JP4744994B2 - 超音波ドプラ診断装置及び診断パラメータ計測方法 - Google Patents

超音波ドプラ診断装置及び診断パラメータ計測方法 Download PDF

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Description

本発明は、超音波のドプラ効果を利用して、生体内の血流の流速情報や組織の移動情報などの計測を行なう超音波ドプラ診断装置及び診断パラメータ計測方法に関する。
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された圧電振動子から発生する超音波パルスを被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる超音波反射波を前記圧電振動子によって受信してモニタ上に表示するものである。この診断方法は、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの2次元画像が容易に観察できるため、生体の各種臓器の機能診断や形態診断に広く用いられている。生体内の組織あるいは血球からの反射波により生体情報を得る超音波診断法は、超音波パルス反射法と超音波ドプラ法の2つの大きな技術開発により急速な進歩を遂げ、これらの技術を用いて得られるBモード画像とカラードプラ画像は、今日の超音波画像診断において不可欠のものとなっている。
一方、被検体の任意の位置における血流情報を定量的且つ精度よく得る方法としてドプラスペクトラム法がある。このドプラスペクトラム法では、被検体の同一部位に対して一定間隔で複数回の超音波送受波を行ない、血球などの移動反射体において反射した超音波反射波に対し、超音波送受波に使用した圧電振動子の共振周波数と略等しい周波数の基準信号を用いた直交位相検波によってドプラ信号を検出する。そして、このドプラ信号の中から所望部位におけるドプラ信号をレンジゲートによって抽出し、更に、抽出したドプラ信号をFFT分析することによってドプラスペクトラムを算出している。
このような手順により、被検体の所望部位から得られたドプラ信号に対してドプラスペクトラムを連続的に算出し、得られた複数のドプラスペクトラムを順次配列することによって、ドプラスペクトラムデータを生成する。尚、一般には、レンジゲートを被検体における所望の観測部位に正確に設定するために、レンジゲートの設定はBモード画像観測下において行なわれ、このとき、レンジゲート位置はBモード画像上に表示される。
この超音波ドプラ診断装置によって得られるドプラスペクトラムデータは、一般に、縦軸に周波数(f)、横軸に時間(t)、各周波数成分のパワー(強さ)を輝度(階調)として表示され、このドプラスペクトラムデータに基づいて、各種の診断パラメータの計測が行なわれている。例えば、時間的に連続して得られるドプラスペクトラムの各々に対して、その周波数軸方向の最大周波数成分fpに対応する最高流速Vp、あるいは平均周波数成分fcに対応する平均流速Vcの位置を検出し、これら最高流速Vp及び平均流速Vcの時間変化を示すトレース波形を生成する。
次いで、頚動脈等の血管における血流を評価する場合には、心臓収縮期のトレース波形に生ずる波形ピークPS(Peak of Systolic)及び心臓拡張期に生ずる波形ピークED(End of Diastolic)の検出を行なう。そして、これらPSあるいはEDの位置情報に基づいて、血管内血流のHR(Heart Rate:心拍数)を計測し、更にPSあるいはEDによって設定された心拍周期におけるトレース波形から末梢血管の診断パラメータであるPI(Pulsatility Index)やRI(Resistance Index)等の計測を行なう。
尚、上述のVpやVcのトレース波形の生成、PS/EDの検出、PIやRI等の診断パラメータの計測は、従来、フリーズ(静止表示)されたドプラスペクトラムデータを対象としたマニュアル操作が基本であったが、近年では、例えば特開2003−284718号公報に開示されているように、リアルタイム表示されたドプラスペクトラムデータを対象としたVpやVcの自動トレースやHR,PIあるいはRIの自動計測が可能となってきている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−284718号公報
一方、心臓の機能評価においても、左室流入血流(LV−Inflow)や肺動脈血流(PV)等に対してドプラスペクトラムデータを生成し、このドプラスペクトラムデータにおける最高流速Vpや平均流速Vcのトレース波形に基づいた各種診断パラメータの計測が日常の検査にて行なわれている。
上述の左室流入血流の計測における診断パラメータとして、最高流速Vpのトレース波形におけるE波及びA波の振幅比「E/A」とE波の下降期間「DCT」が、又、肺動脈血流の計測における診断パラメータとしてS波の速度「VS」、D波の速度「VD」、更には、AR波の速度「VAR」が用いられている。
上述の診断パラメータの計測は、従来、超音波診断装置によって得られたトレース波形をシネメモリに一旦記憶させた後、このシネメモリから読み出した所望期間におけるトレース波形に対して行なっていた。
例えば、シネメモリに保存されたトレース波形を順次読み出して所望期間のトレース波形を選択した後、表示部に静止表示した前記所望期間のトレース波形に対して2本のタイムカーソルを配置することによって、1心拍周期(例えばED−ED期間)を設定し、この1心拍周期のトレース波形においてE波及びA波の選定と「DCT」計測用接線の設定を行なっていた。
しかしながら、従来の診断パラメータの計測における上述の処理は、操作者によるマニュアル操作によって行なわれていたため操作が煩雑となり、特に、左室流入血流の計測におけるE波及びA波や肺動脈血流の計測におけるS波、D波及びAR波の選定は既に述べたPSやEDの選定と較べパターン認識が要求されるため自動化が困難であった。
即ち、従来の診断パラメータ計測法におけるマニュアル操作は、多大の時間を要し心機能計測の効率を低下させるのみならず、リアルタイム表示されるドプラスペクトラムデータに対する計測を不可能としていた。更に、このマニュアル操作による診断パラメータの計測精度は操作者の経験に依存し、十分な再現性を得ることができなかった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドプラスペクトラムのトレース波形に基づいて心機能計測を行なう際、この計測に有効な診断パラメータを自動計測することにより計測精度の向上と計測時間の短縮を可能とした超音波ドプラ診断装置及び診断パラメータ計測方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
請求項1に記載の発明は、被検体に対し超音波送受波を行なって得られた受信信号から、所定部位におけるドプラ信号を検出するドプラ信号検出ユニットと、前記ドプラ信号の周波数スペクトラムを算出するスペクトラム算出ユニットと、前記周波数スペクトラムにおける所定のスペクトラム成分の時間的変化をトレース波形として生成するトレース波形生成ユニットと、生成されたトレース波形から一心拍周期毎にトレース波形を切り出し、切り出された当該複数のトレース波形を心拍数に関する時間方向を示す第1の時間軸、一心拍周期内の時間方向を示す第2の時間軸に配列することでCABデータを生成するCAB処理ユニットと、前記CABデータを用いて統計処理を行うことで、診断用波形を生成する統計処理ユニットと、選定基準を記憶する記憶ユニットと、記憶された前記選定基準に基づいて、前記診断用波形に対して特徴量を自動選定する特徴量選定ユニットと、前記特徴量に基づいて診断パラメータを計測する診断パラメータ計測ユニットと、前記CABデータ及び前記診断パラメータの計測結果を表示する表示ユニットと、を具備することを特徴とする超音波ドプラ診断装置である。
請求項20に記載の発明は、超音波ドプラ診断装置の制御ユニットが、ドプラ信号検出ユニットに、被検体に対し超音波送受波を行なって得られた受信信号から、所定部位におけるドプラ信号を検出させ、スペクトラム算出ユニットに、前記ドプラ信号の周波数スペクトラムを算出させ、トレース波形生成ユニットに、前記周波数スペクトラムにおける所定のスペクトラム成分の時間的変化をトレース波形として生成させ、CAB処理ユニットに、生成されたトレース波形から一心拍周期毎にトレース波形を切り出し、切り出された当該複数のトレース波形を心拍数に関する時間方向を示す第1の時間軸、一心拍周期内の時間方向を示す第2の時間軸に配列することでCABデータを生成させ、統計処理ユニットに、前記CABデータを用いて統計処理を行うことで、診断用波形を生成させ、特徴量選定ユニットに、記憶された選定基準に基づいて、前記診断用波形に対して特徴量を自動選定させ、診断パラメータ計測ユニットに、前記特徴量に基づいて診断パラメータを計測させ、表示ユニットに、前記CABデータ及び前記診断パラメータの計測結果を表示させること、を具備することを特徴とする診断パラメータ計測方法である。
以上本発明によれば、ドプラスペクトラムのトレース波形に基づいて心機能計測を行なう際、この計測に有効な診断パラメータを自動計測することにより計測精度の向上と計測時間の短縮を可能とした超音波ドプラ診断装置及び診断パラメータ計測方法を実現することができる。
以下、本発明の第1乃至第3の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
(装置の構成)
以下に述べる本発明の実施形態では、左室流入血流のドプラスペクトラムデータに対して生成された最高流速Vpのトレース波形に対して複数の極大/極小ペアを検出し、更に、ECG信号に基づいて設定された所定心拍周期における複数の極大/極小ペアの中から予めデータベース化された選定基準に基づいて特徴量のE波及びA波を選定する。そして、選定されたE波及びA波の位置情報や速度情報を用いて診断パラメータ「E/A」及び「DCT」の計測を行なう。
以下では、本発明の実施形態における超音波ドプラ診断装置の構成と各ユニットの基本動作につき図1乃至図10を用いて説明する。尚、図1は、本実施形態における超音波ドプラ診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は、この超音波ドプラ診断装置を構成する送受信部及びデータ生成部のブロック図を示す。
図1に示す超音波ドプラ診断装置100は、被検体に対して超音波の送受波を行なう超音波プローブ3と、超音波プローブ3に対して送受信を行なう送受信部2と、送受信部2から得られた受信信号からBモード画像データやカラードプラ画像データ、更には、ドプラスペクトラムを得るための信号処理を行なうデータ生成部4を備え、更に、データ生成部4において得られたドプラスペクトラムに基づいて最高流速Vpあるいは平均流速Vcのトレース波形を生成し、このトレース波形に基づいて心機能計測における各種診断パラメータを計測する血流評価部6と、データ生成部4において生成された各種データ、あるいは血流評価部6において生成されたトレース波形や各種診断パラメータの計測結果等を保存するデータ記憶部5を備えている。
更に、超音波ドプラ診断装置100は、送受信部2、あるいはデータ生成部4に対して、例えば、超音波パルスの中心周波数とほぼ等しい周波数の連続波あるいは矩形波を発生する基準信号発生部1と、データ生成部4において生成された画像データやドプラスペクトラム、更には、血流評価部6で生成されるトレース波形や診断パラメータの計測結果等を表示する表示部7と、操作者によって患者情報の入力、画像表示モード、計測モード及びトリガ波形の選択、超音波データ収集条件の設定、更には種々のコマンド信号の入力等が行なわれる入力部8と、被検体の心拍情報を収集する生体計測ユニット9と、上記超音波ドプラ診断装置100の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部10を備えている。
超音波プローブ3は、被検体の表面に対してその前面を接触させ超音波の送受波を行なうものであり、1次元に配列された複数個(N個)の微小な圧電振動子をその先端部に有している。この圧電振動子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルスを超音波パルス(送信超音波)に変換し、又、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する機能を有している。この超音波プローブ3は小型、軽量に構成されており、ケーブルを介して送受信部2の送信部21及び受信部22に接続されている。超音波プローブ3にはセクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等があり、診断部位に応じて任意に選択される。以下では心機能計測を目的としたセクタ走査用の超音波プローブ3を用いた場合について述べるが、この方法に限定されるものではなく、リニア走査対応、あるいはコンベックス走査対応であってもよい。
次に、図2に示した送受信部2は、超音波プローブ3から送信超音波を放射するための駆動信号を生成する送信部21と、超音波プローブ3からの受信信号に対して整相加算を行なう受信部22を備えている。
送信部21は、レートパルス発生器211と、送信遅延回路212と、パルサ213を備え、レートパルス発生器211は、送信超音波の繰り返し周期を決定するレートパルスを、基準信号発生部1から供給される連続波あるいは矩形波を分周することによって生成し、このレートパルスを送信遅延回路212に供給する。
送信遅延回路212は、送信に使用される圧電振動子と同数(Nチャンネル)の独立な遅延回路から構成されており、送信において細いビーム幅を得るために所定の深さに送信超音波を収束するための遅延時間と所定の方向に送信超音波を放射するための遅延時間をレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ213に供給する。そして、パルサ213は、Nチャンネルの独立な駆動回路を有し、超音波プローブ3に内蔵された圧電振動子を駆動するための駆動パルスを前記レートパルスに基づいて生成する。
一方、受信部22は、Nチャンネルから構成されるプリアンプ221、A/D変換器222及びビームフォーマ223と、加算器224を備えている。プリアンプ221は、超音波振動子によって電気的な受信信号に変換された微小信号を増幅して十分なS/Nを確保し、このプリアンプ221において所定の大きさに増幅されたNチャンネルの受信信号は、A/D変換器222にてデジタル信号に変換され、ビームフォーマ223に送られる。
ビームフォーマ223は、所定の深さからの超音波反射波を集束するための集束用遅延時間と、所定方向に対して受信指向性を設定するための偏向用遅延時間をA/D変換器222から出力されるNチャンネルの受信信号の各々に与え、加算器224は、これらビームフォーマ223からの受信信号を整相加算(所定の方向から得られた受信信号の位相を合わせて加算)する。
次に、データ生成部4は、受信部22の加算器224から出力された受信信号に対してBモードデータを生成するためのBモードデータ生成部41と、前記受信信号に対して直交検波を行なってドプラ信号の検出を行なうドプラ信号検出部42と、検出されたドプラ信号に基づいてカラードプラデータの生成を行なうカラードプラデータ生成部43と、前記ドプラ信号の周波数スペクトラムを算出するスペクトラム算出部44を備えている。
そして、Bモードデータ生成部41は、包絡線検波器411と対数変換器412を備え、包絡線検波器411は、受信部22の加算器224から供給された整相加算後の受信信号を包絡線検波し、この包絡線検波信号は対数変換器412においてその振幅が対数変換される。一般に、被検体内からの受信信号は、80dB以上の広いダイナミックレンジをもった振幅を有しており、これを30dB程度のダイナミックレンジを有する通常のテレビモニタに表示するには、対数変換による振幅圧縮が必要となる。
一方、ドプラ信号検出部42は、π/2移相器421、ミキサ422−1及び422−2、LPF(低域通過フィルタ)423−1及び423−2を備えており、後述する動作により受信部22の加算器224から供給される受信信号に対して直交位相検波を行なってドプラ信号を検出する。
次に、カラードプラデータ生成部43は、ドプラ信号記憶回路431、MTIフィルタ432、自己相関演算器433を備え、ドプラ信号検出部42のドプラ信号はドプラ信号記憶部431に一旦保存される。次いで、高域通過用のデジタルフィルタであるMTIフィルタ432は、ドプラ信号記憶部431に保存されたドプラ信号を読み出し、このドプラ信号に対して臓器の呼吸性移動や拍動性移動などに起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。又、自己相関演算器433は、MTIフィルタ432によって血流情報のみが抽出されたドプラ信号に対して自己相関値を算出し、更に、この自己相関値に基づいて血流の平均流速値や分散値などを算出する。
一方、スペクトラム算出部44は、SH(サンプルホールド回路)441と、HPF(高域通過フィルタ)442と、FFT(Fast-Fourier-Transform)分析器443を備えており、ドプラ信号検出部42において得られたドプラ信号に対してFFT分析を行なう。尚、SH441及びHPF442は何れも2チャンネルで構成され、夫々のチャンネルにはドプラ信号検出部42から出力されるドプラ信号の複素成分、即ち実成分(I成分)と虚成分(Q成分)が供給される。
次に、本発明のドプラスペクトラムの生成において重要な構成要素となるドプラ信号検出部42とスペクトラム算出部44の基本動作につき、図3のタイムチャートを参照して更に詳しく説明する。尚、図3では、説明を容易にするためにアナログ受信信号に対しドプラ成分を検出する場合について示しているが、実際の処理は受信部22から出力されるデジタル受信信号に対して行なわれる。
図3において、(a)は、基準信号発生器1から出力される基準信号、(b)
は、送受信部2のレートパルス発生器211から出力されるドプラスペクトラム用のレートパルス、(c)は、受信部22の加算器224から得られる整相加算後の受信信号を示している。
又、(d)は、ドプラ信号検出部42のLPF423から出力される直交位相検波出力、(e)は、スペクトラム算出部44におけるSH441のサンプリング(レンジゲート)位置を設定するためにシステム制御部10から供給されるサンプリングパルス、(f)は、SH441によってサンプルホールドされたドプラ信号、そして、(g)は、HPF442によって平滑化されたレンジゲートにおけるドプラ信号を示している。
即ち、図2の受信部22から出力された受信信号(図3の(c))は、ドプラ信号検出部42のミキサ422−1及び422−2の第1の入力端子に入力される。一方、この受信信号の中心周波数とほぼ等しい繰り返し周波数をもった基準信号発生部1の基準信号(図3の(a))は、ミキサ422−1の第2の入力端子に直接供給され、π/2移相器421において90度位相がシフトした基準信号はミキサ422−2の第2の入力端子に送られる。そして、ミキサ422−1及び422−2の出力は、LPF423−1及び423−2に送られ、受信部22から供給された前記受信信号の周波数と基準信号発生部1から供給された基準信号の繰り返し周波数との和の成分が除去され、差の成分のみがドプラ信号として抽出される(図3の(d))。
次に、SH441には、上記LPF423−1及び423−2から出力されたドプラ信号と、システム制御部10が基準信号発生部1の基準信号を分周して生成したサンプリングパルス(レンジゲートパルス)が供給され(図3の(e))、このサンプリングパルスによって所望の距離からのドプラ信号がサンプルホールドされる(図3の(f))。尚、このサンプリングパルスは、送信超音波が放射されるタイミングを決定するレートパルス(図3の(b))から遅延時間Ts後に発生し、この遅延時間Tsは入力部8において任意に設定可能である。
即ち、操作者は、サンプリングパルスの遅延時間Tsを変更することによって超音波プローブ3から所望の距離Lgにおけるドプラ信号を抽出することが可能となる。尚、このとき、遅延時間Tsと所望距離Lgは、被検体の音速度をCとすれば、2Lg/C=Tsの関係にある。
次に、SH441から出力された所望距離Lgのドプラ信号に重畳した階段状のノイズ成分は、HPF442によって除去され(図3の(g))、更に、平滑化されたドプラ信号は、FFT分析器443に供給されて周波数スペクトラム(ドプラスペクトラム)が生成される。
FFT分析器443は、図示しない演算回路と記憶回路を備え、HPF442から出力されるドプラ信号は前記記憶回路に一旦保存され、前記演算回路は、この記憶回路に保存された一連のドプラ信号の所定期間においてFFT分析を行なう。
図4(a)、図4(b)は、FFT分析器443におけるドプラスペクトラム算出方法を示したものであり、図4(a)は、FFT分析器443に入力されるドプラ信号Ax、図4(b)は、このドプラ信号Axの所定期間をFFT分析して得られたドプラスペクトラムデータB1、B2,B3、・・・を示す。そして、スペクトラム算出部44のHPF442から供給された離散的なドプラ信号(図4(a))のうち、例えば、q1乃至qmのm個のドプラ信号成分に対してFFT分析が行なわれ、スペクトラム成分f1乃至fmに対する最初のドプラスペクトラムB1が算出される。次いで、時間ΔT後のm個のドプラ信号成分q1+j乃至qm+jがFFT分析されて新たなドプラスペクトラムB2が算出される。尚、図4(a)ではj=3の場合について示している。
以下、同様にして、時間2ΔT後のq1+2j乃至qm+2j、時間3ΔT後のq1+3j乃至qm+3j・・・のm個のドプラ信号成分に対しても順次FFT分析が行なわれてスペクトラム成分f1乃至fmに対するドプラスペクトラムB3、B4、・・・・が算出される。(図4(b))。
次に、図1に戻って、血流評価部6は、スペクトラム算出部44において時系列的に得られた複数のドプラスペクトラムの最大周波数fpに対応する最高流速Vpのトレース波形を生成するトレース波形生成部61と、このトレース波形に対して極大/極小ペアを検出する極大/極小検出部62と、生体計測ユニット9から供給される被検体の心拍情報に基づいて心拍周期を設定する心拍周期設定部63を備え、更に、設定された心拍周期における複数の極大/極小ペアの中から予め設定された選定基準に基づいて左室流入血流計測におけるトレース波形の特徴量であるE波及びA波を選定する特徴量選定部64と、選定されたE波及びA波の振幅あるいは形状に基づいて各種診断パラメータを計測する診断パラメータ計測部65を備えている。
トレース波形生成部61は、スペクトラム算出部44においてΔT間隔で得られた複数のドプラスペクトラムB1,B2、B3・・・の各々に対して最大周波数fpを検出し、更に、最大周波数fpに対応した最高流速Vpの時間的変化を示すトレース波形を生成する。図5は、上述の最大周波数fpの算出方法を示したものであり、最大周波数fpは、予め設定されたスペクトラム閾値S0とドプラスペクトラムBxとの交点に基づいて得られる。
以下では、ドプラスペクトラムの最大周波数fpに対応した最高流速Vpをドプラスペクトラムの最高流速Vpと呼び、この最高流速Vpのトレース波形に基づいて各種診断パラメータを計測する場合について説明する。
血流評価部6の極大/極小検出部62は、トレース波形生成部61において生成された最高流速Vpのトレース波形に対して、極大/極小ペアの検出を行なう。図6(a)は、被検体の僧坊弁流出部にレンジゲートを設定して得られた心臓左室流入血流のドプラスペクトラムに基づき、上述のトレース波形生成部61が生成した最大血流Vpのトレース波形を示したものであり、左端部に時刻t=t0におけるドプラスペクトラムBxを、又、このドプラスペクトラムBxにおいて計測された最高流速Vpの時間的変化を示すトレース波形Cpを示している。
そして、極大/極小検出部62は、トレース波形生成部61が生成した上述のトレース波形Cpに対して変曲点検出のための1次微分演算及び2次微分演算を行ない複数の極大/極小ペアを検出する。即ち、図6(a)のトレース波形Cpに示すように極大/極小ペア[p01、q01]、[p02、q02]、[p03、q03]、・・・が検出される。
一方、心拍周期設定部63は、生体計測ユニット9から供給される被検体の心拍情報に基づいて心拍周期を設定する。例えば、心拍周期設定部63は、生体計測ユニット9のECGユニット(心電計)から供給される図6(b)のECG波形の最大値検出によってR波の位置を検出し、R−R間隔によって心拍周期T0を設定する。
次に、特徴量選定部64は、図示しない記憶回路を備え、この記憶回路にはトレース波形に設定された複数の極大/極小ペアの中からE波(拡張早期血流波形:early diastoric flow)及びA波(心房収縮期血流波形:atrial contraction flow)を選定するための選定基準がデータベースとして予め保管されている。図7は、前記記憶回路に保管されている選定基準のデータベースを模式的に示したものであり、被検体の計測対象別及び年齢層別に選定基準が設定されている。
例えば、データベースDB1には、成人(高齢者)の左室流入血流計測において得られたトレース波形に対するE波及びA波の選定基準が保存されており、データベースDB2には、肺動脈血流計測において得られたトレース波形に対するS波、D波及びAR波の選定基準が保存されている。
更に、データベースDB1の選定基準は、図8に示すようにECG波形、PCG波形(心音波形)、あるいは図6(a)に示したトレース波形等をトリガ波形として設定した心拍周期に基づいて各種波形を自動選定するための選定基準と、マニュアル設定した心拍周期あるいは心拍トリガに基づいて自動選定するための選定基準が保存されている。
そして、特徴量選定部64は、極大/極小検出部62から極大/極小ペアの情報が付加されたトレース波形Cp(図6(a))を、又、心拍周期設定部63から心拍周期情報(図6(b))を受信し、トレース波形Cpに対して心拍周期T0を期間[t1−t2]に設定する。そして、時刻t1におけるECG波形のR波から心拍周期T0の40%が経過した時刻t3を基準にトレース波形Cpに既に設定されている極大/極小ペア[p11、q11]、[p12、q12]、[p13、q13]、・・・を時刻t2に至るまで検索し、最大及び2番目に大きな値を有する極大p11及びp13を検出する。
次いで、この2つの極大値p11、p13のうち、時刻t3に接近した時刻t4の極大p11をE波に、又、極大p11に後続する時刻t5の極大p13をA波に選定する。そして選定されたE波の位置(時刻)情報t4とA波の位置情報t5を診断パラメータ計測部65に供給する。
診断パラメータ計測部65は、図示しない演算回路を備え、特徴量選定部64から供給された最高流速Vpのトレース波形CpとE波の位置情報t4及びA波の位置情報t5に基づいて診断パラメータ「E/A」及び「DCT(減速時間:deceleration time)」の計測を行なう。
トレース波形Cpに対して診断パラメータ計測部65が行なう診断パラメータの計測方法を図9(a)、9(b)に従って説明する。即ち、診断パラメータ計測部65の演算回路は、トレース波形Cpの時刻t4におけるE波の振幅(流速)VEと時刻t5におけるA波の振幅(流速)VAの比VE/VAによって診断パラメータ「E/A」を算出する。次いで、E波の極大p11からの下降曲線に対して接線Ctを設定し、この接線CtとベースラインBlとが交わる時刻t6とE波の時刻t4との間隔を診断パラメータ「DCT」として算出する。
次に、図1のデータ記憶部5は、データ生成部4において生成されたBモード画像データやカラードプラ画像データ、更には、複数のドプラスペクトラムを合成して生成したドプラスペクトラムデータを保存する。更に、データ記憶部5は、ドプラスペクトラムに基づいて血流評価部6のトレース波形生成部61が生成したトレース波形、このトレース波形の所定心拍周期において特徴量選定部64が選定したE波及びA波の情報、更には、前記所定心拍周期において診断パラメータ計測部65が計測した診断パラメータ「E/A」及び「DCT」の計測結果の保存を行なう。
一方、表示部7は、図示しない表示用データ生成回路、変換回路及びモニタを備えている。そして、データ生成部4などで生成されたBモード画像データ、カラードプラ画像データ、ドプラスペクトラムデータや血流評価部6にて得られた最高流速Vpのトレース波形、診断パラメータ「E/A」及び「DCT」の計測結果は、前記表示用データ生成回路にて合成された後所定表示フォーマットに変換され、次いで、変換回路においてD/A変換とテレビフォーマット変換が行われてモニタに表示される。
図10は、表示部7のモニタにおける表示方法の具体例を示す。このモニタ上には、例えば、Bモード画像データとカラードプラ画像データが合成表示される画像データ表示領域200と、図示しないドプラスペクトラムデータに重畳したトレース波形とECG波形が表示されるトレース波形表示領域300と、「E/A」や「DCT」などの診断パラメータの計測値が一覧表として表示される診断パラメータ表示領域400が設けられている。
そして、画像データ表示領域200に表示されるBモード画像及びカラードプラ画像には、ドプラスペクトラムを得るための関心領域の方向を示すドプラマーカ201と、このドプラマーカ201上の関心領域(例えば僧坊弁流出部)に設定されたレンジゲート位置202が表示される。一方、トレース波形表示領域300のトレース波形Cpには、E波及びA波の位置情報や振幅情報、診断パラメータ「DCT」を計測するための接線Ct等が重畳表示される。
次に、入力部8は、操作パネル上に表示パネルやキーボード、トラックボール、マウス、選択ボタン等の入力デバイスを備え、患者情報の入力、画像表示モードや表示方法の選択、計測モードやトリガ波形の選択、超音波データ収集条件の設定、更には、種々のコマンド信号などが入力される。
尚、上述の画像表示モードとして、Bモード、カラードプラモード及びドプラスペクトラムモードがあり、計測モードとしてドプラスペクトラムデータのトレース波形による左室流入血流計測や肺動脈血流計測等がある。又、トリガ波形として図5あるいは図6に示したようにECG波形,PCG波形、Vpトレース波形等があり、表示方法として画像データ、トレース波形、診断パラメータ計測値のリアルタイム表示及びフリーズ表示等がある。更に、フリーズ表示におけるトレース波形のマニュアルスクロールやドプラスペクトラムを収集するためのドプラマーカ及びレンジゲートの位置設定等も入力部8の入力デバイスによって行なわれる。
そして、システム制御部10は、図示しないCPUと記憶回路を備え、操作者によって入力部8から予め入力された入力情報や設定情報、更には選択情報は前記記憶回路に保存される。一方、CPUは、入力部8から入力された上述の情報に基づいて、超音波ドプラ診断装置100の各ユニットの制御やシステム全体の制御を統括して行なう。
又、生体計測ユニット9は、被検体の心拍情報を収集する。本実施形態では被検体のECG波形を収集するECGユニットを用いた場合について述べるが心音波形(PCG波形)を収集するPCGユニット等の他の生体信号計測ユニットであってもよい。
(診断パラメータの計測手順)
次に、本実施形態における診断パラメータの計測手順につき図1乃至図11を用いて説明する。尚、図11は、本実施形態における診断パラメータの計測手順を示すフローチャートである。
尚、以下では、上述と同様にして、左室流入血流のドプラスペクトラムに対して生成された最高流速Vpのトレース波形Cpに対し、ECG波形から得られた心拍情報に基づいてE波及びA波を選定して診断パラメータ「E/A」及び「DCT」を計測する場合の手順について説明するが、計測対象やトリガ波形、診断パラメータ等はこれらに限定されない。
被検体に対する超音波送受波に先立って、操作者は、入力部8にて患者情報の入力、画像表示モード、計測モード及びトリガ波形の選択、更には種々の超音波データ収集条件の設定や更新を行ない、これらの情報は、システム制御部10の図示しない記憶回路に保存される。
本実施形態において操作者は、画像表示モードとしてBモード、カラードプラモード及びドプラスペクトラムモードを選択し、計測モードとして最高流速Vpのトレース波形Cpによる左室流入血流計測を選択する。又、この左室流入血流計測におけるトレース波形のE波及びA波の選定に用いるトリガ波形としてECG波形を選択し、トレース波形及び診断パラメータ計測結果の表示方法としてリアルタイム表示を選択する(図11のステップS1)。
これらの入力/選択/設定が終了したならば、操作者は、超音波プローブ3の先端(超音波送受波面)を被検体体表面の所定の位置に固定し、最初の超音波送受波方向(走査方向θ1)に対してBモードデータ及びカラードプラデータを得るための超音波送受波を行なう。即ち、図2の送受信部2におけるレートパルス発生器211は、基準信号発生部1から供給される基準信号を分周することによって、被検体内に放射される超音波パルスの繰り返し周期を決定するレートパルスを生成し、このレートパルスを送信遅延回路212に供給する。
次いで、送信遅延回路212は、所定の深さに超音波を集束するための集束用遅延時間と、走査方向θ1に超音波を送信するための偏向用遅延時間をレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ213に供給する。そして、パルサ213は、レートパルスによって生成される駆動信号を図示しないケーブルを介して超音波プローブ3におけるN個の圧電振動子に供給し、被検体の走査方向θ1に対して超音波パルスを放射する。
被検体に放射された超音波パルスの一部は、音響インピーダンスの異なる臓器間の境界面あるいは組織にて反射する。又、この超音波が心臓壁や血球などの動きのある反射体で反射する場合、その超音波周波数はドプラ偏移を受ける。
被検体の組織や血球にて反射した超音波反射波(受信超音波)は、超音波プローブ3の圧電振動子によって受信されて電気信号(受信信号)に変換され、この受信信号は、受信部22におけるNチャンネルの独立なプリアンプ221にて所定の大きさに増幅された後、A/D変換器222にてデジタル信号に変換される。更に、デジタル信号に変換された受信信号は、ビームフォーマ223にて所定の遅延時間が与えられた後、加算器224において加算合成されてデータ生成部4のBモードデータ生成部41とドプラ信号検出部42に供給される。
このとき、ビームフォーマ223では、所定の深さからの超音波反射波を集束するための遅延時間と、超音波反射波に対して走査方向θ1に強い受信指向性をもたせるための遅延時間が、システム制御部10からの制御信号によって設定される。
Bモードデータ生成部41に供給された加算器224の出力信号は、包絡線検波と対数変換がなされた後、図1のデータ記憶部5におけるBモード画像データ記憶領域に保存される。
一方、カラードプラ画像データの生成においては、受信信号のドプラ偏移を求めるために上述と同様な手順によって、走査方向θ1に対し連続した複数回(L回)の超音波送受信を行ない、このとき得られた受信信号に対して自己相関演算を行なう。
即ち、送受信部2によって走査方向θ1に対してカラードプラ用の最初の超音波送受信を行なって得られた受信信号は、加算器224からドプラ信号検出部42に供給され、ミキサ422−1、422−2及びLPF423−1、423−2において直交位相検波されて2チャンネルのドプラ信号(複素信号)が検出される。そして、このドプラ信号の実成分、及び虚成分の各々は、カラードプラデータ生成部43のドプラ信号記憶回路431に一旦保存される。走査方向θ1に対する2回目乃至L回目の超音波送受波によって得られた受信信号についても同様な処理を行なってドプラ信号を収集し、ドプラ信号記憶回路431に保存する。
走査方向θ1に対するL回の超音波送受波によって得られたドプラ信号のドプラ信号記憶回路431への保存が終了したならば、システム制御部10は、ドプラ信号記憶部431に保存されているドプラ信号の中から所定位置(深さ)に対応したドプラ信号成分を順次読み出し、MTIフィルタ432に供給する。そして、MTIフィルタ432は、供給されたドプラ信号成分に対してフィルタ処理を行ない、例えば心筋などの組織の運動によって生ずる組織ドプラ成分(クラッタ成分)を排除し、血流の流れに起因する血流ドプラ成分によって構成されるドプラ信号を自己相関演算器433に供給する。
次に、自己相関演算器433は、MTIフィルタ432より供給されたドプラ信号を用いて自己相関演算を行ない、更に、自己相関演算結果に基づいて血流の平均速度値や分散値、あるいはパワー値などを算出する。このような演算を、走査方向θ1の他の位置(深さ)に対しても行ない、算出された走査方向θ1における、血流の平均速度値、分散値あるいはパワー値などを図1のデータ記憶部5におけるカラードプラ画像データ記憶領域に保存する。
次いで、システム制御部10は、走査方向θ2乃至走査方向θPに対しても同様な手順で超音波送受波を行ない、このとき得られたBモードデータ及びカラードプラデータは、データ記憶部5におけるBモード画像データ記憶領域及びカラードプラ画像データ記憶領域に夫々保存される。
即ち、データ記憶部5のBモード画像データ記憶領域には走査方向θ1乃至θPに対するBモードデータが順次保存されて1フレーム分のBモード画像データが生成され、同様にして、カラードプラ画像データ記憶領域には走査方向θ1乃至θPに対するカラードプラデータが保存されて1フレーム分のカラードプラ画像データが生成される。
一方、表示部7の表示データ生成回路は、データ記憶部5に保存された1フレーム分の画像データ、即ち、走査方向θ1乃至θPにおいて得られたBモード画像データとカラードプラ画像データを合成して所定の表示フォーマットに変換し、変換回路は、合成された画像データに対してD/A変換とテレビフォーマット変換を行なって映像信号を生成する。そして、得られた映像信号はモニタに表示される。
以下同様にして、θ1乃至θPに対する超音波送受波が繰り返し行なわれ、得られたBモード画像データ及びカラードプラ画像データは表示部7においてリアルタイム表示される。
次いで、操作者は、入力部8の入力デバイスを用い、表示部7のモニタに表示された被検体のBモード画像あるいはカラードプラ画像に対してドプラスペクトル用の診断部位(僧坊弁)を設定するためにθD方向にドプラマーカを設定し、更に、このドプラマーカ上の距離Lgにレンジゲートを設定する。
そして、繰り返し行なわれる走査方向θ1乃至走査方向θPに対するBモード用あるいはカラードプラ用の超音波送受波と交互して、ドプラスペクトラムを得るための超音波送受波がドプラマーカに対応した走査方向θDに対して行なわれる。この場合も、カラードプラ用の超音波送受波と同様の手順によってθD方向に対して超音波送受波を行ない、加算器224の出力信号(受信信号)はドプラ信号検出部42に供給される。
一方、ドプラ信号検出部42は、図3において述べたように、前記受信信号に対して直交位相検波を行なって検出したドプラ信号をスペクトラム算出部44のSH441に供給し(図11のステップS2)、SH441は、システム制御部10から供給されたレンジゲート位置Lgのサンプリングパルスに基づいて上記ドプラ信号をサンプルホールドする。
そして、走査方向θDに対して繰り返し行なわれる超音波送受波によって得られたSH441の出力は、HPF442において平滑化され、FFT分析器443の図示しない記憶回路に保存される。
次いで、FFT分析器443の図示しない演算回路は、連続して得られるドプラ信号に対して所定時間ΔTずつシフトした期間を複数設定し、これらの各期間におけるドプラ信号に対してFFT分析を行なってドプラスペクトラムを生成する。
即ち、FFT分析器443の演算回路は、図4(a)に示すように、離散的に得られるドプラ信号に対して、例えばq1乃至qmのm個の信号成分を読み出してFFT分析を行ない、周波数f1乃至fmに対するドプラスペクトラムB1を算出する。そして、算出したドプラスペクトラムB1を、データ記憶部5のドプラスペクトラムデータ記憶領域に保存する。
同様にして、時間ΔT後、時間2ΔT後、時間3ΔT後・・・のm個の信号成分に対して、スペクトラム算出部44のFFT分析器443はドプラスペクトラムB2,B3,B4・・・の算出を行ない、データ記憶部5のドプラスペクトラムデータ記憶領域に逐次保存する(図11のステップS3)。
一方、血流評価部6のトレース波形生成部61は、データ記憶部5に保存されたドプラスペクトラムB1、B2、B3、・・・を順次読み出し、図5に示す方法によって各々のドプラスペクトラムの最大周波数fpを算出する。そして、この最大周波数fpに対応した最大流速Vpの時間的変化を示すトレース波形Cpを生成してデータ記憶部5のトレース波形記憶領域に保存する(図11のステップS4)。
次いで、極大/極小検出部62は、データ記憶部5に保存されたトレース波形データCpを読み出し、このトレース波形Cpに対して1次微分演算及び2次微分演算を行なって複数の極大/極小ペア[p01、q01]、[p02、q02]、[p03、q03]、・・・を検出する(図6(a)参照)。そして、これらの極大/極小ペアが付加されたトレース波形データCpをデータ記憶部5のトレース波形記憶領域に保存すると共に特徴量選定部64に供給する(図11のステップS5)。
一方、心拍周期設定部63は、ECGユニットを備えた生体計測ユニット9から供給されるECG波形の最大値検出によってR波を検出し、更に、R−R間隔によって設定した心拍周期情報を特徴量選定部64に供給する。
そして、特徴量選定部64は、心拍周期設定部63から供給された心拍周期情報に基づき、極大/極小検出部62から供給されたトレース波形に対して1心拍期間T0を設定し、更に、この心拍期間T0のトレース波形に付加された複数の極大/極小ペアに対して予め設定された波形選択基準を適用しE波及びA波を選定する。そして選定したE波の位置情報とA波の位置情報を上述のトレース波形Cpと共に診断パラメータ計測部65に供給する(図11のステップS6)。
次に、血流評価部6の診断パラメータ計測部65は、特徴量選定部64から供給されたE波及びA波の位置情報に基づいてトレース波形CpにおけるE波の振幅VEとA波の振幅VAを計測し、その比VE/VAによって診断パラメータ「E/A」を算出する。更に、図9(b)に示すようにE波の極大からの下降曲線に対して接線Ctを設定し、この接線CtとベースラインBlとが交わる位置(時刻)とE波の位置(時刻)との間隔を診断パラメータ「DCT」として算出する(図11のステップS7)。そして、算出した診断パラメータ「E/A」と「DCT」をデータ記憶部5に保存する。
次いで、上述の手順によってデータ記憶部5に保存されたBモード画像データ、カラードプラ画像データ、ドプラスペクトラムデータ、E波やA波の情報が付加された最高流速Vpのトレース波形Cp、更には、診断パラメータ「E/A」及び「DCT」の計測結果は、表示部7に供給される。そして、これらのデータは表示用データ生成回路において合成された後所定の表示フォーマットに従って変換され、更に、変換回路においてD/A変換とテレビフォーマット変換が行われてモニタに表示される。
例えば、図10に示すように、データ記憶部5のBモード画像データ記憶領域に保存されているBモード画像データと、カラードプラ画像データ記憶領域に保存されているカラードプラ画像データは合成されてモニタの画像データ表示領域200に表示される。
又、ドプラスペクトラム画像データ(図示せず)にはトレース波形Cp、E波及びA波の位置を示すマーカあるいはカーソル、E波の極大からの接線Ct等が重畳されてトレース波形表示領域300に表示され、更に、診断パラメータの「E/A」や「DCT」は診断パラメータ表示領域400に表示される(図11のステップS8)。
以上述べた手順によって、表示部7にリアルタイム表示されるBモード画像データ及びカラードプラ画像データに設定したレンジゲート位置において連続して得られるドプラスペクトラムに対し血流評価部6の各ユニットは、トレース波形の生成、極大/極小ペアの検出、最新の心拍周期におけるE波及ぶA波の選定、更には、診断パラメータの計測を行なう。
そして、得られたBモード画像データやカラードプラ画像データは、表示部7のモニタにおける画像データ表示領域200に、又、ドプラスペクトラムデータとトレース波形は、トレース波形表示領域300に順次リアルタイム表示され、更に、血流評価部6の特徴量選定部64によって選定された最新心拍周期のトレース波形のE波及びA波に基づいて診断パラメータ計測部65が計測した診断パラメータ「E/A」及び「DCT」の最新計測結果が診断パラメータ表示領域400に表示される。尚、この場合、診断パラメータの最新計測結果に対応した心拍周期のトレース波形はハイライト表示あるいはマーカやカーソルの重畳表示等により強調して表示することが望ましい。
以上述べたように、本実施形態によれば、ドプラスペクトラムのトレース波形に基づいて心機能計測を目的とした各種診断パラメータを計測する際、この計測に要求されるE波やA波等を予めデータベース化された選定基準に基づいて選定しているため、正確な波形選定が可能となり、従って、診断パラメータの計測精度が向上する。
又、上述の波形選定では操作者によるマニュアル操作を必要としないため、診断パラメータの計測に要する時間が短縮され、計測結果のリアルタイム表示が可能となる。このため、計測効率あるいは診断効率が大幅に向上する。
更に、本実施形態による診断パラメータの計測は、操作者によるマニュアル操作を必要としないため、計測結果は操作者の経験の有無に依存しない。従って、再現性に優れた計測結果を得ることが容易となる。
又、表示部に表示された診断パラメータの計測結果に対応したトレース波形の所定期間が明示されるため診断パラメータの計測結果に対する信頼性を、トレース波形を用いて確認することができる。
(第2の実施形態)
次に、本願発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る超音波ドプラ診断装置は、オートトレース処理によって得られたトレース波形を用いてCAB(Cut and Arraign by Beat)処理を実行し、その結果を解析することで診断を支援し得る情報を提供するものである。
図15は、本実施形態に係る超音波ドプラ診断装置の構成を示したブロック図である。以下、第1の実施形態に係る超音波ドプラ診断装置と異なる点のみについて説明する。
特徴量選定部64は、トレース波形生成部61において生成されるVp、Vc等のトレース波形に対して、CAB処理(後述するCAB機能に従う処理)を実行する。また、特徴量選定部64は、CAB処理によって得られる心拍周期毎のトレース波形を用いて統計処理を行い、診断用波形を生成する。
診断パラメータ計測部65は、生成された診断用波形を用いて、診断パラメータを計測する。
解析部67は、診断パラメータの計測結果、診断用波形を、予め記憶される診断用データベースを用いて解析し、診断対象部位が正常であるか異常であるかを判定する。
表示部7は、CAB処理によって得られる心拍周期毎のトレース波形、診断用波形を用いた診断パラメータの計測結果、診断対象部位が正常であるか異常であるかの判定結果等を、所定の形態にて表示する。
(CAB機能)
次に、本実施形態に係る超音波ドプラ診断装置が有するCAB機能について説明する。CAB機能とは、オートトレース処理によって得られるトレース波形を、所定の時相を基準として一心拍毎に切り出し、切り出した各波形を振幅、第1の時間軸(心拍数に関する時間方向)、第2の時間軸(一心拍周期における時間方向)によって定義される座標系に配列するものである。
図16は、頚動脈(Carotid)のスペクトラム波形(18心拍分)に基づいて得られる、最大流速Vpの時間変化を示すトレース波形を示した図である。特徴量選定部64は、このトレース波形を受け取ると、心拍周期設定部63からのECG波形との対応から、トレース波形上における全てのED位置(又は、PS位置等)の検出を行う。また、特徴量選定部64は、検出した各ED位置等を基準として、心拍周期毎にトレース波形を切り出し、図17に示すように各波形を振幅、心拍数に関する時間軸、一心拍周期における時間軸によって定義される座標系に配列することで、CABデータを生成する。生成されたCABデータは、必要に応じて表示部7においてトレース波形と共に表示され、自動的にデータ記憶部5に記憶される。なお、参考として、Vc波形のトレース波形を入力としたCAB処理によって得られるCABデータを図18に示した。
(CABデータを用いた診断パラメータ計測機能)
次に、本実施形態に係る超音波ドプラ診断装置が有するCABデータを用いた診断パラメータ計測機能について説明する。本機能は、図19に示すCAB処理によって得られるCABデータ(ただし、同図は二次元表示)を用いて統計処理を行うことで、診断用波形を生成し、これを用いて診断パラメータ計測を行うものである。利用可能な統計処理としては、例えば複数心拍平均処理、AR(Auto-Regressive)時間軸モデル計算処理、ARX(Auto-Regressive and exogenious)時間軸モデル計算処理等が挙げられる。
複数心拍平均処理は、次の式(1)に従って実行される。
Figure 0004744994
なお、上記式(1)において、Nは平均に用いる複数心拍数(今の場合、N=18)であり、平均計算のパラメータに相当する。また、CAB(x,y)はCAB処理によって切り出された各トレース波形の振幅を、xは心拍数に関する時間、yは一心拍周期における時間をそれぞれ意味する。
AR時間軸モデル計算処理は、Burg(MEM)法、幾何学的ラティス法、Yule-Walker法、修正共分散処理法等の一般的な手法を用いて、次の式(2)に従って実行される。
Figure 0004744994
なお、上記式(2)において、X(n)はトレース波形データ、u(n)は残差、αiはAR係数系列、kはモデル次数をそれぞれ示している。X(n)の観測時間については、平均計算のパラメータ等によるバリエーションがある。
ARX時間軸モデル計算処理は、ECG波形を外生的入力とし、トレース波形を自己回帰とする数学モデルであり、次の式(3)に従って実行される。
Figure 0004744994
なお、図20に、ARX時間軸モデル計算処理によって得られる診断用波形(予測波形)の一例を示した。
特徴量選定部64は、上記例示された統計処理により生成した診断用波形を用いて、例えば第1の実施形態において説明した手法を用いて特徴量の選定を行う。また、例えば心臓の各心尖部の血流と弁速度をオートトレース波形とした場合には、生成した診断用波形を用いて、血流と弁のピーク速度を選定する。診断パラメータ計測部65は、特徴量選定部64において選定された特徴量を用いて、例えば第1の実施形態において説明した診断パラメータ計測、僧坊弁のVe最大値とVma最大値の比、E波とA波の時間間隔をTei−インデックス的に計測する。
(周波数パラメトリックモデル)
また、周波数パラメトリックモデルを用いることも可能である。例えば、図12に示す周波数パラメトリックモデルでは、(4)を用いてARモデルを求め、さらに式(5)を用いて展開する。
Figure 0004744994
Figure 0004744994
ここで、e(n)はノイズ、y(n)は出力、A( )は系数列のARモデルである。また、式(5)のPTはP(f)を正規化するために、次の式(6)の様に表すことができる。
Figure 0004744994
Rは共分数である。以上の手法により周波数モデルP(f)を計算することができる。
(CABデータを用いた診断支援機能)
次に、本実施形態に係る超音波ドプラ診断装置が有するCABデータを用いた診断支援機能について説明する。ここで、CABデータを用いた診断支援機能とは、診断パラメータ計測機能によって得られる診断用波形及び診断パラメータの少なくとも一方を用いた解析を行い、その結果に基づいて診断対象部位が正常であるか異常であるかの判定を行うものである。
図22は、年齢別及び診断部位別に正常モデルとして記憶される参照波形の一例を示した図である。この参照波形は、心拍周期で正規化された期間Tn、標準の速度レンジで正規化された振幅Anを有している。また、図23は、CAB処理によって得られる診断用波形の一例を示した図である。この診断用波形についても同様に、心拍周期設定部63において設定された心拍周期及び標準の速度レンジによって正規化されている。
この参照波形と診断用波形とを用いて、品質工学的手法を用いることにより、診断対象部位が正常であるか異常であるかの判定を行う。品質工学的手法としては、MT(Mahalanobis-Taguchi)法、MTA(Mahalanobis-Taguchi Ajoint)法、MTS(Mahalanobis-Taguchi-Summit)法等を利用することができる。
より具体的には、解析部67は、図24に示すように各時刻における参照波形(理論値)と診断用波形(実績値)との間の差(残差)、及びこの残差の平方和を期間Tnの範囲で計算する。また、解析部67は、図25に示すように参照波形及び診断用波形の時系列データをMEM(Maximum Entropy Method)により周波数スペクトラム化する。さらに、解析部67は、図26に示すように、計算された残差平方和、周波数スペクトラムを用いたMT法、MTA法、MTS法により評価を行う。この評価により、解析部67は、例えば残差平方和が基準値を超える場合には診断対象部位は異常であると判定し、一方、残差平方和が上記基準値以下である場合には診断対象部位は正常であると判定する。
また、解析部67は、例えば図27に示すような診断用データベースに格納されている各種計測パラメータの正常値(又は正常範囲)と診断パラメータ計測機能によって得られる診断パラメータ計測結果とを比較することで、診断対象部位が正常であるか異常であるかの判定を行う。
(動作)
次に、本実施形態に係る超音波ドプラ診断装置の動作について説明する。
図28は、本超音波ドプラ診断装置がCAB機能、CABデータを用いた診断パラメータ計測機能、CABデータを用いた診断支援機能を用いて実行する処理の流れを示したフローチャートである。
まず、本超音波ドプラ診断装置の初期設定がなされ、この初期設定に従ってドプラ信号が検出され、ドプラスペクトラムが算出される(ステップS11、S12、S13)。これらの各処理は、第1の実施形態で述べた通りである。
次に、トレース波形生成部61は、最大周波数fpに対応する最大流速Vpの時間変化を示すトレース波形Cpを生成し、これをデータ記憶部5に保存する(ステップS14)。特徴量選定部64は、生成されたトレース波形Cpに対し既述のCAB処理を実行し、CABデータを生成する(ステップS15)。また、特徴量選定部64は、CAB処理によって得られたCABデータを用いて統計処理を行い、診断用波形を生成する(ステップS16)。
次に、極大/極小検出部62は、生成された診断用波形に対して一次微分演算及び2次微分演算を行なって複数の極大/極小ペア[p01、q01]、[p02、q02]、[p03、q03]、・・・を検出する(図6(a)参照)。そして、これらの極大/極小ペアが付加された診断用波形データをデータ記憶部5のトレース波形記憶領域に保存すると共に特徴量選定部64に供給する(ステップS17)。
次に、特徴量選定部64は、心拍周期設定部63によって設定された心拍周期情報に基づき、診断用波形に対して1心拍期間T0を設定する。また、特徴量選定部64は、この心拍期間T0のトレース波形に付加された複数の極大/極小ペアに対して予め設定された波形選択基準を適用し、E波及びA波を選定する。選定されたE波の位置情報とA波の位置情報は、診断用波形データと共に診断パラメータ計測部65に供給される(ステップS18)。
次に、診断パラメータ計測部65は、特徴量選定部64から供給されたE波及びA波の位置情報に基づいて診断用波形におけるE波の振幅VEとA波の振幅VAを計測し、その比VE/VAによって診断パラメータ「E/A」を算出する。また、E波の極大からの下降曲線に対して接線Ctを設定し、この接線CtとベースラインBlとが交わる位置(時刻)とE波の位置(時刻)との間隔を診断パラメータ「DCT」として算出する(ステップS19)。算出された診断パラメータ「E/A」、「DCT」は、それぞれデータ記憶部5に保存される。
次に、解析部67は、診断用波形、参照波形等を用いて例えば品質工学的手法に従う解析を実行し、その結果に基づいて診断対象部位が正常であるか異常であるかの判定を行う(ステップS20)。
次に、表示部7は、上述の手順によってデータ記憶部5に保存されたBモード画像データ、カラードプラ画像データ、ドプラスペクトラムデータ、E波やA波の情報が付加された診断用波形、診断パラメータ「E/A」及び「DCT」の計測結果、診断対象部位が正常であるか異常であるかの判定結果を所定の形態にてモニタに表示する(ステップS21)。
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
まず、本超音波診断装置によれば、CAB処理によって心拍周期毎に且つ時相が対応するようにトレース波形を切り出すことができる。また、切り出された心拍周期毎のトレース波形を、心拍数に関する時間方向及び一心拍における時間方向にそって配列することができる。従って、操作者は、心拍毎に切り出された複数のトレース波形をデータベース化することができ、種々の定量的解析等に利用することができる。また、心拍毎に切り取られたトレース波形を、時相を対応させて表示することで、心拍間のトレース波形対応を良好に視認することができる。
また、本超音波診断装置によれば、CAB処理によって得られるCABデータを用いて統計処理を行うことにより、診断用波形を生成することができる。従って、この診断用波形を用いて診断パラメータ計測を行うことで、不整脈等を原因とするドプラ波形のばらつきによる影響を低減させることができる。
また、本超音波診断装置によれば、CABデータを用いた統計処理により得られる診断用波形、診断用波形を用いて得られる診断パラメータ計測結果、予め記憶される正常例に関するデータに基づいて、診断部位が正常であるか異常であるかを判定することができる。従って、ドプラ診断において、CABデータを根拠とする客観性の高い診断支援情報を提供することができ、医療の質の向上に貢献することができる。
(第3の実施形態)
次に、本願発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る超音波ドプラ診断装置は、第2の実施形態における統計処理において不適切な事象(例えば、他の事象と著しく異なり、信頼性の低い事象)をリジェクト又はピックアップする機能を有するものである。
図29は、本実施形態に係る超音波ドプラ診断装置の構成を示したブロック図である。第2の実施形態に係る超音波ドプラ診断装置と比較した場合、リジェクト処理部69をさらに具備する点が異なる。リジェクト処理部69は、後述するリジェクト機能に従う処理(リジェクト処理)を実行するものである。
(リジェクト機能)
次に、本実施形態に係る超音波ドプラ診断装置が有するリジェクト機能について説明する。この機能は、診断パラメータ計測における精度の安定化を図るため、信頼性の低いトレース波形を、CABデータを用いた診断パラメータ計測処理の対象から除外等するものである。これは、図30に示すように、切り出されたトレース波形を母集団とした場合に、ある閾値から外れる事象を除外することに相当する。このリジェクト機能には、手動リジェクト機能と自動リジェクト機能とがある。以下、それぞれについて、フリーズ操作直後から10心拍までのトレース波形を、CABデータを用いた診断パラメータ計測処理の対象とする場合を例に説明する。
手動リジェクト機能では、まず、図31に示すように、所定の操作によって当該10心拍のトレース波形がサムネイル表示される。操作者は、サムネイル表示された各トレース波形を観察し、入力部8等を介してCABデータを用いた診断パラメータ計測処理に用いるのに適切なトレース波形を選択する。選択されたトレース波形は、ハイライト表示され(図31の場合、1,2,4、6心拍に関する各トレース波形)、それ以外のトレース波形は、CABデータを用いた診断パラメータ計測処理に採用されない(すなわち、リジェクトされる)。
一方、自動リジェクト機能では、例えばPRD(Percent Root Mean Squire Difference)を計算し、その値が10%を超えると異常と判定し統計処理のデータ入力から自動的にリジェクトする。
また、自動リジェクト機能の他の例として、CABデータが含むトレース波形の複数の組み合わせを選択し、組み合わせ毎に診断用波形を生成する。従って、組み合わせを構成しないトレース波形は、自動的にリジェクトされることになる。より具体的には、例えば同期検出安定後の7心拍目からスタートし、図32に示すように連続する4心拍毎の統計処理を一ずつずらして行うことで、複数の診断用波形を生成する。診断パラメータ計測部65は、各診断用波形を用いて、それぞれに対応する診断パラメータの計測を行う。さらに、統計処理によって得られる複数の診断用波形は、例えば図33に示すようにサムネイル表示される。操作者は、この段階で、表示された診断用波形のうちずれを有するものをマニュアル処理によって除外することもできる。なお、図32、図33においては、細線が統計処理を施していないトレース波形を、太線が統計処理によって得られる診断用波形をそれぞれ示している。
また、手法リジェクト機能と自動リジェクト機能とを組み合わせることも可能である。例えば、個々の心拍での計測パラメータ(例えば、PS値、HR値等)についてリジェクト閾値により閾値処理レベルを変化させる。変化させたもののうち、閾値処理レベルを超えたものは、リジェクト対象候補としてピックアップし、ハイライト表示する。操作者はハイライト表示されたリジェクト対象候補を観察し、手動リジェクト機能により母集団の母数からリジェクトして統計処理を実行する。
図34(a)は、本リジェクト処理を行わない10心拍を用いた統計処理より得られる診断用波形(太線)を示した図である。また、図34(b)は、同10心拍のうち、本リジェクト処理により4心拍をリジェクトした後統計処理より得られる診断用波形(太線)を示した図である。両者を比較した場合、リジェクト処理を行って得られる診断用波形は、その演算に用いられた各トレース波形により近似していることが解る。
(動作)
次に、本実施形態に係る超音波ドプラ診断装置の動作について説明する。
図35は、本超音波ドプラ診断装置がリジェクト機能を用いて実行する処理の流れを示したフローチャートである。同図に示す各処理は、図11のステップS4において実行されるものである。
まず、本超音波ドプラ診断装置の初期設定がなされ、この初期設定に従ってドプラ信号が検出され、ドプラスペクトラムが算出される(ステップS31、S32、S33)。これらの各処理は、第1及び第2の実施形態で述べた通りである。
次に、トレース波形生成部61は、最大周波数fpに対応する最大流速Vpの時間変化を示すトレース波形Cpを生成し、これをデータ記憶部5に保存する(ステップS34)。特徴量選定部64は、生成されたトレース波形Cpに対し既述のCAB処理を実行し、CABデータを生成する(ステップS35)。リジェクト処理部69は、生成されたCABデータを構成する心拍毎のトレース波形を用いて、既述のリジェクト処理を実行する(ステップS36)。特徴量選定部64は、リジェクト処理によって信頼性の低いトレース波形が除外されたCABデータを用いて統計処理を行い、診断用波形を生成する(ステップS37)。
次に、第2の実施形態と同様にステップS38乃至ステップS42までの処理が実行され、診断パラメータ「E/A」及び「DCT」の計測結果、診断対象部位が正常であるか異常であるかの判定結果が所定の形態にてモニタに表示される。
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
まず、本超音波診断装置によれば、リジェクト機能により自動又は手動によって信頼性の低い切り出しトレース波形を、CABデータを用いた統計処理の対象から除外することができる。従って、信頼性の高い診断用波形を生成することができ、その結果、質の高い診断パラメータ計測、及び診断部位の異常/正常判定を実現することができる。
また、本超音波診断装置によれば、リジェクト機能により信頼性の低い切り出しトレース波形を自動的にピックアップすることができる。従って、操作者は、ピックアップされた低い切り出しトレース波形を個別に弁別するだけで、CABデータを用いた統計処理の精度を向上させることができる。その結果、ドプラ診断における操作者の作業負担を軽減させることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
(1)例えば、第1の各実施形態では、心臓の左室流入血流の計測に有効な診断パラメータ「E/A」及び「DCT」について述べた。しかしながら、これに拘泥されず、他の診断パラメータであってもよい。
(2)肺動脈血流、左室流出血流、右室流入血流、あるいは右室流出血流等の計測であってもよい。特に、肺動脈血流計測における診断パラメータとしてS波振幅「VS」、D波振幅「VD」及びAD波振幅「VAD」の計測が好適である。
図12(b)は、肺動脈血流計測によって得られた最高流速Vpのトレース波形Cqを示したものであり、図12(a)のECG波形Ecをトリガ波形に用いた場合の選定基準に基づいて選定されたS波、D波及びAD波の位置(時刻)と夫々の振幅(流速)VS,VD,VADが示されている。
一方、図13は、肺動脈血流計測における選定基準を示したものであり、この選定基準は図7のDB2において予めデータベース化されている。即ち、特徴量選定部64の図示しない記憶回路に保存されているDB2には、左室流入血流計測における選定基準(図8参照)と同様にしてECG波形、PCG波形、トレース波形による心拍周期に基づいて各種波形を自動選定するための選定基準と、マニュアル設定した心拍周期あるいは心拍トリガに基づいて自動選定するための選定基準が保存されている。
(3)上述の各実施形態においては、トリガ波形としてECG波形を用いた場合について述べたが、既に、図8や図13において示したようにPCG波形やトレース波形等の心拍情報に基づいてトレース波形における波形選定を行なってもよい。図14は、トリガ波形として用いることが可能なPCG波形(図14の(b))とトレース波形によるトリガ信号(図14の(c))をECG波形(図14の(a))及びトレース波形(図14の(d))と共に示したものであり、このPCG波形やトレース波形によるトリガ信号に基づいて設定された選定基準は図8及び図13において示している。
(4)上述の各実施形態においては、Bモード画像データやカラードプラ画像データと共にリアルタイム表示されるトレース波形に対して診断パラメータをリアルタイム計測する場合について述べたが、フリーズ(静止)したトレース波形に対して自動計測してもよい。この場合、シネメモリ等に保存した一連のトレース波形を入力デバイスを用い任意方向にスクロールして所望の心拍周期におけるトレース波形を選択し、このトレース波形に対して上述と同様の手順を適用することにより診断パラメータの自動計測が可能となる。
(5)上述の各実施形態においては、トレース波形は、ドプラスペクトラムにおける最高流速Vpに基づいて生成される場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば平均流速Vcに基づいて生成されてもよい。更に、E波やA波等の波形選定は、上述の実施形態で述べたようにトレース波形の極大/極小ペアに基づいて行なってもよいが、極大の大きさに基づいて行なっても同様の効果が得られる。
(6)上述の各実施形態における超音波診断装置100の送受信部2及び超音波プローブ3は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、超音波プローブ3に設けられた複数の電気音響変換素子として圧電素子の代りに他の材料を用いてもよい。又、これらの電気音響変換素子が2次元配列された超音波プローブを用いてもよい。
(7)上述の各実施形態においては、表示部7の画像データ表示領域にはBモード画像データとカラードプラ画像データが合成表示される場合について述べたが、何れかの画像データのみを表示してもよい。
(8)上述の各実施形態においては、超音波送受信機能を有する超音波ドプラ診断装置により、リアルタイムに診断パラメータ計測を行うケースを例に説明した。しかしながら、これに拘泥されることなく、例えば過去に取得されたドプラ信号データを用いて、医療用ワークステーションやパーソナルコンピュータ等によって上記診断パラメータ計測を行うようにしてもよい。
また、各実施形態において説明した各機能は、当該処理を実行するプログラムをコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以上本発明によれば、ドプラスペクトラムのトレース波形に基づいて心機能計測を行なう際、この計測に有効な診断パラメータを自動計測することにより計測精度の向上と計測時間の短縮を可能とした超音波ドプラ診断装置及び診断パラメータ計測方法を実現することができる。
図1は、第1の実施形態における超音波ドプラ診断装置の全体構成を示すブロック図である。 図2は、第1の実施形態における送受信部及びデータ生成部の構成を示すブロック図である。 図3は、第1の実施形態におけるドプラ信号検出部とスペクトラム算出部の基本動作を示すタイムチャートである。 図4(a)、4(b)は、第1の実施形態におけるドプラスペクトラムの算出方法を示す図である。 図5は、第1の実施形態におけるドプラスペクトラムの最大周波数成分の算出方法を示す図である。 図6(a)、6(b)は、第1の実施形態の左室流入血流計測におけるトレース波形を示す図である。 図7は、第1の実施形態の特徴量選定部における選定基準のデータベースを模式的に示す図である。 図8は、第1の実施形態の左室流入血流計測における選定基準の具体例を示した図である。 図9(a)、9(b)は、第1の実施形態の左室流入血流計測におけるトレース波形に対して行なわれる診断パラメータの計測方法を示す図である。 図10は、第1の実施形態の表示部における表示方法の具体例を示す図である。 図11は、第1の実施形態における診断パラメータの計測手順を示すフローチャートである。 図12(a)、12(b)は、第1の実施形態の変形例における肺動脈血流計測のトレース波形を示す図である。 図13は、第1の実施形態の変形例における肺動脈血流計測の選定基準を示す図である。 図14は、第1の実施形態の変形例におけるトリガ波形を示す図である。 図15は、第2の実施形態に係る超音波ドプラ診断装置の構成を示したブロック図である。 図16は、頚動脈(Carotid)のスペクトラム波形(18心拍分)に基づいて得られる、最大流速Vpの時間変化を示すトレース波形を示した図である。 図17は、Vp波形のトレース波形を入力としたCAB処理によって得られる結果を示した図である。 図18は、Vc波形のトレース波形を入力としたCAB処理によって得られる結果を示した図である。 図19に示すCAB処理によって得られるCABデータを二次元的に示したものである。 図20は、ARX時間軸モデル計算処理によって得られる診断用波形の一例を示した図である。 図21は、周波数パラメトリックモデルを説明するための図である。 図22は、年齢別及び診断部位別に正常モデルとして記憶される参照波形の一例を示した図である。 図23は、CAB処理によって得られる診断用波形の一例を示した図である。 図24は、参照波形と診断用波形との間の時系列残差平方和を説明するための図である。 図25は、MEMによる周波数スペクトラム化を説明するための図である。 図26は、残差平方和、周波数スペクトラムを用いた品質光学的手法による評価を説明するための図である。 図27は、診断用データベースに格納されている各種計測パラメータの正常値を例示した図である。 図28は、第2の実施形態に係る超音波ドプラ診断装置がCAB機能、CABデータを用いた診断パラメータ計測機能、CABデータを用いた診断支援機能を用いて実行する処理の流れを示したフローチャートである。 図29は、第3の実施形態に係る超音波ドプラ診断装置の構成を示したブロック図である。 図30は、第3の実施形態に係る超音波ドプラ診断装置が有するリジェクト機能を説明するための図である。 図31は、手動リジェクト機能を説明するための図である。 図32は、自動リジェクト機能を説明するための図である。 図33は、自動リジェクト機能を説明するための図である。 図34(a)は、本リジェクト処理を行わない10心拍を用いた統計処理より得られる診断用波形(太線)を示した図である。図34(b)は、同10心拍のうち、本リジェクト処理により4心拍をリジェクトした後統計処理より得られる診断用波形(太線)を示した図である。 図35は、本超音波ドプラ診断装置がリジェクト機能を用いて実行する処理の流れを示したフローチャートである。
符号の説明
1…基準信号発生部、2…送受信部、3…超音波プローブ、4…データ生成部、5…データ記憶部、6…血流評価部、7…表示部、8…入力部、9…生体計測ユニット、10…システム制御部、21…送信部、22…受信部、41…Bモードデータ生成部、42…ドプラ信号検出部、43…カラードプラデータ生成部、44…スペクトラム算出部、61…トレース波形生成部、62…極大/極小検出部、63…心拍周期設定部、64…特徴量選定部、65…診断パラメータ計測部、100…超音波ドプラ診断装置、211…レートパルス発生部、212…送信遅延回路、213…パルサ、221…プリアンプ、222…A/D変換器、223…ビームフォーマ、224…加算器、411…包絡線検波器、412…対数変換器、421…π/2移相器、422…ミキサ、423…LPF(低域通過フィルタ)、431…ドプラ信号記憶回路、432…MTIフィルタ、433…自己相関演算器、441…SH(サンプルホールド)、442…HPF(高域通過フィルタ)、443…FFT分析器

Claims (20)

  1. 被検体に対し超音波送受波を行なって得られた受信信号から、所定部位におけるドプラ信号を検出するドプラ信号検出ユニットと、
    前記ドプラ信号の周波数スペクトラムを算出するスペクトラム算出ユニットと、
    前記周波数スペクトラムにおける所定のスペクトラム成分の時間的変化をトレース波形として生成するトレース波形生成ユニットと、
    生成されたトレース波形から一心拍周期毎にトレース波形を切り出し、切り出された当該複数のトレース波形を心拍数に関する時間方向を示す第1の時間軸、一心拍周期内の時間方向を示す第2の時間軸に配列することでCABデータを生成するCAB処理ユニットと、
    前記CABデータを用いて統計処理を行うことで、診断用波形を生成する統計処理ユニットと、
    選定基準を記憶する記憶ユニットと、
    記憶された前記選定基準に基づいて、前記診断用波形に対して特徴量を自動選定する特徴量選定ユニットと、
    前記特徴量に基づいて診断パラメータを計測する診断パラメータ計測ユニットと、
    前記CABデータ及び前記診断パラメータの計測結果を表示する表示ユニットと、
    を具備することを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  2. 前記CAB処理ユニットは、前記被検体の心電波形及び心音波形の少なくとも一方を用いて前記切り出しを行うことを特徴とする請求項1記載の超音波ドプラ診断装置。
  3. 心拍周期数を設定する心拍周期設定ユニットをさらに具備し、
    前記CAB処理ユニットは、設定された心拍周期数を含む前記トレース波形を用いて前記切り出しを行うことを特徴とする請求項1又は2記載の超音波ドプラ診断装置。
  4. 前記統計処理は、複数心拍に関する平均処理、Auto-Regressive時間軸モデル計算処理、Auto-Regressive and exogenous時間軸モデル計算処理のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波ドプラ診断装置。
  5. 前記CABデータを構成する一心拍周期のトレース波形のうち、所定の基準を満たさないトレース波形を除外するリジェクト処理を実行するリジェクト処理ユニットをさらに具備し、
    前記統計処理ユニットは、前記リジェクト処理が施された前記CABデータを用いて、前記統計処理を実行することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波ドプラ装置。
  6. 前記表示ユニットは、前記CABデータに含まれる複数の前記トレース波形を同時に表示し、
    前記リジェクト処理ユニットは、表示された前記トレース波形のうち、操作者によって直接的に又は間接的に選択されたトレース波形を用いて前記統計処理が実行されるように、前記リジェクト処理を行うこと、
    を特徴とする請求項5記載の超音波ドプラ診断装置。
  7. 前記リジェクト処理ユニットは、前記CABデータに含まれる前記トレース波形の複数の組み合わせを選択し、
    前記統計処理手段は、前記組み合わせ毎に前記統計処理を実行することで、複数の前記診断用波形を生成すること、
    を特徴とする請求項5記載の超音波ドプラ診断装置。
  8. 前記トレース波形生成ユニットは、前記所定部位における最高血流速あるいは平均血流速に対応した前記所定スペクトラム成分の時間的変化を示す前記トレース波形を生成することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の超音波ドプラ診断装置。
  9. 前記トレース波形に対して極大及び極小、又は極大を検出する極大/極小検出ユニットをさらに具備し、
    前記特徴量選定ユニットは、前記被検体の所定心拍周期におけるトレース波形の極大及び極小、又は極大に基づいて前記特徴量を選定すること、
    を特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の超音波ドプラ診断装置。
  10. 前記被検体の心拍情報に対して心拍周期を設定する心拍周期設定ユニットをさらに具備し、
    前記特徴量選定ユニットは、設定された前記所定心拍周期におけるトレース波形の極大及び極小、又は極大に基づいて前記特徴量を選定することを特徴とする請求項9記載の超音波ドプラ診断装置。
  11. 前記心拍周期設定ユニットは、前記被検体の心電波形及び心音波形の少なくとも一方に基づいて、前記トレース波形に対して前記所定心拍周期を設定することを特徴とする請求項10記載の超音波ドプラ診断装置。
  12. 前記表示ユニットは、前記心拍周期設定ユニットが設定した前記トレース波形の最新心拍周期において計測された前記診断パラメータの計測結果をリアルタイム表示することを特徴とする請求項10記載の超音波ドプラ診断装置。
  13. 前記特徴量は、左室流入血流計測において得られる前記トレース波形のE波及びA波であることを特徴とする請求項1乃至12のうちいずれか一項記載の超音波ドプラ診断装置。
  14. 前記診断パラメータ計測ユニットは、前記特徴量選定ユニットが選定した前記特徴量に基づいて、最高流速のトレース波形におけるE波及びA波の振幅比E/A及びE波の下限期間DCTの少なくとも一方を診断パラメータとして計測することを特徴とする請求項13記載の超音波ドプラ診断装置。
  15. 前記特徴量は、肺動脈血流計測において得られる前記トレース波形のS波、D波及びAD波の少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1乃至14のうちいずれか一項記載の超音波ドプラ診断装置。
  16. 前記診断パラメータ計測ユニットは、前記特徴量選定ユニットが選定した前記特徴量に基づいて、肺動脈血流の計測におけるS波の速度VS、肺動脈血流の計測におけるD波の速度VD、及び肺動脈血流の計測におけるAR波の速度VADのうちの少なくともいずれかを診断パラメータとして計測することを特徴とする請求項15記載の超音波ドプラ診断装置。
  17. 前記トレース波形を記憶する記憶ユニットをさらに具備し、
    前記特徴量選定ユニットは、前記記憶ユニットに一旦保存された前記トレース波形の所望心拍周期において前記特徴量を選定すること、
    を特徴とする請求項1乃至16のうちいずれか一項記載の超音波ドプラ診断装置。
  18. 前記選定基準は、計測対象別あるいは被検体の年齢層別に予めデータベース化されていることを特徴とする請求項1乃至17のうちいずれか一項記載の超音波ドプラ診断装置。
  19. 前記表示ユニットは、
    前記トレース波形と前記診断パラメータの計測結果をリアルタイム表示し、
    前記診断パラメータの計測結果に対応した前記トレース波形の最新心拍周期を強調表示すること、
    を特徴とする請求項1乃至18のうちいずれか一項記載の超音波ドプラ診断装置。
  20. 超音波ドプラ診断装置の制御ユニットが、
    ドプラ信号検出ユニットに、被検体に対し超音波送受波を行なって得られた受信信号から、所定部位におけるドプラ信号を検出させ、
    スペクトラム算出ユニットに、前記ドプラ信号の周波数スペクトラムを算出させ、
    トレース波形生成ユニットに、前記周波数スペクトラムにおける所定のスペクトラム成分の時間的変化をトレース波形として生成させ、
    CAB処理ユニットに、生成されたトレース波形から一心拍周期毎にトレース波形を切り出し、切り出された当該複数のトレース波形を心拍数に関する時間方向を示す第1の時間軸、一心拍周期内の時間方向を示す第2の時間軸に配列することでCABデータを生成させ、
    統計処理ユニットに、前記CABデータを用いて統計処理を行うことで、診断用波形を生成させ、
    特徴量選定ユニットに、記憶された選定基準に基づいて、前記診断用波形に対して特徴量を自動選定させ、
    診断パラメータ計測ユニットに、前記特徴量に基づいて診断パラメータを計測させ、
    表示ユニットに、前記CABデータ及び前記診断パラメータの計測結果を表示させること、
    を具備することを特徴とする診断パラメータ計測方法。
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