JP4744123B2 - 無限遠設計対物光学系および無限遠光学ユニット - Google Patents
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本発明は、顕微鏡本体に取り付け、試料に近接あるいは接触させられる先端に配置された細径先端部を備えた鏡枠内に配置される無限遠設計対物光学系であって、物体側の前記細径先端部から像側の前記顕微鏡本体に向かって順に、少なくとも平行平板もしくは平凸レンズ成分を含み、少なくとも一部が前記細径先端部に配置された正屈折力の第1レンズ群と、少なくとも1枚の物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ成分を含む負屈折力の第2レンズ群と、少なくとも1組の接合レンズを含む正屈折力の第3レンズ群とを備え、以下の条件式(1)を満足する無限遠設計対物光学系を提供する。
(1) 0.25 < F 1 /F < 0.35
ここで、Fは、無限遠設計対物光学系全系の焦点距離、F 1 は、第1レンズ群の焦点距離である。
また、第3レンズ群は無限遠射出光にするために正の屈折力を持たせ、更に、接合面の凹パワーにより、第1,第2レンズ群で補正しきれなかった球面収差、色収差を始めとする諸収差を良好に補正することができる。
条件式(1)は、第1レンズ群における正屈折力と全体の屈折力との適切な値を規定している。条件式(1)の上限値を上回ると、第1レンズ群の屈折力が弱くなりすぎるため、光線高が大きくなり細径にできないとともに、球面収差が補正過剰になる。更に、全系の焦点距離が短くなるので倍率が上がり、観察範囲が狭くなってしまうので不都合である。逆に、条件式(1)の下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が強くなりすぎるので、球面収差が補正不足になるという不都合がある。
(2) 0.5 < LG1*n1/L < 0.6
ここで、LG1は、物体面から第1レンズ群の最終面までの距離、Lは、物体面から無限遠設計対物光学系の最終面までの距離、n1は、第1レンズ群のレンズ中で最も大きい屈折率である。
(3) 0.15 < |F2/F|−|t2/R12| < 0.45
ここで、Fは、無限遠設計対物光学系全系の焦点距離、F2は、前記第2レンズ群の焦点距離、t2は、第1レンズ群中最も像側に位置するレンズの像側面から第2レンズ群中最も像側に位置するレンズの像側面までの距離、R12は、第1レンズ群中最も像側に位置するレンズの像側の曲率半径である。
(5) 0.01 < |F1 2・NA/(F2・F)| < 0.03
ここで、Fは、無限遠設計対物光学系全系の焦点距離、F1は、第1レンズ群の焦点距離、F2は、第2レンズ群の焦点距離、NAは、無限遠設計対物光学系の開口数である。
条件式(5)の上限値を上回ると、第1レンズ群の屈折力が弱くなりすぎるため光線高が大きくなり細径にできないとともに、球面収差が補正過剰になるので不都合である。逆に、条件式(5)の下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が強くなりすぎるため、球面収差が補正不足になるので不都合である。また、第2,第3レンズ群を略アフォーカル光学系にすることで細径先端部分である第1レンズ群と第2レンズ群の先端部分を長くできるとともに、前記細径先端部分における光線の屈折量を比較的小さくできるので、収差発生量を抑えることができる。
本発明によれば、顕微鏡本体に取り付ける胴付き位置に設けられた取付ネジを備えることにより、通常の顕微鏡対物ユニットと互換性を備える無限遠光学ユニットとすることができる。また、細径先端部を備えることにより、観察対象に小さな開口部を設けるだけで、内部を観察することができる。その結果、観察対象に大きなダメージを与えることなく、長期間にわたる経時的な観察も、生きたままの状態で行うことができる。
ラットやマウス等の実験小動物の各種臓器を生きたままの状態(in vivo)で長期間観察するには、表皮や筋肉組織を切開するが、本発明によれば、対物光学系の細径部分を長くすることができ、より内部の臓器を観察することができる。
(4) 95 < F1/(φob・NAob) < 115
ここで、F1は、無限遠設計光学系の第1レンズ群の焦点距離、φobは、細径結像光学系の観察可能な範囲、NAobは、細径結像光学系の物体側の開口数である。
本実施形態に係る無限遠設計対物光学系1は、図1に示されるように、鏡枠3内に配置されている。鏡枠3には、該鏡枠3を顕微鏡本体(図示略)に取り付ける胴付き位置4に設けられた取付ネジ5と、試料Aに近接あるいは接触させられる先端に配置された細径先端部6とが備えられている。本実施形態に係る無限遠設計対物光学系1とこれを収容する鏡枠3とにより本実施形態に係る無限遠光学ユニット2が構成されている。
第1レンズ群G1は、平行平板L1を含み、全体として正の屈折力を備えている。
第2レンズ群G2は、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL4,L5を含み、全体として負の屈折力を備えている。
また、第3レンズ群G3は、2組の接合レンズL6,L7;L8,L9を含み、全体として正の屈折力を備えている。
また、第3レンズ群G3は無限遠射出光にするために正の屈折力を持たせ、更に、接合面の凹パワーにより、第1,第2レンズ群G1,G2で補正しきれなかった球面収差、色収差を始めとする諸収差を良好に補正することができる。
以下の条件式(1)〜(4)を満足することが好ましい。
(1) 0.25 < F1/F < 0.35
(2) 0.5 < LG1*n1/L < 0.6
(3) 0.15 < |F2/F|−|t2/R12| < 0.45
(4) 0.01 < |F1 2・NA/(F2・F)| < 0.03
Fは、無限遠設計対物光学系全系の焦点距離、
F1は、第1レンズ群G1の焦点距離、
F2は、前記第2レンズ群G2の焦点距離、
LG1は、物体面から第1レンズ群G1の最終面までの距離、
Lは、物体面から無限遠設計対物光学系1の最終面までの距離、
n1は、前記第1レンズ群G1のレンズ中で最も大きい屈折率、
NAは、無限遠設計対物光学系1の開口数、
R12は、第1レンズ群G1中最も像側に位置するレンズの像側の曲率半径、
t2は、第1レンズ群G1中最も像側に位置するレンズの像側面から第2レンズ群G2中最も像側に位置するレンズの像側面までの距離である。
(5) 95 < F1/(φob・NAob) < 115
ここで、
φobは、細径結像光学系の観察可能な範囲、
NAobは、細径結像光学系の物体側の開口数である。
第1〜第4の実施例においては、いずれも物体側の瞳位置は無限遠である。さらに、近赤外域まで収差を良好にとってあるので、近赤外光を用いて、試料の表皮だけでなく試料内部まで比較的小さい散乱で観察することができる。さらに、2光子励起にも使用することができる。
ただし、これら収差図において、(a)は球面収差、(b)は正弦条件違反量(OSC‘)、(c)は非点収差、(d)は歪曲収差を示す。また、Yは物体高、NAは開口数をそれぞれ示している。また非点収差図において、実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。
本実施例は、第1レンズ群G1の細径先端部の長さが約14mmと比較的長く、in vivo観察に適している。
本実施例の無限遠設計光学系1のレンズデータを表2に、断面図を図3に、収差図を図4に示す。
F=36.01
F1=11.26
F2=−61.67
L=47.83
LG1=15.25
t2=11.27
F1/F=0.313
LG1*n1/L=0.565
|F2/F|−|t2/R12|=0.164
第2の実施例は、第1の実施例と比べて、第2レンズ群G2を接合レンズとすることでレンズの空気接触面を減らし、光量の透過率を上げている。
本実施例の無限遠設計光学系1のレンズデータを表3に、断面図を図5に、収差図を図6に示す。
F=35.99
F1=10.32
F2=−15.27
L=46.96
LG1=15.08
t2=8.12
F1/F=0.287
LG1*n1/L=0.569
|F2/F|−|t2/R12|=0.424
第3の実施例は、正の屈折力を持った第1レンズ群G1と、略アフォーカル系の第2、第3レンズ群G2,G3とからなっている。ほぼアフォーカル系な構成とすることで先端細径部である第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の先端部分を細くできるとともに、収差発生量を抑えることができる。
本実施例の無限遠設計光学系1のレンズデータを表4に、断面図を図7に、収差図を図8に示す。
F1=5.44
F2=−5.18
NA=0.13
F=35.95
|F1 2・NA/(F2・F)|=0.0196
第4の実施例は、無限遠設計対物光学系1の試料A側の先端に、試料Aに近接あるいは接触させられる細径結像光学系10を配置した例である。ラットやマウス等の実験小動物の各種臓器を生きたままの状態(in vivo)で長期間観察するには、表皮や筋肉組織を切開するが、本実施例では対物光学系の細径部分を長くすることによって、より内部の臓器を観察することができる。
本実施例は、表5に示す細径結像光学系10を、第1の実施例の無限遠設計対物光学系1の試料A側先端に配置した場合を例に挙げて説明している。しかしながら、細径結像光学系10の仕様は、表5に限定されるものではない。また、細径結像光学系10とともに使用する無限遠設計対物光学系1としては、第1〜第3の実施例のいずれを採用してもよく、また他の仕様のものでもよい。
F1=11.26
φob=0.2
NAob=0.5
F1/(φob・NAob)=112.64
2 無限遠光学ユニット
3 鏡枠
4 胴付き位置
5 取付ネジ
6 細径先端部
A 試料
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
Claims (6)
- 顕微鏡本体に取り付けられ、試料に近接あるいは接触させられる先端に配置された細径先端部を備えた鏡枠内に配置される無限遠設計対物光学系であって、
前記細径先端部から前記顕微鏡本体に向かって順に、
少なくとも平行平板もしくは平凸レンズ成分を含み、少なくとも一部が前記細径先端部に配置された正屈折力の第1レンズ群と、
少なくとも1枚の物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ成分を含む負屈折力の第2レンズ群と、
少なくとも1組の接合レンズを含む正屈折力の第3レンズ群とを備え、
以下の条件式(1)を満足する無限遠設計対物光学系。
(1) 0.25 < F 1 /F < 0.35
ここで、
Fは、無限遠設計対物光学系全系の焦点距離、
F 1 は、第1レンズ群の焦点距離である。 - 以下の条件式(2)を満足する請求項1に記載の無限遠設計対物光学系。
(2) 0.5 < LG1*n1/L < 0.6
ここで、
LG1は、物体面から第1レンズ群の最終面までの距離、
Lは、物体面から無限遠設計対物光学系の最終面までの距離、
n1は、前記第1レンズ群のレンズ中で最も大きい屈折率である。 - 以下の条件式(3)を満足する請求項1または請求項2に記載の無限遠設計対物光学系。
(3) 0.15 < |F2/F|−|t2/R12| < 0.45
ここで、
Fは、無限遠設計対物光学系全系の焦点距離、
F2は、前記第2レンズ群の焦点距離、
t2は、第1レンズ群中最も像側に位置するレンズの像側面から第2レンズ群中最も像側に位置するレンズの像側面までの距離、
R12は、第1レンズ群中最も像側に位置するレンズの像側の曲率半径である。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の無限遠設計対物光学系と、
該無限遠設計対物光学系を収容する鏡枠とを備える無限遠光学ユニット。 - 前記無限遠設計対物光学系の先端側に、試料に近接あるいは接触させられる細径結像光学系を配置してなる請求項4に記載の無限遠光学ユニット。
- 以下の条件式(4)を満足する請求項5に記載の無限遠光学ユニット。
(4) 95 < F1/(φob・NAob) < 115
ここで、
F1は、無限遠設計光学系の第1レンズ群の焦点距離、
φobは、細径結像光学系の観察可能な範囲、
NAobは、細径結像光学系の物体側の開口数である。
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