JP4746941B2 - 素錠とコーティング層からなる丸剤または錠剤 - Google Patents

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Description

本発明は、有効成分である薬剤を含有する素錠とこれをコーティングするコーティング層からなる丸剤または錠剤に関する。より詳細には、本発明は有効成分である薬剤の有する特有の臭気や味を、消費者が服用時に感知することを防ぐとともに、長期間にわたって有効成分の飛散を防止し得る丸剤または錠剤の処方及び構造に関する。
経口薬として用いられる薬剤は、時として不快な臭気や不愉快な味を伴う。これによって、多くの割合の消費者が十分な治療量の薬剤を服用することを困難にする。
また、臭気を有する薬剤は携帯しづらいため、たとえ臭気や味が気にならない消費者であっても、適切な時間に薬剤を服用することを難しくする場合がある。
さらに、有効成分である薬剤が油分である場合、または揮発し易く時間の経過に伴い飛散してしまう性質を有する場合には、薬剤の保管中にこれが丸剤または錠剤から染み出してしまったり、または飛散してしまい、所望の薬効を得られなくなってしまう恐れがある。
前記のような課題を解決しようとした発明の1つとして、特表2003−519173号公表特許公報記載の発明がある。当該発明は、有効成分であるカノコソウ抽出物の有する臭気を遮断するため、ヒドロキシアルキルセルロースおよび粘着防止剤を含む第1のコーティング層と、糖と粘着防止剤を含む第2のコーティング層と、メタクリレートコポリマーとヒドロキシアルキルセルロースと粘着防止剤を含む第3のコーティング層を含む錠剤の構成が開示されている。
上記構成により、有効成分の臭気を遮断し、消費者の服用を容易にするという目的が達成される。また、前記公報に明示的に記載はされていないものの、薬剤の飛散を防止し、時間の経過に伴い所望の薬効が失われることを防止する効果をも有するものと想像される。
しかし、多種類のコーティング層を形成するための各種薬剤などの原料が必要であり、また多種類のコーティング層を形成するために必要な工程数の増加により発生するコストが丸剤または錠剤の製造者にとって負担となり易いという課題がある。つまり、非常に生産量が多い丸剤または錠剤である場合や販売価格が高額である丸剤または錠剤である場合でなければ前記公報記載の発明の丸剤または錠剤構造は採用し難いと考えられる。
また、丸剤または錠剤を携帯する場合には、振動や衝撃によってコーティング層に割れや欠けが発生することは十分に想定されることである。たとえ、目視できるほどの割れや欠けにまでは至らない場合においても、微小なひびの発生を完全に防止することは非常に困難である。このような場合、割れや欠けから素錠に含まれる有効成分が染みだしたり飛散したりするために、臭気が発生してしまったり所望の薬効が得られなくなるという課題が生じる。
また、前記課題を解決しようとした別の発明として、特開2002−128670号公開特許公報記載の発明がある。当該公報の段落番号0022等には、有効成分である薬剤の強い苦味を服用時に感じなくするために、前記薬剤を含む錠剤用組成物を圧縮整形して得た素錠をD−マンニトールを含有するコーティング液でコーティングを行うことが開示されている。
しかしながら、前記発明は主に有効成分の強い苦味を服用時に感じなくすることを目的としており、有効成分の臭気の遮断や飛散の防止についての効果の有無については特段の開示がない。また、前記発明がたとえ臭気の遮断や飛散を防止する効果を有していたとしても、錠剤の携帯時に発生するコーティング層の割れや欠けによってこれらの効果を喪失することについては前記特表2003−519173号公報に開示される発明と同じ課題を共通している。
特表2003−519173号公報 特開2002−128670号公報
また、有効成分である薬剤が日本薬局方クレオソートである場合にはさらに根本的な課題が生じる。なぜなら、主たる有効成分を日本薬局方クレオソートとする丸剤では、しばしば水分と油分の両方を多く含有する場合があるからである。また、錠剤では、油分を多く含有する場合があるからである。
このような丸剤または錠剤では、通常使用されるフィルムコート剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を使用した場合、薬剤の水分が多いためにフィルムコート剤が膨潤してしまうため、又、油分が多いため、フィルムコート剤が溶解し、乾燥したフィルムコート膜を形成することが困難であるものと想像される。
また、水分の影響を受けにくいフィルムコート剤の例としてポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートを使用したとしても、日本薬局方クレオソートが透過してしまい、やはり乾燥したフィルムコート膜が形成されない。
以上のように、有効成分の有する臭気や味を遮断し同時に有効成分の飛散による薬効の劣化を防止せんとした錠剤についての従来技術においては、製造コスト上の課題の他、特に錠剤の携帯時の振動や衝撃による割れや欠けの発生への対応が不完全であるといった課題が十分に解決されたものではなかったといわざるを得ない。
従って、本発明が解決しようとする課題は、有効成分の有する臭気や味を遮断し、消費者の服用を容易にすることができ、かつ有効成分の飛散による薬効の劣化を防止しうる丸剤または錠剤を提供することである。また、このような丸剤または錠剤を簡単な構成で実現する、つまり安価に製造しうる丸剤または錠剤構成を提供することも課題としている。さらに、携帯時の振動や衝撃等によって丸剤または錠剤に割れや欠けが発生した場合であっても、有効成分の有する臭気の発生や有効成分の飛散による劣化を抑制し得る丸剤または錠剤構成を提供することをも課題としている。
なお、以下の説明中丸剤とは有効成分である薬剤を含む原料体を丸めるなどして略球形に成形したものであり、錠剤とは有効成分である薬剤を含む原料体を一定形状に圧縮成形したものである。いずれも医薬品の服用を容易にする効果を意図したものである。
前記課題を解決するために本発明の第1の課題解決手段においては、有効成分である薬剤を含有する素錠と、前記素錠をコーティングするコーティング層を含む丸剤または錠剤において、前記素錠にβ−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンを含有することを特徴とする丸剤または錠剤としている。
本発明の第2の課題解決手段においては、本発明の第1の課題解決手段に係る丸剤または錠剤において、前記薬剤は日本薬局方クレオソートであることを特徴としている。
本発明の第3の課題解決手段においては、本発明の第2の課題解決手段に係る丸剤または錠剤において、前記β−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンは前記日本薬局方クレオソートに対し重量比40%乃至60%を含有することを特徴としている。
本発明の第4の課題解決手段においては、本発明の第1乃至第3の課題解決手段に係る丸剤または錠剤において、前記コーティング層には寒梅粉を含有するコーティング層を含むことを特徴としている。
本発明の第5の課題解決手段においては、本発明の第4の課題解決手段に係る丸剤または錠剤において、前記コーティング層にはメチルセルロースを含有するコーティング層を含むことを特徴としている。
本発明の第6の課題解決手段においては、本発明の第1乃至第3の課題解決手段に係る丸剤または錠剤において、前記コーティング層には部分アルファー化デンプンを含有するコーティング層及びメチルセルロースを含有するコーティング層を含むことを特徴としている。。
本発明の第7の課題解決手段においては、本発明の第6の課題解決手段に係る丸剤または錠剤において、前記コーティング層には寒梅粉を含有するコーティング層を少なくとも18層とメチルセルロースを含有するコーティング層を少なくとも8層含むことを特徴としている。
本発明の第8の課題解決手段においては、本発明の第1乃至第7の課題解決手段に係る丸剤または錠剤において、最外部にカルシウムおよび糖類を含む糖衣コーティングまたは糖類を含まないコーティングを施されたことを特徴としている。
本発明の第1の課題解決手段においては、素錠にβ−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンを含有する構成としたので、β−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンによって有効成分である薬剤が包接され、有効成分の飛散が防止される。
つまり、β−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンは環状オリゴ糖の一種であり、環状構造の内側が疎水性で外側が親水性であるため、環状構造の内部に疎水性成分である油分を取り込み安定化する、包接作用として知られる性質を有する。従って、有効成分である薬剤が油分である場合、薬剤そのものがβ−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンに包接されて安定化する。これにより、有効成分である薬剤の有する特有の臭気の発生が抑制され消費者の丸剤または錠剤の服用が容易となり、同時に丸剤または錠剤の携帯に便利となるほか、有効成分である薬剤が飛散しないことから所望の薬効を長期間にわたって維持することができる。
本発明の第2の課題解決手段においては、前記薬剤を日本薬局方クレオソートとしたので、日本薬局方クレオソートの有する特有の臭気の少ない丸剤または錠剤が得られる。
すなわち、日本薬局方クレオソートは長らく使用されてきた実績のある優れた薬効を有する薬剤であるが、特有の刺激臭を有するために、消費者によっては所定量の服用が難しい場合があった。また、特有の刺激臭のために携帯がしづらい場合があり、外出時などは特に適切な時に服用することを困難にしていた。さらに、薬剤が油分であるために錠薬から染みだしてしまったり、飛散してしまったりする場合があり、時間の経過とともに薬効が劣化してしまう懸念も否定できなかった。
ところが、日本薬局方クレオソートとともにβ−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンを素錠に添加することで前記の刺激臭は大いに軽減される他、薬剤の染みだしや飛散といった現象も相当程度克服される。これにより、消費者が日本薬局方クレオソートを適切な時に所望量服用することが容易になり、またこれの携帯にも便利であるという効果が発揮される。
本発明の第3の課題解決手段においては、β−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンは日本薬局方クレオソートに対し重量比40%乃至60%を含有することを特徴としたので、日本薬局方クレオソートの有する特有の臭気の発生を抑制しつつ、丸剤または錠剤を最小の大きさとすることができる。
すなわち、β−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンの包接力は、包接する薬剤の種類によって大きく変化するものの、日本薬局方クレオソートの場合は、日本薬局方クレオソートに対してβ−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンは重量比で約50%程度の添加で効果がほぼ飽和することが、本願発明者の研究によって明らかになっている。よって、原理的にはβ−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンを日本薬局方クレオソートに対し重量比50%添加すれば所望の効果が得られることになる。
もっとも、β−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンの添加量が日本薬局方クレオソートに対し重量比50%未満であっても不完全ではあるものの全く効果がないわけでは無く、また、重量比50%を超えたとしても効果が失われるわけでもない。したがって、実用上は重量比40%乃至60%とすれば適当である。
本発明の第4の課題解決手段においては、前記コーティング層には寒梅粉を含有するコーティング層を含む構成としたので、苛酷な環境においても、有効成分である薬剤の有する特有の臭気の発生が抑制され、かつ薬剤が飛散することを防止し所望の薬効の長期間の維持が達成される。
すなわち、β−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンの包接作用によって有効成分である薬剤の飛散は大きく抑制されるものの、丸剤または錠剤を高温にさらした場合、例えば消費者が丸剤または錠剤を携帯して炎天下で活動する場合等には依然として薬剤が飛散し、臭気を発生したり薬効を喪失したりする場合がある。そこで、寒梅粉を含むコーティング層で素錠をコーティングすることで苛酷な環境にさらされることがあっても薬剤の飛散を防ぐのである。
寒梅粉はもち米を蒸して乾燥粉砕したものであり、素錠に含まれる水分及び寒梅粉を付着させる際の水分によっていったん柔らかい状態となり、これを乾燥することによって硬質の層(硬い「もち」の状態)が形成できる。この硬質もち層は油分に溶解しないため、有効成分である薬剤の染みだしや飛散が防止されるのである。有効成分が日本薬局方クレオソートの場合には前記効果は特に顕著である。
なお、前記工程を1回施すのみでは必要な強度のコーティング層を得ることは困難であるので、通常は前記工程を複数回繰り返すことによって必要な強度のコーティング層を形成する。ここで、必要な強度のコーティング層とは、丸剤または錠剤が高温など苛酷な環境にさらされた場合でも素錠に含まれる薬剤の飛散を阻止しえることはもちろん、丸剤または錠剤の携帯時の振動や衝撃によっても容易には割れや欠けを容易には発生しないような強度をいう。
また、同じ工程の反復によって必要な強度を有するコーティング層が得られるというシンプルな構造であることから、比較的少量の丸剤または錠剤を製造する際にも製造コストを低く維持することができる。
本発明の第5の課題解決手段においては、本発明の第4の課題解決手段に係る丸剤または錠剤において、前記コーティング層にはメチルセルロースを含有するコーティング層を含むことを特徴としたので、寒梅粉を含有するコーティング層を確実に形成することができる。
すなわち、寒梅粉を含有するコーティング層を形成するために確実に寒梅粉を錠剤に付着させるため、糊の役目をするメチルセルロース液を寒梅粉と交互にコーティングする。つまり、寒梅粉を含有するコーティング層に加えて、適宜メチルセルロースを含有するコーティング層を形成することによって寒梅粉を含有するコーティング層を確実に形成させることができるのである。
なお、メチルセルロースを含有するコーティング層は必ずしも寒梅粉を含有するコーティング層と交互に形成する必要は無いが、素錠単体に近い状態にコーティング層を形成する段階においては、メチルセルロースを含有するコーティング層と交互にコーティング層を形成することが好ましい。特に、最初の各8層は必ず寒梅粉を含有するコーティング層とメチルセルロースを含有するコーティングを交互に形成することが良好な仕上がりを得るために必要である。その後のコーティング層は、寒梅粉を含有するコーティング層のみを繰り返し形成することも可能である。ただし、この場合も寒梅粉が丸剤または錠剤に付着しやすいよう、糖液を使用することが好ましい。
本発明の第6の課題解決手段においては、前記コーティング層には部分アルファー化デンプンを含有するコーティング層及びメチルセルロースを含有するコーティング層を含むことを特徴としたので、本発明の第4の課題解決手段に類似の効果を寒梅粉以外の材料によって得ることができる。部分アルファー化デンブンを含有するコーティング層は、寒梅粉を含有するコーティング層よりも特段優れた性質を期待できるわけではなくその効果は類似のものである。しかし、丸剤または錠剤の製造者が部分アルファー化デンプンを他の目的で使用している場合には、寒梅粉の代替として使用できる利点がある。また、メチルセルロースを含有するコーティング層を部分アルファー化デンプンを有するコーティング層とともに設けることにより、寒梅粉を含有するコーティング層についてすでに説明した場合と同様の理由により良好なコーティング層が得られる。
本発明の第7の課題解決手段においては、本発明の第5の課題解決手段に係る丸剤または錠剤において、前記コーティング層には寒梅粉を含有するコーティング層を少なくとも18層とメチルセルロースを含有するコーティング層を少なくとも8層含むことを特徴としたので、本発明の第6の課題解決手段の効果をより確実に得ることができる。
前記のとおり、寒梅粉を含有するコーティング層1層のみで必要な強度のコーティング層を形成することは困難である。本願発明者の研究によれば、コーティング層には寒梅粉を含有するコーティング層を少なくとも18層とメチルセルロースを含有するコーティング層を少なくとも8層形成すれば十分な効果を得ることができる。すなわち、有効成分である薬剤の有する臭気の発生を抑制し、かつ薬剤の飛散を防止し所望の薬効を長期間維持することができる。同時に携帯時の振動や衝撃などによって割れや欠けが容易には生じない強度となる。なお、すでに説明したとおり、前記寒梅粉を含有するコーティング層のうち8層とメチルセルロースを含有するコーティング層8層が素錠に交互に形成され、その後、寒梅粉を含有するコーティング層10層を設けることが好ましい形態である。
本発明の第8の課題解決手段においては、本発明の第1乃至第7の課題解決手段に係る丸剤または錠剤において、最外部にカルシウムおよび糖類を含む糖衣コーティングまたは糖類を含まないコーティングを施されたことを特徴としており、携帯性や薬効以外の点での利点が得られる。
すなわち、カルシウム等よりなるコーティングは丸剤または錠剤の薬効そのものや、素錠に含まれる有効成分である薬剤の有する臭気を防止する等の効果は必ずしも有さないが、これを設けることで良好な外観と滑らかな表面状態を有する錠薬とすることができ、消費者の錠薬の服用を容易にするという効果がある。
以上説明した丸剤または錠剤の一実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る丸剤または錠剤の一実施例の断面を示す説明図である。図1の素錠部1は有効成分である薬剤を含有する丸剤または錠剤の素錠である。素錠部1は日本薬局方クレオソート33.33mgとβ−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリン17.33mgを含む総重量170mgの丸薬である。薬効成分である薬剤として日本薬局方クレオソートを含有するため、素錠部1は軟質である。なお、図では寒梅粉コーティング層2とメチルセルロースコーティング層3をそれぞれ3層、2層しか表示していないが、実際には以下に説明するとおり、より多くの層数として必要な強度を確保している。
日本薬局方クレオソートは特有の臭気を有するが、本素錠部には日本薬局方クレオソートに対して重量比で50%強のβ−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンが添加されており、通常の状態では特有の刺激臭は相当程度抑制されている。
寒梅粉コーティング層2は、素錠1に日本薬局方白糖を精製水で溶解したものをまぶし、これによって寒梅粉を付着させ、乾燥させて形成する。図中に表れているとおり、寒梅粉コーティング層2は1層のみではなく複数のコーティング層として形成する。つまり、前記一工程で十分な厚みのコーティング層を形成することは困難であるため、前記工程を繰り返すことで所望の厚みのコーティング層を形成する。
また、本実施例では寒梅粉コーティング層2に加え、メチルセルロースコーティング層3を適宜設けている。メチルセルロースコーティング層3を設けることで、寒梅粉の付着を確実なものとし、均質な寒梅粉コーティング層を形成することができるからである。なお、必ずしも寒梅粉コーティング層1層に対してメチルセルロースコーティング層が1層設けられていなくても実用上は十分な寒梅粉コーティング層を形成することができる。
所望の厚みのコーティング層を形成するため、本実施例では寒梅粉コーティング層を18層以上、メチルセルロース層を8層以上形成することが好ましい。これだけの層数を形成すれば、有効成分である日本薬局方クレオソートの特有の臭気が高温下等過酷な状況でも遮断され、消費者の服用が容易となるほか、携帯にも便利であるからである。また、さらに層数を増やせばよりコーティング層は強固となり、携帯時の振動などによっても割れや欠け等を生じる危険性が低下する。例えば、寒梅粉層を27層、メチルセルロース層を11層設けることができる。
もっとも、通常の状態では素錠に添加したβ−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンの作用により、例え丸剤または錠剤に割れや欠けが生じることがあっても、日本薬局方クレオソート特有の刺激臭や薬効成分の飛散は相当程度抑制されている。コーティング層に割れや欠けが生じ、かつ高温下に置かれるというような条件が重なるという事態を生じない限り本願発明の主目的は維持される。
また、カルシウムおよび糖類を含む糖衣コーティング層または糖類を含まないコーティング層4は本錠薬の最外層を形成する。本コーティング層は任意の既知の手法によって形成され得るもので、その目的は錠薬の美観を確保し、また滑らかな表面によって消費者の服用をより容易にすることである。したがって、適宜着色剤や香料を添加するなど、消費者の服用をより容易とするための、当業者にとって容易に想達し得る工夫を任意に施してもよい。
また、糖衣コーティング層または糖類を含まないコーティング層4は通常は糖類を含む糖衣コーティング層を形成すれば丸剤または錠剤の服用が容易になり望ましいのであるが、患者の健康上の理由により通常糖衣コーティングに使用する糖類の摂取が好ましくない場合がある。このような場合には糖類を含まないコーティングを施すのである。
以上のように、本発明は有効成分である薬剤が特有の臭気を有する場合やこれが蒸散しやすい性質を有する場合に広く適用できる構成の錠薬である。
本発明の1実施例の断面を示した説明図である。
符号の説明
1 素錠部
2 寒梅粉コーティング層
3 メチルセルロースコーティング層
4 糖衣コーティング層または糖類を含まないコーティング層

Claims (2)

  1. 日本薬局方クレオソートと、β−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンとを含有する素錠と、
    前記素錠をコーティングするコーティング層を含む丸剤または錠剤であって、
    前記コーティング層には寒梅粉を含有するコーティング層を少なくとも18層とメチルセルロースを含有するコーティング層を少なくとも8層含むことを特徴とする、丸剤または錠剤。
  2. 前記丸剤または錠剤において、最外部にカルシウムおよび糖類を含む糖衣コーティングを施されたことを特徴とする、請求項1記載の丸剤または錠剤。
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