JP4748681B2 - 溶接システムおよび溶接方法 - Google Patents
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そのため、ホイールの溶接作業が複雑化してしまう。
しかし、ホイールの種類毎に専用ラインを設けるのでは、ラインを製造するために必要なコストが膨大となり、且つ、非常に大きなスペースが必要となるので、非能率的である。
「フルフェイス」のホイールの一例を図8に示す。当該ホイール1Fは、リム11fとディスク12fとが溶接wによって一体に構成されている。図8において、ディスク12fの直径を符号「Df」で示す。
図9は、既存のホイールの一種である「ドロップ部でディスクと接合するタイプ」のホイールを示している。図9において、ホイール1Dは、リム11dとディスク12dとが溶接wによって一体に構成されている。ディスク12dの直径はDdである。
図8の直径Dfと、図9の直径Ddとを比較すれば明らかな様に、ホイール自体のサイズが同一であれば、既存のホイール1Dにおけるディスク12dの直径Ddは、上述した「フルフェイス」(ディスクの面積を大きくしたタイプのホイール)のホイール1Fにおけるディスク12fの直径Dfに比較して小さい(図8、図9参照)。
既存のホイール1(「ドロップ部でディスクと接合するタイプ」、「ビードシート部でディスクと接合するタイプ」、「レッジ部でディスクと接合するタイプ」)では、ホイール1あるいはディスクが水平となるように配置された状態に保持された1個のホイール1に対して、4本の溶接トーチ31を同時に使用して溶接する(いわゆる「水平4点溶接」)。
図10では、そのような溶接(「水平4点溶接」)方法を示している。但し、図10では、図示を簡略化するため、溶接トーチ31は1本のみ示す。図10において、符号Cは、溶接時のスパッタがホイールへ付着することを防ぐため、ディスク内部の表面を覆うスパッタカバーを示す。
4本の溶接トーチ31を同時に使用するため、ホイールが1/4回転すれば、全周に亘る溶接が完了する。
しかしながら、図11で示すように、既存のホイール1Dにおいては、リム11dとディスク12dとの溶接箇所wはリムの内周面に位置するため、溶接箇所wにはタイヤTは接触しない。従って、その溶接箇所wにおいて、溶接ビードが盛り上がっても、タイヤTから空気が漏れる心配は無い。なお、図11では、既存のホイールである「ドロップ部でディスクと接合するタイプ」のホイール1Dについて、リム11dとディスク12dと溶接箇所wとの相対関係が示されている。
「フルフェイス」の溶接ラインでは、溶接に際して1本の溶接トーチしか使用せず、図13に示すように、ホイール(あるいはディスク)1Fを移動装置であるポジショナー4によって水平面に対して45°傾斜した状態で保持して、ホイール1Fを回転させて溶接を行っている(1点傾斜溶接)。
上述した「フルフェイス」のホイール1Fにおける溶接(1点傾斜溶接)で用いられている溶接トーチは1本のみである。
そのため、「フルフェイス」のホイール1Fにおける溶接ラインでは、4本の溶接トーチを同時に使用する既存のホイールにおける溶接(水平4点溶接)を行うラインに比較して、溶接作業の効率あるいは生産性が低下してしまうという問題を有している。
しかし、そのような従来技術は、上述したような問題点を解消するものではない。
そのため、従来は溶接機構(溶接ステーション3)で1個のホイールしか溶接できなかったのに比較して、溶接作業の効率(1台あたりの溶接時間、あるいは生産性)が遥かに向上するのである。
先ず、図1〜図6を参照して、第1実施形態を説明する。
図1及び図2において、全体を符号100で示す溶接システムは、搬送装置(搬送ロボット)2と、溶接機構(溶接ステーション)3と、移動装置(ポジショナー)4と、制御装置(集中制御盤)50とを有している。
すなわち、搬送ロボット2は、図示しない搬送コンベアから溶接前のホイール1を挟み込んで取り出し、ポジショナー4上に載置する。或いは、搬送ロボット2は、ポジショナー4上に載置されている溶接後のホイール1を挟み込んで取り出し、後続する工程に連続する搬送ラインへ移動せしめる。
ロッド駆動部23は、2本のロッド24A、24Bを備えたロッド24を駆動する。
アーム部25は、2本のロッド24A、24Bの先端の回転支持部に支持され、平行運動及び揺動運動を行う様に構成されている。
ホイール支持部27は、回転ヘッド26に取付けられ、矢印R4方向に回転可能に構成されている。
搬送ロボット2は、6自由度(前後・左右・上下と、3軸方向の回転)の運動が可能に構成されており、図示しない搬送ラインとポジショナー4の停止位置との相対位置関係に対処して、ホイールを移動することが出来る。
ポジショナー4は、頂部にホイール1を保持して、前記搬送ロボット2のホイール支持部27が到達する位置と、溶接ステーション3との間の移動ライン5(図1、図2参照)上を移動するように構成されている。なお、第1実施形態では、2つの移動ライン5が設けられている。
ポジショナー4は、頂部に保持されたホイール1が水平になる姿勢(水平4点溶接時の姿勢)と、ホイール1が水平面に対して傾斜する姿勢(1点傾斜溶接時の姿勢)とを変更可能に構成されている。
尚、移動手段として、ウォームスクリューG、ウォームナットの組み合わせに変えて、例えばベルト等、公知の機構を用いることが出来る。
スパッタカバーCは、ホイール1にスパッタが飛散し、付着してしまうことを防止するためのキャップ状の部材であり、スパッタカバー載置装置9は、水平4点溶接を行うべきホイール1に対して、その溶接前に(水平4点溶接を行う前に)、ホイール1のディスクの内側にスパッタカバーCを被せるように構成されている。
一方、ホイール1が水平面に対し傾斜した状態で溶接される場合(1点傾斜溶接の場合)には、溶接ステーション3には2個のポジショナー4が、時間をずらして進入して、1つのホイール1について、1個の溶接ロボット30を用いて溶接が行われる。
前記集中制御盤50は、ホイールの生産計画に従って、上述した2つの溶接に関する制御を適宜実行する様に構成されている。
一方、「フルフェイス」のホイール1Fにおける1点傾斜溶接をする場合は、図3の右側のポジショナー4で示す様に、上部部材41が回動して、ホイール1Fが水平面に対して45°傾斜する。
先ず、図3において、集中制御盤50は決定済みの生産計画に従って、ホイールについて、水平4点溶接を行うのか、あるいは、1点傾斜溶接を行うのかを判定する(図4のステップS1)。
ここで、決定済みの生産計画に従って水平4点溶接を行うのか、あるいは、1点傾斜溶接を行うのかを判定するにあたっては、既存の制御技術が用いられている。
図5において、先ず、溶接前のホイール1を搬送ロボット2によりポジショナー4の頂部へ設置する(ステップS11)。
ここで、システム100において、空いているポジショナー4(ホイール1を頂部に保持していないポジショナー4)が存在していないことを確認する(ステップS111)。
空いているポジショナーが存在しなければ(ステップS111がYES)、ステップS12に進む。
空いているポジショナー4が存在している場合には(ステップS111がNO)、当該空いているポジショナー4にホイールをセットし(ステップS112)、ステップS12に進む。
先行ホイールが溶接中の場合、或いは、ホイールを載置したポジショナー4が溶接ステーション3に既に進入している場合には(ステップS14でNO)、ポジショナー4は、スパッタカバーCを載せる位置で、先行ホイールの溶接が終了するまで待機する(ステップS140)。
先行ホイールの溶接が行われていない場合、或いは、ホイールを載置したポジショナー4が溶接ステーション3に進入していない場合には(ステップS14でYES)、ポジショナー4を溶接ステーション3の溶接位置まで移動する(ステップS15)。
水平4点溶接が終了したなら(ステップS17がYES)、溶接トーチ30を溶接前の位置に戻し、ポジショナー4をスパッタカバー載置装置9の位置まで移動させる(ステップS18)。
そして、スパッタカバーCを取り外したポジショナー4を移動して、移動ライン5の端部(搬送ロボット2のホイール支持部27が到達する位置)まで戻り(ステップS119)、搬送ロボット2によって、溶接の完了したホイールを、ポジショナー4から図示しない搬送ラインへ移動する(ステップS20)。
全てのホイールの溶接を完了し、或いは、予定された作業を全て完了して、溶接システム100を停止させるのであれば(ステップS21がYES)、そのまま溶接システム100を停止させる。
溶接するべきホイールが未だに存在し、溶接システム100を停止させないのであれば(ステップS21がNO)、図4の「C」に進む。
図6において、先ず、搬送ロボット2によって、図示しない搬送ラインから、溶接前のホイール1Fをポジショナー4の頂部にセットする(ステップS31)。
空いているポジショナーが存在しなければ(ステップS311がYES)、ステップS32に進む。
空いているポジショナー4が存在している場合には(ステップS311がNO)、当該空いているポジショナー4にホイールをセットし(ステップS312)、ステップS32に進む。
溶接位置まで移動すると、ポジショナー4のヘッド41が水平面に対して45°傾斜して、ホイール1Fを水平面に対して45°傾斜した状態で保持する(ステップS33)。
溶接が終了していないのなら(ステップS35がNO)、1点傾斜溶接を続行する。溶接が終了していれば(ステップS35がYES)、ポジショナー4のヘッド41を傾斜した状態を、ヘッド41が水平となった状態に復帰させる(ステップS36)。
全てのホイールの溶接を完了し、或いは、予定された作業を全て完了して、溶接システム100を停止させるのであれば(ステップS39がYES)、そのまま溶接システム100を停止させる。
溶接するべきホイールが未だに存在し、溶接システム100を停止させないのであれば(ステップS39がNO)、図4の「D」に進む。
図7において、溶接システム全体を符号101で示す。
図7で示す溶接システム101は、図1〜図6の第1実施形態における溶接システム100に対して、ポジショナー4を2台追加し、その追加した2台と、搬送ロボット2の1台を、溶接ステーション3を挟んで、図1、図2の搬送ロボット2とは反対側の位置に設けている。
2・・・搬送装置/搬送ロボット
3・・・溶接機構/溶接ステーション
4・・・移動装置/ポジショナー
5・・・移動ライン
6・・・スパッタカバー
7・・・支柱
8・・・水平部材
9・・・スパッタカバー載置装置
30・・・溶接装置/溶接ロボット
31・・・溶接トーチ
50・・・制御手段/集中制御盤
C・・・
Claims (4)
- 溶接前のホイールを搬送ラインから取り込みかつ溶接後のホイールを搬送ラインに移動する搬送装置と、リムとディスクとの接合箇所を溶接する溶接機構と、頂部にホイールを保持して搬送手段と溶接機構との間を移動する複数の移動装置と、制御装置とを有し、前記溶接機構は複数の溶接装置を備えており、前記移動装置は、頂部に保持されたホイールが水平になる姿勢と、ホイールが水平面に対して傾斜する姿勢とを変更可能に構成されており、前記制御装置は、ホイールが水平な状態で行われる溶接の場合には、溶接機構には1個の移動装置が進入して、その移動装置の頂部に保持された1個のホイールに対して複数の溶接装置を用いて溶接し、ホイールが水平面に対し傾斜した状態で行われる溶接の場合には、溶接機構には複数の移動装置が進入して、複数の移動装置の頂部に保持された複数のホイールの各々について1個の溶接装置を用いて溶接し、一つの移動装置が進入して一つの溶接装置で溶接されている間に、他の移動装置を時間をずらして溶接機構に進入させて溶接させる制御を行うように構成されていることを特徴とする溶接システム。
- 移動装置の頂部に保持されたホイールの内側にスパッタカバーを被せるスパッタカバー載置装置を有し、前記制御装置は、ホイールを水平な状態で溶接する場合に、溶接機構で溶接が行われている間は、溶接前のホイールを頂部に保持した移動装置はスパッタカバー載置装置の位置で待機し、溶接機構で溶接が行われていなければ溶接前のホイールを頂部に保持した移動装置を溶接機構に進入させる制御を行う様に構成されている請求項1の溶接システム。
- 請求項1の溶接システムを用いた溶接方法において、ホイールを水平な状態で溶接するのか、あるいは、水平面に対し傾斜した状態で溶接するのかを決定する工程と、ホイールを水平な状態で溶接する場合には、溶接機構に1個の移動装置を進入させて、その移動装置の頂部に保持された1個のホイールに対して複数の溶接装置を用いて溶接する工程と、ホイールを水平面に対し傾斜した状態で溶接する場合には、溶接機構に複数の移動装置を進入させて、複数の移動装置の頂部に保持された複数のホイールの各々について1個の溶接装置を用いて溶接する工程と、ホイールを水平面に対し傾斜させた状態で溶接する場合に、溶接機構に進入した移動装置の頂部を水平面に対して傾斜させる工程と、予め選択された一つの溶接装置を移動装置に保持されたホイールにおける溶接箇所に近接させて溶接する工程と、その溶接を行う工程の間に他の移動装置を溶接機構に進入させる工程と、進入した他の移動装置の頂部を水平面に対して傾斜させる工程と、溶接をしていない溶接装置の中の予め選択された一つの溶接装置を他の移動装置に保持されているホイールに近接させて溶接する工程、とを有することを特徴とする溶接方法。
- ホイールを水平な状態で溶接する場合に、スパッタカバー載置装置により移動装置の頂部に保持されたホイールの内側にスパッタカバーを被せる工程と、溶接機構で溶接がされている間は、溶接前のホイールを頂部に保持した移動装置をスパッタカバー載置装置の位置で待機させる待機工程と、溶接機構で溶接が行われていなければ溶接前のホイールを頂部に保持した移動装置を溶接機構に進入せしめる工程、とを有する請求項3の溶接方法。
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