濃度が確実に上昇していることがわかる。
この通路に通水すると10日程度で珪藻類が発生した。また、カワニナ等の貝類を放流したところ順調に生育した。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば適切な粒度、または、適切な接触面積をもつ高炉スラグを流水路の適宜箇所に設置することにより、高炉スラグのもつ有効成分により水路中のpHを調整するとともに、野性生物の棲息環境を良好に保ち、河川の汚濁防止に役立ち、安価なコストでかつ、安定供給が可能であり、高炉スラグの有効活用が図れる産業上有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を上面から俯瞰して見た1実施例を示す図
【図2】本発明実施例の一部を示す平面図
【符号の説明】
1 高炉スラグ
2 酸素飽和用の堰
3 水路
Claims (2)
- 徐冷スラグ、大気中で塊状化したものを破砕した水砕等の高炉スラグを水路において流水に浸漬し、流水のCaイオン:5.5〜30mg/リットル、ケイ酸イオン:25〜125mg/リットル、かつpH=6.0〜8.5になるように、前記高炉スラグとの接触面積を調整して、淡水棲魚介類、魚介類の餌となる珪藻類の育成に適した棲息環境とすることを特徴とする高炉スラグを用いた水改質方法。
- 前記の接触面積の調整を、前記高炉スラグの粒度、高炉スラグの表面積のいずれかまたは両方で行うことを特徴とする請求項1に記載の高炉スラグを用いた水改質方法。
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JP14607797A JP3765552B2 (ja) | 1997-05-21 | 1997-05-21 | 高炉スラグを用いた水改質方法 |
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JP14607797A JP3765552B2 (ja) | 1997-05-21 | 1997-05-21 | 高炉スラグを用いた水改質方法 |
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JP14607797A Expired - Fee Related JP3765552B2 (ja) | 1997-05-21 | 1997-05-21 | 高炉スラグを用いた水改質方法 |
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1997
- 1997-05-21 JP JP14607797A patent/JP3765552B2/ja not_active Expired - Fee Related
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