本発明による水槽用昇降床には、
(1)前記回転支持棒を、その一方の端部で、前記プレート部の下面に回転可能に連結した態様(以下、「一体型昇降床」と称することがある)と、
(2)前記回転支持棒を、その一方の端部で、水槽の底面に回転可能に連結した態様(以下、「分離型昇降床」と称することがある)と
が存在する。
更に、本発明による水槽用昇降床では、前記「一体型昇降床」及び「分離型昇降床」のそれぞれにおいて、前記回転支持棒が重力方向に延びる状態(以下、垂直モードと称することがある)と、前記回転支持棒が水平方向に延びる状態(以下、水平モードと称することがある)とがある。例えば、一体型昇降床においては、前記回転支持棒が前記プレート部の下面に連結されているので、前記回転支持棒が前記プレート部下面から重力によって鉛直方向(すなわち、重力方向)に懸架された状態が一体型昇降床の垂直モードであり、前記回転支持棒が前記プレート部下面に浮力によって水平方向に延びて横臥された(横に倒れた)状態が一体型昇降床の水平モードである。一方、分離型昇降床においては、前記回転支持棒が水槽の底面に連結されているので、前記回転支持棒が前記水槽底面から浮力によって鉛直方向に直立した状態が分離型昇降床の垂直モードであり、前記回転支持棒が前記水槽底面に浮力を失って重力により水平方向に横臥されている状態が分離型昇降床の水平モードである。
更にまた、本発明による水槽用昇降床では、前記回転支持棒が、それぞれ単独で回転可能な1本の単独回転支持棒であるか、あるいは、架橋手段によって相互に連結された2本1組で回転可能な架橋回転支持棒であることができる。
以下に、本発明による水槽用昇降床の各実施態様について、添付図面に沿って説明する。最初に、単独回転支持棒を用いる場合の一体型昇降床に関して説明し、続いて単独回転支持棒を用いる場合の分離型昇降床に関して説明する。更に、架橋回転支持棒を用いる場合について説明する。
図1は、本発明による一体型昇降床10が、垂直モードにおいてプールSPの水中に配置されている状態を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1に示す一体型昇降床10が、水平モードになった場合の状態を模式的に示す底面図であり、図3は、図2に示す一体型昇降床10の模式的分解斜視図である。なお、本明細書に添付する図面は、本発明の原理を説明するための模式図であり、各部分の寸法比などは正確なものではない。
図1〜図3に示すとおり、本発明による一体型昇降床10は、プレート部1、フレーム部2、単独回転支持棒3、及びフロート部4を含む。プレート部1は、プールSPの水面と平行に設置可能で、その上面11は、例えば、プールSPの利用者がプール内で立った場合に足が触れる底面であり、本発明においては、その上面11がプールSPの可動底面(すなわち、上下方向に昇降する底面)となる。なお、前記「回転支持棒」について、特に「架橋回転支持棒」と断らない限り、「回転支持棒」は「単独回転支持棒」を意味するものとする。
プレート部1は、本発明による水槽用昇降床が後述する上昇・下降運動する際に、水槽(特にプール)内の水の抵抗を低減させるために、水透過用小孔又は水透過用スリットを有していることが好ましい。プレート部1に設ける水透過用小孔又はスリットは、例えば、プール使用者がプレート部1に振れた際に恐怖感を与えないように、そして、プール使用者の落とし物をプレート部1の表面に留めて残すことができるように、径が小さく、幅が狭いことが好ましい。複数の小径水透過用小孔又は狭幅スリットをプレート部1に均一に分散させて設けるか、あるいは複数の小径水透過用小孔又は狭幅スリットを設けた領域1又は複数をプレート部1に設けることができる。
本発明による一体型昇降床10は、フロート部4を含む。フロート部4は、一定浮力フロート部片41a,41bと、浮力可変フロート部片42a,42bとからなることが好ましい。ここで、一定浮力フロート部片41a,41bは、プレート部1に対して常に一定の浮力を付与する機能を有するのに対し、浮力可変フロート部片42a,42bは、収容する気体の容量を変化させることができ、その気体容量変化によって浮力を増減し、プレート部1を昇降させることができる。
また、前記フロート部4は、一体型昇降床10が水平モードでプールの底面に位置する場合において、プレート部1の下面12とフレーム部2の開口部21,22とで形成される凹部に収容可能な大きさであることが好ましい。すなわち、図3に示すように、フロート部片41a,41b,42a,42bは、プレート部1の下面12とフレーム部2の開口部21a,21b,22a,22bとによって形成される凹部にそれぞれ収容され、フレーム部2の高さh2よりもフロート部4の高さh4が低いことが好ましい(後述する図4も参照)。
前記一定浮力フロート部片は、気密性中空筐体又は発泡体(例えば、合成樹脂フォーム)であることができる。これらの中空筐体又は発泡体は、本発明による水槽用昇降床を構成する全部品と同様に、水中堅牢性や消毒剤耐性(例えば、塩素耐性)に優れた材料から製造するのが好ましい。なお、前記発泡体は、気密性バッグ(例えば、合成樹脂フィルム製のバッグ)によって、気密性に包囲されていることが好ましい。これは、気密性バッグで包囲しないと、前記発泡体の気泡が水で徐々に充填され、浮力が失われることになるからである。更に、前記発泡体は、発泡体と、その発泡体全体を真空包装状態で包囲するフィルムとからなることが好ましい。これは、真空包装フィルムが破損して真空包装フィルム内部に水が進入した場合に、真空包装フィルムが脹らむので検出が容易になるからである。特に、肉眼では検出困難な微細な穴が発生した場合にも、フィルム形状の変化から容易に検出することができ、不良品の適切な交換が可能になる。
本発明による水槽用昇降床において、フロート部は、図1〜図3に示すように、プレート部1の1つに対して複数個の小フロート部片4から構成することができるだけでなく、1つのフロート部片から構成することもできる。フロート部を複数個の小フロート部片から構成する場合は、その全ての小フロート部片を、浮力可変フロート部片、すなわち、気体容量変化によって浮力を増減させてプレート部を昇降させることができるフロート部片とすることも、あるいは、図1〜図3に示すように、複数個の小フロート部片を、浮力可変フロート部片42a,42bの群と、一定浮力フロート部片41a,41bの群とに分けて設けることもできる。
図4は、本発明による一体型昇降床10が有する浮力可変フロート部片42の模式的断面図である。前記浮力可変フロート部片42は、図4に示すように、保持具48によってプレート部1の下面12に固定されており、気体供給口と気体放出口とを兼用する気体供給放出口43を有する。あるいは、兼用型の前記気体供給放出口43に代えて、気体供給口と気体放出口とを別々に設けることもできる。前記気体供給放出口43が設置される位置は、気体を供給及び放出することができる限り特に限定されないが、気体全体の放出が容易な点から、図4に示すように、前記浮力可変フロート部片42の上方部、特に一番高い位置に設けることが好ましい。なお、気体供給口と気体放出口とを別々に設ける場合には、気体供給口を設ける位置は特に限定されないのに対し、気体放出口を設ける位置は、前記と同様の理由から、前記浮力可変フロート部片42の上方部、特に一番高い位置であることが好ましい。
前記浮力可変フロート部片42は、図4に示すように、水供給口と水放出口とを兼用する水供給放出口44を有する。あるいは、兼用型の前記水供給放出口44に代えて、水供給口と水放出口とを別々に設けることもできる。前記水供給放出口44が設置される位置は、水槽から水を供給することができ、水槽へ水を放出することができる限り特に限定されないが、水全体の放出が容易な点から、図4に示すように、前記浮力可変フロート部片42の下方部、特に一番低い位置に設けることが好ましい。なお、水供給口と水放出口とを別々に設ける場合には、水供給口を設ける位置は常に水槽中の水と接触する位置であることが必要であり、従って、前記浮力可変フロート部片42の下方部、特に一番低い位置であることが好ましい。水放出口を設ける位置は、水全体の放出が容易な点から、前記浮力可変フロート部片42の下方部、特に一番低い位置であることが好ましい。なお、前記水供給放出口44又は水供給口には、水槽中のゴミの混入を防止する目的と、供給される水流速度を抑える目的でフィルター(図示せず)を設けることが好ましい。
図4に示す浮力可変フロート部片42は、その内部に気体収容部46を有する。この気体収容部46は形状維持型であり、内部に気体層(特に空気層)Gと水層Lとを含んでいる。気体層Gの気体は、例えば、前記気体供給放出口43に連結された送気管47を介して連結する気体供給コンプレッサ(図示せず)から供給することができる。また、気体層Gの気体を放出する場合は、例えば、送気管47に連結するバルブ(図示せず)を閉鎖モードから開放モードに変換して、水槽内の水の水圧を利用して放出するか、あるいは、適当な吸引手段(例えば、気体吸引コンプレッサ)を利用して放出することができる。前記気体供給コンプレッサによる気体の供給に従って、前記水供給放出口44から前記気体収容部46の内部の水が水槽側へ放出され、前記バルブを開放モードへ変更することによって、前記水供給放出口44から水槽中の水が前記気体収容部46の内部へ供給される。こうした気体の供給・放出及びそれに伴う水の放出・供給によって浮力の増減を行うことができる。
前記フロート部がその内部に有している気体収容部は、前記図4に示す態様のように、気体を収容する部屋の容積を変化させない形状維持型であるか、あるいは気体を収容する部屋の容積を変化させる形状変形型であることができる。形状維持型気体収容部は、前記の通り、一定容量の気体収容部内において、気体含有量(例えば、空気含有量)と水含有量との比率を変化させて浮力を増減させることができる。すなわち、気体収容部の全容量を気体(例えば、空気)で充填した場合に最大浮力が得られ、水含有量を増加させるのに従って、浮力を低下させることができる。
一方、形状変形型の気体収容部は、気体供給口と気体放出口とを別々に有するか、又は気体供給口と気体放出口とを兼用する気体供給放出口を有し、気体の供給及び放出に伴って気体収容部の形状それ自体を膨張及び収縮させる変化によって、その内部に収納可能な気体含有量を増減させて浮力を増減させることができる。従って、この形状変形型気体収容部は、水供給口及び水放出口(あるいは水供給口及び水放出口を兼用する水供給放出口)を備えていない。すなわち、形状変形型気体収容部は、形状変形性材料(例えば、ゴムなどの伸縮性材料)から形成されており、最大容量の気体(例えば、空気)を充填して最大容量に拡張された場合に最大浮力が得られ、気体含有量を低下させ、拡張度を低下させるのに従って、浮力を低下させることができる。気体の供給には、通常、気体供給コンプレッサからの気体供給を利用することができ、気体の放出には、通常、バルブの開放による水槽内水の水圧を利用することができる。なお、気体の放出には、適当な吸引手段(例えば、気体吸引コンプレッサ)を利用することもできる。
前記の気体供給コンプレッサやバルブは、個々の浮力可変フロート部片の形状維持型気体収容部又は形状変形型気体収容部に連結する送気管に個別に設けて、個々に気体の供給及び放出を行うこともできるが、複数(又は全て)の浮力可変フロート部片の気体収容部にそれぞれ連結する各送気管を一括して総合送気管に連結し、その総合送気管に前記気体供給コンプレッサやバルブを設置して、複数(又は全て)の浮力可変フロート部片の気体収容部への気体の供給及び放出を一括して行うこともできる。
本発明による一体型昇降床10は、必要により、4つの側面に側面カバー部を設けることができる。側面カバー部は、プレート部1の4つの辺から垂直方向(重力方向)に懸架させ、プール利用者が一体型昇降床10の側面から内部(プレート部1の下側)に進入するのを防止することができる。本発明による一体型昇降床10では、プレート部1と水槽底面との間にも水を通過させるのが好ましく、また、プレート部1の昇降に伴ってプレート部1と水槽底面との距離が変化するので、例えば、金属製鎖を編んで製造したネットを側面カバー部として用いるのが好ましい。金属鎖製ネット等は、水透過性に優れ、しかもプレート部1と水槽底面との距離が短くなった場合でも、水槽底面と接触する裾部分が折り畳まるので好ましい。なお、側面カバー部として多孔性プラスチック板を用い、プレート部1と水槽底面との距離に応じて適当な高さの多孔性プラスチック板に適宜交換することもできる。本発明による一体型昇降床10の複数個を相互に連結して並置する場合は、最も外側に設置する一体型昇降床10の側面に前記側面カバー部を設けるのが好ましい。
図5〜図8は、前記回転支持棒(単独回転支持棒)3の細部の構造を示す模式的拡大図であり、図5は、垂直モードの一体型昇降床10が有する前記回転支持棒3の模式的斜視図であり、図6は、図5の模式的部分断面図であり、図7は、水平モードの一体型昇降床10が有する前記回転支持棒3の模式的斜視図であり、図8は、図7の模式的部分断面図である。
図5〜図8に示すように、前記回転支持棒3は、支持柱部31と気体収容室32とを含む。前記支持柱部31の一方の端部は、フレーム部2に回転可能に連結されている連結端部36であり、もう一方の端部は垂直モードで水槽の底面と接触することができる自由端部35である。また、前記気体収容室32は、例えば、前記支持柱部31の自由端部35に近い領域の側面に連結されている。前記気体収容室32は、収容する気体の容量を変化させることができ、その気体容量変化によって浮力を増減させることができる。この浮力の増減により、前記回転支持棒3が、回転軸33を中心として回転運動を行うことができる。
図5〜図8に示すように、前記回転支持棒3は、その連結端部36に回転軸部33を備えている。この回転軸部33は、フレーム部2の内側壁面26に固定された一対の回転軸支持用突起部としてのブラケット39a,39bの貫通孔に回転可能に連結されている。
図5〜図8に示すように、回転支持棒3が有する気体収容室32は、例えば、円筒型であって、その軸方向の中心部に支持柱部31を貫通させる孔を有し、その貫通孔に前記支持柱部31を貫通させて固定している。前記気体収容室32は、発生する浮力を回転支持棒3の回転運動に効果的に利用することができるように、前記回転支持棒3の自由端部35に近い領域に固定することが好ましい。
図5〜図8に示すように、前記気体収容室32は、気体供給口と気体放出口とを兼用する気体供給放出口38を有する。あるいは、兼用型の前記気体供給放出口38に代えて、気体供給口と気体放出口とを別々に設けることもできる。前記気体供給放出口38が設置される位置は、気体を供給及び放出することができる限り特に限定されないが、気体全体の放出が容易な点から、図5〜図8に示すように、水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても前記気体収容室32の上方部、特に水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても一番高い位置に設けることが好ましい。なお、気体供給口と気体放出口とを別々に設ける場合には、気体供給口を設ける位置は特に限定されないのに対し、気体放出口を設ける位置は、前記と同様の理由から、水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても前記気体収容室32の上方部、特に水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても一番高い位置であることが好ましい。
また、前記気体収容室32は、水供給口と水放出口とを兼用する水供給放出口34を有する。あるいは、兼用型の前記水供給放出口34に代えて、水供給口と水放出口とを別々に設けることもできる。前記水供給放出口34が設置される位置は、水を供給及び放出することができる限り特に限定されないが、水全体の放出が容易な点から、図6〜図8に示すように、水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても前記気体収容室32の下方部、特に水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても一番低い位置に設けることが好ましい。なお、水供給口と水放出口とを別々に設ける場合には、水供給口を設ける位置は常に水槽中の水と接触する位置であることが必要であり、従って、水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても前記気体収容室32の下方部、特に水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても一番低い位置であることが好ましい。水放出口を設ける位置は、水全体の放出が容易な点から、水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても前記気体収容室32の下方部、特に水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても一番低い位置であることが好ましい。なお、前記水供給放出口34及び水供給口には、水槽中のゴミの混入を防止する目的と、供給される水流速度を抑える目的でフィルター(図示せず)を設けることが好ましい。
図5〜図8に示すように、気体収容室32は形状維持型であることができ、内部に気体層(特に空気層)Gと水層Lとを含んでいる。気体層Gの気体は、例えば、前記気体供給放出口38に連結された送気管37を介して連結する気体供給コンプレッサ(図示せず)から供給することができる(なお、図5及び図7では、簡略化のために、送気管37を図示していない)。また、気体層Gの気体を放出する場合は、例えば、送気管37に連結するバルブ(図示せず)を閉鎖モードから開放モードに変換して、水槽内の水の水圧を利用して放出するか、あるいは、適当な吸引手段(例えば、気体吸引コンプレッサ)を利用して放出することができる。前記気体供給コンプレッサによる気体の供給に従って、前記水供給放出口34から前記気体収容室32の内部の水が水槽側へ放出され、前記バルブを開放モードへ変更することによって、前記水供給放出口34から水槽中の水が前記気体収容室32の内部へ供給される。こうした気体の供給・放出及びそれに伴う水の放出・供給によって浮力の増減を行うことができる。
こうした浮力の増減の結果として、回転支持棒3の重量よりも気体収容室32が発生する浮力の方が小さい場合には、図5及び図6に示すように前記回転支持棒3がフレーム部2から垂れ下がるように回転して、垂直モードになる。逆に、前記回転支持棒3の重量よりも気体収容室32が発生する浮力が大きい場合には、図7及び図8に示すように前記回転支持棒3の自由端部35が浮力によって上昇するように回転し、水平モードになる。
前記回転支持棒が有している気体収容室は、図5〜図8に示す前記態様のように、気体を収容する部屋の容積を変化させない形状維持型であるか、あるいは気体を収容する部屋の容積を変化させる形状変形型であることができる。形状維持型気体収容室は、前記の通り、一定容量の気体収容室内において、気体含有量(例えば、空気含有量)と水含有量との比率を変化させて浮力を増減させることができる。すなわち、気体収容室の全容量を気体(例えば、空気)で充填した場合に最大浮力が得られ、水含有量を増加させるのに従って、浮力を低下させることができる。
一方、形状変形型の気体収容室は、気体供給口と気体放出口とを別々に有するか、又は気体供給口と気体放出口とを兼用する気体供給放出口を有し、気体の供給及び放出に伴って気体収容室の形状それ自体を膨張及び収縮させる変化によって、その内部に収納可能な気体含有量を増減させて浮力を増減させることができる。従って、この形状変形型気体収容室は、水供給口及び水放出口(あるいは水供給口及び水放出口を兼用する水供給放出口)を備えていない。すなわち、形状変形型気体収容室は、形状変形性材料(例えば、ゴムなどの伸縮性材料)から形成されており、最大容量の気体(例えば、空気)を充填して最大容量に拡張された場合に最大浮力が得られ、気体含有量を低下させ、拡張度を低下させるのに従って、浮力を低下させることができる。気体の供給には、通常、気体供給コンプレッサからの気体供給を利用することができ、気体の放出には、通常、バルブの開放による水槽内水の水圧を利用することができる。なお、気体の放出には、適当な吸引手段(例えば、気体吸引コンプレッサ)を利用することもできる。
前記の気体供給コンプレッサやバルブは、個々の回転支持棒の形状維持型気体収容室又は形状変形型気体収容室に連結する送気管に個別に設けて、個々に気体の供給及び放出を行うこともできるが、複数(又は全て)の回転支持棒の形状維持型気体収容室又は形状変形型気体収容室にそれぞれ連結する各送気管を一括して総合送気管に連結し、その総合送気管に前記気体供給コンプレッサやバルブを設置して、複数(又は全て)の気体収容室への気体の供給及び放出を一括して行うこともできる。
図5〜図8に示すように、回転支持棒3は、その連結端部36によってフレーム部2の内側壁面26に回転可能に連結することができるだけでなく、例えば、プレート部1の下面12と回転可能に連結することもできる。また、前記回転支持棒の連結手段は、本発明の昇降床を支えることができる限り、特に限定されないが、例えば、玉継手及びピン継手を用いることができる。
図5に示す実施態様と同様の構造を有する回転支持棒3は、浮力を増減させることのできる浮力可変気体収容室を回転支持棒3の外側側面とは別の任意の部位に備えることができる。例えば、図5に示す前記回転支持棒3において、支持柱部31を中空円筒体から形成し、その内部に浮力可変気体収容室としての気体収容室を設けることができる。この場合、浮力可変気体収容室を内部に備える中空円筒体支持柱部31を、その側面部に設ける浮力可変気体収容室としての気体収容室32と併用してもしなくてもよい。
前記回転支持棒は、浮力を増減させることのできる浮力可変気体収容室を備えるだけではなく、常に一定の浮力を付与する機能を有する一定浮力気体収容室を備えることもできる。例えば、図5に示す実施態様と同様の構造を有する回転支持棒3において、支持柱部31を中空円筒体から形成して一定浮力気体収容室を内部に設け、その中空円筒状支持柱部31の外側側面に設ける浮力可変気体収容室としての気体収容室32と併用することができか、あるいは、中空円筒状支持柱部31の内部の気体収容室を浮力可変気体収容室とし、その中空円筒状支持柱部31の外側側面に設け気体収容室を一定浮力気体収容室とすることもできる。
図37〜図39は、浮力可変気体収容室を内部に有する中空円筒状支持柱部31Xと、その円筒状円筒状支持柱部31Xの外側に一定浮力フロート部32Xを有する回転支持棒(単独回転支持棒)3の細部の構造を示す模式的拡大図であり、図37は、垂直モードの一体型昇降床10が有する前記回転支持棒3の模式的斜視図であり、図38は、図37の模式的部分断面図であり、図39は、水平モードの一体型昇降床10が有する前記回転支持棒3の模式的斜視図である。
図37〜図39に示すように、前記回転支持棒3は、中空円筒状支持柱部31Xと一定浮力フロート部32Xとを含む。前記中空円筒状支持柱部31Xの一方の端部は、フレーム部2に回転可能に連結されている連結端部36であり、もう一方の端部は垂直モードで水槽の底面と接触することができる自由端部35である。また、前記一定浮力フロート部32Xは、例えば、前記中空円筒状支持柱部31Xの自由端部35に近い領域の側面に連結されている。前記中空円筒状支持柱部31Xは、その内部に備える浮力可変気体収容室31Yに収容する気体の容量を変化させることができ、その気体容量変化によって浮力を増減させることができる。この浮力の増減により、前記回転支持棒3が、回転軸33を中心として回転運動を行うことができる。
図37〜図39に示すように、前記回転支持棒3は、その連結端部36に回転軸部33を備えている。この回転軸部33は、フレーム部2の内側壁面26に固定された一対の回転軸支持用突起部としてのブラケット39a,39bの貫通孔に回転可能に連結されている。
図37〜図39に示すように、回転支持棒3が有する一定浮力フロート部32Xは、例えば、円筒型であって、その軸方向の中心部に中空円筒状支持柱部31Xを貫通させる孔を有し、その貫通孔に前記中空円筒状支持柱部31Xを貫通させて固定している。前記一定浮力フロート部32Xは、発生する浮力を回転支持棒3の回転運動に効果的に利用することができるように、前記回転支持棒3の自由端部35に近い領域に固定することが好ましい。なお、前記中空円筒状支持柱部31Xが発生する浮力のみで充分な場合は、一定浮力フロート部32Xを設ける必要はない。
図37〜図39に示すように、前記中空円筒状支持柱部31Xは、浮力可変気体収容室31Yに連絡する気体供給口と気体放出口とを兼用する気体供給放出口38Aを有する。あるいは、兼用型の前記気体供給放出口38Aに代えて、気体供給口と気体放出口とを別々に設けることもできる。前記気体供給放出口38Aが設置される位置は、気体を供給及び放出することができる限り特に限定されないが、気体全体の放出が容易な点から、図37〜図39に示すように、水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても前記浮力可変気体収容室31Yの上方部、特に水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても一番高い位置に設けることが好ましい。なお、気体供給口と気体放出口とを別々に設ける場合には、気体供給口を設ける位置は特に限定されないのに対し、気体放出口を設ける位置は、前記と同様の理由から、水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても前記気体収容室32の上方部、特に水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても一番高い位置であることが好ましい。
また、前記中空円筒状支持柱部31Xの内部に備えられている前記浮力可変気体収容室31Yは、水供給口と水放出口とを兼用する水供給放出口34Aを有する。あるいは、兼用型の前記水供給放出口34Aに代えて、水供給口と水放出口とを別々に設けることもできる。前記水供給放出口34Aが設置される位置は、水を供給及び放出することができる限り特に限定されないが、水全体の放出が容易な点から、図38〜図39に示すように、水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても前記浮力可変気体収容室31Yの下方部、特に水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても一番低い位置に設けることが好ましい。なお、水供給口と水放出口とを別々に設ける場合には、水供給口を設ける位置は常に水槽中の水と接触する位置であることが必要であり、従って、水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても前記浮力可変気体収容室31Yの下方部、特に水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても一番低い位置であることが好ましい。水放出口を設ける位置は、水全体の放出が容易な点から、水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても前記浮力可変気体収容室31Yの下方部、特に水平モード及び垂直モードのいずれの状態においても一番低い位置であることが好ましい。なお、前記水供給放出口34A及び水供給口には、水槽中のゴミの混入を防止する目的と、供給される水流速度を抑える目的でフィルター(図示せず)を設けることが好ましい。
図37〜図39に示すように、浮力可変気体収容室31Yは形状維持型であることができ、内部に気体層(特に空気層)Gと水層Lとを含んでいる。気体層Gの気体は、例えば、前記気体供給放出口38Aに連結された送気管37を介して連結する気体供給コンプレッサ(図示せず)から供給することができる(なお、図37及び図39では、簡略化のために、送気管37を図示していない)。また、気体層Gの気体を放出する場合は、例えば、送気管37に連結するバルブ(図示せず)を閉鎖モードから開放モードに変換して、水槽内の水の水圧を利用して放出するか、あるいは、適当な吸引手段(例えば、気体吸引コンプレッサ)を利用して放出することができる。前記気体供給コンプレッサによる気体の供給に従って、前記水供給放出口34Aから前記浮力可変気体収容室31Yの内部の水が水槽側へ放出され、前記バルブを開放モードへ変更することによって、前記水供給放出口34Aから水槽中の水が前記浮力可変気体収容室31Yの内部へ供給される。こうした気体の供給・放出及びそれに伴う水の放出・供給によって浮力の増減を行うことができる。
こうした浮力の増減の結果として、回転支持棒3の重量よりも前記浮力可変気体収容室31Y(及び場合により設ける一定浮力フロート部32X)が発生する浮力の方が小さい場合には、図37及び図38に示すように前記回転支持棒3がフレーム部2から垂れ下がるように回転して、垂直モードになる。逆に、前記回転支持棒3の重量よりも前記浮力可変気体収容室31Y(及び場合により設ける一定浮力フロート部32X)が発生する浮力が大きい場合には、図39に示すように前記回転支持棒3の自由端部35が浮力によって上昇するように回転し、水平モードになる。
図5及び図6並びに図37及び図38に示すように、本発明の一体型昇降床10は、その垂直モードにおいて、支持柱部31の自由端部35を水槽底面と接触させて担持される。従って、水槽中のプレート部の高さは、前記支持柱部の長さに依存する。
本発明の水槽用昇降床においては、長さの異なる支持柱部を有する回転支持棒を備えていることもできる。この場合の水槽用昇降床は、所望の長さの支持柱部を有する回転支持棒のみを垂直モードとし、他の長さ回転支持棒を水平モードとすることによって、複数種類の水深を選択することができる。また、水槽の底面が水平ではなく、例えば、傾斜している場合には、複数種の長さの異なる支持柱部を使用して、プレート部を水面と平行に設置することができる。
支持柱部の形状は、回転支持棒を垂直モードにした場合の垂直方向の長さが、その回転支持棒を水平モードにした場合の垂直方向の長さよりも長くなる限り、特に限定されないが、例えば、円柱、角柱、及びそれらを複合した形状であることができる。
前記支持柱部の自由端部の形状は、垂直モードの回転支持棒が水槽底面に直立することができる限り、特に限定されないが、例えば、底面との接触面が平滑平面であることが好ましい。また、前記自由端部に前記自由端部よりも大きい面積を有する平面板を設置することによって、前記支持柱部の自由端部と水槽底面との接触面にかかる応力を分散させることができる。また、水槽底面が水平ではなく、例えば、傾斜している場合には、自由端部に傾斜板を設けて、垂直モードの回転支持棒が鉛直方向に直立することができるようにすると共に、傾斜底面と自由端部とを広い面積で接触させることができる。更に、前記支持柱部に、支持柱部の長さ(高さ)の微調整が可能な長さ(高さ)微調整手段を設けることもできる。図32に、支持柱部31の自由端部側の先端に、長さ(高さ)微調整ネジ31aを有すると共に、円錐状足部35aを備えた回転支持棒3を模式的に示す。
本発明の一体型水槽用昇降床に用いることができる回転支持棒の種々の態様を図9〜図12に示す。図9〜図12は、それぞれ、回転支持棒3が、気体収容室32における浮力発生によって回転する原理を部分断面図として模式的に示すものであり、従って、回転支持棒3、気体収容室32、及び気体収容室の内部構造のみを示している。
図9に示す回転支持棒3の気体収容室32には、水が充填されており、気体層Gが占める容積よりも水層Lが占める容積が圧倒的に大きいので、回転支持棒3の全体の重量により、回転支持棒3は、重力方向に懸架されて垂直モードの状態にある。この状態で、前記気体収容室32内に気体供給放出口38から気体(例えば、空気)を供給すると、気体収容室32内の水位Pが下降し、浮力が発生する。この浮力が、前記回転支持棒3の重量よりも大きくなると、前記回転支持棒3が矢印Sの方向に上昇して垂直モードから水平モード(図9の位置S’)へ回転する。
また、前記気体収容室32が発生する浮力によって円滑な回転運動をさせるためには、回転支持棒3の重心を通過する鉛直線(以下、重心線)の上に回転軸33が存在しないことが必要となる。すなわち、図9に示す態様では、重心線M上から偏位させた位置に回転軸33を設置させている。
反対に、水平モードの回転支持棒3の気体収容室32から気体を放出して水量を増加させ、気体収容室32が発生する浮力が、前記回転支持棒3の重力よりも小さくなると、前記回転支持棒3の自重によって、水平モードから垂直モードへと矢印Sの逆方向に回転することができる。
図10には、重心線M上から偏位させた位置に回転軸33を設置する回転支持棒の別の態様を示す。
図10に示す回転支持棒3は、回転支持棒3の重心線から偏位した位置に回転軸33を有する。従って、気体供給放出口38から気体を供給して、気体層Gの容積増加と水層Lの容積減少を起こすと気体収容室内の水位Pが下降し、気体収容室32が発生する浮力が、回転支持棒3の重量よりも大きくなると回転支持棒3が矢印Sの方向に回転することができる。
なお、図9に示す態様と同様に、水平モードの回転支持棒3は、気体供給放出口38から気体を放出して水量を増加させ、前記回転支持棒3が受ける重力に対して気体収容室32が発生する浮力が小さくなると、水平モードから垂直モードへ矢印Sの逆方向に回転することができる。
図11に示す回転支持棒3は、気体収容室32内に前記気体収容室32を2つの分室32a,32bに分ける隔壁部32cを有する。この隔壁部32cは、回転支持棒3が垂直モードにおいて、気体収容室32内の底面付近で気体及び水を分室32a,32b間で相互に通過させることができる貫通孔32dを有する。気体供給放出口38は一方の気体収容室32aに設けられており、水供給放出口34は、もう一方の気体収容室32bに設けられている。従って、図11に示す垂直モードの回転支持棒3に対して、気体供給放出口38から気体収容室32に気体を供給すると、一方の分室32aにおいて気体層Gの増加及び水層Lの減少に伴って水位Pが下降し、片方の分室32aのみに浮力を発生させることができる。こうして発生する浮力が作用する際に、重心線M上に回転軸33が存在しないので、回転支持棒3は矢印Sの方向に上昇し、垂直モードから水平モードへ回転運動を開始することができる。また、図9に示す態様と同様に、水平モードの回転支持棒3の気体収容室32から気体を放出して水量を増加させ、気体収容室32が発生する浮力が、前記回転支持棒3の重力よりも小さくなると、前記回転支持棒3の自重によって、水平モードから垂直モードへ矢印Sと逆方向に回転することができる。
図12に示す、回転支持棒3は、水供給放出口34から放出される水の作用によって回転を開始させる態様である。
図12に示す回転支持棒3は、回転支持棒3の重心線M上に回転軸33を有する。しかしながら、気体供給放出口38から供給する気体を、例えば、エアコンプレッサから供給し、水層Lの水を水供給放出口34から矢印Wの方向へ勢いよく噴出させることにより、浮力が作用する際に、重心線M上から回転軸33を偏位させるきっかけとすることができる。
従って、気体供給放出口38から圧縮気体を供給して、気体収容室内の水位Pが下降し、気体収容室32が発生する浮力が回転支持棒3の重量よりも大きくなると、回転支持棒3が矢印Sの方向に回転することができる。なお、図9に示す態様と同様に、水平モードの回転支持棒3は、気体供給放出口38から気体を放出して水量を増加させ、前記回転支持棒3がうける重力に対して気体収容室32が発生する浮力が小さくなると、水平モードから垂直モードへ矢印Sと逆方向に回転することができる。
図12に示す実施態様で用いる圧縮気体の供給及びそれによって付勢された水流の噴出により回転運動を開始させる方法は、例えば、図9〜図11に示す実施態様においても利用することができる。また、本発明で用いる回転支持棒が有する気体収容室を、プレート部に設ける気体収容部と同様に、浮力を増減することができる浮力可変気体収容室と、一定の浮力を付加することができる一定浮力気体収容室との組合せとすることもできる。更に、本発明で用いる回転支持棒が水平モードから垂直モードへ変化する際に、回転支持棒が正確に鉛直方向に懸架されるように、種々の係止手段、固定手段、あるいはストッパを利用することもできる。
前記係止・固定手段の1実施態様を図31に示す。クサビ型係止・固定手段63は、昇降案内部64と挿入部65とを含み、前記昇降案内部64の両端に設けた貫通口を貫通するガイド棒66,66に沿って矢印Eの方向に昇降する。前記ガイド棒66は、適当な固定具67によって回転軸部33に固定して設けてあり、その固定された端部とは反対側端部に昇降停止部68を有している。図31は、重力方向に懸架された状態の回転支持棒を固定した状態を示しており、具体的には、回転支持棒の支持柱部31の連結端部36の先端に設けた挿入開口部36aに、前記クサビ型係止・固定手段63の挿入部65が挿入されている。この状態において、重力方向に懸架された回転支持棒が、左右方向にずれることを有効に防止することができる。クサビ型係止・固定手段63をガイド棒66,66に沿って上昇させ、挿入部65を挿入開口部36aから取り出してから、回転支持棒を懸架状態から横臥状態に変換することができる。前記クサビ型係止・固定手段63の昇降運動を、浮力を利用して実施することができる。
次に、水槽(例えば、プール)内において、本発明による一体型昇降床を上昇させる操作を図13〜図16に沿って説明する。
図13〜図16は、本発明による一体型昇降床10を水平モードから垂直モードへ変更する操作の4つのステップを模式的に示す側面図である。
図13に示す状態は、回転支持棒3が備えている気体収容室(図示せず)が気体を充分に収容しているため、回転支持棒3が水平モードの状態にある。また、プレート部1に設けた浮力可変フロート部(図示せず)が発生する浮力が小さく、一体型昇降床10のフロート部全体の浮力と回転支持棒3の気体収容室全体の浮力との合計の浮力が、一体型昇降床10の全重量よりも小さいので、一体型昇降床10は水中に浮かぶことができず、フレーム部2の底面25が水槽底面Bと接触している。
図13に示す状態において、前記一体型昇降床10の浮力可変フロート部4(図示せず)内に気体供給放出口(図示せず)から気体を供給して浮力を発生させ、その浮力によって前記一体型昇降床10を図14の矢印Hに示すように浮上させる。ここで浮上させるプレート部1の高さは、水槽底面Bからの最終的な所定高さよりも高くする。
次に、図14に示す高さに浮上させた状態で、水平モードの各回転支持棒3の気体収容室(図示せず)内から気体を放出して、水を供給することによって各回転支持棒3を図14の矢印Cに示すように回転させ、図15に示すように各回転支持棒3を水中で自重によって鉛直方向に懸下させる。
次に、図15に示すように、各回転支持棒3が鉛直方向に懸下された状態で、前記一体型昇降床10のフロート部(図示せず)内の気体を気体供給放出口から外部に放出し、同時に水供給放出口から水槽の水をフロート部内に供給することによって、浮力を低減し、前記一体型昇降床10を矢印Iの方向に下降させると、図16に示すように自由端部35が水槽底面Bと接触し、本発明の水槽用昇降床10は、水槽の底面Bに、予め定めた所定高さで保持される。
なお、垂直モードの一体型昇降床10を水平モードに戻す場合は、図16に示す状態の一体型昇降床10を、前記一体型昇降床10の浮力可変フロートが発生する浮力を増加させることによって、図15に示す水中で浮遊している状態とし、次いで回転支持棒3の気体収容室に浮力を発生させ、回転支持棒3を垂直モードから、図14に示すように水平モードに変更する。次に、前記一体型昇降床10の浮力可変フロートが発生する浮力を低減させることによって、一体型昇降床10の自重によって、フレーム部2の底面25と水槽底面Bとを接触させ、本発明の水槽用昇降床10は、水槽の底面Bに水平モードで保持される。
図17は、本発明による分離型昇降床60が、垂直モードにおいてプールSPの水中に配置されている状態を模式的に示す斜視図であり、図18は、図17に示す分離型昇降床60が、水平モードになった場合の状態を模式的に示す分解斜視図である。
図17及び図18に示すとおり、本発明による分離型昇降床60は、プレート部6、フレーム部7、回転支持棒8、及びフロート部9を含む。プレート部6は、プールSPの水面と平行に設置可能で、その上面61がプールSPの可動底面(すなわち、上下方向に昇降する底面)となる。
また、本発明による分離型昇降床60は、プレート部6及びフロート部9の組合せと、フレーム部7及び回転支持棒8の組合せとが分離可能な構造を有し、前記フレーム部7は、水槽底面に固定することができる。なお、フレーム部は、水槽底面ではなくプレート部に固定することもできる。
本発明による分離型昇降床60は、フロート部9を含む。フロート部9は、一定浮力フロート部片91a,91bと、浮力可変フロート部片92a,92bとからなることが好ましい。ここで、一定浮力フロート部片91a,91bは、プレート部6に対して常に一定の浮力を付与する機能を有するのに対し、浮力可変フロート部片92a,92bは、収容する気体の容量を変化させることができ、その気体容量変化によって浮力を増減し、プレート部6を昇降させることができる。
また、前記フロート部9は、分離型昇降床60が水平モードでプールの底面に設置される場合において、水槽の底面とフレーム部7の開口部71,72とで形成される凹部に収容可能な大きさであることが好ましい。すなわち、図18に示すように、フロート部片91a,91b,92a,92bは、水槽底面とフレーム部7の開口部71a,71b,72a,72bとによって形成される凹部にそれぞれ収容され、フレーム部7の高さh7よりもフロート部9の高さh9が低いことが好ましい。
本発明による水槽用昇降床において、フロート部は、図17及び図18に示すように、プレート部6の1つに対して複数個の小フロート部片9から構成することができるだけでなく、1つのフロート部片から構成することもできる。フロート部を複数個の小フロート部片から構成する場合は、その全ての小フロート部片を、浮力可変フロート部片、すなわち、気体容量変化によって浮力を増減させてプレート部を昇降させることができるフロート部片とすることも、あるいは、図17及び図18に示すように、複数個の小フロート部片を、浮力可変フロート部片92a,92bの群と、一定浮力フロート部片91a,91bの群とに分けて設けることもできる。
本発明による分離型昇降床60が有する浮力可変フロート部片92としては、前記一体型昇降床10で用いる浮力可変フロート部片42をそのまま使用することができる。同様に、本発明による分離型昇降床60が有する一定浮力フロート部片としては、前記一体型昇降床10で用いる一定浮力フロート部片をそのまま使用することができる。例えば、気密性中空筐体又は発泡体(例えば、合成樹脂フォーム)、気密性バッグ(例えば、合成樹脂フィルム製のバッグ)によって気密性に包囲されている発泡体、特に、発泡体と、その発泡体全体を真空包装状態で包囲するフィルムとからなる一定浮力フロート部片であることができる。
図19及び図20は、分離型昇降床60で用いる回転支持棒8の代表的な実施態様を示し、各部の詳細な形状を模式的に示す斜視図であり、図19は、垂直モードの前記回転支持棒8を示し、図20は、水平モードの前記回転支持棒8を示す。
図19及び図20に示すように、前記回転支持棒8は、支持柱部81と気体収容室82とを含む。前記支持柱部81の一方の端部は、フレーム部7の内側壁面76に回転可能に連結されている連結端部86であり、もう一方の端部は垂直モードにおいて、プレート部6の下面(裏面)と接触することができる自由端部85である。また、前記気体収容室82は、前記支持柱部81の自由端部85に近い領域の側面に連結されている。前記気体収容室82は、収容する気体の容量を変化させることができ、その気体容量変化によって浮力を増減させて、回転軸83を中心とした前記回転支持棒8の回転運動を行うことができる。
図19及び図20に示すように、前記回転支持棒8は、その連結端部86に回転軸部83を備えている。この回転軸部83は、フレーム部7の内側壁面76に固定された一対のブラケット89a,89bの貫通孔に回転可能に連結されている。
本発明による分離型昇降床60が有する気体収容室82としては、前記一体型昇降床10で用いる気体収容室32をそのまま使用することができる。
本発明による分離型昇降床60が有する回転支持棒8としては、前記一体型昇降床10で用いる回転支持棒3をそのまま使用することができるか、あるいは、例えば、図19及び図20に示すように、回転支持棒8の支持柱部81が、断面台形角柱型であることができる。
前記支持柱部の自由端部の形状は、垂直モードの回転支持棒が直立した状態でプレート部下面と接触することができる限り、特に限定されないが、例えば、プレート部下面との接触面が平滑平面であることが好ましい。また、前記自由端部に前記自由端部よりも大きい面積を有する平面板を設置することによって、前記支持柱部の自由端部とプレート部下面との接触面にかかる応力を分散させることができる。更に、前記一体型昇降床10で用いる回転支持棒3と同様に、前記支持柱部に、支持柱部の高さの微調整が可能な高さ微調整手段を設けることもできる。
本発明の分離型水槽用昇降床に用いることができる回転支持棒の種々の態様を図21〜図23に示す。図21〜図23は、それぞれ、回転支持棒8が、気体収容室82における浮力低下によって回転する原理を部分断面図として模式的に示すものであり、従って、回転支持棒8、気体収容室82、及び気体収容室の内部構造のみを示している。
図21に示す回転支持棒8の気体収容室82には、空気が充填されており、気体層Gの容積が水層Lの容積と比較して大きいので、気体収容室82が充分な浮力を発生し、その浮力により回転支持棒8は、浮力方向に直立して垂直モードの状態にある。この状態で、前記気体収容室82内の気体供給放出口88から気体を放出すると、水槽中の水が水供給放出口84から吸引されて気体収容室82内の水位Qが上昇し、浮力が減少する。この浮力が、前記回転支持棒8の重量よりも小さくなると、前記回転支持棒8が矢印Tの方向に降下して垂直モードから水平モード(図21の位置T’)へ回転する。
また、前記回転支持棒8の自重によって円滑な回転運動をさせるためには、重心を通過する鉛直線(すなわち、重心線)N上に回転軸83が存在しないことが必要となる。すなわち、図21に示す態様では、自由端部85に近い領域の側面に連結したアーム81aに重り81bを連結し、回転支持棒8の重心線N上に回転軸83が位置しないようにしている。
反対に、水平モードの回転支持棒8の気体収容室82に気体を供給して水を放出させ、気体収容室82が発生する浮力が、前記回転支持棒8の自重よりも大きくなると、前記気体収容室82が発生する浮力によって、前記回転支持棒8は水平モードから垂直モードへ矢印Tの逆方向に回転することができる。
図22には、回転支持棒8の重心線N上から偏位させた位置に回転軸83を設置する回転支持棒8の別の態様を示す。
図22に示す回転支持棒8は、支持柱部81の中心から偏位した位置に回転軸83を有する。従って、気体供給放出口88から気体を放出して、気体収容室82内の水位Qが上昇し、気体収容室82が発生する浮力が、回転支持棒8の重量よりも小さくなると回転支持棒8が矢印Tの方向に回転することができる。
なお、図21に示す態様と同様に、水平モードの回転支持棒8の気体収容室82に気体を供給して水を放出させ、気体収容室82が発生する浮力が、前記回転支持棒8の自重よりも大きくなると、前記気体収容室82が発生する浮力によって、前記回転支持棒8は水平モードから垂直モードへ矢印Tの逆方向に回転することができる。
図23に示す回転支持棒8は、気体収容室82内に前記気体収容室82を2つの分室82a,82bに分ける隔壁部82cを有する。この隔壁部82cは、回転支持棒8が垂直モードにおいて、気体収容室82内の上面付近で気体及び水を分室82a,82b間で相互に通過させることができる貫通孔82dを有する。気体供給放出口88は一方の気体収容室82aに設けられており、水供給放出口84は、もう一方の気体収容室82bに設けられている。従って、図23に示す垂直モードの回転支持棒8に対して、気体供給放出口88から気体収容室82内の気体を放出すると、水槽から水Wが一方の分室82bに吸引されて、その分室82b内の水位Qが上昇し、その分室82bのみで浮力が低下する。こうして徐々に増加する重力が作用する重心線N上に回転軸83が存在しないので、回転支持棒8は矢印Tの方向に降下し、垂直モードから水平モードへ回転運動を開始することができる。
なお、図21に示す態様と同様に、水平モードの回転支持棒8の気体収容室82から気体を供給して水を放出させ、気体収容室82が発生する浮力が、前記回転支持棒8の自重よりも大きくなると、前記気体収容室82が発生する浮力によって、前記回転支持棒8は水平モードから垂直モードへ矢印Tの逆方向に回転することができる。
また、前記図21〜図23に示すように、回転支持棒が有する気体収容室は、浮力を増減することができる浮力を可変することのできる気体収容室とは別に、一定な浮力を付加することができる気体収容室を設けることによって、水中での回転支持棒の重量を軽減させ、前記回転軸に働く摩擦を軽減さることができるので、重心の僅かなずれ等によって発生する小さい力によっても回転可能とすることができる。
すなわち、本発明による分離型昇降床60で用いる前記回転支持棒は、前記一体型昇降床10で用いる回転支持棒と同様に、浮力を増減させることのできる浮力可変気体収容室を備えるだけではなく、常に一定の浮力を付与する機能を有する一定浮力気体収容室を備えることができる。例えば、図19及び図20に示す実施態様と同様の構造を有する回転支持棒8において、支持柱部81を中空円筒体から形成して一定浮力気体収容室を内部に設け、浮力可変気体収容室としての気体収容室82と併用することができか、あるいは、中空円筒状の支持柱部81の内部に浮力可変気体収容室を設け、気体収容室82を一定浮力気体収容室とすることもできる。
次に、水槽(例えば、プール)内において、本発明による分離型昇降床を上昇させる操作を図24〜図27に沿って説明する。
図24〜図27は、本発明による分離型昇降床60を水平モードから垂直モードへ変更する操作の4つのステップを模式的に示す側面図である。
図24に示す状態は、プレート部6に設けた浮力可変フロート部(図示せず)が発生する浮力がプレート部6の重量よりも小さいのでプレート部6は水中に浮かぶことができず、更に回転支持棒8が備えている気体収容室(図示せず)が水を充分に収容しているため、回転支持棒8が水平モードの状態にある。この状態では、分離型昇降床60のフレーム部7の上方突出面75がプレート部6の下面62と接触している。
図24に示す状態において、前記分離型昇降床60のプレート部6に設けた浮力可変フロート部(図示せず)内に気体供給放出口(図示せず)から気体を供給して浮力を発生させ、その浮力によって前記プレート部6を図25の矢印Jに示すように浮上させる。ここで浮上させるプレート部6の高さは、水槽底面Bからの最終的な所定高さよりも高くする。
次に、図25に示す高さに浮上させた状態で、水平モードの各回転支持棒8の気体収容室(図示せず)内に気体を供給して、水を放出することによって各回転支持棒8を図25の矢印Dに示すように回転させ、図26に示すように各回転支持棒8を水中で前記気体収容室が発生する浮力によって鉛直方向に直立させる。
次に、図26に示すように、各回転支持棒8が鉛直方向に直立した状態で、前記分離型昇降床60のフロート部(図示せず)内の気体を気体供給放出口から外部に放出し、同時に水供給放出口から水槽の水を浮力可変フロート部内に供給することによって、浮力を低減し、前記プレート部6を矢印Kの方向に下降させると、図27に示すように自由端部85がプレート部6の下面62と接触し、本発明の水槽用昇降床60は、水槽の底面Bから、予め定めた所定高さで保持される。
垂直モードの分離型昇降床60を水平モードに戻す場合は、図27に示す分離型昇降床60の状態から、図26に示すように、プレート部6が水中で浮遊している状態とし、次いで回転支持棒8の気体収容室における浮力を減少させ、回転支持棒8を垂直モードから、図25に示すように水平モードに変更する。次に、前記分離型昇降床60の浮力可変フロートが発生する浮力を低減させることにより、プレート部6の自重によって、フレーム部7の上方突出面75がプレート部6の下面62と接触し、本発明の水槽用昇降床60は、水槽の底面Bに水平モードで保持される。
なお、本発明による前記一体型昇降床に関する種々の説明は、本発明による前記分離型昇降床に当てはまる限り、そのまま分離型昇降床に適用することができる。
本発明による水槽用昇降床においては、前記単独回転支持棒だけでなく、架橋手段によって相互に連結された複数本で1組(特には、2本で1組)の回転可能な架橋回転支持棒を用いることもできる。このような架橋回転支持棒を一体型昇降床に適用した実施態様に関して、以下に説明する。
図33は、一体型昇降床のプレート部の下面に設けたフレーム部2に取り付けた(2本1組の)架橋回転支持棒30の垂直モード状態における模式的斜視図である。図33に示す架橋回転支持棒30は、架橋棒40Xと連結リング40A,40Bとからなる架橋手段によって連結された回転支持棒部片30A,30Bからなる。各回転支持棒部片30A,30Bは、それぞれ、前記単独回転支持棒と同じ構造の支持棒部片であることができ、例えば、図33に示す実施態様のように、その連結端部36A,36Bに回転軸部33A,33Bを備えており、これらの回転軸部33A,33Bは、フレーム部2の内側壁面26に固定された回転軸支持部39A,39Bの貫通孔に回転可能に連結されている。
各回転支持棒部片30A,30Bは、それぞれ、気体収容室32A,32Bを有し、その気体収容室32A,32Bは、例えば、円筒型であって、その軸方向の中心部に支持柱部31A,31Bを貫通させる孔を有し、その貫通孔に前記支持柱部31A,31Bを貫通させて固定している。前記気体収容室32A,32Bは、それぞれ、気体供給口と気体放出口とを有しているか、あるいはそれらを兼用する気体供給放出口を有している。更に、気体収容室32A,32Bは、それぞれ、水供給口と水放出口とを有しているか、あるいはそれらを兼用する水供給放出口を有する。前記気体収容室32A,32Bは、それぞれ、形状維持型であることができる。なお、各回転支持棒部片30A,30Bは、それぞれ、図37〜図39に示す態様のように、中空円筒状支持柱部31Xと一定浮力フロート部32Xとを含む回転支持棒であることもできる。
架橋棒は、各回転支持棒部片30A,30Bを連結して、それらの各回転支持棒部片30A,30Bを一体的に回転させることができる限り、連結位置や設置数(本数)は限定されない。例えば、図33に示すように、前記支持柱部31A,31Bの自由端部側に設けた架橋棒40Xに加えて、あるいはその架橋棒40Xに代えて、前記支持柱部31A,31Bの連結端部36A,36Bの領域を相互に連結する架橋棒を設けることもできる。また、各回転支持棒部片30A,30Bを連結する架橋手段も、図33の実施態様に具体的に示す架橋棒40Xと連結リング40A,40Bとの組合せに限定されず、例えば、前記支持柱部31A,31Bに貫通口を設け、それらの貫通口に架橋棒40Xを貫通させて固定することもできる。
架橋回転支持棒の全体に設ける気体収容室も、図33に具体的に示す実施態様に限定されず、例えば、架橋棒40Xの側面の外側に気体収容室を設けたり、架橋棒40Xを中空円筒体から形成し、その中空円筒状架橋棒40Xを気体収容室として使用したりすることができる。なお、これらの場合は、各回転支持棒部片30A,30Bの一方又は両方に、気体収容室を設けても設けなくてもよい。
図34は、1対(2組)の架橋回転支持棒30,30を備えた一体型昇降床10を、垂直モードにおいて水中に配置した状態を模式的に示す斜視図であり、この実施態様において、架橋回転支持棒30,30は、プレート部1の下面の対向する2辺に、フレーム部2に連結した状態で配置されている。
図35(模式的底面図)及び図36(模式的側面図)は、長さの異なる3対(6組)の架橋回転支持棒対30X,30Y,30Zを備えた一体型昇降床10を示す。3対(6組)の架橋回転支持棒対30X,30Y,30Zは、最も長い架橋回転支持棒対30X、中間的長さの架橋回転支持棒対30Y、及び最も短い架橋回転支持棒対30Zからなる。3対(6組)の架橋回転支持棒対30X,30Y,30Zのそれぞれは、プレート部1の下面の対向する2辺に、フレーム部2に設けたブラケット39に連結した状態で配置されている。
図35に示す態様の一体型昇降床10を、最も長い架橋回転支持棒対30Xによって水槽(特にプール)内の水中に立てる場合には、単独回転支持棒を備えた一体型昇降床10の場合と同様に、最初に、一体型昇降床10の浮力可変フロート部内に気体を供給して浮力を発生させ、その浮力によって前記一体型昇降床10を水槽中の水中で浮上させる。ここで浮上させるプレート部の高さは、水槽底面Bからの最終的な所定高さ(最も長い架橋回転支持棒対30X)よりも高くする。続いて、水平モードの状態にある最も長い架橋回転支持棒対30Xの気体収容室内から気体を放出し、水を供給することによって架橋回転支持棒対30Xを鉛直方向に懸下させ、更に、前記一体型昇降床10のフロート部内の気体を外部に放出し、同時に水槽の水をフロート部内に供給することによって、浮力を低減し、前記一体型昇降床10を下降させると、図36に示すように架橋回転支持棒対30Xが矢印Xの方向に回転し、その各自由端部が水槽底面と接触し、本発明の水槽用昇降床10は、水槽の底面に保持される。中間的長さの架橋回転支持棒対30Y、及び最も短い架橋回転支持棒対30Zを用いる場合も、同様の操作を行うことによって水中に立てることができる。なお、前記の架橋回転支持棒は、本発明による分離型昇降床にも同様に適用することができる。
図35及び図36に示す態様のように、本発明による一体型昇降床がそのプレート部に複数の架橋回転支持棒対を備える場合には、それらの架橋回転支持棒対を個別の回転軸支持用突起部(例えば、ブラケット)によってプレート部又はフレーム部に固定するだけでなく、1本の共用シャフトを利用して回転可能に固定することができる。前記の共用シャフトを用いる実施態様を図40〜図44に示す。
図40は、長さの異なる3対(6組)の架橋回転支持棒対30X,30Y,30Zを備えた一体型昇降床10の各架橋回転支持棒対30X,30Y,30Zを垂直モードに懸架した仮想状態の模式的側面図である。各架橋回転支持棒対30X,30Y,30Zは、それぞれ架橋棒40X,40Y,40Zによって連結している。各架橋回転支持棒部片の支持柱部31の上方端部36には、仲介キャップ部16がそれぞれ設けられており、この仲介キャップ部16を介して1本の共用シャフト18と回転可能に連結している。共用シャフト18は、プレート部1の下面側に固定されているコの字形フレーム部23に設けた回転軸支持用突起部としてのブラケット27に、適当な固定具19,19によって固定されている。
図41〜図43に、前記仲介キャップ部16の1実施態様を示す。図41は、架橋回転支持棒部片の支持柱部31の上方端部36に設けた前記仲介キャップ部16を部分拡大斜視図であり、図42は、図41の仲介キャップ部の模式的断面図であり、図43は、図41の仲介キャップ部の模式的側面図である。なお、ここでは、円筒状支持柱部31の内部に浮力可変気体収容室を備え、側面に気体供給放出口38Aを有する態様を示す。
前記仲介キャップ部16は、プレート状底面部16Aと、その対向する両端部から上方に延びる壁面部16B,16Cとを有し、プレート状底面部16Aの底面で支持柱部31の上方端部36と固定されている。壁面部16B,16Cには共用シャフト用貫通口17が設けられており、この共用シャフト用貫通口17に、共用シャフト18が挿入される。
コの字形フレーム部23とブラケット27との関係を図44(模式的側面図)に示す。コの字形フレーム部23は、図40にも示すとおり、中央壁部23Bと、その対向する両端部から側方に相互に平行に延びる壁面部23A,23Cとを有し、壁面部23Aにてフレーム部1の下面に固定されている。また、壁面部23Cの先端部23Dは、各架橋回転支持棒対30X,30Y,30Zのストッパとしての機能を有する。すなわち、架橋回転支持棒が水平モードから垂直モードに変換する際には、支持柱部31が矢印V(図44参照)の方向に回転し、前記仲介キャップ部16のプレート状底面部16Aの端部16D(図43参照)が、前記壁面部23Cの先端部23Dと接触した地点で矢印V方向への回転が停止する。この回転停止位置が垂直モードの適切な位置になるように調整することのできる調整手段(図示せず)をコの字形フレーム部23及び/又は仲介キャップ部16に設けておくこともできる。
本発明による水槽用昇降床は、一体型昇降床又は分離型昇降床のいずれの場合でも、水槽(例えば、プール)の全面に敷設することも、その一部に敷設することもできる。また、本発明による水槽用昇降床は、複数の組立用ユニットを組み立てることによって、水槽(例えば、プール)の全面又は一部に敷設することができる。例えば、複数のフレーム部片から組み立てられたフレーム部の上に、複数のプレート部片から組み立てられたプレート部を載置して、水槽(例えば、プール)に敷設することができる。
従って、本発明は、本発明による前記水槽用昇降床を水槽(例えば、プール)の全面又は一部に敷設する際に使用することのできる組立用ユニット、及びその組立用ユニットを用いる前記水槽用昇降床の組み立て方法にも関する。
本発明による組立ユニットの典型的な実施態様、及びそれを用いる組立方法の典型的な実施態様を、添付図面に沿って説明する。以下の説明では、主に単独回転支持棒を用いる実施態様について述べるので、特に断らない限り、回転支持棒とは単独回転支持棒を意味する。
図28は、本発明による組立ユニットの一実施態様であるフレームユニット5の模式的斜視図である。図29は、そのフレームユニット5を、プールSPの底面P1の一部に載置して連結した状態を示す模式的平面図であり、図29に示す態様では、15個のフレームユニット5を、3列(イ列、ロ列、ハ列)及び5段(a段,b段,c段,d段,e段)で敷設した状態を示す。図30は、図29の連結フレーム部の上に、プレート部片15(2列及び2段の4枚)を載置して固定した状態を示す模式的平面図である。
図28に示すフレームユニット5は、正方形型フレーム部51からなる。正方形型フレーム部51は4つの周辺壁部から構成され、中心部は開口している。前記の4つの周辺壁部のそれぞれには、連結用開口部52が設けられており、3つの周辺壁部のそれぞれには、フロート部配管用開口部53が設けられている。更に、フロート部配管用開口部53が設けられていない周辺壁部には、回転軸支持棒を回転可能に固定するための回転軸支持用突起部としてのブラケット54と回転支持棒配管用開口部53aが設けられている。また、正方形型フレーム部51の上部表面51Aには、プレート固定用開口部55が設けられている。なお、フレームユニットの形状は、前記の正方形型に限定されず、長方形型であることもできる。
連結用開口部52は、隣接して敷設する別のフレームユニットとの連結に使用する。具体的には、図29に示すように、フレームユニット5cロと、その四周に配置するフレームユニット5bロ,5cイ,5dロ,5cハとを連結する際に、隣接フレームユニットの相当する連結用開口部を、適当な連結具(例えば、ボルト及びナットの組合せ)によって連結することができる。プールSPの壁面と接触ないし隣接するかあるいは対向する位置に敷設するフレームユニット(例えば、図29に示すフレームユニット5cイ)としては、3つの周辺壁部に連結用開口部を有するフレームユニットを用いることができ、プールSPのコーナー部に敷設するフレームユニット(例えば、図29に示すフレームユニット5aイ)としては、2つの周辺壁部に連結用開口部を有するフレームユニットを用いることができる。
一体型昇降床用のフレームユニットには、フロート部配管用開口部53と、回転支持棒配管用開口部53aが設けられている。フロート部配管用開口部53は、フロート部の気体供給口、気体放出口、又は気体供給放出口と連結している送気管を通す開口部であり、場合により、回転支持棒の気体収容室に設けた気体放出口、又は気体供給放出口と連結している送気管を通す開口部としても用いることもできる。回転支持棒配管用開口部53aは、回転支持棒の気体収容室に設けた気体放出口、又は気体供給放出口と連結している送気管を通す開口部として用いるので、ブラケット54のそばに設けるのが好ましい。分離型昇降床のフレームユニットには、フロート部配管用開口部を設ける必要はなく、回転支持棒配管用開口部53aを設ければ充分である。フロート部配管用開口部及び回転支持棒配管用開口部は、正方形型フレーム部51の4つ又はそれ以下の周辺壁部のそれぞれに設けることができる。あるいは、フレームユニット内にフロート部や回転支持棒を設けない場合には、配管用開口部を設けないこともできる。
ブラケット54は、回転軸支持棒をフレームユニットの壁面に設ける場合に使用することができる。従って、フレームユニット内に回転軸支持棒を設けない場合には、回転軸支持用突起部を備える必要はない。また、プレート固定用開口部55は、一体型昇降床用のフレームユニットの場合に、フレームユニット5の上部表面51Aに設けられており、プレート部又はプレート部片をフレームユニットに連結して固定するために用いる。分離型昇降床用のフレームユニットの場合には、必要がない。
図28に示すフレームユニット5を用いて、本発明による一体型昇降床を敷設する方法の1実施態様を、図29に沿って説明する。最初に、水を入れていない状態のプールSPの底面P1に、フレームユニット5cロを載置する。この際、フレームユニット5cロが備えている回転支持棒(すなわち、単独回転支持棒)を、垂直方向に懸架状態で直立させ、フレームユニット5cロを自立させる。従って、最初に載置するフレームユニット5cロは、少なくとも3つの周辺壁部のそれぞれに回転支持棒を備えたフレームユニットを用いるのが好ましく、図29に示すように、4つの全周辺壁部のそれぞれに回転支持棒を備えたフレームユニット5cロを用いるのがより好ましい。図示していないが、最初に載置するフレームユニット5cロとしては、1組(2本)の架橋回転支持棒を対向する2辺に1対で設けたフレームユニットを用いるのが更に好ましい。
プールSPに水を入れない状態で実施する敷設作業の間での、単独回転支持棒(又は架橋回転支持棒)の直立を補助し、敷設作業の安全性を確保する目的で、適当な自立補助器具を各回転支持棒に一時的に設けることもできる。あるいは、適当なリフト手段(例えば、クレーン)でフレームユニットを上方から補助的に保持することもできる。更に、プール内に水を挿入して、回転支持棒の直立を浮力によって補助することもできる。なお、最初に載置するフレームユニット5cロは、図29及び図30に示すように、各フレームユニットの組立が終了し、最終的に一体型昇降床が配置される位置の中心部に載置するのが好ましい。
続いて、フレームユニット5cロの両側に、フレームユニット5cイ及びフレームユニット5cハを載置し、それらの連結用開口部を利用して、相互に連結する。フレームユニット5cイ及びフレームユニット5cハは、図29に示すように、それぞれ回転支持棒1つを備えたフレームユニットであることが好ましく、3つのフレームユニット5cロ、フレームユニット5cイ、及びフレームユニット5cハからなる集合体(c段)は、6つの回転支持棒によって直立状態で自立することができる。
次に、フレームユニット5cイの両側に、回転支持棒1つを備えたフレームユニット5aイと回転支持棒を備えていないフレームユニット5bイとの組合せ、及び回転支持棒1つを備えたフレームユニット5eイと回転支持棒を備えていないフレームユニット5dイとの組合せを、それぞれ連結させて、イ列のフレームユニット群の敷設連結作業を完了する。同様に、フレームユニット5cハの両側に、回転支持棒1つを備えたフレームユニット5aハと回転支持棒を備えていないフレームユニット5bハとの組合せ、及び回転支持棒1つを備えたフレームユニット5eハと回転支持棒を備えていないフレームユニット5dハとの組合せを、それぞれ連結させて、ハ列のフレームユニット群の敷設連結作業を完了させる。
最後に、イ列のフレームユニット群とハ列のフレームユニット群との間に、ロ列のフレームユニット群を配置するために、フレームユニット5cロの両側に、回転支持棒を備えていないフレームユニット5aロと回転支持棒を備えていないフレームユニット5bロとの組合せ、及び回転支持棒を備えていないフレームユニット5eロと回転支持棒を備えていないフレームユニット5dロとの組合せを、それぞれ連結させると、3列(イ列、ロ列、ハ列)及び5段(a段,b段,c段,d段,e段)の15個のフレームユニットからなるフレームユニット連結体を配置することができる。なお、各フレームユニットを自立させながら載置する順序は特に限定されず、図29に示すように、中央部にフレームユニット5cロを最初に載置する方法の他、中央部以外の部分から開始し、その隣接部分に任意の順序で取り付けて実施することができる。
続いて、回転支持棒配管用開口部を利用して、回転支持棒の配管作業を実施し、更に、フロート部、すなわち、一定浮力フロート部片と浮力可変フロート部片とを、各フレームユニットの周辺壁部に取り付け、フロート部配管用開口部を利用してフロート部全体の配管作業を行う。
最後に、図30に示すように、プレート部片15をフレームユニット連結体の上に載置し、各プレート部片15に設けた連結用開口部(図示せず)と、フレームユニット5のプレート固定用開口部55とを利用して、各プレート部片15をフレームユニット連結体に固定する。図30に示す実施態様では、15個のフレームユニット5からなるフレームユニット連結体の上に、4個のプレート部片15を固定する。図29に示すフレームユニット連結体の上に載置することのできるプレート部片としては、図30に示す各プレート部片15に限定されず、例えば、複数の長尺状プレート部片を平行に載置してプレート部とすることもできる。長尺状プレート部片としては、例えば、長さがフレームユニット連結体の列方向(又は段方向)の両端部に達し、幅がフレームユニットの段方向(又は列方向)の長さよりも短い長尺状プレート部片を挙げることができる。続いて、浮力付与に必要な空気を供給してから、プールSPに水を挿入すると、本発明による一体型昇降床が水中に浮かぶ。
フレームユニット連結体の上に載置するプレート部片は、それら相互間に、水を通す隙間を空けて設けるのが好ましい。このような隙間を設けることにより、プレート部の昇降運動の際に水槽内の水による抵抗を弱めることができる。
複数のフレームユニットを用いて本発明による一体型昇降床を敷設する場合には、図28〜図30に示す態様の他に、例えば、全てのフレームユニットとして単独回転支持棒を備えたフレームユニットを使用することもできる。更に、全てのフレームユニットとして架橋回転支持棒を対向する2辺に設けたフレームユニットを用いることもできる。
フレームユニットを用いて一体型昇降床を敷設する方法は、前記の態様に限定されず、回転軸支持棒を直立させずに横臥させた状態、すなわち、フレームユニットをプール底面に直接接地させた状態で、各フレームユニットの連結や配管、及びプレート部片の載置を実施し、最後にプールSPに水を挿入して、本発明による一体型昇降床を水中に浮かせることもできる。
フレームユニットを用いて本発明による分離型昇降床を敷設する場合には、水を入れていない状態のプールSPの底面P1に、フレームユニットを次々に載置する。分離型昇降床のフレームユニットは、プールSPの底面P1に接地させた状態で敷設するので、回転支持棒を直立させる必要はない。フレームユニットを底面P1に次々に載置し、それらを相互に連結し、更に、回転軸支持棒を設け、各種配管作業を実施し、最後にプレート部片をその上から載置して相互に連結すれば、分離型昇降床を敷設することができる。
フレーム部とプレート部とを、それぞれ複数の部片から組み立てる場合、各フレーム部片の形状と各プレート部片の形状とは、相互に一致していても不一致であってもよい。例えば、各フレーム部片が正方形型(上方から下方に観察した場合)である場合に、各プレート部片は、各フレーム部片と同一の大きさの正方形型(上方から下方に観察した場合)であっても、異なる大きさの正方形型あるいは長方形型であることができる。更に、本発明による水槽用昇降床は、最終的に組み立てられた昇降床が、前記の各部品(例えば、プレート部、浮力可変フロート部、及び回転支持棒、更には、フレーム部)を有していればよく、それを組み立てる際に用いる各プレート部片や各フレーム部片の中には、それらの部品を完全に備えていない部片も使用することができる。
本発明による一体型昇降床用の組立ユニットは、フレーム部片とプレート部片とが一体となったユニットであることもできる。この場合は、各ユニットの中心部が開放されていないので、各ユニットの連結作業や送気管の配管作業のために、各ユニット裏面とプール底面との間に、前記作業用の空隙を設ける必要がある。空隙を設けるには、回転支持棒を備えたユニット少なくとも3つを利用して小集合体を形成し、懸架状態の回転支持棒少なくとも3つによって(又は適当な自立補助器具若しくはリフト手段を追加的に使用して)、その小集合体を自立させた状態として、次々に、隣接ユニットを結合させていくことができる。
本発明による昇降床用の組立ユニットは、フレーム部片を含まない形態であることもできる。フレーム部片を含まない組立ユニットが、一体型昇降床用である場合には、裏面に回転支持棒を設けたプレート部片を用いる。この場合にも、各ユニットの中心部が開放されていないので、各ユニットの連結作業や送気管の配管作業のために、各ユニット裏面とプール底面との間に、前記と同様の方法で、前記作業用の空隙を設ける必要がある。
フレーム部片を含まない組立ユニットが、分離型昇降床用である場合には、回転支持棒を水槽の底面に固定する。また、分離型昇降床用の組立ユニットが、プレート部片の裏面にフレーム部片を含む場合にも、回転支持棒を水槽の底面に固定する。