JP4743592B2 - 長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料及び成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
質量部に対し、(C)繊維状強化材10〜200質量部を配合してなる構造体で、繊維状強化材(C)が実質上構造体と同一長さで構造体の長さ方向に実質的に平行配列している、長さ3mm以上の長繊維強化ポリオレフィン樹脂構造体が開示されている。
(1)ポリオレフィン樹脂(A):70〜90質量部とポリアミド樹脂(B):10〜30質量部とを含む熱可塑性樹脂と、強化繊維とを含有してなるプレス成形用の長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料であって、前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂(A):70〜90質量部とポリアミド樹脂(B):10〜30質量部とを含み、かつMFR(230℃、21.2N)70〜200g/10minを有し、前記強化繊維が、長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料100質量部に対して65〜80質量部含有され、かつ長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の平均径が0.2〜1.5mmであることを特徴とする長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料。
(2)ポリオレフィン樹脂(A)が、その一部又は全部が不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂である上記(1)に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料。
(3)ポリオレフィン樹脂(A)がポリプロピレン樹脂である上記(1)または(2)に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料。
(4)ポリアミド樹脂(B)がナイロン6である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料。
(5)強化繊維が、ガラス繊維である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料を、複数個ランダムに配置し、これを加熱下にプレスすることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形シート材料の製造方法。
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料を複数用い、これらを加熱した後または加熱しながら成形型にランダムに配置しプレスすることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
(8)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料を複数個用い、これらを散布堆積させる線状成形材料供給工程と、前記堆積した長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料に加熱ガスを通過させて線状成形材料を加熱溶融し溶融塊を形成する溶融塊形成工程と、前記溶融塊を成形型に供給しプレス成形して成形体を得る成形工程とを含むことを特徴とする長繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
(9)繊維強化熱可塑性樹脂成形品が安全靴用先芯である上記(7)又は(8)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
(10)上記(6)に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂成形シート材料を切出し、成形型に供給しプレス成形することを特徴とする安全靴先芯の製造方法。
(a)円形又は楕円形に近い断面形状を有する。これにより、線状成形材料を三次元的に配向して散布することが容易となり、このように散布されたものをプレス成形すると、強化繊維が三次元的に配向したシート材料又は成形品を得ることができる。また、強化繊維が三次元的に配向することにより、得られたシート材料を成形する際に、強化繊維が絡み合って樹脂と一体に流れやすくなり、強化繊維の分布が均一になるため、機械強度及び寸法安定性に優れた成形品を得ることができる。一方、線状成形材料の断面形状が極端に偏平又はテープ状の場合、均一に散布しても二次元的に配向しやすく、プレス成形する際に、強化繊維が絡んだまま流れにくいため、成形品中の強化繊維の分散性が劣り、期待する機械的強度を得ることができない場合がある。
(b)平均径が0.2〜1.5mmであり、好ましくは、0.2〜1.0mmである。これにより、散布の工程で線状成形材料を均一に分散させることができ、プレス成形したときに、強化繊維を均一に分布させることができる。また、プレス成形する際の成形流動性が良好で、強化繊維の分布が均一になるため、機械強度及び寸法安定性に優れたシート材料や成形品を得ることができる。
平均径が1.5mmを超えると、プレス成形したときに前記線状成形材料が粗く分散されるため、機械的強度が低いものしか得られない。また、平均径が0.2mm未満であると、線状成形材料を作成する工程が煩雑になり、線状成形材料の表面積が増えるため、成形時の成形流動性が劣る。
(c)強化繊維の含有率が65〜80質量%、より好ましくは65〜75質量%である。強化繊維の含有率が65質量%未満の場合は、補強効果が低く、80質量%を超える場合は、繊維を包むマトリックスの量が少なすぎ、後述する含浸率を95%以上に確保することが困難となる。
(d)熱可塑性樹脂の含浸率が95%以上である。これにより、成形する際にモノフィラメントレベルまで熱可塑性樹脂を含浸させる工程が不要となるため、高い成形圧が不要となり、成形時間を短縮することができる。熱可塑性樹脂の含浸率が95%未満であると、空隙部が欠陥となりやすく、成形品の表面外観が悪くなると共に、均一な機械的特性が得られなくなる。
なお、本発明における含浸率とは、長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料の断面を200倍の電子顕微鏡で観察し、20μmのメッシュをおいて、メッシュ中に少しでもボイド(空気の泡)が認められれば、このメッシュをボイド面積として加え、観察した全断面積とボイド面積とから以下の数式によって求めたものである。
{(全断面積−ボイド面積)/全断面積}×100(%)
(e)線状成形材料の平均長は10〜50mmとされる。平均長が10mm未満の場合には、強化繊維が短いため、最終的に得られる成形品の機械的物性が低下し、50mmを超える場合は、プレス成形時に線状成形材料を均一に散布することが困難になると共に、成形の際の成形流動性が劣り、強化繊維が均一に分散しにくい。
(f)線状成形材料の平均径(D)と平均長(L)の比(L/D)が好ましくは15〜100であり、特に好ましくは30〜80である。これにより、線状成形材料を堆積させたときに、より嵩高く散布することができ、得られるシート材料又は成形品中の強化繊維を三次元方向に配向させることがより容易になる。このため、成形の際に強化繊維が絡んだまま流れ、成形品の強化繊維の分散性が良好となり、期待する機械的強度を得ることができる。
a)長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料を複数用い、これを上記の散布方法等でランダムに散布し加圧または無加圧で、加熱することにより、シート状に溶融圧着する方法。シートは平板の成形品とすることも可能であり、また、このシートを成形材料として所定寸法に切り出して、再加熱して成形品を成形することもできる。
b)長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料を複数用い、成形型にランダムに配置した後、成形型内で、成形材料を加熱してプレスする方法。
c)長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料を複数用い、これらを加熱した後成形型に配置しプレスする方法。
c−1)長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料を複数個用い、これらを散布堆積させる線状成形材料供給工程と、前記堆積した長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料に加熱ガスを通過させて線状成形材料を加熱溶融し溶融塊を形成する溶融塊形成工程と、前記溶融塊を成形型に供給しプレス成形して成形体を得る成形工程とを含む方法。
が挙げられ、全ての方法により剛性、衝撃強度に優れる成形品が得られる。
上記a)の方法でシート状の成形材料または成形品を作成する場合は、本発明は、マトリックス樹脂としてポリアミド樹脂を用いているため、加熱による劣化をより受けやすいものの、加熱とほぼ同時に加圧してシートを作成することで線状成形材料にできるだけ熱を加えずに済むため、結果として得られる成形品は機械的強度に優れる。
実施例1
平均径13μmのモノフィラメントを用いて、スプリットをかけずに集束本数を6
00本とした1本のガラス繊維ストランドを、酸変性プリプロピレン樹脂を含んだポリプロピレン樹脂(MFR:200g/10min)70質量部とナイロン樹脂30質量部とからなる溶融した熱可塑性樹脂(MFR:100g/10min)の含浸浴中に導入した。
ポリプロピレン樹脂(MFR:200g/10min)60質量部とナイロン樹脂40質量部とからなる熱可塑性樹脂を使用した以外は、実施例1と同様の方法で長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材を得た。このときの熱可塑性樹脂のMFRは、90g/10min、生産性は○、平均径は0.49mm、ガラス含有率は75質量%、含浸率はn=5の平均値で99%であった。
次いで、該成形材料を用いて、実施例1と同様の方法で、成形、強度測定を行った。その平均値を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(MFR:200g/10min)80質量部とナイロン樹脂20量部とからなる熱可塑性樹脂可塑性樹脂を使用した以外は、実施例1と同等の方法で長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材を得た。このときの熱可塑性樹脂のMFRは、120g/10min、生産は◎、平均径は0.49mm、ガラス含有量は75質量%、含浸率はn=5の平均値で100%であった。
次いで、該成形材料を用いて実施例1と同様の方法で、成形、強度測定を行った。その平均値を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(MFR:200g/10min)90質量部とナイロン樹脂10質量部とからなる熱可塑性樹脂可塑性樹脂を使用した以外は、実施例1と同等の方法で長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材を得た。このときの熱可塑性樹脂のMFRは、140g/10min、生産は◎、平均径は0.49mm、ガラス含有量は75質量%、含浸率はn=5の平均値で100%であった。
次いで、該成形材料を用いて実施例1と同様の方法で、成形、強度測定を行った。その平均値を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(MFR:200g/10min)95質量部とナイロン樹脂5質量部とからなる熱可塑性樹脂可塑性樹脂を使用した以外は、実施例1と同等の方法で長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材を得た。このときの熱可塑性樹脂のMFRは、160g/10min、生産は◎、平均径は0.49mm、ガラス含有量は75質量%、含浸率はn=5の平均値で100%であった。
次いで、該成形材料を用いて実施例1と同様の方法で、成形、強度測定を行った。その平均値を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(MFR:200g/10min)40質量部とナイロン樹脂60質量部とからなる熱可塑性樹脂を使用した以外は、実施例1と同様の方法で長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材を得た。このときの熱可塑性樹脂のMFRは、60g/10min、生産性は×、平均径は0.49mm、ガラス含有率は75質量%、含浸率はn=5の平均値で96%であった。
次いで、該成形材料を用いて、実施例1と同様の方法で、成形、強度測定を行った
。その平均値を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(MFR:30g/10min)70質量部を使用した以外は、実施例1と同様の方法で長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材を得た。このときの熱可塑性樹脂のMFRは、20g/10min、生産性は×、平均径は0.49mm、ガラス含有率は75質量%、含浸率はn=5の平均値で94%であった。
次いで、該成形材料を用いて、実施例1と同様の方法で、成形、強度測定を行った
。その平均値を表1に示す。
一本のガラス繊維ストランドの集束本数を400本に変えた以外は、実施例1と同様の方法で長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材を得た。このときの熱可塑性樹脂のMFRは、100g/10min、生産性は◎、平均径は0.49mm、ガラス含有率は50質量%、含浸率はn=5の平均値で100%であった。
次いで、該成形材料を用いて、実施例1と同様の方法で、成形、強度測定を行った
。その平均値を表1に示す。
平均径13mmのモノフィラメントを用いて、スプリットをかけずに集束本数600本としたガラス繊維ストランドを18本束ねたガラス繊維束に変え、ノズルの内径を2.2mmに変えた以外は、実施例1と同様の方法で長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材を得た。このときの熱可塑性樹脂のMFRは、100g/10min、生産性は×、平均径は2.2mm、ガラス含有率は75質量%、含浸率はn=5の平均値で90%であった。
次いで、該成形材料を用いて、実施例1と同様の方法で、成形、強度測定を行った。その平均値を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂(MFR:200g/10min)100質量部に変えた以外は、実施例1と同様の方法で長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材を得た。このときの熱可塑性樹脂のMFRは、200g/10min、生産性は◎、平均径は0.49mm、ガラス含有率は75質量%、含浸率はn=5の平均値で100%であった。
次いで、該成形材料を用いて、実施例1と同様の方法で、成形、強度測定を行った
。その平均値を表1に示す。
Claims (10)
- ポリオレフィン樹脂(A):70〜90質量部とポリアミド樹脂(B):10〜30質量部とを含む熱可塑性樹脂と、強化繊維とを含有してなるプレス成形用の長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料であって、前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂(A):70〜90質量部とポリアミド樹脂(B):10〜30質量部とを含み、かつMFR(230℃、21.2N)70〜200g/10minを有し、前記強化繊維が、長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料100質量部に対して65〜80質量部含有され、かつ長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の平均径が0.2〜1.5mmであることを特徴とする長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料。
- ポリオレフィン樹脂(A)は、その一部又は全部が不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂である請求項1に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料。
- ポリオレフィン樹脂(A)がポリプロピレン樹脂である請求項1または2に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料。
- ポリアミド樹脂(B)がナイロン6である請求項1〜3のいずれかに記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料。
- 強化繊維が、ガラス繊維である請求項1〜4のいずれかに記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料を、複数個ランダムに配置し、これを加熱下にプレスすることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形シート材料の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料を複数用い、これらを加熱した後または加熱しながら成形型にランダムに配置しプレスすることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料を複数個用い、これらを散布堆積させる線状成形材料供給工程と、前記堆積した長繊維強化熱可塑性樹脂線状成形材料に加熱ガスを通過させて線状成形材料を加熱溶融し溶融塊を形成する溶融塊形成工程と、前記溶融塊を成形型に供給しプレス成形して成形体を得る成形工程とを含むことを特徴とする長繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
- 繊維強化熱可塑性樹脂成形品が安全靴用先芯である請求項7又は8に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
- 請求項6に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂成形シート材料を切出し、成形型に供給しプレス成形することを特徴とする安全靴先芯の製造方法。
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