JP4741742B2 - コンクリート構築物の内面を被覆するリブ付きパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒を主材とする射出反応成形材料を型に注入して、所定の間隔を持った多数の平行リブを有する平板から湾曲したリブ付きパネルを製造する方法に関するものである。本発明は、湾曲したコンクリート製品の防水性あるいは耐薬品性を向上させるために、コンクリートを覆う湾曲したリブ付きパネルに関するものである。
【0002】
特に、本発明は、水密性や耐蝕性が要求される湾曲したコンクリート構築物の内面または外面を覆う樹脂部材で、コンクリートとの密着性を考慮した湾曲したリブ付きパネルに関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、湾曲したコンクリート構築物の耐水性、あるいは耐蝕性を向上させるためには、内部に樹脂部材が被覆される。しかし、コンクリートは、樹脂部材との密着性が悪く、経年変化によって樹脂が剥離する。そこで、コンクリートと内面樹脂被覆部材との密着性を向上させるために、前記内面樹脂被覆部材のコンクリート側にリブが設けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
湾曲した内面樹脂被覆部材に設けられたリブを一体に成形するためには、金型を一定の方向に抜く必要があり、コンクリートが内面樹脂被覆部材に食い付くような形状にすることが困難であった。そこで、コンクリートと内面樹脂被覆部材との食いつきを良くするために、いろいろと工夫されてきた。
【0005】
湾曲したコンクリート構築物には、目的によって各種の大きさのものがある。前記内面樹脂被覆部材は、前記湾曲した構築物の大きさに合ったものを成形用金型によって成形している。すなわち、前記成形用金型は、湾曲したコンクリート構築物の大きさ、目的、施工方法等によって決まる数だけ用意する必要があり、安価な湾曲したコンクリート構築物ができない原因の一つになっていた。
【0006】
また、内面樹脂被覆部材は、大きな形状のものが多くあり、コンクリートとの密着性を向上させるためにアンカーピンやアンカーリブを設けたものもあるが、これらを設けるための手間がかかり、高価の原因にもなっていた。
【0007】
さらに、コンクリートを養生する際に蒸気を加える蒸気養生は、コンクリートと内面樹脂被覆部材との膨張係数の相違から両者間の剥離を発生させる原因になっていた。
【0008】
以上のような問題を解決するために、本発明は、平板状部材にリブを垂直方向に一体成形した後、円筒状治具等に巻き付けて円形に保持し、その後、円形の保持を解くことにより、所望の曲率で湾曲したリブ付きパネルが得られる。また、前記リブは、前記湾曲した樹脂被覆部材に対して垂直とすることで、コンクリートとの食い付きを良くしている湾曲したリブ付きパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、湾曲したコンクリート構築物の内面を被覆する内面樹脂被覆部材の作製に当り、金型の数が少なく、簡単に作製することができる湾曲したリブ付きパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、湾曲したコンクリート構築物の内面を被覆する内面樹脂被覆部材に設けられたリブを逆テーパー状溝に切削する作業を最少にして、安価な湾曲したリブ付きパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(第1発明)
第1発明の湾曲したコンクリート構築物の内面を被覆するリブ付きパネルの製造方法は、ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒を主材とする射出反応成形材料を型に注入して、所望の間隔を持った多数の垂直な平行リブを有する平板状のパネルを射出反応成形する工程と、前記型開き後、0.5分ないし10分間放置する工程と、前記放置工程の後、前記垂直な平行リブの方向と直角方向に前記パネルを湾曲させるために、所定の曲率より小さく、基台に固定された多数の棒状部材で構成されている湾曲治具に20分ないし60分間固定する工程とを少なくとも有することを特徴とする。
【0012】
(第2発明)
第2発明の湾曲したコンクリート構築物の内面を被覆するリブ付きパネルの製造方法において、前記の湾曲治具に固定する手段は、クランプおよび/またはゴムバンドであることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1発明)
第1発明の湾曲したリブ付きパネルの製造方法は、一方が平面で他方に所望の間隔で多数の平行リブが成形される型に、ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒を主材とする射出反応成形材料が注入される。前記ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒を主材とする射出反応成形材料は、剛性、衝撃性、弾性に優れていると共に、低粘度、低吸水性、耐熱性、および熱硬化性を有するため、低温、低圧で射出反応成形が可能である。
【0018】
また、前記ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒を主材とする射出反応成形材料は、強度や低吸水性を有するため、湾曲したコンクリート構築物の内面樹脂被覆部材として適している。また、前記湾曲した内面樹脂被覆部材は、低温、低圧で射出反応成形が可能であるため、樹脂型で湾曲樹脂部材を成形することができる。
【0019】
前記型に注入されたノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒を主材とする射出反応成形材料は、型によって一定の間隔を持った垂直なリブを有する平板状部材が成形される。前記垂直なリブを有する平板状部材は、成形されて加熱されている状態で、湾曲治具の周囲に巻き付けられた後、その周囲が固定される。前記垂直なリブを有する平板状部材は、時間の経過によって曲げられた状態となって湾曲した内面樹脂被覆部材となる。
【0020】
次に、型から取り出された前記平板状部材は、平板状で直角方向にリブが設けられているが、湾曲治具の周囲に沿って固定されることで、前記リブの方向が曲面に対して直角になり、湾曲したコンクリート部材から剥離し難くなる。前記平板状部材は、湾曲治具の周囲に沿って巻き付けられるため、一つの湾曲治具によって多くの種類の湾曲した内面樹脂被覆部材を製造することができる。
【0021】
本発明の湾曲治具は、予め必要とする曲率より小さめにする。そして、前記平板状部材は、湾曲治具の周囲に沿って固定された後、前記固定が解かれると、所定の曲率の湾曲したリブ付きパネルとなる。前記湾曲治具と湾曲した内面樹脂被覆部材とは、所望の曲率を正確にする必要がない。なぜならば、所望に近い曲率の内面樹脂被覆部材は、湾曲したコンクリート構築物の型に入れられた後、コンクリート部材が打設される。前記打設の際のコンクリート部材の重みで所定の曲率の内面樹脂被覆部材となる。
【0022】
本発明のコンクリート構築物の内面を被覆するリブ付きパネルの製造方法において、型から抜かれた平板状部材は、加熱されている間に湾曲治具の周囲に沿って巻き付けられることが望ましい。前記平板状部材が湾曲治具に移行する時間は、前記型開き後、0.5分ないし10分であった。前記平板状部材は、型開きから時間の経過が多い場合は、外部から熱を加えながら前記湾曲治具の周囲に沿って巻き付ける。
【0023】
本発明のコンクリート構築物の内面を被覆するリブ付きパネルの製造方法において、型から抜かれた平板状部材が湾曲治具に固定されている時間は、20分ないし60分間である。前記固定されている時間は、水を掛けて冷却を促進させることによって、あるいは大きさによっても異なる。また、本発明は、湾曲治具の周囲を囲むようにして、加熱蒸気や冷却用水等を掛けたり、その他の手段で温度を変えることにより、前記時間が異なる。
【0024】
本発明のコンクリート構築物の内面を被覆するリブ付きパネルの製造方法は、前記平板状部材を巻き付ける湾曲治具に関するものである。前記湾曲治具は、たとえば、棒状部材(ポール)が基台に所定の間隔で、所定の曲率を得るように配置されると共に固定されている。前記固定は、溶接あるいは棒状部材の位置を変えることができるように、着脱自在に固定できるようにすることもできる。前記湾曲治具は、棒状部材以外に、板あるいはパンチング材等を円筒にしたものを利用することもできる。
【0025】
(第2発明)
第2発明のコンクリート構築物の内面を被覆するリブ付きパネルの製造方法は、平板状部材を湾曲治具に巻き付けた後、固定する手段である。前記固定手段は、クランプおよび/またはゴムバンドである。前記クランプまたはゴムバンド等の数は、内面樹脂被覆部材の大きさ等によって任意に変えることができる。
【0026】
【実 施 例】
図1は本発明の一実施例で、内面樹脂被覆部材を作製する前の平板状部材を説明するための図である。図2は本発明の一実施例で、平板状部材を円筒状の治具に巻いて湾曲した内面樹脂被覆セグメントを作製する状態を説明するための図である。図3は本発明の一実施例で、平板状部材を円筒状の治具に巻いた後、締め付けるための手段を説明するための図である。図1において、内面樹脂被覆部材111は、平板状部材113と、当該平板状部材113に垂直に一体成形されたリブ112とから構成されている。
【0027】
図1において、内面樹脂被覆部材111の大きさは、たとえば、長さ1400mm、幅1000mm、厚さ4mmとした。また、前記リブ112の高さは5mmで、リブ112の間隔が26mmとした。
【0028】
図2において、ポール固定台121は、たとえば、頑丈な金属製部材からなり、所定の曲率を得るように固定ポール122が溶接あるいは着脱自在に取り付けられている。そして、円筒状治具120は、前記ポール固定台121と複数本の固定ポール122とによって構成されている。前記円筒状治具120は、固定ポール122の代わりに所定の強度を有する板状部材で円筒形にすることができる。また、固定ポール122は、ポール固定台121に対して着脱自在で、その位置を移動させ、曲率を変えることができる。
【0029】
前記円筒状治具120には、図1によって成形されたリブ112を有する平板状部材113が巻かれた後、図3に示すクランプ131によって、所定時間固定される。クランプ131は、たとえば、一本または二本からなり、係合部132、132′が互いに合わせられた後、固定ボルト133、133′によって固定される。また、図示されていない可撓性のあるバンド等によって締めつけることができる。前記クランプ131および可撓性バンドは、複数本を適度に使用することができる。また、前記固定手段は、クランプ131あるいは可撓性バンドに限定されるものではない。
【0030】
内面樹脂被覆部材が前記寸法の場合、図2に示すように、円筒状治具120を約3/4周取り巻いている。前記円筒状治具120は、固定ポール122の長さを必要な内面樹脂被覆部材の中で一番幅を広くかつ、半径を大きくしておくと都合が良い。このような円筒状治具120は、各種目的にあったコンクリート構築物用の内面樹脂被覆部材を作製することができる。すなわち、前記コンクリート構築物に合った治具や金型が一つで済む。
【0031】
図4は本発明の他の実施例で、内面樹脂被覆部材を説明するための図である。図4において、リブ142を有する平板状部材141は、円筒状治具120に巻かれている。このように平板状部材141から作製された内面樹脂被覆部材は、図3のものと比較すると、その幅が同じで長さが短くなっている。このように、前記円筒状治具120は、必要に応じて、異なる幅と長さの内面樹脂被覆部材を容易に作製することができる。
【0032】
図5は本発明の一実施例で、内面樹脂被覆部材を所望の湾曲にするための説明図である。図5において、図2および図4に示すように、平板状部材113、141は、成形され、加熱された状態の間に、前記円筒状治具120に巻き付けられる。前記平板状部材113、141は、図示されていない型から取り出された後、15分以内、好ましくは0.5分ないし10分程度であることが望ましい。
【0033】
前記円筒状治具120は、内面樹脂被覆部材として、所望の曲率より大きめに作製されている。このため、所望の曲率を有する内面樹脂被覆部材とするためには、所定の時間放置する必要がある。前記円筒状治具120に巻き付けられた状態で放置する時間は、20分ないし60分程度であった。また、平板状部材113、141を型から取り出して、前記円筒状治具120に巻き付けるまでの時間、および前記円筒状治具120に巻き付けておく時間は、外部から熱を加えたり、あるいは冷却することによって異なってくる。前記加熱あるいは冷却を行う場合は、前記円筒状治具120と共に部屋等の中で行えるようにする。
【0034】
図4および図5において、平板状部材141を成形後、15分以内に、300Rの円筒状治具120に巻き、クランプおよび/またはゴムバンドによって上下を30分間8度Cの状態で固定した。図5に示す図は、矯正を解放した直後のものであり、端部の下からの高さが200mm(1220R)であった。
【0035】
本発明の実施例は、平板状部材を湾曲させているため、リブが前記平板状部材に対して垂直に成形され、水平面に対してそれぞれ角度が異なるようになる。したがって、打設されたコンクリートは、前記異なる方向のリブに対して食い付きが良く、湾曲した平板状部材との剥離を防止して、信頼性の高い内面樹脂被覆部材が得られる。
【0036】
図6はコンクリートを覆う樹脂部材に設けられた多数の平行リブを有する平板を説明するための図である。図7は図6における方向を90度変えた状態で、リブに内方に向かって広がるテーパー溝を設けた図である。図8は図6および図7の斜視図である。
【0037】
図6ないし図8において、コンクリート構築物の内面を覆う内面樹脂被覆部材11は、コンクリート側に突出すると共に、軸方向に沿って連続して突出するリブ13が全面に設けられている。コンクリート(図示されていない)は、型枠(図示されていない)の上部から軸方向に沿って振動を与えながら充填されるため、前記軸方向リブ13がコンクリートを充填するための障害にならない。
【0038】
たとえば、前記内面樹脂被覆部材11の厚さ4mm、軸方向リブ13の高さ5mm、厚さ4mm、軸方向リブ13どうしの間隔36mmとした場合において、内面樹脂被覆部材11とコンクリートとの付着強度試験を行った。引張速度は、約50mm/min程度で、その結果は、7kgf/cm2 でコンクリート材料破壊であった。
【0039】
図6ないし図8に示す内面樹脂被覆部材11は、軸方向に略等間隔でリブ13が全面に設けられている。ただし、前記軸方向リブ13は、少なくとも一本の逆テーパー状溝14−1が断続的に設けられている。また、前記軸方向リブ13は、平板の周囲近傍に多くの逆テーパー状溝14が断続的に設けられている。そして、この断続した逆テーパー状溝14は、内面樹脂被覆部材11とコンクリートとを常に密着させて、互いに剥離しないようにしている。
【0040】
たとえば、図6ないし図8は、前記逆テーパー状溝14−1ないし14−3を説明するためのものである。たとえば、逆テーパー状溝14−1は、図7の上端部から10mmの所に設けられており、次の逆テーパー状溝14−2は、36mm離れた位置に設けられている。
【0041】
逆テーパー状溝14−1および14−2は、図7に示されているように、たとえば、60度の角度で逆テーパー状に切削されている。この逆テーパー状溝14は、コンクリートを打設した際に、コンクリートと内面樹脂被覆部材11との密着性を向上させると共に、経年変化においても剥離することがないような形状をしている。
【0042】
図9は図7および図8におけるテーパー溝を作製する方法を説明するための概念図である。図9において、逆テーパー状溝14を切削する工作機械は、NCルーターを使用した。前記工作機械は、工作機械本体31と、可動部を支持するアーム32と、当該アーム32に取りつけられ、所望の形状に位置を変えることができるX−Y駆動部33と、円周方向に湾曲した内面樹脂被覆部材11に沿って切削できるように高さ方向を調整するための油圧部34と、逆テーパーカッター38を回転させる回転駆動部35と、当該回転駆動部35を回転させる電力を供給する電源リード36と、前記回転駆動部35の出力軸である回転軸37と、当該回転軸37に取り付けられた逆テーパーカッター38とから構成されている。
【0043】
前記逆テーパーカッター38は、回転駆動部35の回転により回転しながら、また、油圧部34により高さ方向に追従しながら、軸方向リブ13を逆テーパー状に切削する。また、X−Y駆動部33は、NCによって制御されて、逆テーパーカッター38を所望の位置に運べるため、所望の形状で、逆テーパー状溝14が形成される。前記切削の開始は、軸方向リブ13のない所から初め、同じく軸方向リブ13のない所で終了する。
【0044】
さらに、本発明の実施例は、前記軸方向リブに対して直角方向に、逆テーパー状溝14が、たとえば、60度の角度で逆テーパー状に切削されている。この逆テーパー状溝14は、コンクリートを打設した際に、コンクリートと内面樹脂被覆部材11との密着性を向上させると共に、経年変化においても剥離することがないような形状をしている。
【0045】
前記切削角度は、既製品のカッターを使用したため、60度であったが、この角度に限定されるものではない。しかし、略60度という角度の切削は、切削作業あるいはコンクリートとの食い付きに好ましい。前記逆テーパー状溝14は、直線状に切削することも円形に切削することも可能である。前記逆テーパー状溝14は、略円形に切削することによって、この領域におけるコンクリートとの密着をより強度にすることができる。
【0046】
内面樹脂被覆部材11および軸方向リブ13は、たとえば、図示されていない射出反応成形装置に、ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒を主材とする射出反応成形材料が型枠内に注入されることによって作製される。射出反応成形材料は、たとえば、ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒とからなる第1の液体と、ノルボルネン系モノマーと活性剤とからなる第2の液体とが用意される。
【0047】
その後、前記安定した2液は、たとえば、ミキシングヘッドによって混合された後、射出反応成形装置の型枠内に低圧、低温で注入される。本実施例は、前記のように低圧、低温で射出反応成形ができるため、型枠がコンクリート用外型枠と同じもので済む。
【0048】
前記射出反応成形材料の詳細は、たとえば、特公平3−28451号公報、特公平4−9812号公報、特公平6−13563号公報、特公平6−24806号公報、特開平6−8273号公報に記載されており、これらの材料を使用して、本実施例の樹脂被覆セグメントを作製することができる。
【0049】
前記内面樹脂被覆部材11の表面には、たとえば、必要に応じて、図示されていない、水中または湿潤状態で接着可能な硬化型接着剤が塗布される。そして、前記硬化型接着剤が未硬化あるいは半硬化の状態の内に、コンクリートが打設される。前記硬化型接着剤は、コンクリートの反応熱により硬化すると共に、コンクリートも緊密に密着して固化する。このようにして、製造された内面樹脂被覆部材は、コンクリートが固化した後、一体になって型枠から取り出される。前記水中または湿潤状態で接着可能な硬化型接着剤は、内面樹脂被覆部材11の全面または部分的に塗布することができる。
【0050】
前記水中または湿潤状態で接着可能な硬化型接着剤は、ウレタン−アクリレート系樹脂が最適である。また、前記内面樹脂被覆部材11は、ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒を主材とする射出反応成形品、シートモールディングコンパウンドからなる繊維強化プラスチック成形品、熱可塑性樹脂シートの成形品の内の少なくとも一つが使用される。
【0051】
次に、前記内面樹脂被覆部材11は、図示されていないコンクリート構築物成形用基台に載置した後、コンクリート成形用側部型枠、およびコンクリート成形用上部型枠が所定の位置に配置される。コンクリートは、前記コンクリート成形用上部型枠のコンクリート注入孔から注入される。
【0052】
前記コンクリート構築物成形用基台は、たとえば、振動により、コンクリートが前記軸方向に設けられているリブ13に沿って打設される。内面樹脂被覆部材11は、鉄筋あるいは連結金具等を入れた後、コンクリートを充填するが、コンクリートの充填に際し、振動台に置かれて振動させられると共に、棒状バイブレータ等で内部締固めを行う。
【0053】
コンクリート養生後、前記コンクリート成形用上部型枠およびコンクリート成形用側部型枠は、剥離除去され、内面樹脂被覆コンクリート構築物が完成する。なお、前記コンクリート成形用側部型枠には、接合凹部成形用突起、およびシール溝用突起が設けられている。
【0054】
以上、本実施例を詳述したが、前記本実施例に限定されるものではない。そして、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本実施例は、内面樹脂被覆部材で湾曲したリブ付きパネルを説明したが、外面樹脂被覆部材としたり、あるいはコンクリート構築物をトンネル用セグメントとすることができる。
【0055】
前記リブは、格子状に設けたり、あるいは交互、または幾つか置きに高さを変えて成形することもできる。また、前記リブは、平板状部材上に作製されるため、成形型から樹脂部材を抜く時に都合が良く、実施例に示した以外に複雑な形状にすることができる。
【0056】
本実施例は、リブが平板状部材に対して垂直で、前記平板状部材を湾曲させた際にそれぞれの向きが異なるようになれば、前記リブの形状を任意に変形することができる。本実施例の内面樹脂被覆部材は、矩形状で説明したが、台形型、六角形型、亀の子型、正方形、その他変形させることが可能である。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、軸方向にリブを備えた平板状部材を一体成形し、その後加熱されている状態で、円筒状治具に巻き付けて、幅や長さの異なる湾曲した内面樹脂被覆部材を作製しているため、安価な内面樹脂被覆コンクリート構築物を得ることができる。
【0058】
本発明によれば、垂直に設けられたリブを有する平板状部材を円筒状治具に巻き付けて、湾曲した内面樹脂被覆部材を作製しているため、リブの方向が水平面に対してそれぞれ異なるようになり、コンクリートとの食い付きを良くすることができた。
【0059】
本発明によれば、平板状部材に対して垂直方向に設けられたリブに、逆テーパー状溝を断続して設けることによって、さらに、コンクリートと内面樹脂被覆部材との食い付きを良くすることができた。
【0060】
本発明によれば、内面樹脂被覆部材によってコンクリート構築物の内側に設ける二次覆工を省略することができ、耐薬品性が良好であると共に、表面が平滑であるため、雨水や下水の流速が大きくなる等、優れた水理特性を持つ雨水用あるいは下水道用コンクリート構築物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例で、内面樹脂被覆部材を作製する前の平板状部材を説明するための図である。
【図2】本発明の一実施例で、平板状部材を円筒状の治具に巻いて湾曲した内面樹脂被覆セグメントを作製する状態を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施例で、平板状部材を円筒状の治具に巻いた後、締め付けるための手段を説明するための図である。
【図4】本発明の他の実施例で、内面樹脂被覆部材を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施例で、内面樹脂被覆部材を所望の湾曲にするための説明図である。
【図6】コンクリートを覆う樹脂部材に設けられた多数の平行リブを有する平板を説明するための図である。
【図7】図6における方向を90度変えた状態で、リブに内方に向かって広がるテーパー溝を設けた図である。
【図8】図6および図7の斜視図である。
【図9】図7および図8におけるテーパー溝を作製する方法を説明するための概念図である。
【符号の説明】
111・・・内面樹脂被覆部材
112、142・・・リブ、逆テーパー状溝
113、141・・・平板状部材
120・・・円筒状治具
121・・・ポール固定台
122・・・固定ポール
131、131′・・・クランプ
132、132′・・・係合部
133、133′・・・固定ボルト
Claims (2)
- ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒を主材とする射出反応成形材料を型に注入して、所望の間隔を持った多数の垂直な平行リブを有する平板状のパネルを射出反応成形する工程と、
前記型開き後、0.5分ないし10分間放置する工程と、
前記放置工程の後、前記垂直な平行リブの方向と直角方向に前記パネルを湾曲させるるために、所定の曲率より小さく、基台に固定された多数の棒状部材で構成されている湾曲治具に20分ないし60分間固定する工程と、
を少なくとも有することを特徴とする湾曲したコンクリート構築物の内面を被覆するリブ付きパネルの製造方法。 - 前記の湾曲治具に固定する手段は、クランプおよび/またはゴムバンドであることを特徴とする請求項1に記載された湾曲したコンクリート構築物の内面を被覆するリブ付きパネルの製造方法。
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