JP4746178B2 - 大画面用画像表示装置の位置調整方法 - Google Patents

大画面用画像表示装置の位置調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大画面用画像表示装置の位置調整方法にかかり、特に、大画面に画像を表示するときの投影装置を校正する大画面用画像表示装置の位置調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、投影型の表示装置は、投影装置と被投影材料から構成されている。投影装置には、スライドプロジェクタや映写装置が利用され、被投影材料には、反射率が高いスクリーンやビル等の壁面が利用されている。この被投影材料へ、投影装置により画像を投影することによって、画像を表示している。このように、画像を表示するには、投影して表示する画像を予め用意しなければならないが、カメラ等の撮影装置の制約上、通常、写真画像等の平面性が高い画像を用いている。
【0003】
投影光学系は平面画像を基にするので、被投影材料も平面的な形状が要求される場合が多い。従って、略平面的なスクリーンや壁面へ写真画像等を投影している。このように、略平面的なスクリーンや壁面へ画像を投影する場合に、臨場感を増大させるには、被投影領域を増大させ、大画像を投影することが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、大画像を投影するためには、投影側から正確な緯度及び経度が設定されていなければならない。従って、スクリーンを組み立てたり、投影装置の位置を設定したりするときには、その組立や設定を実際の画像やテストパターン画像を表示させながら、調整する必要があり、調整作業が煩雑かつ長時間を要することになる。
【0005】
また、スクリーンが調整済みであっても、投影側すなわち投影装置の設定がまちまちであっては、表示画像が一様に表示されない。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、スクリーン等の被投影対象面である大きな画面に最適に画像を投影することができる大画面用画像表示装置の位置調整方法を得ることが目的である。
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、緯度線、経度線または格子状の緯度線及び経度線が発光されるように、緯度方向に略一定の角度間隔になる隣り合う直線を含む面、及び経度方向に略一定の角度間隔になる隣り合う直線を含む面の少なくとも一方の面と被投影側の曲面とが交差する複数の曲線位置に、光の照射により発光する発光媒質が形成された複数の被投影対象部材からなる曲面スクリーンであり、前記光の照射により発光媒質が発光されることによって、被投影側に異なる複数の方向に予め定めた所定間隔で直線が複数形成されたスクリーンと、前記スクリーン上に予め定めた画像表示領域を複数に分割した分割領域の各々に対応すると共に、各々対応する分割領域を少なくとも含みかつ隣り合う分割領域の境界付近で画像の一部が重なり合うように各々画像を投影する複数の投影手段と、前記スクリーンへ投影するべき画像を、前記投影手段の各々に対応させるために分割し、該分割画像の各々が対応する前記投影手段で投影されるように、前記各投影手段を制御する制御手段と、を備えた大画面用画像表示装置の位置調整方法であって、前記所定間隔の直線に対応する基準画像を、前記投影手段の各々から投影させ、投影された画像と、前記所定間隔の直線を対応させるべく、複数の投影手段の各々の状態を調整することを特徴とする。
また、前記基準画像は、緯度線及び経度線が格子状に配置された線からなる画像であることを特徴とする。
【0008】
本発明が適用可能な大画面用画像表示装置は、スクリーンと、複数の投影手段と、制御手段と、を備えている。スクリーンは、画像を表示するときの自らの位置を明確にするために、所定間隔で直線が複数形成される。この直線は、被投影側に異なる複数の方向に予め定めた所定間隔で形成される。直線は、連続することに限定されず、点線や点と線分の組み合わせであってもよく、点のみでもよい。また、直線は、予め形成してもよく、調整時のみに出現してもよい。投影手段は、スクリーン上に予め定めた画像表示領域を複数に分割した分割領域の各々に対応される。各投影手段は、各々対応する分割領域を少なくとも含みかつ隣り合う分割領域の境界付近で画像の一部が重なり合うように画像を投影する。スクリーンへ投影するべき画像は、制御手段により制御される。制御手段は、投影手段の各々に対応させるために1つの画像を分割し、その分割画像の各々を、対応する投影手段で投影させる。
【0009】
スクリーン上に画像を正確に投影するためには、スクリーンと投影手段との相対関係を一定にしなければならない。このため、前記所定間隔の直線に対応する基準画像を予め用意し、その基準画像を投影手段の各々から投影させる。そして、投影された画像と、所定間隔の直線を対応させるべく、複数の投影手段の各々の状態を調整する。これにより、投影された画像と、所定間隔の直線とが対応、例えば一致され、スクリーンと投影手段との相対関係を一定に設定することができる。これによって、複数の投影手段から投影される各画像は、位置ずれや大きさずれが生じることなく、1台の投影手段によりスクリーンへ投影されたかのように、1つの画像として表示される。
【0010】
前記スクリーンは、焦点を有する曲面形状に形成されかつ、被投影側に前記焦点から略一定の立体角の直線が到達すべき複数の位置に、光の照射により発光する発光媒質が形成された被投影対象部材を備えたことを特徴とする曲面スクリーンを採用することができる。
【0011】
すなわち、本発明が適用可能な大画面用画像表示装置に備えるスクリーンは、焦点を有する曲面スクリーン等の曲面を有するスクリーンに用いて好適である。曲面スクリーン等の曲面は、同一部材で構成することが困難な場合が多く、複数パーツに分離して組み立てることが多い。このため、各パーツに等しい緯度経度を表示して、組み立てた後に、複数の投影手段の各々を調整する。これによって、例えば焦点を有する曲面スクリーン等の曲面には等しい緯度経度を表示でき、それを元にして、各投影手段の位置調整を容易に行うことができる。
【0012】
前記状態の調整は、前記投影手段の設置位置の調整及び設置角度の調整の少なくとも一方を採用することができる。
【0013】
すなわち、投影手段の状態はスクリーンとの相対関係であり、投影手段の状態としてその相対位置及び相対方向(投影光軸の向き)の自由度がある。この自由度として、左右、前後、上下の少なくとも1つの方向、及びこれらの回転方向、そして予め定めた方向(例えば投影軸方向)を軸とした回転方向の調整により、投影手段とスクリーンとの相対関係を調整することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。本実施の形態は、広視野角視覚シミュレータに本発明を適用したものである。
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。本実施の形態は、広視野角視覚シミュレータに本発明を適用したものである。
【0016】
展示会やイベント会場などのプレゼンテーションを行う空間では、画像を提示させることが多く、その画像には、写真画像やCG等の二次元画像が用いられることが多い。この場合、スクリーン等への平面的な表示は、単に二次元画像の拡大であり、視覚的な臨場感を伴う画像表示を得るものではない。そこで、その視覚的な臨場感という感覚を考慮することを意図して、大画面の表示には、二次元画像を曲面へ投影して表示させることが有効であるという知見を得た。本実施の形態では、ユーザの視線で画像を視覚することを想定して、二次元画像を投影するための演算に反映させている。
【0017】
〔広視野角視覚シミュレータ〕
図1に示すように、本実施の形態の広視野角視覚シミュレータ10は、曲面スクリーン12、6つの液晶プロジェクタ14、16、18、20、22、24、ブレンディング・ユニット26及び画像処理装置28を備えている。曲面スクリーン12は移動可能であるが、本実施の形態では、地面に固定されている。また、6つの液晶プロジェクタ14〜24は、フレーム30によって固定されており、そのフレーム30は地面に固定されている。6つの液晶プロジェクタ14〜24は、ブレンディング・ユニット26に接続されており、ブレンディング・ユニット26は画像処理装置28に接続されている。この画像処理装置28は、投影画像の調整状態や設定状態を表示するための表示装置29A、及び操作指示のためにマウス等の入力装置29Bを備えている。
【0018】
曲面スクリーン12は、予め定めた曲面形状をしており、本実施の形態では、球面の一部を抽出した曲面を採用する。球面は、その中心点が焦点であり、その焦点位置がユーザOPの視点位置となるように、曲面スクリーン12の形状を定める。曲面スクリーン12は、球面に限定されるものではなく、焦点を有する曲面であればよい。また、焦点は1つに限定されるものではなく、複数あってもよい。
【0019】
また、画像処理装置28には、表示するための画像の基となる基準画像の画像データがメモリ28Aに記憶されており、記憶された画像データを画像処理して、ブレンディング・ユニット26へ出力する。ブレンディング・ユニット26は、6つの液晶プロジェクタ14〜24で投影される画像を、曲面スクリーン12上で合成するための処理を実施するものであり、各液晶プロジェクタ用の画像データに変換した後に、液晶プロジェクタ14〜24の各々に出力する。これによって、曲面スクリーン12には6つの液晶プロジェクタ14〜24からの各々の画像が投影される。
【0020】
上記構成による広視野角視覚シミュレータの各部の詳細、及び広視野角視覚シミュレータの組立時に用いる装置の詳細を説明する。
【0021】
〔液晶プロジェクタ〕
液晶プロジェクタ14〜24は、縦横の6箇所に設置される(図1参照)。上下で分類すると、上段には液晶プロジェクタ14、16、18、下段には液晶プロジェクタ20、22、24が設置され、左右で分類すると、左側には液晶プロジェクタ14、20、中側には液晶プロジェクタ16、22、右側には液晶プロジェクタ18、24が設置されている。
【0022】
図2に示すように、本実施の形態の広視野角視覚シミュレータ10では、ユーザOPがスクリーン12を視覚可能な視界(視点位置Oを焦点とする立体角)が、ユーザOPの視覚範囲Sとして規定する。スクリーン12を上下方向で考えると、中側の液晶プロジェクタ16は、スクリーン12の下部の投影領域を担当し、液晶プロジェクタ22は、スクリーン12の上部の投影領域を担当する。すなわち、液晶プロジェクタ16、22の投影軸は交差し、上部に設置される液晶プロジェクタ16がスクリーン12の下部の投影領域Sdcを投影し、下部に設置される液晶プロジェクタ22がスクリーン12の上部の投影領域Sucを投影する。これら液晶プロジェクタ16、22の投影領域はスクリーン12の中央部で重複するように設定されている。
【0023】
また、液晶プロジェクタ16、22の投影軸は、ユーザOPの視線方向と異なる方向に設定されている。これは、液晶プロジェクタによる投影がユーザOPの影になることを避けるためである。すなわち、ユーザが視認位置から画像を視認する場合、その視認する画像は視認方向に沿う方向で投影されることが望ましいが、反射型の被投影対象曲面へ投影するときにはユーザにかぶりが生じる。これを避けるため、視認位置以外の位置から投影する。
【0024】
同様に、左側の液晶プロジェクタ14がスクリーン12の下部の投影領域Sulを担当しかつ液晶プロジェクタ20がスクリーン12の上部の投影領域Sulを担当する(図4参照)。また、右側の液晶プロジェクタ18がスクリーン12の下部の投影領域Surを担当しかつ液晶プロジェクタ24がスクリーン12の上部の投影領域Surを担当する。そして、これら液晶プロジェクタ14、20及び18、24の投影領域はスクリーン12の中央部で重複するように設定される。
【0025】
図3に示すように、スクリーン12を左右方向で考えると、中側の液晶プロジェクタ16はスクリーン12の中央部の投影領域を担当し、左右側の液晶プロジェクタ14、18は、スクリーン12の右部、左部の投影領域を担当する。すなわち、液晶プロジェクタ14、16、18の投影軸は交差し、中央部に設置される液晶プロジェクタ16がスクリーン12の中央部の投影領域Sdcを投影し、左部に設置される液晶プロジェクタ14がスクリーン12の右部の投影領域Sdrを投影し、右部に設置される液晶プロジェクタ18がスクリーン12の左部の投影領域Sdlを投影する。これら液晶プロジェクタ14、16、18の投影領域はスクリーン12上で隣り合う投影領域が重複されるように設定されている。
【0026】
同様に、液晶プロジェクタ20、22、24の投影軸は交差し、中央部に設置される液晶プロジェクタ22がスクリーン12の中央部の投影領域Sucを投影し、左部に設置される液晶プロジェクタ20がスクリーン12の右部の投影領域Surを投影し、右部に設置される液晶プロジェクタ24がスクリーン12の左部の投影領域Sulを投影する。これら液晶プロジェクタ20、22、24の投影領域はスクリーン12上で隣り合う投影領域が重複されるように設定される。
【0027】
図4に、上記説明したスクリーン12上の投影領域の分割状態を示した。液晶プロジェクタ14は、スクリーン12の右下部の投影領域Sdrを投影する。この投影領域Sdrは、垂直方向の境界線40と水平方向の境界線32とで分割した領域で規定され、上部投影領域との重複領域Br、左部投影領域との重複領域Bdr、上部と左斜上部と左部との投影領域との重複領域Bbrを含んでいる。液晶プロジェクタ16は、スクリーン12の中央下部の投影領域Sdcを投影する。この投影領域Sdcは、垂直方向の境界線36、42と水平方向の境界線32とで分割した領域で規定され、上部投影領域との重複領域Bc、左部投影領域との重複領域Bdl、右部投影領域との重複領域Bdr、上部と左斜上部と左部との投影領域との重複領域Bbl、上部と右斜上部と右部との投影領域との重複領域Bbrを含んでいる。液晶プロジェクタ18は、スクリーン12の左下部の投影領域Sdlを投影する。この投影領域Sdlは、垂直方向の境界線38と水平方向の境界線32とで分割した領域で規定され、上部投影領域との重複領域Bl、右部投影領域との重複領域Bdl、上部と右斜上部と右部との投影領域との重複領域Bblを含んでいる。
【0028】
同様に、液晶プロジェクタ20は、垂直方向の境界線40と水平方向の境界線34とで分割したスクリーン12の右上部の投影領域Surを投影するもので、重複領域Br,Bur,Bbrを含んでいる。液晶プロジェクタ22は、垂直方向の境界線36、42と水平方向の境界線34とで分割したスクリーン12の中央上部の投影領域Sucを投影するもので、重複領域Bc,Bul,Bur,Bbl,Bbrを含んでいる。液晶プロジェクタ18は、垂直方向の境界線38と水平方向の境界線34とで分割したスクリーン12の左上部の投影領域Sulを投影するもので、重複領域Bl,Bul,Bblを含んでいる。
【0029】
〔曲面スクリーン〕
図5に示すように、球面形状に形成された大画面の曲面スクリーン12を形成するため、本実施の形態では、各々球面の一部を抽出した6個の曲面パーツ12ul,12uc,12ur,12dl,12dc,12drを接続させて組立可能に構成する。曲面スクリーン12を曲面パーツ12ul〜12drで分離構成するのは、運搬を容易としかつ組み立てをも容易とするためである。なお、本実施の形態では、6個の曲面パーツを接続して曲面スクリーンを形成する場合を説明するが、分割数は6個に限定するものではなく、分割することなく、1つの曲面スクリーンを形成してもよく、2個以上の複数の曲面パーツを接続して曲面スクリーンを形成してもよい。
【0030】
図6に示すように、曲面スクリーン12は、ベース材12Pと、そのベース材12Pの表面(曲面の凹側)に塗布された塗布層12Qから構成されている。塗布層12Qには、紫外線蛍光インクが含まれており、紫外線が照射されることで、紫外線蛍光インクが蛍光する構成とされている。この紫外線照射には、所謂ブラックライトによる照射が可能である。本実施の形態では、紫外線蛍光インクが縦横一定間隔となるように格子状に塗布されている。紫外線蛍光インクは、曲面パーツを球状に組み立てたときに曲面スクリーン12の焦点から一定の立体角毎に線が出現するように、すなわち一定の緯度経度の線分が出現するように、格子状に塗布されている。従って、曲面スクリーン12には、一般的な電球や蛍光灯の照明ではなにも出現しないが、紫外線ランプ48による紫外線の照射によって、緯度線44、経度線46が格子状に出現する。
【0031】
なお、本実施の形態では、格子状に出現する緯度線44、経度線46を用いて説明するが、連続した線分でなくともよい。すなわち、球面の緯度及び経度が表現できればよく、十字線でもよいし、緯度線や経度線を別々に交差することなく出現させるように紫外線蛍光インクを塗布してもよい。また、球面の全ての面にわたって出現する必要もない。すなわち、詳細は後述するが、曲面パーツを組み立てるとき(球面スクリーンを形成するとき)に、各曲面パーツの向きや、曲面スクリーンの全体の位置が把握できればよく、点や所定形状のマークを塗布してもよいし、主要部のみの紫外線蛍光インク塗布でもよい。
【0032】
また、緯度線44及び経度線46の何れか一方のみの塗布でも良く、何れか一方を点や所定形状のマークを散在させ、他方を線分で提示してもよい。
【0033】
〔立体角表示装置〕
次に、立体角表示装置50について説明する。立体角表示装置50は、曲面スクリーン12を組み立てるとき、または位置調整するときに用いるものであり、画像を表示するときには特に必要とするものではない。
【0034】
図7に示すように、立体角表示装置50は、ハロゲンランプ等の一般的な白熱光源52を備えており、その光源52は半球状のカバー54の中心(焦点)位置に固定されている。この白熱光源は点光源として機能するものであり、アーク灯等の発光管を用いることができる。カバー54は台座56に固定されている。台座56の下部には、移動装置55が取り付けられている。移動装置55は、鉛直方向(図7の矢印Z方向)の移動調整、水平方向(図7の矢印X方向)の移動調整、前後方向(図7の矢印Y方向)の移動調整、及びこれらの各方向を軸とした回転方向(図7の矢印Rx,Ry,Rz方向)の移動調整が可能とされる構成である。なお、これらの移動方向は、少なくとも1方向を備えるものであってもよい。この構成により、光源52及びカバー54の位置を自由に調整することができる。すなわち、ユーザOPの視点位置Oを自由に設置することができる。
【0035】
半球状のカバー54の表面または裏面には、光源52から予め定めた一定の立体角による光線が射出されるように、すなわち、等立体角光線を射出するための明暗パターンが設けられている。
【0036】
例えば、図8(A)に示すように、半球状のカバー54の表面または裏面には、一定の緯度経度の線分を形成し、その交点位置から少なくとも光を射出するために、スリットが形成されている。半球状のカバー54は半径50cmの球体の一部から構成され、カバー54に形成されるスリットのパターンの一例は、図8(B)に示すように、その内側が明部で外側が暗部となる十字形状のパターン54Aを採用することで、緯度線と経度線の交点を表現できる。また、図8(C)に示すように、その内側が明部で外側が暗部となる円形状のパターン54Bを採用することもできる。以下の説明では、円形状のパターン54Bが複数形成された明暗パターンが、半球状のカバー54の表面または裏面に設けられた例を説明する。
【0037】
このように、明暗パターンを半球状のカバー54の表面または裏面に形成することで、緯度線と経度線の交点位置である予め定めた一定の立体角による光線が射出される。従って、光源52を、ユーザOPの視点位置に設置し、光源52を点灯することで、ユーザOPの一定の立体角による視線方向を光線として表示できる。これによって、図9に示すように、曲面スクリーン12上には、光源52から射出された光のうち、円形状のパターン54Bを通過した円形の輝点58が出現する。曲面スクリーン12上に出現した輝点58は、ユーザOPの一定の立体角による視線方向の光線の延長線上の位置に出現する。
【0038】
なお、上記では、予め定めた一定の立体角で少なくとも光線が射出される明暗パターンを説明したが、上記の明暗を逆転させ、光が射出されない部分で予め定めた一定の立体角を表現するようにしてもよい。すなわち、半球状のカバー54を、透明材質(例えばアクリル)で形成し、一定の立体角の位置に、図8(B)または図8(C)に示すパターンの不透明部を形成することで、明暗パターンを構成することができる。
【0039】
〔曲面スクリーンの調整〕
次に、立体角表示装置50を用いた曲面スクリーン12の調整を説明する。まず、ユーザOPの視点位置O(図1)を中心として、6個の曲面パーツ12ul〜12drを組立て、曲面スクリーン12を形成する。このときには、紫外線ランプ48及び立体角表示装置50(白熱光源52)を点灯する。従って、曲面スクリーン12上には、紫外線ランプ48による紫外線の照射によって緯度線44及び経度線46が格子状に出現すると共に、光源52から射出された光のうち円形状のパターン54Bを通過した円形の輝点58が出現する。
【0040】
図10に示すように、組立当初は、曲面スクリーン12の位置とユーザOPの視線方向との相対関係が成立しないので、ユーザOPの一定の立体角による視線方向の光線の延長線上にある輝点58と、緯度線44及び経度線46の交点とは一致しない。そこで、ユーザOPの視線方向、すなわち立体角表示装置50により出現した輝点58を基準として、図11に示すように、6個の曲面パーツ12ul〜12drの設置位置(左右、上下、前後、回転)を調整し、輝点58を緯度線44及び経度線46の交点と一致させる。
【0041】
このようにして、曲面スクリーン12の位置をユーザOPの視線方向との相対関係が成立するように調整する。すなわち、ユーザOPの視線方向に合致した緯度経度で、曲面スクリーン12の曲面が位置するように設定される。従って、曲面スクリーン12の焦点は、ユーザOPの視点Oに設置される。
【0042】
〔ブレンディング・ユニット〕
次に、ブレンディング・ユニット26を説明する。ブレンディング・ユニット26は、6つの液晶プロジェクタ14〜24から投影される画像の各々を、曲面スクリーン12上で画像を隙間なく提示するためのユニットである。本実施の形態では、ブレンディング・ユニット26は、隣接する画像の一部を重複させつつ投影して、その重複領域の輝度を調整することで、曲面スクリーン12上で隙間なく画像を表示させるためのものである。そこで、ブレンディング・ユニット26において設定する、投影画像の明るさ分布について説明する。
【0043】
図12は、1つの液晶プロジェクタから投影する画像の明るさ分布を模式的に示したものである。この液晶プロジェクタから投影する画像の明るさ分布は、その周囲(八方)に他の画像が投影されることを想定している。詳細には、液晶プロジェクタの投影画像の投影領域60は、ブレンド境界線62、63、64、65により分割された、部分領域Pc,Pcu,Pcd,Pl,Plu,Pld,Pr,Pru,Prdから形成される。
【0044】
部分領域Pcは、周囲の液晶プロジェクタからの投影画像が重複することがない単一の投影画像の領域である。従って、部分領域Pcの投影画像は、入力画像の明るさを100%そのまま維持して投影することになる。この部分領域Pcに対して、上下方向について明るさを考えると、部分領域Pcuは、上部の液晶プロジェクタからの投影画像を重複させるための領域であり、部分領域Pcuの投影画像は、入力画像の明るさを予め定めた勾配の分布となる特性で投影することになる。また、部分領域Pcdは、下部の液晶プロジェクタからの投影画像を重複させるための領域であり、部分領域Pcdの投影画像は、入力画像の明るさを予め定めた勾配の分布となる特性で投影することになる。従って、上下方向の明るさ特性は、図12の左側部位に示した特性66に設定している。
【0045】
部分領域Pl,Plu,Pld,Pr,Pru,Prdについては、上下方向の明るさについて見れば、部分領域Pc,Pcu,Pcdと同様である。なお、部分領域Pluは、上部の液晶プロジェクタからの2つの投影画像を重複させるための領域であることを想定すると、投影画像を重複させたときの明るさが、本来の投影画像の明るさになる値にすればよい。例えば、部分領域Pcuの明るさ分布の上限値を重複画像数で除算した値にすればよい。部分領域Pld,Pru,Prdについても同様のため、説明を省略する。
【0046】
次に、部分領域Pcに対して、左右方向について明るさを考えると、部分領域Plは、左部の液晶プロジェクタからの投影画像を重複させるための領域であり、部分領域Plの投影画像は、入力画像の明るさを予め定めた勾配の分布となる特性で投影することになる。また、部分領域Prは、右部の液晶プロジェクタからの投影画像を重複させるための領域であり、部分領域Prの投影画像は、入力画像の明るさを予め定めた勾配の分布となる特性で投影することになる。従って、左右方向の明るさ特性は図12の下側部位に示した特性68に設定している。
【0047】
部分領域Plu,Pcu,Pruと,Pld,Pcd,Prdとについては、左右方向の明るさについて見れば、部分領域Pl,Pc,Prと同様である。なお、部分領域Pluは、左部の液晶プロジェクタからの2つの投影画像を重複させるための領域であることを想定すると、投影画像を重複させたときの明るさが、本来の投影画像の明るさになる値にすればよい。例えば、部分領域Plの明るさ分布の上限値を重複画像数で除算した値にすればよい。部分領域Pld,Pru,Prdについても同様のため、説明を省略する。
【0048】
上述の上下方向の明るさ分布と、左右方向の明るさ分布を合成することによって、各部分領域の明るさ特性を決定できる。従って、液晶プロジェクタ14〜24の各々について、隣接する液晶プロジェクタの位置及び個数から、上記明るさ分布を定めることができる。このように、ブレンディング・ユニット26によって、投影画像の明るさ分布を設定して、その設定された明るさ分布で液晶プロジェクタ14〜24の各々から画像を投影すれば、曲面スクリーン12上では画像が隙間なく提示されると共に、重複領域における明るさも他の投影領域と同様の分布として提示することができる。
【0049】
なお、ブレンディング・ユニット26は、液晶プロジェクタ毎に、明るさ分布(特性66、68)を予め求めて記憶したものを用いても良く、その明るさ分布(特性66、68)を、微調整する機能を追加してもよい。
【0050】
また、ブレンディング・ユニット26は、液晶プロジェクタ14〜24の各々から投影する投影画像の投影位置を調整する調整機能を有することができる。この調整機能は、曲面スクリーン12上における投影画像の位置を調整するものである。
【0051】
上記では、線形の明るさ特性について説明したが、線形特性に限定されるものではなく、関数により定まる曲線や折れ線、それらの組み合わせであってもよい。また、ブレンド境界線は、直線に限定されるものではなく、関数により定まる曲線や折れ線、それらの組み合わせであってもよい。
【0052】
〔画像処理装置〕
画像処理装置28には、表示するための画像の基となる基準画像(平面的な二次元画像)の画像データがメモリ28Aに記憶されており、記憶された画像データを画像処理して、ブレンディング・ユニット26へ出力する。画像処理装置28では、曲面スクリーン12に表示される画像をユーザの視線で視覚することを想定して、記憶している平面的な二次元画像の画像データを、ユーザの視線と異なる方向から投影するための投影画像に変換処理するものである。なお、画像処理装置28は、以下に説明する機能以外に、輝度調整、色調整、及びトリミング調整等の所謂画像処理として知られる一般的な機能を含むことができる。
【0053】
図13を参照して、まず、変換処理のための初期設定である、液晶プロジェクタとユーザの位置関係を、液晶プロジェクタ16、22を代表例として説明する。曲面スクリーン12は、その焦点位置O(球の中心点)にユーザOPの視点位置が位置することを想定して設置されている。液晶プロジェクタ16は、曲面スクリーン12の下方の投影を担当するものであり、ユーザOPの視界のうち下方(曲面スクリーン12の下方)を平面近似的に設定した平面スクリーン(以下、仮想スクリーン)70を目視することを仮定する。仮想スクリーン70に画像を投影するには、液晶プロジェクタ16は、仮想スクリーン70の上端70Aを中心とした円周上でかつ上端70Aから仮想スクリーン70に垂直な方向の位置16pに、設置する。このようにすることで、液晶プロジェクタ16から曲面スクリーン12の投影領域(仮想スクリーン70)まで画像が投影される空間と、視認位置との錯綜が回避できる。
【0054】
同様に、液晶プロジェクタ22は、曲面スクリーン12の上方の投影を担当するものであり、ユーザOPの視界のうち上方(曲面スクリーン12の上方)を平面近似的に設定した仮想スクリーン72を目視することを仮定し、仮想スクリーン72の上端72Aを中心とした円周上でかつ上端72Aから仮想スクリーン72に垂直な方向の位置22pに、設置する。このようにすることで、液晶プロジェクタ22から曲面スクリーン12の投影領域(仮想スクリーン72)まで画像が投影される空間と、視認位置との錯綜が回避できる。なお、液晶プロジェクタ18、20、24、26も同様のため、説明を省略する。
【0055】
次に、画像変換の基本原理について説明する。
図14に示すように、液晶プロジェクタ22は、曲面スクリーン12からの距離Qx、高さQz、水平方向の移動量Qy、投影方向の角度Qq、投影軸の回転角Qrの各々をパラメータとして設定可能である。液晶プロジェクタ22から、曲面スクリーン12として仮想的に近似した仮想スクリーン72へ画像を投影するものとして、各値を初期設定値に設定する。液晶プロジェクタ22から仮想スクリーン72へ画像を投影することを仮定すると、液晶プロジェクタ22からの投影方向80(図14の一点鎖線で示した投影線の方向)に投影される仮想スクリーン72上の画素76は、実際には、曲面スクリーン12上に画素74として投影される。
【0056】
従って、ユーザOPは、画素74を目視することになるので、視線方向82(図14の実線で示した視線方向)と仮想スクリーン72との交点78に画素を形成すればよい。そこで、画素74を目視するための視線方向82の緯度θ、経度φを求めることにより極座標を算出する。この極座標から交点78の座標を求める。これによって、仮想スクリーン72上の画素76から交点78への移動量を求めることができる。これらの処理を液晶プロジェクタ22からの投影方向の全て、すなわち全ての画素の座標について求めることにより、平面的な二次元画像の画像データを、ユーザの視線方向に合致した画像として投影するための画像データに変換する変形フィルタ(ジオメトリフィルタ)を求めることができる。
【0057】
上記の変形フィルタによって、平面スクリーンに格子状に画像を表示する画像データは、液晶プロジェクタの投影領域に対応して、変形される。以下の説明では、上記変形フィルタを用いて画像を変形させた画像データを得る変換処理を、ジオメトリ変換という。例えば、図15に示すように、液晶プロジェクタの投影画像の投影領域60は、投影方向の極座標に応じて変形されることになる。
【0058】
なお、上記では、隣接する画像の一部を重複させるブレンディング・ユニット26と、基準画像(平面的な二次元画像)の画像データを投影画像に変換する画像処理装置28とを、各々別個に構成した場合を説明したが、本発明は、この構成に限定されるものではない。すなわち、ブレンディング・ユニット26は、隣接する画像の一部を重複させつつ投影するときにその重複領域の輝度を調整して曲面スクリーン12上で隙間のない画像を表示させるために各画像を調整し、画像処理装置28は、曲面スクリーン12に表示すべき基準画像(平面的な二次元画像)の画像データを、ユーザの視線と異なる方向から投影する投影画像に変換する(ジオメトリ変換)。
【0059】
これらのブレンディング・ユニット26及び画像処理装置28は、1つの装置で上記の機能を兼ね備えるように構成してもよく、また機能を分散させてもよい。機能を分散させる場合には、ブレンディング・ユニット26に、上記ジオメトリ変換の機能を追加すればよい(ブレンディング・ジオメトリ・ユニット)。この場合、画像データを記憶するメモリは、ブレンディング・ユニット26に備えても良く、画像処理装置28に備えても良い。
【0060】
また、ブレンディング・ユニット26及び画像処理装置28は、専用の装置を設けて構成してもよく、上記機能をソフトウェアで構築し、コンピュータによって実行されるように構成してもよい。
【0061】
〔液晶プロジェクタの調整〕
次に、曲面スクリーン12と液晶プロジェクタ14〜24との間の関係の調整を説明する。まず、ユーザOPの視点位置O(図1)を中心とし、曲面スクリーン12を形成すると共に、液晶プロジェクタ14〜24を設置する。なお、液晶プロジェクタ14〜24の各々は、設計値による規定位置に設置する。次に、紫外線ランプ48を点灯すると共に、液晶プロジェクタで調整用画像を投影する。液晶プロジェクタの調整は、調整を容易にするため、液晶プロジェクタ14〜24について1つづつ行う。
【0062】
まず、液晶プロジェクタ18で調整用画像を投影して調整を行う場合を説明する。曲面スクリーン12上には、紫外線ランプ48による紫外線の照射によって緯度線44及び経度線46が格子状に出現すると共に、液晶プロジェクタ18から投影された調整用画像45が出現する。この調整用画像45は、液晶プロジェクタ18が担当する曲面スクリーン12の左下部の投影領域60に投影される画像であり、曲面スクリーン12上に出現する格子状の緯度線44及び経度線46に対応する画像である。従って、曲面スクリーン12と液晶プロジェクタ18との間の関係が理想的に(設計値どおりに)なっていれば、曲面スクリーン12上では、紫外線ランプ48の紫外線照射による緯度線44及び経度線46と、液晶プロジェクタ18から投影された調整用画像45とが重なりあって一致する。
【0063】
図17に示すように、設置当初は、組立誤差などで、曲面スクリーン12の位置と液晶プロジェクタ18との相対関係が成立しないので、調整用画像45の線分と、緯度線44及び経度線46とは一致しない。そこで、紫外線ランプ48の紫外線照射により出現した緯度線44及び経度線46を基準として、液晶プロジェクタ18の位置を調整する。この液晶プロジェクタ18の位置調整には、液晶プロジェクタ18の曲面スクリーン12に対する水平方向(図17の方向Mx)、曲面スクリーン12に対する奥行き方向(図17の方向My)、曲面スクリーン12に対する鉛直方向(図17の方向Mz)、液晶プロジェクタ18の投影軸の傾き方向Mr、投影軸の回転方向Muの各々の方向をパラメータとして設定可能である。
【0064】
これらの各方向を調整して、すなわち液晶プロジェクタ18の設置位置(左右、上下、前後、回転)を調整し、調整用画像45の線分と、緯度線44及び経度線46とを一致させる。このようにして、曲面スクリーン12に対する液晶プロジェクタ18の位置を調整する。すなわち、液晶プロジェクタ18は、投影する画像が曲面スクリーン12の曲面上に形成された視線方向に合致した緯度経度で表示されるように設定される。
【0065】
同様に、液晶プロジェクタ12、14、20、22、24の各々についても、位置を調整する。このようにすることによって、液晶プロジェクタ14〜24の各々から投影した調整用画像は、曲面スクリーン12に出現した緯度線44及び経度線46と一致する。従って、1枚の画像を分割して、液晶プロジェクタ14〜24の各々から投影すれば、曲面スクリーン12上には、あたかも1台の液晶プロジェクタから投影されたかのように画像が表示される。
【0066】
なお、上記では、調整用画像として、緯度線44及び経度線46に対応する、格子状に配置された線分からなる画像を用いた場合を説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、線分としては、点線や一点鎖線などの各種線種を採用できる。また。緯度線44及び経度線46の交差点に対応する位置に点またはマークが散在して投影される画像を用いても良い。また、緯度線44及び経度線46の何れか一方と、他方として交差点に対応する位置に点またはマークが散在して投影される画像を組み合わせて用いても良い。
【0067】
〔液晶プロジェクタの画像による調整例〕
上記では、液晶プロジェクタ12〜24の各々の位置を調整することによって、液晶プロジェクタ14〜24の各々から投影した調整用画像と、曲面スクリーン12に出現した緯度線44及び経度線46と一致させた場合を説明したが、液晶プロジェクタ14〜24の各々において、投影する画像を画像処理することによって、同様の効果を得ることもできる。以下、投影する画像を画像処理する一例を説明する。
【0068】
画像処理装置28には、上記調整用画像45の画像データがメモリ28Aに記憶されている。入力装置29Bによる操作指示で、画像処理装置28は調整モードに移行して、図18の処理ルーチンが実行される。この処理ルーチン実行時には、表示装置29Aへ画像データを出力して、表示装置29Aには図19に示す調整指示画像が表示される。
【0069】
まず、表示装置29Aに表示される調整指示画像90によるユーザインタフェースについて説明する。
【0070】
図19に示すように、調整指示画像90は、調整を実施する液晶プロジェクタを表示するための表示領域96を含んでおり、後述する調整による調整量を適用させる指示するときに押圧されるべきボタン92を含んでいる。これらの表示領域96及びボタン92の下方には、液晶プロジェクタの調整機能を指示する指示領域94が設けられている。本実施の形態では、指示領域94で指示が可能な液晶プロジェクタの調整機能の一例として、投影画像の位置調整、投影画像の倍率調整、投影画像の回転調整、投影画像の大きさ調整を採用している。すなわち、指示領域94には、投影画像の位置調整機能を実現する指示領域94P、投影画像の倍率調整機能を実現する指示領域94M、投影画像の回転調整機能を実現する指示領域94R、投影画像の大きさ調整機能を実現する指示領域94Sを含んでいる。
【0071】
指示領域94Pは、投影画像の位置調整機能を実現する指示領域であり、投影画像の位置について現在の投影位置を基準とし、上方への移動を要請する入力ボタン(P−u)、下方への移動を要請する入力ボタン(P−d)、右方への移動を要請する入力ボタン(P−r)、左方への移動を要請する入力ボタン(P−l)、及び初期位置への復帰を要請する入力ボタン(P−int)、を含んでいる。例えば、入力ボタン(P−u)が、ユーザにより指示(例えば、マウスでクリック)されることにより、指示した部位を表すデータを画像処理装置28で把握し、押圧に応じた移動量だけ投影する画像を移動する。これにより、曲面スクリーン12上で、投影画像が指示した方向に移動される。なお、入力ボタン(P−int)の押圧では、投影初期の位置に戻されて画像が投影される。
【0072】
指示領域94Mは、投影画像の倍率調整機能を実現する指示領域であり、投影画像の倍率について現在の投影倍率(例えば、初期値1)を基準とし、拡大を要請する入力ボタン(M−l)、縮小を要請する入力ボタン(M−s)、及び初期倍率への復帰を要請する入力ボタン(M−int)、を含んでいる。例えば、入力ボタン(M−l)が、ユーザにより指示(例えば、マウスでクリック)されることにより、指示データを画像処理装置28で把握し、押圧に応じた倍率だけ投影する画像を拡大する。これにより、曲面スクリーン12上で、投影画像が指示した倍率で拡大縮小される。なお、入力ボタン(M−int)の押圧では、投影初期の倍率に戻されて画像が投影される。
【0073】
指示領域94Rは、投影画像の回転調整機能を実現する指示領域であり、投影画像の位置について現在の投影位置を基準とし、右回りの回転を要請する入力ボタン(R−r)、左回りの回転を要請する入力ボタン(R−l)、及び初期位置への復帰を要請する入力ボタン(R−int)、を含んでいる。例えば、入力ボタン(R−r)が、ユーザにより指示(例えば、マウスでクリック)されることにより、指示データを画像処理装置28で把握し、押圧に応じた移動量(回転角度)だけ投影する画像を回転する。これにより、曲面スクリーン12上で、投影画像が指示した方向に回転される。なお、入力ボタン(R−int)の押圧では、投影初期の回転角度(0度)に戻されて画像が投影される。
【0074】
指示領域94Sは、投影画像の大きさ調整機能を実現する指示領域である。ここでいう投影画像の大きさとは、倍率とは異なり、投影する画像の範囲を規定するものである。すなわち、予め定めた初期の投影画像の大きさを基準とし、画像上端の範囲移動を要請する入力ボタン(範囲拡張ボタンS−uw、範囲縮小ボタンS−us)、下端の範囲移動を要請する入力ボタン(範囲拡張ボタンS−dw、範囲縮小ボタンS−ds)、右端の範囲移動を要請する入力ボタン(範囲拡張ボタンS−rw、範囲縮小ボタンS−rs)、左端の範囲移動を要請する入力ボタン(範囲拡張ボタンS−lw、範囲縮小ボタンS−ls)、及び初期範囲への復帰を要請する入力ボタン(S−int)、を含んでいる。例えば、入力ボタン(範囲拡張ボタンS−uw)が、ユーザにより指示(例えば、マウスでクリック)されることにより、指示した部位を表すデータを画像処理装置28で把握し、押圧に応じた移動量だけ投影する画像の範囲を拡張する。これにより、曲面スクリーン12上で、投影画像が指示した方向の範囲が拡張縮小される。なお、入力ボタン(S−int)の押圧では、投影初期の範囲に戻されて画像が投影される。
【0075】
なお、上記では、ボタンの押圧量に応じて画像処理量を設定する場合を説明したが、その調整量を表示するようにしてもよい。また、その調整量を数値で入力するようにしてもよい。
【0076】
以上の各種機能を元にして、投影画像調整処理をさらに説明する。画像処理装置28では、図18の処理ルーチンが実行されると、ステップ200へ進み、投影画像の位置調整処理を実行する。この位置調整処理は、上述の投影画像の位置調整機能(図19の指示領域94P)が指示された場合に実行され、その数値が記憶される。次のステップ202では、投影画像の倍率調整処理を実行する。この倍率調整処理は、上述の投影画像の倍率調整機能(図19の指示領域94M)が指示された場合に実行され、その数値が記憶される。次のステップ204では、投影画像の回転調整処理を実行する。この回転調整処理は、上述の投影画像の回転調整機能(図19の指示領域94R)が指示された場合に実行され、その数値が記憶される。次のステップ206では、投影画像の大きさ調整処理を実行する。この大きさ調整処理は、上述の投影画像の大きさ調整機能(図19の指示領域94S)が指示された場合に実行され、その数値が記憶される。
【0077】
次のステップ208では、ボタン92が押圧されたか否かを判断し、否定されると、ステップ200へ戻り、上記処理を繰り返す。一方、ステップ208で肯定されると、ステップ210へ進み、上記ステップ200〜206で記憶した調整量である数値を読み取ると共に、その数値だけ投影画像の移動、回転、拡縮、範囲調整を行って、本ルーチンを終了する。
【0078】
従って、ユーザは、曲面スクリーンを目視すると共に、表示装置を目視して、入力装置の指示で投影画像の移動等の調整を行うことができる。これによって、液晶プロジェクタを移動させたり、調整及び固定の繰り返しを行うことなく、調整画面における指示操作という単純な処理で、液晶プロジェクタ14〜24の各々から投影した調整用画像と、曲面スクリーン12に出現した緯度線44及び経度線46とを一致させることができる。
【0079】
〔画像表示〕
次に、本実施の形態の広視野角視覚シミュレータ10において、曲面スクリーン12へ、ブレンディング・ユニット26及び画像処理装置28で処理された画像を、6つの液晶プロジェクタ14〜24から投影する過程を説明する。なお、ここでは画像処理装置28で実行される処理ルーチンの流れに従って説明する。
【0080】
図16に示すように、広視野角視覚シミュレータ10の電源が投入されると、画像処理装置28では、ステップ100へ進み、各種パラメータの初期値を読み取る。この初期値には、液晶プロジェクタの位置関係、液晶プロジェクタの各々において曲面スクリーン12上に投影すべき投影領域の位置関係がある。なお、ブレンディング・ユニット26では、液晶プロジェクタの各々の明るさ分布の特性が読み取られるものとする。
【0081】
次のステップ102では、液晶プロジェクタ14〜24の各々について、ステップ100で読み取った初期値が画像変換のために設定され、次のステップ104において、曲面スクリーン12に投影するための画像データを読み取る。このステップ104で読み取る画像データは平面的な二次元画像の画像データである。次のステップ106では、上記ステップ104で読み取った画像データを、ユーザOPの視線方向に合致した画像として提示するための変換処理を実行する。
【0082】
ステップ106の変換処理は、液晶プロジェクタ14〜24の各々について定まる投影領域に投影する投影画像を、画像データから抽出し、その抽出した画像データすなわち各投影画像の画像データについて実行される。この変換処理は、上述の変形フィルタ(ジオメトリフィルタ)によって、画素毎に座標変換する処理である。この処理により、曲面スクリーン12に表示される画像として、平面的な二次元画像の画像データをユーザの視線と異なる方向から投影するときに、ユーザの視線方向に合致した投影画像に変換されることになる。
【0083】
次のステップ108では、ブレンディング・ユニット26から、隣接する液晶プロジェクタの位置及び個数から定まる、液晶プロジェクタ14〜24の各々の明るさ分布を読み取ることで、投影画像の各々の画像データの明るさ(輝度)を設定する。次のステップ110では、液晶プロジェクタ14〜24の各々に画像データを出力して、曲面スクリーン12へ画像を表示する。なお、ステップ108の処理は、ブレンディング・ユニット26によって行っても良い。
【0084】
このように、本実施の形態では、曲面スクリーン12に表示される画像として、平面的な二次元画像の画像データをユーザの視線と異なる方向から投影するときに、ユーザの視線方向に合致した投影画像に変換される。そして、各々の投影画像の明るさ分布を設定して、その設定された明るさ分布で液晶プロジェクタ14〜24の各々から画像を投影するので、ユーザの視線方向に合致した画像が曲面スクリーン12上に表示されると共に、曲面スクリーン12上では画像が隙間なく提示され、重複領域における明るさも他の投影領域と同様の分布として提示することができる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、所定間隔の直線に対応する基準画像を予め用意し、その基準画像を投影手段の各々から投影させて、投影画像と、所定間隔の直線とが対応するように複数の投影手段の各々の状態を調整することにより、スクリーンと投影手段との相対関係を一定に設定でき、複数の投影手段から投影される各画像に、位置ずれや大きさずれが生じることなく、1台の投影手段によりスクリーンへ投影されたかのように、1つの画像として表示させることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる広視野角視覚シミュレータの概念構成を示すブロック図である。
【図2】広視野角視覚シミュレータの液晶プロジェクタによる鉛直方向の投影領域を説明するための概念図である。
【図3】広視野角視覚シミュレータの液晶プロジェクタによる水平方向の投影領域を説明するための概念図である。
【図4】スクリーン12に投影する液晶プロジェクタの投影領域の分割状態を示したイメージ図である。
【図5】曲面スクリーンを形成するため、接続による組立可能な構成の曲面パーツの説明図である。
【図6】紫外線照射で緯度線及び経度線が出現する曲面スクリーンの構成図である。
【図7】立体角表示装置の概念構成を示すブロック図である。
【図8】立体角表示装置で等立体角光線を射出するために半球状のカバーに形成された明暗パターンを説明するためのイメージ図である。
【図9】曲面スクリーン上に立体角表示装置で等立体角光線による輝点が表示される状態を説明するためのイメージ図である。
【図10】曲面スクリーンの位置調整前の状態を説明するためのイメージ図である。
【図11】曲面スクリーンの位置調整後の状態を説明するためのイメージ図である。
【図12】ブレンディング・ユニットで設定する投影画像の明るさ分布の説明図である。
【図13】液晶プロジェクタとユーザの位置関係を示すイメージ図である。
【図14】ユーザの視線方向に合致した画像を投影するための変形フィルタを説明するための説明図である。
【図15】変形フィルタにより格子状画像が変形される状態を示したイメージ図である。
【図16】画像処理装置で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】液晶プロジェクタの調整を説明するための説明図である。
【図18】画像処理装置で実行される調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】液晶プロジェクタの調整処理時の指示画面を示すイメージ図である。
【符号の説明】
10 広視野角視覚シミュレータ(大画面用画像表示装置)
12 曲面スクリーン(スクリーン)
12P ベース材
12Q 塗布層
12ul〜12dr 曲面パーツ
14、16、18、20、22、24 液晶プロジェクタ(投影手段)
26 ブレンディング・ユニット
28 画像処理装置(制御手段)
28A メモリ
44 緯度線
45 調整用画像(基準画像)
46 経度線
50 立体角表示装置
52 光源
54 カバー
54A,54B パターン
55 移動装置
58 輝点
90 調整指示画像
O 視点位置

Claims (3)

  1. 緯度線、経度線または格子状の緯度線及び経度線が発光されるように、緯度方向に略一定の角度間隔になる隣り合う直線を含む面、及び経度方向に略一定の角度間隔になる隣り合う直線を含む面の少なくとも一方の面と被投影側の曲面とが交差する複数の曲線位置に、光の照射により発光する発光媒質が形成された複数の被投影対象部材からなる曲面スクリーンであり、前記光の照射により発光媒質が発光されることによって、被投影側に異なる複数の方向に予め定めた所定間隔で直線が複数形成されたスクリーンと、
    前記スクリーン上に予め定めた画像表示領域を複数に分割した分割領域の各々に対応すると共に、各々対応する分割領域を少なくとも含みかつ隣り合う分割領域の境界付近で画像の一部が重なり合うように各々画像を投影する複数の投影手段と、
    前記スクリーンへ投影するべき画像を、前記投影手段の各々に対応させるために分割し、該分割画像の各々が対応する前記投影手段で投影されるように、前記各投影手段を制御する制御手段と、
    を備えた大画面用画像表示装置の位置調整方法であって、
    前記所定間隔の直線に対応する基準画像を、前記投影手段の各々から投影させ、
    投影された画像と、前記所定間隔の直線を対応させるべく、複数の投影手段の各々の状態を調整する
    ことを特徴とする大画面用画像表示装置の位置調整方法。
  2. 前記基準画像は、緯度線及び経度線が格子状に配置された線からなる画像であることを特徴とする請求項1に記載の大画面用画像表示装置の位置調整方法。
  3. 前記状態の調整は、前記投影手段の設置位置の調整及び設置角度の調整の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の大画面用画像表示装置の位置調整方法。
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