以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
<実施の形態1>
本実施の形態では、液晶表示装置の構成部材である画素電極の構造について説明する。図1は、本実施の形態に係わる画素電極の構造を示す、平面図である。
図1に示すように、画素電極は、複数の中実部1と開口部2とから構成されている。また、各中実部1の外周部には、4つの枝部3が形成されている。ここで、枝部3は、略矩形状である。つまり、画素電極は、所定の配列状に設けられた複数の中実部1と、当該中実部1間において、中実部1の外周部から延設された枝部3とを備えている。
ここで、画素電極の主要エリアを構成する部分を、上記中実部1と称する(以下、単に中実部と称する)。また、中実部1間において、当該中実部1の外周部から延設された部分を、上記枝部3と称する(以下、単に枝部3と称する)。図1において、略矩形状の部分が中実部1であり、当該略矩形状の中実部1の外周部から延設されている、部分が枝部3である(図1では、一の中実部1には、4つの枝部が形成されている)。
また、枝部3は、中実部1間に存する枝部3だけでなく、以下のものも含まれる。つまり、図1に示されているように、中実部1は、所定の配列状に設けられている。当該配列状の中実部1の最外側に存する中実部1には、当該中実部1のさらに外側に向かって、延設されている枝部3も形成されている。つまり、配列状に設けられた中実部1の最外側に存する中実部1において、枝部3は、当該中実部1のさらに外側に向かって、延設されている。
また、当該画素電極は、複数の画素領域を構成している。本実施の形態では、3つの中実部1により、一の画素領域が形成されている。つまり、図1に示す、太線の中実部1により、画素領域の一単位が形成されている。図1では、画素領域が、点線にて区画されている。
ここで、一の画素領域に存在する所定数の中実部1において、隣接する中実部1同士は、枝部3を介して、電気的に接続されている。また、後述するように、一の画素領域には、図示していないが一のスイッチング素子(たとえば、TFT等)が各々形成されている。
中実部1は、略矩形状である。そして、中実部1を構成する各辺には、各々一の枝部3が形成されている。また、一の中実部1に着目する。すると、図1に示すように、各枝部3の延設方向に延びる仮想線ALは、中実部1の中心を通らない。つまり、当該仮想線ALは、中実部1の中心から所定の距離だけズレて形成されている。
また、一の中実部1に着目する。すると、図1から分かるように、枝部3の延設方向に延びる各仮想線ALにおいて、各仮想線ALに対する中実部3の中心位置は、各仮想線ALを前記中実部1の内方向に見て、同じ側に位置する。つまり、一の中実部1に形成されている枝部3は、2以上であり、当該2以上の枝部3の各仮想線ALに対する中実部1の中心位置は、各仮想線ALを中実部1の内方向に見て、同じ側に存する。
たとえば、図1において、上から2行目、右から2列目に位置する、一の中実部1に着目する。すると、各仮想線ALにおいて、中実部1の内方向に見て、当該中実部1の中心は、当該仮想線の左側に存する。
これに対して、図1において、上から3行目、右から2列目に位置する、一の中実部1に着目する。すると、各仮想線ALにおいて、中実部1の内方向に見て、当該中実部1の中心は、当該仮想線の右側に存する。
なお、本実施の形態では、一の中実部1に形成されている各枝部3は、前記仮想線ALから中実部1の中心までの距離が、略同一となるように、形成されている。たとえば、図1に示すように、一の中実部1に形成されている枝部3は、4つであり、当該枝部3は、仮想線ALから中実部1の中心までの距離が、略同一となるように、形成されている。換言すれば、当該枝部3は、当該中実部1の中心を基準として、略4回対称性を有するように、形成されている。
また、枝部3を介して接続されている、隣接する中実部1の各々に着目する。すると、枝部3の形成位置は、鏡面対称となっている。たとえば、枝部3の形成位置は、当該中実部1の接続部(枝部3)に関して、鏡面対称となっている。
次に、斜め電界による液晶分子の配向のメカニズムについて、図2を用いて説明する。なお、当該メカニズムは、特許文献1,2に記載のものと同様である。ここで、斜め電界は、中実部1のエッジ部(外周部)に起因して発生する。
図2に示すように、第一の基板10上には、画素電極(図2では、画素電極を構成している中実部1の一部が、図示されている)が配設されている。また、第一の基板10と対向して、第二の基板20が配設されている。第二の基板20上には、対向電極15が形成されている。
図2に示すように、中実部1と対向電極15とは、対面している。また、第一の基板10と第二の基板20との間には、液晶層30が形成されている。なお、第一の基板10と液晶層30との間、および第二の基板20と液晶層30との間には、垂直配向膜(図示せず)が形成されている。
ここで、液晶層30は、垂直配向型である。
垂直配向型の液晶層は、負の誘電率異方性を有する液晶分子から構成された、液晶層のことである。そして、画素電極(中実部1)と対向電極15との間に電圧を印加しないときには、当該液晶層30を構成する各分子は、両基板に対して垂直に配向している(概念図である図3参照)。しかし、画素電極(中実部1)と対向電極15との間に電圧を印加したときには、当該液晶層30を構成する各分子は、所定の方向に倒れる(概念図である図4参照)。
つまり、上記電圧非印加時には、正面位相差が発生しない。しかし、上記電圧印加時には、液晶分子が所定の方向に倒れることにより、正面位相差が発生する。
本実施の形態では、電圧印加時において、中実部1のエッジ部に起因して、画素電極(中実部1)と対向電極15との間に、斜め方向の電界(斜め電界)が発生する。したがって、本実施の形態では、当該斜め電界に起因して、中実部1の外側から内側に向けた方向に、液晶分子は倒れる(図2の符号30a)。
なお、印加電圧が2.5〜3.5V程度と低い場合、あるいは中実部1外周部の液晶分子が倒れ始める電圧(2.0〜2.5V程度)からそれより高い電圧を印加した場合においては、液晶分子は中実部1の外周部から倒れ始め、配向変化は中実部1の内部へと伝播する。そして、一の中実部1に着目した場合には、過渡的には、平面視において、液晶分子の放射状傾斜配向が得られる。
図5に、電圧印加時において、一の中実部1において過渡的に形成される、液晶分子の放射状傾斜配向の様子を示す。具体的に、当該配向は、偏向顕微鏡などを用いて、直交ニコル配置で観察したときに見られる消光模様(図5で示した太線)によって、確認される。
ここで、図5では、各枝部3は、中実部1の外周部において、次のように形成されている。つまり、各枝部3の延設方向に延びる各仮想線(図示せず)は、いずれも中実部1の中心を通るように、形成されている。
なお、図5において、液晶分子31は、釘模様で図示されている。釘模様の頭部は、紙面の手前方向に位置している(以下の、図5に相当する図面においても同様とする)。したがって、釘模様の当該頭部と反対側は、紙面の奥行き方向に位置している(以下の、図5に相当する図面においても同様とする)。
図5から分かるように、各液晶分子31は、釘模様の頭部が中実部1の中心を向くように、放射状に倒れる。なぜなら、中実部1の中心以外の領域において、当該状態が、液晶分子31の配向の歪みが最も小さい状態であるからである。
しかし、当該状態は、過渡的なものである。なぜなら、図5のA−B断面を示す図6から分かるように、中実部1の中心付近では、スプレイ配向(つまり、一の液晶分子31を軸にして、両サイド液晶分子31が鏡面対称の方向に倒れる配向)が形成されるからである。このように液晶分子31がスプレイ配向をとった場合には、当該部分の液晶分子31の弾性エネルギーは高くなる。
ところで、図7に示すように、液晶分子31がツイスト配向をとった場合を考える。すると、当該ツイスト配向の液晶分子31の弾性エネルギーは、上記スプレイ配向の弾性エネルギーと比較して、半分程度に低くなる。
ここで、図7は、図8のA−B断面に垂直な断面を示す図である。ツイスト配向は、図7に示すように、A−B断面線を基準にして、当該A−B断面線上を進むに連れて、液晶分子の倒れる方向がツイストしている。
上記弾性エネルギーの比較より、図5に示す構造の中実部1(つまり、枝部3の延設方向に延びる各仮想線は、いずれも中実部1の中心を通るように、当該枝部3が形成されている構造。以下単に、図5に示す構造と称する)の場合には、当該中実部1の中心付近において、図7に示すツイスト配向を取ろうとする。
よって、図5に示す構造の中実部1を採用した場合には、最終的には、図8、9に示すように、液晶分子31は、全体的に右回り(もしくは、左回り)の渦巻状の配向を形成する。具体的に、当該配向は、偏向顕微鏡などを用いて、直交ニコル配置で観察したときに見られる消光模様(図8,9で示した太線)によって、確認される。
ここで、右回り渦巻状配向と、左回り渦巻状配向とは、ほぼ同確率で生じる。ただし、カイラリティを有する液晶材料を用いた場合には、いずれかの方向の渦巻状配向が、より高い確率で発生する。
ところで、図5に示す構造の中実部1の場合には、上述のように、中実部1の中心以外の領域では、本来、渦巻状配向よりも放射状傾斜配向(図5に示す配向)の方が、安定である(歪みが少ない)。
したがって、図8,9に示す渦巻状配向の場合には、中実部1の中心以外の領域では、配向の歪みが生じる。よって、液晶分子が、図8,9の渦巻配向に落ち着かない可能性が高くなる。つまり、配向の中心が中実部1の中心からズレる配向を、液晶分子31が取る可能性が高くなる。
また、印加電圧が2.5〜3.5V程度と低い場合、あるいは中実部1外周部の液晶分子が倒れ始める電圧(2.0〜2.5V程度)からそれより高い電圧を印加した場合においては、配向の配向中心が中実部1の中心に形成されやすい。
しかしながら、液晶分子が倒れ始める閾値(2.0〜2.5V程度)以下の電圧を初期電圧として比較的高い電圧(4.5V以上)を印加した場合には、傾斜配向の配向中心は、中実部1の中心からズレやすくなる。これは、当該電圧を印加すると、中実部1中心付近の液晶分子および中実部1外周部の液晶分子が同時に倒れるからである。このように、中実部1の中心付近の液晶分子は、倒れる方向が制御されないため、電圧印加直後は、ランダムな方向に倒れ、配向中心と中実部1の中心との間にズレが生じる(配向中心が複数形成される場合も発生し得る)。
時間の経過と共に、後述する消光模様は大きな曲率の形状に変化し、おおよそ放射状の傾斜配向が得られる。しかし、配向中心は、必ずしも中実部1の中心には移動せず、配向中心と中実部1の中心との間のズレは残存する。
このように、配向の中心位置が、中実部1の中心からズレた場合には、当該中実部1内での液晶分子の倒れる方位の比率が、均等でなくなる。つまり、視野角が非対称となり、狭くなる。
これに対して、本実施の形態に係わる画素電極を採用した場合には、液晶分子が倒れ始める閾値(2.0〜2.5V程度)以下の電圧を初期電圧として比較的高い電圧(4.5V以上)を印加した場合においても、配向の中心位置が、中実部1の中心からズレることを抑制できる。
つまり、本実施の形態では、中実部1の外周部には、枝部3が形成されており、各枝部3の延設方向に延びる仮想線ALは、中実部1の中心を通らない。
したがって、図10に示すように、当該枝部3の形成位置に起因して、中実部1の中心付近では、ツイスト配向を取らせることができる。さらに、中実部1の中心付近以外の領域では、当該枝部3の形成位置に起因して、歪みをより少なくして、液晶分子3の渦巻状配向を可能とすることができる。つまり、枝部3により、渦巻状配向の「すそ」の位置が制御されている。
このように、図8,9に示した場合よりも、本実施の形態に係わる画素電極を採用した方が、より、歪みの少ない状態で渦巻状配向を形成することができる(つまり、より安定して渦巻状配向を形成することができる)。
したがって、余分な製造工程を実施すること無く(つまり、製造コストを増大させること無く)配向の中心が、中実部1の中心以外の位置に形成されることを、抑制することができる。
以上により、本実施の形態に係わる画素電極を用いて液晶表示装置を製造した場合には、当該液晶装置は、全方向に対して視野角の広く、さらに、表示される画像も良好となる。
なお、本実施の形態の中実部1における、図10に示した液晶分子31の渦巻状配向は、偏向顕微鏡などを用いて確認された。具体的に、当該配向は、偏向顕微鏡などを用いて、直交ニコル配置で観察したときに見られる消光模様(図10で示した太線)によって、確認された。
また、一の画素領域に存在する所定数(図1では、3個)の中実部1において隣接するもの同士、枝部3を介して各々電気的に接続されている。したがって、当該所定数の中実部1により、一の画素領域を形成することができる。
また、枝部3を介して接続されている隣接する中実部1の各々に着目する。すると、図1に示したように、枝部3の形成位置は、たとえば中実部1の接続部(枝部3)に関して、鏡面対称である。
したがって、たとえば、図11に示すような場合と比較して、画素領域内における中実部1の占有面積が大きくなる。図11は、各中実部1において、枝部3の形成位置が同じ場合である。図11に示す場合には、枝部3Lの形状に起因してデッドスペースが存在する。
上記のように、画素領域における中実部における占有面積が増大するので、表示として有効に寄与する面積が増大し、結果として輝度の高い液晶表示が可能となる。
なお、枝部3を介して接続されている中実部1同士において、枝部3の形成位置を上記鏡面対称とした場合には、一方の中実部1においては、右回り渦巻状配向が形成され、他方の中実部1においては、左回り渦巻状配向が形成される。
当該構成において、液晶層にカイラリティを有する液晶材料を採用した場合を想定する。すると、一方の方向の渦巻状配向(つまり、カイラリティの方向と一致する配向)は、安定的に形成される。しかし、他方の方向の渦巻状配向(つまり、カイラリティの方向と一致しない配向)は、不安定となる。こうような場合には、配向中心が中実部1の中心とズレることがあり得る。
したがって、枝部3を介して接続されている中実部1同士において、枝部3の形成位置を上記鏡面対称とした場合には、液晶材料30は、カイラリティの無い液晶材料で構成する方が望ましい。これにより、上記構成の中実部1同士において、どちらにおいても安定した渦巻状配向を形成することができる。
また、一の中実部1に形成される枝部3は、一つでも良い。この場合には、当該枝部3は、枝部3の延設方向に延びる仮想線ALが中実部1の中心を通らないような位置に、形成すれば良い。このようにすることにより、図5に示す構造と比較してより、液晶分子の渦巻状配向を安定的に形成することができる。
また、一の中実部1に形成される枝部3は、2以上であっても良い。この場合には、枝部3の延設方向に延びる各仮想線ALにおいて、当該仮想線ALに対する、中実部1の中心位置が、各仮想線ALを中実部1の内方向に見て、同じ側に位置するように、枝部3を形成することが望ましい。
当該構成を採用することにより、一の中実部1に一の枝部3のみが形成される場合よりも、より、渦巻状配向を安定的に形成することができる。
なお、一の中実部1に形成される枝部3は、2以上である場合には、中実部1同士の接続に寄与しない枝部3が存在する可能性がある。当該枝部3は、専ら、渦巻状配向の制御補助のために形成されていると理解できる。
また、上述したように、一の中実部1に4つの枝部3を形成し、かつ、当該枝部3が、仮想線ALから中実部1の中心までの距離が、略同一となるように、形成されている方が、より望ましい。当該構成を採用することにより、最も安定的に、渦巻状配向を形成することができる。
また、枝部3を除く中実部1の形状は、図1等で示した正方形以外に、図12に示すように、長方形の中実部1を含んでいても良い。ただし、図12に示すように、長方形の中実部1を導入する場合には、当該中実部1の縦の辺と横の辺との比率は、1:0.5〜1:2の範囲以内であることが望ましい。
もし、中実部1の縦の辺と横の辺との比率が、上記範囲外である場合には、渦巻状配向の中心が、長辺側の枝部3付近に形成される場合が発生するからである(当該事項は実験により確認されている)。当該場合には、液晶表示はざらついて視認される(たとえば、右方向から見て、明るい画素と暗い画素とが混在する)。
また、中実部1の形状は、図13に示すように、矩形状(正方形または長方形等)であっても良く(図13のA)、また、角部が曲線である矩形状であっても良く(図13のB)、また、円形(または、楕円形)等であっても良い(図13のC)。
中実部1が上記いずれの形状の場合でも、中実部1の中心と中実部1の重心とは、略一致している。
また、中実部1が楕円形状である場合には、当該楕円の長軸と短軸との比率は、1:0.5〜1:2の範囲以内であることが望ましい。
もし、中実部1の長軸と短軸との比率が、上記範囲外である場合には、渦巻状配向の中心が、中実部1の中心からズレて形成される場合が発生するからである(当該事項は実験により確認されている)。当該場合には、液晶表示はざらついて視認される(たとえば、右方向から見て、明るい画素と暗い画素とが混在する)。
なお、一の中実部1の大きさは、以下の範囲以内であることが望ましい。
つまり、正方形の場合には、経験則に従うと、各辺の大きさが、30ミクロン以上、100ミクロン以下であることが望ましい。また、矩形状の中実部1の場合には、短辺の大きさは、30ミクロン以上であることが望ましい。また、長辺の大きさは、100ミクロン以下であることが望ましい。
また、経験則に従うと、円形の中実部1の場合には、直径が30ミクロン以上、100ミクロン以下であることが望ましい。また、同じく経験則に従うと、楕円状の中実部1の場合には、短軸の大きさは、30ミクロン以上であることが望ましい。また、長軸の大きさは、100ミクロン以下であることが望ましい。
また、略矩形状の枝部3の各辺の大きさは、以下に示す範囲以内であることが望ましい。
つまり、図14で定義される枝部3の幅は、5ミクロンから15ミクロンの範囲以内であることが望ましい。また、図14で定義される枝部3の長さは、3ミクロンから10ミクロンの範囲以内であることが望ましい。
枝部3の大きさが小さい場合、枝部周辺の斜め電界による配向制御効果、すなわち渦巻状配向の「すそ」の位置を制御する効果が小さくなる。
また、上述では、一画素領域を3つの中実部1で構成する場合について、言及した。しかし、これに限定する趣旨ではない。つまり、一画素領域は、一以上の中実部1で形成されていれば良い。また、一画素領域を形成する中実部1を一列に配列する場合に言及した。しかし、任意のマトリクス状に配列させても良い。
たとえば、図15に示すように、6行−2列に、12個の中実部1を配設することにより、一画素領域を構成しても良い。なお、図15から分かるように、一画素領域を構成している12個の中実部1は、隣接するもの同士、枝部3を介して各々、電気的に接続されている。
<実施の形態2>
本実施の形態では、実施の形態1に係わる画素電極を備える、液晶表示装置(特に、液晶パネル部)について説明する。
はじめに、第一の基板上の各部材の構成について説明する。図16は、第一の基板上に形成されている各部材の構成を示す、透視平面図である。
図16において、最も下層に形成されている部材は、斜線にて図示している。また、当該斜線の部材より上層に存する部材は、太線にて図示している。さらに、当該太線の部材より上層に存する部材は、点線にて図示している。なお、斜線の部材同士、太線の部材同士、点線の部材同士は、各々同一層に形成されている。
図16では、一画素領域分のみを図示している。したがって、図示していないが、実際には、図16に示す構造体を単位として、当該構造体がマトリクス状に配列されている。なお、一画素領域は、3つの中実部(点線輪郭)により構成されている。
第一の基板(図示せず)は、ガラス等の透明性を有する基板である。当該第一の基板上には、図16に示すように、一方向(図16では、横方向)に、ゲート配線51が配設されている。ここで、ゲート配線51は、ゲート電極の役割も担っている。
また、第一の基板上には、図16に示すように、ゲート配線51と同方向に、補助容量配線52が配設されている。また、第一の基板上には、図16に示すように、補助容量電極53が配設されている。ここで、補助容量配線52は、補助容量電極53と電気的に接続されている。
また、ゲート配線51、補助容量配線52、および補助容量電極53等を覆うように、第一の基板上には、第一の絶縁膜(図示せず)、半導体層(図示せず)、オーミックコンタクト膜(図示せず)が、当該順に形成されている。
また、第一の絶縁膜上には、ソース配線(信号配線)54が配設されている。ここで、ソース配線54は、図16に示すように、ゲート配線51の配設方向に対して、略垂直な方向(図16では、縦方向)に配設されている。ここで、ゲート配線51とソース配線54とで区画される領域において、一画素領域が構成されている。
また、図16に示すように、ソース配線54には、ソース電極55が接続されている。なお、上記より明らかなように、ゲート配線51、補助容量配線52と、ソース配線54とは、第一の絶縁膜を介して、異なる層に配設されている。したがって、前者2つの配線51,52等と、ソース配線54等とは、電気的に接続されていない。
また、ゲート配線51とソース配線54とで区画されている領域内において、ドレイン電極56が配設されている。ここで、ソース電極55とドレイン電極56とは、半導体層(図示せず)を介して接続されている。
図16において、ゲート配線(特に、ゲート電極として機能する部分)51、ソース電極55、ドレイン電極56、第一の絶縁膜(図示せず)、および半導体層(図示せず)等から、スイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)が構成されている。なお、図16において、丸で囲まれている部分が、TFTが構成されている部分である。
また、ソース配線54、ソース電極55、およびドレイン電極56等を覆うように、第一の基板上には、第二の絶縁膜(図示せず)が形成されている。ここで、第二の絶縁膜は、たとえば、無機絶縁膜と有機絶縁膜とを当該順に積層したものである。また、第二の絶縁膜には、コンタクトホール57が設けられている。ここで、図16に示すように、コンタクトホール57は、ドレイン電極56上の所定の場所に、形成されている。
また、第二の絶縁膜上には、図16に示す画素電極58が形成されている。ここで、画素電極58は、実施の形態1に係わる画素電極である。また、上述の通り、一画素領域は、3つの中実部により構成されている。また、3つの中実部は、隣接するもの同士、枝部を介して接続されている。
また、画素電極58の一部は、コンタクトホール57内にも形成されている。したがって、画素電極58とドレイン電極56とは、電気的に接続されている。さらに、画素電極58は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料から構成されている。
また、上記各部材が形成された第一の基板上には、垂直配向膜(図示せず)が形成されている。ここで、垂直配向膜として、たとえば、ポリイミド、ポリアミド等を採用することができる。
上記第一の基板の構成において、中実部同士の接続に寄与していない枝部は、以下のような配置に形成されている。つまり、図16に示すように、当該枝部は、平面視において、前記ソース配線54および前記ゲート配線51のどちらか一方と重複するように、配置されている。
次に、上記構成の第一の基板と対向する、第二の基板の構成について、図面を用いずに説明する。ここで、第二の基板は、ガラス等の透明性を有する基板である。
第二の基板上には、遮光のためのブラックマトリクスや、赤・緑・青の色材層等が形成されている。また、それらの上には、透明導電材料から成る対向電極が配設されている。また、第二の基板上には、後述する液晶層との界面に相当する層に、垂直配向膜が形成されている。
上記構成の、第一の基板および第二の基板が用意できたら、次に、第一の基板と第二の基板とを、相互に対向するように、配設する。ここで、対向電極と画素電極58とが、互いに向かい合うように、両基板を配設する。
また、第一の基板と第二の基板との間には、液晶層が形成されている。ここで、液晶層は、実施の形態1で説明したように、垂直配向型の液晶材料から構成されている。
次に、本実施の形態に係わる液晶表示装置(特に、液晶パネル部)の製造方法について、図16を参照しつつ説明する。
はじめに、第一の基板上に所定の部材を形成する方法について説明する。
まず、ガラス等の第一の基板上に、金属クロム膜を成膜する。金属クロム膜の膜厚は、約300nmである。
次に、当該金属クロム膜に対して、写真製版処理を施す。これにより、第一の基板上に、上記構成の、ゲート配線51、補助容量配線52および補助容量電極53を形成することができる。
次に、ゲート配線51、補助容量配線52および補助容量電極53等を覆うように、シリコン窒化膜(第一の絶縁膜と把握できる)を成膜する。ここで、当該シリコン窒化膜の膜厚は、約400nmである。
なお、膜中ピンホールなどによる、当該シリコン窒化膜の上層と下層との間での導通を防止するため、シリコン窒化膜を、複数回に分けて成膜した方が良い。たとえば、シリコン窒化膜を300nm程度成膜した後に、その上に、さらにシリコン窒化膜を100nm程度成膜する方法を採用した方が良い。
次に、当該シリコン窒化膜上に、アモルファスシリコン膜(半導体層)およびドープドアモルファスシリコン膜(オーミックコンタクト膜)を、当該順に成膜する。ここで、アモルファスシリコン膜の膜厚は、100nm程度である。また、ドープドアモルファスシリコン膜の膜厚は、50nm程度である。
次に、アモルファスシリコン膜およびドープドアモルファスシリコン膜に対して、写真製版処理を施す。これにより、当該各膜を所定の形状にパターニングする(TFT部の形成を行う)。
次に、上記各部分を覆うように、再び、金属クロム膜を成膜する。金属クロム膜の膜厚は、300nm程度である。
次に、当該金属クロム膜に対して、写真製版処理を施す。これにより、第一の基板上に、上記構成の、ソース配線54、ソース電極55およびドレイン電極56を形成することができる。
次に、上記ソース配線54等を覆うように、シリコン窒化膜(第二の絶縁膜、特に、無機絶縁膜と把握できる)を成膜する。当該シリコン窒化膜の膜厚は、400nm程度である。さらに、シリコン窒化膜上に、アクリル樹脂膜(第二の絶縁膜、特に、有機絶縁膜と把握できる)を成膜する。当該アクリル樹脂膜の膜厚は、3ミクロン程度である。
次に、上記第二の絶縁膜に対して、写真製版処理を施す。これにより、第二の絶縁膜に、コンタクトホール57を形成する。ここで、コンタクトホール57の底部から、ドレイン電極56が露出するように、当該コンタクトホール57は、形成される。
次に、第二の絶縁膜上に、ITO膜を成膜する。ITO膜の膜厚は、100nm程度である。ここで、コンタクトホール57内にも、ITO膜を充填する。
次に、上記ITO膜に対して、写真製版処理を施す。これにより、ITO膜から成る画素電極58を形成する。当該画素電極58は、上述の通り、実施の形態1に係わる画素電極である。ここで、コンタクトホール57には、ITO膜が形成されている。したがって、画素電極58とドレイン電極56とは、電気的に接続される。
また、当該画素電極を構成する中実部において、中実部同士の接続に寄与していない枝部は、以下のような配置に形成されている。つまり、当該枝部は、平面視において、ソース配線54およびゲート配線51のいずれか一方と重複するように、配置されている(図16参照)。
次に、第二の基板上に所定の部材を形成する方法について、図面を用いず説明する。
まず、ガラス等の第二の基板上に、金属クロム膜を成膜する。金属クロム膜の膜厚は、約300nmである。
次に、当該金属クロム膜に対して、写真製版処理を施す。これにより、第一の基板上に、所定のパターンを有するブラックマトリクスを形成することができる。
次に、ブラックマトリクスを覆うように、赤の色材層を形成する。当該赤の色材層に対して、写真製版処理を施す。これにより、ブラックマトリクスで区画されている所定の領域に、赤の色材層を残存させる。
次に、ブラックマトリクスを覆うように、緑の色材層を形成する。当該緑の色材層に対して、写真製版処理を施す。これにより、ブラックマトリクスで区画されている所定の領域に、緑の色材層を残存させる。
次に、ブラックマトリクスを覆うように、青の色材層を形成する。当該青の色材層に対して、写真製版処理を施す。これにより、ブラックマトリクスで区画されている所定の領域に、青の色材層を残存させる。
次に、当該赤・緑・青の色材層を覆うように、保護膜を形成する。
次に、当該保護膜上に、ITO膜を成膜する。ITO膜の膜厚は、100nm程度である。これにより、ITO膜から成る対向電極を形成する。
さて、上記構成の第一の基板および第二の基板が用意できたら、液晶パネル部の組立作業へと移行する。
具体的に、第一の基板の上記各部材が形成されている側、および第二の基板の上記各部材が形成されている側に、各々垂直配向膜を成膜する。当該垂直配向膜として、たとえばJSR株式会社のオプトマーAL1H659(登録商標)を、採用することができる。また、当該垂直配向膜の膜厚は、80nm程度である。
次に、第一の基板の上記各部材が形成されている側において、その周辺部にシール剤を塗布する。他方、第二の基板の上記各部材が形成されている側において、樹脂製スペーサを散布する。当該スペーサとして、清水化学工業株式会社のミクロパール(登録商標)を採用することができる。
次に、第一の基板のシール剤が塗布されている側と、第二の基板のスペーサが散布されている側とを、向き合わせる。そして、当該両基板を熱圧着させる(つまり、貼り合わせる)。ここで、両基板のパネルギャップは、4μm程度となっている。
次に、シール剤に予め設けられている開口部から、上記パネルギャップ内へと、液晶材料を注入する。これにより、両基板間に液晶層を形成することができる。ここで、上述の通り、当該液晶層は、垂直配向型の液晶材料から構成されている。また、本実施の形態では、液晶材料として、図17に示す特性を有するものを採用する。
図17から分かるように、液晶材料は、カイラリティが無い。したがって、右回り渦巻状配向と左回り渦巻状配向との間で、配向安定性の観点から、ほとんど差が生じない。
さて、上記液晶材料の注入後、シール剤の開口部を封止する。ここで、当該封止処理は、紫外線硬化性樹脂を用いて行うことができる。以上の工程により、液晶パネル部が完成する。
当該液晶パネル完成後、ゲート配線51、補助容量配線52、ソース配線54、対向電極等に駆動回路を接続し、これらに、所定の電圧を印加できるように、回路構成を形成する。
また、図18に示すように、上記構成の液晶パネル60の両主面(具体的には、第一の基板の各部材が形成されていない面、および第二の基板の各部材が形成されていない面)に、光学フィルム61を各々設ける。当該光学フィルム61は、通常、粘着シートなどを用いて、液晶パネル60に貼り付けられる。
なお、本実施の形態では、光学フィルム61として、図19に示すものを採用する。図19に示す、二つの光学フィルム61は共に、一枚の直線偏光板と二枚の位相差フィルムから成る積層構造を有している。ここで、位相差フィルムは、図19に示すように、面内位相差を有している。そして、一つの光学フィルムは全体として、円偏光板となっている。
なお、図19において、透過軸、遅相軸などの方向は、液晶パネルの表示面の法線方向から見た方向である。また、当該表示面の右水平方向を0度とし、反時計回りに角度が増加する。また、位相差は、波長550nmの光を用いた場合の値である。
図18に示すように、当該光学フィルム61が配設された液晶パネル60と、光源62とを組み合わせる。具体的に、当該液晶パネル60を、光源62上に配置させる。なお、外光を利用する反射型液晶表示装置の場合には、当該光源62は必要でない。
以上により、液晶表示装置が完成する。
なお、上記にて液晶表示装置を完成後、各配線等に所定の電圧を印加させた。そして、偏光顕微鏡を用いて、画素電極内の配向状態を観察した。ここで、対向電極と画素電極58との間には、約4Vの電圧が印加されていた。
当該観察の結果、各中実部では、図10に示すような、渦巻状配向が観察された。さらに、当該渦巻状配向の配向中心と中実部の中心とが、ほぼ一致していることも観察された。
また、本実施の形態に係わる液晶表示装置の視野角特性(等コントラスト曲線)の観測結果を、図20に示す。
図20は、液晶表示装置を正面から見た場合の方位が円周上の角度(方位0〜360°)を示す図である。中心から外側に向かって動径方向の角度は、傾斜角に相当する。すなわち、中心は液晶表示装置真正面であり、たとえば最外円の右は、液晶表示装置を右方向斜め80°から見た場合に相当する。円内部の線は、等コントラスト曲線であり、5〜500まで凡例のコントラスト値の曲線が描かれている。たとえば、右方向斜め80°から見た場合のコントラストは50以上である。
図20から分かるように、当該液晶表示装置は、対称性に優れた、非常に広い視野角が実現されている。
また、本実施の形態に係わる液晶表示装置において、第一の基板に着目する。すると、第一の基板上には、ソース配線54およびゲート配線51が配設されている。さらに、平面視において、枝部(特に、中実部同士の接続に寄与していない枝部)は、ソース配線54およびゲート配線51のいずれか一方と重複するように、配置されている。
したがって、一画素領域内における、中実部の占有面積を最大にすることができる。よって、輝度の高い液晶表示装置を提供することができる。
なお、上記より分かるように、ゲート配線51およびソース配線54の上方には、有機絶縁膜が形成されている。そして、有機絶縁膜の上方には、画素電極58(中実部)が形成されている。ここで、上述のように、枝部を、ソース配線54およびゲート配線51のいずれか一方と重複するように、配置したとする。
もし、有機絶縁膜の厚さが薄いと、ゲート配線51やソース配線54等に印加される電位により、中実部外周部および枝部周辺の斜め電界が乱れる恐れがある。したがって、当該構成を採用する場合には、当該斜め電界の乱れ防止の観点から、有機絶縁膜は、2ミクロン以上の膜厚であることが望ましい。
<実施の形態3>
本実施の形態では、実施の形態1に係わる画素電極を備える、液晶表示装置(特に、液晶パネル部)について説明する。ここで、実施の形態2では、透過型液晶表示装置に、実施の形態1に係わる画素電極を適用する場合について言及した。本実施の形態では、半透過型液晶表示装置(透過型・反射型の両方の構成を有する液晶表示装置)に、実施の形態1に係わる画素電極を適用する場合について言及する。
図21は、本実施の形態に係わる半透過型液晶表示装置が備える、第一の基板上の構成を示す、透視平面図である。
図21と図16とを比較する。すると、両構成は、ほぼ同一であるが、以下の点において、相違する。
つまり、本実施の形態に係わる第一の基板では、中実部の一部に反射膜が形成されている。さらに、当該反射膜が形成されている中実部の下層に存する有機絶縁膜は、凹凸形状を有している。したがって、当該有機絶縁膜上に形成される反射膜も、凹凸形状を有する。
本実施の形態においても、一の画素領域に存在する所定数(図21では、3つ)の中実部により、一画素領域が構成されている。これらの中実部は、隣接するもの同士、枝部を介して電気的に接続されている。
図21に示すように、上記所定数の中実部のうち、一部(本実施の形態では、3つの中実部のうち1つ)の中実部上に、反射膜70を形成する(当該反射膜70が形成された中実部は、反射電極であると把握できる)。ここで、反射膜70として、たとえば、アルミニウムや銀などを採用することができる。
また、反射膜70が形成されている中実部の下層に存する、有機絶縁膜に注目する。当該有機絶縁膜の表(上)面は、凹凸形状を有している。したがって、図21に示すように、当該有機絶縁膜上に形成される、中実部の表(上)面および、当該中実部上に形成される反射膜70の表(上)面も、当該凹凸形状に従った、凹凸形状を有する。
なお、有機絶縁膜(たとえば、アクリル樹脂)の表面に凹凸形状を形成する方法は、以下の通りである。
はじめに、第一のアクリル樹脂を1ミクロン程度成膜する。そして、当該第一のアクリル樹脂に対して写真製版処理を施す。これにより、第一のアクリル樹脂上に凹凸形状を形成することができる。次に、第二のアクリル樹脂を1ミクロン程度成膜する。そして、当該第二のアクリル樹脂に対して写真製版処理を施す。これにより、第二のアクリル樹脂上にコンタクトホール57を形成することができる。
以上により、コンタクトホール58と凹凸形状とが形成された有機絶縁膜を形成することができる。
反射膜70は、当該凹凸形状を有するので、当該反射膜70における光の散乱性を増加させることができる。
図21において、一画素領域を構成する中実部に着目する。反射膜70が形成されている中実部の部分(反射部)が反射型であり、反射膜70が形成されていない中実部の部分(透過部)が透過型である。つまり、一画素領域全体で、半透過型を構成している。
上記構成の半透過型液晶表示装置の反射部に着目する。すると、当該反射部では、第二の基板側からの入射光は、入射時と反射時とで、2度液晶層内を通過する。つまり、当該入射光は、当該液晶層において2度、位相差が生じる。
これに対して、上記構成の半透過型液晶表示装置の透過部に着目する。すると、当該透過部では、透過光は、1度液晶層内を通過する。つまり、当該入射光は、当該液晶層において1度、位相差が生じる。
以上から明らかなように、反射部における表示特性と、透過部における表示特性とは、異なる。
当該表示特性の相違の発生を抑制するために、反射部上の液晶層の厚さを、透過部上の液晶層の厚さよりも、薄くする必要がある。
上記のように、液晶層の厚さに差を設ける方法として、たとえば、画素電極より下層に存する有機絶縁膜の厚さに差を設ける方法がある。また、第二の基板上に段差を設ける方法もある。
なお、本実施の形態では、第二の基板上に、2ミクロンの段差を設けた。したがって、透過部上の液晶層の厚さは、4ミクロンとなっており、反射部上の液晶層の厚さは、2ミクロンとなっている。
図21において、上記以外の(本実施の形態で詳細に説明した以外の)構成は、図16を用いて説明した構成の内容と同様である。また、液晶層や第二の基板の構成において、上述した以外の構成は、実施の形態2で説明した構成と同様である。
したがって、これら同様な構成については、ここでの説明は省略する。なお、上述の通り、画素電極58の構成は、実施の形態1で説明した構成である。また、図21において、補助容量電極53、コンタクトホール57等の図示は、省略している。
また、本実施の形態に係わる半透過型液晶表示装置においても、図18に示したように、液晶パネル60には、2つの光学フィルム61が貼り付けられている。そして、当該液晶パネル60と光源62とが、組み合わされている。
なお、本実施の形態では、光学フィルム61として、図22に示すものを採用する。
第一の基板側に貼り付けられている光学フィルム61は、一枚の直線偏光板と二枚の位相差フィルムから成る積層構造を有している。ここで、位相差フィルムは、図22に示すように、面内位相差を有している。そして、一つの光学フィルムは全体として、円偏光板となっている。
また、第二の基板側に貼り付けられている光学フィルム61は、一枚の直線偏光板と三枚の位相差フィルムから成る積層構造を有している。ここで、二枚の位相差フィルムは、図22に示すように、面内位相差を有している。そして、1枚の位相差フィルムは、図22に示すように、厚さ方向の位相差を有している。
なお、図22において、透過軸、遅相軸などの方向は、液晶パネルの表示面の法線方向から見た方向である。また、当該表示面の右水平方向を0度とし、反時計回りに角度が増加する。また、位相差は、波長550nmの光を用いた場合の値である。
本実施の形態では、一部の中実部には、反射膜が形成されている。したがって、半透過型液晶表示装置においても、外光の環境によらず、実施の形態1,2で説明した効果を奏することができる。
なお、本実施の形態に係わる半透過型液晶表示装置において、各配線51,54等に所定の電圧を印加させた。そして、偏光顕微鏡を用いて、画素電極内の配向状態を観察した。当該観察の結果、各中実部では、図10に示すような、渦巻状配向が観察された。さらに、当該渦巻状配向の配向中心と中実部の中心とが、ほぼ一致していることも観察された。
ここで、透過部の中実部は、透過光源を用いて観察した。また、反射型の中実部は、落射光源を用いて観察した。いずれの中実部においても、上記観察結果が得られた。
また、本実施の形態に係わる半透過型液晶表示装置の視野角特性(等コントラスト曲線)を観測した。当該観測は、光源点灯時と、光源を消灯し外光下とで、行った。両方の場合において、当該半透過型液晶表示装置は、対称性に優れた、非常に広い視野角が実現されていることが、観測できた。
1 中実部、2 開口部、3 枝部、10 第一の基板、15 対向電極、20 第二の基板、30 液晶層、31液晶分子、51 ゲート配線、52 補助容量配線、53 補助容量電極、54 ソース配線、55 ソース電極、56 ドレイン電極、57 コンタクトホール、58 画素電極、60 液晶パネル、61 光学フィルム、62 光源、70 反射膜、AL 仮想線。