JP4741823B2 - マイクロリアクターを用いたカルボニル化合物の製造法 - Google Patents

マイクロリアクターを用いたカルボニル化合物の製造法 Download PDF

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本発明は、脱離基を有する有機化合物と一酸化炭素を用いて、カルボニル化合物を製造する方法に関する。
カルボニル化反応は、一酸化炭素をカルボニル基として有機化合物に導入する事を可能とする基本的かつ重要な反応である。脱離基を有する有機化合物を一酸化炭素によりカルボニル化し、対応するカルボニル化合物を得る反応は、特に医薬や農薬の分野において有用である。
カルボニル化合物を得る従来技術としては、非特許文献1に、バッチ方式での反応が開示されている。
(ステンレス製オートクレーブを用いたラジカルホルミル反応)
Figure 0004741823
しかし、この従来技術には次のような問題がある。
第一に、生成物を連続生産することが困難であるという問題がある。気体である一酸化炭素を用いる反応は、通常高圧条件が必要であり、ステンレス製圧力容器を用いて実施される。常圧反応容器と異なり気体の漏れを起こさないように蓋等を締め付ける必要があり、連続的に原料仕込み、反応液取り出しに多くの時間を要するという問題がある。
また、高圧条件化で行われることから、工業的に行う場合に爆発の危険がある。
第二に、安全性が低いという問題がある。一酸化炭素には強い毒性があり、少量でも吸入すると命の危険にさらされる。バッチ方式では一酸化炭素を反応容器に充填、抜き出しの際吸引する危険性が非常に高いという問題がある。すなわち、バッチ方式で一酸化炭素を用いるカルボニル化反応を工業的に行うことは、安全性の問題及び危険を伴う。
第三に、生産性が低いという問題がある。安全性の点から、反応試薬溶液の仕込量は圧力容器の全容積の1/3程度に制限される。これ以上反応試薬溶液を仕込むと、一酸化炭素を抜き出しの際反応試薬溶液の噴出の危険性がある。このため生産性が非常に低いという問題がある。
J.Am.Chem.Soc.,1990,112,p.1295−1297
本発明の課題は、連続的かつ安全に反応ができるマイクロフロー系でのカルボニル化反応を実現することにある。
すなわち、上記の問題を解消した一酸化炭素を用いる有機化合物のカルボニル化反応を提供することである。
上記の課題は、以下に示す発明によって解決される。
即ち、本発明は、マイクロフロー方式で、ラジカル開始剤およびラジカルメディエーターの存在下、式:
Figure 0004741823
[式中、R1は一価の有機基、Xは、Rラジカルを形成するように脱離できる基である。]
で示される有機化合物と一酸化炭素を反応させて、カルボニル化合物を製造する方法であって、
マイクロフローの流路の直径が1.8mm以下である製造方法を提供する。
本発明においては、ラジカル開始剤の80℃における半減期が100分以下であることが好ましい。
本発明においては、有機化合物R−Xおよび一酸化炭素に加えて、第三の成分として、シアノアルケニル(例えば、アクリロニトリル)を用いてもよく、この場合、末端にニトリル基を有する化合物が得られる。
本発明によれば、非常に短時間かつ高速で、有機化合物と一酸化炭素からカルボニル化合物を製造することができる。
本発明の製造方法は、特に簡便で再現可能な様式で実行可能であり、人及び環境に対する高い安全性を有し、短時間に良好な収率で目的物を得ることができ、反応条件も極めて容易に制御可能である。
さらにバッチ式では達成できない、液体状態の有機化合物と気体状態の一酸化炭素をマイクロリアクター中で効率的に混合することにより、より効率的に反応を行うことができる。
本発明においては、マイクロフロー系において、カルボニル化(ホルミル化)を行う。本発明においては、マイクロ流路の直径(すなわち、マイクロリアクターの内径)がミリメートルオーダー(特に、1.8mm以下)のフロー型のマイクロリアクターを使用する。マイクロリアクターととも、マイクロミキサーを使用することが好ましい。マイクロリアクターおよびマイクロミキサーの内部には、流路がある。流路の断面形状は、一般に、円形である。マイクロリアクターのマイクロ流路の直径(内径)の上限は、1.8mm、例えば1.5mm、特に1.2mm、特別には0.8mmであってよい。マイクロリアクターのマイクロ流路の直径の下限は、特に限定されないが、例えば、0.005mm、特に0.01mm、特別には0.05mm、さらには0.1mmであってよい。マイクロミキサーの流路の直径の上限および下限の数字は、マイクロリアクターの直径の上限および下限の数字と同様である。反応体が混合されるマイクロミキサーの流路の直径は、マイクロリアクターの流路の直径と同じ大きさであってもよいし、異なった大きさでもよい。
有機化合物R1-Xを基質として用いる。基質は、式:
Figure 0004741823
[式中、R1は、硫黄原子、酸素原子および/または窒素原子を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、Xは脱離基(特に、ハロゲン原子)である。]
で示される脱離基含有有機化合物である。脱離基含有有機化合物は、脱離基が脱離して、Rラジカル(R・)を形成する。脱離基含有有機化合物は、炭素-ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化合物であることが好ましい。
1基は、飽和または不飽和の直鎖状、分岐鎖状または環状の脂肪族炭化水素、または芳香族炭化水素であってよい。R1基の炭素数は、1〜30、例えば3〜25、特に5〜18、特別には6〜15であってよい。R1基の好適な例は、アルキル基である。
1基の具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基(例えば、イソプロピル基)、ブチル基(例えば、t−ブチル基)、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基(例えば、n−ドデシル基)などの鎖状アルキル基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基などの環状アルキル基;
フェニル基などのアリール基;
エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基;
チオフェン基、ピロール基、フラン基、ピリジン基、チアゾール基などのヘテロ環基(特に、不飽和環のヘテロ環基)である。
X基の例は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−SePh(Seはセレン原子、Phはフェニル基である。)、−TePh(Teはテルル原子、Phはフェニル基である。)、−OC(=S)−SR11[R11は、例えば炭素数1〜20の炭化水素基(例えば、アルキル基)である。]、−OC(=S)OPh(Phはフェニル基を意味する)である。
脱離基含有有機化合物の具体例は、塩化メチル、塩化イソブロピル、塩化t−ブチル、塩化n−ヘキシル、塩化n−ドデシル、塩化フェニル、塩化ビニル、塩化チオフェン、臭化n−ドデシル、ヨウ化n−ドデシル、C13−SePh、C13−TePh、C13−OC(=S)−SMe(Meはメチル基を意味する。)、C13−OC(=S)OPh(Phはフェニル基を意味する)などである。
一酸化炭素は、一般に、ガス状である。一酸化炭素ガスの圧力は、0.05〜20MPa、例えば0.1〜10MPa、特に0.1〜5MPa、特別には0.2〜1.5MPaであってよい。一酸化炭素の量は、脱離基含有有機化合物1モルに対して、2〜300モル、例えば3〜100モル、特に5〜20モルであってよい。一酸化炭素の流速を、上記の一酸化炭素/有機ハロゲン化合物のモル比になるように調節する。
ラジカル開始剤は、反応温度で開裂してラジカルを発生する化合物ならば、いずれの化合物であってよい。ラジカル開始剤の例は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(半減期80℃で120分)、V−65[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)](半減期80℃で12分)、V−40[1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)]などである。ラジカル開始剤の半減期(80℃)は、好ましくは100分以下、より好ましくは60分以下、特に40分以下、特別には20分以下である。ラジカル開始剤の量は、脱離基含有有機化合物1モルに対して、0.02〜1.0モル、例えば0.05〜0.3モル、特に0.10〜0.20モルであってよい。
ラジカルメディエーターは、カルボニルラジカル[R−(O=)C・]に水素原子を供給する化合物である。ラジカルメディエーターは、式:
Figure 0004741823
[式中、それぞれのRは、同一または異なって、炭素数1〜20の有機基、
Mは金属原子である。]
で示される化合物であってよい。
は、例えば、金属原子(例えば、ケイ素原子、ゲルマニウム原子)、酸素原子、硫黄原子、窒素原子およびフッ素原子からなる群から選択された少なくとも1つの原子を含んでいてもよい炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基であってよい。Rの具体例は、ブチル基(例えば、n−ブチル基)、フェニル基、トリメチルシリル基[(CH3)3Si-基]、フラニル基、チオフェニル基、ピリジニル基、ペルフルオロアルキル基などである。
Mの具体例は、錫原子(Sn)、珪素原子(Si)、ゲルマニウム原子(Ge)などである
ラジカルメディエーターの具体例は、トリブチル錫[(C4H9)3Sn-H]、トリフェニル錫、トリストリメチルシリルシラン[((CH3)3Si)3Si-H]、トリブチルゲルマン[(C4H9)3Ge-H]、トリフェニルゲルマンなどである。
ラジカルメディエーターの量は、脱離基含有有機化合物1モルに対して、1.0〜3.0モル、例えば1.1〜1.5モル、特に1.2〜1.3モルであってよい。
本発明においては、有機化合物R−Xおよび一酸化炭素に加えて、第三の成分として、シアノアルケニルCH2=C(CN)((CH2)nH)(nは0〜10の数である。)(例えば、アクリロニトリル)をも用いてもよい。第三成分を用いることによって、末端にシアノ基を有する化合物(R-C(=O)-CH2-CH(CN)((CH2)nH))が得られる。例えば、第三成分がアクロニトリルである場合に、生成物R-C(=O)-CH2CH2CNが得られる。第三成分の量は、脱離基含有有機化合物1モルに対して、1.0〜4.0モル、例えば1.1〜4.0モル、特に1.2〜2.0モルであってよい。
本発明においては、溶媒、特に有機溶媒を用いてもよい。溶媒は、カルボニル化反応に対して不活性であることが好ましい。溶媒の例は、脂肪族炭化水素(例えば、オクタンおよびシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、トルエン)、ケトン(例えばアセトンおよびメチルエチルケトン)、エーテル(例えばテトラヒドロフラン)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、エステル(例えば酢酸エチル)などである。溶媒は、脱離基含有有機化合物、ラジカル開始剤およびラジカルメディエーターを溶解することが好ましい。
本発明において、反応温度は、例えば、40〜150℃、特に50〜100℃、特別には60〜90℃、さらに特別には70〜80℃であってよい。反応時間(滞留時間)は、例えば0.1〜30分、特に0.2〜20分、特別には0.5〜5分であってよい。
本発明においては、マイクロ流路を有するマイクロリアクターを用いる。
マイクロリアクターにおいて、脱離基含有有機化合物、ラジカル開始剤およびラジカルメディエーターを含んでなる反応溶液と一酸化炭素ガスとを反応させる。
一酸化炭素はマスフローコントローラーを用いて流量を制御しマイクロミキサーに供給する。
反応溶液は高圧送液が可能なポンプ、例えばプランジャーポンプを用いて供給する。
マイクロ流路を有するマイクロリアクター出口に背圧弁を設け、マイクロ流路内を所定の圧力に制御する。
本発明の方法においては、液体状態または溶融状態の有機化合物と気体状態の一酸化炭素とをマイクロリアクター内で滞留時間にわたり反応させ、カルボニル化された有機化合物を、所望に応じて反応混合物から単離する。
本発明の実施例においては、次のような実験手順を用いた。
背圧弁を所望の圧力以上の設定値に調整し、一酸化炭素ボンベから、レギュレーター、マスフローコントローラーを用いて、反応を行なう時の一酸化炭素圧力まで圧力計で確認しながらマイクロリアクター内の加圧を行った。
次に、背圧弁を調節するネジを徐々に緩めていき一酸化炭素を徐々に流出させ、圧力が一定になるように調節した。(この時、一酸化炭素が背圧弁から流出している事を確認する為に流出口を酢酸エチル溶媒につけて、一酸化炭素が流出することを目視にて確認した。)
マイヤーフラスコを用いて、反応試薬(1−ブロモドデカン622mg(25mmol)、トリブチルスズヒドリド876.6mg(3mmol)、AIBN 40.4mg(0.25mmol))、内部標準としてデカン140.7mgをトルエン溶媒50mLに溶解し、反応溶液の調製を行い、高圧下で押す事のできるシリンジポンプ(高圧マイクロフィーダー:JP−H,FURUE SCIENCE)に三方コックを用いて、試薬溶液を17mL充填した(この時、シリンジ内に不純物が存在する可能性が考えられるため、反応試薬で数回置換を行った)。充填終了後、高圧シリンジポンプを用いて、0.14mL/minで反応試薬を送液した。
内径1mmのT字型マイクロミキサーによって、一酸化炭素と、反応試薬の混合を行い、あらかじめ80℃に加熱設定したオイルバスにSUSチューブ(マイクロリアクター)(内径1mm、長さ8m)を浸けて反応を行った。一定時間経過後、反応生成物が背圧弁から出てくるが、この時、ガス確認のために取り付けていた酢酸エチル溶媒と、反応溶媒として用いたトルエンでは屈折率がそれぞれ違う為、トルエンに溶けた反応混合物の排出を確認する事ができる。
トルエンに溶けた反応混合物が酢酸エチル中で一酸化炭素(以下、「CO」と記載することがある。)と同時に出てくる事を確認した後、酢酸エチルが入ったフラスコを取り除き、新しいサンプル管を用いて、反応生成物の回収を行った。回収した反応生成物は、ガスクロマトグラフィー(GC−18A,SHIMADZU)をもちいて収率を決定した。
図1は、本発明で用いる装置の概略を示す図である。
本発明の装置は、高圧シリンジポンプ1、逆止弁2、一酸化炭素ボンべ3、マスフローコントローラー4、圧力計5、逆止弁6、マイクロミキサー11、マイクロ流路を有するマイクロリアクター12、および背圧弁13を有する。
高圧シリンジポンプ
シリンジの全量17mL。
マスフローコントローラー
一酸化炭素の流量を調節することができる。
背圧弁
背圧弁の中にはスプリングが内蔵されており、調整ネジで調整することで、目的の一酸化炭素圧を保つことができる。
圧力計
マスフローコントローラーの直後に接続しておりマイクロリアクター内の圧力をモニターすることができる。
実施例1
開始剤の検討
ラジカル開始剤としてAIBNを用いてマイクロフロー系で80℃でラジカルホルミル化反応を行った。滞留時間22分。SUSチューブ(内径1mm,長さ8m)を用いて、基質混合物(0.05M)の流速0.14mL/min、一酸化炭素の流速0.14mL/min、一酸化炭素圧力5.6MPaで反応を行なった。
Figure 0004741823
[上記式中、Buはブチル基である。]
このとき、原料であるブロモドデカンは完全に消費され、ホルミル化生成物が53%、還元体が25%の収率で得られた。マイクロフロー系でもラジカルカルボニル化がバッチと同等の結果が得られることがわかった。
次に基質濃度を0.02Mで同様の反応をおこなったところ、開始剤AIBNでは、原料の残存が確認できた(表1, entry 1)。そこで、より半減期の短いV−65を用いて反応を行なったところ、原料が完全に消失した(表1,entry 2)。
Figure 0004741823
基質濃度0.02M(低温開始剤V−65、AIBN)
Figure 0004741823
Figure 0004741823
表1中、収率の合計(ホルミル体1と還元体2と原料の合計)が100%にならないが、この誤差は、検出器(キャピラリーガスクロマトグラフィー)に原因しており、反応系には、還元体2以外の副生物は、ほとんど存在しない。他の以下の結果(または表)についても同様である。
この結果は、開始剤の半減期によるものだと考えられる。すなわち、AIBN(半減期80℃で120分)では滞留時間内で十分に開裂せず、原料が残存したものと考えられる。一方、V−65(半減期80℃で12分)では、開裂が効率的におこり、ラジカル反応を開始させたものと考えられる。この結果より、短い反応時間で反応を完結させようとするフロー型の反応においてはより半減期の短いV−65が開始剤として相応しいと考え、これ以降の検討においてはV−65を用いることにした。
実施例2
ミキサーおよびチューブの内径変化による生成物の選択性に関する検討
Figure 0004741823
ミキサーおよびチューブの内径変化によるホルミル化と還元体における選択性の検討をおこなった。また、今回の実験では、基質混合物の流速は0.14mL/min、一酸化炭素の流速は0.12mL/minに固定した。
Figure 0004741823
内径2mmのミキサーとリアクターを用いたとき収率に大きなばらつきが見られた(entry 1-3)。内径1mmのミキサーとリアクターを用いた場合も収率に20%程度ばらつきが見られた(entry 4-6)。一方、内径0.4mmのミキサーとリアクター(流路の直径(内径)が0.4mmであるマイクロミキサーとマイクロリアクター)で反応をおこないところ、収率は安定し、高い収率でホルミル化体が得られた(entry 7,8)。また、流路長の変化が選択性に与える影響を調べる目的でentry 7,8の実験を、チューブの長さを半分にして行なったところ、選択性に変化は見られなかったが、滞留時間がわずか2.5分でも原料は完全に消失し、entry 7,8と同様の収率でアルデヒド体が得られた。
以上の結果より径が小さくなるに従い、再現性が高い結果が得られると考えられる。また、収率に関しても径が小さい方が高い。
リアクターの内径(mm)と長さ(m)の比が、3以下、特に1以下である場合に、良好な選択率(1/2)が得られることがわかる。
実施例3および比較例1
マイクロフロー系での反応(実施例3)
Figure 0004741823
SUSチューブ(内径1mm,長さ8m)を用いて、基質混合物(0.02M)の流速0.14mL/min、一酸化炭素の流速0.37mL/min、一酸化炭素圧力8MPa、V−65量は基質に対して10モル%、滞留時間12分で反応を行なったところホルミル化体が77%の収率で得られた。
バッチ系での反応(比較例1)
Figure 0004741823
フロー系での反応と比較するためステンレス製オートクレーブを用いてバッチ系で反応時間12分で反応を行なった。加熱開始から12分後に反応容器を氷冷し、反応を停止させた。ホルミル化体の収率は24%であり、原料の残存が確認できた。
これらの結果から、マイクロリアクターでは、ステンレス製オートクレーブを用いたときと比べると反応時間が大幅に短縮された。
実施例4
SUSチューブ(内径1mm,長さ8m)を用いて、基質濃度0.02M,反応溶液の流速0.14mL/min、一酸化炭素流速0.35mL/min、一酸化炭素圧8.5Mpa、滞留時間13分で、2級であるブロモシクロヘキサンのホルミル化をおこなったところ、良好にホルミル体を得る事ができた。
Figure 0004741823
2級であるブロモシクロヘキサンのホルミル化をおこなったところ、良好にホルミル体を得る事ができた。
次に、3級であるブロモアダマンタンのホルミル化反応を、2級であるブロモシクロヘキサンと同様の上記反応条件で行った。3級であるブロモアダマンタンのホルミル化を行ったところ、良好にホルミル体を得る事ができた。
Figure 0004741823
以上、1級、2級、3級のアルキルブロミドに対してマイクロフロー系でのラジカルホルミル化が良好に進行することが明らかとなった。
実施例5
多成分連結反応の検討
オレフィンを共存させ、三成分連結反応について検討を行なった。
(ステンレスオートクレーブを用いた三成分連結反応)
Figure 0004741823
Figure 0004741823
SUSチューブ(内径1mm,長さ18m)を用いて、基質濃度0.025M(反応溶液の流速0.14mL/min、一酸化炭素流速0.35mL/min、一酸化炭素圧2.0Mpa、滞留時間29分で、反応を行なった。ラジカルメディエーターとしてトリス(トリメチルシリル)シランをもちいて三成分連結反応を試みた。トリス(トリメチルシリル)シランは水素供与速度が遅いため、アクリロニトリル1.2当量、一酸化炭素圧2Mpa(20気圧)で反応を行なった。
Figure 0004741823
Figure 0004741823
上記のとおり、ヨードオクタンとアクリロニトリルを用いて反応をおこなったところ、三成分カップリング生成物を良好な収率で得る事ができた。
上記の実験から、下記のことが判明した。
マイクロフロー系の反応とバッチ式の反応を比較したところ、マイクロフロー系での反応がバッチ式の反応に比べ速やかに進行することがわかった。
マイクロフロー系で短い時間で反応を行なう時には、AIBN(半減期(80℃)120分)と比べ、効率的にラジカル種を発生することの出来るV−65(半減期(80℃)12分)が相応しいと考えられる。
マイクロフロー系でアルデヒド、ケトン合成のためのラジカルカルボニル化反応を効率よく実施する事ができた。
ミキサーおよびリアクターの内径を変えて検討した結果、内径が大きな場合、反応の再現性がとれず結果がばらついたのに対し、内径を400μmにしたマイクロフロー系においては、高い再現性で生成物が得られた。
ミキサーおよびリアクターの内径を400μmにした時、滞留時間わずか2.5分で反応が完結し、良好な収率でホルミル体が得られた。バッチ式での反応では30分程度を要することから、ラジカルカルボニル化反応がマイクロフロー系で超高速化されている。
本発明の製造方法は、医薬や農薬などの合成において有用である。
本発明で用いる装置の概略を示す図である。
符号の説明
1 高圧シリンジポンプ
2 逆止弁
3 一酸化炭素ボンべ
4 マスフローコントローラー
5 圧力計
6 逆止弁
11 マイクロミキサー
12 マイクロ流路を有するマイクロリアクター
13 背圧弁

Claims (4)

  1. マイクロフロー方式で、ラジカル開始剤およびラジカルメディエーターの存在下、式:R1−X
    [式中、R1は、炭素数1〜30の飽和または不飽和の直鎖状、分岐鎖状または環状の脂肪族炭化水素、または炭素数6〜30の芳香族炭化水素、
    Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−SePh(Seはセレン原子、Phはフェニル基である。)、−TePh(Teはテルル原子、Phはフェニル基である。)、−OC(=S)−SR11(R11は、炭素数1〜20の炭化水素基である。)、および−OC(=S)OPh(Phはフェニル基である。)からなる群から選択される、Rラジカルを形成するように脱離できる基である。]
    で示される有機化合物と一酸化炭素を反応させて、カルボニル化合物を製造する方法であって、
    マイクロフローの流路の直径が1.8mm以下であり、ラジカル開始剤がアゾ系化合物であり、ラジカル開始剤の80℃における半減期が100分以下であり、ラジカルメディエーターが、式:
    (R2)3M−H
    [式中、それぞれのRは、同一または異なって、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基
    Mは、錫原子(Sn)、珪素原子(Si)、またはゲルマニウム原子(Ge)である金属である。]
    で示される化合物である製造方法。
  2. 有機化合物R−Xおよび一酸化炭素に加えて、第三の成分として、式:
    CH2=C(CN)((CH2)nH)
    [式中、nは0〜10の数である。]
    で示されるシアノアルケニルをも用いて、末端にニトリル基を有するカルボニル化合物を得る請求項1に記載の製造方法。
  3. Xが、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. ラジカル開始剤の半減期(80℃)が、20分以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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