JP4749204B2 - 電動自転車のテンショナ装置および電動自転車 - Google Patents

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Description

本発明はチェーンのテンションを自動的に調整するテンションプーリを有する電動自転車のテンショナ装置に関する。
自転車においては、後輪のフリーホイール箇所に外装変速機を備えたものがある。前記外装変速機は、後輪に取り付けられた互いに直径の異なる複数の後輪スプロケット(いわゆる後輪フリーホイールまたは小ギヤ)と、これらの後輪スプロケットに下方から臨むように配置され変速段切換用ワイヤにより左右に移動されて変速段を切り換えるガイドプーリと、つるまきばねなどの付勢手段によりチェーンを張る(テンションを増加させる)方向に付勢されて変速時のチェーンの弛みを吸収するテンションプーリなどから構成されている。なお、自転車において外装変速機をクランク部に設けたものもある。
また、同様にテンションプーリが設けられている自転車として、ペダルからの人の踏力による人力駆動力に、電動モータにより発生するモータ駆動ユニットの補助駆動力を加えることで、坂道などでも楽に走行できるように構成した電動自転車において、図10に示すように、テンションプーリ1によって、補助駆動力を出力する駆動スプロケット2のチェーン3が噛み合う巻き角度を増加させるとともにチェーン3の弛みを吸収して、チェーン3の張り状態を適度に保つものがある(例えば特許文献1等参照)。
なお、図10に示す場合のテンションプーリ1の取付構造の一例としては、図9、図11に示すように、補助駆動力の発生源としての電動モータを内臓したモータ駆動ユニット10の外殻部をなすユニットケース11に、支持軸12を介して支持アーム13を揺動自在に取り付け、支持アーム13の先端に、プーリ軸14を介してテンションプーリ1を回転自在に取り付けている。また、支持軸12の外周側に付勢手段としてのつるまきばねからなる付勢ばね15を外装し、この付勢ばね15の一端をユニットケース11に設けた係合孔11aに係合させ、また、付勢ばね15の他端を支持アーム13に設けた係合孔13aに係合させて、付勢ばね15により、テンションプーリ1がa方向に回動するように付勢して、チェーン3を張る(テンションを与える)ようになっている。なお、図10における16はクランク軸、17はクランク軸と一体的に回転するチェーンスプロケット(いわゆる大ギヤまたはギヤ板)、また、図9における11bは、ユニットケース11に形成されたボス部で、支持アーム13の取付用ねじ部がねじ込まれるとともに、隙間を有する状態で付勢ばね15が外装されている。
ここで、図12に示すように、前記テンションプーリ1により適度なテンションを保つ対象となるチェーン(詳しくはローラチェーン)3は、それぞれ左右に対となって配置され、側面視「8」の字の板形状の外プレート3a並びに内プレート3bと、外プレート3a間または内プレート3b間に配設されるローラ3cと、外プレート3a間におけるローラ3cの内側に配設されるブッシュ3dと、外プレート3aおよび内プレート3bに形成された孔部とブッシュ3dの中心孔部に挿通されるピン3eとから構成されており、ローラ3cが介装された外プレート3aと内プレート3bとをピン3eで順次連結した構造とされている。なお、図示しないが、ブッシュ3dに対応する箇所を内プレート3bに設けた筒状部で代用してブッシュ3dを省いた構造のチェーン3もある。
このチェーン3に対してテンションを与えるテンションプーリ1は、図13に示すように、周囲に複数の歯部1aが形成された形状とされ、図13において仮想線で示すように、歯部1aがチェーン3のローラ3c間に挿入した状態で、テンションプーリ1が回転されながらチェーン3に対してテンションを与える構造である。
特開2001−63677号公報
しかしながら、上記のような構造のテンションプーリ1は、一般に樹脂成形などにより製造されているが、その歯部1aがチェーン3のローラ3c間に挿入される構造であるため、チェーン3のローラ3c間に良好に入り込む形状に高精度で製造しなければならず、そのため製造コストの増加を招いていた。
また、人力駆動力を伝達するチェーンスプロケット17や補助駆動力を伝達する駆動スプロケット2は歯部を有する構造であるため、これらのチェーンスプロケット17や駆動スプロケット2に噛み合っているチェーン3に対して、テンションプーリ1の歯部1aがチェーン3のローラ3c間に良好に挿入されるようにテンションプーリ1の取付位置を調整しなければならない場合があり、この場合には、その位置調整に多くの手間がかかることがあった。
さらに、チェーン3は、長期使用による経年変化により延びることがあるが、この場合には、チェーン3がテンションプーリ1の歯部1aに噛み合わず、がたつきを生じるおそれがあった。
本発明は上記課題を解決するもので、製造工程において高い精度を要しなくても済んで製造コストを低減することができ、また、テンションプーリの取付位置の調整を最小限に済ますことができ、しかも、チェーンが延びた場合でもがたつきを生じ難い電動自転車のテンショナ装置および電動自転車を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、人力駆動力に加える補助駆動力を発生するモータ駆動ユニットと、このモータ駆動ユニットから補助駆動力を出力する駆動スプロケットと、クランク軸とともに回転するチェーンスプロケットからの人力駆動力および前記駆動スプロケットから出力される補助駆動力を後輪スプロケットに伝達するチェーンに接触するテンションプーリと、テンションプーリの軸心に設けられたプーリ軸を介して前記テンションプーリを回転自在に支持する支持アームと、前記チェーンのテンションを増加させる方向に支持アームを付勢する付勢手段とを備えて、前記付勢手段からの付勢力をテンションプーリからチェーンに与えることにより前記チェーンのテンションを自動的に調整するとともに、前記テンションプーリが、モータ駆動ユニットから補助駆動力を出力する駆動スプロケットに対して、チェーンの噛み合う巻き角度を増加させるようにチェーンを案内するガイドプーリとしても兼用されている電動自転車のテンショナ装置であって、前記テンションプーリの外周面部を、チェーンのローラ間に突入しない状態で前記チェーンの無端形状の内側部分に摺接する形状に形成し、テンションプーリの幅方向両端部に、チェーンのテンションプーリ幅方向への移動を規制する鍔状部が形成されているが、テンションプーリの幅方向略中央部に、チェーンのローラに摺接するとともにチェーンのテンションプーリ幅方向への移動を規制する凸状部が形成されていないことを特徴とする。
この構成により、テンションプーリの外周面部をチェーンの無端形状の内側部分に摺接させてチェーンに対してテンションを与えることができる構造でありながら、従来のテンションプーリの歯部に相当する箇所を有しない簡単な形状とすることができて、テンションプーリの製造工程において高い精度を要しなくても済んで製造コストを低減することができ、また、従来のような、チェーンとテンションプーリの歯部との噛み合いのためのテンションプーリの取付位置の調整も行わなくて済み、また、チェーンが長期使用による経年変化により延びても、チェーンとテンションプーリとの従来の歯部の噛み合いに起因するがたつきを生じることがない。
以上のように本発明によれば、テンションプーリの外周面部を、チェーンのローラ間に突入しない状態で前記チェーンの無端形状の内側部分に摺接する形状に形成したことにより、テンションプーリの製造工程において高い精度を要しなくても済んで製造コストを低減することができ、また、従来のような、チェーンとテンションプーリの歯部との噛み合いのためのテンションプーリの取付位置の調整も行わなくて済んで取付作業の作業能率が向上し、また、チェーンが長期使用による経年変化により延びても、歯部とのがたつきを生じることがなくなる。
本発明は、クランク軸とともに回転するチェーンスプロケットからの駆動力を後輪スプロケットに伝達するチェーンに接触するテンションプーリと、テンションプーリの軸心に設けられたプーリ軸を介して前記テンションプーリを回転自在に支持する支持アームと、前記チェーンのテンションを増加させる方向に支持アームを付勢する付勢手段とを備えて、前記付勢手段からの付勢力をテンションプーリからチェーンに与えることにより前記チェーンのテンションを自動的に調整する自転車のテンショナ装置であって、前記テンションプーリの外周面部を、チェーンのローラ間に突入しない状態で前記チェーンの無端形状の内側部分に摺接する形状に形成したことを特徴とする。
この構成により、テンションプーリの外周面部をチェーンの無端形状の内側部分に摺接させてチェーンに対してテンションを与えることができる構造でありながら、従来のテンションプーリの歯部に相当する箇所を設けなくて済んで簡単な形状とすることができ、これによりテンションプーリの製造工程において高い精度を要しなくても済んで製造コストを低減することができる。また、テンションプーリがチェーンのローラ間に突入する歯部を有しないので、従来のような、チェーンとテンションプーリの歯部との噛み合いのためのテンションプーリの取付位置の調整も行わなくて済み、また、チェーンが長期使用による経年変化により延びても、チェーンとテンションプーリとの従来の歯部の噛み合いに起因するがたつきを生じることがない。
ここで、テンションプーリの具体的な形状としては、テンションプーリの幅方向両端部に、チェーンのテンションプーリ幅方向への移動を規制する鍔状部を形成したり、テンションプーリの幅方向略中央部に、チェーンのローラに摺接するとともにチェーンのテンションプーリ幅方向への移動を規制する凸状部を形成したり、テンションプーリの幅方向両端部に、チェーンのテンションプーリ幅方向への移動を規制する鍔状部を形成し、かつテンションプーリの幅方向略中央部に、チェーンのローラに摺接する凸状部を形成したりする。
この構成により、チェーンがテンションプーリの幅方向に移動して離脱しないよう鍔状部や凸状部で規制しながら、チェーンに良好に摺接してテンションを与えることができる。
また、本発明は前記テンショナ装置を備えた自転車であり、その自転車の一例としては自転車が、人力駆動力に加える補助駆動力を発生するモータ駆動ユニットを備えた電動自転車であり、テンショナ装置のテンションプーリは、モータ駆動ユニットから補助駆動力を出力する駆動スプロケットに対して、チェーンの噛み合う巻き角度を増加させるようにチェーンを案内するガイドプーリとしても兼用されているものであり、この場合には、テンショナ装置のテンションプーリにより、チェーンに対して良好なテンションを与えることができるだけでなく、チェーンの噛み合う巻き角度を増加させるようにチェーンを案内するガイドプーリとしても兼用できる。
また、本発明のテンショナ装置を備えた自転車の他の例としては、自転車が、同軸心で取り付けられた変速用の複数のスプロケットと、前記軸心方向に移動されてこれらのスプロケットを切り換えるガイドプーリとを備え、テンションプーリが前記ガイドプーリに隣接して配設されて変速時のチェーンの弛みを吸収するものであり、この構成によれば、テンションプーリにより変速時のチェーンの弛みを良好に吸収することができる。
以下、本発明の実施の形態に係るテンショナ装置およびこのテンショナ装置を備えた自転車について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態に係る図面においては、自転車が電動自転車である場合を示している。なお、図9〜図12に示す従来のテンショナ装置を備えた電動自転車の構成要素と同機能のものには、同符号を付す。
図1〜図4などに示すように、本発明の実施の形態に係るテンショナ装置50を備えた電動自転車は、ヘッドパイプ21、フロントフォーク22、メインフレーム23、立パイプ24、ハンガラグ25(図3参照)、チェーンステー26、バックフォーク27などからなるフレーム体30と、フロントフォーク22の下端部に回転自在に組み付けられた前輪31と、ヘッドパイプ21に上方から挿入されてフロントフォーク22と一体的に回転するように組み付けられたハンドルステム32およびハンドル33と、立パイプ24に挿入されたシートポスト28の上端部に取り付けられたサドル29と、人力駆動力(踏力)が加えられるペダル34がクランクアーム35を介して取り付けられたクランク軸16を回転自在に支持するとともに、補助駆動力を発生する電動モータ37や減速機構38、補助駆動力を出力する駆動スプロケット2などが設けられたモータ駆動ユニット10と、チェーンステー26の後端に回転自在に取り付けられた後輪41と、立パイプ24と後輪41との間に配置されたバッテリユニット42と、クランク軸16に一方向クラッチ機構43を有する回転軸44を介して連結されて、クランク軸16が止まっていても回転可能に配設されたチェーンスプロケット17と、後輪41の中央軸部分に組み付けられた後輪スプロケット46と、チェーンスプロケット17からの人力駆動力および駆動スプロケット2からの補助駆動力を後輪スプロケット46に伝達するチェーン3と、チェーンスプロケット17、チェーン3の上側箇所およびモータ駆動ユニット10を側方から覆うカバー48などを備えている。なお、この実施の形態に示す電動自転車は外装変速機を有していない。
モータ駆動ユニット10は、ペダル34からの踏力を、モータ駆動ユニット10の内部に設けられたトルクセンサ36により検出し、この踏力に応じて補助駆動力を駆動スプロケット2から出力し、これらの人力駆動力と補助駆動力とを合わせてチェーン3を介して後輪41側に伝達し、これにより坂道などでも楽に走行できるように構成している。また、減速機構38にも一方向クラッチ機構39が介装され、電動モータ37が駆動していない場合には、チェーン3に対する電動モータ37側からの負荷が作用しないよう構成されている。また、この実施の形態では、図4に示すように、モータ駆動ユニット10の外殻部分をなすユニットケース11が、電動モータ37の部分を覆うモータケース部11cと、モータ部以外の自転車進行方向に向いて左側となる部分を覆う左ケース部11dと右側部分を覆う右ケース部11eとに3分割されたものが用いられて、ボルトなどで互いに連結されて固定されているが、これに限るものではない。また、モータ駆動ユニット10は、支持ブラケット40、45を介して、フレーム体10におけるハンガラグ25やその近傍箇所に固定されている。
この電動自転車においても、モータ駆動ユニット10を、電動自転車の前後方向中心部の低い位置である、クランク軸16の配置箇所ならびにその近傍後方箇所に配置している。また、図5に示すように、駆動スプロケット2をチェーンスプロケット17近傍の後方箇所に配置しており、走行時には、駆動力を伝達するチェーン3が、チェーンスプロケット17に噛み合って上側から下側に移動された後、駆動スプロケット2によりチェーン3の下側部分が持ち上げられる配置としている。また、駆動スプロケット2のさらに後方に、チェーン3を案内するとともに適度のテンションを与えるテンショナ装置50を配置し、このテンショナ装置50に設けられたテンションプーリ51により、駆動スプロケット2により持ち上げられたチェーン3が押し下げられて、駆動スプロケット2にチェーン3が噛み合う巻き角度が増加するように案内している。
この電動自転車に設けられるテンショナ装置50は、図5、図6、図9に示すように、チェーン3に接触するテンションプーリ51と、テンションプーリ51の軸心に設けられたプーリ軸14を介してテンションプーリ51を回転自在に支持する支持アーム13と、支持アーム13とユニットケース11との間に介装され、支持アーム13を介してチェーン3のテンションを増加させる方向に支持アーム13を揺動させるよう付勢する付勢手段としての付勢ばね15とから構成されている。
なお、本実施の形態でも、図6、図9に示すように、支持軸12の外周側に付勢手段としてのつるまきばねからなる付勢ばね15を外装し、この付勢ばね15の一端をユニットケース11に設けた係合孔11aに係合させ、また、付勢ばね15の他端を支持アーム13に設けた係合孔13aに係合させて、付勢ばね15により、テンションプーリ51がa方向に回動するように付勢して、チェーン3に対してテンションを与えるようになっている。
ここで特に、本発明においては、テンショナ装置50におけるテンションプーリ51の外周面部51aを、図6、図7(a)、(b)に示すように、従来のテンションプーリ1のような歯部1a(図13等参照)を有しておらず、チェーン3のローラ3c間に突入しない状態でチェーン3の無端形状の内側部分(ループの内側部分)3fに摺接する形状に形成している。この実施の形態においては、テンションプーリ51の幅方向両端部に、チェーン3のテンションプーリ幅方向(すなわち左右方向)への移動を規制する鍔状部51bを一体形成しており、鍔状部51b間の部分は断面視して単なる平面形状としている。
この構成において、本発明の実施の形態に係るテンションプーリ51では、テンションプーリ51の外周面部51aにおける鍔状部51b間の部分が、チェーン3の無端形状の内側部分(より詳しくはチェーン3の外プレート3aおよび内プレート3bにおける内側の膨出部分)に摺接した状態で、テンションプーリ51からチェーン3に対して付勢ばね15の付勢力を良好に与えることができて、チェーン3を良好なテンションが負荷された状態に保つことができる。
そして、テンションプーリ51の外周面部51aを、従来のようなチェーン3のローラ3c間に入り込む歯部1aを有しないで、チェーン3のローラ3c間に突入しない状態でチェーン3の無端形状の内側部分3fに摺接する形状に形成したので、従来のテンションプーリ1の歯部1aに相当する箇所を設けなくて済んで簡単な形状とすることができ、これによりテンションプーリ51の製造工程において高い精度を要することなく、テンションプーリ51を良好に製造することができ、この結果、製造コストを低減することができる。
また、従来のテンションプーリ1では、テンションプーリ1の歯部1aがチェーン3のローラ3c間に良好に挿入されるようにテンションプーリ1の取付位置を調整しなければならない場合があったが、本発明の実施の形態に係るテンションプーリ51は、チェーン3のローラ3c間に突入する歯部1aを有しないので、従来のような、チェーン3とテンションプーリの歯部との噛み合いのためのテンションプーリの取付位置の調整も行わなくて済み、テンションプーリ51を含めたテンショナ装置50の取付作業を能率良く行うことができる。
さらに、チェーン3が長期使用による経年変化により延びた場合に、従来のテンションプーリ1であれば、チェーン3がテンションプーリ1の歯部1aに噛み合わず、がたつきを生じるおそれがあったが、本発明の実施の形態に係るテンションプーリ51では、チェーン3が延びた場合でも、テンションプーリ51の外周面部51aがチェーン3の無端形状の内側部分3fに良好に摺接し、従来の歯部の噛み合いに起因するがたつきを生じることもない。
また、上記構成によれば、テンションプーリ51の幅方向両端部に、チェーン3のテンションプーリ幅方向への移動を規制する鍔状部51bを形成しているので、チェーン3がテンションプーリ51から幅方向に移動して離脱しようとしても、チェーン3の外プレート3aの外側の面やピン3eの端面がテンションプーリ51の鍔状部51bに当接して移動することが阻止されるので、チェーン3の離脱を良好に防止することができる。
また、上記実施の形態では、テンションプーリ51の外周面部51aの形状として、幅方向両端部に鍔状部51bを形成した場合を述べたが、これに限るものではない。
すなわち、図7(c)、(d)に示すように、テンションプーリ51の幅方向略中央部に、チェーン3のローラ3cに摺接するとともにチェーン3のテンションプーリ幅方向への移動を規制する凸状部51cを形成していてもよい。
この構成によれば、テンションプーリ51の外周面部51aにおける凸状部51cの部分が、チェーン3の無端形状の内側部分(より詳しくはチェーン3の外プレート3aおよび内プレート3bにおける内側の膨出部分)に摺接した状態で、テンションプーリ51からチェーン3に対して付勢ばね15の付勢力を良好に与えることができて、チェーン3を良好なテンションが負荷された状態に保つことができる。
また、チェーン3がテンションプーリ51から幅方向に移動して離脱しようとしても、チェーン3の内プレート3bの内側の面がテンションプーリ51の凸状部51cに当接して移動することが阻止されるので、チェーン3の離脱を良好に防止することができる。
さらには、図7(e)、(f)に示すように、テンションプーリ51の幅方向両端部に、チェーン3のテンションプーリ幅方向への移動を規制する鍔状部51bを形成し、テンションプーリ51の幅方向略中央部に、チェーン3のローラ3cに摺接する凸状部51cを形成していてもよい。
この構成によれば、テンションプーリ51の外周面部51aにおける凸状部51cの部分が、チェーン3の無端形状の内側部分(より詳しくはチェーン3の外プレート3aおよび内プレート3bにおける内側の膨出部分)に摺接した状態で、テンションプーリ51からチェーン3に対して付勢ばね15の付勢力を良好に与えることができて、チェーン3を良好なテンションが負荷された状態に保つことができる。
また、チェーン3がテンションプーリ51から幅方向に移動して離脱しようとしても、チェーン3の内プレート3bの内側の面がテンションプーリ51の凸状部51cに当接して移動することが阻止されるので、チェーン3の離脱を良好に防止することができ、さらに万一、チェーン3の内プレート3bがテンションプーリ51の凸状部51cを乗り越えた場合でも、チェーン3の外プレート3aの外側の面やピン3eの端面がテンションプーリ51の鍔状部51bに当接して移動することが阻止されるので、チェーン3の離脱をより確実に防止することができる。
次に、図8は本発明の他の実施の形態に係るテンショナ装置を備えた電動自転車を示す。この電動自転車においては、電動自転車の後輪41のフリーホイール箇所に外装変速機60を備えている。図8に示すように、この種の電動自転車では、後輪41のフリーホイール箇所に、互いに直径の異なる複数の後輪スプロケット61が同軸心で取り付けられ、この近傍に、外装変速機60が取り付けられている。外装変速機60は、後輪スプロケット61の下方において、左右に移動可能な姿勢で配設されたガイドプーリ62と、変速時のチェーン3の弛みを吸収するテンションプーリ51と、変速用の操作レバーに繋がれたワイヤによって駆動される移動機構64などを備えており、これらのガイドプーリ62およびテンションプーリ51が、前記移動機構64により左右方向に移動されることで、チェーン3が噛み合う後輪スプロケット61が切り替えられて変速されるようになっている。そして、この外装変速機60のテンションプーリ51がチェーン3のテンションを調整する機能を有している。
ここで、この実施の形態では、外装変速機60のテンションプーリ51として、図7(a)、(b)に示すものと同じ形状のもの(テンションプーリ51の外周面部51aに歯部を有しないで、このテンションプーリ51の外周面部51aがチェーン3の無端形状の内側部分3fに摺接する形状のもの)が用いられている。これによっても、上記したテンションプーリ51と同様に、テンションプーリ51からチェーン3に対して付勢ばね15の付勢力を良好に与えることができて、チェーン3を良好なテンションが負荷された状態に保つことができ、また、テンションプーリ51の製造工程において高い精度を要することなく、安価に製造することができる。また、従来のような、チェーン3とテンションプーリの歯部との噛み合いのためのテンションプーリの取付位置の調整も行わなくて済み、テンションプーリ51を含めたテンショナ装置50の取付作業を能率良く行うことができチェーン3が延びた場合でも、テンションプーリ51の外周面部51aがチェーン3の無端形状の内側部分3fに良好に摺接し、従来の歯部の噛み合いに起因するがたつきを生じることもない。なお、これに代えて、外装変速機60のテンションプーリ51として、図7(c)、(d)に示すもの、図7(e)、(f)に示すものを用いてもよい。
なお、この実施の形態では、駆動スプロケット2のさらに後方に、チェーン3を案内する機能を有するガイド装置50’を配置しており、このガイド装置50’に設けられたガイドプーリ51’により、駆動スプロケット2により持ち上げられたチェーン3が押し下げられて、駆動スプロケット2にチェーン3が噛み合う巻き角度が増加するように案内しているが、このガイド装置50’は、図9に示すテンショナ装置から付勢ばね15を省いて、支持アーム13をユニットケース11の所定位置および所定姿勢で取り付けたものを用いている(図示せず)。そして、このガイド装置50’に設けられたガイドプーリ51’も、図7(a)、(b)に示すもの(または図7(c)、(d)に示すもの、図7(e)、(f)に示すものを用いてもよい)と同じ形状のものを用いており、これにより、ガイドプーリ51’としても安価に製造することができ、また、従来のような、チェーン3とテンションプーリの歯部との噛み合いのためのテンションプーリの取付位置の調整も行わなくて済み、また、チェーン3が延びた場合でも、従来の歯部の噛み合いに起因するがたつきを生じることもない利点がある。
なお、上記各実施の形態のテンションプーリ51やガイドプーリ51’の材料としてはポリアセタール(POM)やポリアミド(PA)が適しているが、これに限るものではなく、安価で、滑り易く、耐久性があるものが望ましい。
また、図8に示す実施の形態では、外装変速機60を後輪41のフリーホイール部に設けた場合を述べたが、これに限るものではなく、外装変速機をクランク部に設けたものにも適用できることはもちろんである。
本発明のテンショナ装置は、電動自転車のテンショナ装置として用いることができる。
本発明の実施の形態に係るテンショナ装置を備えた電動自転車の全体側面図 同電動自転車の中央部から後部を示す側面図 同電動自転車のモータ駆動ユニットの取付状態を示す斜視図 同電動自転車のモータ駆動ユニットの概略的な平面断面図 同電動自転車のユニットケースおよびその近傍箇所の側面図 同電動自転車のテンショナ装置の斜視図 (a)および(b)は同テンショナ装置のテンションプーリの部分切欠正面図および側面図、(c)および(d)は他の変形例のテンションプーリの部分切欠正面図および側面図、(e)および(f)はさらに他の変形例のテンションプーリの部分切欠正面図および側面図 本発明の実施の形態に係るテンショナ装置を備えた電動自転車の中央部から後部を示す側面図 テンショナ装置の分解斜視図(テンションプーリは省いており、従来のものと本実施の形態の場合との共通部分を示す) 従来の電動自転車のユニットケースおよびその近傍箇所の側面図 同従来の電動自転車のテンショナ装置の斜視図 (a)および(b)はチェーンの拡大側面図および部分切欠平面図 (a)および(b)は従来のテンショナ装置のテンションプーリの部分切欠正面図および側面図
符号の説明
2 駆動スプロケット
3 チェーン
3c ローラ
3f 内側部分
10 モータ駆動ユニット
11 ユニットケース
13 支持アーム
14 プーリ軸
15 付勢ばね(付勢手段)
16 クランク軸
17 チェーンスプロケット
37 電動モータ
46 後輪スプロケット
50 テンショナ装置
51 テンションプーリ
51a 外周面部
51b 鍔状部
51c 凸状部

Claims (2)

  1. 人力駆動力に加える補助駆動力を発生するモータ駆動ユニットと、このモータ駆動ユニットから補助駆動力を出力する駆動スプロケットと、クランク軸とともに回転するチェーンスプロケットからの人力駆動力および前記駆動スプロケットから出力される補助駆動力を後輪スプロケットに伝達するチェーンに接触するテンションプーリと、テンションプーリの軸心に設けられたプーリ軸を介して前記テンションプーリを回転自在に支持する支持アームと、前記チェーンのテンションを増加させる方向に支持アームを付勢する付勢手段とを備えて、前記付勢手段からの付勢力をテンションプーリからチェーンに与えることにより前記チェーンのテンションを自動的に調整するとともに、前記テンションプーリが、モータ駆動ユニットから補助駆動力を出力する駆動スプロケットに対して、チェーンの噛み合う巻き角度を増加させるようにチェーンを案内するガイドプーリとしても兼用されている電動自転車のテンショナ装置であって、前記テンションプーリの外周面部を、チェーンのローラ間に突入しない状態で前記チェーンの無端形状の内側部分に摺接する形状に形成し、テンションプーリの幅方向両端部に、チェーンのテンションプーリ幅方向への移動を規制する鍔状部が形成されているが、テンションプーリの幅方向略中央部に、チェーンのローラに摺接するとともにチェーンのテンションプーリ幅方向への移動を規制する凸状部が形成されていない電動自転車のテンショナ装置。
  2. 請求項1に記載の電動自転車のテンショナ装置を備えた電動自転車。
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