図1は本発明の実施の第1形態である画像形成装置1の構成を概略的に示す断面図であり、図2は図1に示す画像形成装置1の要部(後述の作像ユニット10y)の構成を拡大して示す断面図であり、図3は図1に示す画像形成装置1の要部(後述の中間転写手段3、第1定着液付与手段4および第2定着液付与手段5)の構成を拡大して示す断面図である。
画像形成装置1は、トナー像形成手段2と、中間転写手段3と、第1定着液付与手段4と、第2定着液付与手段5と、転写定着手段6と、記録媒体供給手段7とを含んで構成される。
トナー像形成手段2は、結着樹脂および着色剤を含むトナーからなるトナー像を形成する。トナー像形成手段2は、作像ユニット10y,10m,10c,10bを含み、これらは、各色相の画像情報に対応する静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して、各色のトナー像を形成するものである。すなわち、作像ユニット10yはイエロー色の画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10mはマゼンタ色の画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10cはシアン色の画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10bはブラック色の画像情報に対応するトナー像を形成する。
作像ユニット10yは、感光体ドラム11yと、帯電ローラ12yと、光走査ユニット13と、現像装置14yと、ドラムクリーナ15yとを含んで構成される。
感光体ドラム11yは、図示しない駆動手段により軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない円筒状、円柱状または薄膜シート状(好ましくは円筒状)の導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含んで構成される。感光体ドラム11yには、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、導電性基体であるアルミニウム素管と、アルミニウム素管の表面に形成される有機感光層とを含む、GND電位に接続される直径30mmの感光体ドラムが挙げられる。有機感光層は、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層して形成される。
有機感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質とを1つの層に含むものであってもよい。有機感光層の層厚は、たとえば、20μmである。また有機感光層と感光体ドラムとの間に下地層を設けてもよい。さらに、有機感光層の表面に保護層を設けてもよい。また導電性基体の表面に形成される感光層は、有機感光層に限定されることなく、たとえば、酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコンなどによって構成されてもよい。感光体ドラム11yは、時計周りの方向に、たとえば、周速度100mm/sで回転駆動する。
帯電ローラ12yは、感光体ドラム11yの表面を所定の極性および電位に帯電させる。帯電ローラ12yに代えて、ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、スコロトロンといったコロナ帯電器などを使用してもよい。
光走査ユニット13は、帯電状態にある感光体ドラム11yの表面にイエロー色の画像情報に対応する信号光であるレーザ光13yを照射し、感光体ドラム11yの表面に、イエロー色の画像情報に対応する静電潜像を形成する。レーザ光13yの光源には、半導体レーザなどが用いられる。
現像手段14yは、感光体ドラム11y表面に圧接し、図示しない固定磁極を内包しかつ軸線回りに回転駆動可能に設けられ、イエロー色トナー16yを感光体ドラム11y表面の静電潜像に供給する現像ローラ17yと、現像ローラ17yの表面に当接するように設けられ、現像ローラ17y表面のイエロー色トナー層を均一化(層規制)する現像ブレード18yと、イエロー色トナー16yを貯留するトナー貯留容器19yと、トナー貯留容器19yの内部に、互いに圧接しかつ軸線回りに回転駆動可能に設けられる撹拌ローラ20a,20bであって、撹拌ローラ20aが現像ローラ17yの表面に圧接しかつ現像ローラ17y表面にイエロー色トナー16yを供給する撹拌ローラ20a,20bとを含んで構成される。
現像ローラ17yは、感光体ドラム11yに圧接(接触)する現像ニップ部において、感光体ドラム11yの回転駆動方向と同じ方向に回転駆動する。したがって、軸線回りの回転駆動方向としては、逆方向になる。この実施形態では、現像ローラ17yの周速度は、たとえば、感光体ドラム11yに対して1.5倍の150mm/sである。トナー貯留容器19y中のイエロー色トナー16yは、撹拌ローラ20a,20bによって現像ローラ17y表面に供給され、現像ブレード18yによって層厚を均一化された後、電位差などを利用して感光体ドラム11y表面の静電潜像にほぼ選択的に供給され、イエロー色の画像情報に対応するトナー像が形成される。なお、本実施の形態では、イエロー色トナー16yと磁性キャリアとを混合した2成分現像剤として用いられる。
ドラムクリーナ15yは、後述するように、感光体ドラム11y表面のイエロー色トナー像が中間転写ベルト21に中間転写された後に、該表面に残存するイエロー色トナーを除去、回収する。
作像ユニット10yによれば、感光体ドラム11yをその軸線回りに回転駆動させながら、まず帯電ローラ12yにより感光体ドラム11yの表面をたとえば−600Vに帯電する。次に、帯電状態にある感光体ドラム11yの表面に、光走査ユニット13からイエロー色の画像情報に対応する信号光を照射し、イエロー色の画像情報に対応する露光電位−70Vの静電潜像を形成する。次いで、感光体ドラム11yの表面に、現像ローラ16y表面に担持されるイエロー色トナー層が接触する。現像ローラ16yには現像電位として−240Vの直流電圧が印加されており、電位差により、静電潜像にイエロー色トナー16yが付着して現像され、感光体ドラム11yの表面にイエロー色のトナー像が形成される。このイエロー色トナー像は、後述するように、感光体ドラム11yの表面に圧接し、矢符27の方向に駆動する中間転写ベルト21に中間転写される。感光体ドラム11yの表面に残留するイエロー色トナー16yはドラムクリーナ15yにより除去され、回収される。以後、同様のイエロー色トナー像作成動作が繰り返し実行される。
作像ユニット10m,10c,10bは、それぞれマゼンタ色トナー16m、シアン色トナー16cまたはブラック色トナー16bを使用する以外は、作像ユニット10yに類似の構造を有するので、同一の参照符号を付し、さらに各参照符号の末尾に、マゼンタ色を示す「m」、シアン色を示す「c」またはブラック色を示す「b」を付し、説明を省略する。なお、作像ユニット10y,10m,10c,10bは、中間転写ベルト21の移動方向(副操作方向)、すなわち矢符27の方向の上流側からこの順番で一列に配列される。
なお、各色トナー16y,16m,16c,16bは、結着樹脂、着色剤および必要に応じて離型剤を含有する。結着樹脂としては、後述する定着液9により軟化および/または膨潤する樹脂であれば特に制限されることなく、たとえば、ポリスチレン、スチレンの置換体の単独重合体、スチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。結着樹脂は、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
このような結着樹脂の中でも、カラートナー用としては、保存性、耐久性、後述する定着液9による軟化または膨潤制御などの点から、軟化点が100℃以上150℃以下、ガラス転移点が50℃以上80℃以下の結着樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂が特に好ましい。ポリエステル樹脂は安価で入手容易な有機溶剤により軟化および/または膨潤しやすく、軟化および/または膨潤した状態で透明になる。したがって、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が重ね合わされた多色トナー像を定着液9にて定着すると、結着樹脂であるポリエステル樹脂自体は透明化するので、減法混色により充分な発色が得られる。また、熱定着用のトナーに用いられる結着樹脂よりも軟化点(分子量)および硬度の高い樹脂を用いても、定着液9による定着が可能である。軟化点および硬度の高い樹脂を用いれば、現像の際の負荷による劣化が防止され、長期間にわたって画質の劣化が少ない画像が得られる。
着色剤としては、従来から電子写真方式の画像形成技術において用いられるトナー用顔料および染料を使用できるけれども、定着液9による滲みを防止するために、定着液9に溶解しない顔料が好ましく、ニグロシン染料などの染料は好ましくない。顔料の具体例としては、たとえば、アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体系顔料などの有機系顔料、カーボンブラック、酸化チタン、モリブデンレッド、クロムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ベルリンブルーなどの無機系顔料、アルミニウム粉などの金属粉などが挙げられる。顔料は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
離型剤としては、各種ワックスを使用できる。ワックスとしては、定着液9により軟化および/または膨潤するものであれば特に制限なく使用できる。ワックスの具体例としては、たとえば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックスなどが挙げられる。
またトナーには、必要に応じて結着樹脂、着色剤および離型剤の他に、帯電制御剤、流動性向上剤、定着促進剤、導電剤などの一般的なトナー用添加剤の1種または2種以上を含有させることができる。
トナーの体積平均粒径は、特に制限されないけれども、2μm以上7μm以下とするのが好ましい。このような小粒径トナーを用いると、単位面積当りのトナーの表面積が大きくなり、定着液9との接触面積が増加して定着し易くなる。これによって、定着液9の使用量の低減化を図り得るとともに、トナー像の記録媒体への定着および定着後の乾燥を短時間で実施できる。また、トナーの体積平均粒径が適度に小さい場合には、紙などの記録媒体8に対する被覆率が高くなるので、低付着量での高画質化およびトナー消費量の低減化を達成でき、ひいては定着液9の消費量のさらなる低減化を達成できる。
なお、トナーの体積平均粒径が2μm未満であると、トナーの流動性が低下し、現像動作の際に、トナーの供給、撹拌および帯電が不充分になり、トナー量の不足、逆極性トナーの増加などが起こり、高画質の画像を得られない恐れがある。また、体積平均粒径が7μmを超えると、トナー粒子の中心まで軟化および/または膨潤し難い大粒径のトナー粒子が多くなるので、画像の記録媒体への定着性が低下するとともに、画像の発色が悪くなり、特にOHP用シートへの定着の場合には、画像が暗くなる。
トナー自体の軟化点およびガラス転移点は特に制限されないけれども、軟化点が100〜130℃、ガラス転移点が50〜80℃であることが好ましい。このような軟化点の高いトナーは、現像時の負荷に対する耐久性を向上させるには好ましいけれども、熱定着方式では充分に定着および発色しない。ところが、本発明では定着液9を用いて化学的にトナーを軟化および/または膨潤させるので、定着および発色が充分で、高品位な画像を得ることができる。なお、トナーが複数の結着樹脂を含む場合には、トナーが複数の軟化点または複数のガラス転移点を示すことがある。その場合、トナーの軟化点またはガラス転移点とは、複数あるうちの最も低い軟化点またはガラス転移点の温度を示すものとする。
トナーは、公知の方法に従って製造できる。たとえば、結着樹脂に離型剤、着色剤などを分散させて粉砕する方法、結着樹脂のモノマー溶液中に離型剤、着色剤などを分散させ、その後結着樹脂のモノマーを重合させる方法などが挙げられる。いずれの方法においても、トナーの表面積を大きくするためにトナーの形状が球形よりも不定形になるように調整するのが好ましい。これによって、トナーが定着液9と接触し易くなるので、定着液9の使用量が減少し、トナー像の定着および乾燥を短時間で実施できる。
各色トナー16y,16m,16c,16bは、そのまま1成分現像剤として用いてもよく、またはキャリアと混合して2成分現像剤として用いてもよい。
本実施の形態で用いられる各色トナー16y,16m,16c,16bは、顔料以外は次に示す同じ構成を有する。このトナーは、ガラス転移点60℃、軟化点120℃、体積平均粒径6μmであり、負帯電性の絶縁性非磁性トナーである。このトナーを用いて、X−Rite社製310による反射濃度測定値が1.4の画像濃度を得るには、5g/m2のトナー量が必要である。このトナーは、ガラス転移点60℃かつ軟化点120℃のポリエステル(結着樹脂)、ガラス転移点50℃かつ軟化点70℃の低分子ポリエチレンワックス(離型剤)および各色の顔料を含み、ワックス含有量がトナー全量の7重量%、顔料含有率がトナー全量の12重量%および残部が結着樹脂のポリエステル樹脂である。
中間転写手段3は、トナー像形成手段2により形成されるトナー像を担持して回転するトナー像担持体である中間転写ベルト21と、中間転写ローラ22y,22m,22c,22bと、支持ローラ23,24,25と、ベルトクリーナ26とを含んで構成される。
中間転写ベルト21は、支持ローラ23,24,25との間に張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルトであり、感光体ドラム11y,11m,11c,11bとほぼ同じ周速度で矢符27の方向に回転する。本実施形態の中間転写ベルト21には、たとえば、厚さ100μmのポリイミドフィルムの表面に、厚さ500μmのシリコーンゴム層と、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)とPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)とを8:2(重量比)の割合で含むフッ素樹脂組成物からなる厚さ20μmの被覆層とを設けたものが用いられる。ポリイミドフィルム、シリコーンゴム層および被覆層中には、中間転写ベルト21としての電気抵抗値を調整するために、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、グラファイトカーボンなどの導電材が配合される。なお、中間転写ベルト21の被覆層表面が、トナー像担持面21aになる。
なお、中間転写ベルト21の材料および構成としては、上記のものに限定されることなく、種々の変更が可能であるけれども、後述する定着液9のトナー像担持面21aに対する接触角が、50°以上120°以下となるように選択されることが好ましい。定着液9のトナー像担持面21aに対する接触角が50°未満であると、トナー像担持面21aに対して定着液9が濡れすぎる状態となり、定着液9のトナー像担持面21aからの剥離性が低下してしまう。このことによって、記録媒体8にトナー像担持面21aに担持されるトナー像を転写する際、トナー像担持面21aから定着液9およびトナー像が剥離せず、記録媒体8への転写効率が低下する恐れがある。
また、トナー像担持面21aには、画像かぶりの原因となる飛散トナーが、おもに孤立した状態で存在する。このような飛散トナーは、後述する第1定着液付与手段4によって除去されるけれども、定着液9のトナー像担持面21aに対する接触角が50°未満であると、トナー像担持面21aに対して定着液9が濡れすぎる状態となり、定着液9およびトナーの中間転写ベルト21に対する付着力が大きくなるので、飛散トナーを除去できない恐れがある。
一方、定着液9のトナー像担持面21aに対する接触角が、120°より大きくなると、孤立して存在する飛散トナーだけでなく画像部のトナーも後述する第1定着液付与手段4によって除去される恐れがある。したがって、定着液9のトナー像担持面21aに対する接触角が、50°以上120°以下となるように選択されることが好ましい。
なお、本実施形態の中間転写ベルト21は、上記のような厚さ100μmのポリイミドフィルム(PI)の表面に、厚さ500μmのシリコーンゴム(Siゴム)層と、PTFEとPFAとを8:2(重量比)の割合で含むフッ素樹脂組成物からなる厚さ20μmの被覆層とを設けたもの(フッ素材Aと呼ぶ)であり、フッ素材Aからなる中間転写ベルト21のトナー像担持面21aに対する定着液9の接触角は、74°であった。
ここで、表1に、種々の材料および構成からなる中間転写ベルトのトナー像担持面に対する定着液9の接触角の測定結果およびトナー像担持面からのトナーのオフセット性の評価結果を示す。表1に示すトナーのオフセット性とは、中間転写ベルトのトナー像担持面に付着するトナーが第1定着液付与手段4によって除去されるか否かを示すものである。このオフセット性を、飛散トナーとドットトナーとのそれぞれについて評価した。なお、飛散トナーとは、前述のように画像かぶりの原因となるものであり、ドットトナーとは、画像形成装置によって形成できる最小の点を形成する複数のトナーの集合体であり、画像を形成するトナーである。
飛散トナーは画像かぶりの原因となるものであるので、中間転写ベルトから除去されることが好ましい。したがって、飛散トナーのオフセット性評価は、飛散トナーが中間転写ベルトから除去された(後述する第1定着液付与手段4の定着液供給ローラ42にトナーが付着した)ものを○、中間転写ベルトから除去されなかった(第1定着液付与手段4の定着液供給ローラ42にトナーが付着しなかった)ものを×とした。一方、ドットトナーは画像を形成するトナーであるので、中間転写ベルトから除去されないことが好ましい。したがって、ドットトナーのオフセット性評価は、ドットトナーが中間転写ベルトから除去されなかった(第1定着液付与手段4の定着液供給ローラ42にトナーが付着しなかった)ものを○、中間転写ベルトから除去された(第1定着液付与手段4の定着液供給ローラ42にトナーが付着した)ものを×とした。飛散トナーおよびドットトナーのオフセット性評価がいずれも○であれば、画像かぶりおよび画像欠損のない良好な画像を形成できる。
なお、表1中のフッ素材Bとは、厚さ100μmのポリイミドフィルムの表面に、厚さ500μmのシリコーンゴム層と、厚さ20μmのPTFE層とを設けたものであり、フッ素材Cとは、PTFEの単層である。また、定着液9のトナー像担持面に対する接触角の測定に使用した本実施形態の定着液9の詳細については後述する。
中間転写ベルト21のトナー像担持面21aは、感光体ドラム11y,11m,11c,11bにこの順番で圧接する。中間転写ベルト21の感光体ドラム11y,11m,11c,11bに圧接する位置が、各色相のトナー像の中間転写位置である。中間転写ベルト21を介して感光体ドラム11y,11m,11c,11bに対向する位置に、中間転写ローラ22y,22m,22c,22bが配置される。
中間転写ローラ22y,22m,22c,22bは、それぞれ、中間転写ベルト21におけるトナー像担持面21aの反対面に圧接し、かつ図示しない駆動手段によりその軸線回りに回転駆動可能に設けられ、たとえば、金属製軸体と、該金属製軸体の表面に被覆される導電性層とを含んで構成される。軸体は、たとえば、ステンレス鋼などの金属により形成される。軸体の直径は特に制限されないけれども、好ましくは8〜10mmである。導電性層は、導電性弾性体などにより形成される。導電性弾性体としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カーボンブラックなどの導電性制御剤を含む、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、発泡EPDM、発泡ウレタンなどが挙げられる。導電性層によって、中間転写ベルト21に高電圧が均一に印加される。
中間転写ローラ22y,22m,22c,22bには、感光体ドラム11y,11m,11c,11bの表面に形成されるトナー像を中間転写ベルト21上に転写するために、トナーの帯電極性とは逆極性の中間転写バイアスが定電圧制御によって印加される。これによって、感光体ドラム11y,11m,11c,11bに形成されるイエロー色、マゼンタ色、シアン色およびブラック色の各色相のトナー像が中間転写ベルト21のトナー像転写面21aに順次重ね合わさって転写され、多色トナー像が形成される。但し、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの色相の一部のみの画像情報が入力される場合には、作像ユニット10y,10m,10c,10bのうち、入力される画像情報の色相に対応する作像ユニットのみにおいてトナー像が形成される。
支持ローラ23,24,25には、たとえば、直径が30mmで、肉厚が1mmのアルミニウム製円筒体が用いられる。
ベルトクリーナ26は、中間転写ベルト21のトナー像転写面21a上のトナー像を後述の転写定着手段6において記録媒体8に転写した後に、トナー像転写面21a上に残存するトナーおよび定着液9を除去する部材であり、中間転写ベルト21を介して支持ローラ25に対向するように設けられ、図示しない加圧手段により、中間転写ベルト21のトナー像転写面21aに圧接し、トナー像転写面21a上の残存トナー、残存定着液などを掻き取るクリーニングブレード26aと、クリーニングブレード26aに掻き取られるトナーなどを貯留するトナー貯留容器26bとを含んで構成される。クリーニングブレード26aには、たとえば、弾性を有するゴム材料(たとえば、ウレタンゴム)などからなるブレードを使用できる。
第1定着液付与手段4は、中間転写ベルト21に感光体ドラム11y,11m,11c,11bからの各色のトナー像が重ねあわされて中間転写された後から、中間転写ベルト21のトナー像転写面21aのトナー像が記録媒体8に2次転写されるまでの間に、中間転写ベルト21に接するように設けられる。
図4は、図1に示す画像形成装置1に備えられる第1定着液付与手段4の断面図である。第1定着液付与手段4は、中間転写ベルト21のトナー像転写面21aのトナー像に、トナーを軟化および/または膨潤させる定着液9を接触状態で付与する。
第1定着液付与手段4は、定着液9を収容する定着液槽41と、定着液槽41に収容される定着液9を中間転写ベルト21のトナー像転写面21aのトナー像に付与する定着液供給手段であって、定着液槽41の開口部において中間転写ベルト21に圧接するとともに、図示しない駆動手段および回転軸42aによって矢符42bの方向に回転駆動可能に設けられる定着液供給ローラ42と、一部が定着液槽41に収容される定着液9中に浸漬し、定着液供給ローラ42に圧接する規制ローラ43と、定着液供給ローラ42の表面に圧接し、定着液供給ローラ42と中間転写ベルト21のトナー像転写面21aのトナー像との接触後に定着液供給ローラ42に付着するトナーおよび定着液9を除去して定着液供給ローラ42の表面を清浄化するクリーニング手段44と、クリーニング手段44により定着液供給ローラ42の表面から除去されるトナーと定着液9とを分離して定着液9を回収する定着液回収手段45とを含んで構成される。
定着液槽41には、定着液9の消費状況に応じて、定着液貯留槽28から供給管28aを介して、定着液槽41における定着液9の液面高さが一定になるように、定着液9が補充供給される。
定着液供給ローラ42は、その回転方向が、中間転写ベルト21との圧接部において、中間転写ベルト21と同方向である。また、定着液供給ローラ42の周速度は中間転写ベルト21の周速度とほぼ等しく設定される。本実施の形態では、定着液供給ローラ42には、外径が20mmで、表面に厚さ3mmかつ硬度20度(JIS−A)のシリコーンゴム層を有するローラが使用される。
規制ローラ43は、一部が定着液槽41に収容される定着液9中に浸漬し、定着液供給ローラ42に圧接して設けられ、定着液供給ローラ42の回転に従動して矢符43a方向に回転する。規制ローラ43としては、たとえば、外径が18mmのステンレス鋼製ローラを使用でき、規制ローラ43の表面には、不図示の均一パターンの溝が形成される。規制ローラ43は、定着液供給ローラ42の回転に従動して回転し、定着液槽41に収容される定着液9を汲上げて規制ローラ43に形成される溝内部に担持し、担持される定着液9を定着液供給ローラ42に付与する。
クリーニング手段44は、その先端が定着液供給ローラ42の表面に圧接し、中間転写ベルト21に担持されるトナー像との接触後に定着液供給ローラ42に付着するトナーおよび定着液を除去して定着液供給ローラ42の表面を清浄化する。中間転写ベルト21に担持されるトナー像との接触後に定着液供給ローラ42に付着するトナーが除去されないまま定着液供給ローラ42が回転し続けると、中間転写ベルト21にトナーを付着させてしまい、トナー画像の乱れを発生してしまう。
クリーニング手段44によれば、中間転写ベルト21に担持されるトナー像に対して付与される定着液9のトナーによる汚染が防止でき、常に良好な状態で飛散トナーを除去することができる。クリーニング手段44には、たとえば、金属製の板状物が使用できる。本実施の形態では、厚さ50μmのステンレス鋼製の板が用いられる。
また第1定着液付与手段4は、クリーニング手段44によって定着液供給ローラ42の表面から除去されるトナーと定着液とを分離して定着液9を回収する定着液回収手段45を備える。定着液回収手段45は、クリーニング手段44により定着液供給ローラ42の表面から除去されるトナーと定着液9との混合物47を収容する混合物収容槽46と、混合物収容槽46に収容されるトナーと定着液9との混合物47から、定着液9のみを分離して定着液槽41に移動させる定着液分離手段である濾過部材48とを含んで構成される。
本実施形態の定着液回収手段45は、定着液槽41と一体的に設けられ、仕切り板49と濾過部材48とによって定着液槽41と区切られる混合物収容槽46が形成される。濾過部材48には、たとえば、ポリプロピレン繊維が用いられる。また濾過部材48には、これ以外にも多孔質膜、透析部材などの既存のフィルター素材を用いることもできる。
第1定着液付与手段4は、このような定着液回収手段45によって回収される定着液9を定着液槽41に戻し、再び中間転写ベルト21に担持されるトナー像に対して付与する。このように、定着液9の再利用が可能となるので、定着液9に要するコストおよび環境負荷を低減することができる。
なお、定着液槽41に収容される定着液9の液面位置は、混合物収容槽46に収容される混合物47の液面位置よりも低くなるように構成されることが好ましい。このことによって、混合物収容槽46に収容されるトナーを含む定着液9である混合物47が、その重力によって容易に濾過部材48側に移動して混合物47からトナーが除去され、定着液9のみが定着液槽41に移動するので、効率的にトナーと定着液9との分離を行うことができる。
定着液付与手段4によれば、まず、規制ローラ43が定着液槽41の定着液9中を回転することにより、定着液供給ローラ42の表面に定着液9を付着させる。この定着液供給ローラ42の表面に付着する定着液9が、定着液供給ローラ42と中間転写ベルト21との圧接部において、中間転写ベルト21のトナー担持面21a上に移行する。このとき、定着液供給ローラ42上の定着液9のほぼ1/2がトナー担持面21aの表面に移行する。
このように、定着液付与手段4が中間転写ベルト21上に形成され担持されるトナー像に定着液9を接触状態で付与すると、中間転写ベルト21上に存在する画像かぶりの原因となる、おもに孤立した状態で非画像部に存在する飛散トナーが、定着液9をより多く担持する側の定着液付与手段4の定着液供給ローラ42側に移動することによって、このような飛散トナーを定着液供給ローラ42に付着させ、除去することができる。
さらに、定着液9が中間転写ベルト21を介して記録媒体8に供給されるので、定着液供給ローラ42の表面に紙繊維などの紙粉が付着せず、定着液槽41内の定着液9に紙粉が混入することがない。この結果、定着液供給ローラ42と規制ローラ43との当接部における紙粉の噛み込みに起因する、定着液供給ローラ42上での定着液層の不均一化が生じないので、高品位の画像を長期間にわたって安定的に得ることができる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、第1定着液付与手段4よりもトナー像担持体である中間転写ベルト21の回転方向27の上流側に設けられ、第1定着液付与手段4によりトナー像に定着液9を付与する前に、中間転写ベルト21に担持されるトナー像を処理するトナー像前処理手段である第2定着液付与手段5を備える。なお、本実施形態において、トナー像の処理とは、トナー像を構成するトナー同士の結合を高めることを意味する。
図5は画像形成装置1に備えられる第2定着液付与手段5のインクジェットヘッド51の構成を示す斜視図であり、図6は画像形成装置1に備えられる第2定着液付与手段5の構成を示す断面図である。第2定着液付与手段5は、中間転写ベルト21に担持されるトナー像に非接触の状態で、トナー像に定着液9を付与する。第2定着液付与手段5は、支持ローラ23の回転軸線方向に延びるインクジェットヘッド51と、定着液9を収容する定着液収容槽52とを含む。
定着液収容槽52には、定着液9の消費状況に応じて、定着液貯留槽28から供給管28bを介して、定着液収容槽52における定着液9の液面高さが一定になるように、定着液9が補充供給される。
インクジェットヘッド51は、セラミックスからなるチャンバー53と、電圧によって伸縮する圧電素子であるピエゾ素子54とを含んで構成される。またインクジェットヘッド51には、支持ローラ23の回転軸線方向に対して等間隔に複数のノズル56が設けられる。
この複数のノズル56は、支持ローラ23の軸線方向における中間転写ベルト21の幅と略等しい幅で形成される。またノズル56の配置間隔は、少なくとも中間転写ベルト21のトナー担持面21aにおいて、定着液9の液滴57が塗布されない領域が形成されないように定められる。またインクジェットヘッド51に設けられる複数のノズル56は、それぞれのノズル56からの液滴57の吐出量が制御される必要はない。またノズル56のノズル径についても、画像形成に用いられるようなインクジェットヘッドほど微細である必要はないので、中間転写ベルト21の幅方向に延びるような形状のインクジェットヘッド51であっても、安価に製造することができる。
インクジェットヘッド51は、電源55から印加される電圧によってピエゾ素子54が駆動してチャンバー53に圧力が付与され、定着液収容槽52に収容される定着液9が該圧力の付与によってチャンバー53内を通って押し出され、ノズル56から液滴57として定着液9を吐出する。
このような第2定着液付与手段5は、第1定着液付与手段4によりトナー像に定着液9を付与する前に、中間転写ベルト21に担持されるトナー像に非接触の状態で、トナー像に定着液9を付与する。ここで、ドット画像またはベタ画像のような画像を形成する画像部のトナーは集合して存在しており、隣り合うトナー同士が接着することによって、トナー同士の結合力が高められる。一方、画像かぶりを発生する原因となる非画像部に存在する飛散トナーは、孤立して存在し、隣り合うトナーとあまり接していない場合が多いので、このような飛散トナーは非接触で定着液を塗布されてもトナー同士の結合力が生じない。
したがって、第1定着液付与手段4の接触によりトナー像に定着液9を付与する前に非接触で定着液9が付与されると、画像部のトナーについてはトナー同士の結合が高められ、画像を形成するトナー像が中間転写ベルト21上に留まる状態となるので、第1定着液付与手段4を接触させても除去されることがない。一方、非画像部の飛散トナーはおもに孤立した状態で存在し、トナー同士の結合が起こらないので、第2定着液付与手段5によって定着液9を付与しても、第1定着液付与手段4の接触によって、充分に除去できる。
ここで、第2定着液付与手段5によって付与された定着液9のうち、中間転写ベルト21上の非画像部に付与された定着液9は、第1定着液付与手段4を中間転写ベルト21に接触するときに定着液供給ローラ42に付着して戻される。したがって、後述する記録媒体8に転写定着が行われるときには、非画像部に付与される定着液9の量は、画像部に付与される定着液9の量に比べて減少する。定着液9は、トナー像を記録媒体8に定着させるために用いられ、非画像部には定着液9が付与される必要はないので、非画像部に付与される定着液9の量は少ないほうが好ましい。これは、中間転写ベルト21には定着液9が浸透せず、トナーには定着液9が浸透する作用による。なお、定着液供給ローラ42に戻される定着液9の量は、定着液供給ローラ42の表面エネルギーと中間転写ベルト21の表面エネルギーとの差によって決定される。これは、それぞれの部材に対する定着液9の接触角の測定によって比較が可能である。
本実施形態においては、中間転写ベルト21のトナー担持面21aは,フッ素材料でコーティングされるので撥液性を示す。一方、定着液供給ローラ42の表面はシリコーンゴムで形成されるので、親液性を示す。したがって本実施形態では、中間転写ベルト21の非画像部では定着液9がはじかれ、ほとんどの定着液9が定着液供給ローラ42に戻されるので、定着液9の消費量を低減できる好ましい構成となっている。
なお、第1定着液付与手段4で付与される定着液9の重量と、第2定着液付与手段5で付与される定着液9の重量との和が、トナーの重量にほぼ等しくなるように付与されることが好ましい。また、第2定着液付与手段5で付与される定着液9の量が少なすぎると、画像部のトナー同士の結合を高めることができず、第1定着液付与手段4によって画像部のトナーが除去され、画像欠損を発生する恐れがある。第2定着液付与手段5で付与される定着液9の量が多すぎると、定着液9によってトナーが流れてしまい、画像が乱れてしまう恐れがある。本実施形態においては、第1定着液付与手段4で付与される定着液9の重量と、第2定着液付与手段5で付与される定着液9の重量との比率が4:1である。
以下、第1定着液付与手段4および第2定着液付与手段5によって付与される定着液9について説明する。定着液9は、トナーを軟化および/または膨潤させる作用を有する有機化合物(以後、トナー定着用有機化合物と呼ぶ)を水に分散させた液状物である。
トナー定着用有機化合物としては、たとえば、高級グリコールエーテル、エチレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールモノエーテル、エチレングリコール、モノメチルエーテル=2−メトキシエタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ブチルセロソルブエチルカルビトール、脂肪族二塩基酸エステル、DBE(二塩基酸エステル)、エステル系高沸点混合剤、直鎖二塩基酸エステル(マレイン酸エステル)、イタコン酸エステル、トリメリットエステル、二塩基酸エステルなどが挙げられる。
上記トナー定着用有機化合物を水に分散させるために、界面活性剤を用いてもよい。この界面活性剤の具体例としては、たとえば、脂肪酸誘導体硫酸エステル、スルホン酸型、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、四級アンモニウム塩、複素環アミン、アミン誘導体などの陽イオン界面活性剤やアミノ酸エステル、アミノ酸、スルホベタインなどの両性イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。トナー定着用有機化合物の定着液9における含有量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できる。
本実施形態および前述の定着液9の中間転写ベルト21に対する接触角の測定時には、トナー定着用有機化合物として高級グリコールエーテルを水に対して30重量%の割合で用い、界面活性剤としてスルホン酸型界面活性剤を水に対して10重量%の割合で用いて混合した液を定着液9として使用する。なお、このような定着液9は、中間転写ベルト21に浸透しない。
本実施の形態では、上記のような水分散液形態の定着液9を用いるので、定着液9がトナー粒子間およびトナー粒子と中間転写ベルト21との界面に速やかに浸透し、トナーを瞬時に軟化および/または膨潤させることができる。
転写定着手段6は、中間転写ベルト21を介して支持ローラ24に圧接しかつ軸線方向に回転駆動可能に設けられる加圧ローラ29を含んで構成される。加圧ローラ29には、たとえば、直径28mmの芯金の外周に、硬度50度(JIS−A)のシリコーンゴムからなる厚さ3mmの被覆層と、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)からなる厚さ20μmの表面層とを積層したものが用いられる。ウレタンゴム層には、導電性を付与するために、カーボンなどの導電剤が配合される。また、加圧ローラ29は、たとえば、5N/cmの線圧で支持ローラ24に押圧される。なお、本実施形態の加圧ローラ29の芯金には電圧が印加されない。
転写定着手段6によれば、定着液9が付与されて軟化または膨潤状態にあるトナー像を担持する中間転写ベルト21が、支持ローラ24と加圧ローラ29との圧接部に移動し、それに同期して、後述する記録媒体供給手段7により支持ローラ24と加圧ローラ29との圧接部に記録媒体8が搬送され、中間転写ベルト21のトナー像担持部分と記録媒体8とが重ね合わせられて押圧される。このトナー像は、軟化または膨潤状態にあるので、押圧によって記録媒体8に付着する。このとき、記録媒体8が紙類である場合には、トナー像は紙繊維に強く入り込み、それと同時にトナー粒子同士が融合し、トナー像の表面が平滑になる。その結果、減法混色による発色性と表面の光沢性に優れる高品位なカラー画像が得られる。
本実施の形態では、前述のように、定着液9の中間転写ベルト21に対する接触角が50°以上であり、トナーおよび定着液9との付着力が小さい中間転写ベルト21を用いるので、トナー像はほぼ全量が記録媒体8に転写される。また、中間転写ベルト21は、フッ素樹脂層の下に弾性層を有し、記録媒体8表面の凹凸に従って変形するので、記録媒体8の凹部にもトナー像を接触させることができ、均一な転写定着像が得られる。
また、このような転写定着手段6は、記録媒体8にトナー像を転写するのと同時に定着することができるので、記録媒体8へのトナー像の転写および定着を短時間で行うことができる。さらに、加圧ローラ29には電圧が印加されないので、トナー像を記録媒体に定着させる際の消費電力を低減することができる。
記録媒体供給手段7は、記録媒体8を貯留する記録媒体カセット36と、記録媒体8を搬送路Pに1枚ずつ送給するピックアップローラ37と、中間転写ベルト21上の多色トナー像が加圧ローラ29と支持ローラ24との圧接部に搬送されるのに同期して、加圧ローラ29と支持ローラ24との圧接部に記録媒体8を送給する一対のレジストローラ38a,38bとを含んで構成される。
記録媒体供給手段7によれば、記録媒体カセット42内に貯留される記録媒体8が、ピックアップローラ37により1枚ずつ搬送路Pに送給され、さらに、レジストローラ38a,38bにより、加圧ローラ29と支持ローラ24との圧接部に送給される。加圧ローラ29と支持ローラ24との圧接部に送給される。
記録媒体供給手段7によって加圧ローラ29と支持ローラ24との圧接部に送給され、転写定着手段6によってトナー像が転写および定着された記録媒体8は、搬送ベルト30に載置され搬送される。搬送ベルト30は、駆動ローラ31とテンションローラ32との間に張架されてループ状の搬送経路を形成する無端ベルトであり、矢符35の方向に回転駆動する。搬送ベルト30には、たとえば、導電剤を混入して導電性を付与した厚さ100μmのポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、PTFEからなる厚さ10μmの表面層を設けたものを使用できる。
駆動ローラ31は、図示しない駆動手段により、軸線回りに回転駆動可能に設けられる。駆動ローラ31には、たとえば、アルミニウムなどの金属からなる中空ローラ、金属製軸体と金属製軸体の表面に形成される被覆層とを含んで構成されるローラなどが使用できる。
テンションローラ32は、搬送ベルト30がたるまないように、搬送ベルト30に所定の張力を付与する。テンションローラ32には、たとえば、金属製軸体と、金属製軸体の表面に形成される被覆層とを含んで構成される。また、金属製軸体のみからなるものでもよい。金属製軸体の材料には、たとえばステンレス鋼が使用され、被覆層の材料にはたとえばフッ素ゴムが使用される。また、金属製の中空ローラであってもよい。
搬送ベルト30に載置される記録媒体8は、搬送ベルト30の回転方向に搬送され、さらに排出ローラ33によって画像形成装置1の外部側面に設けられる排紙トレイ34に排出される。
画像形成装置1によれば、トナー像形成手段2により中間転写ベルト21上に形成される多色トナー像に対して、まず第2定着液付与手段5によって非接触の状態で定着液9が付与され、画像を形成するトナーについては隣り合うトナー同士が軟化して結合し、結合力が高まる。一方、画像かぶりの原因となる飛散トナーは、おもに孤立した状態で存在するので、トナー同士が結合することはない。このように、第2定着液付与手段5によって画像部のトナーの結合を高めた後、第1定着液付与手段4によって定着液9を接触状態で付与する。このとき、結合が高められた画像部のトナーは中間転写ベルト21のトナー担持面21aに留まり、結合が高められない非画像部のトナーは第1定着液付与手段4の定着液供給ローラ42表面に付着し、中間転写ベルト21から除去される。このように、非画像部のトナーについては除去され、定着液9が付与された画像部のトナー像については転写定着手段6によって記録媒体8に転写定着され、記録媒体8上に画像が形成される。
以上のようにして、簡便かつ安価な装置構成の画像形成装置1によって、画像かぶりのない高画質な画像の形成を実現できる。なお、このような画像形成装置1は、上記の構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。
図7は、本発明の実施の第2形態である画像形成装置に設けられる第1定着液付与手段61の構成を示す断面図である。本実施形態の画像形成装置は、第1定着液付与手段61の構成が異なること以外は、実施の第1形態の画像形成装置1と同一に構成されるので、全体構成を示す図を省略し、第1定着液付与手段61の構成のみを示す。第1定着液付与手段61は、実施の第1形態の画像形成装置1に設けられる第1定着液付与手段4に類似し、対応する部分については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
本実施形態の第1定着液付与手段61において注目すべきは、混合物収容槽65と濾過部材67とを含む定着液回収手段63、仕切り板68およびクリーニング手段64が一体化して設けられ、これらが第1定着液付与手段61から脱着可能に構成されることである。
本実施形態によれば、濾過部材67を含む定着液回収手段63が定着液槽62から脱着可能に設けられるので、たとえば、濾過部材67が混合物66の目詰まりなどによって交換または洗浄の必要が生じた際、第1定着液付与手段61全体を交換または取出して洗浄する必要がなく、濾過部材67を交換または取出して洗浄することができるので、交換または洗浄の作業効率が向上する。
図8は本発明の実施の第3形態である画像形成装置に設けられる第2定着液付与手段71の構成を示す断面図であり、図9は、本発明の実施の第3形態である画像形成装置に設けられる第2定着液付与手段71の要部斜視図である。本実施形態の画像形成装置は、第2定着液付与手段71の構成が異なること以外は、実施の第1形態の画像形成装置1と同一に構成されるので、全体構成を示す図を省略し、第2定着液付与手段71の構成のみを示す。第2定着液付与手段71は、実施の第1形態の画像形成装置1に設けられる第2定着液付与手段5に類似し、対応する部分については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
第2定着液付与手段71は、超音波振動子75を用いて非接触の状態で中間転写ベルト21に定着液9を付与する。第2定着液付与手段71は、支持ローラ23の回転軸線方向に延びる金属メッシュ72と、金属メッシュ72に圧接するように設けられる供給ローラ73と、定着液9を収容する定着液収容槽74と超音波振動子75と、供給ローラ73の表面に当接するように設けられる規制ブレード77とを含む。
定着液収容槽74には、定着液9の消費状況に応じて、定着液貯留槽28から供給管28bを介して、定着液収容槽74における定着液9の液面高さが一定になるように、定着液9が補充供給される。
供給ローラ73は、金属メッシュ72に接して設けられ、不図示の駆動手段によって矢符73aの方向に回転駆動可能とされる。供給ローラ73は、たとえば、シリコーンゴムなどの材料からなる外径が20mmのローラであり、回転によって定着液9をその表面に担持する。供給ローラ73には、回転によって担持する定着液9の量を規制する規制ブレード77が供給ローラ73に当接するように設けられる。規制ブレード77は、たとえばステンレス鋼からなる。超音波振動子75は、金属メッシュ72に接するように配置される。超音波振動子75は、電源76からの電圧によって伸縮および振動して超音波を発する。
電源76によって超音波振動子75に電圧が印加されて超音波振動子75が振動すると、その振動によって金属メッシュ72も振動する。一方、供給ローラ73は、不図示の駆動手段によって回転し、規制ブレード77によって規制された量の定着液9をその表面に担持する。ここで、供給ローラ73は振動する金属メッシュ72に接するので、供給ローラ73表面に付着する定着液9は、金属メッシュ72の網目から液滴78となり、中間転写ベルト21に付与される。
このような第2定着液付与手段71によっても、前述の実施の第1形態の第2定着液付与手段5と同様の効果を奏することができる。
なお、第2定着付与手段の形態としては、種々の変更が可能であり、これ以外に、スプレーノズルによる塗布などがあるが、画像形成装置のシステムに応じて好ましい形態を選択することができる。
図10は、本発明の実施の第4形態である画像形成装置の要部(中間転写手段81および第1定着液付与手段4)の構成を拡大して示す断面図である。本実施形態の画像形成装置は、第2定着液付与手段が設けられないことおよび中間転写手段81の構成が異なること以外は、実施の第1形態の画像形成装置1と同一に構成されるので、全体構成を示す図を省略し、中間転写手段81および第1定着液付与手段4の構成のみを示す。中間転写手段81は、実施の第1形態の画像形成装置1に設けられる中間転写手段3に類似し、対応する部分については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
本実施形態の画像形成装置は、中間転写ベルト21に感光体ドラム11y,11m,11c,11bから各色のトナー像が重ね合わされて中間転写された後、第1定着液付与手段4によって中間転写ベルト21のトナー像に対して定着液9を付与する前に、トナー像を加熱する加熱手段である加熱ローラ82が備えられることを特徴とする。
中間転写手段81は、中間転写ベルト21と、中間転写ローラ22y,22m,22c,22bと、加熱ローラ82と、支持ローラ24,25と、温度センサ83と、ベルトクリーナ28とを含んで構成される。実施の第1形態の画像形成装置1における中間転写手段3との主な相違点は、中間転写手段3における支持ローラ23が加熱ローラ82に置き換えられ、中間転写ベルト21およびその上に担持されるトナー像が加熱される点である。
加熱ローラ82は、回転軸82aを介して軸線方向に回転駆動可能に設けられ、支持ローラ24,25とともに中間転写ベルト21を張架しながら回転し、かつ中間転写ベルト21を加熱する機能を有する。加熱ローラ82は、金属製の円筒体と、該円筒体の内部に設けられる加熱ヒータ82aとを含んで構成される。本実施の形態では、外径30mm、肉厚1mmのステンレス鋼製パイプの内部に、ハロゲンランプが配置されるローラが用いられる。
温度センサ83は、中間転写ベルト21の温度を検知するために、中間転写ベルト21の回転方向、すなわち矢符27の方向において、加熱ローラ82の下流側の位置に、中間転写ベルト21に接するかまたは近接するように設けられる。温度センサ83による検知結果は、本実施形態の画像形成装置の全動作を制御する図示しないCPUに格納され、CPUは格納される検知結果に基づいて、加熱ヒータ82aに電圧を印加する図示しない電源に信号を送り、加熱ヒータ82aによる発熱を調整し、中間転写ベルト21の温度が一定になるように制御する。
ここで、本実施形態の加熱手段を備える画像形成装置に用いられるトナーとしては、前述の実施の第1形態と同様に、定着液9により軟化および/または膨潤するものであれば特に制限なく使用できるけれども、離型剤が、結着樹脂のガラス転移点よりも低いガラス転移点を有するものが特に好ましい。離型剤のガラス転移点が結着樹脂のガラス転移点よりも低いと、離型剤が加熱ローラ82の熱によって容易に軟化するので、トナー同士の結合を容易に高めることができ、定着液9塗布時に発生するトナー粒子の流れ、凝集などを抑制することができる。さらに、離型剤の軟化によって、トナー粒子の離型剤が存在していた部分からトナー粒子内部に定着液9が浸透し、短時間でトナーを膨潤軟化させることができる。このことによって、記録媒体8への転写時に充分な定着強度を得ることができるとともに、多色トナーの重ね合わせによる発色を充分に得ることができる。なお、本実施の形態では、離型剤としてこのような結着樹脂のガラス転移点よりも低いガラス転移点を有する前述の実施の第1形態のトナーと同じトナーを用い、中間転写ベルト21の温度を離型剤が溶融し始める約80℃となるように制御した。
中間転写手段81によれば、感光体ドラム11y,11m,11c,11bから中間転写ベルト21のトナー担持面21aに重ね合わせて転写されるトナー像が、中間転写ベルト21の回転に伴い、加熱ローラ82上を通過し、定着液9付与および記録媒体8への転写定着の前に、中間転写ベルト21を介して加熱される。
本実施形態によれば、トナー像前処理手段としてトナー像を加熱する加熱手段である加熱ローラ82を用いることによってもトナー像を構成するトナー同士の結合を高めることができ、前述の実施の第1形態の画像形成装置と同様の効果を奏することができる。