JP4751137B2 - 線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法 - Google Patents

線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4751137B2
JP4751137B2 JP2005245784A JP2005245784A JP4751137B2 JP 4751137 B2 JP4751137 B2 JP 4751137B2 JP 2005245784 A JP2005245784 A JP 2005245784A JP 2005245784 A JP2005245784 A JP 2005245784A JP 4751137 B2 JP4751137 B2 JP 4751137B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
rolling
steel
yield stress
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005245784A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007056348A (ja
Inventor
俊永 長谷川
正 糟谷
茂 大北
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2005245784A priority Critical patent/JP4751137B2/ja
Publication of JP2007056348A publication Critical patent/JP2007056348A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4751137B2 publication Critical patent/JP4751137B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

本発明は、造船、建築、橋梁、海洋構造物等で用いられる鋼板の線状加熱による変形・成形作業において、変形量が大きく、効率的に線状加熱による変形・成形が行える鋼板の製造方法に関するものである。
船体外板等の複雑な曲面に厚鋼板を加工・成形する方法として、あるいは、溶接等によって変形した継手部の形状修正に、ガスバーナーで線状加熱して熱塑性加工を生じさせる、所謂、線状加熱加工法がある。
線状加熱によって効率的にあるいは精度良く鋼板の曲げ加工を行う方法としては、従来は、加熱冷却の条件や方法に工夫を加えるものが主であった。たとえば、2枚の鋼板1、2を線状加熱して2枚の鋼板1、2が鏡像対称な形状となるように曲げ加工する際に、2枚の鋼板1、2を線状加熱できる程度の間隔をおいて平行におき、2枚の鋼板1、2間に反対方向を向いた2つの加工を有するガスバーナを、その加工及び鋼板が直交するように配置し、2枚の鋼板を同時に線状加熱する鋼板の線状加熱方法がある(例えば特許文献1、参照)。また、加熱冷却の条件および方法によらず、線状加熱による効率的な曲げ加工が可能な鋼板の開発も最近行われており、Nb、Moを含有し、適切な熱間圧延条件により鋼板を製造することにより、溶接歪を低減すると同時に線状加熱において変形が容易な鋼板が提案されている。即ち、主要成分として、質量%で、C:0.02〜0.25%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.30〜1.5%、Al:0.003〜0.10%、Nb:0.005〜0.25%、Mo:0.05〜0.25%を含有する鋼塊あるいは鋼片を1100℃以上の温度に加熱して圧延を開始し、850℃以上の温度で圧延を終了し、その後必要に応じて1〜40℃/s以下の冷速で200〜500℃まで冷却することを特徴とする溶接歪が小さく、かつ線状加熱による曲げ加工性の良い鋼板の製造方法がある(例えば特許文献2、参照)。
しかしながら、上記鋼板では、線状加熱条件によらず、安定して所定量の曲げ変形加工を施すことは困難であり、線状加熱条件の制約が生じ、加工効率向上を図る点で技術的課題があった。
つまり、従来の線形加熱を用いた鋼板の曲げ加工方法では、線状加熱、冷却条件を制御する方法が主であり、線状加熱温度や水冷の有無等の加熱、冷却条件に依存せずに、曲げ変形量が大きく、少ない線状加熱、冷却工程で所定の変形量を達成できる、鋼板は今までに開発されていない。
特開2000−254733号公報 特開平7−138715号公報
本発明は、溶接構造用鋼板としての機械的特性とともに、線状加熱の条件に大きく依存せず、線状加熱における曲げ変形量が大きく、少ない線状加熱、冷却工程で効率的に線状加熱による変形・成形が行える鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、線状加熱における変形量と鋼材特性、鋼組織との関係を詳細に研究した結果、鋼板をバーナー加熱により線状加熱したときの鋼板表面における通常のピーク温度は900℃程度であり、この通常加熱条件において、線状加熱における鋼板の曲げ変形量は、鋼板の室温の降伏応力に対する500〜600℃における降伏応力比と相関があり、この降伏応力比は所定以下である鋼板の曲げ変形量が大きく、このような特性を確保するためには、鋼板のミクロ組織中に加工あるいは変態歪により転位が導入されたフェライト相を所定量以上含有させる必要があることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいて発明するに至ったものであり、その要旨は下記の通りである。
)質量%で、C:0.02〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.1〜2%、Al:0.002〜0.1%、N:0.001〜0.01%を含有し、P:0.03%以下、S:0.01%以下に制限し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼片をAC3変態点以上、1300℃以下の温度に加熱し、Ar3変態点以上の温度域で累積圧下率が50%以上のオーステナイト域圧延を行った後、フェライト分率が20%以上となる温度域で累積圧下率が10〜75%の二相域圧延を行い、圧延を終了し、加速冷却することなしに冷却することを特徴とする線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法。
)前記二相域圧延における各圧延パスの圧下率が15%以下であることを特徴とする上記()に記載の線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法。
)さらに、450℃〜600℃の温度域で焼戻しを行うことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法。
)前記鋼片中に、さらに、質量%で、Cr:0.01〜1%、Ni:0.01〜3%、Cu:0.01〜1.5%、および、B:0.0003〜0.005%の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記()〜()のいずれかに記載の線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法。
)前記鋼片中に、さらに、質量%で、
Mo:0.01〜0.1%、
W :0.01〜0.2%、
Nb:0.002〜0.01%、
V :0.002〜0.1%、
Ti:0.002〜0.02%、
Ta:0.002〜0.5%、および、
Zr:0.002〜0.1%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法。
)前記鋼片中に、さらに、質量%で、Mg:0.0005〜0.01%、Ca:0.0005〜0.01%、および、REM:0.0005〜0.05%の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記()〜()のいずれかに記載の線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法。
本発明によれば、溶接構造用鋼板としての機械的特性とともに、線状加熱の条件に大きく依存せず、線状加熱における曲げ変形量が大きく、少ない線状加熱、冷却工程で効率的に線状加熱による変形・成形が行える鋼板及びその製造方法を提供することが可能となり、本発明の産業上の利用による貢献は多大なものである。
一般に船舶用溶接構造体等で用いられる線状加熱変形による成形加工は、概略以下のように行われる。すなわち、通常、ガスバーナー等の加熱源を用いて鋼板の表面または裏面の所定位置をピーク温度で900℃程度まで局所的に加熱し、加熱部分が熱膨張し、その周囲の非加熱部分からの拘束により塑性変形することで鋼板が変形する。この際、通常作業効率を高めるために、加熱・変形後、該領域をホース等により水をかけて急冷する場合が多い。
上記線状加熱を用いた鋼板の曲げ変形加工は加熱時の塑性変形を利用することから、室温から加熱温度までの鋼板の強度、特に降伏応力(降伏点または0.2%耐力)が曲げ変形挙動および変形量に大きな影響を及ぼす。また、線状加熱を用いた鋼板の曲げ変形加工は、船舶などの大型溶接構造物の製造に適用され、対象鋼板の基本特性として、溶接構造用鋼としての強度と靭性を満足することが要求される。
本発明者らは先ず、溶接構造用鋼としての強度・靭性を満足できる様々な化学組成を有する鋼板を様々な手段により製造し、種々の温度での降伏温度と線状加熱特性との関係を研究した。すなわち、図1に示すように、幅500mm、長さ1000mmに切断した板厚20mmの鋼板1を表1に示す条件で、幅中央を長さ方向にガスバーナー2にて加熱し、引き続きホースで水を散布して水冷3した。該作業を同一位置に対して3回繰り返して行い、該線状加熱後の鋼板4について、図2に定義される跳ね上がり量(h)5で曲げ変形量を評価した。
Figure 0004751137
各鋼板の室温降伏応力に対する500℃及び600℃の降伏応力比(500℃及び600℃の降伏応力/室温降伏応力)と跳ね上がり量(h)との関係を図3に示す。
なお、使用した鋼板の室温降伏強度は341〜617MPaであった。
図3から、鋼板の室温降伏応力に対する500及び600℃の降伏応力比が低くなるほど、鋼板の線状加熱による跳ね上がり量(h)は大きくなり、線状加熱による鋼板の効率的な変形・成形が可能となる。
従来の線状加熱による曲げ変形が容易な鋼板として、鋼板の局所高温域の強度低下を抑制するためにNb、Moを添加させた鋼板(例えば特許文献2、参照)が提案されている。しかし、この鋼板の室温降伏応力に対する500℃〜600℃の降伏応力比は図3に示される本発明範囲に比べて高くなるため、鋼板の線状加熱による跳ね上がり量(h)を十分に大きくすることは困難である。
本発明者らの検討によれば、実際の鋼板の線状加熱において、局所的に加熱される鋼板表面のピーク温度は通常900℃以下であり、また、水冷によりその温度はさらに低下する傾向にある。また、鋼板の線状加熱による跳ね上がり量(h)を十分に大きくするためには、線状加熱時に鋼板表面の通常900℃以下のピーク温度に比べて比較的低温側の500〜600℃における降伏応力を当該鋼板の室温降伏応力に比べて低下させることが好ましいことを確認した。本発明は、この知見に基づき、線状加熱による鋼板の曲げ変形量を大きくするために、鋼板の500〜600℃での降伏応力の低下量が室温降伏応力に対して大きくなるように鋼板を設計することを技術思想とするものである。
線状加熱による曲げ変形量の大きな鋼板は、図3に示す室温降伏応力に対する500℃ないし600℃の降伏応力比の本発明範囲内の関係を満足する鋼板であれば、基本的には鋼板中の成分に依存せず、線状加熱の変形量を大きく制御することが可能となる。
本発明においては、図3に示す実験等の検討結果を踏まえて、船舶用溶接構造体に使用される従来の鋼板に比べて線状加熱による曲げ変形加工量が十分に高く、線状加熱による鋼板の曲げ加工の作業効率が向上できるための鋼板として、線形加熱後の鋼板の跳ね上がり量(h)が4mm以上となる、鋼板の室温の降伏応力に対する500℃における降伏応力の比が0.75以下で、かつ室温の降伏応力に対する600℃における降伏応力の比が0.5以下を満足する鋼板とした。
また、本発明では、図3に示すように、鋼板の室温の降伏応力に対する500℃における降伏応力の比を0.6以下で、かつ鋼板の室温の降伏応力に対する600℃における降伏応力の比を0.4以下とすれば、さらに、線形加熱後の鋼板の跳ね上がり量(h)が8mm以上と極めて大きくすることができ、線状加熱による曲げ変形加工量を高くし、線状加熱による鋼板の曲げ加工の作業効率が向上できるため、より好ましい。
なお、通常の線状加熱時の鋼板表面ピーク温度は900℃以下であり、鋼板の室温の降伏応力に対する500℃および600℃における降伏応力の比の下限は特に限定する必要はないが、鋼板表面ピーク温度が900℃を超えるような線状加熱条件の場合には、鋼板の室温の降伏応力に対する600℃での降伏応力の比を1/3以上とすることが好ましい。
また、本発明では、鋼板の室温における降伏応力が200MPa未満の場合でも、線状加熱による鋼板の曲げ加工量は十分に向上するが、構造物用鋼板として使用はまれであり、鋼板の室温の降伏応力に対する500℃および600℃における降伏応力の比が、本発明で規定する好ましい範囲から外れるため、好ましくない。
また、室温における降伏応力が500MPaを超える鋼板では、Mo、Nb等の含有が不可決となって、鋼板の室温の降伏応力に対する500℃および600℃における降伏応力の比が本発明の好ましい範囲から外れるため、好ましくない。
このため、本発明では、鋼板の室温での降伏応力を200〜500MPaとした。また、鋼板の室温での降伏応力が200〜500MPaを満足するする鋼板は、溶接構造用鋼として好ましい。
本発明では、上記のように鋼板の500〜600℃での降伏応力が、室温の降伏応力に対して十分に低い特性を有する鋼板であることを特徴とする。このような特性を有する鋼板は、基本的にMo、Nbなどの高温強度高める元素を用いずまたはその量を抑制し、金属組織を制御することが必要となる。鋼板の強化因子としては、細粒強化、固溶強化、析出強化、転位強化、等が知られている。本発明者らは、室温での降伏応力に対する寄与に比べて、500〜600℃における降伏応力の寄与が小さくなる強化因子として、転位強化が最も好ましいことを確認し、上記特性有する鋼板を、そのミクロ組織中に、加工あるいは変態歪により転位が導入されたフェライト相が20〜95%含有させることにより達成した。
このようなフェライトマトリクスに加工転位を導入することにより強化を図った鋼板の室温での降伏応力は転位強化により上昇するが、500〜600℃での比較的低温では、その転位は消滅、再配列して、強化への寄与が顕著に低減するため、室温での降伏応力に対する500〜600℃での降伏応力の比を有効に低減することが可能となる。
鋼板のミクロ組織中に含有する、加工あるいは変態歪により転位が導入されたフェライト相は、鋼板の室温での降伏応力を確保すると同時に、鋼板の500〜600℃での降伏応力を低下させる。鋼板中の加工あるいは変態歪により転位が導入されたフェライトの割合が20%未満であると鋼板の室温の降伏応力に対する500℃および600℃における降伏応力の低下が十分でなく、95%超であると、鋼板の室温での降伏応力の確保が困難になる。したがって、本発明において、鋼板のミクロ組織中に加工あるいは変態歪により転位が導入されたフェライト相の含有量は20〜95%とした。
本発明で、鋼板組織中のフェライト相以外の第二相は、特に限定する必要はなく、例えば、パーライト、ベイナイト、マルテンサイト、炭窒化物などの析出物等が挙げられる。
但し、鋼板組織中のベイナトおよびマルテンサイトは、鋼板の室温の降伏応力に対する500℃および600℃における降伏応力の低下を抑制するため、鋼板組織中に含有するベイナイトおよびマルテンサイトの合計割合を70%未満とするのが好ましい。
なお、上述の通り、鋼板表面ピーク温度が通常より高い900℃を超えるような線状加熱条件の場合には、鋼板の室温の降伏応力に対する600℃の降伏応力比を1/3以上とするのが好ましく、このために鋼板組織中に含有するベイナイトおよびマルテンサイトの合計割合は5〜50%とすることがより好ましい。
次に、本発明の上記特性および組織を有する溶接構造用鋼板を工業的に製造するための方法を以下に説明する。
本発明のミクロ組織中に、加工あるいは変態歪により転位が導入されたフェライト相が20〜95%含有させた、転位強化を主体とした鋼板の製造方法は、以下のように製造する。
本発明の鋼板のフェライトマトリクスへの加工転位の導入は、鋼片を加熱し、オーステナイト域で圧延した後、所定フェライト分率となる二相域(フェライト/オーステナイト共存域)〜フェライト温度域で、所定累積圧下率での圧延をすることにより達成できる。
具体的には、本発明の鋼板は、以下の熱間圧延方法により製造できる。
(a)鋼片をAC3変態点以上、1300℃以下の温度に加熱し、Ar3変態点以上の温度域で累積圧下率が50%以上のオーステナイト域圧延を行った後、フェライト分率が20%以上となる温度域で累積圧下率が10〜75%の二相域圧延を行う。
(b)上記二相域圧延における各圧延パスの圧下率を15%以下とする。
(c)上記圧延終了後、400℃以下の温度域までを、加速冷却することなしに冷却する。
(d)上記冷却後、さらに、450〜600℃の温度域で焼戻しを行う。
以上の(a)〜(d)の製造方法の条件について、以下に詳細に説明する。
上記(a)において、鋼片の加熱温度をAC3変態点以上、1300℃以下の温度にする理由は、鋼材組織を均一にオーステナイト化するためである。加熱温度がAC3変態点未満であると100%オーステナイトにならないため、鋼板の最終組織に不均一が生じ、鋼板材質のばらつきが顕著になるため好ましくない。一方、加熱温度が1300℃超であると、加熱オーステナイト粒径が過大となって、その後、熱間圧延でも十分な組織微細化が困難となり、鋼板の靭性が劣化する可能性がある。このため、本発明においては、鋼片の加熱温度をAC3変態点以上、1300℃以下とする。
なお、鋳造された高温状態の鋼片をそのまま直接圧延しても、また、鋳造された鋼片を室温まで冷却する途中で加熱炉で加熱しても、上記の室温まで冷却した鋼片を加熱した場合と上記効果は同じである。
また、上記(a)におけるオーステナイト域圧延は、鋼板の材質、特に靭性確保のために、フェライト変態前のオーステナイト粒径を均一に微細化し、フェライト変態組織の均一微細化を図るために行われる。
オーステナイト域圧延の条件は、Ar3変態点以上の温度域で累積圧下率が50%以上で行う必要がある。
Ar3変態点以上の温度域で圧延を行う理由は、後続の二相域圧延の作用と区別され、オーステナイト域で圧延を完了するためである。オーステナイト域圧延は、後続の二相域圧延の温度及び累積圧下率の条件に対して管理されていれば、後続の二相域圧延との間に時間的な間隔をおく必要性はない。
また、上記温度域での累積圧下率を50%以上とした理由は、この累積圧下率が50%未満であると、圧延温度域によっては、オーステナイトの細粒化が十分にできなかったり、顕著な混粒組織となる恐れがあるためである。特に鋼板の靭性向上を考慮する場合には、オーステナイトの再結晶域で累積圧下率50%以上、未再結晶域で累積圧下率30%以上の圧延を行うことがより好ましい。
上記(a)における二相域圧延は、鋼板のフェライト組織に転位を適正量導入して、転位強化により鋼板の室温での降伏応力を高め、500〜600℃での鋼板の降伏応力は、前記転位を消滅、再配列することにより容易に軟化し、低下させるための重要な工程である。
二相域圧延の温度域は、フェライト分率が過小な温度域で圧延すると圧延終了後の冷却過程で変態するフェライトへの転位導入が不十分となるため、フェライト分率が20%以上となる温度域で圧延する。フェライト分率が20%以上となる温度域であれば、圧延中のフェライト変態も確実に期待でき、その組織の大半に加工転位を導入することができる。
二相域圧延における累積圧下率は、鋼板のフェライト組織に加工転位を導入し、鋼板の室温での降伏応力を維持し、500〜600℃での鋼板の降伏応力の低下を確実とするために、10%以上とする必要がある。一方、二相域圧延における累積圧下率が75%超になると、加工転位が導入されたフェライトが再結晶して、逆に転位密度が低下し、500〜600℃での鋼板の降伏応力の十分な低下が望めなくなり、また、材質の異方性が大きくなって好ましくない。
なお、本発明において、上記二相域圧延は、厳密には二相域〜フェライト域圧延を包含するが、便宜上、フェライト域圧延も含めて二相域圧延と称している。つまり、本発明の鋼板の効果はフェライトへの転位導入によって図られるものであり、変態が終了したフェライト域での圧延を行っても同じ効果が得られるものである。
また、上記二相域圧延の生産性を高めたい場合には、二相域圧延の圧延開始温度を650℃超、700℃以下とするのが好ましい。なお、このような比較的高温の二相域温度域とする場合、再結晶が生じ、むしろ転位密度の低下を招くか、或いは、セル組織を形成しやすくなり、500〜600℃での鋼板の降伏応力の低下が不十分となる恐れが生じるため、二相域圧延の累積圧下率の上限を30%に限定し、10〜30%とするのが好ましい。
また、上記二相域圧延における転位密度を十分導入し、さらに、500〜600℃での鋼板の降伏応力の低下量を大きくするには、二相域圧延の圧延開始温度を500℃超、650℃以下とし、累積圧下率を10〜70%とするのが好ましい。二相域圧延の圧延開始温度を500℃超、650℃以下とすれば、再結晶やセル組織の形成が抑制されるため、累積圧下率を大きくすることが可能となる。しかし、累積圧下率が75%超となると、二相域圧延温度によっては再結晶、セル組織の形成の恐れが生じるため、累積圧下率の上限を75%に限定することが好ましい。
また、上記(a)の二相域圧延において、上記(b)に示すように、各圧延パスの1パスあたりの圧下率を15%以下とすることが好ましい。すなわち、二相域圧延における圧延温度が高い場合、あるいは/及び、累積圧下率が高い場合には、各圧延パスの1パスあたりの圧下率が15%超であると、再結晶が生じやすく、転位密度の上昇が有効に図られない恐れもあるため、各パスの圧下率の上限を15%とすることが好ましい。
また、上記(a)または(b)の二相域圧延終了後、さらに、上記(c)に示されるように、400℃以下の温度域までを、加速冷却することなしに冷却する工程を加えることが好ましい。
上記(a)〜(b)の製造方法は、主として二相域圧延によって鋼板のフェライトに加工転位を導入する方法であるが、以下に示すように、上記二相域圧延を行わずに、主として圧延後の加速冷却によりフェライトへの転位導入を行うことも可能であるので、これを参考例として述べる。
上記二相域圧延を行わずに、オーステナイト域で熱間圧延を終了する場合は、鋼片をA C3 変態点以上、1300℃以下の温度に加熱し、Ar3変態点以上の温度域で累積圧下率が50%以上のオーステナイト域圧延を行い、圧延終了後、フェライト分率が50%以上となる温度以下、500℃以上の温度域から400℃以下の温度域までを、3〜100℃/sの冷却速度で加速冷却する。
二相域圧延によらずに圧延後の加速冷却工程によって、鋼板のフェライト中への適切な転位導入する方法は、上記(a)〜(b)に示す、二相域圧延によって鋼板のフェライトに加工転位を導入する方法に比べて、生産性の低下や圧延荷重の増加、圧延形状の劣化等を抑制できる。
ここでの鋼片の加熱温度およびその限定理由は、上記(a)の製造方法と同じである。
オーステナイト域圧延は、上記(a)と同様に、鋼板の靱性を確保するために、フェライト変態前のオーステナイト粒径を微細化し、フェライト変態組織を微細化するために限定する。オーステナイト域圧延における累積圧下率が50%未満では圧延温度域によってはオーステナイトの微細化が不十分となるため、この累積圧下率を50%以上とする。
また、オーステナイト域圧延において、1000℃以下での累積圧下率が30%以上含まれることがオーステナイト粒径微細化のためにはより好ましい。
記における熱間圧延終了後の加速冷却は、鋼板のフェライトに転位を導入するために行う。加速冷却における冷却開始温度域は、フェライト分率が50%以上となる温度以下、500℃以上の温度域とする必要がある。フェライト分率が50%未満の温度域から加速冷却を開始すると、加速冷却中の低温で変態したベイナイトないしはマルテンサイトが主要な組織となり、目的とする転位が導入されたフェライトが主要な組織とならない。鋼板中のベイナイトないしはマルテンサイトは室温での鋼板の降伏応力は十分に高められるが、500〜600℃での鋼板の降伏応力の低下が十分でなくなるため、これらの組織を過度に増加するのは好ましくない。
一方、加速冷却における冷却開始温度域が500℃未満であると、鋼板のフェライトに十分に転位が導入されず、室温での鋼板の降伏応力が確保できず、500〜600℃での鋼板の降伏応力の低下が十分でないため好ましくない。
また、加速冷却における冷却速度及び冷却停止温度域は、3〜100℃/sで400℃以下に限定する。
すなわち、この加速冷却における冷却速度が3℃/s未満では急冷効果が得られず、転位の導入が十分でないため、3℃/s以上とするのが好ましい。一方、この冷却速度が100℃/s超では急冷効果が飽和するのと、工業的に100℃/sで冷却することが容易でないことから本発明では加速冷却の冷却速度の上限を100℃/sとするのが好ましい。但し、この冷却速度が100℃/s超であっても急冷効果が飽和するだけであって効果が低下するものではない。
また、上記加速冷却における冷却停止温度域は、加速冷却後、室温まで空冷した場合でも転位密度が減少したり再配列したりすることを抑制するために、冷却停止温度域を400℃以下とするのが好ましい。
また、本発明においては、(a)〜()の製造工程により鋼板を製造後、(d)のように鋼板の室温の降伏応力に対する500℃および600℃の降伏応力の比に加えて、鋼板の強度・靱性等の調整のために必要に応じて焼戻しを行うこともできる。焼戻し温度の温度が450℃未満であると、せっかく焼戻しを行っても強度・靱性の変化が小さく、焼戻しを施す意味がなく、600℃超ではフェライト中の転位密度が過度に低下する恐れがあるため、好ましくない。
なお、焼戻し温度での保持時間は特に限定する必要はないが、550℃超での焼戻しを行う場合は転位密度の過度な低下を防ぐために、24時間以内の保持時間が好ましい。また、焼戻し後の冷却条件も特に規制する必要はなく、加速冷却、空冷、炉冷、等いずれでも構わない。
以上、本発明の鋼板の製造方法について説明したが、上記鋼板の組織および特性を満足し、溶接構造用鋼として必要な特性を確保するためには、化学組成も規定する必要がある。
すなわち、本発明の鋼板は、質量%で、C :0.02〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.1〜2%、Al:0.002〜0.1%、N :0.001〜0.01%、を含有し、不純物としてのP:0.03%以下、S:0.01%以下に制限することを基本とする。
また、上記基本成分に、さらに、質量%で、Cr:0.01〜1%、Ni:0.01〜3%、Cu:0.01〜1.5%、および、質量%で、B:0.0003〜0.005%の1種または2種以上を含有しても良く、さらに、Mo:0.01〜0.1%、W :0.01〜0.2%、Nb:0.002〜0.01%、V :0.002〜0.1%、Ti:0.002〜0.02%、Ta:0.002〜0.5%、および、Zr:0.002〜0.1%以下の1種または2種以上を含有しても良く、さらに、質量%で、Mg:0.0005〜0.01%、Ca:0.0005〜0.01%、および、REM:0.0005〜0.05%の1種または2種以上を含有ても良い。
以下に、本発明鋼板で規定した各成分組成の限定理由を説明する。
なお、以下の「%」は特段の説明がない場合は、「質量%」を意味するものとする。
先ず、Cは、強度発現のための基本的元素であり、室温における降伏応力を200〜500MPaとするためには0.02%以上必要である。また、加工によってフェライトに転位を導入する場合、加工時に固溶Cが一定以上存在した方が均一に転位が導入されて、加工強化による靱性劣化を緩和するため好ましく、このためにも0.02%以上含有させる。一方、鋼板中のC含有量が0.2%超になると、母材や溶接熱影響部(HAZ)の靱性を著しく劣化させ、また、溶接部の耐低温割れ性も阻害するため、溶接構造用鋼として好ましくない。そこで、本発明においては、C含有量を0.02〜0.2%とする。
Siは脱酸元素であり、鋼の健全性を保つために、最低0.01%必要である。ただし、1%を超えて過剰に含有させると、HAZを硬化させてHAZの靱性、低温割れ性を劣化させて好ましくないため、本発明においては、Siの含有量を0.01〜1%に限定する。
Mnは、焼入性を確保して強度を高めるために、また、一定量以内であれば、組織を微細化して靱性向上にも有効であるために、必須の元素である。強度向上、組織微細化効果を確実に発揮するためには、0.1%以上鋼板に含有させる必要がある。一方、2%超含有させると、粒界脆化感受性が増加して靱性劣化、耐溶接割れ性劣化の可能性が高くなるため、本発明においては、鋼板中のMn含有量は0.1〜2%に限定する。
Alも脱酸元素であり、Siと同様、鋼の酸素含有量を低減して健全性を確保するために有効な元素であり、そのためには0.002%以上含有させる必要がある。一方、0.1%を超えて過剰に含有させると、粗大な酸化物を形成して、靱性を阻害する場合があるため、本発明においては、Al含有量を0.002〜0.1%に限定する。
Nは、微量では鋼片の加熱時に微細な窒化物を形成して加熱オーステナイト粒径を微細化して靱性に寄与する。そのためには鋼中の含有量として0.001%以上必要である。一方、0.01%を超えて含有させると、窒化物が粗大化したり、固溶N量が増加して却って靱性を劣化させるため、本発明においては、Nの含有量を0.001〜0.01%に限定する。
Pは不純物元素であり、靱性を阻害するため極力低減する必要があるが、鋼板中の含有量が0.03%以下では靱性への悪影響が許容できるため、本発明では鋼板中のP含有量は0.03%以下とする。
Sも不純物元素であり、鋼板中に過大に存在すると靱性と延性とをともに劣化させるため、極力低減することが好ましい。鋼板中の含有量が0.01%以下では靱性、延性への悪影響が許容できるため、本発明では鋼板中のS含有量は0.01%以下とする。
以上が、本発明の鋼板の基本成分であり、本発明の目的とする線状加熱によつ曲げ変形加工や溶接構造用鋼板としての特性を達成することができるが、さらに、強度、靱性の調整、その他の特性付与の目的で、必要に応じて、Cr:0.01〜1%、Ni:0.01〜3%、Cu:0.01〜1.5%、および、B:0.0003〜0.005%の1種または2種以上を含有させることができる。
Crは、強度を高めたり、耐食性を向上させる場合に有効な元素である。効果を発揮するためには0.01%以上含有させる必要がある。一方、1%超含有させると、靱性が劣化しまた、高温強度の低下が抑制されて本発明の目的からは好ましくないため、本発明においては、鋼中に含有させるCr量の範囲は0.01〜1%とする。
Niは、焼入性を高めて強度を高めると同時に靱性を向上させる効果を有する元素であり、靱性を重視する用途の鋼に対して非常に有効であるが、効果を発揮するためには、0.01%以上含有させる必要がある。ただし、3%を超えて多量に含有させると、ベイナイト主体組織となってフェライト生成が抑制されるため、本発明の目的からは好ましくない。従って、本発明においては、Niの含有量を0.01〜3%に限定する。
Cuは、MnやNiほどではないが焼入性を高めて強度向上に有効な元素であり、該効果を発現するためには0.01%以上含有させる必要がある。一方、1.5%を超えて含有させると高温割れ感受性が高くなり、鋼片製造時に割れが生じる恐れがあるため、好ましくない。従って、本発明おいて、Cuを含有させる場合は、その含有量を0.01〜1.5%に限定する。
Bは、ごく微量含有させることで鋼の焼入性を高めて強度を向上できる有効な元素であるが、0.0003%以上の含有は必要である。一方、0.005%を超えて過剰に含有させると、鋳造中の鋼片の割れが生じる恐れが増加し、鋼の効果が過大となって靱性も劣化させるため、好ましくない。従って、本発明においては、Bを含有させるためには、鋼板中のBの含有量を0.0003〜0.005%に限定する。
さらに、本発明の鋼板においては、室温の強度調整のために、Mo:0.01〜0.1%、W :0.01〜0.2%、Nb:0.002〜0.01%、V :0.002〜0.1%、Ti:0.002〜0.02%、Ta:0.002〜0.5%、および、Zr:0.002〜0.1%以下の1種または2種以上を含有させることができる。これらの元素は、固溶強化、析出強化により500〜600℃での降伏応力を高める効果を有するため、本発明の目的からは積極的に用いることはせず、本発明で規定する特性を満足できる許容範囲内で用いることができる。
Moは、高温強度を高める最も効果的な元素であり、本発明においては、含有させない方が好ましいが、室温強度向上のために用いる場合には0.1%以下の含有であれば、500〜600℃での降伏応力の上昇を許容範囲ないとすることが可能であるため、本発明においては、必要に応じてMoを用いる場合の上限を0.1%とする。Mo含有量が0.01%未満であると室温強度向上に有効でないため、含有させる場合の下限は0.01%とする。
WもMoと同様の効果を有し、本発明においては、含有させない方が好ましいが、室温強度向上のために用いる場合には0.2%以下の含有であれば、500〜600℃での降伏応力の上昇を許容範囲ないとすることが可能であるため、本発明においては、必要に応じてWを用いる場合の上限を0.2%とする。W含有量が0.01%未満であると室温強度向上に有効でないため、含有させる場合の下限は0.01%とする。
Nbも、微量で主として析出強化により高温強度を高める効果的な元素であり、本発明においては、含有させない方が好ましいが、室温強度向上のために用いる場合には0.01%以下の含有であれば、500〜600℃での降伏応力の上昇を許容範囲ないとすることが可能であるため、本発明においては、必要に応じてNbを用いる場合の上限を0.01%とする。Nb含有量が0.002%未満であると室温強度向上に有効でないため、含有させる場合の下限は0.002%とする。
Vも、Nbよりは効果が弱いが、微量で析出強化により高温強度を高める効果的な元素であり、本発明においては、含有させない方が好ましいが、室温強度向上のために用いる場合には0.1%以下の含有であれば、500〜600℃での降伏応力の上昇を許容範囲ないとすることが可能であるため、本発明においては、必要に応じてVを用いる場合の上限を0.1%とする。V含有量が0.002%未満であると室温強度向上に有効でないため、含有させる場合の下限は0.002%とする。
Tiも、Nb、Vとほぼ同様の効果により高温強度を高める効果的な元素であり、本発明においては、含有させない方が好ましいが、室温強度向上のために用いる場合には0.02%以下の含有であれば、500〜600℃での降伏応力の上昇を許容範囲ないとすることが可能であるため、本発明においては、必要に応じてTiを用いる場合の上限を0.02%とする。Ti含有量が0.002%未満であると室温強度向上に有効でないため、含有させる場合の下限は0.002%とする。
Taも、主として析出強化により高温強度を高める効果的な元素であり、本発明においては、含有させない方が好ましいが、室温強度向上のために用いる場合には0.5%以下の含有であれば、500〜600℃での降伏応力の上昇を許容範囲ないとすることが可能であるため、本発明においては、必要に応じてTaを用いる場合の上限を0.5%とする。Ta含有量が0.002%未満であると室温強度向上に有効でないため、含有させる場合の下限は0.002%とする。
Zrも、主として析出強化により高温強度を高める効果的な元素であり、本発明においては、含有させない方が好ましいが、室温強度向上のために用いる場合には0.1%以下の含有であれば、500〜600℃での降伏応力の上昇を許容範囲ないとすることが可能であるため、本発明においては、必要に応じてZrを用いる場合の上限を0.1%とする。Zr含有量が0.002%未満であると室温強度向上に有効でないため、含有させる場合の下限は0.002%とする。
さらに、本発明おいては、鋼板の延性向上やHAZ靱性向上の目的で、必要に応じて、質量%で、Mg:0.0005〜0.01%、Ca:0.0005〜0.01%、および、REM:0.0005〜0.05%の1種または2種以上を含有することができる。
Mg、Ca、REMはいずれもほぼ同様の効果を有し、効果を確実に発揮するためには、いずれの元素も0.0005%以上含有させる必要がある。上限は粗大な介在物を形成して、延性、靱性をともに劣化させる含有量から決定され、本発明においては、Mg、Caの上限は0.01%、REMの上限は0.05%とする。
以下に、本発明の効果を実施例により詳細に説明する。なお、本発明の実施形態は、以下の実施例は、本実施例においては、本発明の製造方法により本発明の要件を満足する鋼板を製造したが、本発明の降伏応力並びに降伏応力比を満足するために、本発明の製造方法や実施例に示される製造方法に限定する必要はない。
実施例に用いた鋼板の鋼片段階での化学組成を表2に示す。表2中で、鋼片番号1〜10、14〜17は本発明の範囲内の基本成分を有する鋼片であり、鋼片番号11〜13は本発明の範囲から外れた基本成分を有する鋼片である。表2に示す鋼片番号1〜17の鋼片を用いて、表3に示す製造条件で、板厚20mmの鋼板を製造した。表3には、各製造条件、表4には得られた鋼板の組織および機械的性質を示す。機械的性質の調査に用いた丸棒引張試験片及び2mmVノッチシャルピー衝撃試験片は板厚中心部から圧延方向に直角(C方向)に採取した。引張特性は室温及び500℃、600℃の3温度で測定し、シャルピー衝撃特性は50%破面遷移温度(vTrs)で靭性を評価した。
表3、表4中で、鋼板番号A1〜A3、A7〜A8、A12〜13は本発明の範囲内の基本成分の鋼片を用いて製造したものである。本発明の範囲内の製造条件で製造した本発明例の鋼板番号A1〜A3、A13は何れも、本発明が規定する組織と機械的特性、つまり、室温での降伏応力(200〜500MPa)、構造物用鋼として要求される靭性、さらに、室温降伏応力に対する500℃および600℃降伏応力の比は十分満足している。また、本発明と異なる製造方法で製造した参考例の鋼板番号A7〜A8、A12も、本発明と同等の特性を有していた。一方、鋼板番号B1〜B13は、鋼片の基本成分及び/又は、製造条件が本発明が規定する範囲から外れているため、降伏応力比が本発明を満足していないか、あるいは/及び、靭性が低く、構造用鋼として要求される特性は不十分である。
また、表4に示された各鋼板について、表1に示された条件で図1及び図2に示された要領で線状加熱を実施した後、鋼板の跳ね上がり量(h)を測定し、線状加熱特性の評価を行った。すなわち、図1に示したように20mm厚×500mm幅×1000mm長の鋼板に対して、表1に示す条件で、幅中央を長さ方向にガスバーナーにて線状加熱し、引き続き加熱された部分をホースで水を散布して水冷した。これらの一点の作業は、鋼板の同一位置に対して3回繰り返して行った後、図2に示された跳ね上がり量(h)で曲げ加工の変形量を評価した。なお、鋼板の線状加熱条件は、ガスバーナーの移動速度を変えたり、加熱後に水冷を行わない条件でも実施した。
表5に、表4の各鋼板を用いた線状加熱における条件と跳ね上がり量(h)の測定結果を示す。
本発明例である鋼板A1〜A3、A13を用いた試験番号SA1〜SA3、SA13、SA15〜SA17は、線状加熱条件を変えたものも含めて全て跳ね上がり量8mm以上と大きくなっており、何れも比較例である試験番号SB1〜SB13に比べて、線状加熱による曲げ加工性が高いことは明白である。なお、参考例の試験番号SA7〜SA8、SA12も本発明例と同等の特性を有していた。
一方、表5に示される本発明で規定する範囲から外れた組織及び機械的特性の比較例(試験番号SB1〜SB13)は、下記に説明するように、本発明に比べて線状加熱特性が劣るか、及び/又は、溶接構造用鋼として要求される特性を満足してない。
すなわち、試験番号SB1は、製造方法は本発明を満足していて、降伏応力比は十分小さく、従って、線状加熱における跳ね上がり量は十分大きいが、鋼板のC含有量が過大であるため、靭性が極めて低く、構造用鋼としては問題がある。
試験番号SB2も、製造方法は本発明を満足していて、降伏応力比は十分小さく、従って、線状加熱における跳ね上がり量は十分大きいが、鋼板のMn含有量が過大であるため、室温での降伏応力が本発明に範囲を超えて高い上、靭性が極めて低く、構造用鋼としては問題がある。
試験番号SB3も、製造方法は本発明を満足していて、降伏応力比は十分小さく、従って、線状加熱における跳ね上がり量は十分大きいが、鋼板のP含有量が過大であるため、靭性が低く、構造用鋼としては不十分である。
試験番号SB4は、鋼板のMo含有量が過大であるため、500〜600℃での降伏応力の低下が抑制され、500℃、600℃とも降伏応力比は本発明を満足して入らず、結果、線状加熱における跳ね上がり量が本発明に比べて小さい。靭性も本発明例と比べて若干低い。
試験番号SB5は、鋼板のNb含有量が過大であるため、500〜600℃での降伏応力の低下が抑制され、500℃、600℃とも降伏応力比は本発明を満足して入らず、結果、線状加熱における跳ね上がり量が本発明に比べて小さい。靭性の劣化も著しい。
試験番号SB6は、鋼板のV含有量が過大であるため、500〜600℃での降伏応力の低下が抑制され、500℃、600℃とも降伏応力比は本発明を満足して入らず、結果、線状加熱における跳ね上がり量が本発明に比べて小さい。鋼板の靭性も低く、好ましくない。
試験番号SB7は、鋼板のTi含有量が過大であるため、500〜600℃での降伏応力の低下が抑制され、500℃、600℃とも降伏応力比は本発明を満足して入らず、結果、線状加熱における跳ね上がり量が本発明に比べて小さい。鋼板の靭性も本発明に比べて低い。
試験番号SB8の鋼板は、化学組成は本発明例のSA2、SA11、SA12、SA15、SA16と同じであるが、通常の熱間圧延により製造されたため、フェライト中への転位の導入がほとんどなく、従って、500〜600℃での降伏応力の低下が十分でない。そのため、降伏応力比が本発明を満足しない。結果、線状加熱における跳ね上がり量が本発明に比べて小さい。
試験番号SB9の鋼板は、化学組成は本発明例のSA2、SA11、SA12、SA15、SA16と同じであるが、二相域圧延を行っておらず、かつ、加速冷却もオーステナイト域から開始しているため、ベイナイト主体組織となっている。そのため、500〜600℃での軟化が十分でなく、降伏応力比も十分低下せず、その結果、線状加熱における跳ね上がり量が本発明に比べて小さい。
試験番号SB10の鋼板は、化学組成は本発明例のSA2、SA11、SA12、SA15、SA16と同じであるが、二相域圧延開始時のフェライト分率が過小であるため、フェライト中への転位の導入が十分でなく、従って、500〜600℃での降伏応力の低下が十分でない。そのため、降伏応力比が本発明を満足しない。結果、線状加熱における跳ね上がり量が本発明に比べて小さい。
試験番号SB11の鋼板は、化学組成は本発明例のSA2、SA11、SA12、SA15、SA16と同じであるが、二相域圧延の累積圧下率が過小であるため、フェライト中への転位の導入が十分でなく、従って、500〜600℃での降伏応力の低下が十分でない。そのため、降伏応力比が本発明を満足しない。結果、線状加熱における跳ね上がり量が本発明に比べて小さい。
試験番号SB12の鋼板は、化学組成は本発明例のSA9と同じであるが、二相域圧延の累積圧下率が過大であるため、フェライトの再結晶と細粒化が生じてしまい、逆に500〜600℃での軟化を抑制する組織形態を形成したため、500〜600℃での降伏応力の低下が十分でない。そのため、降伏応力比が本発明を満足しない。結果、線状加熱における跳ね上がり量が本発明に比べて小さい。
試験番号SB13の鋼板は、化学組成は本発明例のSA7と同じであるが、二相域圧延を施さずに加速冷却によってフェライトへ転位を導入する製造方法において、加速冷却開始開始温度が過大であるため、加速冷却時のフェライト分率が過小で、フェライト中への転位の導入が十分でなく、従って、500〜600℃での降伏応力の低下が十分でない。そのため、降伏応力比が本発明を満足しない。結果、線状加熱における跳ね上がり量が本発明に比べて小さい。
以上の実施例から、本発明によれば、溶接構造用鋼板としての十分な特性を有した上で、線状加熱の条件に大きく依存せず汎用的に用いることができる、線状加熱における変形量が大きく効率的に線状加熱による変形・成形が行える鋼板及びその製造方法を提供することが可能であることが明らかである。
Figure 0004751137
Figure 0004751137

Figure 0004751137
Figure 0004751137
線状加熱における曲げ変形量を調べるための試験方法を説明する概念図である。 線状加熱における曲げ変形量を表す、跳ね上がり量を説明する概念図である。 降伏応力比(500℃ないしは600℃の降伏応力の室温の降伏応力に対する比)と跳ね上がり量との関係を示す図である。
符号の説明
1 鋼板
2 ガスバーナー
3 冷却水
4 線状加熱後の鋼板
5 跳ね上がり量(h)
6 ホース

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.02〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.1〜2%、Al:0.002〜0.1%、N:0.001〜0.01%を含有し、P:0.03%以下、S:0.01%以下に制限し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼片をAC3変態点以上、1300℃以下の温度に加熱し、Ar3変態点以上の温度域で累積圧下率が50%以上のオーステナイト域圧延を行った後、フェライト分率が20%以上となる温度域で累積圧下率が10〜75%の二相域圧延を行い、圧延を終了し、加速冷却することなしに冷却することを特徴とする線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法。
  2. 前記二相域圧延における各圧延パスの圧下率が15%以下であることを特徴とする請求項に記載の線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法。
  3. さらに、450℃〜600℃の温度域で焼戻しを行うことを特徴とする請求項1または2に記載の線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法。
  4. 前記鋼片中に、さらに、質量%で、Cr:0.01〜1%、Ni:0.01〜3%、Cu:0.01〜1.5%、および、B:0.0003〜0.005%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法。
  5. 前記鋼片中に、さらに、質量%で、
    Mo:0.01〜0.1%、
    W :0.01〜0.2%、
    Nb:0.002〜0.01%、
    V :0.002〜0.1%、
    Ti:0.002〜0.02%、
    Ta:0.002〜0.5%、および、
    Zr:0.002〜0.1%以下
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法。
  6. 前記鋼片中に、さらに、質量%で、Mg:0.0005〜0.01%、Ca:0.0005〜0.01%、および、REM:0.0005〜0.05%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法。
JP2005245784A 2005-08-26 2005-08-26 線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP4751137B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005245784A JP4751137B2 (ja) 2005-08-26 2005-08-26 線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005245784A JP4751137B2 (ja) 2005-08-26 2005-08-26 線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007056348A JP2007056348A (ja) 2007-03-08
JP4751137B2 true JP4751137B2 (ja) 2011-08-17

Family

ID=37920076

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005245784A Expired - Fee Related JP4751137B2 (ja) 2005-08-26 2005-08-26 線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4751137B2 (ja)

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5034392B2 (ja) * 2006-09-12 2012-09-26 Jfeスチール株式会社 脆性亀裂伝播停止特性に優れた構造用高強度厚鋼板およびその製造方法
WO2009087944A1 (ja) * 2008-01-08 2009-07-16 Nippon Steel Corporation 線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板及びその製造方法
JP4308312B1 (ja) * 2008-01-08 2009-08-05 新日本製鐵株式会社 線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板及びその製造方法
JP5194807B2 (ja) * 2008-01-09 2013-05-08 Jfeスチール株式会社 高降伏強度・高靭性厚鋼板の製造方法
JP5187151B2 (ja) * 2008-11-17 2013-04-24 新日鐵住金株式会社 線状加熱による曲げ加工性に優れた厚鋼板及びその製造方法
KR20130081724A (ko) * 2009-08-24 2013-07-17 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 선수 구조
KR20120026641A (ko) * 2009-11-20 2012-03-19 신닛뽄세이테쯔 카부시키카이샤 선체용 후강판 및 그 제조 방법
JP5906868B2 (ja) * 2011-03-28 2016-04-20 Jfeスチール株式会社 板厚方向の耐疲労特性に優れた厚鋼板およびその製造方法
WO2012133872A1 (ja) * 2011-03-28 2012-10-04 Jfeスチール株式会社 板厚方向の耐疲労特性に優れた厚鋼板およびその製造方法、その厚鋼板を用いた隅肉溶接継手
WO2017022027A1 (ja) 2015-07-31 2017-02-09 新日鐵住金株式会社 加工誘起変態型複合組織鋼板およびその製造方法
TWI575084B (zh) * 2015-07-31 2017-03-21 新日鐵住金股份有限公司 應變誘發相變態型複合組織鋼板及其製造方法
KR101758520B1 (ko) * 2015-12-23 2017-07-17 주식회사 포스코 열간 저항성이 우수한 고강도 구조용 강판 및 그 제조방법
KR101998991B1 (ko) * 2017-12-15 2019-07-10 주식회사 포스코 인장강도 및 저온충격인성이 우수한 압력용기용 강판 및 그 제조방법
CN111500933A (zh) * 2020-06-05 2020-08-07 江苏联峰实业有限公司 一种稀土元素微合金化高强钢筋及其生产工艺
CN114517254B (zh) * 2022-02-28 2023-04-25 南京工程学院 一种船舶用耐低温球扁钢及其制备方法
WO2024063113A1 (ja) * 2022-09-22 2024-03-28 株式会社神戸製鋼所 鋼製下地材

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001342520A (ja) * 2000-06-02 2001-12-14 Nippon Steel Corp 材質変動の少ない靱性に優れた低降伏比高張力鋼の製造方法
JP2002129286A (ja) * 2000-10-30 2002-05-09 Nippon Steel Corp バーリング加工性に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007056348A (ja) 2007-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4751137B2 (ja) 線状加熱による曲げ加工が容易な鋼板の製造方法
JP4782243B2 (ja) 焼入れ性に優れたボロン添加鋼板および製造方法
JP5177310B2 (ja) 溶接熱影響部の低温靭性に優れた高張力鋼板およびその製造方法
WO2015147211A1 (ja) フェライト系ステンレス圧延鋼板とその製造方法およびフランジ部品
EP3653736A1 (en) Hot-rolled steel strip and manufacturing method
JP6048436B2 (ja) 調質高張力厚鋼板及びその製造方法
KR20180095917A (ko) 전봉 강관용 고강도 열연 강판 및 그 제조 방법
EP1375694B2 (en) Hot-rolled steel strip and method for manufacturing the same
JP4926447B2 (ja) 耐溶接割れ性に優れた高張力鋼の製造方法
JP5034290B2 (ja) 低降伏比高強度厚鋼板およびその製造方法
JP2000345281A (ja) 溶接性と低温靭性に優れた低合金耐熱鋼およびその製造方法
KR20190076758A (ko) 저온에서의 내파괴 특성이 우수한 극지 환경용 고강도 강재 및 그 제조방법
JP5692305B2 (ja) 大入熱溶接特性と材質均質性に優れた厚鋼板およびその製造方法
JP2002129281A (ja) 溶接部の疲労特性に優れた溶接構造用高張力鋼およびその製造方法
JP7348948B2 (ja) 冷間曲げ性に優れた高強度構造用鋼材及びその製造方法
JP4959167B2 (ja) 鋼板の熱加工方法
US20200392609A1 (en) Utility ferritic stainless steel with excellent hot workability and manufacturing method thereof
JP4038166B2 (ja) 耐震性と溶接性に優れた鋼板およびその製造方法
JP2002105601A (ja) 高強度複相ステンレス鋼及びその製造方法
JPH0741854A (ja) 靱性に優れたフェライト単相ステンレス熱延鋼板の製造方法
JP4469353B2 (ja) 溶接熱影響部の靭性に優れる引張強さ570MPa級高強度鋼材の製造方法
JPS63213619A (ja) 加工性に優れ溶接軟化のない高強度ステンレス鋼材の製造方法
WO2011043287A1 (ja) 強度、延性の良好なラインパイプ用鋼およびその製造方法
JP2008121121A (ja) 高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材並びにその製造方法
JP5194571B2 (ja) 引張強さ570N/mm2級以上の溶接割れ感受性に優れた高張力鋼の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100601

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100727

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100727

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110118

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110315

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110413

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110517

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110520

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4751137

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140527

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140527

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140527

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees