JP4751749B2 - モータ - Google Patents

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Description

本発明はハードディスク、CD、CD−ROM、又はDVDといったディスクをドライブするディスク駆動装置をはじめ、各種装置の駆動源として用いられるモータに関する。
近年、情報記録媒体としてのディスクの回転駆動用として、動圧型の流体軸受を備えたスピンドルモータが多用されている。
係るモータは、例えばステータを構成するモータベースに接着剤にて筒状の軸受本体(スリーブ)を固着し、その軸受本体とロータ軸との間に潤滑油を充填した構成であり、その利点として荷重負荷能力が大きく、高速性能に優れることなどが挙げられる。
しかし、その種のモータをディスクの回転駆動に用いた場合、ディスクは高速回転されるため、当該ディスクが周辺の空気と摩擦により帯電して情報の読み取り/書き込みを行うヘッドとの間で放電を起こし、これによってヘッドが破壊されて情報の読み取りや書き込みを行えなくなることがあった。
ここに、ディスクに帯電した静電気が軸受本体からモータベース側に放出される構成であれば上記のような問題は発生しないが、一般に軸受本体とモータベースは導電性を有しないアクリル系接着剤などで固着されるので、ディスクを保持するロータハブと軸受本体との間は電気的に導通されるものの、軸受本体とモータベースとは電気的に絶縁状態となっていることが多く、このため上記のような問題が頻発するという問題があった。
尚、上記のような問題を解決するため、モータベースに対して導電性を有する接着剤で軸受本体を固着することも行われているが、導電性接着剤を用いるものでは接着面の酸化状態などの条件によって接着状態が不安定となるため、モータベースと軸受本体との間における電気的導通状態を安定的に確保することは困難であった。
そこで、モータベースに軸受本体を接着剤にて固着した後、その両者の接着部の端部にピンを挿入し、これによりモータベースと軸受本体の接着部に塑性変形を生じせしめて両者を電気的に導通させることが行われている(例えば、特許文献1)。
又、モータベースの円筒部内周面に環状の凸部を設け、その環状凸部に対して軸受本体を圧入するようにしたモータも知られる(例えば、特許文献2)。
特開平9−126240号公報
特開2004−180448号公報
しかしながら、特許文献1のように、モータベースに接着剤を用いて軸受本体(スリーブ)を固着した後、モータベースと軸受本体との接着部にピンを挿入して塑性変形を生じさせる方法では、モータベースと軸受本体との接着部のみならず、軸受本体の内径も変形させてロータ軸の回転性能を悪化させてしまう虞があり、最悪の場合には軸受本体内に封入した潤滑油が外部に漏れ出す可能性がある。
一方、特許文献2では、環状凸部により軸受本体の外周の一部分が周方向に保持されるだけなので、モータベースに対して軸受本体が傾いた状態に取り付けられてしまう虞がある。
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は軸受本体とモータベースを電気的導通状態に保って良好に結合できるようにすることにある。
本発明は上記の目的を達成するため、
ロータ軸5を回転自在に支持してラジアル荷重を受ける筒状の軸受本体4と、筒状部1Aを有するモータベース1とを備え、前記軸受本体4が前記筒状部1Aに嵌合すると共に接着剤により固着されて成るモータにおいて、前記軸受本体4および前記モータベース1は導電性を有し、前記軸受本体4の外周面および前記筒状部1Aの内周面の少なくとも一方に、前記ロータ軸5の軸方向に沿って延在する凸条11を有し、その凸条11を介して前記軸受本体4とモータベース1とが接触して電気的に導通される構成にして成ることを特徴とするモータを提供する。
又、凸条11に隣接して凹溝10が設けられていることを特徴とする。
本発明に係るモータによれば、軸受本体の外周面および筒状部の内周面の少なくとも一方に、ロータ軸の軸方向に沿って延在する凸条が形成され、その凸条を介して軸受本体とモータベースが電気的に導通されることから、軸受本体をモータベースに対して傾きなく高い同軸精度で固着しながら、その両者をロータ軸に沿う凸条により確実に導電接触せしめてディスクとヘッドとの間における放電現象を効果的に防止することができる。
又、凸条に隣接して凹溝が設けられている。その結果、凸条の少なくとも一部が凹溝の開口幅を狭めるように塑性変形するので、モータベースの筒状部と軸受本体との嵌合により軸受本体にその内径を縮小させるような圧力が発生するのを防止できる。このため、ロータ軸の回転性能が損なわれず、高品質のモータを提供することが可能となる。
以下、図面に基づいて本発明を詳しく説明する。図1は本発明に係るモータ(電動機)を示した縦断面図である。尚、本例において、係るモータは、ハードディスクなどを回転させるディスク駆動用スピンドルモータとして図示せぬディスク駆動装置内に組み込まれる。
図1において、1はステータを構成するモータベース(以下モータベース1という)である。このモータベース1はアルミニウムなどの導電性材料から形成されるもので、その中央部分には円筒状の筒状部1Aが一体に形成される。
そして、モータベース1の筒状部1Aの外周にはステータコア2が固着され、そのステータコア2にステータコイル3が巻回される構成とされる。
4はモータベースの筒状部1Aに嵌め込まれる円筒状の軸受本体(スリーブ)であり、この軸受本体4は、筒状部1Aとの間に塗工される接着剤によりモータベース1に固着される。特に、軸受本体4は、動圧型の流体軸受を構成するラジアル軸受であり、その内周部にはロータ軸5が挿入され、ロータ軸5との間には潤滑油で満たされる動圧発生溝4Aが形成される。
そして、係る軸受本体4は、ロータ軸5を回転自在に支持して該ロータ軸との間に介在する潤滑油を介しラジアル荷重を受けることとなる。尚、軸受本体4は真鍮母材に無電解ニッケル鍍金などを施したり、ステンレス材にパッシベーションを施したりして成る導電性部材であり、モータベース1とは導電接続されて電気的に導通状態とされるが、係る構成については後述する。
又、軸受本体4の一端開口部分はシール板6により密封されると共に、ロータ軸5の一端にはシール板6に対向してフランジ部5Aが形成される。そして、シール板6にはフランジ部5Aやロータ軸5の端面に対向する位置でスラスト荷重を受ける図示せぬ動圧発生溝が形成され、軸受本体4にもシール板6に対向する位置で図示せぬ動圧発生溝が形成される。
一方、ロータ軸5の先端には、ディスクDを保持するためのロータハブ7が圧入状態で固着され、そのロータハブ7にはステータコア2に対向してマグネット8が固着される構成としてある。尚、ロータ軸5やロータハブ7も導電性を有するものであり、それらは潤滑油を介して軸受本体4と電気的に導通した状態となっている。
ここに、ステータコイル3に駆動電流を流してロータハブ7を回転させると、そのロータハブ7に保持されたディスクDが周辺の空気との摩擦により帯電するが、本発明に係るモータによれば、ディスクDの表面に帯電した静電気がヘッド9との間で放電せず、軸受本体4からモータベース1を通じてディスク駆動装置の筐体などに放出されるようになっている。
図2はモータベースと軸受本体の斜視分解図であり、図3には本発明の特徴的部分を誇張して示した模式図を示す。
これらの図で明らかなように、本例ではモータベース1の筒状部1Aの内周面に4つの凹溝10が90度間隔に形成されると共に、その各凹溝10の両側に凸条11が形成される。その凹溝10および凸条11はロータ軸5の軸方向に沿って形成されるもので、凹溝10の深さは0.3〜0.7mm程度、凹溝10の幅は約0.2〜0.7mm程度とされる一方、凸条11の高さは0.1〜0.2mm程度、凸条11の幅は0.2〜0.3mm程度とされる。
そして、本例によれば、図4に示すように、モータベース1の筒状部1Aに軸受本体4を嵌め込んだとき、凸条11の頂部が軸受本体4の外周面に接触し、これによってモータベース1と軸受本体4が電気的に導通されるようになっている。尚、筒状部1Aと軸受本体4との間には15μ程度の隙間が形成され、その隙間には従来と同様に接着剤12が充填され、その接着剤12により軸受本体4がモータベース1に対して固着されるようになっている。因みに、その接着剤12は導電性を有するものでも導電性を有しないものでもよいが、高い接着強度を得るためには非導電性の接着剤を用いることが好ましい。
一方、凹溝10と凸条11は様々な方法により形成することができるが、本例ではモータベース1よりも硬質の先端が尖った金属棒等から成る切削工具を用いて筒状部1Aの内周面を引掻くことにより凹溝10と凸条11を同時に形成している。そして、そのような方法により形成される凸条11は高可塑性を有するために筒状部1Aに対する軸受本体4の嵌め込みを負荷なく行え、しかもモータベース1の筒状部1Aと軸受本体4の嵌合時には凸条11が塑性流動を生じ、その少なくとも一部が凹溝10の開口幅を狭めるように塑性変形して凹溝10内に押し戻されるようになるため、凸条11の初期高さが大きい場合でも、軸受本体4にその内径を縮小させるような圧力が発生するのを防止することができる。但し、凹溝10を省略して凸条11のみを上記とは別の方法で形成するようにしてもよい。
尚、凸条11の長さに制限はないが、当該凸条11は軸受本体4との接触面積を大きくする点で筒状部1Aと軸受本体4との嵌合長の半分以上の長さを有していることが好ましい。又、モータベース1の筒状部1Aに対する軸受本体4の同軸度を上げる点で、凸条11は少なくとも3つを筒状部1Aの周方向に略等間隔に形成することが好ましい。
以上、本発明の好適な一例を説明したが、凸条11はモータベース1の筒状部1Aの内周面に限らず、軸受本体4の外周面に形成してもよいし、筒状部1Aの内周面と軸受本体4の外周面との双方に形成してもよい。
図5は、軸受本体4の外周面に凸条11を形成した例である。尚、本例でも上記と同様の方法によりロータ軸5の軸方向に沿って軸受本体4の外周4箇所に凹溝10が形成されると共に、その各凹溝10の両側に凸条11が形成されるが、凹溝10を省略して少なくとも3つの凸条11をロータ軸5の軸方向に沿って軸受本体4の外周面に形成するようにしてもよい。
そして、軸受本体4の外周面に凸条11を形成した場合でも、図6のように軸受本体4をモータベース1の筒状部1Aに嵌め込んで接着剤12にて固着したときに、筒状部1Aの内周面に凸条11の頂部を接触せしめてモータベース1と軸受本体4を電気的に導通させ、これによりディスクの表面に帯電した静電気をモータベース1側に放出することができる。
尚、軸受本体4は動圧型流体軸受を構成するものに限らず、その他のすべり軸受、あるいは転がり軸受でもよい。又、係るモータはディスク駆動用のみならず、各種装置の駆動源として利用可能であること勿論である。
本発明に係るモータの構成例を示す縦断面図 モータベースと軸受本体の斜視分解図 モータベースに凸条を形成した例を示す模式図 図3のモータベースに軸受本体を固着した状態を示す説明図 軸受本体に凸条を形成した例を示す模式図 図5の軸受本体をモータベースに固着した状態を示す説明図
符号の説明
モータベース
1A 筒状部
2 ステータコア
3 ステータコイル
4 軸受本体
5 ロータ軸
7 ロータハブ
8 マグネット
9 ヘッド
10 凹溝
11 凸条

Claims (2)

  1. ロータ軸を回転自在に支持してラジアル荷重を受ける筒状の軸受本体と、筒状部を有するモータベースとを備え、前記軸受本体が前記筒状部に嵌合すると共に接着剤により固着されて成るモータにおいて、
    前記軸受本体および前記モータベースは導電性を有し、前記軸受本体の外周面および前記筒状部の内周面の少なくとも一方に、前記ロータ軸の軸方向に沿って延在する凸条を有し、その凸条を介して前記軸受本体とモータベースとが接触して電気的に導通される構成にして成ることを特徴とするモータ。
  2. 前記凸条に隣接して凹溝が設けられていることを特徴とする請求項1記載のモータ。
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