JP4747364B2 - 紫外線皮膚炎抑止剤およびアトピー性皮膚炎抑止剤 - Google Patents
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Description
(1)イソロイシルグリシルセリル単位、プロリルイソロイシルグリシルセリル単位、グリシルプロリルイソロイシルグリシルセリル単位、グリシルプロリルイソロイシルグリシルトレオニル単位、プロリルイソロイシルグリシル単位およびグリシルプロリルイソロイシルグリシル単位からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含む水溶性ペプチド、ならびにこれらの水溶性塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する紫外線皮膚炎抑止剤。
(2)イソロイシルグリシルセリル単位、プロリルイソロイシルグリシル単位およびグリシルプロリルイソロイシルグリシルセリル単位からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含む水溶性ペプチド、ならびにこれらの水溶性塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する紫外線皮膚炎抑止剤。
(3)イソロイシルグリシルセリル単位および/またはプロリルイソロイシルグリシル単位を含む水溶性ペプチド、ならびにこれらの水溶性塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する紫外線皮膚炎抑止剤。
(4)イソロイシルグリシルセリル単位を含む水溶性ペプチド、ならびにこれらの水溶性塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する紫外線皮膚炎抑止剤。
(5)下記式(1)で表される水溶性ペプチド、およびその水溶性塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する紫外線皮膚炎抑止剤。
式(1)
Gly−Pro−Ile−Gly−X
(式(1)中、Xはヒドロキシル基含有アミノ酸単位である。)
(6)前記式(1)中のXはSerまたはThrである、(5)に記載の紫外線皮膚炎抑止剤。
(7)前記水溶性ペプチドは、3〜8個のアミノ酸由来のものである、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の紫外線皮膚炎抑止剤。
(8)イソロイシルグリシルセリル単位、プロリルイソロイシルグリシルセリル単位、グリシルプロリルイソロイシルグリシルセリル単位、グリシルプロリルイソロイシルグリシルトレオニル単位、プロリルイソロイシルグリシル単位およびグリシルプロリルイソロイシルグリシル単位からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含む水溶性ペプチド、ならびにこれらの水溶性塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有するアトピー性皮膚炎抑止剤。
(9)下記式(1)で表される水溶性ペプチド、およびその水溶性塩からなる群より選択される少なくとも1種を3mg/ml以上の濃度で含有する溶液である、アトピー性皮膚炎抑止剤。
式(1)
Gly−Pro−Ile−Gly−X
(式(1)中、Xはヒドロキシル基含有アミノ酸単位である。)
(10)軟膏である、(8)に記載のアトピー性皮膚炎抑止剤。
(11)固体状である、(8)に記載のアトピー性皮膚炎抑止剤。
本発明で用いることができるペプチドは、イソロイシルグリシルセリル単位、プロリルイソロイシルグリシルセリル単位、グリシルプロリルイソロイシルグリシルセリル単位、グリシルプロリルイソロイシルグリシルトレオニル単位、プロリルイソロイシルグリシル単位およびグリシルプロリルイソロイシルグリシル単位からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含む水溶性ペプチド(以下、「本発明におけるペプチド」ということがある)である。
本発明におけるペプチドは好ましくは、イソロイシルグリシルセリル単位、プロリルイソロイシルグリシル単位(より好ましくは、プロリルイソロイシルグリシルセリル単位)およびグリシルプロリルイソロイシルグリシルセリル単位からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含む水溶性ペプチドである。
本発明におけるペプチドはさらに好ましくは、プロリルイソロイシルグリシル単位および/またはイソロイシルグリシルセリル単位を含む水溶性ペプチドである。
本発明におけるペプチドはよりさらに好ましくは、イソロイシルグリシルセリル単位を含む水溶性ペプチドである。
本発明におけるテトラペプチドとしては、好ましくは、前記トリペプチドの前または後に、アミノ酸残基が結合した水溶性ペプチドである。ここで、好ましいアミノ酸残基としては、グリシル基、アラニル基、アルギニル基、アスパラギル基、リジル基、セリル基、トレオニル基、バリル基またはグルタミル基が挙げられる。
本発明におけるテトラペプチドは、より好ましくは、グリシルプロリルイソロイシルグリシンおよびプロリルイソロイシルグリシルセリンである。
本発明におけるオリゴペプチドとして、より好ましくは、グリシルプロリルイソロイシルグリシンまたはプロリルイソロイシルグリシルセリンの前後にアミノ酸残基が結合した水溶性ペプチドである。ここでいうアミノ酸残基も、上記テトラペプチドのところで記載したものと同じものを挙げることができる。
本発明におけるオリゴペプチドとして、好ましい他の一例として、下記式(1)で表される水溶性ペプチドを含む水溶性ペプチドである。
式(1)
Gly−Pro−Ile−Gly−X
(式(1)中、Xはヒドロキシル基含有アミノ酸単位である。)
ここで、Xとしては、SerまたはThrが好ましく、Serがより好ましい。
さらに、本発明におけるオリゴペプチドの中では、前記式(1)で表される水溶性ペプチドのみからなるオリゴペプチド、前記式(1)で表される水溶性ペプチドのペンタペプチド単位をカルボキシル基末端に有するオリゴペプチドが好ましい。
このようなオリゴペプチドとしては、アラニルグリシルプロリルイソロイシルグリシルセリン、セリルグリシルプロリルイソロイシルグリシルセリン、グリシルセリルグリシルプロリルイソロイシルグリシルセリン等が例示される。
本発明におけるポリペプチドは、分子量500以下であることが好ましく、450以下であることが、水により溶解しやすいという点でより好ましい。
また、アジド法は、アミノ酸またはペプチドに無水ヒドラジンを反応させて対応するヒドラジドを形成させる方法であり、ラセミ化の少ないセグメント縮合法として知られている。
このようなα−アミノ酸エステル、アミノ基やヒドロキシル基を保護された原料アミノ酸は、市販品として容易に入手可能である。
上記の外用剤は、薬理学的、製剤学的に許容し得る添加物を加えて製造することができる。薬理学的、製剤学的に許容し得る添加物の例としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を挙げることができる。上記の外用剤には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、他の紫外線皮膚炎抑止剤またはアトピー性皮膚炎抑止剤を1種又は2種以上配合してもよい。本発明の紫外線皮膚炎抑止剤またはアトピー性皮膚炎抑止剤の投与方法は特に限定されないが、皮膚用外用剤が好ましい。また、本発明の外用剤の投与量は特に限定されず、有効成分の種類などに応じて適宜選択することができ、さらに患者の体重や年齢、疾患の種類や症状、投与経路など通常考慮すべき種々の要因に応じて、適宜増減することができる。一般的には、紫外線皮膚炎抑止剤として用いる場合、成人一日当たり0.00001〜1000mg、好ましくは0.001〜10mgの範囲で用いることができる。一般的には、アトピー性皮膚炎抑止剤として用いる場合、成人一日当たり0.00001〜1000mg、好ましくは0.001〜10mgの範囲で用いることができる。
本発明のアトピー性皮膚炎抑止剤を液状とする場合、水性媒質に、0.001mg/ml以上の濃度で溶解することが好ましく、0.1mg/ml以上の濃度で溶解することがより好ましく、1mg/ml以上の濃度で溶解することがさらに好ましく、3mg/ml以上の濃度で溶解することがよりさらに好ましく、10mg/ml以上の濃度で溶解することが最も好ましい。
この際用いる水性媒質としては、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が好ましい。
水溶性有機溶剤としては、例えばエチルアルコールのようなアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコールのような多価アルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような極性有機溶剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。好ましい水性溶媒は、水とプロピレングリコールとエチルアルコールとの混合溶媒である。
疎水性基剤(油脂性基剤)として、油脂、ロウ、炭化水素類等が用いられ、具体的には、黄色ワセリン、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、プラスチベース、シリコーン等の鉱物性基剤、およびミツロウ、動植物性油脂等の動植物性基剤が挙げられる。
ヒドロゲル基剤として、カルボキシビニルポリマー類、ゲルベース、無脂肪性軟膏、ポリエチレングリコール類等が挙げられる。
被験物質の調製
グリシルプロリルイソロイシルグリシルセリン(以下、「GPIGS」と示すことがある)(AMERICAN PRPTIDE製、lot.CC−09−119)を1mg秤量した。大塚注射用水(大塚製薬製、cat.322134)300μlを加え溶解させた後、プロピレングリコール(和光純薬(株)製、cat.161−05006)200μlおよびエタノール(和光純薬(株)製、cat.057−00456)500μlを混合し、1mg/mlの GPIGS溶液(1)を調製した。
マウスは、7週齢マウス(エスエルシー製、BALB/c系)を、1週間飼育し、馴化させた。
9.7mlの(アセトン:オリーブオイル = 3:1) 溶液に2,4−ジトリフルオロベンゼン(ナカライテスク製、cat.135−12)(DNFB)を10μl (14.5mg) 添加し、1.5mg/mlのDNFB 溶液とした。
BALB/cマウス(8週齢)の左右の耳の表裏に、1.5mg/mlのDNFB溶液をそれぞれ25μlずつ、1週間に1回の割合で5回塗布した。
薬液は、4回目のDNFB溶液塗布の1日後から1日1回、左右の耳の表裏に25μlずつ塗布した(5回目のDNFB溶液塗布時には、DNFB塗布の1時間前にGPIGS溶液(1)を塗布した)。5回目のDNFB溶液塗布から48時間後の耳介表面における水分蒸散量をテヴァメーターTM300(Courage+Khazaka 社製) にて測定し、角質バリア機能を評価した(1−3)(本発明)。
また、DNFB溶液に代えて、(アセトン:オリーブオイル = 3:1) 溶液を塗布した他は上記と同様に行ったもの(1−1)および、GPIGS溶液(1)からGPIGSを除いた溶液を用いた他は上記と同様に行ったもの(1−2)(比較例)についても角質バリア機能を評価した。
いずれの実験についても、マウス5匹ずつについて行った。
また、実施例1において、GPIGS溶液(1)の濃度を、3mg/mlとし、他は同様に行ったところ、実施例1より、より良好な角質バリア機能が認められた。
被験物質の調製
実施例1と同様に、GPIGS溶液(1)を調製した。
試料の調製
マウスは、産業技術総合研究所・動物飼育室で1週間以上飼育し馴化させた10週齢マウス(エスエルシー製、Hos:HR−1系)を用いた。
いずれの実験についても、マウス4匹ずつについて行った。
(2−2)および(2−3)の水分蒸散量は共に、連続的なUVB照射により経日的に上昇したものの、その上昇率は、(2−3)(本発明)の方が(2−2)(比較例)より低かった。特に、UVB照射後4日目以降における(2−3)(本発明)の水分蒸散量は、(2−2)(比較例)と比較して有意に低かった。このことからGPIGSは、UVB照射によって損傷した角質バリア機能に対して改善効果を示すことが明らかとなった。
10mgのGPIGSに、ハイビスワコー104(和光純薬工業社製) 1.0g 、プロピレングリコール20.0g、ジイソプロパノールアミン1.1g、ゲンタミシン液 1.0g、精製水 76.7g、ハイビスワコー104(和光純薬工業社製)に精製水20gを加えて混和して軟膏を作製した。この軟膏を実施例1および実施例2と同様の処理をしたマウスに塗布したところ、それぞれの皮膚炎の改善が認められた。
10mgまたは30mgのGPIGSに、ハイビスワコー104(和光純薬工業製)を100mg、大塚注射用水を7.8mL、エタノールを2mL、1NのHClを50μLおよび5MのNaOHを50μL、加えて混和し、それぞれ、1mg/mL、3mg/mLの2種類の濃度のGPIGS軟膏(順に、(3−3)、(3−4)とする)を調整した。これらの軟膏を実施例1と同様の処理をしたマウスに塗布した。その結果を図3に示した。
図3中、(3−3)は1mg/mLのGPIGS軟膏(3−3)を塗布した群を、(3−4)は3mg/mLのGPIGS軟膏(3−4)を塗布した群を、(3−1)はDNFB溶液に代えて、(アセトン:オリーブオイル=3:1)溶液を塗布した群を、(3−2)はGPIGS軟膏(3−3)からGPIGSを除いた軟膏を塗布した他は(3−3)と同様に処置した群(比較例)を、それぞれ示している。
ここで、(3−2)の水分蒸散量は8.42g/m2/hrであり、(3−1)1.83g/m2/hrと比較して有意に増大した。このことから、実施例1と同様に、DNFB溶液を塗布したマウスの皮膚では角質バリア機能が著しく低下していることが確認できた。さらに、(3−3)(本発明)の水分蒸散量は5.23g/m2/hr、(3−4)(本発明)の水分蒸散量は3.89g/m2/hrであり、それぞれ、(3−2)(比較例)と比較して有意に減少した。このことからGPIGSは、皮膚炎によって損傷した角質バリア機能に対して改善効果を示すことが明らかとなった。また、(3−3)と(3−4)との比較から明らかな通り、濃度依存的な角質バリア機能の改善作用が認められ、その作用は3mg/mLの濃度でより効果的であった。
実施例1において、GPIGSの変わりにイソロイシルグリシルセリン(以下、「IGS」と示すことがある)を用いて1mg/mLの濃度のIGS溶液(6)を作製し、他は同様に行った。図4に示すようにIGSもまたGPIGSと同様に皮膚炎によって損傷した角質バリア機能に対して改善効果を示した。
図4中、(4−3)は1mg/mLのIGS溶液(6)を塗布した群(本発明)を、(4−1)はDNFB溶液に代えて(アセトン:オリーブオイル=3:1)溶液を塗布した群を、(4−2)はIGS溶液からIGSを除いた溶液を塗布した他は(4−3)と同様に処置した群(比較例)をそれぞれ示している。
ここで、(4−2)の水分蒸散量は9.29g/m2/hrであり、(4−1)1.83g/m2/hrと比較して有意に増大した。このことから、実施例1と同様に、DNFB溶液を塗布したマウスの皮膚では角質バリア機能が著しく低下していることが確認できた。さらに、(4−3)(本発明)の水分蒸散量は5.57g/m2/hrであり、(4−2)(比較例)と比較して有意に減少した。このことからGPIGSは、皮膚炎によって損傷した角質バリア機能に対して改善効果を示すことが明らかとなった。
10mgのGPIGSまたはIGSに、ハイビスワコー104(和光純薬工業性)を100mg、大塚注射用水を7.8mL、エタノールを2mL、1NのHClを50μLおよび5MのNaOHを50μL、加えて混和し、それぞれ、軟膏(5−3、5−4)を調整した。これらの軟膏を実施例3と同様の処理をしたマウスに塗布したところ、図5に示すように、GPIGS軟膏(5−3)およびIGS軟膏(5−4)はいずれもUVB照射によって損傷した角質バリア機能に対して改善効果を示した。
図5中、(5−3)は1mg/mLのGPIGS軟膏を塗布した群(本発明)を、(5−4)は1mg/mLのIGS軟膏を塗布した群(本発明)を、(5−1)はUVB照射を行わなかった群を、(5−2)は(5−3)からGPIGSを除いた軟膏を塗布した他は(5−3)と同様に処置した群(比較例)を、それぞれ示している。
(5−2)〜(5−4)の水分蒸散量は共に、連続的なUVB照射により経日的に上昇したものの、その上昇率は、(5−3)(本発明)、(5−4)(本発明)の方が(5−2)(比較例)より低かった。また、UVB照射後1日目から10日目までの総水分蒸散量について、(5−1)に対する(5−2)(比較例)の増加率を100%とした場合、(5−3)(本発明)および(5−4)(本発明)の増加率はそれぞれ82.1%および55.4%であり、いずれも明らかに抑制された。これらのことからGPIGSおよびIGSは、UVB照射によって損傷した角質バリア機能に対して改善効果を示すことが明らかとなった。
Claims (4)
- グリシルプロリルイソロイシルグリシルセリン、イソロイシルグリシルセリンおよび、プロリルイソロイシルグリシルセリンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含む水溶性ペプチド、ならびにこれらの水溶性塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する紫外線皮膚炎抑止剤。
- グリシルプロリルイソロイシルグリシルセリン、イソロイシルグリシルセリンおよび、プロリルイソロイシルグリシルセリンから選ばれる少なくとも1種以上を含む水溶性ペプチド、ならびにこれらの水溶性塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有するアトピー性皮膚炎抑止剤。
- 軟膏である、請求項2に記載のアトピー性皮膚炎抑止剤。
- 固体状である、請求項2に記載のアトピー性皮膚炎抑止剤。
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