JP4742186B2 - においセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、湿式で人間の嗅覚器の鼻粘膜の状態でにおいを検知するにおいセンサに関するものである。
βカロチンの微結晶のパウダーをサンドイッチ状に2枚の電極ではさみ、その電気伝導度を様々なガス中で測定するとエタノールやアンモニアやアセトンなど、我々が匂いとして感じるガスではβカロチンのパウダーの電気伝導度は著しく増加することが1961年にRosenbergらによって確認されている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、一般的に、酸化物半導体を使用した酸化物半導体型においセンサが知られている。酸化物半導体型においセンサは、半導体表面上ににおい分子が吸着・反応した際の半導体の抵抗値の変化を検出する仕組みを利用したものである。酸化物半導体型は、周囲の温度・湿度の影響を除去するために、酸化物半導体をヒーターによって高温(約500℃)に加熱するものが開発されている。しかし、構造が複雑であり、小型化が困難であり、製造コストが高価となる。
その他に、におい分子が吸着すると水晶振動子の共振周波数が変化する仕組みを利用した水晶振動子型においセンサが知られている。
浅井博著「匂い検出器」、固体物理 Vol.10, No.7,pp369-373(1975) 三田地、近藤、佐々木、杉本著「ニオイセンサー用最適乾燥剤の選定」第50回応用物理学連合講演会、29p-B-13(2003.3.29)
しかしながら、図1に示すように、βカロチンの微結晶のパウダーを使用したにおいセンサは、反応速度が遅く(約40分)、発生電流が10μA以下で微弱であるなど、実用には耐えないものであった。また、βカロチンは酸化しやすく、長期使用に耐えられないという欠点があった。
また、酸化物半導体を使用した酸化物半導体型においセンサは、前述のように酸化物半導体をヒーターによって高温(約500℃)に加熱するための装置が必要であるので、構造が複雑、小型化が困難、製造コストが高価という欠点があった。
また、水晶振動子型においセンサは、大気中の水分にも反応するといった欠点を有するため、高温で使用するためのヒーターあるいは乾燥剤が必要であった(例えば、非特許文献2参照)。また、振動を常時誘起する装置が必要であるので、小型化が困難、製造コストが高価という欠点があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、酸化物半導体や水晶振動子を使用せずに、大気中の水分の影響を受け難い、すなわちヒーターを必要としない、構造が簡単で製造コストの安価な、反応速度の速い、湿式で人間の嗅覚器の鼻粘膜の状態に近いバイオミメティックなにおいセンサを提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明の第1の側面は、βカロチンと該βカロチンの酸化を防止する還元剤とを粘稠な液体に分散させた混合物質と、前記混合物質と接して配置された陰極電極および陽極電極とを備えたことを特徴とする。この構成によれば、湿式で人間の嗅覚器の鼻粘膜の状態に近い、バイオミメティックなにおいセンサの提供が可能となる。また、この構成のバイオミメティックなセンサを用いて、さまざまなにおいにすばやく反応するセンサを提供することが可能となる。
本発明の第2の側面は、前記還元剤は、チオ硫酸ナトリウム(Na)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド燐酸(NADPH)、Na(HPO)およびL−アスコルビン酸のいずれかの還元剤であることを特徴とする。この構成によれば、βカロチンの酸化によるセンサの劣化を抑制することができ、長期使用に耐え得るにおいセンサの提供が可能となる。
本発明の第3の側面は、前記粘稠な液体は、粘性が高くかつ極性の高い液体であることを特徴とする。
本発明の第4の側面は、前記粘性が高くかつ極性の高い液体は、グリセリンであることを特徴とする。この構成によれば、製造コストが安価なにおいセンサの提供が可能となる。
本発明の第5の側面は、粘性調整剤としてエタノールをさらに混合したことを特徴とする。粘性を調整しつつ、反応速度の速いにおいセンサの提供が可能となる。
本発明の第6の側面は、前記陰極電極と前記陽極電極とを対向させ、前記混合物質を挟んだ構造であることを特徴とする。
本発明の第7の側面は、前記陰極電極は銅板または白金板であり、前記陽極電極はメッシュ状のステンレスの網であり、前記陰極電極と前記陽極電極とが対向していることを特徴とする。この構成によれば、検出感度の低下を防止し反応速度の速いにおいセンサの提供が可能となる。
以下に説明するように、本発明によれば、酸化物半導体や水晶振動子を使用せずに、大気中の水分の影響を受け難い、すなわちヒーターを必要としない、構造が簡単で製造コストの安価な、反応速度の速い、湿式で人間の嗅覚器の鼻粘膜の状態に近いバイオミメティックなにおいセンサを提供することが可能となる。また、この構成のバイオミメティックなセンサを用いて、さまざまなにおいにすばやく反応するセンサを提供することが可能となる。
図1は、浅井博「匂い検出器」、固体物理 Vol.10, No.7,pp369-373(1975)によって示されている、乾式タイプにβカロチンにおいセンサの応答速度を示す図である。 図2は、本発明で用いたβカロチンの化学構造式を示す図である。 図3は、本発明の実施形態のにおいセンサの構成図である。 図4は、本発明の実施形態のにおいセンサを用いたにおい測定装置構成図である。 図5Aは、相対湿度40%において、本発明のにおいセンサを用いてアンモニアのにおいを測定した結果を示す電流応答経時変化グラフである。 図5Bは、相対湿度70%において、本発明のにおいセンサを用いてアンモニアのにおいを測定した結果を示す電流応答経時変化グラフである。 図6は、本発明のにおいセンサを用いてトリメチルアミンのにおいを測定した結果を示す電流応答経時変化グラフである。 図7は、本発明のにおいセンサを用いてブタノールのにおいを測定した結果を示す電流応答経時変化グラフである。 図8は、本発明のにおいセンサを用いてプロパノールのにおいを測定した結果を示す電流応答経時変化グラフである。 図9は、本発明のにおいセンサを用いて2−フェニルエタノールのにおいを測定した結果を示す電流応答経時変化グラフである。 図10は、本発明のにおいセンサを用いてゲラニオールのにおいを測定した結果を示す電流応答経時変化グラフである。 図11は、図3の銅板16を白金板に置き換えたにおいセンサを用いて、アンモニアのにおいを測定した結果を示す電流応答経時変化グラフである。 図12Aは、図3のガラスカバー14の形状例を示す図である。 図12Bは、図3のガラスカバー14の形状例を示す図である。 図12Cは、図3のガラスカバー14の形状例を示す図である。 図13Aは、図3のガラスカバー14を図12Aのスペーサーに置き換えたにおいセンサを用いて、アンモニアのにおいを測定した結果を示す電流応答経時変化グラフである。 図13Bは、図3のガラスカバー14を図12Bのスペーサーに置き換えたにおいセンサを用いて、アンモニアのにおいを測定した結果を示す電流応答経時変化グラフである。 図13Cは、図3のガラスカバー14を図12Cのスペーサーに置き換えたにおいセンサを用いて、アンモニアのにおいを測定した結果を示す電流応答経時変化グラフである。 図14は、図3に示すにおいセンサを用いて、照明のない場所でアンモニアのにおいを測定した結果を示す電流応答経時変化グラフである。 図15Aは、βカロチンを用いた乾式法のにおいセンサと本発明のにおいセンサ(湿式法)との性能比較図である。 図15Bは、βカロチンを用いた乾式法のにおいセンサと本発明のにおいセンサ(湿式法)との性能比較図である。 図15Cは、βカロチンを用いた乾式法のにおいセンサと本発明のにおいセンサ(湿式法)との性能比較図である。 図16は、本発明のにおいセンサ(湿式法)のセンサ応答原理図である。 図17は、本発明のにおいセンサ(湿式法)の拡大模式図である。
符号の説明
10 センサ
12 混合物質
14 絶縁物のカバーガラス(スペーサー)
16 銅板
18 メッシュ状のステンレス(ステンレスメッシュ)
18’ メッシュ状の白金(白金メッシュ)
20a、20b リード線
30 センサ
32 デシケータ
34 定電圧源
36 デジタルマルチメータ
38 コンピュータ
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るセンサ10の構成を示す図である。一実施形態では、センサ10は、βカロチンとβカロチンの酸化を防止する還元剤とを粘稠な液体に分散させた混合物質12に、陰極電極16および陽極電極18が接するように配置されている。
一実施形態では、混合物質12は、周囲を絶縁物のカバーガラス14で覆い囲んだ銅板(あるいは、白金板、金板、亜鉛板、ステンレス板、ニッケル板、錫板のいずれかの金属板)16上にキャストされ、細かいメッシュ状のステンレスメッシュ(あるいは、白金、金、銅、亜鉛、ステンレス、ニッケル、錫のいずれかの金属メッシュまたは多孔形状板)18で覆われている。銅板16およびステンレスメッシュ18にはそれぞれリード線20b、20aが接続されている。銅板16およびステンレスメッシュ18は対向して配置されているが、配置はこれに限られるものではない。
図2は、βカロチンの化学構造式を示す図である。βカロチンは、緑色植物にはすべて存在する非常にありふれた物質であり、多くの高等動物の諸臓器、脂肪、嗅覚器官にも存在している。二重結合が1つおきにある炭化水素鎖がならんでいて、その両端に環状構造が存在する。色は暗紫赤色をしており融点は183℃、ベンゼン、石油ベンジン、クロロホルムに可溶の物質である。
混合物質12には、βカロチンが大気中の酸素で酸化されないようにするために還元剤が含まれている。例えば、混合物質12には還元剤としてチオ硫酸ナトリウム(Na )が含まれている。βカロチンの酸化を防止する還元剤の別の例としては、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド燐酸(NADPH)、Na(HPO)またはL−アスコルビン酸などであってもよい。
また、グリセリンとエタノールを混合物質中で用いることにより、大気中の湿度の影響を受け難い湿式のにおいセンサを実現することができる。また、エタノールを混合物質中で用いることによりセンサの反応速度を向上することができる。
粘稠な液体は、粘性が高くかつ極性の高い液体であり、好ましくは粘度が1.2Pa.s(パスカル・秒)(=1200cP(centi-poise))のグリセリンであるが、これに限られない。エタノール濃度、βカロチンおよび還元剤により混合物質の粘性を0.1Pa.s(=100cP)から1.5Pa.s(=1500cP)の範囲で調整できればよい。
以上の構成により、酸化物半導体または水晶振動子、およびヒーターを使用せずに、大気中の水分の影響を受け難い、構造が簡単な、製造コストの安価な、反応速度の速い、湿式で人間の嗅覚器の鼻粘膜の状態に近いバイオミメティックなにおいセンサを提供することが可能となる。
図4は、上記においセンサ10のにおいに対する反応を調べるための測定装置の構成を示す図である。センサ10は、ガラス製のデシケータ32内に設置されている。ガラス製のデシケータ32の底部には、測定対象となるにおい成分を含む液体を導入するためのホース40が設けられている。また、デシケータ32は二階構造になっており、一階部分ににおい成分を含む液体が、2階部分にセンサ10が設置され両者は空気中の拡散以外の方法では直接触れないように構成されている。センサ10の銅板16に接続されたリード線20bは、銅板16が陰極電極となるように、デジタルマルチメータ36を介して定電圧源34に接続されている。ステンレスメッシュ18に接続されたリード線20aは、ステンレスメッシュ18が陽極となるように、定電圧電源34に接続されている。デジタルマルチメータ36からの出力を記録するためのコンピュータ38が連結されている。βカロチン112mgと良く粉砕したチオ硫酸ナトリウム9.9mgとをグリセリン5mlとエタノール5mlの混合溶液に混ぜよく攪拌して均一に分散させた粘稠なゾル状の液体12を、図3に示すように周囲を絶縁物のカバーガラス14で覆い囲んだ銅板16上にキャストし、この上部を細かいメッシュ状のステンレスメッシュ18で覆いにおいセンサとした。センサ10の陰極電極と陽極電極の間には、4Vのバイアスをかけた。
暗電流が一定になるのを待って、におい成分である45%アンモニア水を1ml、デシケータの底部にデシケータに予め設置していたホース40を用い外部より導入した。
図5Aは、相対湿度40%の比較的乾燥した2月の冬の時期の測定結果を示す図である。アンモニア水導入時刻は12時38分である。アンモニア水導入後からスパーク状の電流値変化が観測されている。これは、アンモニアがグリセリン液内に拡散しβカロチンに吸着・反応してプラスとマイナスの要素を持つキャリアをグリセリン内に形成して導電性の変化を引き起こし、瞬間的に電流値が増大すると(キャリアが走行すると)再び基の暗電流値に戻るという繰り返し反応を起こしていると考えられる。発生したにおいによるピーク電流は約18mAである。繰り返しのパルスの立ち上がり時間が5秒、立下り時間が5秒であり、反応速度(応答開始時間)は1分未満(例えば、40秒)である。
図5Bは、相対湿度70%の雨上がりの日の測定結果を示す図である。図5Aと同様のパルスが観測され、本発明のにおいセンサが湿度条件に無関係に良好な応答をにおいに対し示すことがわかる。
また、アンモニア導入時間は12時00分であり、導入以前に全く電流の発生が見られないことから、各パルス状のピーク電流はにおい成分に反応した応答電流であることがわかる。銅板の替わりに白金版を用いた場合、電流値は数十倍に増大し、数百mAに達した。この現象は、銅板の替わりに金板を用いた場合でも同様である。銅板の替わりに亜鉛板、ステンレス板、ニッケル板、錫板などのいずれの金属板を用いることができるが、センサの寿命および安定性の観点から白金版または金板が有効である。
図6は、実施例1と同じセンサ10のにおい成分トリメチルアミンに対する応答を示す図である。におい成分であるトリメチルアミン1mlを5ccの秤量瓶に入れ蓋をして蓋には糸で外部より蓋が外れるように構成し、図4に示したガラス製デシケータ32内に設置したこと以外は、実施例1と同じ測定装置構成である。4Vのバイアスをかけた。
暗電流が一定になるのを待って、外部より糸を引いて秤量瓶の蓋を外し、におい成分であるトリメチルアミンをデシケータ内に導入した。実施例1と同様に、空気中の拡散以外の方法ではにおいセンサとにおい成分であるトリメチルアミンは直接触れない。トリメチルアミンの導入時刻は、11時45分である。
トリメチルアミン導入後、図6に示すような電流値変化が観測された。これは、トリメチルアミンがグリセリン液内に拡散しβカロチンに吸着・反応してプラスとマイナスの要素を持つキャリアをグリセリン内に形成しで導電性の変化を引き起こし、緩やかな電流値増大を引き起こすと(キャリアが走行すると)再び基の暗電流値に戻るという繰り返し反応を起こしていると考えられる。
発生したにおいによるピーク電流は約50μAである。繰り返しのパルスの立ち上がり時間が10秒、立下り時間が40秒であり、応答速度は2分である。
図7は、実施例1と同じセンサ10のにおい成分ブタノールに対する応答を示す図である。実施例2と同様ににおい成分であるブタノール1mlを5ccの秤量瓶に入れ蓋をして蓋には糸で外部より蓋が外れるように構成し、図4に示したガラス製デシケータ32内に設置した。センサ10には、実施例1および2と同じ4Vのバイアスをかけた。
暗電流が一定になるのを待って、外部より糸を引いて秤量瓶の蓋を外し、におい成分であるブタノールをデシケータ内に導入した。ブタノールの導入時刻は14時30分である。空気中の拡散以外の方法ではにおいセンサとにおい成分であるブタノールは直接触れない。
ブタノール導入後からは図7に示すような電流値変化が観測された。これは、ブタノールがグリセリン液内に拡散しβカロチンに吸着・反応して導電性の変化を引き起こし、緩やかな電流値増大を引き起こすと(キャリアが走行すると)再び基の暗電流値に戻るという繰り返し反応を起こしていると考えられる。
発生したにおいによるピーク電流は約20μAである。繰り返しのパルスの立ち上がり時間が10秒、立下り時間が50秒であり、応答速度は40秒である。
実施例4では、βカロチン112mgと還元剤である還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド燐酸(NADPH)1mgをグリセリン5mlとエタノール5mlの混合溶液に混ぜよく攪拌して均一に分散させた粘稠なゾル状の液体を図3に示すように周囲を絶縁物のカバーガラスで覆い囲んだ白金板上にキャストし、この上部を細かいメッシュ状のステンレスの網で覆ったセンサ10の例を説明する。図8は、実施例4のセンサ10のにおい成分プロパノールに対する応答を示す図である。実施例2および3と同様に、におい成分であるプロパノール1mlを5ccの秤量瓶に入れ蓋をして蓋には糸で外部より蓋が外れるように構成し、図4に示したガラス製デシケータ32内に設置した。白金板に接続されたリード線20bは、白金板が陰極電極となるように、デジタルマルチメータ36を介して定電圧電源34に接続されている。ステンレスメッシュ18に接続されたリード線20aは、ステンレスメッシュ18が陽極となるように、定電圧電源34に接続されている。実施例1と同様にデジタルマルチメータにはパソコンが連結されている。センサ10には、4Vのバイアスをかけた。
暗電流が一定になるのを待って、外部より糸を引いて秤量瓶の蓋を外し、におい成分であるプロパノールをデシケータ内に導入した。実施例1ないし3と同様に、空気中の拡散以外の方法ではにおいセンサとにおい成分であるプロパノールは直接触れない。プロパノールの導入時刻は14時48分である。
プロパノール導入後は、図8に示すように電流値変化が観測された。これは、プロパノールがグリセリン液内に拡散しβカロチンに吸着・反応して導電性の変化を引き起こし、緩やかな電流値増大を引き起こすと(キャリアが走行すると)再び基の暗電流値に戻るという繰り返し反応を起こしていると考えられる。発生したにおいによるピーク電流は133μAであった。繰り返しのパルスの立ち上がり時間が10秒、立下り時間が45秒であり、応答速度は15分14秒である。
図9に、実施例1と同じ測定装置を用いて、2−フェニルエタノールに対する反応を調べた結果を示す。2−フェニルエタノールの導入時刻は13時20分である。応答速度は2分55秒であった。ピーク電流は、1.62mAであった。
図10に、実施例1と同じ測定装置を用いて、ゲラニオールに対する反応を調べた結果を示す。ゲラニオールの導入時刻は16時46分である。応答速度は5分37秒であった。ピーク電流は、85μAであった。
図11に、実施例1で用いた銅板16を白金板に置き換えた測定装置を用いて、アンモニアに対する反応を調べた結果を示す。アンモニアの導入時刻は16時57分である。応答速度は55秒であった。ピーク電流は、300mAであった。
図12A、図12Bおよび図12Cに、図3に示した絶縁物のカバーガラス14の形状の例を示す。この絶縁物は、混合物質に接して設けられた陰極電極と陽極電極の接触を防ぐために設けられている。この絶縁物を本明細書中ではスペーサーともいう。図12Aに示すスペーサーに設けられた窓は、スペーサー全体の29.0%である。図12Bに示すスペーサーに設けられた窓は、スペーサー全体の6.5%である。図12Cに示すスペーサーに設けられた窓は、スペーサー全体の3.1%である。
図13A、図13Bおよび図13Cに、図12A、図12Bおよび図12Cに示したスペーサーを用いたにおいセンサを用いて、実施例1で用いた測定装置の構成でアンモニアに対する反応を調べた結果をそれぞれ示す。
図14に、照明のない場所で実施例1に示す測定装置の構成を用いて、アンモニア対する応答を調べた結果を示す。本発明のにおいセンサは、照明のない場所では、照明下に比べ(図5A)、応答が良いことがわかる。また、照明下では、においセンサの寿命が短くなることから、照明のない場所で使用することが望ましい。
ステンレスメッシュ18を用いたにおいセンサおよび白金メッシュ18’を用いた各においセンサの寿命測定実験をおこなった。寿命測定実験の条件は、それぞれのにおいセンサのαメッシュの素材が異なることを除き、他の条件は実施例1に示した条件と同じである。ただし、白金メッシュ18’を用いる場合は、該白金メッシュ18’の対極に、白金板を用いた。寿命実験では、毎日午前10時と午後3時に、45%アンモニア水を1ml追加して、各においセンサの応答を観測した。ステンレスメッシュ18を用いたにおいセンサは1週間で応答がなくなり、白金メッシュ18’を用いたにおいセンサは1ヶ月以上応答し続けた。
図15A、図15Bおよび図15Cに、従来のβカロチンパウダーを電極で挟んだセンサのメタノールに対する反応、上記実施例に示した本発明の各におい成分に対する反応、およびその他のにおい成分に対する本発明のにおいセンサの反応をまとめて示す。
以上、本発明のにおいセンサは、図15A、図15Bおよび図15Cに示すように、従来のβカロチンパウダーを電極で挟んだセンサに比べ、応答速度が約60倍、応答能力が約1000倍である。また、本発明のにおいセンサは、応答開始時間やピーク電流などに相違があるが、種々のにおいに反応することができる。
また、本発明にかかるにおいセンサの原理は、図16に示すように、従来のβカロチンの微結晶のパウダーを電極で挟んだセンサと同様に、におい物質のβカロチンとの吸着・反応により導電性の変化が電流応答の変化となって検知されていると考えられる。本発明にかかるにおいセンサと従来のβカロチンの微結晶のパウダーを電極で挟んだセンサとの相違点は、図17に示すように、本発明に係るにおいセンサが、βカロチンとβカロチンの酸化を防止する還元剤としての例えばチオ硫酸ナトリウムとを粘稠な液体である例えばグリセリンに分散させた混合物質を備えている点である。つまり、従来のβカロチンの微結晶のパウダーを電極で挟んだセンサは乾式であるのに対し、本発明に係るセンサは湿式である。即ち、従来法の乾式が固相反応で反応速度が遅いのに対し、本発明に係るにおいセンサは湿式であるため、人間の嗅細胞が粘膜で包まれているのと同様に粘い液体内での液相反応となるため比較的速い応答特性と効率の良い応答(高い応答電流)特性を有するにおいセンサを提供することができる。

Claims (8)

  1. においに感応して電気伝導度が変化するにおいセンサであって、
    βカロチンと該βカロチンの酸化を防止する還元剤とを粘稠な液体に分散させた混合物質と、
    前記混合物質と接して配置された陰極電極および陽極電極と
    を備えたことを特徴とするにおいセンサ。
  2. 前記還元剤は、チオ硫酸ナトリウム(Na)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド燐酸(NADPH)、Na(HPO)およびL−アスコルビン酸のいずれかの還元剤であることを特徴とする請求項1に記載のにおいセンサ。
  3. 前記粘稠な液体は、粘性が高くかつ極性の高い液体であることを特徴とする請求項1または2に記載のにおいセンサ。
  4. 前記粘性が高くかつ極性の高い液体は、グリセリンであることを特徴とする請求項3に記載のにおいセンサ。
  5. 粘性調整剤としてエタノールをさらに混合したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のにおいセンサ。
  6. 対向する前記陰極電極と前記陽極電極とにより前記混合物質を挟んだ構造であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のにおいセンサ。
  7. 前記陰極電極は銅板または白金板であり、前記陽極電極はメッシュ状のステンレスの網であり、前記陰極電極と前記陽極電極とが対向していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のにおいセンサ。
  8. 前記陰極電極は銅板または白金板であり、前記陽極電極はメッシュ状の白金の網であり、前記陰極電極と前記陽極電極とが対向していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のにおいセンサ。
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