本発明の目的は、液体潜像に着色剤を付着させて着色剤像を形成する画像形成装置であって、着色剤像の記録媒体への転写効率を高め、かぶりの発生を防止し、高画質画像を高速かつ低コストで形成可能な画像形成装置を提供することである。
本発明は、
画像情報に応じた静電潜像を形成できる表面を有する像担持体を含み、像担持体表面に着色剤像を形成する着色剤像形成手段と、着色剤像形成手段によって像担持体表面に形成される着色剤像を、中間転写体を介してまたは介することなく記録媒体に転写する転写手段とを含む画像形成装置において、
着色剤像形成手段は、
軸心を有しかつ軸心回りに回転駆動可能に設けられ、少なくとも表面が液体不透過性材料からなり、該表面に画像情報に応じた液体潜像が形成される像担持体と、
像担持体表面に静電潜像を形成する第1の静電潜像形成手段と、
像担持体表面に帯電可能な液体を供給して画像情報に応じた液体潜像を形成する第1の液体供給手段と、
第1の液体供給手段内の液体を帯電させる第1の液体帯電手段と、
像担持体上の液体潜像に、液体との接触によって軟化または膨潤しかつガラス転移点を有する着色剤を供給して液体潜像を顕像化して着色剤像を形成する着色剤供給手段と、
像担持体を加熱する第1の加熱手段とを含み、
第1の液体供給手段は、第1の静電潜像形成手段によって像担持体表面に形成される静電潜像に帯電状態にある液体を選択的に供給して、像担持体表面に画像情報に応じた液体潜像を形成することを特徴とする画像形成装置である。
また本発明は、
像担持体を含み、像担持体表面に着色剤像を形成する着色剤像形成手段と、着色剤像形成手段によって像担持体表面に形成される着色剤像を、中間転写体を介してまたは介することなく記録媒体に転写する転写手段とを含む画像形成装置において、
着色剤像形成手段は、
軸心を有しかつ軸心回りに回転駆動可能に設けられ、少なくとも表面が液体不透過性材料からなり、該表面に画像情報に応じた液体潜像が形成される像担持体と、
像担持体を臨むように設けられ、表面に画像情報に応じた静電潜像を形成できる液体潜像担持体と、
液体潜像担持体表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する第2の静電潜像形成手段と、
液体潜像担持体表面の静電潜像に帯電状態にある液体を選択的に供給して、画像情報に応じた帯電状態にある液体潜像を形成する第2の液体供給手段と、
第2の液体供給手段内の液体を帯電させる第2の液体帯電手段と、
液体潜像担持体上に形成される帯電状態にある液体潜像を像担持体表面に転写する液体潜像転写手段と、
像担持体上の液体潜像に、液体との接触によって軟化または膨潤しかつガラス転移点を有する着色剤を供給して液体潜像を顕像化して着色剤像を形成する着色剤供給手段と、
像担持体を加熱する第1の加熱手段とを含むことを特徴とする画像形成装置である。
さらに本発明の画像形成装置は、
液体潜像転写手段が、
液体潜像担持体と像担持体との間に電圧を印加して電位差を発生させ、その電位差によって液体潜像担持体表面の帯電状態にある液体潜像を像担持体表面に転写する第1の電圧印加手段であることを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
液体潜像担持体が、
像担持体を臨み、かつ像担持体と間隙を有して離隔するように設けられることを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
像担持体が、
芯金と、
芯金の表面に形成される弾性を有する材料からなる弾性層と、
弾性層の表面に形成されて水に対する接触角が50度以上である材料を含有する表層とを含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
着色剤供給手段が、
表面に着色剤層を担持し、該着色剤層が像担持体表面に接触して像担持体表面の液体潜像に着色剤を供給する着色剤担持体とを含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
着色剤供給手段が、
着色剤担持体の表面温度を着色剤のガラス転移点を超えないように制御する第1の温度制御手段をさらに含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
着色剤供給手段が、
着色剤担持体と像担持体との間に、着色剤に働く静電気力が像担持体から着色剤担持体に向う方向となるように電圧を印加する第2の電圧印加手段をさらに含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
着色剤担持体が、
その表面が像担持体の表面と間隙を有して離隔するように設けられることを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
第1の液体供給手段または第2の液体供給手段が、
像担持体または液体潜像担持体表面の静電潜像に液体の液滴を供給し、隣り合う液滴同士が非接触状態にある液滴集合体である液体潜像を形成することを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
転写手段が、
回転駆動可能に設けられ、記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、
記録媒体搬送手段を介して像担持体に圧接するように設けられ、像担持体とともに転写ニップ部を形成する転写部材とを含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
色の異なる着色剤像を形成する複数の着色剤像形成手段を含み、
転写手段は複数の着色剤像形成手段における像担持体と転写ニップ部を形成する複数の転写部材を含み、
転写手段が、
記録媒体搬送手段によって記録媒体を各転写ニップ部に通過させ、複数の着色剤像形成手段によって形成される色の異なる複数の着色剤像を記録媒体上に重ね合わせて転写することを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
転写手段が、
像担持体表面に接して中間転写ニップ部を形成するように設けられ、像担持体から着色剤像の中間転写を受ける中間転写体と、
中間転写体から着色剤像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
像担持体と中間転写体との間に、着色剤に働く静電気力が中間転写体から像担持体に向う方向となるように電圧を印加する第3の電圧印加手段をさらに含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
色の異なる着色剤像を形成する複数の着色剤像形成手段を含み、
中間転写体は回転駆動可能に設けられ、複数の着色剤像形成手段における像担持体に接触して中間転写ニップ部を形成し、
転写手段が、
中間転写体を回転駆動させることによって、複数の着色剤像形成手段によって形成される色の異なる複数の着色剤像を中間転写体表面に重ね合わせて中間転写することを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
像担持体における、着色剤供給手段による像担持体表面の液体潜像への着色剤供給位置と、着色剤像の中間転写体または記録媒体への転写位置との間において像担持体に接触するように設けられ、着色剤像に液体を接触付与する液体接触付与手段をさらに含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
液体接触付与手段が、
少なくとも像担持体に接触する表面に、液体の吸収および供給が可能な材料を含む液体保持層を有することを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
像担持体表面の着色剤像の温度が該着色剤像を構成する着色剤のガラス転移点以上になるように第1の加熱手段による像担持体の加熱を制御する第2の温度制御手段をさらに含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
像担持体における、像担持体表面の着色剤像を中間転写体または記録媒体への転写位置と液体潜像の形成位置との間に設けられ、像担持体表面を清浄化するクリーニング手段と、
クリーニング手段を加熱する第2の加熱手段とをさらに含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
記録媒体の搬送方向において、像担持体または中間転写体から記録媒体への着色剤像の転写位置よりも下流側に設けられ、
記録媒体に転写された着色剤像を加熱する加熱部材と、加熱部材に圧接するように設けられる加圧部材とを備え、着色剤像を担持する記録媒体を、加熱部材と加圧部材との圧接部である定着ニップ部に通過させて着色剤像を記録媒体に定着させる定着手段をさらに含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
定着ニップ部の温度が、像担持体または中間転写体表面の着色剤像の記録媒体への転写位置である転写ニップ部の温度よりも高いことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
画像情報に応じて、第1の液体供給手段または第2の液体供給手段による像担持体または液体潜像担持体表面の静電潜像への液体供給量を制御する液体供給量制御手段をさらに含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
画像情報に応じて、第1の加熱手段による像担持体の加熱温度を制御する加熱制御手段をさらに含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
画像情報に応じて、像担持体の回転速度を制御する回転制御手段をさらに含むことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、着色剤が粒状であり、着色剤の粒径が液体潜像の最小幅よりも小さいことを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、着色剤が表面に絶縁性の熱可塑性樹脂からなる被覆層を有しかつ帯電可能なトナーであることを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、着色剤が粒径0.5〜7μmのトナーであることを特徴とする。
本発明によれば、着色剤像形成手段と転写手段とを含み、着色剤像形成手段が像担持体
と、第1の液体供給手段と、着色剤供給手段と、第1の加熱手段とを含む画像形成装置が提供される。すなわち、本発明によれば、第1の液体供給手段により像担持体表面に画像情報に応じた液体潜像を形成し、着色剤供給手段により液体潜像に着色剤を供給して着色剤像を形成するとともに、第1の加熱手段を設けて像担持体液体潜像を構成する液体を乾燥させ、像担持体および着色剤像を加熱する構成の画像形成装置が提供される。本発明の画像形成装置において低粘度の液体を用いれば、画像情報に応じた液体潜像を精確に形成でき、液体と着色剤との親和性が良好なことから着色剤の液体潜像への供給と同時に着色剤が軟化または膨潤を開始するとともに、第1の加熱手段によって像担持体を介して液体潜像が加熱され、液体潜像を構成する液体が適度に蒸発し、液体の液体潜像以外の部分への浸透または流過がなくなるので、液体潜像に着色剤を供給する際に液体潜像以外の部分にかぶりの原因になる着色剤が付着するのが防止される。また、第1の加熱手段によって液体潜像だけでなく着色剤像も加熱されるので、着色剤像を構成する着色剤は、着色剤像の記録媒体への転写位置に至るまでに、液体による軟化、膨潤と加熱とによって記録媒体への転写に適する状態になる。また、液体潜像および着色剤像が同じ像担持体上で形成され、しかも着色剤像は像担持体上で記録媒体への転写定着に適する状態にされるので、非常に短時間の間に画像を形成できる。したがって、本発明の画像形成装置によれば、トナー像の記録媒体への転写効率が高く、かぶりの発生が非常に少なく、形成しようとする画像を精確に再現した高画質画像を高速かつ低コストで形成できる。
また、液体として帯電可能な液体を用い、像担持体表面に画像情報に応じた静電潜像を形成し、この静電潜像に帯電状にある液体の液滴を供給することによって、液体潜像を容易に形成できる。特に、インクジェット方式などによって画像情報に応じて液体の液滴を吐出して液体潜像を形成するよりも、画像形成速度の一層の高速化を図ることができ、しかも低コストである。
本発明によれば、静電潜像および液体潜像の形成に用いられる液体潜像担持体を設け、液体潜像担持体表面の液体潜像を像担持体表面に転写する構成を採ることによって、直接加熱されない液体潜像担持体表面で静電潜像が形成されるので、画像情報に精確に対応した静電潜像を長期にわたって形成できる。また、液体潜像担持体は静電潜像形成の際に電圧の印加を受けるだけであり、像担持体は第1の加熱手段による加熱を受けるだけであり、個々に負荷される外的応力は減少するので、液体潜像担持体および像担持体の長期的な使用が可能になり、これらを交換するための整備作業の軽減化を図り得る。換言すれば、高応力負担に耐え得るような材料で像担持体を作製する必要がなくなるので、低コスト化も可能である。さらに、液体潜像担持体表面に液体潜像が形成されると同時に加熱状態にある像担持体に転写されるように構成すれば、液体潜像を構成する液体の液体潜像担持体または像担持体表面における非画像領域への流過をも防止できる。
本発明によれば、液体潜像担持体を設ける構成において、液体潜像担持体表面の液体潜像を像担持体に転写する手段として、液体潜像担持体と像担持体との間に電圧を印加する第1の電圧印加手段を設け、液体潜像担持体と像担持体との間に電位差を発生させることによって、液体潜像の像担持体への転写効率が向上する。
本発明によれば、液体潜像担持体を設ける構成において、液体潜像担持体を像担持体に対して間隙を有して離隔するように設けることによって、像担持体から液体潜像担持体への熱伝導量が著しく小さくなり、液体潜像担持体の熱劣化が少なくなり、その使用期間を延長できる。また、第1の加熱手段による放熱量が減るので、消費電力を必要最小限に留めることができる。
本発明によれば、芯金の表面に弾性層が形成され、弾性層の表面に水に対する接触角が50度以上である材料を含む表層が形成された像担持体を用いる場合には、弾性層によって像担持体の記録媒体に対する追従性が向上するとともに、着色剤像が表層表面から剥離し易くなるので、着色剤像の記録媒体または中間転写体への転写効率が向上する。
本発明によれば、着色剤供給手段として、表面に着色剤層を担持する着色剤担持体を用いることによって、着色剤が液体潜像に円滑に供給され、着色剤像を高速で形成することが可能になる。
本発明によれば、着色剤担持体の表面温度を制御する第1の温度制御手段をさらに含む着色剤供給手段を用い、第1の温度制御手段により着色剤担持体の表面温度が着色剤のガラス転移点を超えないように制御することによって、着色剤担持体上における着色剤の軟化などに起因する着色剤の粗大化が防止され、着色剤が液体潜像に均一に供給される。
本発明によれば、着色剤供給手段と像担持体との間に電圧を印加する第2の電圧印加手段を設け、着色剤に働く静電気力が像担持体から着色剤担持体に向う方向となるように電圧を印加することによって、着色剤の液体潜像以外の部分(非画像部)への付着を防止し、かぶりの発生を著しく低減化できる。すなわち、着色剤に働く静電気力が像担持体から着色剤担持体に向う方向となるので、着色剤は通常は着色剤担持体表面に留まるけれども、像担持体表面の液体潜像に接触すると、静電気力に関係なく液体潜像中に分散して軟化、膨潤する。一方、非画像部に接触する着色剤は、その部分に液体潜像が存在しないので、静電気力によって着色剤担持体表面に保持される。したがって、前述のように構成することによって、像担持体表面の液体潜像のみに選択的に着色剤を供給できる。
本発明によれば、着色剤担持体を像担持体表面に対して間隙を有して離隔するように設けることによって、像担持体表面の液体が着色剤担持体表面の着色剤層と接触し、着色剤層に含まれる着色剤を塊状化させるのを防止できる。
本発明によれば、第1または第2の液体供給手段が像担持体または液体潜像担持体表面の静電潜像に液体の液滴を供給し、像担持体または液体潜像担持体表面に付着する液滴が隣り合う他の液滴とは非接触状態にある液滴集合体として液体潜像を形成することによって、画像情報を精確に再現した液体潜像ひいては画像が形成され、画像に乱れが生じるのを防止できる。このような液体潜像に着色剤を供給すると、液滴の配置に対応して着色剤の集合体が付着し、着色剤の集合体同士が非接触である着色剤像が形成されるけれども、着色剤の集合体は記録媒体への転写の際に加圧を受け、押し潰されて拡がるので、ベタ画像の形成も可能である。なお、液滴が互いに接触すると、表面張力などによって液滴の位置が変動し、液体潜像が乱れ、記録媒体上の画像にも乱れが生じる。
本発明によれば、回転駆動可能に設けられる記録媒体搬送手段と、記録媒体搬送手段を介して像担持体に圧接するように設けられる転写部材とを含む転写手段を用いることによって、像担持体と転写部材との圧接部である転写ニップ部に搬送される記録媒体上に、像担持体表面の着色剤像が転写定着され、記録媒体上に画像が形成される。
本発明によれば、色の異なる着色剤像を形成する複数の着色剤像形成手段を設け、さらに複数の着色剤像形成手段におけるそれぞれの像担持体に圧接して転写ニップ部を形成する複数の転写部材を設けることによって、記録媒体上に色の異なる複数の着色剤像を重ね合わせて転写すればカラー画像の形成が可能であり、記録媒体上に1つの着色剤像のみを転写すればモノクロ画像の形成が可能である。
本発明によれば、像担持体に接触して中間転写ニップ部を形成し、像担持体から着色剤像の転写を受ける中間転写体と、中間転写体から記録媒体に着色剤像を転写する二次転写手段と、像担持体と中間転写体との間に電圧を印加する第3の電圧印加手段とを含み、着色剤に働く静電気力が中間転写体から像担持体に向う方向となるように構成される転写手段を用いることによって、中間転写ニップ部において中間転写体上に、像担持体表面の着色剤像が中間転写され、この着色剤像は二次転写手段によって記録媒体上に転写定着される。また、着色剤に働く静電気力が中間転写体から像担持体に向う方向となるように電圧を印加する構成によって、かぶりの発生を一層低減化できる。像担持体表面の着色剤像は、液体による軟化・膨潤作用および加熱を受けて充分に軟化した着色剤の集合体であり、強い粘着性を示す。軟化状態にある着色剤の集合体である着色剤像は、表面に表層が形成される像担持体よりも中間転写体に付着し易い。したがって、中間転写ニップ部において、像担持体表面の着色剤像は中間転写体に中間転写される。一方、着色剤像の間の非画像部に付着し、かぶりの原因になる着色剤も液体の作用および加熱によって軟化状態にあるけれども、着色剤像のような大きな集合体としては存在しないので、その粘着性は着色剤像よりも低い。さらに、着色剤に働く静電気力が中間転写体から像担持体に向う方向となるように電圧が印加されるので、非画像部に付着する着色剤は中間転写体に中間転写されず、像担持体表面に留まる。したがって、かぶりの発生が防止される。また、中間転写ニップ部に電圧を印加して電場を形成する場合、一般に中間転写体の材質が普通紙などの記録媒体よりも均質であり、安定した電場を形成できるので、非画像部に付着するかぶりの原因になる着色剤の中間転写体への中間転写が一層確実に防止される。また、一般に中間転写体は普通紙などの記録媒体よりも表面が平坦なので、着色剤像が平坦化され易く、光沢度が向上し易い。
本発明によれば、色の異なる着色剤像を形成する複数の着色剤像形成手段を設け、中間転写体を回転駆動可能に設け、中間転写体と複数の着色剤像形成手段における像担持体のそれぞれとが接触して中間転写ニップ部を形成する構成を採ることによって、中間転写体表面の所定位置に色の異なる複数の着色剤像を重ね合わせて中間転写すればカラー画像の形成が可能であり、中間転写体表面に1つの着色剤像のみを中間転写すればモノクロ画像の形成が可能である。
本発明によれば、像担持体における、液体潜像への着色剤供給位置と着色剤像の中間転写体または記録媒体への転写位置との間に液体接触付与手段を設けることによって、かぶりの発生がより一層防止される。像担持体表面においては、液体潜像に着色剤が供給され、着色剤像が形成される。着色剤像は液体による軟化・膨潤作用および加熱による軟化作用を受け、軟化状態にある着色剤の集合体になる。そして、さらに加熱されて液体の蒸発が進むにつれて、着色剤同士の付着力が強まってフィルム化される。したがって、中間転写体または記録媒体に転写される前の着色剤像は、全体として強い粘着性を示すフィルム状物になる。このようなフィルム状物は加熱および/または加圧しないと像担持体表面から剥離し難くなる。一方、非画像部に付着してかぶりの原因になる着色剤は、着色剤の集合体ではなく、孤立した状態で存在することが多く、周囲の着色剤と付着して像担持体に対する付着力が増加することがない。その面積も、着色剤像の面積よりも著しく小さい。したがって、非画像部に付着する着色剤の像担持体に対する付着力は、フィルム化した着色剤像のそれよりも遥かに小さい。このような状態で、液体接触付与手段を設ければ、着色剤像には液体が新たに供給され、その粘着力がさらに高まるとともに、非画像部の着色剤は液体接触付与手段から供給される液体によって像担持体表面から除去され、たとえば液体接触付与手段の表面に付着して回収される。すなわち、液体接触付与手段は、着色剤像の粘着力を増強する機能と、不要な着色剤を除去するクリーニング機能とを併せ持つものである。
本発明によれば、液体接触付与手段の少なくとも表面に、液体の吸収および供給が可能な材料を含む液体保持層を設けることによって、像担持体において、着色剤像が付着する部分には液体を供給でき、着色剤像が付着せず、非画像部などの像担持体表面が露出する部分には液体を供給せず、反対にその部分に液体が付着する場合には、その液体を吸収できる。着色剤像中には液体が混在するので、接触状態では液体を付与され易い。一方、像担持体は少なくともその表面が液体を吸収しない材料によって形成されるので、液体を付与され難く、さらにその表面に液体が存在する場合には接触状態では反対に吸収され易い。このように構成すれば、着色剤像を中間転写体または記録媒体に一層確実に転写でき、転写効率が向上する。すなわち、着色剤像が像担持体表面に存在する間、着色剤像は常に加熱されるので、液体の蒸発が進み過ぎて粘着力が不足し、中間転写体または記録媒体への転写が不充分になる場合がある。このような場合に新たに液体を付与すれば、着色剤像の粘着力が回復し、着色剤像が確実に転写される。一方、非画像部には液体が付与されず、場合によっては液体が回収されるので、液体の無駄な消費を防止できる。
本発明によれば、液体接触付与手段を設ける構成において、第1の加熱手段による像担持体の加熱を制御する第2の温度制御手段を設け、像担持体表面の着色剤像の温度が、該着色剤像を構成する着色剤のガラス転移点以上になるように制御することによって、着色剤像のフィルム化が一層促進され、液体接触付与手段との接触による着色剤像の像担持体表面からの剥離がさらに確実に防止される。着色剤像の温度がガラス転移点以上になると、着色剤の軟化が速まり、着色剤同士の付着力ひいては着色剤像全体としての像担持体に対する付着力が高まるので、液体接触付与手段と接触しても、着色剤像が像担持体から剥離することはほぼ皆無である。一方、非画像部に付着する着色剤は、着色剤同士の結びつきがないので、像担持体に対する付着力が弱く、液体接触付与手段との接触によって像担持体表面から剥離され易い。
本発明によれば、像担持体における、着色剤像の中間転写体または記録媒体への転写位置と液体潜像の形成位置との間に、像担持体表面を清浄化するクリーニング手段を設け、さらにクリーニング手段を加熱する第2の加熱手段を設けることによって、着色剤像の転写後に像担持体表面に残留する着色剤を容易に除去でき、像担持体表面を清浄化できる。
本発明によれば、記録媒体の搬送方向において、着色剤像の記録媒体への転写位置よりも下流側に、加熱部材と、加熱部材に圧接するように設けられる加圧部材とを含む定着手段を設け、着色剤像が転写された記録媒体を、加熱部材と加圧部材との圧接部である定着ニップ部に通過させることによって、着色剤像の記録媒体への定着強度を向上させ得る。
本発明によれば、定着手段を設ける構成において、定着ニップ部の温度を、着色剤像を記録媒体に転写する転写ニップ部(または二次転写ニップ部)の温度よりも高くすることによって、着色剤像に含まれる液体の蒸発乾燥が促進され、記録媒体に転写された着色剤像のべたつき、記録媒体間の付着などが防止される。
本発明によれば、画像情報に応じて、第1または第2の液体供給手段による像担持体または液体潜像担持体表面の静電潜像への液体供給量を制御する液体供給量制御手段、第1の加熱手段による像担持体の加熱温度を制御する加熱制御手段、または像担持体の回転速度を制御する回転制御手段を設けることによって、画像情報に応じて、形成される画像の画像濃度を適宜変更できる。
本発明によれば、粒状でありかつ粒径が液体潜像における最小幅よりも小さい着色剤を用いることによって、液体潜像に付着する着色剤数が多くなるので、液体潜像に付着する着色剤数がばらついても、着色剤像全体としての画像濃度の変動が少なくなり、画像濃度がほぼ一定し、肉眼上では同濃度と認められる画像を安定的に形成できる。
本発明によれば、表面に絶縁性の熱可塑性樹脂からなる被覆層を有し、帯電可能なトナーを着色剤として用いることによって、着色剤担持体、像担持体などにおける着色剤の保持、電場における着色剤の移動または移動抑制などが可能になる。
本発明によれば、着色剤として粒径0.5〜7μmのトナーを用いることによって、1200dpi以上の高精細かつ高画質の画像を容易にかつ安定的に形成できる。また着色剤中への液体の浸透性、ひいては液体の使用効率が向上し、液体の無駄な消費を減らし、必要最小限の液体を使用するだけで、前述のような各種の作用を実現できる。
図1は、画像形成装置1の構成を模式的に示す断面図である。図2は、着色剤像形成手段2の構成を拡大して示す断面図である。画像形成装置1は、着色剤像形成手段2と、転写手段3と、記録媒体供給手段4と、制御部5とを含む。画像形成装置1は、図示しない画像読取手段によって原稿から読取られる画像情報に応じて原稿の画像を複製するコピー機能、およびパーソナルコンピュータなどの外部機器で創出され伝達される画像情報に応じて記録媒体上に画像を形成するプリンタ機能を有する。ここでの画像情報とは、ブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)から選ばれる1または2種の色の画像情報を含むものである。画像形成装置1は、フルカラー画像およびモノクロ画像を形成できる。後述するように、着色剤像形成手段2に含まれる各部材および転写手段3に含まれる一部の部材は、ブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色に対応してそれぞれ4つ設けられる。本明細書では、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を示すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで示す。
着色剤像形成手段2は、作像ユニット10を含む。作像ユニット10b,10c,10m,10yは、後述する記録媒体搬送ベルト21の回転駆動方向(副走査方向)、すなわち矢符24の方向の上流側からこの順番に一列に配置され、デジタル信号などとして入力される各色の画像情報に対応する液体潜像を形成し、該液体潜像に対応する色の着色剤を供給し、現像して各色の着色剤像を形成する。作像ユニット10bはブラックの画像情報に対応する着色剤像を形成し、作像ユニット10cはシアンの画像情報に対応する着色剤像を形成し、作像ユニット10mはマゼンタの画像情報に対応する着色剤像を形成し、作像ユニット10yはイエローの画像情報に対応する着色剤像を形成する。作像ユニット10は、像担持体11と、第1の液体供給手段12と、着色剤供給手段13と、クリーニング手段17とを含む。
像担持体11は、図示しない駆動手段によって矢符19の方向に回転駆動可能に設けられ、内部に第1の加熱手段18を有するローラ状部材である。像担持体11には、たとえば、芯金と、芯金の表面に形成される液体不透過性材料を含む表層とを含むローラ状部材が用いられる。さらに好ましくは、芯金と、芯金の表面に形成される弾性材料からなる弾性層と、弾性層の表面に形成されて水に対する接触角が50度以上である液体不透過性材料を含有する表層とを含むローラ状部材が用いられる。液体不透過性材料としては、液体を透過せずかつ芯金表面を被覆できる材料であれば特に制限されないけれども、合成樹脂、ゴム類などが好ましい。これらの中でも、水に対する接触角が50度以上のものが特に好ましい。本実施の形態では、像担持体11には、径50mmのステンレス鋼製芯金と、該芯金表面に形成される厚さ2mmのシリコーンゴムからなる弾性層と、該シリコーンゴム層表面に形成される厚さ20μmのポリテトラフルオロエチレンからなる表層(水に対する接触角:70度)とを含むローラ状部材Aが用いる。このときの転写効率は後述するように95%以上である。前記ローラ状部材Aにおいて、表層をポリイミド層(水に対する接触角:40度)に変更したローラ状部材を用いると、転写効率は40%である。また、前記ローラ状部材Aにおいて、弾性層を形成せず、芯金表面に直接ポリテトラフルオロエチレンの表層(水に対する接触角:65度)を形成したローラ状部材を用いると、転写効率は80%である。
像担持体11の内部に設けられる加熱手段18は像担持体11を加熱する。加熱手段18には、加熱手段18に発熱用の電力を供給する図示しない電源が接続される。加熱手段18には、たとえば、ハロゲンランプ、赤外線ヒータ、加熱ランプなどが用いられる。本実施の形態では、300Wの加熱ランプが用いられる。像担持体11の表面温度は、好ましくは、着色剤のガラス転移点以上に保持される。像担持体11の表面温度は、たとえば、図示しない温度検知手段と、図示しないCPU(Central Processing Unit)とを含む第2の温度制御手段によって制御される。温度検知手段は像担持体11表面近傍または該表面に接するように設けられ、像担持体11の表面温度を検知する。温度検知手段には、たとえば、サーミスタなどの温度センサが用いられる。CPUは後述する制御部5内に設けられ、図示しない記憶手段と演算手段と制御手段とを含む。記憶手段には、像担持体11の表面温度の設定値が入力される。該設定値は着色剤のガラス転移点である。温度検知手段による検知結果は記憶手段に入力され、演算手段は記憶手段から設定値と検知結果とを取り出して比較し、いずれの方が高いかを判定する。制御手段は、演算手段による検知結果が設定値よりも低いという判定結果に応じて加熱手段18に電力を供給する電源に制御信号を送り、加熱手段18による像担持体11の加熱を促し、像担持体11の表面温度が着色剤のガラス転移点以上になるように制御する。さらに好ましくは、像担持体11の表面温度が着色剤のガラス転移点からそれよりも5〜10℃程度高い温度範囲に保持されるように制御される。本実施の形態では、着色剤として用いられる後述のトナーのガラス転移点は60℃であり、像担持体11の表面温度も60℃に保持される。
第1の液体供給手段12は、像担持体11表面に液体の液滴を吐出し、画像情報に応じた液体潜像(液体像)を形成する。画像は画像情報を画像処理することによってドット化される。本実施の形態では、画像は画像処理によって大きさが40μmであるドットの集合体とされる。第1の液体供給手段12には、たとえば、ライン型インクジェットヘッドを使用できる。ライン型インクジェットヘッドの中には、無色の液体が充填され、像担持体11表面に液滴として吐出される。本実施の形態では、600dpi対応のライン型インクジェットヘッドを使用する。これによって、像担持体11表面に付着する液滴の液滴径は40μm以下になり、隣り合う液滴同士は非接触状態になる。すなわち、液滴径が画像におけるドットの大きさと同じかまたはそれよりも小さく、かつ個々の液滴が非接触状態にある液滴集合体としての液体潜像が形成される。第1の液体供給手段12から吐出される液体としては、着色剤を分散、軟化または膨潤させる作用を有する液体が好ましく、着色剤を軟化・膨潤させる作用を有するとともに帯電可能な液体がさらに好ましい。液体の具体例としては、たとえば、着色剤の1種であるトナーを分散、軟化または膨潤させる作用を有する有機化合物と水とを含む組成物が挙げられる。前記有機化合物としては、トナーを軟化および/または膨潤させる作用を有し、かつ水に分散または溶解可能なものであれば特に制限されず、たとえば、高級グリコールエーテル、エチレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールモノエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−メトキシエタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルセロソルブエチルカルビトール、脂肪族二塩基酸エステルおよび不飽和二塩基酸エステル(たとえば、DBE、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル)、多塩基酸エステル(たとえば、トリメリット酸エステル)、エステル系高沸点混合溶媒などが挙げられる。これらは1種または2種以上を使用できる。このような有機化合物の含有量は、有機化合物自体の種類、トナー成分などに応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは液体全量の10〜30重量%であり、残部が水である。本発明で使用する液体には、界面活性剤を添加できる。界面活性剤としては、たとえば、脂肪酸誘導体硫酸エステル、スルホン酸型陰イオン界面活性剤、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、四級アンモニウム塩、複素環アミン、アミン化合物などの陽イオン界面活性剤、アミノ酸エステル、アミノ酸、スルホベタインなどの両性イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。界面活性剤の含有量は、併用する有機化合物の種類および含有量、着色剤に含まれる成分、界面活性剤自体の種類などに応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは液体全量の1〜10重量%である。本実施の形態では、高級グリコールエーテル(有機化合物)を20重量%およびスルホン酸型界面活性剤(界面活性剤)を5重量%含有する液体を使用する。本発明で使用する液体は、たとえば、定着液とも呼ばれる。
着色剤供給手段13は、着色剤槽14と、着色剤担持体である現像ローラ15と、層厚規制ブレード16と、供給ローラ30と、攪拌部材31と、現像ローラ15と像担持体11との間に電圧を印加する図示しない電源(第2の電圧印加手段)とを含む。なお、現像ローラ15と像担持体11との間への電圧印加については後述する。着色剤槽14は内部空間を有する容器状部材であり、その内部空間に図示しない着色剤を貯留し、かつ現像ローラ15、供給ローラ30および攪拌部材31を回転自在に支持する。着色剤槽14の像担持体11を臨む側面には開口部が形成される。着色剤槽14には、着色剤の消費状況に応じて図示しない着色剤ホッパから着色剤が補給される。現像ローラ15は、図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられ、着色剤槽14に形成される開口部を介して像担持体11に圧接するローラ部材である。現像ローラ15はその表面に着色剤層を担持して矢符32の方向に回転し、像担持体11との圧接部において、像担持体11上の液体潜像に着色剤を供給し、着色剤像を形成する。なお、現像ローラ15は、通常表面温度が着色剤のガラス転移点以上に保持される像担持体11に接触し、像担持体11からの熱伝導を受けるけれども、像担持体11の表面温度をガラス転移点からそれよりも5〜10℃程度高い温度の範囲になるように制御すれば、現像ローラ15の表面温度は着色剤のガラス転移点よりも低い温度に維持される。したがって、現像ローラ15の表面温度を着色剤のガラス転移点よりも低い温度に制御する第1の温度制御手段を設けてもよいけれども、第2の温度制御手段が第1の温度制御手段と兼ねるような構成を採ってもよい。層厚規制ブレード16は、一端が着色剤槽14に支持され、他端が現像ローラ15に当接するように設けられる板状部材であり、現像ローラ15表面の着色剤層を一定の層厚に均一化する。供給ローラ30は現像ローラ15を介して像担持体11に対向し、かつ現像ローラ15表面に圧接するように設けられるローラ状部材である。また、供給ローラ30は、図示しない駆動手段によって矢符33の方向に回転駆動可能に設けられる。供給ローラ30は着色剤槽14内の着色剤を現像ローラ15表面に供給する。攪拌部材31は供給ローラ30を介して現像ローラ15に対向するように設けられ、図示しない駆動手段によって矢符34の方向に回転駆動するスクリュー状部材である。攪拌部材31は、着色剤槽14内に貯留される着色剤を攪拌する。
着色剤供給手段13には、図示しない電源によって、像担持体11と現像ローラ15との間に電圧を印加し、電場を形成するのがよい。この電場は、像担持体11から現像ローラ15に向う静電気力が、現像ローラ15から像担持体11へ向う静電気力よりも大きくなるように形成する。この場合、像担持体11と現像ローラ15との間のみに電圧を印加すればよいけれども、層厚規制ブレード16および供給ローラ30にも電圧を印加すれば、前述のような静電気力の制御が容易になる。層厚規制ブレード16および供給ローラ30への電圧印加も図示しない電源によって行われる。この構成を採ることによって、液体潜像以外の像担持体11表面への着色剤の付着が防止される。本実施の形態では、像担持体11が−550V、現像ローラ15が−250V、層厚規制ブレード16が−350Vおよび供給ローラ30が−450Vになるようにそれぞれ2kHzの正弦波交流電圧1500Vp−pが印加される。この条件下では、本実施の形態で着色剤として用いられる後述のトナーはマイナスに帯電し、平均帯電量−20μC/gになる。そして、トナーは平均して現像ローラ15に向かう静電気力を受け、像担持体11表面に接しても現像ローラ15表面に留まろうとする。さらに、トナーは、像担持体11表面の液体潜像を構成する液体に接触すると電荷を失って吸着され、現像ローラ15から像担持体11に移行する。したがって、液体が像担持体11表面に存在しない限り、トナーは像担持体11に付着し難い。像担持体11上の液体潜像が存在しない部分には、トナーが受ける静電気力の向きによってトナーが付着し難く、非画像部が形成される。このようにして、液体潜像が顕像化される。この様にして顕像化されるトナー像は、液体との接触によって軟化・膨潤するとともに、像担持体11表面が加熱されることから、液体の乾燥に伴って粘度を増し、記録媒体6に転写定着され易くなる。
着色剤は、着色成分を含有し、液体との接触によって分散、軟化または膨潤しかつガラス転移点を有する粒状物を使用するのが好ましい。また、着色剤が粒状物である場合、着色剤の粒径は、好ましくは、像担持体11表面に形成される液体潜像における最小の幅を有する部分の幅よりも小さい粒径であり、さらに好ましくは0.5〜7μmである。このような小粒径の着色剤を用いると、単位重量当りの着色剤の表面積が大きくなり、液体との接触面積が増加して定着し易くなる。これによって、液体の使用量の低減化を図り得るとともに、着色剤像の記録媒体への定着および定着後の乾燥を短時間で実施できる。また、着色剤の粒径が適度に小さい場合には、記録媒体に対する被覆率が高くなるので、低付着量での高画質化および着色剤消費量の低減化を達成でき、ひいては液体の消費量のさらなる低減化を達成できる。前述のような各種条件を満たし、着色剤が像担持体11および現像ローラ15といったローラ状部材表面に担持されることから、ローラ状部材表面においてフィルム化が容易であるという条件および後述するように転写時の電場による制御フが容易であるという条件を満たすものが好ましく、前記の条件とともに液体の乾燥にともなって粘着力が増大するという条件を満たすものが特に好ましい。このような着色剤としては、たとえば、トナーが挙げられる。トナーの中でも、表面に絶縁性熱可塑性樹脂層を形成してなるトナーがさらに好ましい。トナーは通常は帯電可能である。トナーは、たとえば、結着樹脂、着色成分、離型剤などを含有する。
結着樹脂としては、液体によって軟化および/または膨潤する樹脂であれば特に制限されず、たとえば、ポリスチレン、スチレンの置換体の単独重合体、スチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられる。結着樹脂は単独または2種以上の組合せで使用できる。これらの中でも、トナー自体の保存性、耐久性、定着液の付与によるトナーの軟化および/または膨潤制御などの点から、軟化点が100〜150℃かつガラス転移点が50〜80℃である樹脂が好ましく、ポリエステルが特に好ましい。ポリエステルは、入手容易で安価な有機溶剤によって容易に膨潤および/または軟化して透明になる。これによって、異なる単色のトナー像を重ね合わせたカラートナー像を記録媒体に定着させると、減法混色により充分な発色が得られる。また、前記の軟化点範囲の樹脂よりも軟化点(または分子量)の高い樹脂を用いると、現像時の負荷によるトナーの劣化が防止され、長期間にわたって安定した現像トナー像ひいては高水準で安定した画像が得られる。着色成分としては、従来から電子写真方式の画像形成技術において常用される顔料、染料などを使用できるけれども、液体による滲みを防止するために、液体に溶解しない顔料が好ましい。顔料の具体例としては、たとえば、アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体系顔料などの有機系顔料、カーボンブラック、酸化チタン、モリブデンレッド、クロムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ベルリンブルーなどの無機系顔料、アルミニウム粉などの金属粉などが挙げられる。離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用できるけれども、液体によって軟化および/または膨潤するものが好ましい。その具体例としては、たとえば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックスなどのワックス類が挙げられる。これらのワックスの中から、使用する結着樹脂に応じて、該結着樹脂よりもガラス転移点の低いワックスを用いるのが好ましい。ガラス転移点が結着樹脂よりも低いワックスは加熱により容易に軟化するので、トナー自体のガラス転移点よりも低温でも、トナー同士の結合力およびトナーのトナー像担持体、記録媒体などへの付着力が増加するので、液体付与時にトナーの流れ、凝集などが発生するのを減少させることができる。さらに、ワックスの軟化により、トナー粒子におけるワックスの存在部分からトナー粒子内部に液体が浸透するので、液体の付与後、短時間でトナー全体が軟化および/または膨潤する。その結果、記録媒体への転写定着時に、充分な定着強度が得られるとともに、トナー像の重ね合わせにより充分な発色を得ることができる。トナーは、必要に応じて、帯電制御剤、流動性向上剤、定着促進剤、導電剤などの一般的なトナー用添加剤の1種または2種以上を含むことができる。本実施の形態では、体積平均粒子径7μmのトナーが着色剤として用いられる。このトナーの大きさは、液体潜像を形成する各液滴の液滴径よりも小さいものである。なお、体積平均粒径はコールターカウンターTA−III(商品名、コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定対象粒径:個数基準で2〜40μm、測定粒子数:50000カウントの条件下に測定したものである。また本実施の形態において、前述のように、像担持体11を−550V、現像ローラ15を−250V、層厚規制ブレード16を−350V、供給ローラ30を−350Vの電位に設定すると、トナーはマイナスに帯電し、トナーの平均帯電量は−20μC/gである。
クリーニング手段17は、像担持体11の表面に当接するように設けられ、像担持体11表面の着色剤像を記録媒体6に転写した後に像担持体11表面に残留する着色剤を除去し、像担持体11表面を清浄化する。クリーニング手段17には、たとえば、図示しないクリーニングブレードと着色剤収容槽とを含むものが用いられる。クリーニングブレードは、像担持体11表面に当接して該表面に残留する着色剤を掻き落とす板状部材である。クリーニングブレードには、たとえば、ウレタンブレードが用いられる。着色剤収容槽は内部空間を有する容器状部材であり、クリーニングブレードによって掻き落とされた着色剤を一時的に収容する。
図3は、着色剤像形成手段2における液体潜像形成動作の制御を模式的に示すフローチャートである。ステップS0では、画像形成装置1は電源ONの待機状態にある。ステップS1では、画像情報が画像形成装置1の制御部5に設けられる図示しないCPUの記憶部に入力される。画像情報は画像形成装置1に設けられる図示しない画像読取手段によって読み取られるかまたは画像形成装置1に電気的に接続される外部機器から送付される。画像情報には、形成しようとする画像の画像モードが含まれる。画像モードには、主に、写真モードと文字モードとがある。写真モードは、形成しようとする画像において画像濃度が連続的にかつ緩やかに増減しながら変化するモードである。文字モードは、形成しようとする画像において高画像濃度部分と低画像濃度部分とが混在し、画像濃度の緩やかな増減がないモードである。さらに画像情報には、当該画像モードの画像形成領域における占有面積が含まれる。ここで、画像形成領域とは、画像形成装置1において記録媒体6のサイズ毎に設定される画像形成が可能な最大領域である。CPUの記憶部には、画像情報のほかに、写真モードおよびその占有面積と像担持体11の回転周速度との関係がデータテーブルとして入力され、文字モードである場合における像担持体11の回転周速度の設定値が入力される。
ステップS2では、CPUの演算部が、ステップS1で記憶部に入力される画像情報を記憶部から取り出し、形成しようとする画像の画像モードが写真モードまたは文字モードのいずれであるかを判定する。画像モードが文字モードであると判定した場合には、記憶部に入力される像担持体11の回転周速度の設定値を取り出す。なお、画像モードは、画像形成装置1の操作者によっても指定できる。たとえば、画像形成装置1の鉛直方向上面に設けられる図示しない操作パネルに画像モード指定ボタンを設けることによって、操作者が画像モードを指定できる。画像モードが写真モードである場合はステップS3に進み、画像モードが文字モードである場合はステップS4に進む。ステップS3では、CPUの制御部が、ステップS2における演算部による画像モードが写真モードであるとの判定結果に応じて、像担持体11を回転駆動させる図示しない駆動手段に電力を供給する電源に制御信号を送付し、電源から駆動手段に供給される電力量を制御することによって、像担持体11の回転周速度を最適値に制御する。通常、写真モードの画像を形成する場合には、文字モードの画像を形成する場合よりも像担持体11の回転周速度を遅くするように制御する。ステップS4では、CPUの制御部が、ステップS2における演算部による画像モードが文字モードであるとの判定結果に応じて、像担持体11の回転周速度が文字モードの設定値になるように、図示しない電源による図示しない駆動手段への電力の供給を制御する。本実施の形態では、文字モードにおける像担持体11の回転周速度は200mm/sである。
ステップS5では、CPUの演算部が、ステップS1でCPUの記憶部に入力される画像情報を記憶部から取り出し、形成しようとする画像の全面積に対するカラー画像部分の面積の割合を判定する。カラー画像部分は色の異なる4つの着色剤像の積層体となるため、モノクロ画像部分よりも着色剤量が多くなる。したがって、形成しようとする画像の着色剤量に応じて液体の液滴塗布量を制御することが必要になる。記憶部には、液滴塗布量を増量する基準になるカラー画像部分の面積割合(設定値)が入力される。演算部は記憶部からこの設定値とステップS1で入力される画像情報から得られるカラー画像部分の面積割合を取り出して比較し、設定値を超えるか否かを判定する。設定値を超えるYesの場合はステップS6に進み、設定値を超えないNoの場合はステップ7に進む。ステップS6では、液滴塗布量を増加させる。塗布される液滴の増加量は、記憶部に予め入力されるデータテーブルに基づいて演算部において決定される。データテーブルには、画像形成領域に占める着色剤像の面積割合および着色剤像に占めるカラー画像部分の面積割合と、液滴塗布量との関係が示される。演算部はステップS5で求めたカラー画像部分の面積割合と、記憶部から取り出される着色剤像の面積割合およびデータテーブルから液滴塗布量を判定する。制御部は演算部による判定結果に応じて、第1の液体供給手段12に制御信号を送り、液滴塗布量を増加させる制御を行う。第1の液体供給手段12は、液滴の液滴径または同一ドットに付着させる液滴数を調整することによって、液滴塗布量を増加させる。次にステップS7に進む。
ステップS7では、その前のステップにおいて、像担持体11の回転周速度を写真モード用回転周速度に制御したかまたは第1の液体供給手段12による像担持体11表面への液滴塗布量を増加させるように制御したかを判定する。この判定は演算部において行われる。前記制御を実施したか否かの履歴は記憶部に入力されるので、演算部は記憶部からこの履歴を取り出し、判定する。いずれかの制御が実施されたとの判定結果の場合はステップS8に進み、いずれの制御も実施されないとの判定結果の場合はステップS9に進む。ステップ8では、像担持体11の加熱温度を上昇させる。すなわち、演算部は、写真モード用回転周速度への制御または液滴塗布量の増量制御が実施されたと判定した場合は、記憶部に予め入力されるデータテーブルに基づいて、温度の上昇度合を判定する。このデータテーブルには、写真モード用回転周速度の場合における像担持体11の温度上昇度合を示すデータテーブルと、液滴塗布量の増加量と像担持体11の温度上昇度合との関係を示すデータテーブルとがある。通常は、これら2つのデータテーブルから得られる値を比較し、高い方の値を使用する。制御部は、演算部による温度上昇度合の判定結果に応じて、加熱手段18に電力を供給する図示しない電源に制御信号を送り、電源から加熱手段18に供給される電力量を制御することによって、加熱手段18の発熱量を制御し、像担持体11の表面温度を演算部で判定されただけ上昇させる。また、写真モード用回転周速度への制御または液滴塗布量の増量制御が実施されたと判定に基づいて、予め定められた範囲で像担持体11の表面温度を上昇させてもよい。このように像担持体11の表面温度を上昇させた状態で、着色剤像の記録媒体6への転写定着が行われる。像担持体11の表面温度を制御した後、ステップS9に進む。ステップS9では、次の画像情報の入力があるか否かを判定する。入力がある場合にはステップS1に戻り、再び同じ動作が繰り返し実行される。入力がない場合にはステップS10のエンドに進み、画像形成動作が終了する。このように、CPUは、画像情報に応じて、第1の液体供給手段12による像担持体11への液体供給量を制御する液体供給量制御手段、加熱手段18による像担持体11および着色剤像の加熱温度を制御する加熱制御手段、ならびに像担持体11の回転周速度を制御する回転制御手段として機能する。
着色剤像形成手段2によれば、矢符18の方向に回転駆動する像担持体11の表面に、第1の液体供給手段12から液体の液滴を吐出して液体潜像を形成し、この液体潜像に着色剤供給手段13から着色剤を供給して着色剤像を形成する。着色剤像を構成する着色剤は像担持体11上で液体による軟化・膨潤作用および加熱手段18による加熱を受けて軟化し、隣り合う着色剤と付着し合って着色剤像全体がシート化され、強い粘着性を示す。この着色剤像は後述する転写手段3によって記録媒体6に転写され、転写後に像担持体11表面に残留する着色剤はクリーニング手段17によって除去され、清浄化される。清浄化された像担持体11の表面には再び液体潜像が形成される。なお、着色剤像形成手段2において常に4色の着色剤像を形成する必要はなく、画像情報に応じて、モノクロの着色剤像、2または3色の着色剤像を重ね合わせたカラー着色剤像などを形成しても良い。
転写手段3は、搬送ベルト20と、転写ローラ21と、駆動ローラ22と、テンションローラ23とを含む。搬送ベルト20は、駆動ローラ22とテンションローラ23とによって張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、矢符23の方向に回転駆動する。搬送ベルト20は、その回転駆動方向に垂直な方向の幅がA3縦サイズの幅(A3サイズにおける長手方向に垂直な方向の幅)またはA4横サイズの幅(A4サイズにおける長手方向の幅)よりも大きくなるように構成される。したがって、搬送ベルト20の最大対応記録媒体幅はA3縦サイズまたはA4横サイズである。本実施の形態では、搬送ベルト20はその鉛直方向上面に記録媒体6を載置した状態で、200mm/sの回転速度で回転駆動する。転写ローラ21は、搬送ベルト20を介して像担持体11に圧接して転写ニップ部を形成し、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。本実施の形態では、転写ローラ21の像担持体11に対する圧接力は120Nであり、転写ニップ部のニップ幅は4mmである。このとき、転写効率は95%以上である。本実施の形態では、転写ニップ部において、像担持体11が記録媒体6に接触する記録媒体搬送方向の長さは230mmである。また、転写ローラ21には図示しない電源が接続され、電圧が印加される。本実施の形態では、転写ローラ21には−1200Vの電圧が印加される。この条件では、像担持体11表面の非画像部に付着する帯電状態にある着色剤であるトナーは像担持体11表面に留まろうとする。よって、非画像部に付着するトナーが記録媒体6に転写されるのを防止できる。転写ローラ21には、金属製芯金からなるローラ状部材、金属製芯金と該金属製芯金の表面に形成される導電性層とを含むローラ状部材などが用いられる。駆動ローラ22は図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。テンションローラ23は駆動ローラ22の回転駆動に従動回転駆動可能に設けられるかまたは図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられ、搬送ベルト20に適切な張力を付与し、搬送ベルト20を円滑に回転させることを補助する。転写手段3によれば、着色剤像形成手段2によって像担持体11表面に形成される4色の着色剤像を、転写ニップ部において、搬送ベルト20によって搬送されて来る記録媒体6上に重ね合わせて転写定着し、記録媒体6上にカラー画像を形成する。
記録媒体供給手段4は、用紙トレイ25と、ピックアップローラ26と、レジストローラ27と、搬送ローラ28とを含む。用紙トレイ25は、記録媒体6を貯留する。記録媒体6の種類には、たとえば、普通紙、カラーコピー用紙、OHPシート、コート紙などがある。記録媒体6のサイズはA3、B4、A4、B5などである。図示しない手差しトレイを設ければ、任意のサイズの記録媒体6に画像を形成できる。ピックアップローラ26は、用紙トレイ25内の記録媒体6を1枚ずつ用紙トレイ25の外に搬送するローラ状部材である。レジストローラ27は、像担持体11表面の着色剤像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、搬送ベルト20上に記録媒体6を供給する一対のローラ状部材である。搬送ローラ28は、ピックアップローラ26によって用紙トレイ25内から取り出される記録媒体6をレジストローラ27に送給する一対のローラ状部材である。記録媒体供給手段4によれば、用紙トレイ25内の記録媒体6を1枚ずつ搬送ベルト20に供給し、搬送ベルト20に載置されて搬送される記録媒体6には、転写ニップ部において各色の着色剤像が重ね合わせて転写定着され、記録媒体6上にカラー画像が形成される。カラー画像が形成された記録媒体6は、図示しない搬送手段を介して、画像形成装置1の外部に設けられる図示しない排紙トレイに排出され、積載される。
制御手段5は画像形成装置1の内部空間における上部に設けられ、図示しない、制御部、演算部、記憶部などを含む中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータなどによって実現される処理回路を含む。CPUの記憶部には、画像形成装置1の上面に配置される図示しない操作パネルを介する画像形成命令、画像形成装置1内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力され、入力される各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)に基づいて演算部による判定が行われ、演算部の判定結果に応じて制御部から制御信号が送付され、画像形成装置1の全動作が制御される。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビ、ビデオレコーダ、DVDレコーダ、ファクシミリ装置などが挙げられる。制御手段は、前述の処理回路とともに電源を含み、電源は制御手段だけでなく、画像形成装置1内部における各装置にも電力を供給する。
画像形成装置1によれば、加熱状態にある像担持体11表面に形成される液体潜像に着色剤を供給して粘着性を示す各色の着色剤像を形成し、これを転写ニップ部において記録媒体6上に重ね合わせて転写定着することによって、記録媒体6上にカラー画像またはモノクロ画像が形成され、外部に排出される。
本実施の形態では、着色剤供給手段13における現像ローラ15が像担持体11表面に圧接するように設けられるけれども、それに限定されず、たとえば、図4に示すように構成することもできる。図4は、着色剤像形成手段35の構成を模式的に示す断面図である。着色剤像形成手段35は着色剤像形成手段2に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。着色剤像形成手段35においては、現像ローラ15が像担持体11表面に対して間隙tを有して離隔するように設けられることを特徴とし、それ以外は着色剤像形成手段2と同様の構成である。本実施の形態では、間隙tは0.2mmである。着色剤として用いられるトナーは像担持体11と現像ローラ15との間を往復する。像担持体11と現像ローラ15との間では、平均すると、像担持体11から現像ローラ15に向う静電気力が現像ローラ15から像担持体11に向う静電気力よりも大きくなる。したがって、トナーは現像ローラ15に向う静電気力を受けており、像担持体11と現像ローラ15との最近接部である現像ニップ部を過ぎると、像担持体11表面の非画像部に付着するトナーは現像ローラ15に戻る。一方、画像部である液体潜像に付着するトナーは、液体と接した時に電荷を失い、かつ液体に吸着されるので、現像ローラ15に戻ることがない。これによって、トナーを画像部である液体潜像のみに選択的に付与することができる。また、像担持体11と現像ローラ15との間に間隙tを有する構成を採ることによって、像担持体11の熱が現像ローラ15に伝導し難くなるので、像担持体11の表面温度を上げ、転写効率の向上およびプロセス速度の高速化を図り得る。本実施の形態では、ガラス転移温度(Tg)が60℃のトナーを用いており、像担持体11の表面温度を80℃に設定すると、現像ローラ15の表面温度は30℃である。図4のように構成することによって、現像ローラ15の表面温度を着色剤のガラス転移温度よりも低い温度に維持できる。
図5は、画像形成装置40の構成を模式的に示す断面図である。画像形成装置40は画像形成装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。画像形成装置40は、画像形成装置1における転写手段3に代えて中間転写手段41と二次転写手段42とを有すること、さらに排出手段43を有することを特徴とする。
中間転写手段41は、中間転写ベルト44と、中間転写ローラ45と、支持ローラ46,47,48と、テンションローラ49とを含む。中間転写ベルト44は、支持ローラ46,47,48によって張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状のトナー像担持手段であり、矢符50の方向に回転する。中間転写ベルト44としては、液体がその内部に浸透しない構成であれば特に制限されないけれども、たとえば、フィルム状基材とその表面に形成されるフッ素樹脂含有被覆層とを含む積層体などが挙げられる。被覆層表面が着色剤像担持面44aになる。フィルム状基材には、たとえば、ポリイミド、ポリカーボネートなどの樹脂材料、フッ素ゴムなどのゴム材料を使用できる。フッ素樹脂被覆層は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、これらの混合物などのフッ素樹脂を含んで構成される。中間転写ベルト44はベルト形態に限定されず、たとえば、ドラム形態に形成することもできる。中間転写ベルト44の着色剤像担持面44aは、その回転方向(矢符50の方向)上流側から、像担持体11b,11c,11m,11yにこの順番で圧接する。中間転写ベルト44の像担持体11に圧接する位置が、各色着色剤像の中間転写ベルト44への中間転写位置(中間転写ニップ部)である。像担持体11上に形成される着色剤像は、中間転写ニップ部において、中間転写ベルト44の着色剤像担持面44aにおける所定位置に重ね合わされて中間転写され、着色剤像担持面44aにカラー着色剤像が形成される。中間転写ローラ45は中間転写ベルト44を介して像担持体11に対向してトナー像担持面44aの反対面に圧接し、かつ図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。中間転写ローラ45には、たとえば、芯金と、該芯金の表面に被覆される導電性層とを含むローラ状部材が用いられる。芯金には、たとえば、ステンレス鋼製の芯金が用いられる。導電性層はたとえば導電性弾性体から形成される。導電性弾性体としては、たとえば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、発泡EPDM、発泡ウレタンなどのマトリックス中にカーボンブラックなどの導電材を分散させた導電性弾性体が挙げられる。支持ローラ46,47,48は、図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動可能に設けられ、中間転写ベルト44を張架して矢符50の方向に回転駆動させる。支持ローラ46,47,48には、たとえば、直径30mmおよび肉厚1mmのアルミニウム製パイプ状ローラが用いられる。支持ローラ47の内部には、第3の加熱手段である加熱手段47aが設けられる。加熱手段47aには、加熱手段18と同様のものを使用できる。なお、支持ローラ47は後述するように二次転写手段42における転写定着ローラとしての機能をも有する。テンションローラ49は中間転写ベルト44に適切な張力を付与し、中間転写ベルト44を円滑に回転駆動させるローラ状部材である。中間転写手段41によれば、像担持体11上に形成される各色着色剤像が、中間転写ベルト44のトナー像担持面44aの中間転写ニップ部に重ね合わされて転写され、カラー着色剤像が形成される。
二次転写手段42は、転写定着ローラである支持ローラ47と加圧ローラ51とを含む。支持ローラ47の内部には前述のように加熱手段47aが設けられ、支持ローラ47の表面を一定の温度に加熱する。本実施の形態では、支持ローラ47の表面温度は100℃に保持される。支持ローラ47の表面温度は、像担持体11の表面温度と同様にして制御される。すなわち、支持ローラ47の表面に図示しない温度検知センサを設け、温度検知センサによる検知結果に応じて、図示しないCPUによって制御される。加圧ローラ51は、中間転写ベルト44を介して支持ローラ47に圧接し、かつ軸線方向に回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。本実施の形態では、加圧ローラ51は120Nの圧力で支持ローラ47に押圧される。支持ローラ47と加圧ローラ51との圧接部が二次転写ニップ部となる。二次転写ニップ部の、支持ローラ47または加圧ローラ51の長手方向に垂直な方向の幅は6mmである。二次転写ニップ部において、中間転写ベルト44上の多色着色剤像(またはモノクロ着色剤像)が記録媒体6上に転写定着される。二次転写手段42によれば、二次転写ニップ部に膨潤・軟化状態にある着色剤像が搬送されると、それに同期して、記録媒体供給手段4から記録媒体6が送給され、中間転写ベルト44上の着色剤像が記録媒体6の表面に押圧されて転写定着され、記録媒体6表面にカラー画像またはモノクロ画像が形成される。
搬送手段43は、搬送ベルト52と、駆動ローラ53と、テンションローラ54とを含む。搬送ベルト52は、駆動ローラ53とテンションローラ54とによって張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、駆動ローラ53の回転駆動に伴って回転し、二次転写手段42において画像が形成された記録媒体6を載せて搬送し、画像形成装置40の外部に設けられる図示しない排紙トレイに排出する。駆動ローラ53は図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられ、搬送ベルト52を回転駆動させる。テンションローラ54は、駆動ローラ53の回転駆動に従動回転可能に設けられ、搬送ベルト52に適切な張力を付与して搬送ベルト52の円滑な回転駆動を補助する。搬送ベルト43によれば、二次転写手段42において画像が形成された記録媒体6を、画像形成装置40の外部に排出する。
画像形成装置40によれば、加熱状態にある像担持体11表面に形成される液体潜像に着色剤を供給して粘着性を示す各色の着色剤像を形成し、これを中間転写ニップ部において中間転写ベルト44上に重ね合わせて中間転写し、中間転写ベルト44上に多色着色剤像またはモノクロ着色剤像を担持させ、この着色剤像を二次転写ニップ部において記録媒体6に転写定着することによって、記録媒体6上にカラー画像またはモノクロ画像が形成され、該記録媒体6は外部に排出される。
図6は、画像形成装置55の構成を模式的に示す断面図である。画像形成装置55は画像形成装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。画像形成装置55は、画像形成装置1の構成に加えて定着手段56を有することを特徴とする。定着手段56は、定着ローラ57と、加圧ローラ58とを含む。定着ローラ57は図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。定着ローラ57の内部には第4の加熱手段である加熱手段57aが設けられ、定着ローラ57の表面温度を一定温度に加熱する。加熱手段57aには加熱手段18と同様のものが用いられる。定着ローラ57の表面温度は、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは120℃付近に保持される。これによって、着色剤像の記録媒体6への定着強度が一層向上する。定着ローラ57の表面温度は、像担持体11の表面温度と同様にして制御される。すなわち、定着ローラ57の表面に図示しない温度検知センサを設け、温度検知センサによる検知結果に応じて、図示しないCPUによって制御される。加圧ローラ58は定着ローラ57の回転駆動に従動回転駆動可能にまたは図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられ、かつ定着ローラ57表面に圧接するように設けられる。本実施の形態では、加圧ローラ58は定着ローラ57に対して200Nの圧力で圧接するように設けられる。定着ローラ57と加圧ローラ58との圧接部が定着ニップ部である。本実施の形態では、定着ニップ部の定着ローラ57または加圧ローラ58の長手方向に垂直な方向の幅は8mmである。画像形成装置55によれば、転写手段3において着色剤像が転写定着され、画像が形成された記録媒体6をさらに定着ニップ部に通過させて画像の記録媒体6に対する定着強度を向上させた後、該記録媒体6を画像形成装置55の外部に排出する。
図7は、本発明の実施の一形態である画像形成装置60の要部の構成を模式的に示す断面図である。画像形成装置60は画像形成装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略するかまたは図示そのものを省略する。画像形成装置60は、画像形成装置1における着色剤像形成手段2に代えて着色剤像形成手段61を有する以外は、画像形成装置1と同様の構成を有することを特徴とする。着色剤像形成手段61がブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの画像情報に対応して4つ設けられることも画像形成装置1と同様である。着色剤像形成手段61は、像担持体11と、着色剤供給手段13と、クリーニング手段17と、第1の静電潜像形成手段62と、第1の液体供給手段である液体帯電装置65とを含む。ここで像担持体11には、芯金と、芯金の表面に形成される感光層とを含むローラ状部材である感光体ドラムが用いられる。感光層には、電荷輸送物質を含む樹脂層と電荷発生物質を含む樹脂層との積層体、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含む樹脂層などの有機感光層、酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコンなどからなる無機感光層などが挙げられる。本実施の形態では、芯金の表面に層厚20μmの有機感光層が形成された感光体ドラムを用いる。本実施の形態では、像担持体11の加熱による性能劣化を防止するために、その表面温度が60℃以下になるように設定される。着色剤像形成手段61は、加熱手段を用いない構成であるので、像担持体11の表面温度が60℃を超えることはない。
第1の静電潜像形成手段62は、帯電ローラ63と露光手段64とを含む。帯電ローラ63は図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられ、かつ像担持体11の表面に当接するように設けられる。帯電ローラ63は図示しない電源から電圧の印加を受けて像担持体11表面を所定の極性および電位に帯電させる。本実施の形態では、帯電ローラ63は像担持体11表面を−800Vに帯電させる。帯電ローラ63に代えて、ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、スコロトロンなどのコロナ帯電器なども使用できる。露光手段64は、帯電状態にある像担持体11表面に各色の画像情報に対応する信号光64aを照射し、像担持体11表面に各色の画像情報に対応する静電潜像を形成する。露光手段64には、たとえば半導体レーザが用いられる。本実施の形態では、露光電位−30Vの静電潜像が形成される。静電潜像形成手段62によれば、像担持体11表面を帯電させ、信号光64aを照射することによって、各色の画像情報に対応する静電潜像が形成される。
液体帯電装置65は像担持体11に対して間隙を有して離隔するように設けられ、液滴形成手段66と液滴循環手段67とを含む。液滴形成手段66は、液滴形成槽66aと、第1の液体帯電手段であるメッシュ電極68と、超音波振動子69とを含む。液滴形成槽66aは内部空間を有する容器状部材であり、内部空間の鉛直方向下部には液体70が貯留され、液体70の液面の鉛直方向上方にはメッシュ電極68が配置される。メッシュ電極68は、対向するように設けられる一対のメッシュ状電極からなり、超音波振動子69による超音波振動に同期した負パルス電圧を印加して液体70の液滴70aを負帯電させる。本実施の形態では、パルス電圧は0〜−1000Vの電位を有する周波数10kHzの矩形波(デューティー50%)である。超音波振動子69は、液滴形成槽66aの鉛直方向における底面外壁に接するように設けられ、液滴形成槽66aひいては液体70に高周波を印加し、液滴70aを発生させる。液滴循環手段67は、一端を液滴形成槽66aの長手方向における一方の側面に形成される開口に接続され、他端を液滴形成槽66aの内部空間を介して前記側面に対向する他方の側面に形成される開口に接続され、液滴70aを循環させるための内部空間を有する循環用部材である。その内部空間には液滴70aを循環させるための空気流を発生させるファン71が設けられる。液滴循環手段67の像担持体11を臨む側面には開口67aが形成され、ここから像担持体11表面の静電潜像に向けて液滴70aが供給される。この液滴70aは像担持体11表面における非画像部(静電潜像が形成されない部分)から画像部(静電潜像部分)へ向う静電気力によって構成される電場に捉えられ、画像部に付着する。液滴帯電装置65によれば、液滴形成槽66aに貯留される液体70への超音波振動子69からの高周波印加によって生成する液滴70aが液体70の液面から上昇し、メッシュ電極68によって電荷を付与されて帯電した後、ファン71が造り出す空気流に載って液滴循環手段67内を循環し、その一部が開口67aから像担持体11表面に静電潜像に供給され、液体潜像が形成される。静電潜像に供給されない液滴70aは液滴循環手段67内を循環して液滴形成槽66aに戻る。
画像形成装置60によれば、像担持体11表面に形成される静電潜像に液体70の液滴70aを供給して液体潜像を形成し、この液体潜像に現像剤を供給して粘着性を示す各色の着色剤像を形成し、これを転写ニップ部において記録媒体6上に重ね合わせて転写定着することによって、記録媒体6上にカラー画像またはモノクロ画像が形成される。画像が形成された記録媒体6は外部に排出される。
図8は、本発明の実施の他の形態である画像形成装置75の要部の構成を模式的に示す断面図である。画像形成装置75は画像形成装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略するかまたは図示自体を省略する。画像形成装置75は、画像形成装置1における着色剤像形成手段2に代えて着色剤像形成手段76を有する以外は、画像形成装置1と同様の構成を有することを特徴とする。着色剤像形成手段76がブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの画像情報に対応して4つ設けられることも画像形成装置1と同様である。着色剤像形成手段76は、液体潜像担持体77と、第2の静電潜像形成手段62aと、第2の液体供給手段である液滴帯電装置65aと、液体除去手段79と、像担持体11と、着色剤供給手段13と、クリーニング手段17と、図示しない第1の電圧印加手段とを含む。液体潜像担持体77は像担持体11表面に圧接するように設けられ、回転自在に支持されるローラ状部材である。本実施の形態では、液体潜像担持体77は、像担持体11を回転駆動させる図示しない駆動手段からギアを介して駆動力の伝達を受け、像担持体11の回転駆動に連係して矢符78の方向に従動回転する。液体潜像担持体77には、画像形成装置60における像担持体11と同様の有機感光層を有する感光体ドラムが用いられる。第2の液体潜像形成手段62aは、画像形成装置60における第1の液体潜像形成手段62と同様に液体潜像担持体77表面に各色の画像情報に応じた静電潜像を形成する。第2の液体潜像形成手段62aにおける帯電ローラ63aと露光手段64aは、それぞれ帯電ローラ63および露光手段64と同様の構成を有する。液滴帯電装置65aは、液体潜像担持体77表面の静電潜像に帯電状態にある液滴を供給するための開口67aの形成位置が異なる以外は、液滴帯電装置65と同様の構成を有する。液滴帯電装置65aによる液体潜像担持体77表面の静電潜像への液体供給量の増量制御は、図3に示す第1の液体供給手段12による像担持体11表面への液体供給量の増量と同様に実施できる。液滴帯電装置65aによれば、液体潜像担持体77表面に形成される静電潜像に帯電状態の液滴を供給し、帯電状態の液滴潜像を形成する。本実施の形態では、液体潜像は−20Vに帯電する。この液体潜像は、液体潜像担持体77と像担持体11との圧接部分において、像担持体11表面に転写される。液体除去手段79は、たとえば、図示しない液体除去ブレードと液体貯留槽とを含む。液体除去ブレードは液体潜像担持体77表面に当接するように設けられる板状部材であり、像担持体11への液体潜像の転写後に液体潜像担持体77表面に残留する液体を掻き取って除去する。液体貯留槽は内部空間を有する容器状部材であり、液体除去ブレードによって掻き取られた液体を一時的に貯留する。液体除去手段79によって清浄化された液体潜像担持体77の表面には、再度静電潜像および液体潜像が形成される。像担持体11には、芯金と、芯金の表面に形成される液体不透過性材料を含む表層とを含むローラ状部材、さらに好ましくは、芯金と、芯金の表面に形成される弾性材料からなる弾性層と、弾性層の表面に形成されて水に対する接触角が50度以上である液体不透過性材料を含有する表層とを含むローラ状部材が用いられる。像担持体11には図示しない第1の電圧印加手段が接続され、電圧が印加される。第1の電圧印加手段は、液体潜像の帯電電位と電位差を有する電圧、好ましくは液体潜像の帯電電位とは逆極性の電圧を像担持体11に印加する。このように構成することによって、液体潜像担持体77表面の液体潜像が像担持体11表面に高い転写効率で転写される。本実施の形態では、液体潜像の帯電電位−20Vに対して、像担持体11に+150Vの電圧を印加する。また本実施の形態では、着色剤供給手段13における現像ローラ14、層厚規制ブレード16および供給ローラ30にも電圧が印加される。具体的には、現像ローラ14は+450V、層厚規制ブレードは+350Vおよび供給ローラは−50Vにそれぞれ電位設定される。このように構成することによって、液体を乾燥させるための加熱手段を設ける必要がなくなるので、液体潜像担持体77の熱による劣化を少なくし、液体潜像担持体77の耐用寿命の延長を図り得る。また、本実施の形態では、液体潜像担持体77を冷却するための図示しない冷却手段を備えても良い。冷却手段には、たとえば、冷風吹き付け装置などが用いられる。さらに、冷却手段とともに温度検知センサを設け、液体潜像担持体77の温度制御を実施しても良い。液体潜像担持体77の温度は、温度検知センサによる液体潜像担持体77の温度検知結果に応じて、CPUによって制御される。
図9は、本発明の実施の他の形態である画像形成装置75aの要部の構成を模式的に示す断面図である。画像形成装置75aは画像形成装置75に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略するかまたは図示自体を省略する。画像形成装置75aは、画像形成装置75の着色剤像形成手段76に代えて着色剤像形成手段76aを有する以外は、画像形成装置75と同様の構成を有することを特徴とする。着色剤像形成手段76aがブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの画像情報に対応して4つ設けられることも画像形成装置75と同様である。着色剤像形成手段76aは、画像形成装置75の着色剤像形成手段76において、液体潜像担持体77と像担持体11とが間隙を有して離隔するように設けられる以外は、着色剤像形成手段76と同様の構成を有する。本実施の形態では、液体潜像担持体77と像担持体11との間隔は0.1mmである。さらに、液体潜像担持体77表面の液体潜像を−20V、像担持体11を+150Vに帯電させることによって、液体潜像が像担持体11表面に向う静電気力が発生するように設定される。さらに、像担持体11ならびに着色剤供給手段13の現像ローラ14、層厚規制ブレード16および供給ローラ30には2kHzの正弦波交流400Vp−pを印加するように構成する。これによって、液滴が振動して液体潜像と液体潜像担持体77との付着力が弱まり、液体潜像を構成する液滴が像担持体11に向けて飛翔し、像担持体11表面に転写される。このように構成すれば、液体潜像担持体77と像担持体11とが離隔するので、像担持体11からの液体潜像担持体77への熱伝導が少なくなり、液体潜像担持体77の耐用寿命のさらなる延長化を図り得る。
図10は、画像形成装置80の要部の構成を模式的に示す断面図である。画像形成装置80は画像形成装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略するかまたは図示自体を省略する。画像形成装置80は、画像形成装置1の着色剤像形成手段2に代えて着色剤像形成手段81を有する以外は、画像形成装置1と同様の構成を有することを特徴とする。着色剤像形成手段81がブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの画像情報に対応して4つ設けられることも画像形成装置1と同様である。着色剤像形成手段81は、画像形成装置1の着色剤像形成手段2におけるクリーニング手段17に代えてクリーニング手段82を有し、像担持体11の内部に加熱手段18が設けられない以外は、着色剤像形成手段2と同様の構成を有する。クリーニング手段82は、巻き出しロール83と、巻き出しロール83に巻回されるクリーニングウェブ84と、加熱加圧ローラ85と、巻取りロール86とを含む。
巻き出しロール83は、軸線回りに従動回転可能に支持され、その表面にクリーニングウェブ84を巻回して保持する。クリーニングウェブ84には、たとえば、フェルト、PTFEの多孔質シートなどが用いられる。加圧ローラ85は軸線回りに従動回転可能に支持され、クリーニングウェブ84を像担持体11表面に圧接させ、像担持体11表面の残留着色剤をクリーニングウェブ84に付着させる。加圧ローラ85の内部には加熱手段87が設けられる。加熱手段87は、加熱加圧ローラ85およびクリーニングウェブ84を加熱することによって、像担持体11表面に残留する着色剤を軟化させ、クリーニングウェブ84に付着し易くする。また、加熱手段87は、間接的に像担持体11を加熱する機能をも有する。本実施の形態では、像担持体11の表面温度は80℃に設定される。像担持体11の表面温度を80℃に保持するためには、加熱加圧ローラ85の表面温度を100℃に保持する。このように、加熱加圧ローラ85の表面温度を像担持体11の表面温度よりも高く設定できるので、着色剤像の転写後に像担持体11表面に残留する着色剤などを容易に除去できる。加熱加圧ローラ85の表面温度は、画像形成装置1における像担持体11の表面温度の制御と同様に、温度検知センサを設け、その検知結果に応じてCPUによって制御される。加熱加圧ローラ85には、たとえば、芯金と、芯金の表面に形成される弾性層とを含むローラ状部材が用いられる。本実施の形態では、径30mmのステンレス鋼製芯金の表面に層厚3mmの弾性層が形成されたローラ状部材を用いる。巻取りロール86は、図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動可能に支持され、着色剤が付着するウェブシート86を巻き取る。本実施の形態では、ウェブシート86を像担持体11表面に圧接させるために加圧ローラ85を用いるけれどもそれに限定されず、たとえば、ばねなどを用いても良い。画像形成装置80によれば、像担持体11に形成される着色剤像が記録媒体6に転写された後、像担持体11表面の残留着色剤、記録媒体6に由来する紙粉などがクリーニング手段82によって除去され、像担持体11表面が清浄化される。
図11は、画像形成装置90の要部の構成を模式的に示す断面図である。画像形成装置90は画像形成装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略するかまたは図示自体を省略する。画像形成装置90は、画像形成装置1の着色剤像形成手段2に代えて着色剤像形成手段91を有する以外は、画像形成装置1と同様の構成を有することを特徴とする。着色剤像形成手段91がブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの画像情報に対応して4つ設けられることも画像形成装置1と同様である。着色剤像形成手段91は、画像形成装置1の着色剤像形成手段2と同様の構成を有し、さらに液体塗布ローラ92を有することを特徴とする。液体塗布ローラ92は、着色剤供給手段13による像担持体11表面の液体潜像への着色剤供給位置と像担持体11表面の着色剤像の記録媒体6への転写位置との間の像担持体11表面に圧接し、かつ像担持体11の回転駆動に従動回転可能に設けられるローラ状部材である。本実施の形態では、液体塗布ローラ92は、像担持体11表面における最大用紙サイズに対応する画像形成領域全面に塗布する。塗布量は0.02mg/cm2に設定する。このように構成することによって、画像部である着色剤像にはさらに液体を付与し、非画像部に付着する着色剤は液体塗布ローラ92表面に付着させて像担持体11から除去できる。本実施の形態では、液体塗布ローラ92には、フェルト部材からなる芯材と、芯材の表面に形成されるPTFE多孔質層とを含むローラ状部材が用いられる。芯材にフェルト部材を用いると、フェルト部材中に液体を吸収保持できる。また、像担持体11表面にフッ素樹脂層が形成される場合は、像担持体11表面に液体塗布ローラ92を接触させても、フェルト部材の吸収作用によって液体が付与されない。したがって、非画像部には液体が付着しないので好都合である。本実施の形態では、液体塗布ローラ92による液体塗布は、最大用紙サイズに対応するけれどもそれに限定されず、形成しようとする用紙のサイズに応じて塗布領域を適宜変更してもよい。たとえば、液体塗布ローラ92を像担持体11表面に対して離接可能に設けかつ液体塗布ローラ92を長手方向に複数に分割し、用紙サイズに応じて、分割される複数の液体塗布ローラのうちから、像担持体11表面に当接させる液体塗布ローラを選択することによって、用紙サイズの変更に対応できる。液体塗布ローラの像担持体11表面に対する離接は、画像情報に含まれる用紙サイズ情報に応じて、CPUによって制御される。画像形成装置90によれば、像担持体11表面の液体潜像に着色剤を供給して着色剤像を形成する際に、液体潜像以外の部分である非画像部に付着する着色剤を液体塗布ローラ92によって除去するとともに、着色剤像にさらに液体を供給して着色剤象のフィルム化を促進して着色剤像の粘着力を高め、着色剤像の記録媒体6への転写効率を向上させる。