JP4744663B2 - 容器とアイソレーターの間で殺菌した製品を移送する方法および装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移送容器中に入れられた予め殺菌した製品を殺菌したあるいは無菌のアイソレーターの中に移送する（移す）方法および装置に関する。
【０００２】
本発明は、殺菌した製品の取り扱いを含むすべての産業分野で、特に薬学的、医学的、化学的産業、食品処理産業などで利用できる。
【０００３】
以下本文において、「製品」という用語は、広い意味で理解すべきであり、言い換えれば、特に粉末、ペレット、様々な形状および性質の構成要素、液体などを包含する。
【０００４】
【従来の技術】
（例えばガンマ線放射によって殺菌した）予め殺菌した製品を、他の任意の作業（例えば包装）が行われるアイソレーターに移送する知られている方法の１つは、これらの製品を可撓な袋の形式の容器内に入れることである。
【０００５】
容器をアイソレーターに連結し、製品をこのアイソレーターの内部に移送するのによく使用される１つの方法は、密封された移送を行うための二重ドア付き連結手段を使用することである。このタイプの知られている装置は容器のドアによって通常閉じられているフランジと、アイソレーターのドアによって通常閉じられているフランジとを備える。容器がアイソレーターに結合されると、２つのフランジが密封されるように相互に固定され、また２つのドアも密封されるように相互に固定される。このようにして形成された二重ドアをアイソレーターの内側から開いた後、製品をなんらの事前の殺菌作業も行う必要なく移送することができる。
【０００６】
この知られている技術は安全であり一般的には十分である。しかしながら、移送頻度が高いと高価になる欠点がある。さらに各容器は各移送後投棄またはリサイクルされなければならない。
【０００７】
各容器に取り付けられるフランジ／ドア組立体の価格を考慮すると、使用後これらの容器を廃棄すると、使用する容器数の増加と共に作業コストの増加を招く。
【０００８】
さらに、容器のリサイクル作業も費用がかかり、使用される容器数が増加すると不利になる。リサイクル作業では使用後フランジ／ドア組立体を包装し次いで包装を開き、再組み立て前に目視検査および洗浄し、さらに、検査と再包装をすることが必要となる。
【０００９】
特に文書ＷＯ９６ ２１６１５に記載されている別の知られている技術は、栓によって閉じられたフランジを各容器に装備することから構成される。この構成によると、各容器の価格を著しく下げることができるので、容器を毎回使用後投棄できる。こうしてシステムの作業コストは移送数が増加しても合理的である。
【００１０】
しかし、二重ドア移送装置を使用しないので、この技術では、容器がアイソレーターに連結された後、容器を閉じる栓とアイソレーターを閉じるドア間に非殺菌の容積が生じるという欠点がある。
【００１１】
文書ＷＯ９６２１６１５は、アイソレータードアの外側に紫外線ランプからなる殺菌手段を取り付けることによってこの欠点を克服することを提案している。より正確には、アイソレーターのドアはアイソレーターのフランジの内側と密封するように接触し、結合後に容器の栓が事実上アイソレーターのフランジの内側と同じ面に位置決めされる。次いで栓とドア間にこのように形成された小さい閉鎖容積が殺菌される。次いでアイソレータードアが開き製品を移送できるように栓を切り取る。
【００１２】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このシステムはいくつかの欠点をもつ。
【００１３】
殺菌手段がアイソレータードアに設置されるので、保守作業（ランプの取り替え、電気的修理など）は、アイソレーターのドアが開いた後アイソレーターの内側からのみ行える。これにより密封性、したがってアイソレーターの殺菌状態が大きく損われることになる。これを避ける唯一の方法は、作業が容器またはこの目的のため設計された特別の栓の存在下で行われることにある。さらにアイソレーターの内側から作業することが必要であるがこれは不便である。
【００１４】
さらに、紫外線ランプを使用する殺菌技術はあまり効率的でなく、その結果システムの使用は相対的に移送の開口が小さい場合に制限される。
【００１５】
より正確には、本発明の目的は、既存の方法の欠点を克服するために、安価な使い捨て容器の使用を可能にするとともに、殺菌手段の容易な保守を可能にすることによって、容器とアイソレーターの間で殺菌した製品を移送する方法である。
【００１６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、移送容器と殺菌したアイソレーターの間で殺菌した製品を移送する方法であって、
容器がアイソレーターにドッキングされ、
容器の閉鎖体とアイソレーターの閉鎖体間の閉鎖容積が殺菌され、
前記閉鎖体が製品の移送を開始する前に開かれ、
容器が、アイソレーターの外側に連結されかつその閉鎖体によってアイソレーターから通常分離されているロックに結合され、前記ロックが殺菌手段を有し、閉鎖容積を画定することを特徴とする方法によって上記の結果を達成する。
【００１７】
この構成により簡単な閉鎖体を装備する安価な使い捨て容器を使用することができる。さらに殺菌手段の保守作業を速く容易に行うことができる。
【００１８】
本発明の好ましい実施形態では、容器がロックに結合される前に、ロックが、密封された二重ドア移送装置によってアイソレーターに取り付けられ、その二重ドアがアイソレーターの閉鎖体を形成する。この構成は、すべての殺菌手段をきわめて迅速に取り替えることができることを意味する。
【００１９】
移送開口の寸法を制限することなく速く効率的な殺菌を達成するために、閉鎖容積を、閉鎖容積を画定する透明管の周りに設置されるパルス光殺菌手段を使用して殺菌することが好ましい。
【００２０】
容器内の保護スリーブをロックの内側に折り返した後、製品を移送することが有利である。
【００２１】
アイソレーターの閉鎖体を開いた後で、容器の閉鎖体をアイソレーターの内側から切り取ることによって開くことが好ましい。
【００２２】
さらに殺菌効率を改善するために、外側面（閉鎖容積に向けられる）が反射する閉鎖体を備える容器を使用できる。
【００２３】
場合によっては、可撓な容器を使用しかつ容器を、弾性スリーブを使用するロックに結合することによって、あるいは容器の閉鎖体が取り付けられる半剛体フランジをもつ容器を使用し、かつフランジをロックの相補形フランジに取り付けることによりその閉鎖体をロックに結合することによって、容器をロックに連結できる。
【００２４】
本発明の別の目的は、移送容器と殺菌したアイソレーターの間で殺菌した製品を移送する装置であって、
容器の閉鎖体と、
アイソレーターの閉鎖体と、
結合が完了したとき、容器の閉鎖体とアイソレーターの閉鎖体間に閉鎖容積を画定するように、容器をアイソレーターに結合する手段と、
前記閉鎖容積を殺菌する手段とを備え、
アイソレーターの外側に連結されかつアイソレーターの閉鎖体によってアイソレーターから通常分離されているロックをさらに有し、前記ロックが殺菌手段を有し閉鎖容積を画定することを特徴とする装置である。
【００２５】
次に、非限定的な例として添付の図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
【００２６】
【発明の実施の形態】
図１で、参照番号１０は殺菌した製品を入れるように設計された移送容器を示し、参照番号１２はこれらの製品が移送される殺菌したアイソレーター（このアイソレーターの容器の連結に使用される部分のみが図示される）を示す。
【００２７】
移送容器１０は可撓な壁１４を有し、これに開口が形成されるが、この開口は閉鎖体１６によって通常閉じられている。閉鎖体１６は容器を開くために切り離すことができる栓の形式であることが好ましい。後述する理由により、容器の外側に向く閉鎖体１６の面は、例えば金属化することによって反射されるように作られることが好ましい。
【００２８】
図１に示す実施形態では、閉鎖体１６は可撓な栓であり、その周囲部分は、容器１０の開口を画定する壁１４の弾性管状部分１４ａに溶着あるいは溶接される。
【００２９】
さらに保護スリーブ１８も容器の壁１４の部分１４ａに溶着され、容器の内側に通常設置される。この保護スリーブも壁１４を作る材料に類似の可撓な材料製であり、場合に応じて開閉することができる。
【００３０】
さらに、アイソレーター１２は、開口がフランジ２２によって画定される壁２０を有する。この開口は、密封されるようにフランジ２２に嵌合されるドアで構成される閉鎖体２４によって通常閉じられている。ハンドル２４ａは、例えばバヨネット嵌合（図示せず）によるロック手段が解放されたとき、ドア２４をアイソレーター１２の内部に向けて開くのに使用される。
【００３１】
本発明による移送容器１０は、殺菌したアイソレーター１２に直接結合せず、むしろアイソレーター１２の外側に連結されたロック２８に結合される。
【００３２】
より正確には、ロック２８は、例えば石英製の透明管３０と、保護ケーシング３４の内側で管３０の周りに一様に配備されたランプ３２によって実現されるパルス光殺菌手段を備える。
【００３３】
管３０の一端は、ドア３８によって密封されるように通常閉じられている内側の開口を画定するフランジ３６を装備する。ドア３８は、例えばバヨネット嵌合によるロック手段によってフランジ３６と協働する。
【００３４】
フランジ３６はフランジ２２に密封されるように連結されるべく設計され、ドア３８は、ロック２８が図１に示すようにアイソレーター１２に結合されたとき、ドア２４に密封されるように連結されるべく設計される。例えばバヨネット嵌合による連結手段が、この目的のためフランジ２２と３６間、およびドア２４と３８間に設けられる。これらの条件の下で、フランジ２２と３６およびドア２４と３８によって形成された組立体は密封された二重ドア移送装置を形成し、相互に連結されたドア２４と３８によって形成された二重ドアが開いたとき、密封された移送が、管３０の内側に画定された容積４０とアイソレーター１２の内部の間で行われる。
【００３５】
ロック２８がアイソレーター１２に結合され、かつ容器１０がロック２８に結合されると、二重ドア２４、３８と管３０の内側の閉鎖体１６間に画定される密封容積４０が殺菌手段３２の使用によって殺菌できる。
【００３６】
図１に示す実施形態では、フランジ３６と反対側の透明管３０の端部は、容器１０の壁１４の管状部分が弾性スリーブのように嵌合されることができるように、ケーシング３４の先に延びる。このスリーブ嵌合がなされたとき、閉鎖体１６の反射する外表面がロック２８の内側に画定される密封容積４０に向く。
【００３７】
装置が通常の形で使用されるとき、ロック２８は、フランジ２２と３６およびドア２４と３８で構成された二重ドア移送装置によって、アイソレーター１２に通常連結されたままである。殺菌した製品を移送しなければならないとき、移送される製品を入れる容器１０が透明管３０の端部に上記の形で結合される。
【００３８】
容器の密封された連結がなされたとき、パルス光殺菌手段３２が、閉鎖容積４０と、容積を画定する栓１６、ドア３８および管３０の表面を殺菌するために使用される。この殺菌の効率は容積４０に向く栓１６の反射する性質によって改善されることに留意されたい。したがって、効率的な殺菌は５分未満で達成できる。
【００３９】
殺菌が終了すると、ドア２４と３８によって形成される二重ドアがアイソレーター１２の内側から開かれる。次いで作業者はアイソレーターの内側から閉鎖体１６を切り離し、ロック２８の内側に保護スリーブ１８を反転し、これによってアイソレーター１２内に製品が移送されるのを案内すると同時に、製品と、ロックおよび密封された二重ドア移送装置の内面との間のいかなる直接接触をも防止する。場合によっては、製品はスリーブ１８が開かれるかあるいはこのスリーブの端部を切り離した後すぐに移送することができる。
【００４０】
移送が終了すると、ドア２４と３８によって形成される二重ドアが再び閉じられ、容器１０がロック２８から分離され次いで投棄される。
【００４１】
本発明による構成によれば、本発明はアイソレーター１２の外側に殺菌手段３２を置くことができるが、例えばランプの１つを取り換えまたは電気接続を修繕するような、殺菌手段に関わるいかなる作業も、アイソレーターの外側から容易に行うことができる。
【００４２】
さらにより重大な問題の場合、ロック２８とアイソレーター１２の間に二重ドア移送装置が存在すれば、特に短時間の作業条件下で、したがって製品の高い移送速度が必要とされるときに受け入れられるように、ロック組立体を殺菌手段を備えたロックと取り換えることが容易になる。
【００４３】
さらにパルス光殺菌手段の使用により、とくに速くかつ効率的な容積４０の殺菌が与えられる。特にこのことは、もし必要ならば、製品を大きな断面をもつ開口を通して移送できるということを意味する。このことによりまた紫外線タイプの殺菌手段により処理量を促進することもできる。
【００４４】
図２は本発明の変形の実施形態を概略的に示す。この変形は容器１０をロック２８に結合する手段が本質的に図１の実施形態と相違する。
【００４５】
そこでこの場合、容器１０の壁１４の管状弾性部分１４ａは半剛体フランジ１４ｂによって取り替えられる。このフランジ１４ｂは閉鎖体１６を支持する。その外側表面は、ロック２８の透明管３０の対応する端部に取り付けられるフランジ３０ａの内側に形成される凹部に力で嵌合させることができる突出部分を有する。
【００４６】
この装置およびこの装置の使用方法の他のすべての特徴は、図１を参照しながら上述した特徴と同じである。
【００４７】
本発明はすべての変形を包含し、例として上述した実施形態に限定されないことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の好ましい一実施形態による移送装置の断面を概略的に示す正面図である。
【図２】ロックへの容器の連結の変形を示す、図１と比較できる断面図である。
【符号の説明】
１０ 移送容器
１２ アイソレーター
１４ 壁
１４ａ 弾性管状部分
１４ｂ 半剛体フランジ
１６ 閉鎖体、栓
１８ 保護スリーブ
２０ 壁
２２、３０ａ、３６ フランジ
２４ 閉鎖体、ドア
２４ａ ハンドル
２８ ロック
３０ 透明管
３２ ランプ、パルス光殺菌手段
３４ 保護ケーシング
３８ ドア
４０ 容積

Claims (16)

1. 移送容器（１０）と殺菌したアイソレーター（１２）の間で殺菌した製品を移送する方法であって、
   容器（１０）がアイソレーター（１２）に取り付けられ、
   容器（１０）における閉鎖体（１６）およびアイソレーター（１２）における閉鎖体（２４、３８）間の閉鎖容積（４０）が殺菌され、
   前記容器（１０）における閉鎖体（１６）およびアイソレーター（１２）における閉鎖体（２４、３８）が製品の移送を開始する前に開かれ、
   容器（１０）は、アイソレーター（１２）の外側に連結されかつ該アイソレーター（１２）における閉鎖体（２４、３８）によってアイソレーターから通常分離されているロック（２８）に結合され、前記ロック（２８）が、殺菌手段（３２）を含んでおり、閉鎖容積（４０）を画定することを特徴とする方法。
2. 容器（１０）がロック（２８）に結合される前に、ロック（２８）が、密封された二重ドア移送装置によってアイソレーター（１２）に連結され、二重ドア（２４、３８）がアイソレーター（１２）の閉鎖体を形成する請求項１に記載の方法。
3. 閉鎖容積（４０）が、これを画定する透明管（３０）の周りに設置されたパルス光殺菌手段（３２）を使用して殺菌される請求項１または２に記載の方法。
4. 容器（１０）の内部の保護スリーブ（１８）をロック（２８）の内側に反転した後、製品が移送される請求項１から３のいずれか一項に記載の方法。
5. アイソレーターの閉鎖体（２４、３８）を開いた後、容器（１０）の閉鎖体（１６）が、アイソレーター（１２）の内側から切り取られることによって開かれる請求項１から４のいずれか一項に記載の方法。
6. 使用する容器（１０）は、閉鎖容積（４０）に面する外側面が反射する閉鎖体（１６）を備える請求項１から５のいずれか一項に記載の方法。
7. 可撓な容器（１０）を使用し、この容器が弾性スリーブ取付け部分によってロック（２８）に結合される請求項１から６のいずれか一項に記載の方法。
8. 容器（１０）の閉鎖体（１６）を支持する半剛体フランジ（１４ｂ）をもつ容器（１０）が使用され、フランジ（１４ｂ）をロックの相補形フランジ（３０ａ）に嵌合させることによって容器がロック（２８）に結合される請求項１から７のいずれか一項に記載の方法。
9. 移送容器（１０）と殺菌したアイソレーター（１２）の間で殺菌した製品を移送する装置であって、
   容器の閉鎖体（１６）と、
   アイソレーターの閉鎖体（２４、３８）と、
   結合が完了したとき、容器の閉鎖体（１６）とアイソレーターの閉鎖体（２４、３８）との間に閉鎖容積（４０）を画定するために、容器（１０）をアイソレーター（１２）に結合する手段と、
   前記閉鎖容積（４０）を殺菌する手段（３２）とを含んでおり、
   アイソレーター（１２）の外側に連結されかつそのアイソレーターの閉鎖体（２４、３８）によってアイソレーターから通常分離されているロック（２８）をさらに含んでおり、前記ロックが、殺菌手段（３２）を含んでおり、閉鎖容積（４０）を画定することを特徴とする装置。
10. アイソレーターの閉鎖体が、ロック（２８）とアイソレーター（１２）の間に挿入される密封された二重ドア移送装置の二重ドア（２４、３８）を含んでいる請求項９に記載の装置。
11. ロック（２８）が、容器の閉鎖体（１６）とアイソレーターの閉鎖体（２４、３８）との間の閉鎖容積（４０）を画定する透明管（３０）を含んでおり、透明管（３０）を囲むパルス光殺菌手段（３２）からなる殺菌手段（３２）が使用される請求項９または１０に記載の装置。
12. 結合が完了し、容器の閉鎖体（１６）とアイソレーターの閉鎖体（２４、３８）が開いたとき、ロック（２８）の内側に反転することができる、容器（１０）の内部の保護スリーブ（１８）をさらに含んでいる請求項９から１１のいずれか一項に記載の装置。
13. 容器の閉鎖体（１６）をアイソレーター（１２）の内側から切り取ることができる請求項９から１２のいずれか一項に記載の装置。
14. 容器の閉鎖体（１６）が、閉鎖容積（４０）に面するように設計された反射する外側面を有する請求項９から１３のいずれか一項に記載の装置。
15. 容器（１０）が可撓な壁（１４）を有し、結合手段が、容器の閉鎖体（１６）を囲みかつロック（２８）にスリーブのように嵌合させることができる、壁の弾性部分（１４ａ）を含んでいる請求項９から１４のいずれか一項に記載の装置。
16. 容器（１０）が、容器の閉鎖体（１６）が取り付けられている半剛体フランジ（１４ｂ）を有し、ロック（２８）が容器のフランジと相補形のフランジ（３０ａ）を有し、そこに容器のフランジを挿入して結合手段を形成することができる請求項９から１４のいずれか一項に記載の装置。

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