JP4743525B2 - 浴槽台 - Google Patents

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Description

本発明は、浴室の洗い場や浴槽内において踏み台や腰掛け等として利用される浴槽台に関するものである。
一般に、浴槽台は、高齢者や障害者等によって、浴室の洗い場や浴槽内において踏み台や腰掛け等として利用されている。通常、浴槽台は、座面を有する台部と台部を支持する支持脚とを備えており、支持脚の下端部には、該下端部を覆うカバー部材が嵌め込まれている。浴槽台は、利用者を安全に補助するものでなければならず、特に、不意に動かないように構成する必要がある。
ところが、通常、洗い場の床面にはたくさんの水滴等が付着している。そのため、浴槽台を洗い場に設置する際、支持脚の下端部を覆うカバー部材と床面との間に水滴等が入り込み、カバー部材と床面との間に生じる摩擦力が低下して横滑りが生じるおそれがある。そこで、従来より、カバー部材の底面に複数の溝を形成し、カバー部材の裏側に、横滑りを防止するためのグリップ面を形成した浴槽台が提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該浴槽台によれば、カバー部材と床面との間の水滴等は、グリップ面の複数の溝に導かれてカバー部材と床面との間から排出される。これにより、水滴等によってグリップ面と床面との間の摩擦力が大きく低下することがなくなり、横滑りが防止される。
一方、浴槽内の湯中では、浴槽台は浮力を受ける。そのため、浴槽台を軽量化した場合、浴槽台の受ける浮力が重力に勝り、浴槽台が浮き上がることがある。また、浴槽台の比重を大きくした場合であっても、湯をかき混ぜたり追い炊きを行った場合に、湯が流動し、浴槽台が一時的に浮き上がってしまうことがある。そこで、従来より、カバー部材全体を単一の吸盤状に形成し、当該吸盤の吸着力によって浮き上がりを防止する浴槽台が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、カバー部材の底面の外周部に複数の吸盤を形成し、これら吸盤を床面に吸着させることによって浮き上がりを防止する浴槽台も提案されている。
また、洗い場等における横滑りと湯中における浮き上がりとの両方を防止するべく、カバー部材の底面に、複数の吸盤および複数の溝の両方を設けた浴槽台も提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に開示された浴槽台では、カバー部材の底面の中央部分には、複数の環状溝が同心円上に配列されている。そして、それら環状溝の外周部分に、複数の吸盤が同一円周上に配置されている。
意匠登録第1261511号公報 特開2001−314339号公報 特開2003−125966号公報
しかしながら、特許文献1に開示された浴槽台のように、カバー部材の底面全体をグリップ面とした浴槽台では、横滑りを十分に防止することはできるが、湯中における浮き上がりを防止することができない。
一方、特許文献2に開示された浴槽台のように、カバー部材を吸盤状に形成した浴槽台やカバー部材に吸盤のみを設けた浴槽台では、湯中における浮き上がりを防止することはできるが、横滑りが生じるおそれがある。
また、吸盤は、床面に強く押しつけられることによって、内部の空気が抜かれ、生じた負圧により床面に吸着する。そのため、吸盤を有する浴槽台では、吸盤内部から空気を確実に抜くために、設置時に浴槽台を水平に保ちながら床面に押しつけなければならず、面倒な作業が必要となる。複数の吸盤を有する浴槽台においては、傾いた姿勢で設置された場合、あるいは浴槽内の縁のような傾斜部を有する床面に設置する場合に、いずれかの吸盤の吸着が阻害されてしまうおそれがある。そのため、設置の際に浴槽台を床面に対して水平に保つことに細心の注意が必要となり、設置作業がより面倒となる。
また、カバー部材を吸盤状に形成した浴槽台やカバー部材に複数の吸盤を設けた浴槽台では、吸着力が大きくなりがちであり、使用後に浴槽台を持ち上げる際に、吸着力に打ち勝つような比較的大きな力が必要となる。さらに、吸着力が大きすぎると、浴槽台を持ち上げる際にカバー部材が支持脚から抜けてしまうおそれもある。
上述したように、特許文献3に開示された浴槽台では、カバー部材の底面に、複数の吸盤と複数の溝とが設けられている。しかしながら、当該浴槽台では、溝は底面の中央側のみに形成されている。そのため、横滑りを防止する部分(溝部分)の面積は、カバー部材の底面全体と比較して相当小さくなる。したがって、当該浴槽台では、横滑りを十分に防止することが難しい。
また、特許文献3に開示された浴槽台では、複数の吸盤は、カバー部材の底面の外周部に周状に配置されている。そのため、上述のように、設置の際には、すべての吸盤が均等に吸着するように、浴槽台を水平に保ちながら床面に押しつける慎重な作業が必要となり、設置作業が面倒となる。また、吸着力が強いため、吸盤の吸着を解除せずに浴槽台を床面から持ち上げると、カバー部材が支持脚から抜けてしまうおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、横滑りおよび浮き上がりの両方を防止することができ、設置作業および片づけ作業が容易な利便性の高い浴槽台を提供することにある。
本発明に係る浴槽台は、自沈式の浴槽台であって、座面を有する台部と、前記台部を支持する支持脚と、前記支持脚の下端部に嵌め込まれたカバー部材と、を備え、前記カバー部材の底面部における中央側には、吸盤が形成され、前記カバー部材の底面部における前記吸盤の外周側には、複数の溝が形成されたグリップ面が形成されているものである。
なお、ここで、上記「底面部における中央側」には、底面部の中心に限らず、中心から若干ずれた位置も含まれる。
上記浴槽台によれば、カバー部材のグリップ面は、カバー部材の底面部の外周側に形成されている。そのため、グリップ面の面積は比較的大きくなる。したがって、グリップ面によって、横滑りを十分に防止することができる。また、上記浴槽台によれば、カバー部材の底面部に吸盤が形成されている。吸盤はカバー部材の底面部の中央側に形成されているので、吸盤の面積は比較的小さく、それ自体の吸着力は必ずしも大きくはない。しかし、上記浴槽台は自沈式であるので、吸盤の吸着力だけでなく、自らの重量が浮き上がりを防止する力として作用する。そのため、自重と吸盤の吸着力との両方によって、湯中における浮き上がりが防止される。また、吸盤はカバー部材の底面部の中央側に形成されているので、底面部の外周側に形成されている場合と異なり、設置時にカバー部材が床面に対して多少傾いていたとしても、吸盤を床面に対して良好に吸着させることができる。したがって、設置作業が容易である。さらに、吸盤の吸着力は比較的小さいので、浴槽台を持ち上げるだけで吸着を解除することができ、また、浴槽台を持ち上げる際に、カバー部材が支持脚から抜けてしまうおそれもない。
ところで、通常、カバー部材にはゴム等が用いられ、カバー部材は金属のパイプ等からなる支持脚の下端部に直接嵌め込まれることが多い。しかし、これらゴム等は、湯中に長時間漬けておくと、温められて柔らかくなり、抜けやすくなる。また、上述したように、カバー部材に吸盤を設けた場合、吸盤の吸着力が強すぎると、カバー部材が床面から離れ難くなる。このような場合に、浴槽台を無理に引き上げると、カバー部材が支持脚から抜けてしまうことがある。
そこで、従来より、このようなカバー部材の脱落を防止するべく、ネジ等を用いてカバー部材を支持脚に固定する方法が提案されている。しかし、カバー部材は、経年使用により変形したり摩耗したりする。また、浴室内で使用されるため、水垢等の汚れが沈着する。そのため、安全面や衛生面より、浴槽台のカバー部材は、定期的に取り替える必要がある。しかし、上述のように、ネジ等を用いた浴槽台では、ネジ等を取り外さなければ、カバー部材を交換することができない。そのため、カバー部材の交換作業が面倒となる。
そこで、前記カバー部材は、内側に前記支持脚が嵌め込まれる略有底円筒形状の中キャップと、前記吸盤および前記グリップ面が形成された底面部を有し、内側に前記中キャップが嵌め込まれる略有底円筒形状の外キャップと、を備え、前記中キャップの外周面および前記外キャップの内周面のいずれか一方には第1の凸部が形成され、他方には前記第1の凸部に係合する第1の凹部が形成され、前記支持脚の外周面および前記中キャップの内周面のいずれか一方には第2の凸部が形成され、他方には前記第2の凸部に係合する第2の凹部が形成され、前記中キャップは、前記第1の凸部と前記第1の凹部とが係合することによって前記外キャップの内側に着脱自在に固定され、前記第2の凸部と前記第2の凹部とが係合することによって前記支持脚の外側に着脱自在に固定されている。
上記浴槽台によれば、カバー部材は、中キャップと外キャップとを備えており、第2の凸部と第2の凹部とが係合することによって、カバー部材は支持脚に固定されている。そのため、第2の凸部と第2の凹部との係合を解除しない限り、カバー部材は支持脚から外れないので、カバー部材が支持脚から脱落することが確実に防止される。一方、第2の凸部と第2の凹部との間の係合を解除することによって、カバー部材を支持脚から容易に取り外すことができる。したがって、カバー部材を容易に交換することが可能となる。また、第1の凸部と第1の凹部との間の係合を解除することによって、外キャップを中キャップから容易に取り外すことができる。ここで、摩耗や汚れの沈着が生じるのは、主に外キャップである。そのため、外キャップを中キャップから取り外し、外キャップのみを交換することによって、中キャップを繰り返し利用することができる。
前記複数の溝は略格子状に形成されていることが好ましい。
なお、ここでいう「略格子状」には、異なる方向に延びる溝(縦溝と横溝)同士が直交する場合だけでなく、斜めに交差する場合も含まれる。このことにより、上記浴槽台によれば、グリップ面と床面とに挟まれた水滴等を四方に導くことが可能となる。そのため、グリップ面と床面との間から水滴等を円滑に排出することができ、横滑りをより確実に防止することができる。
前記吸盤は、前記カバー部材の底面部に一つだけ形成されていることが好ましい。
このように、吸盤が一つしか設けられていない場合には、設置の際の作業がさらに容易となる。また、吸盤が複数個形成されている場合に比べると、吸着力がより小さくなる。そのため、過剰な吸着力を生じないので、浴槽台を持ち上げるだけで、吸盤を床面から容易に引きはがすことができる。したがって、浴槽台を容易に移動させることができる。
前記中キャップの側面部には、左側と右側とが切り欠かれるともに、上側および下側のいずれか一方が切り欠かれかつ他方を支点として揺動する切り欠き片が形成され、前記第1の凸部または前記第1の凹部は、前記切り欠き片に設けられていることが好ましい。
このことにより、切り欠き片が上側または下側を支点として揺動することにより、支持脚に対するカバー部材の着脱を容易に行うことができる。すなわち、支持脚を中キャップに挿入する際には、切り欠き片が支持脚の外周面によって外側に押され、外側に撓む。その結果、支持脚は中キャップ内に容易に挿入される。また、支持脚が所定の位置にまで挿入されると、切り欠き片が内側に戻り、第1の凸部と第1の凹部とが係合する。これにより、支持脚が中キャップ内にしっかりと固定される。一方、中キャップを支持脚から引き抜く際には、第1の凸部と第1の凹部との係合が解除され、切り欠き片は支持脚の外周面によって外側に押され、外側に撓む。その結果、中キャップは支持脚から容易に引き抜かれる。
前記中キャップの底面部および前記外キャップの底面部には、水抜き孔が形成されていることが好ましい。
このことにより、支持脚内や中キャップ内に浸入した水を水抜き孔を通じて円滑に排出することができ、水垢が支持脚や中キャップ等に沈着することを抑制することができる。
以上のように、本発明によれば、横滑りおよび浮き上がりの両方を防止することができ、面倒な設置作業等が不要な利便性の高い浴槽台を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態に係る浴槽台1の斜視図である。図1に示すように、浴槽台1は、座面を有する台部2と、台部2の下面に取り付けられ、台部2を支持する支持脚3と、を備えている。支持脚3は、ステンレス等の比重の大きな素材によって形成されている。なお、支持脚3の材料は金属に限らず、非金属であってもよい。支持脚3の下端部にはカバー部材50が嵌め込まれている。このカバー部材50は、支持脚3の下端部を覆うように取り付けられている。なお、浴槽台1は、いわゆる自沈式の浴槽台であり、全体の比重が1以上となるように設計されている。言い換えると、浴槽台1は、自重によって、浴槽内の湯中に沈み込むようになっている。
図2に示すように、カバー部材50は、中キャップ11と脚ゴム5とから構成されている。脚ゴム5は、中キャップ11を介して支持脚3に取り付けられている。脚ゴム5の内部には、中キャップ11が嵌合され、中キャップ11の内部には、支持脚3の下端部が嵌合されている。支持脚3には、後述の中キャップ11の突起部20(図2(b)参照)と係合する孔部7が設けられている。
図4(a)に示すように、中キャップ11は略有底円筒形状に形成されており、略円筒形状の側面部13と、略円板状の底面部14とを備えている。中キャップ11は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等のプラスチックにより形成されている。側面部13の下端部と底面部14の外周側端部とは連続しており、それらの内部に略円柱状の凹部15が形成されている。側面部13には、互いに対向する2つの矩形片19が設けられている。なお、中キャップ11は、矩形片19に適度な撓みをもたらすという点や耐熱特性に優れるという点より、ポリプロピレンにより形成することが特に望ましい。
矩形片19の左側、右側、下側には、それぞれ第1切り欠き孔16a、第2切り欠き孔16b、第3切り欠き孔16cが形成されている。すなわち、側面部13には、略鉛直方向に延びる第1切り欠き孔16aと、第1切り欠き孔16aと略平行に延びる第2切り欠き孔16bと、略水平方向に延びて第1切り欠き孔16aと第2切り欠き孔16bとに連続する第3切り欠き孔16cとが設けられている。第1〜第3切り欠き孔16a〜16cは、全体として略M字状の切り欠き孔16を形成している。図3に示すように、これら切り欠き孔16は、側面部13に2つ設けられ、互いに対向する位置に形成されている。また、底面部14には、側面部13の2つの切り欠き孔16に連続するように、2つの切り欠き部17が形成されている。図3および図4(b)に示すように、切り欠き孔16と切り欠き部17とは連続し、水抜き孔18を形成している。
図3、図4(a)および(b)に示すように、矩形片19の内周面側には、略円板状の突起部20が設けられている。突起部20は、図6(a)に示すように、下方にいくほど幅が大きくなるように形成されている。突起部20は、支持脚3の孔部7と係合する(図2参照)。このように突起部20と孔部7とが係合することにより、中キャップ11は支持脚3の外側に着脱自在に固定される。
図5(a)および(b)に示すように、側面部13の外周面には、略矩形状に凹んだ2つの凹部22が互いに対向するように設けられている。また、側面部13の外周面には、略円柱形状の突起部21が、凹部22に一部重なるように形成されている。図6(b)に示すように、突起部21は、上半分の幅は略等しくなっているが、下半分は下方にいくほど幅が小さくなるように形成されている。
図7(a)に示すように、脚ゴム5は、略有底円筒形状に形成されており、略円筒形状の側面部23と、略円板状の底面部24とを備えている。側面部23の下端部は下方にいくほど大径に形成されており、底面部24の上端部と滑らかに連続する。図7(b)に示すように、側面部23と底面部24とにより、脚ゴム5の内部には、略円柱状の凹部25が形成されている。また、側面部23には、2つの孔部26が互いに対向するように形成されており、これらの孔部26は中キャップ11の突起部21と係合する(図2(a)参照)。このように、突起部21と孔部26とが係合することにより、中キャップ11は脚ゴム5内に着脱自在に嵌め込まれている。
図7(b)および図8に示すように、底面部24の中央部には、円形状の窪み28が形成されている。窪み28の中央部には、1個の吸盤体29が形成されている。窪み28の径方向の外端部には、前述の中キャップ11の水抜き孔18と連通する水抜き孔30が形成されている(図2(b)参照)。
図8に示すように、底面部24の窪み28よりも外周側には、グリップ面32が形成されている。グリップ面32には、複数の溝31が形成されている。複数の溝31は格子状に形成されており、これらの溝31により、複数の矩形の突起部33が形成されている。グリップ面32は、複数の溝31と、複数の矩形の突起部33とにより凹凸状に形成されている。
なお、本明細書でいうゴムとは、広義の意味のゴムであり、ここでいうゴムには、狭義の意味でのゴムだけでなく、エラストマーも含まれる。本実施形態では、脚ゴム5は、常温でゴム状弾性を有するエラストマーを用いて、射出成型により一体成型されている。これにより、グリップ面32と吸盤体29とは一体的に成型される。ただし、脚ゴム5の材料はエラストマーに限らず、他のゴム(天然ゴム、合成ゴム等)であってもよい。なお、エラストマーの中でも、とりわけJISK6253Aスケールの硬さ40〜60の熱可塑性エラストマーが望ましい。
以上が浴槽台1の構成である。次に、浴槽台1の使用方法について説明する。
まず、浴槽台1を洗い場で踏み台または腰掛け等として使用する方法について説明する。この場合、始めに、浴槽台1を洗い場の床面上に載置する。すると、浴槽台1の自重によって、脚ゴム5の吸盤体29は床面に押しつけられ、床面に吸着する。なお、この際、吸盤体29をより確実に吸着させるために、浴槽台1を上から押さえつけるようにしてもよい。これにより、浴槽台1は洗い場の床面にしっかりと固定される。このとき、床面等に付着した水滴等は、脚ゴム5のグリップ面32に形成された複数の溝31により、外部へ導かれ、グリップ面32と床面との間から排除される。そのため、グリップ面32は滑り難くなり、浴槽台1の横滑りをより確実に防止することができる。
浴槽台1を浴槽内で使用する場合には、まず、浴槽台1を浴槽内の湯中に沈める。なお、浴槽台1は自沈式であり、全体の比重が1以上となるように形成されているため、浴槽台1を浴槽の床面に載置するだけで、浴槽台1を浴槽内に設置することができる。浴槽台1を浴槽の床面に載置すると、浴槽台1の自重によって、脚ゴム5の吸盤体29が床面に押しつけられ、床面に吸着する。なお、この場合にも、吸盤体29をより確実に吸着させるために、浴槽台1を上から押さえつけるようにしてもよい。これにより、浴槽台1は浴槽の床面にしっかりと固定される。よって、利用者は、浴槽台1の台部2の座面に座る等により、浴槽内にて浴槽台1を利用することができる。その際、追い炊きや湯をかきまぜることにより湯が激しく流動しても、浴槽台1を安心して利用することができる。
なお、浴槽台1を浴槽内に設置する場合、上述のように浴槽内に湯を張った後に浴槽台1を沈めるのではなく、浴槽内に湯を張る前に予め浴槽台1を設置しておいてもよい。この場合、浴槽内に湯が流入してくる際に、浴槽内の湯は激しく流動するが、浴槽台1は、自らの重量と脚ゴム5の吸盤体29とによって床面にしっかりと固定されているため、浮き上がることはない。
浴槽台1を片づける場合には、浴槽台1を洗い場または浴槽の床面から持ち上げる。この際、脚ゴム5の吸盤体29の吸着力は比較的小さいので、僅かな力で持ち上げるだけで、吸盤体29の吸着状態を容易に解除することができる。また、カバー部材50が支持脚3から抜けてしまうおそれもない。
以上のように、本実施形態に係る浴槽台1によれば、脚ゴム5の底面部24に、吸盤体29とグリップ面32とが形成されている。そのため、浴槽内の湯中に設置した場合であっても、吸盤体29が浴槽の床面に吸着することにより、浴槽台1の浮き上がりを防止することができる。また、グリップ面32によって、浴槽台1の横滑りを防止することができる。
ここで、グリップ面32は、脚ゴム5の底面部24の外周側に形成されており、吸盤体29の周囲を取り囲むように配置されている。そのため、グリップ面32を底面部24の中央側に設ける場合と比べて、グリップ面32の面積を大きく確保することができる。したがって、本浴槽台1によれば、横滑りを十分に防止することができる。一方、吸盤体29は、脚ゴム5の底面部24の中央側に形成されている。そのため、吸盤体29を底面部24の外周側に設ける場合に比べて、吸盤体29の面積は小さくなり、吸盤体29の吸着力は比較的小さくなる。したがって、吸盤体29が過度な吸着力を発揮しないので、浴槽台1を床面から容易に引きはがすことができる。なお、浴槽台1は自沈式であるので、吸盤体29の吸着力が比較的小さくても、浴槽台1の浮き上がりを防止することができる。また、吸盤体29を強い力で押しつけなくても、吸盤体29を床面にしっかりと固定することができる。このように、本実施形態によれば、横滑りおよび浮き上がりの両方を防止することができ、さらに、設置作業および片づけ作業が容易な利便性の高い浴槽台を実現することができる。
また、通常、浴槽台1に対しては、荷重が均一にかかることは少なく、いずれかの方向に偏ることが多い。とりわけ、踏み台として使用する場合、利用者の足が必ずしも座面の中央部にのらず、端部にのってしまうことがある。しかし、本実施形態によれば、吸盤体29の周囲にグリップ面32が形成されているので、脚ゴム5の外周部の一部に偏った荷重が集中的に加わっても、そのような荷重はグリップ面32に作用するので、吸盤体29に作用することはない。このように、本実施形態は、横滑りに弱いという吸盤体29の特質を考慮し、グリップ面32と吸盤体29とをバランスよく配置することとしたので、横滑りおよび浮き上がりの両方を効果的に防止することができる。
また、本浴槽台1のグリップ面32には、複数の溝31が格子状に形成されている。そのため、グリップ面32と床面とに挟まれた水滴等を四方に導き、素早くかつ円滑に排除することができる。したがって、本浴槽台1によれば、横滑りをより確実に防止することができる。
本浴槽台1の脚ゴム5では、吸盤体29は、底面部24の中央部分に一つだけ設けられている。脚ゴム5が吸盤体29を複数備えている場合には、当該浴槽台1を設置する際に、それらすべての吸盤体29が均一かつ適切に吸着するように、浴槽台1の姿勢を水平に保ちつつ設置作業を慎重に行う必要がある。しかし、本実施形態によれば、吸盤体29は底面部24に1個形成されているのみであるため、浴槽台1を傾いた姿勢で設置する場合であっても、吸盤体29を床面に吸着させることができる。そのため、浴槽台1の姿勢を水平に保つことに関して細心の注意を払わずに済み、設置作業が容易となる。また、吸盤体29は底面24の中央側に形成されているため、浴槽台1を浴槽の壁面付近に設置する際に、吸盤体29を、浴槽の縁の傾斜部でなく水平な床面上に吸着させることができる。そのため、本実施形態によれば、浴槽台1をより浴槽壁面近くに近づけて設置することが可能となる。さらに、本実施形態によれば、吸盤が複数形成されている場合に比べ、吸着力が小さい。そのため、浴槽台1を持ち上げる際に、脚ゴム5が支持脚3から抜け落ちてしまうおそれがない。
本浴槽台1によれば、カバー部材50は脚ゴム5と中キャップ11とからなり、いわゆる二重構造になっている。そして、中キャップ11は、中キャップ11の突起部21と脚ゴム5の孔部26とが係合することによって、脚ゴム5の内側に着脱自在に固定されている。また、中キャップ11は、支持脚3の孔部7と中キャップ11の突起部20とが係合することによって、支持脚3の外側に着脱自在に固定されている。そのため、脚ゴム5を、中キャップ11を介して支持脚3に安定して嵌着することができ、脚ゴム5の脱落を防止することができる。また、支持脚3の孔部7と中キャップ11の突起部20との係合を解除することにより、カバー部材50の全体を支持脚3から容易に取り外すことができる。そして、中キャップ11の突起部21と脚ゴム5の孔部26との係合を解除することにより、脚ゴム5を中キャップ11から容易に取り外すことができる。このように、本実施形態によれば、カバー部材50の交換が容易となる。また、脚ゴム5のみを交換することにより、中キャップ11を繰り返し利用することが可能となる。
中キャップ11の突起部20は、上側を支点として揺動する矩形片19に設けられている。そのため、支持脚3を中キャップ11内でスライドさせることにより、支持脚3の側面で矩形片19の下端部を押圧することができ、矩形片19を中キャップ11の径方向に僅かに撓ませることが可能となる。これにより、中キャップ11の着脱が容易となる。
本浴槽台1では、中キャップ11に水抜き孔18が形成され、脚ゴム5に水抜き孔30が形成されている。そのため、支持脚3内または中キャップ11内に浸入した水を外部に円滑に排出することができ、水垢が支持脚3や中キャップ11等に沈着することを抑制することができる。
本浴槽台1の支持脚3はステンレスによって形成され、脚ゴム5はゴムによって形成され、中キャップ11はプラスチックによって形成されている。そのため、脚ゴム5の滑り止め効果が高く、また、カバー部材50の着脱容易性の向上を図ることができる。ただし、これらの部材の素材は本実施形態のものに限定される訳ではない。
また、本浴槽台1の中キャップ11の突起部20は、下方にいくほど幅が大きくなるように形成されている。そのため、突起部20を、支持脚3の孔部7に係合させやすく、かつ、係合が外れにくく構成することができる。したがって、本浴槽台1によれば、中キャップ11を、支持脚3に嵌着容易であるが、抜けにくい構成とすることができる。
さらに、本浴槽台1の中キャップ11の突起部21は、上半分の幅は略等しく形成されているが、下半分は下方にいくほど幅が小さくなるように形成されている。そのため、突起部21を、脚ゴム5の孔部26に係合させやすく、かつ、係合が外れにくく構成することができる。したがって、本浴槽台1によれば、中キャップ11を、脚ゴム5に嵌着容易であるが、抜けにくい構成とすることが可能となる。
また、本浴槽台1では、中キャップ11の突起部21が形成されている側面部13の外周面に、略矩形状に凹んだ凹部22が設けられている。この凹部22により、中キャップ11の突起部21は、脚ゴム5の孔部26と係合する際、スムーズに案内され、係合しやすくなる。したがって、本浴槽台1によれば、脚ゴム5を支持脚3に容易に取り付けることが可能となる。
なお、本浴槽台1では、複数の溝31を格子状に形成していたが、溝31の形状は格子状に限定される訳ではない。溝31は、異なる方向に延びる縦溝と横溝とが互いに直交するものに限らず、互いに斜めに交差するものであってもよい。さらに、溝31は、略格子状に限られず、例えば、放射状等であってもよく、放射状の溝と環状の溝との組み合わせ等であってもよい。また、溝31は、本実施形態では直線形状に形成されていたが、波形状に形成されていてもよい。溝31の具体的形状は何ら限定されるものではない。
本実施形態では、吸盤体29は脚ゴム5の底面部24の中央側に一つだけ設けられていた。しかし、脚ゴム5の底面部24の中央側に、複数の吸盤を設けることも可能である。
本実施形態では、中キャップ11の外周面に第1の凸部(突起部21)が形成され、脚ゴム5の内周面に第1の凹部(孔部26)が形成されていた。しかし、中キャップ11と脚ゴム5との係合構造はこれに限定されず、例えば、中キャップ11の外周面に第1の凹部を形成し、脚ゴム5の内周面に第1の凸部を形成するようにしてもよい。また、本実施形態では、支持脚3の外周面に第2の凹部(孔部7)が形成され、中キャップ11の内周面に第2の凸部(突起部20)が形成されていたが、支持脚3の外周面に第2の凸部を形成し、中キャップ11の内周面に第2の凹部を形成することも可能である。
本実施形態では、矩形片19は、上側を支点として揺動するように形成されていた。しかし、矩形片19は、下側でなく上側が切り欠かれ、下側を支点として揺動するように形成されていてもよい。また、切り欠き片は、矩形状に形成されている必要はなく、他の形状であってもよい。
なお、本発明に係る吸盤は、本実施形態のように、丸い形状の吸盤体に限られない。また、本発明に係る吸盤は、一般的な吸盤に限らず、若干の吸着力を有する吸盤状のものであれば、いかなるものであってもよい。
以上説明したように、本発明は、浴室の洗い場や浴槽内において踏み台や腰掛け等として利用される浴槽台について有用である。
本実施形態に係る浴槽台の斜視図である。 カバー部材の下端部を示す縦断面図であり、(a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図である。 中キャップの横断面図である。 中キャップの縦断面図であり、(a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図である。 (a)および(b)は中キャップの側面図である。 (a)および(b)は中キャップの突起部を拡大して示す断面図である。 (a)は脚ゴムの側面図である。(b)は脚ゴムの縦断面図である。 脚ゴムの底面図である。
1 浴槽台
2 台部
3 支持脚
5 脚ゴム(外キャップ)
7 孔部(第2の凹部)
11 中キャップ
18 水抜き穴
19 矩形片(切り欠き片)
20 突起部(第2の凸部)
21 突起部(第1の凸部)
24 底面部
26 孔部(第1の凹部)
29 吸盤体(吸盤)
30 水抜き孔
31 溝
32 グリップ面
50 カバー部材

Claims (5)

  1. 自沈式の浴槽台であって、
    座面を有する台部と、
    前記台部を支持する支持脚と、
    前記支持脚の下端部に嵌め込まれたカバー部材と、を備え、
    前記カバー部材の底面部における中央側には、吸盤が形成され、
    前記カバー部材の底面部における前記吸盤の外周側には、複数の溝が形成されたグリップ面が形成され、
    前記カバー部材は、内側に前記支持脚が嵌め込まれる略有底円筒形状の中キャップと、前記吸盤および前記グリップ面が形成された底面部を有し、内側に前記中キャップが嵌め込まれる略有底円筒形状の外キャップと、を備え、
    前記中キャップの外周面および前記外キャップの内周面のいずれか一方には第1の凸部が形成され、他方には前記第1の凸部に係合する第1の凹部が形成され、
    前記支持脚の外周面および前記中キャップの内周面のいずれか一方には第2の凸部が形成され、他方には前記第2の凸部に係合する第2の凹部が形成され、
    前記中キャップは、前記第1の凸部と前記第1の凹部とが係合することによって前記外キャップの内側に着脱自在に固定され、前記第2の凸部と前記第2の凹部とが係合することによって前記支持脚の外側に着脱自在に固定されている、浴槽台。
  2. 前記複数の溝は略格子状に形成されている、請求項1に記載の浴槽台。
  3. 前記吸盤は、前記カバー部材の底面部に一つだけ形成されている、請求項1または2に記載の浴槽台。
  4. 前記中キャップの側面部には、左側と右側とが切り欠かれるともに、上側および下側のいずれか一方が切り欠かれかつ他方を支点として揺動する切り欠き片が形成され、
    前記第1の凸部または前記第1の凹部は、前記切り欠き片に設けられている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の浴槽台。
  5. 前記中キャップの底面部および前記外キャップの底面部には、水抜き孔が形成されている、請求項1〜4のいずれか一つに記載の浴槽台。
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